JP3891934B2 - ポリイソシアネート組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1では、上記加熱方法、またはアロファネート化触媒を用いる方法により、モノアルコールまたは多価アルコールと、ジイソシアネートとからなる混合物をアロファネート化する製造法が記載されている。ここで、アロファネート化触媒としては、ジルコニウムを含む金属のカルボキシレート、金属キレート、第3級アミンが記載されているが、本発明のジルコニル化合物またはジルコニウムアルコラートに関する記述はない。
また、この明細書に示された実施例では、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート化反応条件として、130〜135℃で24時間加熱する方法と、3級アミンあるいは亜鉛カルボン酸塩をアロファネート化触媒とし、室温〜50℃で69〜89時間反応する方法が示されている。しかし、これらの方法では、アロファネート基を有するポリイソシアネート組成物だけでなく、ウレトジオン基やイソシアヌレート基を有するポリイソシアネート組成物がかなりの程度生成してしまう。また、得られたポリイソシアネート組成物はかなり着色したものになる。
更に、この明細書中では、アロファネート基の生成比率が高いポリイソシアネート組成物を製造するための条件は明らかにされておらず、本発明者らが追試したところ、亜鉛カルボン酸塩を用いた場合、アロファネート基の生成比率は45〜60%程度であった。
特許文献4では、スズ化合物を有するアロファネート化触媒が記載されており、スズ化合物をアロファネート化触媒として用いることにより、アロファネート基を有するポリイソシアネート組成物が得られることが示されている。しかしながら、特許文献4は、本発明のジルコニル化合物あるいはジルコニウムアルコラートに関して記載していない。
特許文献5は、有機金属カルボン酸塩および有機亜リン酸エステルをアロファネート化触媒として用いる方法が記載されており、有機亜リン酸と、金属カルボン酸塩を用いた反応では、実質的にウレトジオン化や、イソシアヌレート化されたポリイソシアネート組成物は生成しないと記載されている。しかしながら、特許文献5は、アロファネート化触媒として、本発明のジルコニル化合物あるいはジルコニウムアルコラートを用いるという点について何ら記載しておらず、その実施例では、全て鉛化合物をアロファネート化触媒として用いた例が挙げられている。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
[1] 脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、および脂肪族ジイソシアネートおよび脂環式ジイソシアネートからなる群から選ばれる少なく とも1種のジイソシアネートから得られるイソシアネートプレポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のイソシアネート化合物と、水酸基を有する 化合物とから、ウレタン化反応およびアロファネート化反応により、アロファネート基を有するポリイソシアネート組成物を製造する方法において、
式(1)で表されるジルコニル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を、アロファネート化反応の触媒として用いることを特徴とする、上記製造方法。
[3] ジルコニル化合物がジルコニルカルボン酸塩である、前記[1]または[2]の製造方法。
[4] 停止剤を用いてアロファネート化反応を停止させる、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 停止剤が少なくとも1種のリン酸酸性化合物である、前記[4]の製造方法。
[6] リン酸酸性化合物が、水を実質的に含有しない、リン酸、ピロリン酸、メタリン酸およびポリリン酸から選ばれる少なくとも1種の化合物である、前記[5]の製造方法。
本発明のポリイソシアネート組成物の製造方法においては、イソシアネート化合物と水酸基を有する化合物とが原料となる。
まず、イソシアネート化合物としては、(a)脂肪族ジイソシアネート、(b)脂環式ジイソシアネート、および(c)脂肪族ジイソシアネートおよび脂環式ジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートから得られるイソシアネートプレポリマー(以下、単に「イソシアネートプレポリマー」と略記する場合もある)からなる群から選ばれる少なくとも1種のイソシアネート化合物が用いられる。
イソシアネートプレポリマーとして、具体的には、脂肪族ジイソシアネートおよび脂環式ジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートをウレトジオン化、イソシアヌレート化、ビウレット化、ウレタン化したもの等が挙げられる。なお、ウレトジオン化とはウレトジオン基を生成する反応、イソシアヌレート化とはイソシアヌレート基を生成する反応、ビウレット化とはビウレット基を生成する反応のことであり、これらウレトジオン化、イソシアヌレート化、ビウレット化、ウレタン化の反応条件等については、公知の方法に従えばよい。
1個の水酸基を有するアルコール類、すなわちモノアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−ブロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、iso−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,3,5−トリメチル−1−ヘキサノール、トリデカノール、ペンタデカノールなどの飽和脂肪族アルコール、シクロヘキサノール、シクロペンタノールなどの飽和環状脂肪族アルコール、アリルアルコール、ブテノール、ヘキセノール、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどの不飽和脂肪族アルコールなどが挙げられる。
フェノール類としては、フェノール、ベンジルフェノール、o−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、エチルフェノール、オクチルフェノール、キシレノール、ナフトール、ノニルフェノール、ビスフェノールAなどが挙げられる。更に、上記のアルコール類またはフェノール類を原料としたポリエステルポリオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラエチレングリコールなども、本発明の水酸基を有する化合物として適している。また、水酸基を有するアクリルポリオールも水酸基を有する化合物として使用することが出来る。
イソシアネート化合物と水酸基を有する化合物とを原料とする本発明のポリイソシアネート組成物の製造は、ウレタン化反応およびアロファネート反応により行われる。ここで、ウレタン化反応とは、イソシアネート基1個と水酸基1個が反応してウレタン基を生成する反応であり、アロファネート化反応とは、イソシアネート基1個とウレタン基1個から、アロファネート基が生成する反応のことである。
イソシアネート化合物が有するイソシアネート基と、水酸基を有する化合物が有する水酸基のモル比は、一般的には2.1:1〜100:1、好ましくは3:1〜60:1、より好ましくは5:1〜40:1である。イソシアネート基と水酸基のモル比を上記範囲内とした場合には、生産効率が良好であり、かつ原料のイソシアネート化合物や水酸基を有する化合物、およびイソシアネート化合物と水酸基を有する化合物との反応生成物であるウレタン基を有する有機化合物が残存することなく、さらにゲル化などを起こすことなく反応させることができる。
ウレタン化反応は、無触媒で、あるいはスズ化合物、亜鉛化合物、ビスマス化合物、アミン化合物、ジルコニウム化合物等の公知のウレタン化触媒を用いて行うことが出来る。本発明で用いられる式(1)で表されるジルコニル化合物、または式(2)で表されるジルコニウムアルコラートも、ウレタン化触媒として用いることができる。
本発明では、アロファネート化反応の触媒(アロファネート化触媒)として、式(1)で表されるジルコニル化合物、および式(2)で表されるジルコニウムアルコラートからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を使用する。アロファネート基の生成比率がより高いポリイソシアネート組成物を得るためには、ジルコニル化合物を用いることが好ましい。
ジルコニル化合物とは、下記式(1)の構造を有する化合物である。
ジルコニル化合物として、具体的には、ハロゲン化ジルコニル、ジルコニルカルボン酸塩、ジアルキルジルコニル、ジルコニルジアルコラート、炭酸ジルコニル、ジルコニル硫酸鉛、ジルコニル硝酸塩などが挙げられる。なかでもジルコニルカルボン酸塩が好ましい。
ジルコニウムアルコラートとは、下記式(2)の構造を有する化合物である。
上述の通り、本発明においては、アロファネート化触媒の添加時期および添加方法に関し、特に制限はない。例えば、ウレタン基を含有する有機化合物の生成前、すなわちイソシアネート化合物と水酸基を有する化合物とのウレタン化反応に先立って、アロファネート化触媒を添加しても良いし、イソシアネート化合物と水酸基を含有する化合物とのウレタン化反応中に添加しても良い。また、ウレタン基を含有する有機化合物の生成後に添加しても良い。添加方法としては、所要量のアロファネート化触媒を一括して添加しても良いし、何回かに分割して添加しても良い。または、一定の添加速度で連続的に添加する方法も採用できる。 アロファネート化触媒は、酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル化合物や、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン化合物、ヘキサン、ペンタン、ミネラルスピリットなどの炭化水素化合物、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物、エタノール、プロパノール、ブタノール、1,3−ブタンジオールなどのアルコール化合物等の有機溶剤で希釈して使用することができる。
アロファネート化反応は、通常5分〜24時間、好ましくは10分〜10時間、より好ましくは20分〜4時間行われる。かかる反応時間とした場合に、反応の制御が容易となり、また生産効率よくポリイソシアネート組成物を製造することが可能となる。
なお、アロファネート化反応の進行は、反応液の屈折率を測定することや、反応液のイソシアネート基含有量を測定することによって測定することができる。 本発明で用いるアロファネート化触媒は、反応が比較的穏やかであるという特徴を有している。また、式(1)で表されるジルコニル化合物をアロファネート化触媒として用いた場合は、アロファネート化反応がほぼ終了した後、すなわちウレタン基からアロファネート基への変換がほとんど終了した後、イソシアヌレート化反応などの副反応が起こり難いという利点がある。これに対して、鉛化合物などをアロファネート化触媒として用いると、ウレタン基を有する有機化合物がほとんど反応した後、急激なイソシアヌレート化反応が起こり、反応の制御が困難になる場合がある。
本発明の製造方法において、アロファネート化反応における好適なアロファネート基の生成比率を、アロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比をもって表すと、アロファネート基の生成モル/イソシアヌレート基の生成モル=80/20以上(アロファネート基の生成比率が80%以上)であることが好ましく、90/10以上(アロファネート基の生成比率が90%以上)であればより好ましい。
アロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比は、1H−NMRを用いて測定することができる。イソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネートおよびそれから得られるイソシアネートプレポリマーを用いたポリイソシアネート組成物を、1H−NMRで測定する方法の一例を以下に示す。本明細書中において示されるアロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比も、以下の条件で測定したものである。
アロファネート基の生成モル/イソシアヌレート基の生成モル
=(8.5ppm付近のシグナル面積)/[(3.85ppm付近のシグナル面積)/6]
ウレタン化反応やアロファネート化反応は、無溶媒中で行うことができるが、必用に応じて酢酸ブチル、メチルエチルケトン、トルエン、キシレンなどのイソシアネート基との反応基を有していない有機溶剤を溶媒として使用することが出来る。
本発明においては、アロファネート化反応を、停止剤を添加することによって停止させることが好ましい。アロファネート化反応はウレタン基を含有する有機化合物がなくなると終了するが、停止剤を加えると、製造条件が安定となり、また製品の安定性を向上させることもできる。
停止剤としては、リン酸酸性化合物、硫酸、硝酸、クロロ酢酸、塩化ベンゾイル、スルホン酸エステル剤などの酸性化合物、あるいはイオン交換樹脂、キレート剤、キレート樹脂などを使用することができる。これらの中でも、リン酸酸性化合物は、ステンレスなどの反応機の基材を腐食する可能性が少なく、また停止剤残渣を容易に取り除くことができるため好ましい。
ここで、リン酸酸性化合物としては、リン酸、ピロリン酸、メタリン酸、ポリリン酸、あるいはこれらのアルキルエステルなどが挙げられ、本発明ではこれらリン酸酸性化合物の少なくとも1種を停止剤に用いることが好ましい。
したがって、本発明においては、停止剤として用いられる上記リン酸酸性化合物が、水を実質的に含有しない、リン酸、ピロリン酸、メタリン酸、及びポリリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、特に好ましい。
停止剤の添加量は、アロファネート化触媒に対して、好ましくは0.20〜100倍のモル量、より好ましくは0.5〜50倍のモル量、さらに好ましくは1.0〜20倍のモル量である。
アロファネート化反応を停止した後、必用に応じて未反応の脂肪族ジイソシアネートあるいは脂環式ジイソシアネートを、例えば、流下式薄膜蒸留法や溶媒抽出法などによって留去して使用することもできる。
本発明における反応は、1つの反応器で、ウレタン化反応工程、アロファネート化反応工程、必要に応じて停止反応工程の全てを行うことができる。また、2つの反応器を連結し、ウレタン化反応工程とアロファネート化反応および必要に応じて停止反応からなる工程とに分けて、またはウレタン化反応およびアロファネート化反応からなる工程と停止反応工程とに分けて実施してもよい。あるいは、複数の反応器を並べて配置することにより連続的に実施することもできる。
このようなジルコニウム残存量の少ないポリイソシアネート組成物は、例えば、上述した式(1)のジルコニル化合物を含む触媒を使用して得ることができ、特に、ジルコニウム量を200ppm以下にするためには、前述の水を実質的に含有しない、リン酸、ピロリン酸、メタリン酸、及びポリリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を停止剤として、使用するのが好ましい。なかでも、実質的に水を含有しないリン酸またはピロリン酸を、メタノールやイソブタノール、オクタノールなどのアルコール類で希釈したものが取り扱い易く好ましい。
一方、ポリイソシアネート組成物中にジルコニウムが10ppm以上含まれていると、ウレタン化触媒として作用するので、ポリウレタン塗料の反応速度を早める効果もある。ジルコニウムを、0.001ppm以下にするためには、製造にコストがかかりすぎ、実用的ではない。
本発明で用いるポリオールとは、二液ポリウレタン塗料分野において主剤として使用される1分子中に2つ以上の水酸基を有するポリオールである。例えば脂肪族炭化水素ポリオール類、フッ素系ポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、エポキシ樹脂類、アクリルポリオール類、およびアルキドポリオール類等の中の1種類またはその混合物などが挙げられる。特にフッ素系ポリオール類やアクリルポリオール類は耐候性が優れているため、より好ましい。これらのポリオールは、溶液重合や縮合反応など公知の技術で製造される。
本発明で用いられるポリオールとポリイソシアネート組成物における、イソシアネート基と水酸基との当量比は、0.3〜5.0、好ましくは0.4〜3.0、より好ましくは0.5〜2.0である。イソシアネート基と水酸基との当量比が上記範囲内にある場合、強靱な塗膜を作ることができる。
本発明のポリイソシアネート組成物およびコーティング組成物は、有機溶剤と混合して使用することもできる。この場合、有機溶剤は、水酸基およびイソシアネート基と反応する官能基を有していないことが必要である。また、有機溶剤は、ポリイソシアネート組成物およびポリオールと相溶することが必要である。このような有機溶剤として、一般に塗料溶剤として用いられているエステル化合物や、エーテル化合物、ケトン化合物、芳香族化合物、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル系の化合物、ポリエチレングリコールジカルボキシレート系の化合物などを用いても良い。
なお、ポリイソシアネート組成物には、目的および用途に応じて、硬化促進などの触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤、表面処理剤等の当該技術分野で使用されている各種添加剤を混合して使用することもできる。
また、本発明においては、水酸基を有する化合物等を選択することによって、低粘度のポリイソシアネート組成物、あるいは高い官能基数を有し、架橋能力が高いポリイソシアネート組成物、あるいは低極性有機溶剤に溶解し易いポリイソシアネート組成物などを得ることができる。なお、上述のように、イソシアヌレート反応等に由来する副生成物の混在量が多くなると、生成物の物性に対する影響が大きくなるため、分子設計通りの物性を有するポリイソシアネート組成物を製造し難くなる。例えば、低粘度なポリイソシアネート組成物を分子設計した場合には、高分子量化が引き起こされ、予想された粘度よりも高い粘度のポリイソシアネート組成物が得られてしまう。したがって、アロファネート基の生成比率が高い条件ほど(副反応物の比率が低いほど)、好ましいこととなる。
また、本発明のポリイソシアネート組成物の製造方法を用いて製造したポリイソシアネート組成物は、得られる組成物の着色の程度が低いという特徴も有している。
更に、これらのアロファネート基を有するポリイソシアネート組成物とポリオールからなるコーティング組成物は、二液型ポリウレタン塗料、特に、ハイソリッド型や低極性有機溶剤可溶型の塗料、シーリング剤、接着剤、インキ、コーティング剤、注型材、エラストマー、フォーム、プラスチック原料、繊維処理剤等幅広い分野に応用することが出来る。
原料の一種であるイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(商品名「デュラネート50M」、旭化成(株)製)を用いた。
反応液におけるアロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比は、1H−NMR(Bruker社製FT−NMR DPX−400)を用いて、8.5ppm付近のアロファネート基の窒素原子に結合した水素のシグナルと、3.85ppm付近のイソシアヌレート基の窒素原子に隣接したメチレン基に結合した水素のシグナルの面積比から求めた。具体的な測定条件は以下のとおりである。測定温度:室温、試料濃度:10質量%、溶媒:重水素クロロホルム、積算回数:128回、待ち時間:3.0秒、化学シフト基準:テトラメチルシランの水素を0ppm。
反応液およびポリイソシアネート組成物の色は、JIS K 0071−1(1998)に記載の方法により調製した標準比色液に基づき測定した。具体的には、以下の方法で測定した。
ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム1.245gと塩化コバルト(II)六水和物1.000gを量り採り、濃塩酸100mlを加え溶解した。これを1000mlまで希釈し、標準比色原液を得た(これはハーゼン色数500に相当する)。これを、2ml、4ml、6ml、8ml、10ml、12ml、14ml、16ml、18ml、20ml取り、それぞれ100mlに薄めて、ハーゼン色数10、20、30、40、50、60、70、80、90、100のハーゼン標準比色液を得た。これを用いて、反応液の色度を目視で確認し、反応液あるいはポリイソシアネート組成物に最も近似した標準比色液の番号をもってハーゼン色数の値とした。
100r.p.m. (粘度:128mPa.s未満の場合)
50r.p.m. (粘度:128mPa.s〜256mPa.sの場合)
20r.p.m. (粘度:256mPa.s〜640mPa.sの場合)
10r.p.m, (粘度:640mPa.s〜1280mPa.sの場合)
5r.p.m. (粘度:1280mPa.s〜2560mPa.sの場合)
ポリイソシアネート組成物におけるNCO含有率は、イソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた四ッ口フラスコにヘキサメチレンジイソシアネート300.0gとイソブタノール20.4gを仕込み、攪拌下90℃で60分間ウレタン化反応を行った。温度を130℃に上げた後、アロファネート化触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%ミネラルスピリット溶液(日本化学産業株式会社製、商品名「ニッカオクチックスジルコニウム12%」をミネラルスピリットで希釈)を0.26g加え、アロファネート化反応を行った。60分後、反応液の屈折率上昇が0.008となった時点でピロリン酸の固形分50%イソブタノール溶液(片山化学工業株式会社製の試薬をイソブタノールで希釈)(水分量0.10%)を0.046g(アロファネート化触媒に対して2.0倍モル)加え、反応を停止した。白濁した反応液を1μmのフィルターで濾過したところ、反応液は透明になった。
得られた反応液の1H−NMR測定の結果、アロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比は、アロファネート基/イソシアヌレート基=97.1/2.9であった。反応液の色度は、ハーゼン色数 10であった。
流下式薄膜蒸留装置を用いて、1回目160℃(0.2Torr)、2回目150℃(0.1Torr)の条件で朱反応のヘキサメチレンジイソシアネートを除去した。
103.0gのポリイソシアネート組成物が得られた。ポリイソシアネート組成物は、ハーゼン色数 10の淡黄色透明の液体であり、粘度120mPa.s(25℃)、NCO含有率19.0%であった。ポリイソシアネート組成物中に残存するジルコニウム量を測定したところ、0.1ppm以下であった。
得られたポリイソシアネート組成物を50℃で1ヶ月保存したところ、NCO含有率は0.1%しか低下せず、粘度は10mPa.sしか上昇しなかった。
実施例1と同様の装置に、ヘキサメチレンジイソシアネート561.9gとイソブタノール38.1gを仕込み、攪拌下90℃で60分間ウレタン化反応を行った。温度を120℃に上げた後、アロファネート化触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%ミネラルスピリット溶液を0.28g加えた。60分後、反応液の屈折率上昇が0.008となった時点でリン酸の固形分85%水溶液(キシダ化学株式会社製の試薬)0.097g(アロファネート化触媒に対して6倍モル)を加え反応を停止した。白濁した反応液を1μmのフィルターで濾過した所、反応液は淡黄色透明溶液となった。
反応液の1H−NMR測定の結果、アロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比は、アロファネート基/イソシアヌレート基=97.3/2.7であった。
流下式薄膜蒸留装置を用いて、実施例1と同様の条件で、未反応のヘキサメチレンジイソシアネートを除去した。
得られたポリイソシアネート組成物は淡黄色透明の液体であり、収量202.8g、粘度130mPa.s、NCO含有率18.8%であった。
実施例1と同様の装置に、ヘキサメチレンジイソシアネート500gと2−エチルヘキサノール26.0gを仕込み、攪拌下90℃で60分間ウレタン化反応を行った。次いで、温度90℃にて、アロファネート化触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%ミネラルスピリット溶液を1.0g加えた。60分後、反応液の屈折率上昇が0.0035となった時点でリン酸2−エチルヘキシルエステル(大八化学株式会社製、商品名「DP−8R」)0.66g(アロファネート化触媒に対して4倍モル)を加え反応を停止した。
反応液の1H−NMR測定の結果、アロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比は、アロファネート基/イソシアヌレート基=96.5/3.5であった。
流下式薄膜蒸留装置を用いて、実施例1と同様の条件で、未反応のヘキサメチレンジイソシアネートを除去した。
得られたポリイソシアネート組成物は透明の液体であり、収量84.2g、粘度110mPa.s、NCO含有率17.6%であった。
実施例1と同様の装置に、ヘキサメチレンジイソシアネート600.0gとジエチレングリコール25.5gを仕込み、攪拌下130℃で70分間ウレタン化反応を行った。次いで、温度130℃にて、アロファネート化触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%ミネラルスピリット溶液を0.27g加えた。60分後、反応液の屈折率上昇が0.0065となった時点でリン酸の固形分85%水溶液0.096g(アロファネート化触媒に対して6倍モル)を加え反応を停止した。白濁した反応液を1μmのフィルターで濾過した所、反応液は淡黄色透明溶液になった。
反応液の1H−NMR測定の結果、アロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比は、アロファネート基/イソシアヌレート基=97.8/2.2であった。
流下式薄膜蒸留装置を用いて、実施例1と同様の条件で、未反応のヘキサメチレンジイソシアネートを除去した。
得られたポリイソシアネート組成物は淡黄色透明の液体であり、収量181.0g、粘度1450mPa.s、NCO含有率19.8%であった。ポリイソシアネート組成物中に残存するジルコニウム量は、64ppmであった。
ポリイソシアネート組成物を50℃で1ヶ月保存したところ、NCO含有率は0.3%しか低下せず、粘度は200mPa.sしか上昇しなかった。
実施例1と同様の装置に、ヘキサメチレンジイソシアネート100gとイソブタノール10.0gを仕込み、攪拌下90℃で60分間ウレタン化反応を行った。次いで、90℃にて、アロファネート化触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%ミネラルスピリット溶液を0.25g加えた。60分後、反応液の屈折率上昇が0.01となった時点でリン酸の固形分85%水溶液0.088g(アロファネート化触媒に対して6倍モル)を加え反応を停止した。白濁した反応液を、1μmのフィルターで濾過した所、反応液は淡黄色透明溶液になった。反応液の1H−NMR測定の結果、アロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比は、アロファネート基/イソシアヌレート基=95.5/4.5であった。精製は行わなかった。
実施例1と同様の装置に、ヘキサメチレンジイソシアネート100.0gとイソブタノール10.0gを仕込み、攪拌下85℃で60分間ウレタン化反応を行った。次いで、85℃にて、アロファネート化触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%ミネラルスピリット溶液を0.65g加えた。150分後、反応液の屈折率上昇が0.01となった時点でリン酸の固形分85%水溶液0.228g(アロファネート化触媒に対して5.9倍モル)を加え反応を停止した。白濁した反応液を1μmのフィルターで濾過した所、反応液は淡黄色透明溶液になった。反応液の1H−NMR測定の結果、アロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比は、アロファネート基/イソシアヌレート基=96.1/3.9であった。反応液の色度は、ハーゼン色数 10であった。
精製は行わなかった。
実施例1と同様の装置に、ヘキサメチレンジイソシアネート100.0gとイソブタノール10.0gを仕込み、攪拌下90℃で60分間ウレタン化反応を行った。温度を140℃に上げた後、アロファネート化触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの20%ミネラルスピリット溶液を0.033g加えた。60分後、反応液の屈折率上昇が0.01となった時点でリン酸の固形分85%水溶液0.011g(アロファネート化触媒に対して6倍モル)を加え反応を停止した。白濁した反応液を、1μmのフィルターで濾過した所、反応液は淡黄色透明溶液になった。反応液の1H−NMR測定の結果、アロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比は、アロファネート基/イソシアヌレート基=98.2/1.8であった。精製は行わなかった。
実施例1と同様の装置に、ヘキサメチレンジイソシアネート100.0gとイソブタノール10.0gを仕込み、攪拌下90℃で60分間ウレタン化反応を行った。次いで、90℃にて、アロファネート化触媒としてテトラ−n−プロポキシドジルコニウムの固形分20%1−ブタノール溶液(シグマアルドリッチジャパン(株)社製の試薬を1−ブタノールで希釈)を0.15g加えた。60分後、反応液の屈折率上昇が0.01となった時点でリン酸の固形分85%水溶液0.14g(アロファネート化触媒に対して4倍モル)を加え反応を停止した。反応液は白濁したが、1μmのフィルターで濾過した所、淡黄色透明溶液になった。反応液の色度は、ハーゼン色数 10であった。
反応液の1H−NMR測定の結果、アロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比は、アロファネート基/イソシアヌレート基=87.1/12.9であった。
精製は行わなかった。
実施例1と同様の装置に、ヘキサメチレンジイソシアネート100.0gとイソブタノール10.0gを仕込み、攪拌下90℃で60分間ウレタン化反応を行った。次いで、アロファネート化触媒としてナフテン酸ジルコニルの固形分20%ミネラルスピリット溶液(日本化学産業株式会社製、商品名「ナフテックスジルコニウム4%」をミネラルスピリットで希釈)を0.65g加えた。80分後、反応液の屈折率上昇が0.01となった時点でリン酸の固形分85%水溶液0.15g(アロファネート化触媒に対して4倍モル)を加え反応を停止した。反応液は白濁したが、1μmのフィルターで濾過した所、淡黄色透明溶液になった。
反応液の1H−NMR測定の結果、アロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比は、アロファネート基/イソシアヌレート基=95.7/4.3であった。反応液の色度は、ハーゼン色数 10であった。
精製は行わなかった。
実施例1と同様の装置に、ヘキサメチレンジイソシアネート600.0gとエチレングリコール14.8gを仕込み、攪拌下130℃で60分間ウレタン化反応を行った。次いで、アロファネート化触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%ミネラルスピリット溶液を0.68g加えた。60分後、反応液の屈折率上昇が0.0065となった時点でピロリン酸の固形分50%イソブタノール溶液0.12g(アロファネート化触媒に対して2.2倍モル)を加え反応を停止した。反応液は白濁したが、1μmのフィルターで濾過した所、淡黄色透明溶液になった。
反応液の1H−NMR測定の結果、アロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比は、アロファネート基/イソシアヌレート基=96.9/3.1であった。
流下式薄膜蒸留装置を用いて、実施例1と同様の条件で、未反応のヘキサメチレンジイソシアネートを除去した。
得られたポリイソシアネート組成物は淡黄色透明の液体であり、収量166.0g、粘度1800mPa.s、NCO含有率21.0%であった。ポリイソシアネート組成物中に残存するジルコニウム量は、5ppmであった。
ポリイソシアネート組成物を50℃で1ヶ月保存したところ、NCO含有率は0.2%しか低下せず、粘度は100mPa.sしか上昇しなかった。
(特許文献1の例5で用いられた触媒を用いた比較実験)
実施例1と同様の装置に、ヘキサメチレンジイソシアネート100gとイソブタノール10gを仕込み、攪拌下90℃で60分間ウレタン化反応を行った。次いで、90℃にて、アロファネート化触媒としてナフテン酸酸亜鉛の固形分20%ミネラルスピリット溶液を1.52g加えた。2時間30分反応したが、反応液の屈折率は、0.0028しか上昇しなかった。この時点でリン酸の固形分85%水溶液0.32g(アロファネート化触媒に対して4.2倍モル)を加え反応を停止した。
反応液の1H−NMR測定の結果、アロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比は、アロファネート基/イソシアヌレート基=44.5/55.5であった。反応液の色度は、ハーゼン色数 10であった。精製は、行わなかった。
実施例1と同様の装置に、ヘキサメチレンジイソシアネート100.0gとイソブタノール10.0gを仕込み、攪拌下90℃で60分間ウレタン化反応を行った。次いで、90℃にて、アロファネート化触媒として2−エチルヘキサン酸鉛の固形分20%ミネラルスピリット溶液(日本化学産業株式会社製、商品名「ニッカオクチックス鉛20%」をミネラルスピリットで希釈)を0.40g加えた。1時間後、反応液の屈折率上昇が0.01を超えた時点から急激な発熱が起こり、反応制御が困難になったため、リン酸2−エチルヘキシルエステル0.42g(アロファネート化触媒に対して4倍モル)を加え反応を停止した。屈折率の上昇は、0.0122まで進行した。
屈折率の上昇が0.01の時点での反応液の1H−NMRを測定した所、アロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比は、アロファネート基/イソシアヌレート基=97.0/3.0であった。屈折率の上昇が、0.0122の反応液の1H−NMRを測定した所、アロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比は、アロファネート基/イソシアヌレート基=91.0/9.0であった。この結果より、屈折率が0.01を超えた時点から、イソシアヌレート化反応が急激に起こっていることがわかった。
反応液の色度は、ハーゼン色数 10であった。
実施例1と同様の装置に、ヘキサメチレンジイソシアネート100gとイソブタノール10gを仕込み、攪拌下90℃で60分間ウレタン化反応を行った。90℃で、ジルコニウムアセチルアセトナートの固形分20%エタノール溶液(キシダ化学(株)をエタノールで固形分20%に溶解)を0.75g加えた。3時間反応したが、反応はほとんど進行しなかった(屈折率の上昇は、0.001であった)。この時点でリン酸の固形分85%水溶液0.23g(アロファネート化触媒に対して4倍モル)を加え反応を停止した。反応液は白濁したが、1μmのフィルターで濾過した所、淡黄色透明となった。
反応液の1H−NMR測定の結果、アロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比は、アロファネート基/イソシアヌレート基=7.3/92.7であった。反応液の色度は、ハーゼン色数 30であった。精製は、行わなかった。
実施例1と同様の装置に、ヘキサメチレンジイソシアネート100gとイソブタノール10gを仕込み、攪拌下90℃で60分間ウレタン化反応を行った。90℃で、アロファネート化触媒として2−エチルヘキサン酸亜鉛の固形分20%ミネラルスピリット溶液(日本化学産業株式会社製、商品名「ニッカオクチックス亜鉛18%」)を1.96g加えた。3時間反応した結果、反応液の屈折率は、0.004上昇した。この時点でリン酸2−エチルヘキシルエステル1.33g(アロファネート化触媒に対して4倍モル)を加え反応を停止した。
反応液の1H−NMRを測定した所、アロファネート基とイソシアヌレート基との生成モル比は、アロファネート基/イソシアヌレート基=59.9/40.1であった。反応液の色度は、ハーゼン色数 80であった。精製は、行わなかった。
また、本発明のポリイソシアネート組成物の製造方法を用いて製造したポリイソシアネート組成物は、着色の程度が低いという利点も有している。
さらに、本発明のポリイソシアネート組成物は、ジルコニウム含量を200ppm以下とすることで、貯蔵安定性を著しく改善することもできる。
更にまた、これらのアロファネート基を有するポリイソシアネート組成物とポリオールからなるコーティング組成物は、二液型ポリウレタン塗料、特に、ハイソリッド型や低極性有機溶剤可溶型の塗料、シーリング剤、接着剤、インキ、コーティング剤、注型材、エラストマー、フォーム、プラスチック原料、繊維処理剤等幅広い分野に応用可能である。
Claims (6)
- 脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、および脂肪族ジイソシアネートおよび脂環式ジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートから得られるイソシアネートプレポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のイソシアネート化合物と、水酸基を有する化合物とから、ウレタン化反応およびアロファネート化反応により、アロファネート基を有するポリイソシアネート組成物を製造する方法において、
式(1)で表されるジルコニル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を、アロファネート化反応の触媒として用いることを特徴とする、上記製造方法。
- アロファネート化反応を60〜160℃で行う、請求項1記載の製造方法。
- ジルコニル化合物がジルコニルカルボン酸塩である、請求項1または2記載の製造方法。
- 停止剤を用いてアロファネート化反応を停止させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 停止剤が少なくとも1種のリン酸酸性化合物である、請求項4記載の製造方法。
- リン酸酸性化合物が、水を実質的に含有しない、リン酸、ピロリン酸、メタリン酸およびポリリン酸から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項5記載の製造方法。
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