JP3884537B2 - タイヤの加硫成型用金型及び加硫成型方法 - Google Patents

タイヤの加硫成型用金型及び加硫成型方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明のその一は、タイヤの加硫成型用金型、より詳細には、上下型ドームタイプの加硫機に着脱自在に取付ける二つ割り上下合わせ型のタイヤ加硫成型用金型に関し、特に、従来形式の金型の場合にはこれに極く僅かな加工を施すのみで、新たな金型を製造する場合には製造時に簡易部品を同時に付加するのみで、多数本のベントホール加工を省略しても、またベントホールを設けるにしても従来に比し大幅に個数を減少させて、有利にタイヤにベアー故障を発生させずに未加硫タイヤに加硫成型を施すことが可能で、しかもベントホール加工費用と相殺可能なコスト上昇に止め得るタイヤの加硫成型用金型に関し、
この発明のその二は、タイヤの加硫成型方法、より詳細には、この発明その一の金型を用いたタイヤ加硫成型方法に関し、特に、加硫成型後のタイヤにスピュウがなく、仮にスピュウが存在しても極く僅かな本数に止めることができ、従って加工工数の低減と低コストとが実現でき、かつベアーの発生がなくスピュウ除去痕が存在しないか、スピュウ除去痕が存在しても僅かである優れた外観性を有するタイヤを提供することが可能なタイヤの加硫成型方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
未加硫タイヤを金型により加硫成型するとき、未加硫タイヤ内部に高圧ガス、例えば14〜28kgf/cm2 の高圧スチーム、高圧窒素ガスなどを導入して金型内面に未加硫タイヤを押圧し、製品タイヤに所定形状の外側輪郭を形成させる。
【0003】
その際、金型内面と加硫成型対象のタイヤとの間にエアーを閉じ込める(トラップすると、エアートラップ箇所が加硫成型完了後の製品タイヤ外側表面に一般にベアーと呼ばれる、金型内面と非接触の外観不良箇所を形成してしまうことは良く知られた事実である。
【0004】
そこでこの不良発生を阻止するため、金型に閉じ込めたエアーを逃がす多数本のベントホールを設け、それでもベアー不良が改善されない場合は或るベントホール相互間を繋ぐベント溝を切り込むのも良く知られている。勿論ベントホールは金型を貫通していてトラップされたエアーを金型外部に排出する。
【0005】
しかしベントホールはトラップされたエアーの逃げ道でもある一方で、加硫成型中の未加硫タイヤの流動性を増したゴムもベントホール内に流れ込むのは不可避であり、これらベントホール内に流れ込んだゴムは製品タイヤとなったときスピュウと呼ばれる細長いゴムの突出柱を形成する。この種のスピュウはタイヤ性能と無関係であり、却ってタイヤの外観を損ねるので、仕上げ工程で切除しなければならない。よってベントホールは必要悪とも言えるもので、本数が少なければ少ない程良く、無いにこしたことはない。
【0006】
そこで特開昭62−21906号公報では、金型が二つ割り上下型合わせタイプの金型を用いた加硫成形においてスピュウが存在しない空気入りタイヤの成形方法を提案していて、その提案内容は、上下型合わせ金型それぞれの周囲にシール機構を設けて各金型を完全に閉じる前に未加硫タイヤを収容した上下型金型間を閉空間とし、この閉空間形成までの間に未加硫タイヤの内部ブラダ内に10〜100kPa の流体を供給して予備成形を行い、上下型を接近させながら上下型内面から突出させたトレッドパターン形成用リブの頂部に未加硫タイヤの表面を接触させ、この接触により接触部のショルダ側空所が密閉されるまでに閉空間の圧力をブラダ内圧力の1/13H(Hはリブ高さmm)以下に減圧することにより、ベアの発生を阻止する、というものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報が提案する方法では、金型をドームタイプの加硫機に取付ける場合、加硫機を全閉前に一旦停止させてドーム内部をバキュウムしなければならず、必要とする加硫機全てに新規にシール機構を設ける必要がある。しかしドーム自体の外側寸法が著しく大きいため、この種のシール機構は技術的な困難性を伴う他、加硫機台数が多い場合は多額の設備投資を必要とする。また本来なら閉空間を形成した金型と未加硫タイヤとの間の小空間のみのバキュウムで済むところ、ドーム内部の広い空間全体までをもバキュウムしなければならず、バキュウム効率が著しく劣る。
【0008】
上記問題を解決するため、二つ割り上下合わせ金型を覆い包むコンテナを用い、このコンテナに収容した金型をドームタイプ加硫機に適用するとして、コンテナにシール機構を設けることを試みた(特開平9−183124号公報)。この種のシール機構の構造は簡単で高精度が得られること、そしてスピュウを無くす点、スピュウ本数を削減する点では目的を達成し得ることが分かったが、更めてコンテナを準備する費用は少なからず、結局金型としてはコスト上昇を招き、さらに性能面ではコンテナと金型との間に真空層が形成されるため、ドーム内の加熱源、例えばスチームの熱が金型に伝わり難いので、結局加硫成型時間を大幅に延長せざるを得ないという、現実性に欠ける問題が存在することが分かった。
【0009】
従ってこの出願の請求項1に記載した発明は、用いる技術の難易度合いが低い簡単な構造を有し、極めて安価な投資費用で済み、高い加硫成型効率の下で、ベントホールを必要としないか、もしくは必要とするにしても僅かなベントホール本数の配設で済み、加硫成型タイヤにベアー故障を発生させないタイヤの加硫成型用金型の提供を目的その一とし、
この出願の請求項2〜4に記載した発明は、現在稼働中のドームタイプ加硫機には極めて簡便な加工を施すのみに止めることができ、この加硫機に上記請求項1に記載した金型を着脱自在に取付け、僅かな本数のベントホールを有する金型でベアー故障発生を完全に阻止し得る、タイヤの加硫成形方法の提供を目的その二とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的その一を達成するため、請求項1に記載した発明は、上下型ドームタイプの加硫機に着脱自在に取付ける二つ割り上下合わせ型のタイヤ加硫成型用金型において、
上型金型及び下型金型のいずれか一方の金型はその外周面に固着され該金型の外周部合わせ面から突出するシリンダ状内周面を有する円筒を備え、かつ他方の金型はその外周に上記円筒の内周面と摺動係合可能な環状シール部材を備え、
加硫機の下型ドームに対する上型ドームの上下垂直移動距離の範囲内での上下型ドーム離隔位置にて、一方の金型の円筒の内周面と他方の金型の環状シール部材とが係合するシール機構を備え、
上下型金型のいずれか一方の金型の外周部合わせ面から外周部内を通り該金型外部にまで連通する排気穴と、該排気穴の終端部に、加硫機の外部から延びる排気用チューブの先端部にシール固着した管継手を着脱自在に受け入れるシール継手とを有する排気系を備えるものである
【0011】
かかる加硫成型用金型において、少ない本数とはいえベントホールを設ける場合の金型は、上型金型及び下型金型が、タイヤの外側形状を形成する内側金型と、内側金型を固定して収容する外側金型とを有し、内側金型はその内面と外側面とに連通する複数本のベントホールと、これらベントホールの全てに内側金型の外側面で連通して、上下型の合わせ面に至るまで延びるベント溝とを備えるものとする。なお上記の内側金型も含め上下金型の内面には、タイヤのトレッドパターンなどの各種の模様、タイヤサイズ、タイヤ種類及びブランド名、名称などを表示するための文字、模様、その他の凹凸部が形成されている。
【0012】
上記目的その二を達成するため、この発明の請求項に記載した発明は、下型ドームに対し上型ドームが所定離隔距離内で上下垂直に移動する機能を有するドームタイプの加硫機に着脱自在に取付けた二つ割り上下合わせ型の加硫成型用金型に未加硫タイヤを装填して加硫成型するに際し、
上記請求項1に記載したシール機構と排気系とを備える加硫成型用金型を加硫機に取付け、この金型の下型に未加硫タイヤを装填し、
金型の上記排気系のシール継手と、加硫機外部から延びて一端をバキュウム手段に連結した排気チューブの他端の管継手とをジョイントし、下型ドームに向かい上型ドームが垂直に下降する途中の、前記シール機構が働く位置で上型ドームを一旦停止させ、この停止の間にバキュウム手段を動作させ、金型の内側面と未加硫タイヤ外側面との間の空気を吸引して加硫機外部に排出して、その空間を、20〜100Torrの範囲内の低真空状態とし
この排出が所定時間を経た後に上下ドームと上下型金型とを全閉し、この全閉直後に未加硫タイヤ内面に加圧流体による加圧体を作用させて、金型内面に対し未加硫タイヤを所定時間押圧形付けし、
未加硫タイヤの形付け完了の後に加硫機のドーム内部に高温ガスを供給し、これにより未加硫タイヤに加硫成型を施すことを特徴とするタイヤの加硫成型方法である。
【0014】
好適実施形態では、請求項に記載した発明ように、下型ドームに向かい上型ドームが垂直に下降する途中の一旦停止位置を、上型金型が未加硫タイヤと接触する直前位置とする。
【0015】
また他の好適実施形態では、請求項に記載した発明のように、バキュウム手段の動作による金型の内側面と未加硫タイヤ外側面との間の空気の加硫機外部への排出を未加硫タイヤの形付け完了まで継続する。すなわちこの空気排出動作には二種類のタイプがあり、その第一のタイプは、金型内面に複雑に入り組んだ凹凸が存在する場合で、そのときは上記の空気排出形態をとるものであり、ベアー故障発生の完全阻止に適合する。第二のタイプは、金型内面に比較的単純な形状のリブなどの凸部が存在してそれ程長時間を要せずに短時間内に完全な空気排出が可能な場合は、金型内面に対する未加硫タイヤの押圧形付け以前に空気排出を完了させるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態の一例を図1及び図2に基づき説明する。
図1は、二つ割り上下合わせ型のタイヤ加硫成型用金型の全閉前の空気排出状態における左半断面図であり、
図2は、上下ドームが相互に垂直で一旦停止位置におけるドームタイプ加硫機の要部と上下ドームの内部に収容したタイヤ加硫成型用金型とを簡略図解した断面図である。
【0017】
図1において、二つ割り上下合わせ型のタイヤ加硫成型用金型(以下金型という)1は上型金型2と下型金型3とを有し、図示の上下金型2、3はそれぞれの中心軸線Eが一致した状態で垂直距離D(mm)だけ離隔している。図示例の金型1の上型金型2は内側金型2aと、これをボルト4などにより固着して収容する外側金型2bとを有し、下型金型3も同様に内側金型3aと、これをボルト4などにより固着して収容する外側金型3bとを有す。タイヤへの形付けは全て内側金型2a、3aそれぞれの内面により行う。
【0018】
上下型金型2、3のいずれか一方の金型、図示例では下型金型3が、その外周面に固着した円筒5を備える。円筒5は下型金型3の外周部合わせ面5sより上方に向け突出させ、突出先端部はかじりを防止するためテーパを付すのが好ましい。また少なくとも外周部合わせ面5sより上方の円筒5の内周面は後述の環状シール部材との連携で完全なシール状態を保持し得るシリンダ状内面とすることが必要である。図示の円筒5は既設の下型金型3に別途取付けたものであるが、新たに製作するときは外側金型3bと一体に作り出すのが有利である。
【0019】
上下型金型2、3のいずれか他方の金型、図示例では上型金型2はその外周に環状シール部材6を備える。環状シール部材6は図示の上下型金型2、3の位置で円筒5の内周面と摺動係合可能とする。この摺動による脱落防止のため上型金型2のアリ溝内部に埋設するのが良い。環状シール部材6は耐熱性オーリングでも良いが、これにこだわらず十分なシール機能を果たし、かつ加硫成型時の高温度、例えば180〜200℃の下で十分な期間を通じて耐え得る耐熱性を有するもの、例えばフッ素樹脂のようなものであればいずれもが適合する。
【0020】
円筒5と環状シール部材6との連携によるシール機構を働かせる上下型金型2、3の離隔距離Dは、この金型1を取付けるドームタイプ加硫機の下型ドームに対する上型ドームの上下垂直移動距離の範囲内で、しかもゼロであってはならない。
【0021】
下型金型3の外周部合わせ面5sから下方に向け下側端部近傍まで延びる排気穴7を穿ち、この排気穴7に直交するように横穴を設け、この横穴にテーパ管用ネジを加工し、これに雌型又は雄型のシール継手8を結合する。このシール継手8には後述するドームタイプ加硫機から延びる排気チューブ先端の管継手を連結する。
【0022】
図1では、説明の便宜上ベントホール9を設ける金型タイプとベントホールを全く設けない金型タイプの両タイプを同じ図で併せ示しているが、実際には、タイヤの赤道面を挟むトレッド部両側でパターンの複雑さが著しくことなるような特別な場合を除き、ベントホール9を設ける金型1と全く設けない金型1とに分ける。
【0023】
ベントホール9を設ける場合(上型金型2参照)、図示のように上型金型2は内側金型2aと、これをボルト4などにより固着して収容する外側金型2bとにより構成する必要があり、内側金型2aにのみ必要最少限度の貫通ベントホール9を設ける。さらにこれらベントホール9を内側金型2aの外側面で縦横に繋ぐベント溝10、11を設け、ベント溝10、11のいずれか、図示例ではベント溝10を上下型金型の外周部合わせ面5sに開口させる。下型金型3の場合も上記同様とする。
【0024】
図1に示す符号12、13はタイヤのビード部を形成するための慣例に従うビードリングであり、よって従来のリングにシール部材取付け用溝を加工する程度に止まり、符号14は後述する排気による真空度を保持するためのシール部材である。
【0025】
以上述べた金型1は特別に複雑な構成をもたず、よって工場にて内作できる程度の簡便な構成であるから、それほどのコスト上昇を伴うことなく金型1を得ることができる。ベントホール9の加工費用の節減で十分見合う改造費用であり、金型1の新規製造費用は寧ろ下回る程である。
【0026】
以下、図2について、上述した金型1を着脱自在に取付けたドームタイプの加硫機(以下加硫機という)20と、その動作とにつき説明する。
加硫機20は上型ドーム21と下型ドーム22とに分かれ、下型ドーム22は床に固定し、上型ドーム21は上下に開閉移動し、下型ドーム22に対する完全な閉状態が稼働時である。上型ドーム21の開閉動作の当初は上下型ドーム21、22の中心軸線に沿って所定離隔距離の間は上下に垂直移動し、この垂直移動部分を除く上型ドーム21の移動はあたかも円弧状曲線に沿うような曲状運動を呈し、下型ドーム22の斜め上方にて停止位置(図示省略)をとる。
【0027】
上下型ドーム21、22内部空間には金型1とその内部に収容した未加硫タイヤを加熱する高圧加熱源の流体、例えば高温高圧スチームを供給するので、上下型ドーム21、22が係合する接触面には断熱を兼ねるシール部材としてのパッキング23、24を固着しておく。上下型ドーム21、22の本体21−1、22−1はスチール製で、それらの外側周囲の大部分は厚い断熱材25で覆う。
【0028】
以下は図1、2を合わせ参照して、金型1の上型金型2は上型ドーム21に着脱自在に取付け、下型金型3は下型ドーム22に着脱自在に取付ける。下型金型3の取付けに先立ち下型ドーム22から延びる排気チューブの先端に固着した管継手を下型金型3の雌型又は雄型のシール継手8に連結する。
【0029】
加硫機20の稼働に先立ち下型金型3に未加硫タイヤ(図示省略)を装填し、その後上型ドーム21が下降を開始して加硫機20は稼働状態に入る。上型ドーム21は下型ドーム22に向かい下降を続けて、上型ドーム21が下型ドーム22に対し曲状運動から上下の垂直下降運動に変わり、パッキング23、24の相互間距離dが所定の値となったとき、上型ドーム21を一旦停止させる。
【0030】
この一旦停止位置は上下型金型2、3の離隔距離D≒パッキング23、24の相互間距離d=10〜100mmの範囲内となる位置であり、よって金型1に設けた円筒5と環状シール部材6との連携によるシール機構が働き、未加硫タイヤの外側面と金型1の内側面との間の空間は完全に閉空間を形成する。なお未加硫タイヤ内部には図示を省略した慣例の加圧流体による加圧体、例えばゴムブラダが或る程度膨張されて挿入されているので、未加硫タイヤのビード部外側表面は完全に閉鎖されている。また上記一旦停止位置を上型金型2が未加硫タイヤと接触するかしないかの接触直前位置とするのが好ましく、この点を考慮に入れパッキング23、24の相互間距離dを定めるものとする。
【0031】
この一旦停止の間に、図示を省略したバキュウム手段に連結した排気チューブ26を介し、バキュウム手段を動作させて未加硫タイヤの外側面と金型1の内側面との間の閉空間に存在する空気を吸引し、吸引した空気を加硫機20の外部に排出する。これにより上記閉空間、ベントホール9を有する金型1の場合20〜100Torrの範囲内の低真空状態とする。このバキュウム手段は、例えば真空ポンプ自体か、又は数台の加硫機20に共通する、真空ポンプを連結した比較的大型の真空槽か、いずれでも可とする。
【0032】
閉空間の空気の吸引、排出が上記の真空度の範囲内となる時間を経過した後、上下型ドーム21、22を全閉し、すなわち上下型金型2、3をも全閉し、この全閉と同時に未加硫タイヤ内面に加圧体、例えば所定圧力をもつ加圧流体を供給したゴムブラダを作用させて、金型1の内面に設けたリブ又は凸部、凹部及び平滑部に未加硫タイヤを所定時間、例えば2〜10分の間、接触押圧させて形付けを実施する。このとき金型1の内面と未加硫タイヤの外側面との間に空気は極く微量しか存在しないので、空気を閉じ込めるはずもなく、よってベアー故障が生じることはない。なお加圧体の形付けに適正な内圧は5〜30kgf/cm2 の範囲内である。
【0033】
仮に閉空間がどうしても複数箇所で仕切られて存在することが不可避であるか、又は時折そうなるのであれば、図1の上型金型2に例示したように、必要箇所のみに止めてベントホール9とベント溝10、11とを設ければ、ベアー故障発生を完全に阻止することができる。この場合は未加硫タイヤの形付け中もベントホール9とベント溝10、11とに空気流れを形成する必要があるので、上記のバキュウム手段による空気吸引排気を形付けの間も継続して実施するものとする。
【0034】
未加硫タイヤの形付け完了と同時に、バキュウム手段に連結した排気チューブ26の途中に設けたバルブ、例えば電磁バルブ(図示省略)を閉としてバキュウム手段の動作を停止させ、金型1の内面と未加硫タイヤ外側面との間の空気排出動作を停止させる。この空気排出動作の停止と同時に加硫機20のドーム21、22内部に供給パイプ27を介し矢印方向に高温ガス、例えば高温スチームを供給し、未加硫タイヤに加硫を施す。なおスチーム圧力は3〜10kgf/cm2 の範囲内、スチーム温度は100〜200℃の範囲内である。
【0035】
金型1と、この金型1を取付けた加硫機20とを用いて以上述べた加硫成型方法をとれば、金型1の内面と未加硫タイヤの外側面との間に形成される閉空間は極めて小容積な空間に過ぎないので、排気効率が高くて閉空間の真空度も高めることができ、その結果一旦停止時間も極めて短くて済み、加硫成型工程の生産性をそれほど損なうことなく、加硫成型後のタイヤにおいて、スピュウが全く存在しないか、存在するにしても極く限られた僅かな本数で済み、ベアー故障発生を完全に阻止することができ、ベアーによる不良率の大幅低減と、タイヤの外観性とを達成することができる。
【0036】
特に、タイヤのトレッドゴムの外側ゴムに発泡ゴムを用いるタイヤ、例えば農業機械用タイヤの場合は、加硫成型直後における高温度の発泡ゴムは引張強さが低いため、金型から取り出す際にスピュウが途中で切れ、切れ残ったスピュウ部分がベントホール内部に止まって目詰まりを生じる。よってその後のタイヤ加硫成型のとき空気逃がしの役を果たさないベントホールが多数存在するので1本のタイヤにつき多数箇所にベアーが発生するトラブルが多発していたところ、上記金型1とこの金型1を取付けた加硫機20とを用いて以上述べた加硫成型方法に従えば、この種のトラブルを根絶することができる。
【0037】
さらに金型1ばかりでなく、加硫機20についても、新たに大がかりな加工を施したり、新たな設備や高価な部品などを付け足す必要はなく、従来の加硫機20のままで十分であり、強いて言えばバキュウム手段に連結する排気チューブ26及び継手の取り付け程度で済む。バキュウム手段にしても排気効率が極めて高いので、総合して極く小額の投資で良い、大きな利点を有する。
【0038】
【発明の効果】
この出願の請求項1に記載した発明によれば、特別に高度な技術を必要としない簡単な構造を有し、極めて安価な投資費用で済み、高い加硫成型効率の下で、ベントホールを必要とするにしても僅かなベントホール本数の配設で済み、加硫成型タイヤにベアー故障を発生させないタイヤの加硫成型用金型を提供することができ、
この出願の請求項2〜4に記載した発明によれば、現在稼働中のドームタイプ加硫機でも、これに極めて簡便な加工を施すのみに止めた加硫機に、上記請求項1に記載した金型を取付けることにより、複雑な突起などを内面に有する金型の場合でも従来に比し大幅にベントホール数を減少させても完全にベアー故障発生を阻止し得る、タイヤの加硫成形方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態例の金型の左半断面図である。
【図2】図1に示す金型を収容したこの発明の実施の一形態例の例のドームタイプ加硫機の要部断面図である。
【符号の説明】
1 二つ割り上下合わせ型タイヤ加硫成型用金型
2 上型金型
2a 内側金型
2b 外側金型
3 下型金型
3a 内側金型
3b 外側金型
4 ボルト
5 円筒
5s 上下金型の外周部合わせ面
6 環状シール部材
7 排気穴
8 シール継手
9 ベントホール
10、11 ベント溝
12、13 ビードリング
14 シール部材
20 ドームタイプ加硫機
21 上型ドーム
21−1 上型ドーム本体
22 下型ドーム
22−1 下型ドーム本体
23、24 パッキング
25 断熱材
26 排気チューブ
27 高温ガス供給パイプ
D 上下型金型の垂直離隔距離
d 上下パッキング相互間距離

Claims (4)

  1. 上下型ドームタイプの加硫機に着脱自在に取付ける二つ割り上下合わせ型のタイヤ加硫成型用金型において、
    上型金型及び下型金型のいずれか一方の金型はその外周面に固着され該金型の外周部合わせ面から突出するシリンダ状内周面を有する円筒を備え、かつ他方の金型はその外周に上記円筒の内周面と摺動係合可能な環状シール部材を備え、
    加硫機の下型ドームに対する上型ドームの上下垂直移動距離の範囲内での上下型ドーム離隔位置にて、一方の金型の円筒の内周面と他方の金型の環状シール部材とが係合するシール機構を備え、
    上下型金型のいずれか一方の金型の外周部合わせ面から外周部内を通り該金型外部にまで連通する排気穴と、該排気穴の終端部に、加硫機の外部から延びる排気用チューブの先端部にシール固着した管継手を着脱自在に受け入れるシール継手とを有する排気系を備え、上型金型及び下型金型が、タイヤの外側形状を形成する内側金型と、内側金型を固定して収容する外側金型とを有し、内側金型は、その内面と外側面とに連通する複数本のベントホールと、これらベントホールの全てに内側金型の外側面で連通して、上下型の合わせ面に至るまで延びるベント溝とを備えることを特徴とするタイヤの加硫成型用金型。
  2. 下型ドームに対し上型ドームが所定離隔距離内で上下垂直に移動する機能を有するドームタイプの加硫機に着脱自在に取付けた二つ割り上下合わせ型の加硫成型用金型に未加硫タイヤを装填して加硫成型するに際し、
    上記請求項1に記載したシール機構と排気系とを備える加硫成型用金型を加硫機に取付け、この金型の下型に未加硫タイヤを装填し、
    金型の上記排気系のシール継手と、加硫機外部から延びて一端をバキュウム手段に連結した排気チューブの他端の管継手とをジョイントし、下型ドームに向かい上型ドームが垂直に下降する途中の、前記シール機構が働く位置で上型ドームを一旦停止させ、この停止の間にバキュウム手段を動作させ、金型の内側面と未加硫タイヤ外側面との間の空気を吸引して加硫機外部に排出して、その空間を、20〜100Torrの範囲内の低真空状態とし、
    この排出が所定時間を経た後に上下ドームと上下型金型とを全閉し、この全閉直後に未加硫タイヤ内面に加圧流体による加圧体を作用させて、金型内面に対し未加硫タイヤを所定時間押圧形付けし、
    未加硫タイヤの形付け完了の後に加硫機のドーム内部に高温ガスを供給し、これにより未加硫タイヤに加硫成型を施すことを特徴とするタイヤの加硫成型方法。
  3. 下型ドームに向かい上型ドームが垂直に下降する途中の一旦停止位置を、上型金型が未加硫タイヤと接触する直前位置とする請求項に記載加硫成型方法。
  4. バキュウム手段の動作による金型の内側面と未加硫タイヤ外側面との間の空気の加硫機外部への排出を未加硫タイヤの形付け完了まで継続する請求項2もしくは3に記載加硫成型方法。
JP22627397A 1997-08-22 1997-08-22 タイヤの加硫成型用金型及び加硫成型方法 Expired - Lifetime JP3884537B2 (ja)

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