JP3887149B2 - ストーカ炉及びそれによる焼却方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、都市ゴミや産業用廃棄物等の被焼却物の焼却に用いられるストーカ炉およびそれによる焼却方法に関し、特に主燃焼室における未燃ガスの量を低減するためのストーカ炉およびそれによる焼却方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、都市ゴミや産業用廃棄物等の被焼却物の焼却処理する焼却炉としては、下方に風箱を有する複数のストーカ段を有するストーカ炉が広く使用されている。このストーカ炉は、燃焼室の下部に、後方に下り傾斜する乾燥ストーカ、燃焼ストーカ及び後燃焼ストーカを前後方向に階段状に縦列配置し、乾燥ストーカの入口にゴミ供給口を設け、後燃焼ストーカの出口に灰出し口を設け、燃焼室の上に二次燃焼室を設けて構成される。
【0003】
この構成のストーカ炉では、ゴミ供給口から供給される被焼却物は、ゴミ供給口から順に乾燥段、燃焼段及び後燃焼段の各ストーカ段上を順次流れ、乾燥更に燃焼させられる。ゴミ供給口から乾燥段前部に供給された被焼却物は、乾燥段において下からの一次空気と炉内の輻射熱により乾燥される。特に都市ゴミの中には約50%の水分が含まれるため、この水分の蒸発と一部熱分解がこの乾燥段で行われる。その後、燃焼段は、供給される一次空気によりゴミに着火させ、揮発分および固定炭素分を燃焼させる。後燃焼段は、燃焼されずに通過してきた未燃分(主として固定炭素分)を完全に灰になるまで燃焼させる。また、燃焼室で生じた燃焼ガスは、二次空気と混合されて二次燃焼室に至り、そこで燃焼させられる。
【0004】
この各ストーカ段の下方には風箱が設けられており、この風箱内にブロワなどを使用して外気を導入し、火格子の冷却或いは被焼却物の燃焼用空気の目的で、各ストーカ段の火格子から酸化剤として一次空気を供給する構造になっている。この一次空気は、共通のブロアから、各ストーカ段の各風箱に一斉に導入される。また、二次燃焼室に対しても、主燃焼室で燃焼できなかった未燃ガスを完全燃焼させる目的で、酸化剤として外気が二次空気として供給されていた。
【0005】
近年、焼却炉からのダイオキシンの発生が問題となっており、その生成機構の詳細は明らかになっていないが、可燃性ガスの未燃分が減少することにより、ダイオキシンの生成も減少することが知られている。したがって、炉内を高温化して、可燃性ガスの未燃分が生じないように可燃性ガスの完全燃焼を目指すことがダイオキシンの低減につながる。そこで、ダイオキシンの抑制を目的として、炉内温度の上昇と排ガス量の低減を図るために、酸素或いは酸素富化空気を一次空気或いは二次空気として供給することが知られている。
【0006】
たとえば、特開平3−244913号の公報によれば、一次空気及び二次空気の全部又は一部として高濃度酸素および/またはオゾンを用い、二次燃焼室の排ガス温度および燃焼排ガス量を検出し、この高濃度酸素および/またはオゾンの供給量を調節することによって二次燃焼室の燃焼排ガスを高温にコントロ−ルすることが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術のように、火格子を用いたストーカ炉において、一次空気及び二次空気の一部又は全部として酸素或いは酸素富化空気を複数の風箱に均一に供給した場合、燃焼室を形成する火格子の全面から酸素或いは酸素富化空気が吹き出すことになる。そのため、空気比を絞ることが難しくなり、炉全体から排出される排ガス量が増加し、主燃焼室の温度の上昇が妨げられ、多くの未燃ガスが二次燃焼室に持ち込まれ、ダイオキシンの抑制が十分でないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、酸化剤として燃焼性の優れた酸素或いは酸素富化空気を、火格子上の特定の場所に供給することにより、主燃焼室の急速で高温の燃焼により、未燃ガスの発生を少なくできるストーカ炉及びそれによる焼却方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明に係るストーカ炉における第1の特徴は、ゴミ供給口より被焼却物が供給され、下方から酸化剤を供給する複数の火格子上を移動する間に前記被焼却物の乾燥・燃焼を行うストーカ炉において、前記火格子の特定の場所の前記被焼却物に対して、前記火格子の下又は上又は上下から酸素或いは酸素富化空気を供給する供給手段を設けたことである。この構成によると、酸素或いは酸素富化空気を火格子の特定の場所に供給するため、主燃焼室の燃焼領域の温度を上昇させ、二次燃焼室に至る未燃ガスの発生を少なくすることができる。
【0010】
ここで、ゴミ供給口より供給された被焼却物は、下から酸化剤である一次空気を供給する複数の火格子上を移動する間に、乾燥、熱分解、熱分解した後の可燃残渣の燃焼という過程を経て焼却される。一次空気中の酸素は、被焼却物が焼却される過程の中で、熱分解と熱分解した後の可燃残渣の燃焼が起こる領域で必要となる。また、熱分解過程の可燃性ガスの発生は、被焼却物の温度に依存し、300℃を越える領域で急に激しくなる。したがって、被焼却物が300℃を越える領域には可燃性ガスが多量に発生し、その領域に向かって酸素或いは酸素富化空気を供給することができれば、最も効果的に燃焼が行われ、排ガス量の低減と炉内温度の上昇を図ることができる。
【0011】
本発明に係るストーカ炉における第2の特徴は、前記火格子上の燃焼状態を監視し、前記被焼却物が熱分解する領域を検出する検出手段を設け、前記供給手段は前記検出手段が検出した領域に基づいて前記火格子の特定の場所の前記被焼却物に対して酸素或いは酸素富化空気を供給するものである。この構成によると、検出手段が被焼却物が熱分解する領域を検出し、この最も酸化剤が必要である領域に絞って、酸素或いは酸素富化空気を供給することにより、効果的に可燃性ガスを燃焼させることができる。
【0012】
本発明に係るストーカ炉における第3の特徴は、前記供給手段は、前記火格子上の主燃焼領域に向けて突設された、酸素或いは酸素富化空気の供給管を有してなるものである。この構成によると、供給管が火格子上の主燃焼領域に向けて突設されているため、可燃性ガスが発生して燃焼している部分に直接的に酸素或いは酸素富化空気を供給できる。
【0013】
本発明に係るストーカ炉における第4の特徴は、前記供給管は、その供給位置を前記主燃焼領域に対して調整自在に構成されているものである。この構成によると、可燃性ガスの発生量が最も多い主燃焼領域の変動に応じて、酸素或いは酸素富化空気の供給する位置を調整できる。
【0014】
本発明に係るストーカ炉における第5の特徴は、前記供給手段は、前記複数の火格子の下方に設けられた複数の風箱に設けられた酸素或いは酸素富化空気の供給管と、この供給管に設けられた供給量調整手段を有してなるものである。
この構成によると、各風箱に設けられた供給管からの酸素或いは酸素富化空気が供給量調整手段で調整され、被焼却物が熱分解する領域のなかで可燃性ガスの発生量が最も多い主燃焼領域周辺の風箱に絞り込んで、酸素或いは酸素富化空気を供給できる。また、酸素或いは酸素富化空気の供給管を火格子の下方に設けられた風箱に取り付けるため、供給管の耐久性を考慮する必要がなく、設備的にも比較的容易に設けることができる。
【0015】
本発明に係るストーカ炉による焼却方法における第1の特徴は、供給口より被焼却物が供給され、下方から酸化剤を供給する複数の火格子上を移動する間に前記被焼却物の乾燥・燃焼を行うストーカ炉による焼却方法であって、前記被焼却物が熱分解する主燃焼領域に対して、前記火格子の下又は上又は上下から酸素或いは酸素富化空気を供給するものである。
この構成によると、被焼却物が熱分解する主燃焼領域に対して、前記火格子の下又は上又は上下から酸素或いは酸素富化空気を供給するため、未燃ガスの発生を少なくし、排ガス量の低減と炉内温度の上昇を図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るストーカ炉の側面の断面を模式的に示す図である。
【0017】
図1において、ストーカ炉1は、ゴミ供給口2、プッシャ式のゴミ輸送機3が設けられ、それに続いて主燃焼室7が有り、その上部には二次燃焼室8が設けられ、排気管9へと続く構成である。ゴミ供給口2は開放型で、それに続くゴミ輸送機3により輸送速度が制御できるようになっている。
【0018】
主燃焼室7は、ゴミ供給口2から順に下方にストーカ段4,5,6が下り傾斜状に延びる階段状に設置されている。各ストーカ手段4,5,6は、ゴミ供給口2に最も近い方から、順次乾燥段4、燃焼段5および後燃焼段6の合計3段からなり、ゴミ供給口2から乾燥段4の前端部に供給された被焼却物は、乾燥段4、燃焼段5および後燃焼段6に順次輸送される。
この乾燥段4、燃焼段5および後燃焼段6は、いずれもその下方に2つの風箱4a,4b,5a,5b,6a,6aが直列に配置され、そこから一次空気が供給されるようになっている。
【0019】
各ストーカ段4,5,6は、可動と固定の火格子30を交互に設けてあるものであり、可動の火格子30を前後方向に往復駆動させることにより、ゴミ供給口2から供給された被焼却物を攪拌させつつ、乾燥段4、燃焼段5および後燃焼段6上を順次後方へ輸送できるようになっている。この各ストーカ段4、5、6による被焼却物の送り速度は、可動の火格子30の前後動速度により任意に制御できるようになっている。また、火格子30が燃焼により高温になりすぎる場合には、水冷火格子30が用いられる。
【0020】
また、主燃焼室上方には、酸素或いは酸素富化空気を供給する供給管12の一対が、火格子30上の主燃焼領域を前後方向に挟むように主燃焼領域に向けて突設されている。この供給管12が、火格子30の上から酸素或いは酸素富化空気を供給する供給手段を構成する。この供給管12から噴出する酸素或いは酸素富化空気は指向性があり、図示のように、燃焼段5で熱分解された可燃性ガスの燃焼領域に噴出するように供給管12が炉壁に固定されている。また、供給管12から噴出する酸素或いは酸素富化空気の量を主燃焼領域の燃焼の程度に応じて調整するコントロールバルブ13が供給管12に至る配管に設けられている。この供給管12は主燃焼領域に近接して配置されており、高温に晒されるため、耐久性を考慮して耐火物、セラミックなどの高温化の適応に耐える材料で形成された管、或いは水冷または空冷された金属の管を用いる。
【0021】
図3は、冷却可能な供給管12の先端構造を示す断面図である。図3(a)〜(d)において、高温域においても耐久性を維持するために、各供給管12は水冷又は空冷する流路17を持つ。未燃の可燃性ガスの発生量と温度などの条件によって、高速噴流に対応する直管18を有するもの(図3(a)参照)、テ−パ管19を有するもの(図3(b)参照)、或いは超音速又は亜音速に対応するラバ−ル状の管20を有するもの(図3(c)参照)を適宜選択して使用する。また、酸素或いは酸素富化空気を吹き込む管の先端は、図3(d)に示すように、中心線に開口する孔18aのみならず、側面から傾斜して開口する複数の孔18bを設けることでより好ましい効果が得られる場合がある。
【0022】
図1に戻り、二次燃焼室8では、二次空気が二次空気供給管14から供給される。この二次空気によって、燃焼段5および後燃焼段6における燃焼によって生じた燃焼ガスに含まれる未燃分を完全燃焼させた後、排ガスを排気口9から排出させる。
【0023】
次に、上述した構造のストーカによる被焼却物の焼却工程を図1に基づいて以下に説明する。ゴミ供給口2を経て乾燥段4の上に供給される都市ゴミなどの被焼却物は、風箱4a,4bから供給される一次空気によって乾燥される。次に、燃焼段5に押し出された被焼却物は、風箱5a,5bから供給される一次空気によって燃焼させられる。この燃焼段5では、可燃性ガスが大量に発生するため、主燃焼室内で酸化剤を最も必要としている主燃焼領域である。
【0024】
そこで、主燃焼領域に向かって突設された供給管12から、酸素或いは酸素富化空気を供給する。これにより、主燃焼領域の可燃性ガスの燃焼が促進され、高温化するとともに、可燃性ガスの未燃分が減少する。さらに、後燃焼段6においては燃焼されずに通過してきた未燃分を完全に灰になるまで燃焼させる。また、主燃焼室5の上部に二次燃焼室8を設け、燃焼段5及び後燃焼段6における燃焼によって生じる燃焼ガスに含まれる未燃分を二次燃焼室8において完全燃焼させる。
【0025】
このように、主燃焼領域から発生する可燃性ガスの発生領域に、直接的に酸素或いは酸素富化空気を吹き込むことの効果を実験的に検証した。可燃性ガスの一つであるメタン(CH4 )の予混合火炎における酸素濃度と断熱火炎温度および燃焼速度の影響を図5に示す。通常空気の酸素21%のときと比べて、酸素濃度30%の酸素富化空気にすることで断熱火炎温度は約200℃上昇し、燃焼速度は約2倍となる。つまり、酸素富化空気を利用することで燃焼は促進され、炉内が高温化することを示している。したがって、可燃性ガスが大量に発生する主燃焼領域に向けて突設された供給管から、酸素或いは酸素富化空気を直接的に供給することが高温燃焼に対して効果的であることが分かる。
【0026】
次に、図2により、他の実施の形態に係るストーカ炉101を説明する。図2は、発明に係るストーカ炉の側面の断面を模式的に示す図である。図1と異なる部分は、主燃焼室7上方に突設された酸素或いは酸素富化空気を供給する管12の吹き込み位置及び角度を自在に調整して、供給管12の先端位置を調整自在とする調整器15と、火格子30上の燃焼状態を監視し、被焼却物が熱分解する領域を検出するための検出装置(検出手段)16が設置されている点である。検出装置16により、供給管12の先端が主燃焼領域に対して適切な位置を自動的に保つ。その他の部分は、図1と同様であり、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0027】
火格子30の上方に焼却物が熱分解する領域を検出する検出手段としては、赤外線カメラなどのITVを使用して画像処理する方法やサ−モグラフィを使用するものがある。赤外線カメラの場合、炉内を撮影し、撮影された画像を流量調整のための信号を供給するコントローラ内で解析することにより、炉内の温度の最も高い部分又は範囲を特定する。同時に、前記コントローラから、その部分又は範囲に供給管12から供給する酸素富化空気濃度を高めるようにコントロールバルブ13の開き度を制御するとともに、その部分又は範囲に供給管12の先端が来るように調整器15を作動させる。これにより、主燃焼室の温度分布を検出して、酸素或いは酸素富化空気が効果的に利用される主燃焼領域に向かうように、供給管12の吹き出し量、吹き出し位置及び角度を調整して集中的に酸素或いは酸素富化空気を供給することができる。
【0028】
図1と同様に、ゴミ供給口2から乾燥段4の前端部に供給された被焼却物は、乾燥段4において、下方の風箱4a,4bから供給される一次空気によって乾燥される。その後、燃焼段5において、乾燥した被焼却物は完全に燃焼され、主燃焼室7の上部の二次燃焼室8において、燃焼段5における燃焼によって生じた燃焼ガスに含まれる未燃分を完全燃焼させた後、排気管9から排出させる。ここでは、火格子30上の燃焼状態を監視し、酸化剤である酸素或いは酸素富化空気を最も必要としている火格子30上の主燃焼領域に向けて、突設された酸素或いは酸素富化空気の供給管12の位置が調整自在に構成されている。そのため、主燃焼領域における燃焼が高温で効果的に行われ、排ガス量を少なくできる。
【0029】
次に、図4により、更に他の実施の形態に係るストーカ炉102を説明する。図4は、発明に係るストーカ炉の側面の断面を模式的に示す図である。図1と異なる部分は、火格子30上の主燃焼領域に向けて突設された酸素或いは酸素富化空気の供給管12がなく、主燃焼室上方に酸素或いは酸素富化空気を供給する複数の管23a〜23eが主燃焼領域を囲むように炉壁に等間隔を隔てて開口している点と、さらに風箱4a,4b,5a,5b,6a,6aにそれぞれ酸素或いは酸素富化空気の供給管21が取付けられている点である。なお、その他の部分は、図1と同様であり、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0030】
風箱4a〜6aの酸素或いは酸素富化空気の供給管21にはコントロールバルブ22が接続され、コントロールバルブ22はコントローラ28で制御される。炉壁の管23a〜23eに至る酸素或いは酸素富化空気の供給管26にはコントロールバルブ27が設けられ、供給管26は一次空気の供給管24にT状に接続され、この供給管24にコントロールバルブ25が接続されている。これらのコントロールバルブ25,27もコントローラ28で制御される。また、主燃焼室7の上方に位置する炉壁であって、二次燃焼室8の入口の前後位置に、主燃焼室7の燃焼状況を検出する検出装置(検出手段)16が設けられ、この検出装置16からの測定デ−タに基づいて、各風箱4a,4b,5a,5b,6a,6aに導入される酸素或いは酸素富化空気の供給量を調整したり、炉壁の各管23a〜23eから吹き出す一次空気に混入される酸素或いは酸素富化空気の供給量を調整する。コントロールバルブ22及び27とコントローラ28は、酸素或いは酸素富化空気の供給量の調整手段を構成する。
【0031】
ゴミ供給口2から乾燥段4の前端部に供給された被焼却物は、乾燥段4において、下方の風箱4a,4bから供給される一次空気と、管23aから供給される一次空気によって乾燥される。この乾燥段4は燃焼が始まっていないため、コントローラ28はコントロールバルブ22及び27を殆ど閉じており、酸素或いは酸素富化空気は混入されない。燃焼段5において、下方の風箱5a,5bから供給される一次空気と、管23b,23c,23dから供給される一次空気とによって乾燥された被焼却物はガス化して燃焼する。この燃焼状態を検出装置16が検出し、コントローラ28がコントロールバルブ22及び27を開き、乾燥段4に位置する風箱5a,5bと管23b,23c,23dから吹き出す一次空気に酸素或いは酸素富化空気を燃焼が激しい部分程多くなるように混入させる。これにより、主燃焼領域から発生する未燃ガスは更に高温で燃焼する。後燃焼段6において、燃焼されずに通過してきた未燃分(主として固定炭素分)を完全に灰になるまで燃焼させるが、この燃焼の程度を検出装置16が検出し、コントローラ28がコントロールバルブ22及び27を開き、後乾燥段6に位置する風箱6a,6bと管23eから吹き出す一次空気に適度の酸素或いは酸素富化空気を混入させ、未燃分の燃焼を促進させる。
【0032】
以上説明したように、火格子30の上方に設けられた検出装置16により検知された主燃焼領域周辺に効率よく供給できるように、主燃焼室7上方に設置された複数の管23a〜23e及び風箱4a,4b,5a,5b,6a,6aにそれぞれに設置された供給管21からの酸素或いは酸素富化空気の供給量をすべてコントロ−ラ28により制御している。
【0033】
ここで、主燃焼室7上方に設置された複数の管23a〜23e及び風箱4a,4b,5a,5b,6a,6aにそれぞれに設置された供給管21のいずれか一方のみを使用した場合にも、本発明と同様の効果を得ることができる。
【0034】
なお、発明の実施の形態は、上記実施の形態に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。
(1)図1,図2及び図4において、ストーカ炉として、ストーカ段が階段状に順次下がるタイプのものを説明したが、各ストーカ段が水平に配置されるタイプのストーカ炉であっても、本発明の装置及び方法が適用できる。
(2)図1,図2及び図4において、乾燥段4、燃焼段5及び後燃焼段6の風箱として、複数の風箱が配置されたストーカ炉が例示されているが、各段4,5,6に一つの風箱が配置されたタイプのストーカ炉であっても、本発明の装置及び方法が適用できる。また、燃焼段5と後乾燥段6が一体になったタイプのストーカ炉であっても、本発明の装置及び方法が適用できる。
(3)図1及び図2において、供給管12は主燃焼領域の前後に一対設けられるもので説明したが、主燃焼領域の前後のいずれか一方に供給管12を設けるものであってもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上、説明したように、前記第1の特徴を有するストーカ炉及び前記第1の特徴を有する燃焼方法によると、酸素或いは酸素富化空気を主燃焼領域の特定の場所に供給するため、炉内温度を上昇させることができ、主燃焼室において可燃性ガスの燃焼が促進され、排ガスの発生量を低減させることができる。これにより、二次燃焼室に持ち込まれる未燃ガスの量が減少するとともに、高温化するため、ダイオキシンの生成を有効に抑制することができる。
【0036】
前記第2〜5の特徴を有するストーカ炉によると、前記火格子上の燃焼状態を監視したり、酸素或いは酸素富化空気の供給量と供給位置を選択することにより、前記火格子30の特定の場所の前記被焼却物に対して酸素或いは酸素富化空気を集中的に供給することができる。これにより、被焼却物が熱分解する領域の酸化剤である酸素或いは酸素富化空気が最も必要である場所に絞って、酸素或いは酸素富化空気を供給することができ、さらに、供給するガス量を少なく抑えることで、主燃焼室の温度を上昇させ、効果的に可燃性ガスを燃焼させることができ、排ガスの発生量を低減することできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するストーカ炉の模式断面図である。
【図2】本発明を実施する他のストーカ炉の模式断面図である
【図3】図1及び図2で用いられる供給管の先端の断面を示す図である。
【図4】本発明を実施する更に他のストーカ炉の模式断面図である
【図5】火炎における酸素濃度と断熱火炎温度および燃焼速度の影響を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 ストーカ炉
2 ゴミ供給口
4 乾燥段
4a,4b 風箱
5 燃焼段
5a,5b 風箱
6 後燃焼段
6a,6b 風箱
7 主燃焼室
10 二次燃焼室
12 供給管(供給手段)
15 調整器
16 検出装置
21 供給管
22 コントロ−ルバルブ(供給量調整手段)
28 コントロ−ラ
30 火格子
Claims (5)
- ゴミ供給口より被焼却物が供給され、下方から酸化剤を供給する複数の火格子上を移動する間に前記被焼却物の乾燥・燃焼を行うストーカ炉において、
前記火格子の特定の場所の前記被焼却物に対して、前記火格子の上又は上下から酸素或いは酸素富化空気を供給する供給手段を設け、
前記供給手段は、前記火格子の上から前記火格子上の主燃焼領域に向けて突設され、且つ水冷又は空冷するための流路が設けられた、酸素或いは酸素富化空気の供給管を有していることを特徴とするストーカ炉。 - 前記火格子上の燃焼状態を監視し、前記被焼却物が熱分解する領域を検出する検出手段を設け、前記供給手段は前記検出手段が検出した領域に基づいて前記火格子の特定の場所の前記被焼却物に対して酸素或いは酸素富化空気を供給する請求項1に記載のストーカ炉。
- 前記供給管は、その供給位置を前記主燃焼領域に対して調整自在に構成されている請求項1または請求項2に記載のストーカ炉。
- 前記供給手段は、前記複数の火格子の下方に設けられた複数の風箱に設けられた酸素或いは酸素富化空気の供給管と、この供給管に設けられた供給量調整手段を有してなる請求項1〜3のいずれかに記載のストーカ炉。
- 供給口より被焼却物が供給され、下方から酸化剤を供給する複数の火格子上を移動する間に前記被焼却物の乾燥・燃焼を行うストーカ炉による焼却方法であって、
前記被焼却物が熱分解する主燃焼領域に対して、前記火格子上の主燃焼領域に向けて突設され、且つ水冷又は空冷するための流路が設けられた供給管により、前記火格子の上から酸素或いは酸素富化空気を供給することを特徴とするストーカ炉による焼却方法。
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