JP3889221B2 - Ito透明導電膜形成用塗布液および透明導電膜の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス、セラミックス等の基板上にITO透明導電膜を形成するのに適したディツプコーティング用塗布液および該塗布液を用いた透明導電膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子、エレクトロルミネッセンス表示素子等の表示素子類の電極や自動車、航空機、建築物等の窓ガラスの防曇、氷結防止のための発熱抵抗体および太陽光等の赤外線遮へい膜において、可視光に対して高透過率を有する透明導電性材料が使用されている。
【0003】
このような透明導電性材料として、酸化アンチモン−酸化錫系(ATO)や酸化インジウム−酸化錫系(ITO)等が知られており、これらの金属酸化物は、ガラス、セラミックス等の基板上に容易に皮膜を形成し、透明導電膜とすることが出来る。
透明導電膜の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、塗布法(ディツプコーティング法、スプレー法、スピンコーティング法)等があり、対象とする基板、目的とする膜物性に応じて選択されている。
【0004】
ディツプコーティング法によってITO透明導電膜を作製するための塗布液としては、金属の有機酸塩を有機溶媒に溶解させたものが多く用いられている。
また、無機金属塩を用いて塗布法により酸化インジウムの膜を形成する方法として、塩化インジウムに塩化スズを5mol%程度加えて水またはメタノールに溶解したものを使用する方法も公知であるが、一般に、塩化インジウムを使用した場合には、形成された膜が白濁する欠点が知られている。
この白濁を防止するために、スプレー溶液にフッ化水素酸を添加してフッ化インジウム系膜を形成する方法(特開昭51−75991号公報)や、無機塩として硝酸インジウムを用いる方法(特開昭55−51737号公報、特開昭63−9018号公報)が工夫されている。
【0005】
上記の特開昭63−9018号公報記載の方法では、膜の導電性を向上させるために添加するスズ原料として、「ハロゲン化スズたとえば塩化第二スズを用いた場合には、透明導電膜としたときに、塩化スズが蒸発したり、塩素が膜中に残って膜の導電性が悪くなり好ましくない」として、それ以外の有機スズ化合物を用いている。
【0006】
また、インジウムの無機塩含む溶液に有機アミノシランエステルを添加する方法が知られている(特開平6−96687号公報)が、この方法では、原料のアミノシランエステルに含まれる珪素が最終的に二酸化珪素として大量に残存してこの中に酸化インジウムの微粒子が分散して存在する透明膜となるため、体積抵抗率は最低で2×104 Ω・cmと非常に大きい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ディツプコーティング法またはスピンコーティング法等の塗布法は、平滑性の高い高品質の透明導電膜を与え、大面積化に対応できる方法として知られている。
これらの方法で酸化インジウム膜を形成する場合、その形成用原料としては、主に硝酸インジウムが用いられているが、硝酸インジウムの場合には、蒸発しにくい点では良いが、熱分解温度が高いので、優れた導電性が得られない。上記の特開昭55−51737号公報に記載された硝酸インジウムを原料とする方法では、1回の塗布の膜厚が最低で40nmの膜を数回塗布して抵抗を小さくすることが開示されているが、体積抵抗率は4.5×10-2Ω・cm程度と大きい。
【0008】
良好な透明導電膜を作製するためには酸化物形成反応が低温で進行することが望ましく、この点では塩化インジウムは好ましい。
塩化インジウムは蒸発しやすいために、スプレー法の原料として用いられてきた。この方法では、加熱したガラス基板に対して塩化インジウムを含む水溶液やアルコール溶液等を噴霧することによって、塩化インジウムが気化し、周囲に存在する酸素あるいは水蒸気と反応してガラス基板表面に酸化インジウム膜が生成する。
【0009】
しかしながら、加熱していないガラス基板に塩化インジウムを含む溶液を塗布して、その後に加熱しても通常は導電特性は得られない。また、塩化インジウムを主原料とした場合には通常の方法では酸化インジウム膜が白濁し、良好な薄膜の作製が困難であった。さらに、硝酸インジウムを含む溶液の場合には、基板との濡れ性にそれ程の問題はないが、塩化インジウムを含む水、アルコール溶液、または水−アルコール混合溶液はガラス基板との濡れ性が著しく悪く良好な導電特性が得られない欠点がある。
【0010】
このような経緯から、塩化インジウムは塗布法(ディツプコーティング法、スピンコーティング法等)用の原料として注目されていなかった。
本発明は、酸化物生成反応それ自体は比較的低温で進行する塩化インジウムを原料として用いて、体積抵抗率が10-3Ω・cmのオーダー以下、より好ましくは10-4Ω・cmのオーダー以下と非常に小さいITO透明導電膜をディツプコーティング法によって基体に形成することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、塩化インジウムを水、アルコール溶液、または水−アルコール混合液に溶解した塗布液によって形成された塗布膜は、酸素または水蒸気が存在する雰囲気で加熱した場合に、熱力学的には酸化インジウムが安定であるが、膜が厚い場合には酸化反応は膜の表面に限定され、膜内部では未反応の塩化インジウムが残存し、これが蒸発するので緻密な酸化膜が形成されないことが分かった。そして、膜の白濁の原因は膜が多孔質であることと、さらに膜を構成する粒子が光の波長と同程度なために光散乱を起こすことを確認した。
【0012】
そこで、これを解決する手段として、塗布液に界面活性剤を添加して基板とのなじみを改善し、1回のディツプコーティングで得られる膜を非常に薄くし、この薄い膜を焼成した場合に塩化インジウムの大部分が酸化物形成に使われるようにすることによって、未反応の塩化インジウムの蒸発による膜質低下が認められない導電性膜が得られることを見出し本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、塩化インジウムと塩化第1錫または塩化第2錫を水、アルコール、または水−アルコール混合液のいずれかに溶解させた塗布液にノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤から選ばれる界面活性剤を0.1〜10g/L添加したことを特徴とするディツプコーティング法によるITO透明導電膜形成用塗布液である。
界面活性剤としては、ノニオン(非イオン)系界面活性剤が好ましく、特にポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系は多層膜の体積抵抗率を小さくする上で好ましい界面活性剤である。
【0014】
また、本発明は、上記の塗布液を用い、ディツプコーティング法で基板に塗布した後焼成することによって1回のディツプコーティングで厚さ15nm以下のITO膜を基板に形成することを特徴とするITO透明導電膜の形成方法である。
【0015】
また、本発明は、上記の方法を2回以上繰り返して多層膜を形成することを特徴とするITO透明導電膜の形成方法である。
【0016】
本発明の方法によれば、基板への塗布液の濡れ性を改善し、かつ塩化インジウムの気化を防止することによって、良好な導電特性を得ることができる。本発明の方法で得られた比較的に厚い多層膜中に塩化インジウムの残存は認められない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のITO透明導電膜形成用塗布液および該透明導電膜の形成方法について詳細に説明する。
従来、塩化インジウム(InCl3 )、硝酸インジウム、硫酸インジウム等の無機インジウム化合物が塗布法に用いられているが、本発明の塗布液は塩化インジウムを用いる。塩化インジウムは、さらに結晶水を有しているものが好ましい。塩化インジウムは酸化物生成反応が比較的低温で進行する利点がある。
【0018】
無機錫化合物は、塩化第一錫(SnCl2 )、塩化第二錫(SnCl4 )、硫酸錫等が挙げられ、さらに、塩化インジウムと同様、結晶水を有しているものが好ましい。InCl3 にSnCl2 またはSnCl4 を加えた溶液は溶質中のスズ濃度が高くなるにつれて基板との濡れ性が良くなり、均一な塗布が可能となって導電性の膜が得られるようになるが、スズ濃度が低い場合は導電性の膜が得られない。
【0019】
導電性の膜を得るためのスズ濃度は添加する界面活性剤の種類によって異なるが、界面活性剤としてアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(商品名Kソフト等)を添加した塗布液の場合は、SnCl2 の場合、その量がSn/(In+Sn)で示す原子数比で10at%以上、SnCl4 の場合、その量がSn15at%以上であれば、導電性の膜が得られる。
【0020】
溶媒は、水、アルコール系としてメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられ、これらを単独若しくは混合して使用することが出来る。
【0021】
塗布液に添加する界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等を使用できる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアセチレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールアルキルアミン、アルキロールアマイド等が挙げられる。
【0022】
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレングリコールアルキルエーテルリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0023】
カチオン系、両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アミンオキサイド型等が挙げられる。上記の界面活性剤は1種または2種以上の組み合わせで使用する。
【0024】
界面活性剤の添加量は0.1〜10g/Lで、好ましくは0.2〜5g/Lである。0.1重量%未満では基板への濡れ性が向上しないため均一な膜が出来ず、溶質のSn含有量が少ない場合に導電性が発現しない。一方、10g/L以上使用しても効果の向上は期待できない。非イオン界面活性剤の場合は、導電性の膜が得られる添加濃度範囲が広く、それ以外の界面活性剤ではその領域が狭いか、溶質のSn含有量が少ない場合に導電性の膜が得られない。
【0025】
このようにして得られたITO透明導電膜形成用塗布液を用いて通常の方法で基板にディツプコーティングする。基板に塗布し、乾燥した後、焼成して透明導電膜を形成する。焼成は、はじめに空気中で焼成して酸化物膜を形成し、次に酸素分圧の低い雰囲気、すなわち真空中、不活性ガス(純窒素中、純アルゴン中)、あるいは不活性ガスに還元性ガス(水素、一酸化炭素等)を混合したガス中で焼成して酸化物膜をわずかに還元して導電性を向上させることが望ましい。焼成温度としては塗布液が分解する温度以上で、且つ、基板の変形温度以下であればよく、400〜700℃が好ましい。
【0026】
本発明のITO透明導電膜の形成方法において、1回のディツプコーティングで得られるITO膜厚は約15nm以下とすることが好ましく、そうすることにより基板に塗布された塩化インジウムの大部分が酸化物形成に使われ、塩化インジウムの蒸発による膜質低下がない。
【0027】
ディツプコーティング時の引き上げ速度が速いと厚い膜が得られる。1回のディツプコーティングで得られる膜厚を約15nm以下とするには、引き上げ速度を30cm/min以下とするとよい。
【0028】
重ね塗り、すなわち塗布と焼成を複数回反復する工程によって膜厚が増加すると、体積抵抗率が低下、すなわち膜質が向上する。例えば、本発明の塗布液を用いて塗布と空気中焼成を10回反復し、その後に水素を含む窒素ガス中で加熱処理をすると、体積抵抗率3×10-4Ω・cmの透明導電膜を得ることができる。これは、上記の特開昭55−51737号公報の実施例2に記載された多層膜の体積抵抗率に比べて約2桁も小さい抵抗率である。
【0029】
【実施例】
以下に、さらに具体的な実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
金属成分の合計が約0.1mol/L、金属成分中のスズ濃度が5at%となるように塩化インジウム(InCl3 ・3.5H2 O、高純度化学研究所、純度99.99%)、無機スズ化合物として塩化第一錫(SnCl2 ・2H2 O、高純度化学研究所、純度99.9%)をエタノール50mLに溶解し5時間攪拌した。
上記の塗布液にペポールBS−184(東邦化学工業(株)製 ポリアルキレングリコール系)を約2.5g/L%添加し、さらに混合、溶解させ、透明導電膜形成用塗布液を調製した。
【0030】
コーニング#7059ガラス基板を洗浄剤(フルウチ化学(株)セミコクリーン56)中で10分間超音波洗浄し、イオン交換水で数回洗浄した。その後沸騰アセトン中で10分間保持して引き上げ自然乾燥した。
上記の塗布液に洗浄したガラス基板を浸し、引き上げ速度30cm/minで引き上げた。その後箱形炉(大気中)で600℃、30分焼成し、更に管状炉(窒素中)で600℃まで10℃/minの速度で加熱し、そのまま1時間保持した。
【0031】
(実施例2)
無機スズ化合物として塩化第一錫(金属成分中のスズ濃度5at%)、界面活性剤としてソルボンT−80(東邦化学工業(株)製ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系)を3.6g/L用いた。他は実施例1と同様とした。
【0032】
(実施例3)
界面活性剤としてペグノールT−8(東邦化学工業(株)製ポリアルキレングリコールアルキルエーテル系)を6.2g/L用いた。他は実施例1と同様とした。
【0033】
(実施例4)
界面活性剤としてフォスファノールRD−72O(東邦化学工業(株)製ポリアルキレングリコールアルキルエーテルリン酸エステル塩系)を1.9g/L用いた。他は実施例1と同様とした。
【0034】
(実施例5)
ディツプコーティングを4回くり返した。他は実施例1と同様とした。
【0035】
(実施例6)
ディツプコーティングを10回くり返した。他は実施例1と同様とした。
【0036】
(実施例7)
ディツプコーティングを30回くり返した。他は実施例1と同様とした。
【0037】
(比較例1)
界面活性剤を使用しなかった。他は実施例1と同様とした。
【0038】
表1に、実施例1〜7、比較例1の結果を示す。膜の評価は、蛍光X線、抵抗(四探針法)、分光透過率によって実施した。界面活性剤を添加していない比較例1の場合、濡れ性が悪くガラス基板に均一な塗布ができなかった。界面活性剤を添加しない比較例では塗布溶液の複数回塗布はできなかったが、界面活性剤を添加した実施例5、6、7では多層膜を得ることができた。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例1〜4において、可視光透過率は420〜820nmの平均が約90%であり、ガラス基板と同程度であった。これは、膜厚が薄く(約15nm以下)吸収が少ないためと思われる。界面活性剤を少量(約0.7g/L以上)添加すると濡れ性が向上した。最も低い体積抵抗率を示したのはペポールBS−184を約2.54g/l添加した塗布液を用いた実施例1の場合で、窒素中焼成処理後の体積抵抗率は6.0×10-3Ω・cmであった。
【0041】
(実施例8)
実施例1の塗布液の界面活性剤の代わりにKソフト(主成分:アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム)を1.1g/L添加した。
上記の塗布液に洗浄したガラス基板を浸し、引き上げ速度10cm/minおよび28cm/minで引き上げた。その後、箱型炉(大気中)で約600℃、30分間焼成した。この塗布と焼成を4回繰り返した後に、管状炉(窒素中)で600℃まで10℃/minの速度で加熱し、そのまま1時間保持した。
【0042】
(実施例9)
実施例8の界面活性剤の代わりにソルボンT−80(東邦化学工業(株)製ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系)を3.6g/L添加した。他は実施例8と同様とした。
【0043】
図1に、実施例8(破線)および実施例9(実線)の膜厚の塗布回数依存性を示す。膜厚はおおむね塗布回数に比例し、またディツプコーティング時の引上げ速度が速いと厚い膜が得られた。
【0044】
図2に、実施例8(黒丸)および実施例9(白丸)の体積抵抗率の膜厚依存性を示す。塗布回数が増すにつれて、体積抵抗率は低下した。特に1層目と2層目との差が顕著であり、これは1層目では覆いきれていなかった基板を2層目で完全に被覆したため、より均一な膜となって大幅な導電性向上が見られたのだと思われる。
【0045】
多層膜にすることによって体積抵抗率が減少した理由としては、膜厚が増えるにつれて結晶性が向上することも考えられる。実施例8の場合、1層目では導電性の膜が得られていない。実施例9の場合には、1層(膜厚6〜15nm)で10-2Ω・cm台の膜が得られ、多層化により空気中焼成のみでも2×10-3Ω・cm程度のさらに低抵抗率の膜が得られた。
【0046】
最も低い抵抗値を示したのは実施例9において4層膜とした場合で、窒素中熱処理後の体積抵抗率は6.5×10-4Ω・cm(膜厚51.8nm、可視光透過率平均82.3%)であった。この値はディツプコーティング膜としては世界的にトップレベルの値である。図3に、実施例9で得られた膜の可視光透過率(420〜820nmの平均値)の膜厚依存性を示す。膜厚が増えるにつれて、可視光透過率平均は減少した。
【0047】
【発明の効果】
本発明の透明導電膜形成用塗布液を用いることにより、表示素子や発熱抵抗体等の透明電極あるいは赤外線遮蔽膜等の製造に好適な導電性と可視領域における光透過性に優れたITO透明導電膜を容易にかつ比較的安価にディツプコーティング法で得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例8および実施例9における膜厚の塗布回数依存性を示すグラフである。
【図2】図2は、実施例8および実施例9における体積抵抗率の膜厚依存性を示すグラフである。
【図3】図3は、実施例9における可視光透過率の膜厚依存性を示すグラフである。
Claims (4)
- 塩化インジウムと塩化第1錫または塩化第2錫を水、アルコール、または水−アルコール混合液のいずれかに溶解させた塗布液にノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤から選ばれる界面活性剤を0.1〜10g/L添加したことを特徴とするディツプコーティング法によるITO透明導電膜形成用塗布液。
- ノニオン系界面活性剤がポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系であることを特徴とする請求項1記載のITO透明導電膜形成用塗布液。
- 請求項1又は2のいずれかに記載の塗布液を用い、ディツプコーティング法で基板に塗布した後焼成することによって1回のディツプコーティングで厚さ15nm以下のITO膜を基板に形成することを特徴とするITO透明導電膜の形成方法。
- 請求項3記載の方法を2回以上繰り返して多層膜を形成することを特徴とするITO透明導電膜の形成方法。
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