JP3887020B2 - アズレニルニトロンスピントラッピング剤、ならびにその製造方法および使用方法 - Google Patents

アズレニルニトロンスピントラッピング剤、ならびにその製造方法および使用方法 Download PDF

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Description

1.発明の分野
本発明は、色向性(クロモトロピック)のアズレニルニトロンスピントラッピング剤、これらの薬剤の製造方法、これらの薬剤を含む組成物、及びそれらを使用する方法に関する。具体的には、本発明のアズレニルニトロンはフリーラジカル種をトラップするとともに確認するために有効な薬剤であり、また、物理化学システム及び生物学システムで有効な酸化防止剤としての使用が見いだされている。
2.発明の背景
2.1.全体的な考察
スピントラッピング法は、非常に寿命が短く低濃度であるためにスペクトロスコピーで直接観察して検出することが困難であるかまたは不可能なフリーラジカルについての情報を蓄積する重要な方法である。今日までに二つのクラスのスピントラッピング剤が最大の注目を浴びており、即ちそれはニトロソ化合物とニトロンである。これらのうちでは後者の方が頻繁に、特に生物学システムで用いられている。
ニトロソ官能基を持っているスピントラッピング剤の応用で最も一般的に言われている欠点は、不安定性と毒性である。これらの望ましくない特徴のために研究者はしばしば、ニトロキサイドスピン付加体が通常、ニトロソをベースとするスピントラップで得られる付加体よりもESRからの構造情報がほとんど得られないという事実にもかかわらずニトロンスピントラップを選択する。さらにある炭素中心のラジカル(第3級アルキル及びアリール)が最も広く用いられているニトロンスピントラップ剤であるアルファ−フェニル−N−tert−ブチルニトロン(PBN)、ピリジンN−オキサイド−4−N−tert−ブチルニトロン(POBN)及びジメチルピロリンN−オキサイド(DMPO)に付加した付加体から得られるニトロキサイドは、それが本来不釣合いであるために、ニトロソ化合物にこのようなラジカルが付加した付加体から得られるものよりも持続性が小さい。
いくつかのグループが、同位体でラベルしたスピントラップの利用方法、または生物学システムにおいてニトロンスピントラップのフリーラジカル付加体を検出して単離し、そして特性を明らかにするために設計されたGC/MSまたはHPLC−連結型ESRスペクトル測定器を含む特殊な装置の応用方法について、さまざまな成功を伴って記述している。
2.2.フリーラジカルの検出及び特性付け
ニトロンは、反磁性のニトロン化合物(「スピントラップ」)が遷移状態のフリーラジカル種(「スピン」を持っている)と反応することにより比較的さらに安定なラジカル種(「スピン付加体」といわれる)となる場合にスピントラッピング剤として挙動する。このスピン付加体は、それが妥当な寿命を有していると、電子磁気共鳴(EPR)スペクトル測定器によって検出することができる。このようにこのスピンについての情報は、スピン付加体の構造及びスペクトル測定の特徴についての研究から収集することができる。例えば、グルタミンシンセターゼに向かう合成のベータ−アミロイドペプチドの毒性は、合成のベータ−アミロイドペルオキサイドとスピントラップPBNのそれぞれのバッチから形成されたスピン付加体によって発生するEPRシグナルの特徴と関連するはずである。Hensley, K.らのNeuroReport (1995) 6: 489-492参照。ベータ−アミロイドペプチドは、アルツハイマー病の病因で関与が過程されている神経毒性の物質である。
2.3.診断方法
低分子量のニトロキサイドは非免疫原性である。さらにそれらは通常、細胞透過性であり、いろいろな細胞区画の中に分配可能な非毒性で安定なフリーラジカルとして存在することができる。常磁性のニトロキサイドは電子常磁気共鳴(EPR)スペクトル検出器で検出可能であり、磁気共鳴イメージング(MRI)においてコントラスト試薬として用いることができる。Brasch, R. C.のRadiology (1983) 147:781、Keana, J. F.及びVan. N. F.のPhysiol. Chem. Phys. Med. NMR (1984) 16:477参照。ニトロキサイドはまた、細胞代謝、酸素レベル、細胞内のpH、タンパク質/脂肪流動性、及び膜構造を探索するための生物物理学上のマーカーとしても用いられている。したがってニトロキサイドは、患者の生理学上/医学上の状態や、入手されたサンプル、例えば生物液から得られるサンプルなどの生物物理学上の特徴を調べるための多くの診断方法で利用されていることも見いだされている。
2.4.スピントラッピング剤の治療上の応用
フリーラジカル及び酸化性の損傷は、脳のエージングや数種の神経変形性疾患で影響を与えている。Socci, D. J.らのBrain Research (1995) 693 (1-2): 88-91参照。スピントラッピング剤であるアルファ−N−tert−ブチルニトロン(PBN)と酸化防止剤であるアルファ−トコフェロール(ビタミンE)を含むある種の化合物を用いて成体ラットを長期にわたって処理すると、認識に基づく挙動における年齢に関連した変化に有益である(即ち、改善される)ことがわかった。
酸化防止剤の投与によってアテローム性動脈硬化症の進行で起こる障害形成の生長速度を強く抑えることができるという、インビトロ及びインビボでの証拠が増えつつある。低密度リポタンパク質(LDL)−受容体−欠陥ウサギ、コレステロール−給餌ウサギ及びコレステロール−給餌の非ヒトの霊長類などの数種の実験モデルに基づくと、数種の酸化防止剤が障害の進行速度を50〜80%減少させることが明らかになった。プロブコール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、N,N’−ジフェニルフェニレンジアミン及びビタミンEの有効性は、それぞれの酸化防止剤の能力に起因しており、またLDLが酸化して変形することがアテローム性動脈硬化症の進行にかかわるという問題にかかわる。Steinberg, D.のLancet (1995)346 (8966): 36-38参照。pH7及び20℃の水性溶液中におけるビタミンEの1−電子酸化電位(NHEに対する)は0.48Vである。PBN、POBN及びDMPOの酸化電位は、約1.5〜2.0Vの範囲内である。
さらにDowns, T. R.らは、Int'l J. Immunopharmacol. (1995) 17(7): 571-580において、単環性のニトロン酸化防止剤であるMDL101,002は臓器の機能不全を減少させ、またラットに投与されたリポ多糖類(LPS)によって誘導されるサイトカインの分泌を抑える。これらの著者はまた、LPS誘導性の肺浮腫、白血球減少症及び血小板減少症を抑制するといったMDL101,002の能力についてもテストした。彼らはMDL101,002が肺浮腫を抑制し、また血小板減少症は部分的に抑制するが、白血球減少症は抑制できないことを見いだした。これらの研究者はそれらの結果が、内毒素で誘導される臓器の機能不全及びショックが発生する際に酸素のフリーラジカルが果たす役割と一致していることを明らかにした。さらに彼らは、フリーラジカルの捕獲剤がフリーラジカルによって刺激されるサイトカインの分泌を減少させるため、臓器の機能不全で腐敗症が引き起こされた場合の死亡率を少なくとも部分的に減少させることが可能であることを示唆している。
2.4.1.アレルギー及び同種移植による拒絶反応におけるラジカル
アレルギー反応は超酸化物アニオンのような反応性の酸素種を発生し、それがアレルゲンの攻撃部位に炎症性の細胞の形成を引き起こし、そしてアレルギー性の炎症に関係する。この炎症が進むと、細胞または組織に損傷を引き起こす可能性がある。肺におけるアレルギー反応では、これらの進行によって血管の透過性の上昇も付随して起こり、気道の機能構造が変化する。Sanders S. P.らのAm. J. Respir. Crit. Care Med. (1995) 151: 1725-1733参照。このように、攻撃を受けた部位にスピントラッピング剤の投与を行うことによって、炎症反応を減少させるとともに、組織または細胞の損傷の減少を助けることができる。
これとは別に、酸素誘導性のフリーラジカルは同種移植片の拒絶/破壊が起こり、続いて単核細胞が移植片に侵入して症状が発現する際に細胞毒性として作用するのではないかと考えられる。したがってラジカル捕獲剤を投与することで同種移植片の拒絶反応の兆候を阻害したり、減少させたりできる。Roza. A. M.らのTransplantation Proceedings (1994) 26(2): 544-545参照。
酸化性の種が形成されたことについて目に見える信号を出す新しい薬剤は、皮膚テストまたは細胞の培養の際だけでなく、例えば特定の腎臓透析膜との患者の白血球の適合性を調べる際にも非常に有用である。インビトロでの比色分析法は大きな利用性があると考えられる。
2.5.この他の応用
PBNは、心臓血管疾患分野で、特に心臓への虚血−再潅流−仲介型障害の際に発生したフリーラジカルをトラップすることによって保護作用をもたらすことが示されている。例えば、Bolli, R.らのJ. Clin. Invest. (1988) 82: 476参照。実験動物の脳への同じタイプの障害で発生したフリーラジカルをトラップする利点も証明されている。例えば、Oliver, C. N.らのProc. Nat'l Acad. Sci. USA (1990) 87: 5144、Carney, J. M.らの同上文献(1991) 88: 3636、Floyd, R. A.のScience (1991) 254: 1597参照。タンパク質やDNAへの酸化性の損傷は、酸素のフリーラジカル中間体によって仲介され、それは鎖の破壊や塩基の変化を引き起こす。例えばグルタミンシンセターゼのような酵素も、酸化処理によって不活性化される可能性がある。このような損傷は、例えば脳の虚血/再潅流障害に陥った動物で観察できる。Floyd, R. A.及びCarneyのJ. M. Ann. Neurol. (1992) 32: S22-S27参照。
PBNが、コレステロールと低密度リポタンパク質(LDL)のトリグリセライドの酸化的変形を阻害するという証拠も得られている。LDLの酸化的変形は、脂質の過酸化反応及びフリーラジカル仲介型反応を伴っており、それはアテローム性動脈硬化症の開始を意味するプロセスである。例えば、Stcinberg, D.らのN. Engl. J. Med. (1989) 320: 915、Esterbauer, H.らのAnn. N. Y. Acad. Sci. (1989) 570: 254参照。
2.5.1.寿命の延長及び老化開始の遅延化
フリーラジカル及び酸化性損傷は、老化、老化がかかわる慢性で崩壊性の疾患、及び急性の臨床症状の根底にある原因として提唱されている。PBNを高齢の動物モデルに毎日腹腔内注入によって投与したところ、PBNが雄の集団でも雌の集団でも寿命を顕著に延長させることが示された。Packer, L.らの、Biochem. Biophys. Res. Commun. (1995) 211 (3): 847-849参照。これらの著者は、PBNが少なくとも病的な老化の開始を抑える予防的価値を持っているらしいと結論づけている。
Bruce N. Ames及び共同研究者は、the Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA (1995) 92: 4337-4341で公開された論文において、酸化性DNAの損傷がヒトの二倍体繊維芽細胞で複製停止に関わるという仮定についての支持を認めた。これらの研究者は、老化細胞、即ち限定された回数で個体群の複製を行った後の培養の生長が止まった細胞では、早期に通過する若い細胞よりも1日あたり4倍以上の8−オキソグアニンがDNAから摘出されることを見いだした。また、老化細胞のDNAに含まれる8−オキソ−2’−デオキシグアノシンのレベルは、若い細胞のDNAで見られるそれよりも約3倍多い。最も興味深いことに彼らは、PBNがおそらく酸化防止剤としてまたはスピントラッピング剤として作用し、老化の開始を効果的に遅らせたり老化細胞を若返らせたりすることを見いだした。
2.6.食品及び食物添加剤としての応用
2.6.1.脂肪の品質向上
多くの因子が脂肪の安定性や脂質酸化生成物の形成に影響を与える。不飽和度が大きかったり、加熱調理時間が長かったり、オイルが空気に大きく触れたり、また痕跡量の金属含有量が多くなったりすると、これらはすべて酸化安定性を減少させることにつながると考えられる。加熱調理用オイルにシリコン類が存在すると、いまだに解明されていない機構でオイルの安定性が上昇すると考えられる。公表されたデータは、ある種の活性な吸着剤を通過させてオイルを濾過することで着色した物質、遊離脂肪酸及び他の酸化生成物が除去されるため、実際の加熱利用の際のオイルの有用な加熱調理時間を長くできることを示している。
通常過酸化物は約150℃で分解する。したがって加熱調理温度で過酸化物の蓄積は起こらない。過酸化物価は、脂肪または製品の貯蔵のために用いられるように、通常は低温で脂質の酸化を測定している。保存期間と過酸化物価との間の関係は、その後品質を測定するために用いることができる。
Schallのオーブンテストは単に、少量の脂肪をビーカーに入れる段階、及びサンプルが酸化するように60℃で標準化された条件のオーブンにそれを配置する段階が関与している。続いてサンプルを採取し、それについて過酸化物価を測定する。加熱調理用オイルの品質をチェックするのに有用な多くの他のテストがあり、それらはすべて、用いた脂肪に何かを施した場合、即ち活性なフィルターでそれを濾過するか、それを捨てるか、またはそれをほとんど腐敗していない脂肪で希釈するかのいずれかを行った場合にオペレーターに告知することを意味する。加熱用オイルの品質をチェックするために用いられるいくつかのテストは、ケン化カラーインデックス法、2,6−ジクロロインドールフェノール呈色試験法、メチレンブルー呈色試験法、及びヨウ素の比色法である。これらのテストは、脂肪が悪くなってしまった場合で高品質の食製品をそれ以上作り出すことができないことを真偽は疑わしいが決定する。例えば、E. Merckから入手できるRauテストは、比色テスト用キットであり、それはサンプル内に含まれる全部の酸化された化合物と反応する還元性の指示剤を含んでいる。それは4種のカラースケールを持っていて、脂肪の質の診断に用いられる。この4種のカラースケールは悪いオイルを示し、そのオイルは捨てるべきである。これら全てのテストは信頼性が異なり、必要以上に行うことは面倒である。
2.6.2.ガソリンの保存及び酸化防止剤
驚くべきことに、芝刈り機、トレールバイク、船外モーター付きボート、または同様の頻繁に用いられるガソリンエンジンを始動させる際の困難性は、「粗悪な」石油によって引き起こされる。石油は、食品中や人体のオイルと同様に自動酸化が起こる。ガソリンが長期間(例えば、数カ月またはそれ以上)放置されると、その燃料の不飽和化合物と酸素が反応することによってガムが形成される。BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールとしても知られている。)は、ガソリンの安定性に対する軍隊の要求に合うようにアメリカ合衆国政府が認可したガソリン添加物である。2分の1ポンドのBHTが1,100ガロンのガソリンに添加することで、そのガソリンがモハーヴェ砂漠の十分な日差しの下で2年もの間、計量された(標準のゴム製ウォッシャーを用いて)5−ガロン缶に保存された場合にガムが形成されるのを抑制し、それは保護されていないガソリンではほんの数カ月しかない保存寿命に比べられる。軍隊の使用で現在推奨されている量は、1,100ガロンのガソリンに対して1ポンドのBHTである。より長く保存する場合では、BHTだけで燃料の損傷を防ぐには十分ではないかもしれない。
同様の老化機構によって影響を受ける燃料以外の物質には、プラスチック、ゴム、塗料、アスファルト、屋根板、オイル及び潤滑油が挙げられる。
したがって、分析的な応用、防腐的な応用、診断上の応用、予防上の応用及び治療上の応用など幅広い範囲で潜在的に有用なフリーラジカルトラッピング活性や酸化防止活性を示す、新規で効果的な物質を発見する継続的な必要性が存在している。
3.発明の概要
したがって本発明は、資源に富んだセスキテルペンまたはそれらの合成アナログから効率的に合成することのできる新規なクラスのニトロンスピントラッピング剤、即ちアズレニルニトロン類を提供する。本発明のアズレニルニトロン類は、特徴的に着色されていて高度に視覚的な反磁性の(及び常磁性の)スピン付加体を得ることによってフリーラジカルに印を付けるという先例のない能力を有する。例えば、1−シアノシクロヘキシルラジカル(対応するアゾ化合物をトルエン中で熱分解することによって生じる)をアズレニルニトロン1(下記のNu=OEt)を用いてスピントラッピングを行うと、紫色の二重スピン付加体(二つの1−シアノシクロヘキシルラジカルのニトロン部分への1,3−付加を経る)を生成する。この二重スピン付加体は、その特徴的な可視の発色団の効力によって、容易に検出及び精製が行われる。
本発明のニトロンが中間体のニトロキサイドスピン付加体(それは対象のラジカルユニットにまだ共有結合している)の一般的に形成される反磁性の分解生成物に変換するのに付随して起こる明白な緑色から紫色への色向性(chromotropism)により、フリーラジカル残基を追跡する場合において、特に結合、不均化または還元のいずれかを経て常磁性のニトロキサイドスピン付加体がすばやく消滅することが関与するような頻繁に起こるケースにおいて、有用なニトロンとなる。
鮮明な色向性(緑色から赤色へ)も、コーンオイル中でアズレニルニトロンを用いて行った酸素の存在で進行する脂質の過酸化反応の研究で観察されており、そのことから、脂質における酸化性ストレスの指標として、または酸化による崩壊を受けやすいこのような脂質や他の組成物、即ち他の食料品や燃料などに含まれる保存剤としての、これらの新規なニトロンの潜在的な応用性が指摘される。本発明のアズレニルニトロンはまた、生物システムにおける反応性のフリーラジカルまたは酸化性の進行によって一般的に引き起こされる病的状態の宿主を緩和するためにも有効である。
したがって本発明の目的は、次の一般式で表される化合物またはそれらの塩を提供することにある:
Figure 0003887020
式中、R1は、水素、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、または6〜10個の炭素原子を含むアリール基であってもよく、R2は、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、または6〜10個の炭素原子を含むアリール基であってもよく、R3は、水素、または1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基であってもよく、R4は、水素、または1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基であってもよく、R’は、1〜6個の炭素原子を含む直線状または分枝状のアルキル基であってもよく、Wは、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、6〜10個の炭素原子を含むアリール基、または電子吸引性基であってもよく、nは、0、1、または2(nが2である場合、それぞれのWは互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、mは、0、1、2、または3(mが2または3である場合、それぞれのR’は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、oは、1または2(oが2である場合、それぞれのR1及びR2は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、pは、0、1、または2(pが2である場合、それぞれのR3及びR4は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよい。
本発明の特殊な態様では、化合物は、oが1、pが0、nが1、mが1もしくは2、であるか、または置換基R1、R3及びR4がすべて水素であるか、または少なくとも一つのR’がメチル基、エチル基、またはイソプロピル基であるか、または置換基R2がtert−ブチル基であるように企図される。特に興味のもたれる化合物では、Wが電子吸引性基である。
他の態様では、対象の化合物は、置換基Wがアズレン環の3位に結合しているとき、置換基(CR3=CR4pC(R1)=N+(R2)O-が1位に結合している。さらに他の態様では、mが2であって置換基R’が4位と7位に結合している。さらに、置換基Wは、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、ケトン基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アルデヒド基、リン酸基、リン酸エステル基、スルホキサイド基、スルホン基、またはそれらの塩であってもよい。好ましい場合では、Wは、カルボン酸基、スルホン酸基、もしくはそれらの塩類、またはトリフルオロアセチル基である。
立体化学の点から見ると、一般式のR3及びR4基は、一般式のR1及びR2基と同様、互いにcis形であってもtrans形であってもよい。好ましくはR3及びR4基は互いにtrans形であって、R1及びR2基は互いにcis形である。一般式のR5及びR6基は互いにcis形であってもtrans形であってもよいが、好ましくは互いにtrans形である。
好ましい特定の化合物には、2−メチル[1−(3−カルボン酸−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド、2−メチル[1−(3−カルボエトキシ−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド、2−メチル[1−(3−スルホン酸−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド、2−メチル[1−(3−メチルスルホニル−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド、1,3−ビス(2−メチル−2−プロパンアミンN−オキサイド)アズレニルジメチレン、及び1,3−ビス(2−メチル−2−プロパンアミンN−オキサイド)−7−イソプロピル−4−メチルアズレニルジメチレンが含まれる。本発明のそれぞれの化合物には、適切な形として、その酸、エステル、アミド、塩、または結晶形が含まれる。
また本発明はさまざまな方法が考えられ、それはこれらに限定するわけではないが、本発明の化合物を提供する段階、及び該化合物を反応性のフリーラジカルと結合させてそのフリーラジカルと化合物とを含む付加体を形成できるようにする段階を含む、反応性のフリーラジカルをトラップする方法、また、本発明の化合物を媒体と結合または接触させる段階、及び得られた混合物中に付加体またはその最終生成物が存在するのを検出する段階を含む、媒体中の酸化生成物を検出する方法、また、有効量の本発明の化合物をこれを必要としている患者に投与する段階を含む、反応性のフリーラジカルによって仲介されるか開始される病的状態の不快な症状を緩和する方法などがある。更に他の方法は、これらに限定するわけではないが、虚血性障害、再潅流障害、外傷(特に頭部や脳の外傷)、急性呼吸困難症候群、神経学上の(特に大脳の)疾患、アルツハイマー病、脳血管障害(ストローク)、パーキンソン病、ハンチントン病、ルーゲーリッグ病、ウイルソン病、エージング、老化、アポトーシス、炎症などの不快な症状を緩和したり、改善したり、治療したり、抑制したり、支配したり、または阻害したりする方法である。
本発明はさらに、本発明の化合物と適当な担体とを含む組成物、特に、薬学上の応用性、皮膚科学上の応用性、化粧品への応用性、または産業上の応用性を備えた組成物も企図している。
本発明は更に、アズレニルニトロンとフリーラジカルとの組み合せ生成物を含むスピン付加体に関することも明らかである。
同様に本発明の目的はまた、アズレニルニトロンを合成する方法を提供することにもあり、それは、(a)アズレンを得る段階、(b)該アズレンのニトロン基を有するための位置にアシル基を導入する段階、(c)該アシル基をニトロン基と置換してアズレニルニトロンを得る段階を含む。
本発明のアズレニルニトロンを用いる組成物及び方法などの本発明の他の目的は、本明細書に記載されている詳細な説明を考慮することにより当業者には明らかであると思われる。
【図面の簡単な説明】
図1は、アズレニルニトロン1(Nu=OEt)とAMVNアズレニルニトロン、化合物1の熱分解で誘導されたフリーラジカルとの結合によって形成されたニトロキサイドスピン付加体によって発生した3本のESRシグナルを示す。
5.好ましい態様の詳細な説明
本明細書では、アズレン及び資源として豊富にあるセスキテルペンのグアイアズレンなどのアズレンの誘導体から簡単に得られる新規なニトロンスピントラッピング剤、例えば1(Nu=OEt)を用いてニトロンのフリーラジカル付加体を検出し、単離し、さらに分析するための新規で簡単な比色法について報告する。
Figure 0003887020
本発明のアズレニルニトロンを用いるスピントラッピングに関して特に重要なことは、特徴的に着色されて、高度に可視的な反磁性の(及び常磁性の)スピン付加体を得ることによってフリーラジカルに印を付けることのできるそれらの能力である。したがって、例えば1(Nu=OEt)のようなニトロン、または本明細書で考えられる他のニトロンのいずれかは、仲介を意味して、現在用いられているESR検出/単離法がうまくできないような状況でフリーラジカルの同定法を確立できる可能性が提供される。
ほとんどのフリーラジカルよりも分解されにくいと考えられるにもかかわらず、ニトロキサイドは、結合、不均化、及び酸化/還元による通常のフリーラジカル破壊段階にほとんどかかることなく反磁性の生成物が得られる。従来のスピントラッピング実験における反磁性のスピン付加体の急速な形成は、一旦このような生成物が便利なニトロンスピントラッピングを用いる生物学上のシステムで形成されるために、重大な障害物を構成する好ましくない事象であり、それらは莫大な数の種々の反磁性分子のまっただ中に入って失われる。
複合混合物中の反磁性スピン付加体を容易に見つける能力により、しばしば遭遇する技術的困難性に直面する別法が提供されるが、その一方で、反磁性体に崩壊する前に従来のニトロンスピントラッピングで得られるニトロキサイドを単離する試みがおこなわれている。本発明の化合物を用いるスピントラッピングでは、結合、不均化または還元によってニトロキサイドから生じる反磁性のスピン付加体の持つ特徴的な発色団は、アズレニルニトロンの発色団とは決定的に異なっているものの、実際には最初に形成されたESR検出可能なニトロキサイドスピン付加体の発色団と同じである。したがってこの特徴的な発色団は、ニトロキサイドの寿命に影響を受け易い反応混合物からこれらの常磁性体をすばやく精製(および次の構造決定)しなくてはならない。
ニトロキサイドはそれら自体が可視の発色団を持っているが、それらの特徴的な赤色は、460nm付近を中心とする非常にゆっくりとした減衰係数の吸収によるものである。例えば、ヘキサン中におけるジ−t−ブチルニトロキサイドの可視吸収スペクトルは、465nmでlog e=0.95の最大値を示す。本明細書に記載した反磁性のアズレン含有スピン付加体の色になる吸収の減衰係数は、10倍から100倍大きくなる。Smith, P. A. S. Open-Chain Nitrogen Compounds, W. A. Benjamin. Inc., New York. 1965. Vol. 2. p. 105、およびニトロキサイドの吸収スペクトルに対するさらなる記載についてはそこで引用されている参考文献を参照のこと。
5.1.アズレニルニトロンの合成
本発明のアズレニルニトロンは、種々の入手可能な出発物質より容易に合成される。例えばアズレニルニトロン1(Nu=OEt)は、安定な緑色の固体(mp43〜45℃)であり、それはグアイアズレンから三段階(下記のスキームI参照)で簡単に合成される。Treibs, W.らのChem. Ber. (1959) 92: 2152に記載された方法にしたがって、グアイアズレンをオキサリルブロマイドとエーテル中で室温にて触れさせることによってアシルブロマイド2が得られ、それを直接EtOHを用いてエステル化することによって紫色のエチルエステル3が80%の収率で合成できる。Takase(Amemiya, TらのChem. Lett. (1977) 587参照)の方法の変形法で、3を2等量のDDQを用いて水性のアセトニトリル中、室温で酸化反応を行うことによって赤色のアルデヒド4が74%の収率で得られる。
4をN−tertブチルヒドロキシルアミン塩酸とピリジン中、95℃で縮合させることによって1(Nu=OEt)がほとんど定量的な収率で得られる。1(Nu=OEt)についてのスペクトルデータは、以下の通りである:
1H NMR(300MHz, CDCl3):9.74(s, 1H), 8.36(s, 1H), 8.17(s, 1H), 7.54(d, J=11Hz, 1H), 7.43(d, J=11Hz, 1H), 4.37(q, J=7Hz, 2H), 3.17(m, 1H), 2.97(s, 3H), 1.71(s, 9H), and 1.38-1.43(m, 9H). 13C NMR(75.4MHz, CDCl3):167.2, 148.7, 145.8, 141.3, 141.0, 137.7, 136.8, 132.7, 132.5, 123.0, 120.7, 117.1, 69.6, 60.8, 38.3, 28.4, 27.9, 24.4, and 14.4. IR(neat):3135, 2965, 2930, 2905, 2870, 1715, 1580, 1560, 1460, 1335, 13()0, 1245, 1195, 1150, 1105, 1040, 920cm-1. UV-VIS max(hexane):313nm(ε=26,071), 358(15,526), 417(8,390), and 588(532). Exact Mass(FABMS, NBA);Calculated for C22H30NO3(M++1):356.2226. Found:356.2230.
Figure 0003887020
5.1.1.ビス−ニトロニルアズレンの合成
ビス−ニトロンも本発明の方法で容易に合成される。具体的には、ビス−ニトロニルアズレン34は水溶性でダークグリーンの結晶性物質(mp211〜212℃)であり、ビス−アルデヒドの1,3−アズレンジカルボキシアルデヒドから容易に合成される。このビス−アルデヒドは、Hafner, K.及びBernhard, C.の、Annalen (1959) 625: 108の方法に従って合成される。ビス−ニトロンは次のように合成される。
Figure 0003887020
1,3−アズレンジカルボキシアルデヒド(600mg)を6.5mlのピリジン中に溶解する。硫酸マグネシウム(1200mg)とN−tert−ブチルヒドロキシルアミン塩酸(1638mg)をその溶液に添加する。その混合物を窒素気流下、95℃に攪拌しつつ加熱し、13時間攪拌する。室温に冷却してからその反応混合物を60mlのCHCl3及び60mlの飽和水性NaHCO3を入れた分液ロートに注入する。その水層を分離して30mlのCHCl3で3回洗浄する。結合した有機層を無水MgSO4上で乾燥させ、濾過してからエバポレートすることによってビス−ニトロン34(940mg、収率89%)がダークグリーンの結晶として得られる。SCEに対する酸化電位は0.72Vに等しい。
1H NMR(CDCl3):10.35(s, 1H), 8.65(d, 2H, J=10Hz)8.11(s, 2H), 7.68(t, 1H, J=10Hz), 7.32(t, 2H, J=10Hz), 1.67(s, 18H). 13C NMR(CDCl3):139.9, 135.0, 134.2, 125.8, 125.6, 123.2, 120.5, 69.8, 28.4. IR(thin film):3052, 2972, 1644, 1564, 1452, 1404, 1356, 1261, 1196, 1124, 1052, and 892cm-1.
5.1.2.複合化アズレニルニトロンの合成
電子的に複合化するようにカップリングしているアズレニルニトロンは酸化電位が減少しており、そのためより反応性のスピントラッピング剤を形成する。電子的に複合化したアズレニルニトロンは複合化したアズレニル鎖より合成する。複合化したアズレン鎖は、前に戻って種々の方法で合成されているアズレンカルボキシアルデヒドをカップリングすることによって形成する。ビス−アルデヒドはセクション5.1.1.において記載したとおりに合成する。一個のアルデヒド置換基を有するアズレンも同様に合成する。
例えば、グアイアズレンはオキシ塩化リン(POCl3)を用いて過剰のジメチルホルムアミド中で処理することによってそのアルデヒドに変換され、グアイアズレンカルボキシアルデヒドが生成される。グアイアズレンカルボキシアルデヒドは、三塩化チタンを用いて処理することによってアルケン−リンクの複合化された不飽和システムに高い収率で二量化する。このカップルの生成物はDDQで処理し、続いて硫酸マグネシウムとN−tert−ブチルヒドロキシルアミン塩酸を用いてセクション5.1.において記載したように処理することによって、1,2−ビス(アズレニルニトロン)エチレンが生成される。一般式は次のとおりである。
Figure 0003887020
式中、sは0またはそれより大きく、好ましくは1、2、3、4、5、または100までである。二量体を合成できること、また3個、4個、5個、もしくはより多くのアズレニルユニットを持つポリマーを本発明で開示した方法によって合成できることは当業者には明らかであると思われる。
本明細書中の方法を用いてたくさんのアズレニルニトロンを合成することができる。したがって、次に表示する化合物、即ちそれらの塩(特に、それらのアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、またはそれらの酢酸付加塩及び塩酸付加塩)も含む化合物が、本発明の方法によって得られる。
2−メチル[1−(3−カルボエトキシ−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド、これはIUPAC名が(Z)−3−[[(1,1−ジメチルエチル)オキシドイミノ]メチル]−8−メチル−5−(1−メチルエチル)−1−アズレンカルボン酸,エチルエステル(CAS登録番号第174355−72−7)
2−メチル[1−(3−ジメチルアミド−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
2−メチル[1−(3−ホルミル−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
2−メチル[1−(3−カルボン酸−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド,ナトリウム塩
2−メチル[1−(3−トリフルオロアセチル−7−イソプロペニル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
2−メチル[1−(3−アシル−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド,スペルミン複合体
2−メチル[1−(3−ジエチルアミド−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
2−メチル[1−(3−アシル−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド,N−メチル(D)グルタミン複合体
2−メチル[1−(3−オクタデシルアミド−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
10 2−メチル[1−(3−アシル−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド,スフィンゴシン複合体
11 2−メチル[1−(3−アシル−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド,ポリリジン複合体
12 2−メチル[1−(3−アシル−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド,(dG)10複合体
13 2−メチル[1−(3−アシル−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド,抗ウシIgG(マウス)mAB複合体
14 2−メチル[1−(3−アシル−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド,N−(3−アミノプロピル)−9アクリジンアミン複合体
15 2−メチル[1−(3−アシル−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド,ヒストンタイプII−AS複合体
16 2−メチル[1−(3−N−t−ブチルニトロニル)−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
17 2−メチル[1−(7−イソプロペニル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
18 2−メチル[1−アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
19 2−メチル[6−アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
20 2−メチル[4−アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
21 2−メチル[4−(1−メチル−7−イソプロピル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
22 2−メチル[6−(1,4−ジメチル−7−イソプロピル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
23 2−メチル[1−(3−カルボエトキシ−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
24 2−メチル[1−(3−シアノ−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
25 2−メチル[1−(3−メチルスルホニル−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
26 2−メチル[1−(3−スルホン酸−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド,ナトリウム塩
27 2−メチル[1−(3−ジメチルホスホナト−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
28 2−メチル[1−(3−ホスホンジオキシ−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド,二ナトリウム塩
29 2−メチル[1−(3−ニトロ−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
30 2−メチル[1−(3−カルボエトキシ−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルプロペニレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
31 2−メチル[1−(7−アセチル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
32 [1−(3−カルボエトキシ−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]ベンゼンアミンN−オキサイド
33 2−メチル[1−(7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルメチレン]−2−プロパンアミンN−オキサイド
34 1,3−ビス(2−メチル−2−プロパンアミンN−オキサイド)アズレニルジメチレン
35 1,2−ビス(アズレニルニトロン)エチレン
確かに、他のアズレニルニトロン、特に種々の金属塩、アンモニウム塩、または酸の付加塩は、上記に特別には列挙されていないが、それらは本開示の観点から見て当業者には明らかであると思われる。しかし、このような他のアズレニルニトロンは、本発明の範囲内に含まれると考えられる。
5.2.アズレニルニトロンの特徴
5.2.1.フリーラジカル種を用いて形成される付加体
例えば1(Nu=OEt)のようなニトロンスピントラップ体から中間体のニトロキサイドの結合、不均化、または還元のいずれかを経て生じる反磁性のフリーラジカル付加体に変換するのに付随して起こる明白な色向性(chromotropism)は先例のないものであって、それがニトロンを、フリーラジカル残基を追跡する場合において、前述の段階のどれかを経てニトロキサイドスピン付加体がすばやく消滅することが関与する頻繁に起こるケースで有用にすることができる。
したがって、アズレニルニトロン1(Nu=OEt)をトルエン中に含むエメラルドグリーンの溶液(60mM)を、アゾ化合物5が存在するところでアルゴン気流下、95℃に加熱した(上記のスキームI参照)場合、この反応の進行についてTLC分析を行うと、1(Nu=OEt)よりも極性の低い紫色の生成物の形成が認められる。この反応混合物をクロロホルムで飽和したシリカゲルを含むフラッシュクロマトグラフィーカラムに注入し、クロロホルムで溶出すると、紫色のバンドが降りてきて簡単に集められる。さらにプレパラティブTLC(クロロホルム)で精製することによって、紫色の二重スピン付加体6が得られる。6についてのスペクトルデータは、以下の通りである。
1H NMR(300MHz, CDCl3):8.74(s, 1H), 8.20(s, 1H), 7.57(d, J=11Hz, 1H), 7.36(d, J=11Hz, 1H), 4.57(s, 1H), 4.39(q, J=7Hz, 2H), 3.13,(m,1H), 3.02(s, 3H), 1.53-2.78(m, 20H), 1.35-1.49(m, 9H), and 1.14(s, 9H). IR(neat):2960, 2940, 2860, 2220, 2200, 1705, 1415, 1260, 1195, 1095, 1040, and 800cm-1. UV-VIS max(hexane):301nm(ε=10,209), 351(2,097), 370(2,558), and 548(198). Exact Mass(FABMS, NBA);Calculated for C36H50N3O3(M++1):572.3852. Found:572.3853.
5.2.2.競合性のスピントラッピング挙動
100mMの濃度の1(Nu=OEt)、PBN、及びアゾ化合物5を含むトルエン溶液の熱分解を伴う競合性スピントラッピング実験で形成される反応混合物についての1H NMRスペクトルを観察すると、おおまかではあるが等しい量の対応する二重スピン付加体が生成されている。1(Nu=OEt)の一電子酸化電位はPBNの一電子酸化電位よりもずっと低い(0.48〜0.52V)。この二重スピン付加体6は、カルバニオン性の中間体が関与する機構を経て生成した合成品ではなく、それは熱分解が等モル濃度のベンゾフェノンの存在下で誘導された場合に、反応混合物中に化合物(1−シアノシクロヘキシル)−ジフェニルメタノールが存在しない(1H NMRによって及び真正のサンプルとTLCを比較することによって検出した場合)ことによって支持される。トルエン溶液中では、等モル濃度のニトロン1(Nu=OEt)が存在するところでベンゾフェノンがうまくカルバニオン(例えば、有機リチウム誘導体)によって攻撃を受ける。
他のタイプの炭素中心のラジカル(例えばアリールラジカルのようなもの)をトラッピングする際に1(Nu=OEt)の利用が関係してもその結果は、同様に促進された。例えば、1(Nu=OEt、ベンゼン中10mg、100mM)が4−ブロモフェニルラジカルの生成条件に置かれた場合に形成される紫と緑の生成物について行った1H NMRスペクトル分析に基づくと、それらの構造は、予想される中間体のニトロキサイドラジカルが不釣合であるために生じた対応するヒドロキシアミン(紫色)とニトロン(緑色)としてアサインされた。これらの生成物がまた、ベンゼン:t−BuOH、9:1中でも形成されることは、アリール炭素中間体の関与によって形成される合成物であることに強く反対して立証する。例えば、Beadle, J. R.らのJ. Org. Chem. (1984) 49: 1954参照。
5.2.3.酸化反応及び色向性(chromotropism)
色向性はまた、ニトロンスピントラップ1(Nu=OEt)及び類似の化合物を用いた、脂質の過酸化反応の研究における実験でも観察されている。10mgの1(Nu=OEt)を50mlのコーンオイルに溶解し、得られた緑色のオイルに90℃で9.5時間、空気を通して泡立てることによって明るい赤色のオイルが得られる。それをヘキサンとアセトニトリルとの間で分画した後でそのアセトニトリル層から300mgの赤っぽい粗の物質を単離することができるが、それをTLC分析にかけたところ、主要な赤色の生成物の存在が示された。この赤色の生成物はアルデヒド4として同定されており(上記のスキームI参照)、それはニトロン1(Nu=OEt)と酸素中心のラジカルとの間のスピン付加体の分解から生じると仮定される。ニトロン1(Nu=OEt、5.65×104M)は、密封チューブ内の98:1:1のEtOAc:HOAc:水中に入れて90℃で10時間経過したあとでも変化しない。次にその緑のニトロン1を過酸化ラジカル(例えば、ハイドロパーオキサイドHOO・またはアルキルパーオキサイドROO・)と反応させると、紫色の結合生成物(好ましくは、ニトロキサイド付加体)が形成され、それが加水分解(または、例えば水素の抜取り反応、不均化反応、断片化反応のような他の何らかの分解反応)されるとアルデヒド4(1−(3−カルボン酸−7−イソプロピル−4−メチル)アズレニルカルボキシアルデヒド,エチルエステル)に対応する赤色の最終生成物が形成される。
このニトロンとアルデヒドとの間の色の違いは、アルコール性の溶媒中における二つの化合物のUV/VIS吸収スペクトルの違いに反映されており、そこではニトロンは305nm付近に強い吸収を持っていて、アルデヒドは255nm付近にシャープなピークを持っている。両方の化合物は390nm付近に媒体の吸収ピークを持っている。
アズレニルニトロンからアルデヒドへの電気化学的な酸化反応は、水性の条件の場合、600mVあたりで行われるらしい。アセトニトリル中でのこの還元反応は可逆的で、ニトロン1ではSCEに対して0.84Vの酸化電位を示す。
また、コントロールの実験を水が存在する条件で、または存在しない条件でアルゴンを泡立たせながら行うと、この赤い生成物は検出されず、回収された緑色のオイルは出発物質のアズレニルニトロン以外のアズレン系の生成物を含んでいない。同様に観察可能な色向性もなく、未反応のニトロンが完全に回収されることは、コーンオイルのかわりに容易に引き抜き可能な水素原子が全くない溶媒であるクロロベンゼンで置き換えているエアロビックなコントロール実験の結果である。このデータは、観察された緑から赤への色の変化が自己酸化反応、おそらくコーンオイルのグリセライドのリノレイン酸サブユニットが関与している自己酸化反応によって形成されたフリーラジカルのニトロン1(Nu=OEt)への添加によって引き起こされることを強く示唆している。脂質における酸化性ストレスの指示薬としてのこれらのニトロンの応用は、このように証明されている。
またさらに、このニトロンの合成におけるアシルブロマイド中間体2(上記のスキームI参照)の存在価値があるため、広い範囲の簡単に合成される誘導体を作る構想を描くことができ、その誘導体の物理的特徴は、2とともにアシル化反応で用いられる求核剤(アルコール、アミンなど)を賢明に選択することによって調節することができる。この位置についた親油性または親水性の側鎖は溶解度特性に強烈に影響し、また生物複合体を形成するためにこの求電子部位を活用すると、効率的な標的能力を持つ興味深いスピントラップが提供できる。
ニトロンのフリーラジカル捕獲性能及び酸化防止性能は、生物学/薬物学の領域で活発な活躍を助長する最近の話題となっている。アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー秒、癌、虚血性−再潅流性障害、および老化のような多くの病的症状の病因論において、たくさんの証拠がフリーラジカル障害の役割を示している。
5.2.4.固体支持体上のアズレニルニトロン
アズレニルニトロンは色向性を示すため、これらの化合物は気体、液体、または固体の媒体に含まれるフリーラジカル剤の指示薬として有用である。この例では、アズレニルニトロンは固体支持体に(例えば、固体支持体上で、水酸基のような反応性の官能基を介して)結合している。アズレニルニトロンを結合した固体支持体は通常、フリーラジカルの存在についてテストしたりモニターしたりするために媒体には不溶である。したがって、このフリーラジカルの検出方法は媒体を混入させることなく行うことができる。アズレニルニトロンは固体支持体に結合するが、この固体支持体は、球体、固体の片、紙の形であっても、テスト条件に適当な何らかの形であってもよい。さらにアズレニルニトロンとフリーラジカルとの間で生成した反応生成物は、簡単に濾過することによって固体支持体を分離することができる。反応生成物はその後、固体支持体、遊離の媒体から、固体状支持体にアズレニルニトロン(実際にはスピン付加体)を結合しているボンドを加水分解するか***させることによって単離することができる。この方法は、テストされる媒体に存在していてスピン付加体の形成を生じさせるフリーラジカルの確認を可能にする。
例えば、ポリビニルアセテートの球体は部分的に加水分解され、それによってアズレニルニトロン(例えば酸型)に結合する能力のある表面上の水酸基を露出させる。この球の加水分解の量及びアズレニルニトロンの濃度は、フリーラジカルに対するこの球体の感受性を調節するために変えられる。この球体は植物オイルに浸漬する。混合物を加熱してからこの混合物をとおって泡立っている空気に触れさせ、目に見える色の変化を生じさせる。この球体を植物オイルから除去し、それによって何らかの混入物を除去する。アズレニルニトロンとラジカルを用いて発生させた反応生成物は、この生成物を塩基を用いて加水分解することによって単離する。続いて結合していない反応生成物を、従来の方法によって分析することができる。
5.3.インビトロ及びインビボでのアズレニルニトロンを用いた研究
5.3.1.酸化性障害に対する保護作用
さまざまなモダリティーによって誘導された酸化性障害に対する、例えば1(Nu=OEt)のようなアズレニルニトロンの保護作用を研究するために、クロノジェニック細胞(clonogenic cell)の生存は確かな最終ポイントである。真核細胞から哺乳動物の細胞までの範囲の種々のグループの細胞を用いることができる。好ましくは、チャイニーズハムスターV79の肺の繊維芽細胞が急速な複製時間と高い培養効率を有することから選択され、それは、グルタミンを含有するが炭酸水素ナトリウムは含有しない10%の胎児仔ウシ血清(Hyclone Laboratories, Logan, UT)、0.14mg/mlのペニシリン、0.2mg/mlのストレプトマイシンを補充した滅菌Ham's F12培地にて培養する。
さまざまな濃度(0.1〜100mM)の本発明のアズレニルニトロンが存在する条件または存在しない条件で、薬物処理または高エネルギー照射を行う。典型的な実験では、5mlの培地中に5×105個の細胞が含まれたものを100mlのペトリ皿に載せ、37℃で16時間培養する(95体積%の空気/5体積%のCO2)。続いて細胞をプレートに付着して指数関数的に生長させ、10mMの1(Nu=OEt)と0〜1.2mMのH22を添加する。1時間後、その細胞をすすぎ、0.03%のトリプシンで処理してから計数し、そして肉眼で見えるコロニーを形成するためにインキュベートする皿に分割する。7日後その細胞をメタノール/酢酸(3:1,v/v)を用いて固定化し、0.3%のクリスタルバイオレットで染色してからすすぎを行い、続いて空気乾燥した後、50個以上の細胞を含むコロニーを計数する。この方式では本発明のアズレニルニトロンの用量依存性の保護作用が評価される。
5.3.2.脳の酸化防止剤活性
アズレニルニトロンの脳に対する酸化防止剤活性は、二つのグループの動物を用いて研究した。即ち、(i)若い成体の雄のアレチネズミ(生後3〜4カ月)と、(ii)年老いて隠居した雄の飼育されたアレチネズミ(生後18〜20カ月)である。このようなアレチネズミはTumblebrook Farms(West rookfield, MA)より入手することができる。このアレチネズミは標準的なネズミ用かごで、1個のかごに3匹を入れる。動物は、12時間の明暗サイクルになっている動物施設に維持する。すべての実験はこのサイクルの光をあてた相の間に行う。食物と水は1日中無制限にとることができる。
若い成体の雄のアレチネズミ(生後3〜4カ月)と隠居した雄の飼育されたアレチネズミ(生後18〜20カ月)は、それぞれ18匹ずつのグループに分けて割り当てる。若い成体の動物と年を重ねた動物とを含む一つのグループにはビヒクル(食塩水)のコントロールグループを割り当て、また他のグループは、化合物#(Nu=OH)のナトリウム塩を受け取るようにする。動物には腹腔内注入により1日に2回(午前8:00と午後8:00)、14日間続けて与える。化合物#(Nu=OH)のナトリウム塩は中性の食塩水に溶解し、そして1〜50mgの用量で、好ましくは30mg/kg/1回注入(3.0mg/ml)で投与する。続いての研究では実質的にもっと低い用量(1〜10mg/kg/1回注入)を用いたが、匹敵するほどの結果を伴っている。
14日間が終了した時点でその動物にはもう1日、何も注射しないでおくことでテストの前に残っているアズレニルニトロンを減少させる。24時間の***期間が経過した後、そのアレチネズミをラジカルアーム迷路の行動についてテストする。
8本のアームなどのラジカル迷路を、パトロール挙動行動をテストするために利用する。アレチネズミを強烈な光の迷路の中心区画に、ある時点でおく。アームに通じるドアが発生したとき、それぞれのアレチネズミを自由にして迷路を探索させる。全ての8本のアームを探索する前に1回以上、1本のアームに再び入ると間違ったと考えられる。アームの侵入は電気的に記録される。動物には15分間の迷路を探索する時間を与える。
正常の若い成体のアレチネズミは4回から5回の間違いを起こしたのに対し、年を重ねたアレチネズミは9〜11回の間違いを起こした。化合物(Nu=OH)のナトリウム塩で14日間の処理を行った後では、若い成体のアレチネズミはコントロールグループと同じ回数の間違いを起こした。これとは対照的にニトロン処理を行った年をとったアレチネズミをテストしたところ、彼らは有為なほど少ない間違いしか起こしていなかった。実際に年を重ねたアレチネズミは驚くべきことに、若い成体のアレチネズミが起こしたのとほぼ同じ回数の間違いを起こしたに過ぎなかった。
5.3.3.インビボでの診断的応用
アズレニルニトロンはUV/VISスペクトロスコピーとHPLCによって検出することができる。フリーラジカルと反応させ、続いてその付加体を分解させると、ニトロンは対応するアズレニルアルデヒドを生成する。このようなアルデヒドは、酸素中心のフリーラジカルとともに形成されたスピン付加体の分解によって生じる。このアルデヒドもまた、UV/VISスペクトロスコピーで検出することができる。患者にニトロンを投与し、続いて患者の解剖学的構造のある部分にフリーラジカルの形成を引き起こす何らかの状態(例えば、虚血性状態や再潅流状態)を治療する場合、その患者に誘導されたフリーラジカルの量は、生成したアルデヒドの量を測定することによって検査することができる。(ニトロンは、酸化反応が起こらなかったところでは変化せず回収されなくてはならない。)したがって、ニトロンに対するアルデヒドの比率は、患者の生物学上の液体や組織サンプル(例えば、血液、脳、または心臓血管の組織)において検出すればよい。この方法ではアズレニルニトロンは、患者のさまざまな位置や液体における反応性のフリーラジカル生成物の相対的レベルを検査するために用いられる。このような分析法はまた、本発明のアズレニルニトロンが動物やヒトの解剖学的構造に存在するある種の関門、例えば血液−脳関門を通過できることについて、または異なる投与方法、例えば、iv、ip、po、局所内、粘膜内、点眼などの投与方法を行ったあとで、これらの化合物がある組織(例えば海馬状組織)や液体(例えば血漿)に残って局在することを好むかどうかについても証明することができる。
5.3.4.インビボでの神経保護作用の応用
アズレニルニトロンはフリーラジカルと反応するため、フリーラジカルの形成を引き起こし、それによって患っている患者に障害をもたらすような生理的結果や病的症状を、アズレニルニトロンを投与することによって抑制したり阻害したり緩和したりできる。神経の保護剤または脳の保護剤としてのアズレニルニトロンの効果を決定する方法では、アレチネズミやマウスのような齧歯類などのテスト用動物にアズレニルニトロンを投与することが関与する。続いて虚血性の症状の発現をそのテスト動物に誘導する。例えば有効な打撃(ストローク)を受けたモデルは、脳の血流量を減少させ、脳障害や組織の梗塞を生じさせることができる両側の頚動脈閉塞(BCO)をそのテスト動物に行うことによって作られる。BCO処理を行った齧歯動物の血液と脳を分析することによって、アズレニルニトロンとアルデヒドの相対的な量を測定する。ニトロン濃度に対するアルデヒド濃度の比率は、酸素のフリーラジカル生成処理の一つを行っていない病んでいない齧歯動物で見られる比率と比較する。この結果は、病んでいない齧歯動物に対してテスト用の齧歯動物の方が高い(即ち、多くのアルデヒドが観察される)ことを示しており、このことは、これらの齧歯動物にアズレニルニトロンを投与すると、最終生成物であるアルデヒドを形成する還元反応/結合反応が進行することを意味する。
食塩水(またはフェニル−t−ブチルニトロンもしくはPBN)を投与されたコントロール動物がテスト動物に比較して傷ついた運動機能や挙動性を示すことから、本発明のアズレニルニトロンをテスト用齧歯動物に投与することは神経保護作用をもたらす。さらに脳の断片や心臓の断片を分析では、脳梗塞及び心筋梗塞の量が、それぞれ食塩を用いたコントロール動物やPBNを投与した動物に比較して減少していることを示す。
5.3.5.インビトロでの保護作用
アズレニルニトロンの保護作用は、細胞死を誘導することが知られている化合物にその細胞培養物を施すことによって調査する。このニトロンを種々の用量で投与することによって、細胞死を阻害したり抑制したりするのに必要な量を決定することができる。この方法によって、アズレニルにの効力が決定され、用量依存性が大きいことが発見される。
一つの実施例として、小脳の顆粒細胞(神経細胞)をほとんど致死量に近い用量の毒物、例えばシス−プラチン、ブチオニンスルホキシイミン、またはパーオキシニトライトを用いて処理を行う。このニトロンは毒物で処理を行う前か後のいずれかで添加する。アズレニルニトロンは用量依存性で神経保護作用を示すことが判明し、それは10から100μMの用量で神経細胞の死を抑制したり減少させたりできる。
同様に本発明のアズレニルニトロンを、細胞培養物、特定するならば真核細胞、原核細胞、それに特に哺乳動物の細胞の培養物に添加すると、アズレニルニトロンを添加しなかったコントロールの細胞培養物に比較して細胞の生存期間が延長する。したがって本発明は、細胞のアポトーシスを阻害する。(例えば、Schulz, J. B.らの、J. Neuroscience (1996) 16: 4696-4706参照)。同様の結果は、さまざまな神経保護細胞毒性分析を用いても得られる。
5.3.6.肝臓の酸化の保護
肝臓のDNAでの酸化的損傷の形成に対して、また脂質の過酸化反応に対してアズレニルニトロンの持つ保護的効果は、ロング−エバンスシナモン(Long-Evans Cinnamon:LEC)ラットを用いての実験で証明されている。例えば、Yamashita, T.らの、Free Radical Bio & Med. (1996) 21: 755-761参照。これらのラットは遺伝性の肝炎を持っている新規な突然変異種に属し、それはウイルソン病を治療するためのモデルとしても用いられる。LECラットは介入しなくても重篤な黄疸を約1週間以内に発症する電撃的な肝炎で死亡する。
この実験ではそのラットを普段の条件で維持する。食物や水は1日中無制限に食することができる。2セットの雌のラットは10〜30カ月の年齢のものを用いる。1セットのラットに、植物オイル組成物に入れてアズレニルニトロン34を皮下注射で投与し、これに対して2セット目のラットに植物オイルのみを皮下注射で投与する。投与量は活性成分の約100mg/kgに対応しており、約15〜30週の間、日に2回投与する。そのラットの肝臓組織を除去し、Uchiyama, M.らの、Anal. Chem. (1978) 86: 271-278に記載された方法にしたがって脂質の過酸化反応を測定する。この方法では本発明のアズレニルニトロンの用量依存性の保護効果が評価され、それが顕著であることがわかる。
5.4.本発明のアズレニルニトロン化合物を含む薬学的組成物
明白なことであるが、本発明は本明細書に開示されたアズレニルニトロン化合物を含む組成物を企図している。好ましくはこれらの組成物は、治療上有効な量のアズレニルニトロン化合物を薬学的に許容される担体とともに含有する薬学的組成物を含む。
本明細書で用いられる「薬学的に許容される」担体という用語は、非毒性で不活性な固体状、半固体状、液状のフィラー、希釈剤、カプセル化材料、または何らかのタイプを補助する配合剤を意味する。薬学的に許容される担体として用いることのできる材料のいくつかの例として、ラクトース、グルコース及びスクロースのような糖類、コーンスターチ及びジャガイモデンプンのようなスターチ類、セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、エチルセルロース及びセルロースアセテートのようなセルロース誘導体、粉末状のトラガカントゴム、麦芽、ゼラチン、タルク、ココアバター及び坐剤用ワックスのような賦形剤類、ピーナッツオイル、綿実油、サフラワーオイル、胡麻油、オリーブオイル、コーンオイル及び大豆油のようなオイル類、プロピレングリコールのようなグリコール類、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールのようなポリオール類、エチルオレアート及びエチルラウレートのようなエステル類、寒天、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムのような緩衝剤、アルギン酸、発熱物質を含まない水、等張食塩水、リンゲル液、エチルアルコールとリン酸の緩衝溶液、ならびに薬学的製剤で用いられる他の非毒性で作用に影響を及ぼさない物質が挙げられる。湿潤剤、乳化剤、及びラウリル乳酸ナトリウムやステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤も、着色剤、放出剤、被膜剤、甘味づけ、風味づけ及び芳香づけ剤、保存料及び従来の酸化防止剤と同様に、調剤者の判断にしたがってその組成物に入れることもできる。薬学的に許容される従来の酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸、システインハイドロクロライド、亜硫酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどのような水溶性の酸化防止剤、アスコルビルパルミテート、ブチル化ハイドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ハイドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガレート、アルファ−トコフェロールなどの脂溶性の酸化防止剤、及びクエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート化剤が挙げられる。
アズレニルニトロン化合物、例えば1(Nu=OEt)または化合物#のナトリウム塩の「治療上有効な量」によって、フリーラジカル種の不快な影響、または他の場合の病的な影響や関連する疾患を、医学治療に許容される道理にかなった効果/リスクの比で緩和したり、調節したり、抑制したりするための化合物の十分な量を意味する。しかしながら本発明の化合物及び組成物の1日の全使用量は、信頼できる医学的判断の範囲内でかかっている医者によって決定されるであろうことは理解できよう。特定の患者にとって特別な治療上有効な用量レベルは、治療すべき疾患、疾患の深刻度、用いた特殊な化合物の活性、用いた特殊な組成物、患者の年齢、体重、全体症状、性別及び食欲、用いた特定の化合物の投与時間、投与方法及び***速度、治療期間、用いた特殊な化合物と組み合わせるか同時に用いられる薬物などのさまざまな因子、及び医療技術で周知の同様の因子に応じて変わる。
患者のヒトに1回で、または分割して投与される本発明のアズレニルニトロン化合物の1日の全用量は、例えば体重1kgあたり0.01〜35mgであるか、またはもっと普通には体重1kgあたり0.1〜15mgの量であればよい。1回の組成物の用量は、このような量を含んでいてもよいし、または合わせて1日の用量になるようなその約数の量を含んでいてもよい。一般的には本発明にかかる治療管理では、このような治療を必要とするヒトまたは他の動物に、1日あたり約1mgから約1000mgの本発明の化合物を多数回で投与することや、または1mg、5mg、10mg、100mg、500mgもしくは1000mgを一回で投与することが含まれる。ミリグラム以下の用量も適当である可能性があり、即ちそれは、約0.1〜0.9mg、好ましくは約0.3mg、約0.5mg、または約0.7mgである。
本発明の化合物は単独で投与してもよいし、またはPBNのような酸化防止化成を示す他の薬物と組み合わせたり、連続して投与することもできる。
経口投与のための液状の投与形態には、水のようなこの技術で一般的に用いられる不活性な希釈液を含み、薬学的に許容される乳濁液、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤、及びエリキシル剤が含まれるであろう。このような組成物はまた、湿潤剤のようなアジュバント、乳化剤及び懸濁剤、甘味料、風味料及び香料を含んでいてもよい。
注射用の製剤、例えば滅菌性の注入可能な水性または油性の懸濁液は、適当な分散用または湿潤用薬剤及び懸濁化剤を用いて既知の方法にしたがって配合すればよい。この滅菌性の注入可能な製剤はまた、非毒性であって非経口で許容される希釈液または溶媒中に入れた滅菌性の注入可能な溶液、懸濁液または乳濁液、例えば1,3−ブタンジオールの溶液のような製剤であってもよい。用いることのできる許容されるビヒクル及び溶媒の中には、水、リンゲル液、U.S.P.及び等張性の食塩水がある。また、滅菌した不揮発性オイルも溶媒または懸濁化媒体として便利に利用される。この目的では、刺激の少ない不揮発性オイルとして、合成のモノグリセライドやジグリセライドが用いられる。またオレイン酸のような脂肪酸も注入可能な製剤で用いられる。
この注入可能な製剤は、例えば細菌−保持フィルターを通過させて濾過することによって滅菌されていてもよいし、または使用する直前に滅菌水や他の滅菌した注入可能な媒体に溶解したり、分散させたりできる滅菌した固体状の形態に滅菌薬剤を組み込むことによって滅菌状にされていてもよい。
治療薬の効果を延長させるために、皮下注射または筋肉内注射をした治療薬の吸収をゆっくりにすることが望ましい場合がよくある。これを達成するための最もありふれた方法は、水への溶解度が小さい結晶やアモルファスの懸濁液を注入することである。治療薬の吸収速度は治療薬の溶解速度に依存しており、それはもう一度言うが、例えば結晶の大きさや結晶の形のような治療薬の物理的状態に依存している。治療薬の吸収を遅らせるもう一つのアプローチは、オイルに入れた溶液としてまたは懸濁液としてその治療薬を投与することである。
注入可能な貯蔵形態はまた、治療薬とポリラクチド−ポリグリコシドのような生物分解性のポリマーとでマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作ることもできる。ポリマー及びこのポリマーの組成物に対する治療薬の比率に依存して、治療薬の放出速度をコントロールすることができる。他の生物分解性のポリマーの例としては、ポリ−オルトエステル類やポリアンハイドライド類が含まれる。貯蔵性の注射剤はまた、治療薬を身体組織に影響を及ぼさないリポソームや他のマイクロエマルジョンに捕らえさせることによって作ることもできる。
治療薬を直腸内投与するための坐剤は、ココアバター及びポリエチレングリコールのような適当な非刺激性の賦形剤とその治療薬を混合物ことによって形成することができる。なお、この賦形剤は通常の温度では固体であるが直腸の温度では液体であり、そのため直腸で溶けて治療薬を放出させることができる。
経口投与のための固体状の投与形態には、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末剤、小球剤及び顆粒剤が含まれうる。このような固体状の投薬形態において活性なスピントラッピング化合物は、例えばスクロース、ラクトースまたはスターチのような少なくとも一種の不活性な希釈剤と混合してもよい。このような投薬形態はまた、通常実施されているように、不活性な希釈剤以外の添加物、例えば錠剤用潤滑剤やステアリン酸マグネシウムやミクロ結晶形のセルロースのような他の錠剤用補助剤を含んでいてもよい。またカプセル剤、錠剤及び丸剤の場合には、その投薬形態に緩衝剤を含有させてもよい。錠剤及び丸剤はさらに、腸溶性被膜や他の放出制御用の被膜を施すこともできる。
同様のタイプの固体状組成物はまた、高分子量のポリエチレングリコールなどと同じようにラクトースや乳糖のような賦形剤を用いてソフトにまたはハードに充填したゼラチンカプセルに入れるフィラーとして用いることもできる。
この活性なニトロン化合物はまた、前記に記載した一種またはそれ以上の賦形剤を用いてマイクロ−カプセルの形態にしてもよい。錠剤、カプセル剤、丸剤、及び顆粒剤を含む固体状の投薬形態は、製薬配合技術において周知の腸溶性被膜や他の被膜のような被膜とか殻とかを用いて形成することもできる。それらは任意であるが意味不明の薬剤を含んでいてもよく、またそれらは、活性成分のみを放出する組成物であっても、好ましくは腸管のある部分で任意で遅れた様式で放出する組成物であってもよい。用いることのできる埋め込み用組成物の例としては、重合性の物質やワックスが含まれる。
本発明のニトロン化合物を局所投与または経皮投与するための投薬形態には、それが治療上の応用または化粧品としての応用のいずれであってもよいが、軟膏、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、粉末剤、溶液剤、スプレー剤、吸入剤(例えば口腔内用または鼻腔内用)または貼着剤がさらに含まれる。活性なニトロン化合物は、薬学的に許容される担体及び要求されるのであれば何らかの必要な保存剤や緩衝剤とともに、滅菌条件下で投与される。点眼用の配合剤や、点耳剤、眼の軟膏、粉末剤及び溶液もこの発明の範囲内に含まれると考えられる。
軟膏、ペースト剤、クリーム剤及びゲル剤は、本発明の活性なニトロン化合物に加えて、例えば動物性及び植物性脂肪、オイル、ワックス、パラフィン、スターチ、トラガカントゴム、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛、またはそれらの混合物のような賦形剤を含んでいてもよい。
粉末剤とスプレー剤は、本発明の化合物に加えて、例えばラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム及びポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物のような賦形剤を含むことができる。スプレー剤は更に、クロロフルオロハイドロカーボンのようないつも用いられる推進剤も含むことができる。
経皮用の貼着剤は、身体に化合物をコントロールして供給できるという追加の利点を備えている。このような投与形態は、適当な媒体にその化合物を溶解したり分散したりすることで形成することができる。吸収促進剤も、皮膚を通過するその化合物の流量を増加させるために用いることができる。この速度は、速度調整用膜を用いることによって、またはポリマーマトリックスかゲルにその化合物を分散させることによってコントロールすることが可能である。
したがって本発明は、疾患、特に酸化された化合物、フリーラジカル、または多形核白血球の酸化的破裂の生成物などの酸化生成物が関与する疾患の治療または緩和の際に有用である。このような身体的状態は、炎症、慢性関節リウマチ、自己免疫疾患、インフルエンザ様の兆候、認識能力の減少、心臓血管疾患、アテローム性動脈硬化症、呼吸困難などに特徴があり、それは本発明のアズレニルニトロン化合物の有効量を投与することによって減少させることができる。
生きている組織における反応性のフリーラジカルは、心疾患、癌、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(即ちALS)、慢性関節リウマチ及び抗新生組織剤(抗癌剤、抗腫瘍剤)が誘導する心毒性を助長すると考えられている。ここには、生きている臓器にフリーラジカルの形成を誘導する多くの機構が存在している。いくつかの機構は例えば代謝段階をとおって自然に起こり、これに対して他の機構は、化学物質、照射、微生物及びウイルスの経路で体内に誘導される。
フリーラジカルが最初に存在すると連鎖反応が開始し、その際に臓器内のたくさんの体内分子が酸化される。脂質を酸化することによって、例えばこれらのフリーラジカルが細胞膜、細胞膜の透過性、そこに含まれるイオンチャンネル、細胞機能などに影響を与えることになる。タンパク質を酸化することによって、例えばフリーラジカルは酵素、筋肉機能、神経などを変えてしまう。また核酸を酸化することによって、例えばフリーラジカルは、DNA、RNA、及び結果的にそれらの機能、調節、または発現生成物に影響を与えることができる。スピントラッピング剤は、これが障害を与える反応のカスケード系を終了させたり、阻害したりするために用いられる。酸素中心のフリーラジカル並びに炭素、窒素、リン、及び硫黄中心のフリーラジカルは、潜在的なターゲットとなる体内分子とよりも本発明のスピントラッピング剤との方がより容易に反応することがわかった。スピントラッピング剤と反応すると、安定なスピン付加体を形成する結果となり、したがって障害を起こす連鎖反応を終了させたり阻害したりできる。
したがって本発明のアズレニルニトロン化合物は、虚血性や再潅流性の障害の心臓や脳における影響、急性呼吸困難症候群(ARDS)、敗血症、敗血症性ショックなどを治療したり、緩和したり、調節したり、または阻害したりする方法において用いることができる。本発明はまた、保存すべき臓器を、臓器を保存するのに有効な量の本発明の化合物と接触させる段階を含む、移植の前の臓器を保存する能力も示す。
「薬学的に許容される塩」という語句は、塩基性のニトロンに付加したものから誘導されようと、酸性のニトロンに付加したものから誘導されようと、薬学的に使用するのに適当な本発明のアズレニルニトロンの塩のタイプを含んでいる。したがってこの塩は、酸性基(例えばカルボン酸、スルホン酸)を備えているニトロンに、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の物質(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、及び類似の物質)を付加することによって得ることができる。反対に、ニトロンに付いた遊離の塩基性官能基(例えばアミノ基)は、酸性の物質(例えば塩酸、硝酸など)を用いて処理することによって、酸の付加した塩を提供することができる。
本発明の化合物は単独で投与してもよいし、または一種もしくはそれ以上の他の生物学的に活性な(好ましくは、治療上活性な)薬剤と組み合わせて、実質的に同時または段階的のいずれかで投与してもよい。幾分の組織の壊死または毒性を示す第2の薬物と共に投与される有効量のアズレニルニトロンは、共投与される第2の薬物の治療効果の利点を保持したまま、該第2の薬物の有害な副作用を減少させることができる。したがって、治療上有効な量のアドリアマイシン、タキソール、シス−プラチン、もしくは他の抗癌剤、即ちAZT、DDI、または他のプロテアーゼ阻害剤と、この他の薬物に関連した毒性を減少させるのに有効な量のアズレニルニトロンとを含む組み合せが、特別に企図される。
5.5.他の特定の態様及び例示的な方法
本発明はさらに、次の化学式で表される化合物またはそれらの塩を提供する。
Figure 0003887020
式中、R1は、水素、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、または6〜10個の炭素原子を含むアリール基であってもよく、R2は、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、または6〜10個の炭素原子を含むアリール基であってもよく、R’は、1〜6個の炭素原子を含む直線状または分枝状のアルキル基であってもよく、Wは、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、6〜10個の炭素原子を含むアリール基、または電子吸引性基であってもよく、mは、0、1、2、または3(mが2または3である場合、それぞれのR’は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよい。特定の化合物はもちろん、例えばアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩のような金属塩の形であっても、そのアンモニウム塩またはテトラアルキルアンモニウム塩の形であってもよい。好ましいアズレニルニトロンは、肉眼で緑色に見える。
さらに本発明は、次の一般式の化合物を提供する段階を含む、反応性のフリーラジカルをトラッピングする方法を提供する。
Figure 0003887020
この一般式は上記にすでに定義したとおりであり、この化合物が反応性のフリーラジカルと結合することが可能なため、この化合物またはその塩とフリーラジカルとの組み合せ生成物を含むスピン付加体を提供することができる。
本発明の特殊な態様では、フリーラジカルは炭素中心であるか、またはヘテロ原子上に中心を持っている。特定するとヘテロ原子は、窒素、酸素、リンまたは硫黄から選択される。フリーラジカルはまた、金属上、特に重金属上に中心があり、更に特定すると遷移金属、アクチニド金属、またはランタニド金属上に中心があってもよい。特定のフリーラジカルは本発明のアズレニルニトロンと付加体を形成すると考えられるが、それには限定するわけではないが、一重項酸素ラジカル、水酸基ラジカル、超酸化物ラジカル、過酸化水素ラジカル、過酸化アルキルラジカル、または酸化窒素ラジカルが含まれる。このフリーラジカルはまた、光増感剤から誘導することもできる。
この付加体は更に反応を進行して下記の化合物を生成することができる。
Figure 0003887020
式中、R1、R2、R3、R4、R’、W、p、n、o及びmは前記に定義したとおりであり、Xは酸素、窒素、または硫黄である。
更に他の方法は、上記の一般式の化合物またはその塩を媒体と結合させる段階、及び付加体またはその最終生成物が存在するのを検出する段階を含む、媒体中の酸化生成物を検出する方法である。このような方法はさらに、形成されたスピン付加体またはその最終生成物を構造的に特徴付ける段階を含み、それによって最初のフリーラジカルまたは酸化されたものに関する情報を得ることができる。この方法では、上記の媒体は固体状であっても、液体状であっても、または気体状であってもよいが、好ましくは可燃性の燃料、潤滑剤、溶媒、食料品(例えば、肉、鳥肉、魚、加熱用オイル、植物性オイル)、または生物の液体(例えば、全体の血液、末梢の血液、血漿、血清、脊髄液、尿、***、涙、唾液、粘液など)もしくはそれらのフラクションを含むものである。またこの媒体は、細胞培養物またはその上澄み液であってもよい。
更に別の方法では、アズレニルニトロン化合物はフリーラジカルに容易になる天然物、例えばブレオマイシンのようなエメジン抗生物質、即ち鉄中心の薬物で、最終的にDNA/RNAに結合することのできる天然物をスクリーニングする際に用いることもできる。
特定の組成物には、これに限定するわけではないが、反応性のフリーラジカルによって仲介されたり開始されたりする病的状態の不快な症状を緩和するための薬学的組成物が含まれ、その組成物は有効量の一般式で示される化合物と、薬学的に許容される担体とを含んでいる。本発明の化合物と担体とを含む他の組成物も、これに限定するわけではないが、酸化を抑制するもの、燃料の添加物、食品添加物(例えば植物性オイルに添加される添加物)、化粧品(例えば、特徴的な色をしていて、酸化条件や酸化素因に過剰にさらされたことを示して色が変化する顔用または身体用の日焼け止め)などが含まれると考えられている。更に他の組成物は、エージングの不快な症状を緩和する組成物であることができ、それの担体は滅菌されている。
本発明の更に別の目的は、(a)アズレンを得る段階、(b)該アズレンのニトロン基を有するための位置にアシル基を導入する段階、(c)該アシル基をニトロン基と置換してアズレニルニトロンを得る段階を含む、アズレニルニトロンを合成する方法である。この考えられた方法はさらに、アズレンのWで示された置換基を持つための位置に第2のアシル基を導入する段階を含んでいてもよく、またさらに、その第2のアシル基をWで示された基と置換する段階を含んでいてもよい。好ましくはWで示された置換基は電子吸引性基であり、またアシル基はアルデヒドを含んでいる。第2のアシル基はアシルハライドであってもよい。特定すると、Wで示される置換基は、カルボン酸、そのエステル、アミド、または塩を含む。
したがって概して言うと本発明の別の応用法は、本発明の化合物の有効量を患者に投与する段階を含む、患者の虚血性障害または再潅流障害の不快な症状を緩和する方法や、本発明の化合物の有効量を患者に投与する段階を含む、患者の急性呼吸困難症候群(ARDS)の不快な症状を緩和する方法や、または本発明の化合物の有効量を患者に投与する段階を含む、患者のエージング、アポトーシス、もしくは老化の不快な症状を緩和する方法である。
本発明はまた、本発明のアズレニルニトロンと局所的な担体を含む、、温かい血液の動物における炎症を治療するための組成物も考慮している。この組成物は、水性溶液、オイル、クリーム、一かたまりの固体(ケーキ)、粉末、乳濁剤、または懸濁剤の形にすることが可能である。そのうえ、このニトロンはさらに、2〜14個の炭素原子を含む不飽和の脂肪族置換基であるような置換基Wを含んでいてもよい。不飽和の脂肪族置換基はさらに、電子吸引性基、6〜18個の炭素原子を含むアリール基、5〜20個の炭素原子を含む飽和または不飽和の単環性か多環性の環系で置換されていてもよい。これとは別に、不飽和の脂肪族置換基は、置換されたアズレンか置換されていないアズレンを含んでいてもよい。置換基Wは例えばベータ−ラクタムのような親水性の部分を簡単に含んでいてもよい。特定すると置換基Wは、2−ピロリドン基であり、またはカルボン酸、2−(2−ピロリドン−N−イル)エチルエステルである。
本発明の更に別の化合物は、次の化学式で表される化合物またはそれらの塩である。
Figure 0003887020
式中、R1は、水素、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、または6〜10個の炭素原子を含むアリール基であってもよく、R2は、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、または6〜10個の炭素原子を含むアリール基であってもよく、R3は、水素、または1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基であってもよく、R4は、水素、または1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基であってもよく、R5は、水素、または1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基であってもよく、R6は、水素、または1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基であってもよく、R’は、1〜6個の炭素原子を含む直線状または分枝状のアルキル基であってもよく、Wは、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、6〜10個の炭素原子を含むアリール基、または電子吸引性基であってもよく、nは、0、1、または2(nが2である場合、それぞれのWは互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、mは、0、1、2、または3(mが2または3である場合、それぞれのR’は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、oは、1または2(oが2である場合、それぞれのR1及びR2は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、pは、0、1、または2(pが2である場合、それぞれのR3及びR4は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、qは、0、1、2、3、または4(qが1以上のとき、R5及びR6は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよい。
当業者が本発明を実施するのに十分で適切な開示となるような様式で、本発明が本明細書に記載されていることが望ましい。注意を過剰なくらい払ったが、次の詳細な実施例には、興味をそそられた読者が有するさらなる考慮すべき事項が提供されている。
6.実施例
6.1.アズレニルニトロンの合成
6.1.1.材料及び方法
多くのアズレン出発物質が知られており、商業的に入手することができる。アズレンは例えば、Aldrich Chemical Co. (Cat. No. A9,720-3)より入手可能である。グアイアズレン、即ち7−イソプロピル−1,4−ジメチルアズレンも、Aldrich(Cat. No. G1-100-4)によって販売されている。グアイアズレンはまた、カモミールオイルまたはグアヤク木のオイルから単離することもできる。その3−スルホン酸ナトリウム塩は、抗炎症作用及び抗潰瘍性の薬物として知られた誘導体である。グアイアズレンの全合成は、Plattnerらの、Helv. Chem. Acta (1949) 32: 2452において記載されている。グアイアズレン3−スルホン酸ナトリウム塩の動物体内での薬物速度論については、Mukai, H.らの、J. Pharmacobio-Dyn. (1985) 8: 329, 337に記載されている。ラットモデルにおける胃潰瘍及び十二指腸潰瘍に対するグアイアズレン及びその塩の効果も開示されている。Okabe, S.らの、Nippon Yakurigaku Zasshi (1986) 88: 467、Chem. Abstr. (1987) 106: 43769参照。
4,6,8−トリメチルアズレンは、Flukaより購入することができる。ラクタルビオリン(lactarviolin)、即ち7−イソプロピル−4−メチル−1−アズレンカルボキシアルデヒドは、真菌のLactarius deliciosusによって産生される抗菌性の色素である。カマズレン(chamazulene)、即ち7−エチル−1,4−ジメチルアズレンは、カモミール、ヨモギ及びノコギリソウで発見されたカマズレン生成性の化合物から得ることができる抗炎症薬である。カマズレンはブルーのオイルであるが、そのトリニトロベンゼン誘導体は、無水エタノールから結晶化されるmp131.5〜132.5℃の暗い紫色の針状晶である。この他の可能性のある出発物質としては、4−メチル−1−アズレンカルボキシアルデヒド、肝臓で作用する成分とリンダーアズレン(linderazulene)、アズレン骨格の7位と8位(フランの酸素が8位に結合している)に縮合した3’−メチルフラニル環を含む三環性の1,4−ジメチルアズレン誘導体が挙げられる。この他の可能性のあるアズレン出発物質は、当業者に既知である。
融点はThomas-Hoover Meltemp装置で測定し、本明細書で指示されている場合を除いて補正されていない。1H NMRスペクトルは、General Electric 300-MHz装置を用いて記録した。化学シフトは、特に明記した場合以外は、CDCl3中に含まれる内部標準物質のテトラメチルシランに比較した値(パートパーミリオン、即ちppm)で記録されている。NMR分析で用いた省略形は次のとおりである。即ち、s.はシングレット、d.はダブレット、t.はトリプレット、m.はマルチプレット、dt.はトリプレットのダブレットである。分析用の薄層クロマトグラフィー(TLC)は、Baker-flexシリカゲル1 B2-Fプラスチックプレート上で行った。マイクロ分析は、Florida International University Microanalytical Laboratory及びGalbraith Laboratories, Inc.より入手した。溶媒及び試薬は、明記されている場合を除いて、購入して用いた。THFは、金属ナトリウム/ベンゾフェノンケチルから蒸留した。
6.1.2.一般的な段階A
例えばグアイアズレンのような出発物質のアズレンを用いて始めるのであるが、電子吸引性置換基(例えばカルボン酸エステル)を次の段階でこの環系に設けることができる。即ち、出発物質のアズレンを室温で乾燥Et2Oに入れた0.1M溶液に、オキサリルブロマイド(1.0等量)をアルゴン気流下で攪拌しつつ、15分かけて滴下する。この混合液を室温で1時間攪拌し、続いて2等量のEtOHを10分間かけて滴下して添加する。得られた混合液を更に1時間室温で攪拌してから、Et2Oと飽和のNaHCO3水溶液とを入れた分液ロートに注入する。そのEt2O層をH2Oで洗浄し、MgSO4上で乾燥を行ったのち、エバポレートすることによって目的とする生成物を80%の収率で得ることができる。本明細書で例示したEtO-以外の実質的にどれかの求核種(ヌクレオファイル)を、その望ましい求核種をアシルブロマイド中間体と反応させることによってカルボニル含有の電子吸引性置換基に導入することができる。
6.1.3.段階B
1−メチル置換体は次の手法でカルボキシアルデヒド置換基に酸化することができる。100mlのアセトニトリル、5mlの水、及び3.7mmolの段階Aのアズレニルエステルを含み、室温で攪拌された混合液に、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(7.8mmol)を一度に添加する。その反応混合液を60分間、室温で攪拌する。次にその反応フラスコの内容物を2リットルのCHCl3に注入し、その溶液をMgSO4上で乾燥を行ったのち濾過して濃縮することによりブラウンの固体が得られる。この固体をシリカゲル(CHCl3を用いて溶出する)上のカラムクロマトグラフィーにかけて精製することによって、赤色の固体が得られる。250mlのEt2Oにこの固体を溶解し、150mlの飽和のチオ硫酸ナトリウム水溶液を用いて分液ロート中で処理することにより激しく振った後で赤いエーテル層が得られるので、続いてそれを100mlの飽和の食塩水溶液を用いて洗浄する。洗浄した有機溶液を無水の硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過を行ってから濃縮することによって2.74mmol(74%)の赤色固体状のアルデヒドを得ることができる。
6.1.4.段階C
カルボキシアルデヒド置換基は、例えばN−tert−ブチルニトロン基に次の方法によって容易に変換する。即ち、段階Bによって得られたアルデヒドの0.2M乾燥ピリジン溶液に、室温でアルゴン気流下、固体のN−tert−ブチルヒドロキシルアミン塩酸塩(1.5〜2.0等量)を添加する。この混合液を攪拌しながら95℃に加熱して1時間経過後、それを室温にまで冷却する。ピリジンを回転式エバポレーターで除去し、残渣をCHCl3に溶解する。CHCl3層を水で洗浄してからMgSO4上で乾燥する。CHCl3をエバポレートしてからその残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH)にかけることによって、緑の固体のアズレニルニトロンが96%の収率で得られる。
6.1.5.段階D
カルボキシアルデヒド置換基は、例えば、DMF中でPOCl3を用いてアズレン出発物質を処理することによってそのアズレンの1位に導入することができる。Hafner, K.及びBernhard, C.の、Angew. Chem. (1957) 69: 533、Treibsらの、Chem. Ber. (1959) 92: 141参照。得られたアルデヒドは、続いて段階Cの方法によってニトロンに変換することができる。
6.1.6.段階E
同様に、スルホン酸基は、例えば、ジオキサン中でSO3を用いてアズレン出発物質を処理することによってグアイアズレンの3位に導入することができ、その後、得られたスルホン酸は水酸化ナトリウムのような塩基で処理される。Miyazaki, S.らの、日本国特許公開公報第3065号、Chem. Abstr. (1960) 54: 13090参照。
6.1.7.段階F
二つのカルボキシアルデヒド置換基は、例えばN−tert−ブチルニトロン置換基に次の方法によって容易に変換される。即ち、ジ−アルデヒドの0.5M乾燥ピリジン溶液に、室温でアルゴン気流下、固体の硫酸マグネシウム(0.1〜0.4等量)と固体のN−tert−ブチルヒドロキシルアミン塩酸塩(2.0〜4.0等量)を添加する。この混合液を攪拌しながら95℃に加熱して一晩攪拌を続ける。室温にまで冷却してからその反応混合液を、60mlのCHCl3と60mlの飽和のNaHCO3水溶液を入れた分液ロート中に注入する。水性層を分離してから30mlのCHCl3で3回洗浄する。有機層を合わせて無水のMgSO4上で乾燥し、濾過を行ってからエバポレートすることによって純粋な目的とするビス−ニトロンが得られる。
6.2.代表的なアズレニルニトロンの合成法
上記に記載された出発物質の一つまたはそれ以上を用いたり、または関心がもたれている他のアズレン環系を用いたりして、数多くのアズレニルニトロンを合成できる。したがって例えば、2,4,6−トリメチルアズレンをエーテル中でオキサリルブロマイドを用いて段階Aの方法で処理することによって、適当な求核種、Nu-を添加した後で3−CONu−置換された4,6,8−トリメチルアズレンを得ることができる。この中間体をビールスマイヤー反応(段階B)の条件においてから、得られたカルボキシアルデヒドをピリジン中でN−tert−ブチルヒドロキシルアミン塩酸塩を用いて処理する(段階C)ことによって、下記に示した化合物が得られる。
Figure 0003887020
式中、置換基Nuは事実上、何らかの求核種の置換基であればよいが、好ましくは水酸基、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基など)、N,N’−ジ(低級アルキル)アミド基(例えば、ジメチルアミド、ジエチルアミドなど)、オキソ塩、トリフルオロメチル基、スペルミン、N−メチルグルタミン、長鎖の脂肪族アミン(例えばC8−C22アミノ基)、スフィンゴシン、ポリリジン、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列、モノクローナル抗体(好ましくは結合鎖を介してリンクされている)、DNAのインターカレーター(例えば、アクリジンなど)、またはヒストンである。
上記の段階の概略に従うことで、下記の表に列挙された化合物が合成される。
表 代表的なアズレニルニトロン
Figure 0003887020
Figure 0003887020
Figure 0003887020
特に、次の合成段階が用いられる。
化合物#1 グアイアズレンで出発して段階A、次に段階B、次に段階Cが用いられる。
化合物#2 段階A(2等量のHNMe2をEtOHと置換)、次に段階B、次に段階Cを行う。
化合物#3 グアイアズレンの段階Dによるビールスマイヤーホルミル化反応、次に段階B、次に段階Cを行う。
化合物#4 段階A(NaOHをEtOHと置換)、次に段階B、次に段階Cを行う。
化合物#5 ジメチルアセタールとしてラクタロビオリンの保護アルデヒド(ベンゼン、MeOH、触媒、パラ−トルエンスルホン酸)、次に(F3CCO)2Oを用いるトリフルオロアセテート化、エーテル、室温[参照:Anderson, A. Jr.らの、J. Org. Chem. (1965) 30: 131]、アセタールのH3+加水分解、次に段階Cを行う。
化合物#6 段階A(2等量の[NB:2d等量の捕獲剤HCl]スペルミンをEtOHと置換)、次に段階B、次に段階C[NB:スペルミンのアミノ基上で反応が進行する]を行う。
化合物#7 段階A(2等量のHNEt2をEtOHと置換)、次に段階B、次に段階Cを行う。
化合物#8 段階A(2等量のN−メチルグルタミンをEtOHと置換)、次に段階B、次に段階Cを行う。
化合物#9 段階A(2等量のオクタデシル−アミンをEtOHと置換)、次に段階B、次に段階Cを行う。
化合物#10 段階A(2等量のスフィンゴシンをEtOHと置換)、次に工程B、次に段階Cを行う。
化合物#11 段階A(ポリリジンをEtOHと置換)、次に段階B、次に工程Cを行う。
化合物#12 段階A(ポリ(dG)10のようなアンチセンスオリゴヌクレオチドをEtOHと置換)、次に段階B、次に段階Cを行う。
化合物#13 段階A(モノクローナル抗体[NB:例えばATCCカタログに列挙されたモノクローナル抗体Ab]をEtOHと置換)、次に段階B、次に段階Cを行う。
化合物#14 段階A(H2N(CH23NH[アクリジニル]をEtOHと置換)、次に段階B、次に段階Cを行う[参照:Plouvier, B.らの、Bioconjugate Chemistry (1994) 5: 475(アクリジン生物複合体)]。
化合物#15 段階A(ヒストン[NB:例えばSigmaから入手可能な仔ウシの胸腺から得られるヒストン タイプ−II AS]をEtOHと置換)、次に段階B、次に段階Cを行う。
化合物#16 グアイアズレンの段階Dによるビールスマイヤーホルミル化反応、次に2等量以上のtert−ブチルNHOH・HClを用いて段階Cを行う。
化合物#17 ラクタロビオリンで出発して段階Cを行う。
化合物#18 1−アズレンカルボキシアルデヒド[NB:この出発物質は、段階Dにしたがってアズレンが関与するビールスマイヤー反応を行うことによって容易に入手できる]で出発して、2等量以上のtert−ブチルNHOH・HClを用いて段階Cを行う。
化合物#19 6−アズレンカルボキシアルデヒド[参照:Huenig, S.らの、Liebigs Ann. Chem. (1986) 1222(6−アズレンカルボキシアルデヒド及び4−アズレンカルボキシアルデヒドの合成)]で出発して、段階Cによってニトロンを得る。
化合物#20 4−アズレンカルボキシアルデヒドで出発して、段階Cによってニトロンを得る。
化合物#21 NaNCH3Phを用いてグアイアズレンのC−4チル基を脱水素化することによって、そのグアイアズレンを金属化し[参照:Kurokawa, S.の、Bull. Chem. Soc. Jpn. (1979) 1748(C−4メチル基でグアイアズレンを金属化する)]、次に得られた有機ナトリウム種をCl(PO)(OMe)2でクエンチし、得られるリン酸塩をLDA/THFを用いて金属化してから、アセトンを用いてホーマー・ワーズワース・エモンズオレフィン化反応を行い、続いて二重結合をオゾン分解することによって、アルデヒドを生成し、次に段階Cを行う。
化合物#22 化合物#19に対するのと同様に、アズレンをグアイアズレンで置換して行う。
化合物#23 この化合物は、ゴーケル−変形型ゴンベルグ−バッハマン反応の条件下で、化合物#1がフェニルラジカルを捕獲する場合に形成されるニトロキシドの不均化反応によって合成する。即ち化合物#1(100mMのベンゼン溶液)を、1等量のPh−N2BF4、2等量のKOAc、及び5モル%の18−クラウン−6に、室温で1.5時間触れさせるような条件である[参照:Gokel. G. W.らの、J. Org. Chem. (1984) 49: 1594]。仕上げは溶媒のエバポレートとプレパラティブTLC(1:1EtOAc:Hex)による精製が関与する。化合物#23は緑色である。
化合物#24 グアイアズレンのシアン酸化反応[参照:Kitahara, Y.及びKato, T.の、Bull. Chem. Soc. Jpn. (1964) 37: 859]、次に工程B、次に段階Cを行う。
化合物#25 AlCl3、ClSO2CH3、CH2Cl2を用いて室温でグアイアズレンを処理し[参照:Repogle, L. L.らの、J. Org. Chem. (1967) 21: 1909(3−アズレニルスルホン)]、次に段階B、次に段階Cを行う。
化合物#26 グアイアズレンの段階Eによるスルホン酸化反応、次に段階B、次に段階Cを行う。
化合物#27 AlCl3、Cl(PO)(OMe)2、CH2Cl2を用いて室温でグアイアズレンを処理し、次に段階B、次に段階Cを行う。
化合物#28 段階Bを行う前に、NaOHを用いて加水分解を行う以外は化合物#27と同じである。
化合物#29 ラクタロビオリンの触媒性の水素化反応を行い、次にHNO3/H2SO4を用いてAcOH中、0℃で硝酸化反応を行い、次に段階Cを行う。
化合物#30 化合物#1をPh3=CHCHOを用いてウィティッヒ反応を行い、次に段階Cを行う。
化合物#31 ラクタロビオリンのオゾン分解を行い、次に段階Cを行う。
化合物#32 段階Cにおいて、tert−ブチルNHOH・HClをPhNHOH・HClで置換して化合物#1で行ったのと同様に行う。
化合物#33 ラクタロビオリンの触媒性の水素化反応を行い、次に段階Cを行う。
化合物#34 1,3−アズレンジカルボキシアルデヒド[参照:Hafner, K.及びBernhard, C.の、Annalen (1959) 625: 108]で出発して、段階Fによってビス−ニトロンを得る。
化合物#35 段階Aを用いて、1,2−ビス(グアイアズレニルエチレン)で出発し、次に段階B、次に段階Cを行う。
6.3.常磁性体及び反磁性体の検出、クエンチ及び特徴付け
6.3.1.電子スピン共鳴スペクトロスコピー
本発明の色を発生するアズレニルニトロンは、付加体の形成を比色法で指示できるようにすることでフリーラジカル種の検出を容易に行う。例えば化合物#1のアズレニルニトロンは緑色であるが、これに対して炭素中心のラジカルを持つ反磁性のスピン付加体及び常磁性のスピン付加体は紫色である。常磁性体はうまくESRによって検出することができる。スピン付加体の単離は、それぞれの発色団の位置を示すクロマトグラフィープレートのバンドが色付いて見えるため、たとえその発色団が反磁性の結合体であったり、不均化体であったり、また最初に形成されたニトロキシドの還元生成物であったりしても、容易に行うことができる。
化合物#(100mMのベンゼン溶液)を1等量のアゾ化合物、即ち、(CH32CHCH2(CH3)C(CN)N=N(CN)C(CH3)CH2CH(CH32、AMVNにさらし、75℃で20分間加熱する。室温にまで冷却してからその溶液をESRチューブに移し、ESRスペクトロスコピーによって測定する。観察されたESRスペクトルは図1に示されている。ESRチューブの内容物をプレパラティブTLCプレート(SiO2)にかけ、99:1(v/v)のCHCl3:MeOHを用いて溶出する。紫色のバンドをそのプレートからかきとり、99:1(v/v)のCHCl3:MeOHを用いてSiO2から抽出する。その溶液を乾燥するためにエバポレートし、残渣を100μlのベンゼンに溶解してから清浄なESRチューブに移す。観察されたESRスペクトルを前に記録したものと同定すると、単離された紫色の生成物は前のESRシグナルに原因があることを示している。
同様に、高度に着色した反磁性のスピン付加体のクロマトグラフィーによる分離も行うことができる。
6.3.2.発色性のアッセイ
化合物#(10mg)を50mlのコーンオイルに溶解し、得られる緑色のオイルを酸素の存在する条件で室温にて4カ月から7カ月維持する。この期間で溶液の色は緑色から黄色、そして赤色へと変化し、それはオイルの進行的に増加する悪臭を反映している。化合物#は、連続的に空気にさらされたクロロベンゼン(植物オイルとは違って、容易に酸化される置換基を含まない溶媒)に添加すると、時間を経過しても未変化のままであることに気づく。
6.4.診断上、予防上、または治療上の応用
6.4.1.老化が促進されたマウス(SAM−P8)の寿命の延長
SAM−P8マウスはProf. Toshio Takeda(日本国、京都大学)より入手できる。このマウスは、12時間の光/暗闇サイクルになっている標準的な条件に置かれた施設で25℃で維持し、水と通常食は無制限に与える。3カ月の月齢のマウスを4つのグループに分割し、そのうち2つのグループ(12匹の雄のマウスと12匹の雌のマウス)はコントロールとして用い、また2つのグループは実験用のグループ(13匹の雄のマウスと12匹の雌のマウス)として割り当てる。実験用グループはアズレニルニトロン(化合物または26のいずれかを、30mg/kg、腹腔内注射)を毎日投与し、それらの体重を測定する。コントロールグループは食塩水を注射したいわば仮病のマウスである。
研究の終了時には、本発明のアズレニルニトロンがSAM−Pマウスの寿命を有意に延長させる(即ち、約20〜30%)ことが観察された。
6.4.2.ヒトの二倍体繊維芽細胞における老化の遅延化
IMR−90細胞は、the Coriell Institute for Medical Researchより、集団倍加レベル(PDL)10.85で入手する。この集団倍加(pD)は、log2(D/D0)で計算されるが、式中、Dは収穫した時の細胞密度であり、D0は植え付けた時の細胞密度である。保存中の培養物は、透析した胎児のウシ血清(Sigma)、10%(v/v)を補充した10mlのダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)を入れた100mmのCorningの組織培養皿で毎週分割し、増殖する。
寿命に対する環境中の酸素の影響をテストするために、細胞を25cm2のCorningのフラスコにおいて5mlの培地を用いて培養する。早期の通過細胞はフラスコあたり0.1〜0.3×106個の細胞を植え付け、また後期の通過細胞はフラスコあたり0.5×106個の細胞を植え付ける。このフラスコは3%のO2/5%のCO2/92%のN2の混合ガスを用いて、または20%のO2/5%のCO2/75%のN2の混合ガスを用いて30秒間ガス化し、続いて栓で塞いでから37℃でインキュベートする。この培養物は、細胞がコンフルエントに達したあとで分割する。早期の通過細胞は通常、5日か6日でコンフルエントに達するが、後期の通過細胞はより大きな密度で植え付けを行った場合でさえも、10〜14日で飽和密度に達する。老化期の細胞は、少なくとも21日間でも二倍にならなかった。
細胞の複製寿命に対するアズレニルニトロンの効果を調べるために化合物26(保存−リン酸緩衝化食塩水中50mMで)を、それぞれが分割した後で最終濃度が200〜1200μMになるように培養培地に添加する。細胞が7日たっても分割しないならば、その細胞を化合物26を含む新しい培地にまく。
化合物26は未処理の細胞に比べて老化の開始を遅らせるだけでなく、アズレニルニトロンはまた、用量依存性の様式で老化に近い細胞を若返らせることがわかる。
6.4.3.スプレイジ−ドウレイ−ラットの認識に基づいた行動の改善
40匹の雄のスプレイジ−ドウレイ−ラット(月齢24カ月)をそれぞれ8匹のラットを含む5つのグループに分割する。3つのグループは3〜5カ月間にわたって毎日、アズレニルニトロンの異なる用量(5mg/kg、15mg/kg、及び30mg/kg)を食塩水溶液に入れて腹腔内注入を行って処理する。4番目のグループは20日間だけ15mg/kgのアズレニルニトロンを用いて処理する。5番目のグループは食塩水のみを用いて処理し、コントロールとして作用させる。
決められた処理期間の1カ月後に、それぞれのグループをモーリスの水迷路でテストする。このラットは、習得(即ち、学習)速度、記憶保持、無抵抗な回避行動、運動活性、運動技術及び脳の脂質の過酸化反応の基本レベルの違いについて得点を付ける。後者はTBARの形成によって測定することができる。コントロールのグループ及び20日間のみ処理を行ったグループに比較して、少なくとも3カ月間、5、15及び30mg/kgのアズレニルニトロンを投与したグループのラットは、習得期間及び記憶の保持について認識に基づいた行動の改善が見られることが判明し、また5カ月間の慢性治療の後では、脳の脂質の過酸化反応のレベルが減少したこともさらに判明する。
この結果は、フリーラジカルをベースとした脳の機能及び生理機能のエージングによる不快な影響を阻害するという本発明のアズレニルニトロンの効果を証明している。
6.4.4.多臓器機能不全及びサイトカインの分泌の減少
リポ−多糖類の食塩水溶液を16匹の雄のスプレイジ−ドウレイラットに投与することにより、臓器の機能不全を誘導し、かつ腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−アルファ)、インターロイキン−1アルファ(IL−1アルファ)及びインターロイキン−1ベータ(IL−ベータ)のようなさまざまなサイトカインの分泌をもたらす。リポ多糖類(LPS)を投与する30分から45分前に、半数のラットに対してさまざまな用量(5〜100mg/kg)のアズレニルニトロンの腹腔内注入による処置を行う。例えばアスパルテート アミノトランスフェラーゼ(AST)やアラニン アミノトランスフェラーゼ(ALT)の血清レベルのような数種のマーカーをモニターする。AST及びALTのレベルは、リポ多糖類が誘導する肝臓の損傷の指標として用いられる。また、尿やクレアチンの血清レベルをモニターすることは、リポ多糖類によって誘導される腎臓の損傷を示す。
これらの肝臓及び腎臓における損傷のマーカーが用量依存的に減少することは、アズレニルニトロン投与に関連しているらしいとわかる。アズレニルニトロンは、リポ多糖類誘導性の肺浮腫を抑制する(即ち、病気に備えて予防的に作用する)ことができる。このニトロンはまた、血小板減少症及び白血球減少症の両方についてある程度の阻害作用も示す。さらに多糖類で刺激されたTNF−アルファ、IL−1アルファ及びIL−1ベータの血清レベルが顕著に減少することも観察される。
6.4.5.コレステロールと低密度リポタンパク質(LDL)のトリグリセライドの酸化的変形の阻害
アルブミンを持たないLDLを、50mMのほう酸を含むpH9.0の緩衝液で透析する。またこれとは別に、0.15MのNaCl/5mMのトリス/1mMのCaCl2/0.1mMのEDTAを含むpH7.4の緩衝液を用いてもよい。透析は4℃で48時間かけて、緩衝液を6回まで交換しながら窒素雰囲気下で行う。透析されたLDL(0.5mgタンパク質/ml)は、ハチの毒液のホスホリパーゼA2(PLA2、3.3ユニット/ml)とともに37℃でインキュベートする。2時間後、26,000ユニット/mlの大豆のLO(SLO、タイプV、Sigma, St. Louis, MO)を添加する。続いてインキュベートを、優しく揺り動かしながら大気圧の下で37℃にて続ける。
アズレニルニトロンのないところでのLDLの酸化的修飾について、ベースラインのレベルを決定するため、24時間以上の予め決められた時間間隔でアリコートを採取する。タンパク質はLowry, H. O.らの、J. Biol. Chem. (1951)に記載された方法によって測定することができ、また中性脂肪のグラフは、Kuksis, A.らの、J. Chromatogr. Sci. (1975) 13: 423に記載された方法によって得ることができる。
アズレニルニトロンの効果は、LDL/PLA2含有のインキュベートする混合物に、アズレニルニトロンをさまざまな最終濃度(0、0.5、1.0、2.0、5.0及び10.0mM)で、0時点に添加することによって検査する。2時間後、氷水中でインキュベート用チューブを冷却してその反応をクエンチし、3mMのEDTA/0.05%(w/v)をアルゴン雰囲気下で添加してグルタチオンを減少させる。
この結果は、本発明のアズレニル化合物がコレステロールエステルとLDLのトリグリセライドの酸化を用量依存的に、ただし直線的である必要はないがそのような依存的様式で阻害することを示している。
好ましい態様についての前述の実施例は本発明を説明するために簡略化されている。本発明の他の態様も当業者に明らかであり、それは本発明の範囲及び精神に含まれると考えられる。したがって、いかなる場合にせよ、実施例は本発明を制限するものと考えるべきではなく、本発明は下記の請求の範囲によってのみ制限される。
6.4.6.インビボでの診断的応用
アズレニルニトロンが血液脳関門を通過する能力は、脂質(例えば、レシチン、リポソーム、リポフェクチン、またはリポフェクタミン)混合物に混入したニトロンを齧歯動物に投与し、ニトロンやアルデヒドについて血液及び脳を分析することによって測定する。一実施例として、リポソームをベースとする混合物に1.5mg/mlの濃度で入っているアズレニルニトロンを用い、約15mg/kgの用量を静脈内投与する。血液をサンプリングし、脳は食塩水を用いて潅流する。その後その脳を除去する。アズレニルニトロン1を血液の血しょうと脳の組織から抽出して測定する。これによって、高い濃度のアズレニルニトロンがそのマウスの血しょうよりもそのマウスの脳に含まれていることが明らかとなり、そのうえ、アズレニルニトロン1が血液脳関門を通過して脳の組織に吸収されていることも証明される。
さらに、虚血性の状態が齧歯動物に誘導されている場合には、高い濃度のアルデヒド副産物がその齧歯動物の脳から検出できることが示される。一例を挙げると、数匹のテスト用アレチネズミといわば仮病のアレチネズミに、リポソームをベースとする溶液内のアズレニルニトロンを100mg/kgで腹腔内(ip)注射する。注射して30分後に、続いて再潅流が起きて両側の頚動脈閉塞(BCO)がそのテスト動物に発生する。その齧歯動物の海馬状組織におけるニトロンに対するアルデヒドの比率を測定すると、BCO処理をおこなったテスト用の齧歯動物に対する比率の方が高いことがわかる。これによって、BCO処理を行った齧歯動物が、虚血性の状態に起因してその海馬にフリーラジカル種を発生させたと予測できる。アズレニルアルデヒド生成物が高い濃度であることは、アズレニルニトロンのフリーラジカルトラッピング作用の機構と一致しており、これらのニトロンの利用性が高いことを証明している。そのうえこのように発生したアルデヒド生成物は、フリーラジカルの形成領域、即ち脳の組織で支配的に単離されることがわかる。実質的な量のアズレニルアルデヒド生成物は血液中には見られない。
6.4.7.インビボでの神経保護作用
このモデルでは、齧歯動物の頚動脈を外科的に締め付けて所定の期間が経過した後でその締め付けを開放することにより、再潅流とそれに続いて起こる酸素のフリーラジカルの形成を生じさせる。このテスト用齧歯動物には、締め付け処理を行う前のある時点で100mg/kgのアズレニルニトロン1を腹腔内投与し、さらに締め付けた後のある時点で100mg/kgを投与する。再潅流の数日後、そのテスト用動物の海馬状組織の細胞と何もしていない動物の海馬状組織の細胞とを対比する。予想のとおり、細胞生存性の80%の消失が何もしていない齧歯動物では観察されたが、アズレニルニトロンを投与した齧歯動物では約2倍もの数の生存している細胞が観察される。したがって本発明は、神経保護剤として機能し、虚血や再潅流により引き起こされる病毒に冒される体積を減少させる。
6.4.8.抗炎症性の局所治療法
これらの組成物は溶液剤、クリーム剤、粉末剤、ゲル剤、軟膏剤、またはローション剤の形態になる。それらはまた、化粧品もしくは変身用製品、または皮膚科用のケーキ(ひとかたまりのもの)であってこれらのタイプの組成物では標準的な成分を含むケーキも構成する。
クリーム剤は次のように調製する。
アズレニルニトロン34 1〜0.25g
酸化チタン 10g
赤の酸化鉄 0.3g
黄色の酸化鉄 0.2g
茶色の酸化鉄 0.4g
栗色の酸化鉄 0.2g
数種のステアリルアルコールは以下のものを用いて33モルでオキシエチレン化する。
酸化エチレン 7g
プロピルパラヒドロキシベンゼン 0.2g
ステアリン酸ポリグリコール 6g
水、Q.S.P. 100g
すぐ上に記載したクリーム剤と同様の他のクリーム剤は、アズレニルニトロン34を前に述べたニトロン化合物のうちのどれかと置換して調製する。
皮膚科用のケーキは、次の成分を一緒に混合して調製する。
イソシアン酸ナトリウムエステル 75gおよび
コプラ脂肪酸(化学式R−COO−CH2−CH2−SO3−Na(式中、Rは12〜15個の炭素原子を持つ脂肪酸誘導体に等しい)を有し、「IGEPON A」という商品名で販売されている。)
ラノリン誘導体 22.75g
アズレニルニトロン、酸のNa塩) 0.75g
上記に定義したのと同様の他の皮膚科用クレンジングケーキは、アズレニルニトロン、酸のNa塩)を前に述べた活性な化合物のうちのどれかと置換して調製する。
次の混合物を含む粉末剤
タルク 99.6g
グリセリンオレアート 3.0g
イソプロピルミリステート 7.0g
アズレニルニトロン 0.5g
香料 2cc
上記に定義したのと同等なその他の有効な粉末組成物は、活性な成分であるアズレニルニトロンを他の前述した活性な化合物のうちのどれかと置換する以外は同様に調製する。
クリーム剤は、0.5gのアズレニルニトロンまたは0.2gの34を30.0gのプロピレングリコールに分散させることによって作る。次にこの混合物を均質化して、F. W. Martinらの、「レミントンの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」,第14版Mark Publishing Co., Easton, Pa. 1965に記載された手法のうちのどれかひとつを変形することによって97.4gの最終的なクリーム剤、軟膏、またはローション剤にする。
6.5.他の適用法
本発明のアズレニルニトロンは、さまざまな他の動物の治療において、またフリーラジカルの不適当な作用によって仲介される状態、即ち、これらに限定するわけではないが、酸化性の組織の障害、CNS脊索の障害及び眼の疾患、進行性の神経疾患、脳血管障害による急性CNSの酸化、徐々に起こるCNS酸化、片頭痛、胃のびらん、潰瘍、一種の下痢、胃炎、食道炎、超炎、組織内のATPの枯渇、末梢期間の疾患(例えばアテローム性動脈硬化症、床ずれ、怪我、及び筋肉の過伸長)、ショック、短期間の記憶喪失などの記憶障害などの状態において、さらにその有用性が認められる。本発明の化合物はまた、鎮痛薬として、特に非ステロイド性の抗炎症薬(即ち、NSAID)として用いることもできる。上記に列挙した適用についてのさらなる情報については、関心のある読者は米国特許第Re 35112号、第5,025,032号、第5,508,305号、第5,488,148号、第5,036,097号、第5,475,032号、第5,292,746号及び第5,405,874号を参照できる。なおこれらの特許明細書のそれぞれの開示内容は、参照文献として本明細書中に組み入れる。

Claims (30)

  1. 次の化学式で表される化合物またはそれらの塩:
    Figure 0003887020
    式中、
    R1は、水素、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、または6〜10個の炭素原子を含むアリール基であり、
    R2は、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、または6〜10個の炭素原子を含むアリール基であってもよく、
    R3は、水素、または1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基であってもよく、
    R4は、水素、または1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基であってもよく、
    R’は、1〜6個の炭素原子を含む直線状または分枝状のアルキル基であってもよく、
    Wは、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、6〜10個の炭素原子を含むアリール基、または、カルボン酸基、カルボン酸メチル又はエチルエステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸メチル又はエチルエステル基、トリフルオロメチルケトン基、トリフルオロアセチル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトロン基、アルデヒド基、リン酸基、リン酸メチル又はエチルエステル基、メチルスルホキサイド基、メチルスルホン基、またはそれらの塩からなる群から選択される基であってもよく、
    nは、0、1、または2(nが2である場合、それぞれのWは互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、
    mは、0、1、2、または3(mが2または3である場合、それぞれのR’は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、
    oは、1または2(oが2である場合、それぞれのR1及びR2は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、
    pは、0、1、または2(pが2である場合、それぞれのR3及びR4は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよい。
  2. pが0である、請求項1記載の化合物。
  3. nが1である、請求項1記載の化合物。
  4. mが1または2である、請求項1記載の化合物。
  5. 置換基R1、R3及びR4がすべて水素である、請求項1記載の化合物。
  6. 少なくとも一つのR’がメチル基である、請求項4記載の化合物。
  7. 少なくとも一つのR’がエチル基またはイソプロピル基である、請求項4記載の化合物。
  8. 置換基R2がtert-ブチル基である、請求項1記載の化合物。
  9. Wが、カルボン酸基、カルボン酸メチル又はエチルエステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸メチル又はエチルエステル基、トリフルオロメチルケトン基、トリフルオロアセチル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトロン基、アルデヒド基、リン酸基、リン酸メチル又はエチルエステル基、メチルスルホキサイド基、メチルスルホン基、またはそれらの塩からなる群から選択される基である、請求項1記載の化合物。
  10. 置換基Wが3位に結合している場合、(CHR3=CR4)PC(R1)=N+(R2)O-が1位に結合している、請求項1記載の化合物。
  11. mが2であってもよく、かつ置換基R’が4位と7位に結合している、請求項10記載の化合物。
  12. 置換基Wが、カルボン酸基、カルボン酸メチル又はエチルエステル基、スルホン酸基、スルホン酸メチル又はエチルエステル基、トリフルオロメチルケトン基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アルデヒド基、リン酸基、リン酸メチル又はエチルエステル基、メチルスルホキサイド基、メチルスルホン基、またはそれらの塩であってもよい、請求項9記載の化合物。
  13. 置換基Wがトリフルオロアセチル基である、請求項12記載の化合物。
  14. oが1である、請求項1記載の化合物。
  15. 2-メチル[1-(3-カルボン酸-7-イソプロピル-4-メチル)アズレニルメチレン]-2-プロパンアミンN-オキサイド、そのエステル、アミド、または塩である、請求項1記載の化合物。
  16. 2-メチル[1-(3-カルボエトキシ-7-イソプロピル-4-メチル)アズレニルメチレン]-2-プロパンアミンN-オキサイドである、請求項1記載の化合物。
  17. 2-メチル[1-(3-スルホン酸-7-イソプロピル-4-メチル)アズレニルメチレン]-2-プロパンアミンN-オキサイド、そのエステル、アミド、または塩である、請求項1記載の化合物。
  18. 2-メチル[1-(3-メチルスルホニル-7-イソプロピル-4-メチル)アズレニルメチレン]-2-プロパンアミンN-オキサイドである、請求項1記載の化合物。
  19. 次の化学式で表される化合物またはそれらの塩:
    Figure 0003887020
    式中、
    R1は、水素、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、または6〜10個の炭素原子を含むアリール基であってもよく、
    R2は、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、または6〜10個の炭素原子を含むアリール基であってもよく、
    R’は、1〜6個の炭素原子を含む直線状または分枝状のアルキル基であってもよく、
    Wは、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、6〜10個の炭素原子を含むアリール基、または、カルボン酸基、カルボン酸メチル又はエチルエスチル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸メチル又はエチルエステル基、トリフルオロメチルケトン基、トリフルオロアセチル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトロン基、アルデヒド基、リン酸基、リン酸メチル又はエチルエステル基、メチルスルホキサイド基、メチルスルホン基、またはそれらの塩からなる群から選択される基であってもよく、
    mは、0、1、2、または3(mが2または3である場合、それぞれのR’は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよい。
  20. 金属塩の形である、請求項19記載の化合物。
  21. 金属塩が、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩である、請求項20記載の化合物。
  22. アンモニウム塩またはテトラアルキルアンモニウム塩の形をとっている、請求項19記載の化合物。
  23. 肉眼では緑色に見える、請求項19記載の化合物。
  24. 1,3-ビス(2-メチル-2-プロパンアミンN-オキサイド)アズレニルジメチレンである、請求項1記載の化合物。
  25. 1,3-ビス(2-メチル-2-プロパンアミンN-オキサイド)-7-イソプロピル-4-メチルアズレニルジメチレンである、請求項1記載の化合物。
  26. 有効量の請求項19記載の化合物と薬学的に許容される担体とを含む、反応性のフリーラジカルによって仲介されるか開始される病的状態の不快な症状を緩和するための薬学的組成物。
  27. 次の化学式で表される化合物またはそれらの塩と、担体とを含む、薬学的組成物。
    Figure 0003887020
    式中、
    R1は、水素、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、または6〜10個の炭素原子を含むアリール基であってもよく、
    R2は、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、または6〜10個の炭素原子を含むアリール基であってもよく、
    R3は、水素、または1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基であってもよく、
    R4は、水素、または1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基であってもよく、
    R’は、1〜6個の炭素原子を含む直線状または分枝状のアルキル基であってもよく、
    Wは、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、6〜10個の炭素原子を含むアリール基、または、カルボン酸基、カルボン酸メチル又はエチルエステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸メチル又はエチルエステル基、トリフルオロメチルケトン基、トリフルオロアセチル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトロン基、アルデヒド基、リン酸基、リン酸メチル又はエチルエステル基、メチルスルホキサイド基、メチルスルホン基、またはそれらの塩からなる群から選択される基であってもよく、
    nは、0、1、または2(nが2である場合、それぞれのWは互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、
    mは、0、1、2、または3(mが2または3である場合、それぞれのR’は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、
    oは、1または2(oが2である場合、それぞれのR1及びR2は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、
    pは、0、1、または2(pが2である場合、それぞれのR3及びR4は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよい。
  28. 次の化学式で表される化合物またはそれらの塩から選択されるアズレニルニトロンと、フリーラジカルとの結合生成物を含むスピン付加体。
    Figure 0003887020
    式中、
    R1は、水素、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、または6〜10個の炭素原子を含むアリール基であってもよく、
    R2は、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、または6〜10個の炭素原子を含むアリール基であってもよく、
    R3は、水素、または1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基であってもよく、
    R4は、水素、または1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基であってもよく、
    R’は、1〜6個の炭素原子を含む直線状または分枝状のアルキル基であってもよく、
    Wは、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、6〜10個の炭素原子を含むアリール基、または、カルボン酸基、カルボン酸メチル又はエチルエステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸メチル又はエチルエステル基、トリフルオロメチルケトン基、トリフルオロアセチル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトロン基、アルデヒド基、リン酸基、リン酸メチル又はエチルエステル基、メチルスルホキサイド基、メチルスルホン基、またはそれらの塩からなる群から選択される基であってもよく、
    nは、0、1、または2(nが2である場合、それぞれのWは互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、
    mは、0、1、2、または3(mが2または3である場合、それぞれのR’は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、
    oは、1または2(oが2である場合、それぞれのR1及びR2は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、
    pは、0、1、または2(pが2である場合、それぞれのR3及びR4は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよい。
  29. 次の化学式で表される化合物またはそれらの塩から選択されるアズレニルニトロンと、フリーラジカルとの結合生成物を含むスピン付加体。
    Figure 0003887020
    式中、
    R1は、水素、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、または6〜10個の炭素原子を含むアリール基であってもよく、
    R2は、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、または6〜10個の炭素原子を含むアリール基であってもよく、
    R’は、1〜6個の炭素原子を含む直線状または分枝状のアルキル基であってもよく、
    Wは、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、6〜10個の炭素原子を含むアリール基、または、カルボン酸基、カルボン酸メチル又はエチルエステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸メチル又はエチルエステル基、トリフルオロメチルケトン基、トリフルオロアセチル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトロン基、アルデヒド基、リン酸基、リン酸メチル又はエチルエステル基、メチルスルホキサイド基、メチルスルホン基、またはそれらの塩からなる群から選択される基であってもよく、
    mは、0、1、2、または3(mが2または3である場合、それぞれのR’は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよい。
  30. 次の化学式で表される化合物またはそれらの塩:
    Figure 0003887020
    式中、
    R1は、水素、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、または6〜10個の炭素原子を含むアリール基であってもよく、R2は、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、または6〜10個の炭素原子を含むアリール基であってもよく、
    R3は、水素、または1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基であってもよく、
    R4は、水素、または1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基であってもよく、
    R5は、水素、または1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基であってもよく、
    R6は、水素、または1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基であってもよく、
    R’は、1〜6個の炭素原子を含む直線状または分枝状のアルキル基であってもよく、
    Wは、1〜6個の炭素原子を含む直線状もしくは分枝状のアルキル基、6〜10個の炭素原子を含むアリール基、または、カルボン酸基、カルボン酸メチル又はエチルエステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸メチル又はエチルエステル基、トリフルオロメチルケトン基、トリフルオロアセチル基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトロン基、アルデヒド基、リン酸基、リン酸メチル又はエチルエステル基、メチルスルホキサイド基、メチルスルホン基、またはそれらの塩からなる群から選択される基であってもよく、
    nは、0、1、または2(nが2である場合、それぞれのWは互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、
    mは、0、1、2、または3(mが2または3である場合、それぞれのR’は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、
    oは、1または2(oが2である場合、それぞれのR1及びR2は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、
    pは、0、1、または2(pが2である場合、それぞれのR3及びR4は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよく、
    qは、0、1、2、3、または4(qが1以上のとき、R5及びR6は互いに同じであっても、異なっていてもよい)であってもよい。
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