JP3882322B2 - 熱交換器の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外気空気と循環冷媒との熱交換を行う熱交換器を有する空気調和機の室外機、および該空気調和機の室外機に用いる熱交換器の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冬季の暖房運転において、例えばヒートポンプ式の空気調和機の室外機に搭載される熱交換器は蒸発器として作用する。図21は従来の室外機の熱交換器への着霜状況を示す説明図であり、1は伝熱管、3は縦に長い偏平板状のフラットフィン、7は気流の流れ方向、11はフィン前縁部、15は熱交換器に付着した霜である。複数のフィン3が並設され、このフィン3の垂直方向に複数の伝熱管1が所定の間隔をあけて貫通している。熱伝達媒体を伝熱管1内に循環させ、外気空気を流れ方向7から流入させる。伝熱管1およびフィン3を熱伝達媒体からの熱伝導によって冷やし、さらに伝熱管1およびフィン3と気流との間で熱交換する。
【0003】
従来の空気調和機の室外機に上記のような構成の熱交換器が搭載されている場合には、熱交換器のフィン3の温度が0℃以下になると、空気中に含まれている水蒸気が霜15として熱交換器に付着する。霜15が熱交換器に付着すると、それが通風抵抗になり流入外気の風量が減少し熱交換性能が低下する。ときには流れが閉塞されて空気調和機としての運転ができなくなる場合がある。霜の着霜状態は、図21に示すように流入外気とフィン面との温度差が大きいフィン前縁部11での発達が最も早い。
【0004】
このような問題に対処するため、例えば特開平9−159312号公報に掲載されたものは、上記のようなフィン前縁部11における着霜を防止する構成となっている。この熱交換器の構成を図22に示す。図22は従来の熱交換器を示す部分断面図であり、図において、16はフィン前縁部11に設けられた所定幅および所定長さの断熱用カットラインであり、所定の間隔を保って複数形成され、全体として略一本の線の切り込み隙間を成す。フィン前縁部11に断熱用のカットライン16を形成することにより、フィン前縁部11の熱伝達率を下げて温度を高くし、着霜を低減する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような熱交換器を搭載した空気調和機の室外機では、熱交換器のフィン前縁部11への着霜量は減少する。しかし、図22の構成では複数列の伝熱管1で熱交換器を成し、フィン3が伝熱管の複数列に渡って外気の流れ方向7につながっている。このため、フィン3間を流れる外気流に温度境界層が形成され、風下側の部分で特に温度境界層が成長することにより熱伝達率が大きく低下してしまい、熱交換性能の高い室外機とするのは困難であった。
【0006】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、着霜が局所に集中するのを防ぐことができ、かつ熱交換性能に優れた空気調和機の室外機を得ることを目的とする。
またさらに、着霜が局所に集中するのを防ぐことができ、かつ熱交換性能に優れた熱交換器を容易に製造できる熱交換器の製造方法を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る熱交換器の製造方法は、少なくとも外気の流入方向の最上流側に配置されるフィンに切断線を形成する工程と、前記切断線を形成した後に前記切断線の両側のフィンのずれを押さえるように、前記フィンの前記切断線を形成した部分をプレスする工程と、前記フィンに伝熱管を挿入して前記フィンと前記伝熱管とを接合する工程とを施すものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
参考形態1.
本発明の参考形態1による空気調和機の室外機用熱交換器について図を用いて説明する。図1は参考形態1に係る空気調和機の室外機に搭載される熱交換器を示す斜視図である。また、図2は図1に示した熱交換器の複数列の1列部分を示す図であり、図2(a)は全体斜視図、図2(b)は図2(a)の点線部分の拡大図である。
図中、1は内部を冷媒が流れる伝熱管、2は複数列の熱交換器の片側端を繋ぐサイドプレート、3は伝熱管1に取付けられるフィンで、例えば平板状のフィン、8は熱交換器である。一列の伝熱管1と一列のフィン3とで1つの熱交換器列を構成している。
【0016】
x方向に所定間隔をあけて複数枚並設された縦に長いフィン3に対し、伝熱管1がフィン3面にほぼ垂直に貫通している。複数の伝熱管1をz方向に所定間隔あけて複数段、図では例えば10段に渡り平行に配置する。x方向のフィン3の間隔は例えば1mm弱から数mmの間隔が妥当とされている。また、一列を構成する伝熱管1間隔、即ちz方向の段ピッチL3は、例えば20mm弱から30mm程度としている。図2に示す熱交換器列を図1に示すように外気の流入方向(y方向)に複数列、この場合は例えば3列並べ、x方向端部で伝熱管1同士を配管により接続して、一体の熱交換器8を構成する。
【0017】
図1に示すように熱交換器列の片側の端を揃えてサイドプレート2により各列を連結させておくと一体品として扱いやすく、製造作業が容易となる。なお、図1ではy方向に3列の熱交換器列を備えた例を示しているが、2列の場合もあれば、4列など更に多い場合もある。複数の熱交換器列はそれぞれのフィン端が当たる程度もしくは数mmの隙間をあけて並べられている。また各熱交換器列の伝熱管1は、それと隣接する熱交換器列の伝熱管1の上下空間部に対応するようにz方向にずらして位置させ、千鳥状に配列しているので、気流との熱交換効率が高い。
【0018】
図3および図4は、本参考形態に係る空気調和機の室外機の構成を示している。図3は空気調和機の室外機を示す外観斜視図、図4は室外機を示す平面構成図である。
図中、4は空気調和機の室外機の箱体、5は外気吸込み面、6は外気吹出し面、7は外気流れ方向、8は熱交換器、9は送風機、10は圧縮機である。
【0019】
室外機は、冷凍サイクルの一部を構成する熱交換器8、送風機9、圧縮機10などを装備する。送風機9は図4では例えば軸流送風機を用いているが、他には斜流送風機、横断流送風機、遠心送風機などが用いられる。
【0020】
送風機9によって外気流れ方向7から取り込まれた例えば2℃程度の外気は、室外機の箱体4の外気吸込み面5に設けられている熱交換器8で、伝熱管1内部を流れる冷媒と熱交換し、例えば−5℃程度に冷やされて外気吹出し面6から吹出される。
圧縮機10は冷媒を伝熱管1内に循環させる動力を発生させるためのものであり、複数台の室外機を連結させる場合には機内に装備しない場合もある。
【0021】
次にフィン3の詳細な構成について説明する。図5は熱交換器を示す部分断面図、図6は熱交換器の部分上面図である。図において、12aはフィン3aに形成された切断線である。また、フィン3aの外気流れ方向7に対する風上側の端付近をフィン前縁部11a、風下側の端付近をフィン後縁部とし、上流側に向かって前方と記す。
【0022】
送風機によって室外機内に取入れられる外気が熱交換器を通過する際に、伝熱管1とフィン3を介して伝熱管1内を流れる循環冷媒と外気との間で熱交換が行われる。説明の便宜上、熱交換器列のそれぞれを風上側から順に1列目、2列目、3列目とする。また、3aを1列目のフィン、3bを2列目のフィン、3cを3列目とし、1aを1列目の伝熱管、3bを2列目の伝熱管、3cを3列目の伝熱管とし、特に説明で必要な場合にこの符号を記し、総称する時には伝熱管1、フィン3と記す。フィン前縁部11a,11b,11c、切断線12a,12b,12cに関しても同様である。
気流が1列目のフィン3aに接触する際には、例えば伝熱管1の冷媒温度は−5℃程度、気流温度は2℃程度であり、フィン3aと気流と温度差は大きい。しかし、2列目、3列目と下流に向かうにつれてフィン3と気流との間で熱交換され、フィン3と気流との温度差が小さくなる。さらに、フィン3に沿って気流に形成される温度境界層も上流側では薄く下流に向かうに連れて次第に厚く成長する。フィンと気流の温度差と温度境界層の両者の寄与により、上流側では熱流速が高く下流側では熱流速が低くなる。
【0023】
しかし本参考形態による室外機に搭載される熱交換器では、伝熱管1a,1b,1cの各列に対してフィン3a,3b,3cが独立しているために、それぞれのフィン面でずれが不可避的に生じる。また、意図的にずれを付与することもできる。
即ち、フィン3a,3b,3cが独立しているために、1列目で形成された温度境界層は、2列目の熱交換器に気流が流入する際に更新される。このため、同一のフィンに2列の伝熱管を有する構成における1列目と2列目の中央辺りの熱伝達率と、本参考形態の構成における2列目のフィン3bの風上側の端付近の熱伝達率を比べると、列毎に独立したフィン3で構成した方が温度境界層が薄くなり、熱伝達率が高くなる。このため、1列目と2列目のフィンを独立した構成にすると伝熱性能も向上する。このことは3列目の熱交換器についても同様である。
従って、各列毎のフィンが独立した構成の熱交換器を搭載した室外機は、各列毎にフィンが独立していない構成の熱交換器を搭載した室外機よりも伝熱性能を向上させることができる。
【0024】
ところで、暖房運転中にフィン前縁部11は熱伝達率が高いので特に着霜が起こりやすい。そこで、本参考形態では、図5,6に示すように搭載する熱交換器の1列目の伝熱管1aとフィン前縁との間のフィン前縁部11aに切断線12aを形成している。この切断線12aが断熱断面となり、伝熱管1aとフィン前縁の間の熱伝導を遮るように作用する。即ち、切断線12aよりも風上側への熱伝導が阻止されてフィン前縁部11aの温度が高くなり、フィン前縁への着霜の集中を避け、フィン3aの面全体へ均一に着霜させることができる。
均一に着霜させることにより、着霜によって外気流れが閉塞して除霜運転に入るまでの暖房運転時間を長くでき、平均の暖房性能を向上させることができる。 以上のように、本参考形態によれば、一列の伝熱管毎に独立したフィンを有する熱交換器を備え、さらに伝熱管1の前方のフィン前縁部11に切断線12を設けたので、伝熱性能を向上でき、かつ着霜の均一化を図ることができ、除霜運転周期が長く、暖房性能が優れた空気調和機の室外機を得ることができる。
【0025】
参考形態2.
以下、本発明の参考形態2による空気調和機の室外機に用いられる熱交換器について説明する。参考形態1における図5、図6では、風上側の最前列のフィン3aのみに切断線12aを形成しているが、図7、図8のように風上側の数列のフィン3a,3bに切断線12a,12bを形成した構成や、図9、図10のように全ての列のフィン3a,3b,3cに切断線12a,12b,12cを形成した構成にしてもよい。
【0026】
切断線12を形成するフィンの列数は、室外機の使用される条件によって設定するのが望ましい。即ち、空気調和機の室外機が使用される空気条件や、循環冷媒の温度条件によって、外気温度と室外機の循環冷媒との温度差や外気に含まれる水分量の程度が異なる。
温度差が少ない場合や外気に含まれる水分量が少ない場合には、流入外気が1列目の熱交換器列を通過する際に充分に除湿され、2列目以降の熱交換器列への着霜量は少ない。このような場合には、図5,図6で示すように、流入外気の上流側の1列目の熱交換器列のみに切断線12aを形成する。1列目以降の2列目,3列目の熱交換器列において、それぞれ切断線12b,12cを形成すると、2列目,3列目のフィン前縁部11a,11bのフィン温度が上昇してしまう。そこで、1列目の熱交換器列のみに切断線12aを形成して、2列目,3列目のフィン前縁部11a,11bの上昇を防止して熱伝達率を高く保つことで、着霜を均一化できると共に伝熱性能を向上できる。
【0027】
また、1列目の熱交換器列のみに切断線12aを形成しただけでは2列目以降の着霜量が多く、流入外気の流れがすぐに閉塞してしまい平均の暖房能力が向上しない条件で使用される室外機の場合は、図7,図8に示すように構成する。即ち、流入外気の上流側の数列に切断線12a,12bを形成すれば、伝熱管1a,1bとそれぞれのフィン前縁の間の熱伝導を遮って着霜のフィン前縁部11a,11bへの集中を防ぎ、除霜運転周期が長くかつ伝熱性能の良い、暖房性能に優れた室外機とすることができる。また更に列数の多い熱交換器、例えば4列の熱交換器では、1列目と2列目あるいは1列目と2列目と3列目に切断線12を形成すると、除霜運転周期が長くかつ伝熱性能の良い、暖房性能に優れた室外機とすることができる。
【0028】
また、循環冷媒の温度と流入外気との温度差が大きい場合や流入外気の含まれる水分量が多い場合の条件で使用される空気調和機の室外機の場合には、図9,図10に示すように熱交換器列の全ての列の伝熱管1a,1b,1cと各フィン3a,3b,3cの前縁との間のフィン前縁部11a,11b,11cに切断線12a,12b,12cを形成する。この場合にも、伝熱管1a,1b,1cとそれぞれのフィン前縁の間の熱伝導を遮るように作用してフィン前縁部11への着霜の集中を防ぎ、フィン3に均一に着霜するので、除霜運転周期が長く、平均の暖房性能が優れた室外機とすることができる。
また、室外機の使用される条件によっては、各列の伝熱管1のすべての上流側に切断線12を形成しなくてもよい。例えば、1つおきとか2つおきとか、また規則的ではなくランダムに切断線を形成してもよい。
【0029】
以上のように本参考形態では、一列の伝熱管毎に独立したフィンを有する熱交換器を備え、伝熱管1の前方のフィンの前縁部11に室外機の使用条件に応じて切断線12を設けることにより、使用条件に最適な構成で伝熱性能の低下を招くことなく、フィンの前縁への着霜の集中を防ぎ、熱交換器全体に均一に着霜させることができる。この結果、本参考形態による空気調和機の室外機では除霜運転周期が長く、暖房性能が優れた室外機とすることができる。
【0030】
参考形態3.
参考形態3は、伝熱管1とフィン3の大きさおよび配置についての参考形態である。
次に図11を用いて熱交換器列のフィン幅L1について説明する。列間距離L2との関係は、隣接する熱交換器列のフィン端同士を揃える場合には、L1≒L2となり、距離を開ける場合は、L1<L2となる。
従来の構成では、L1<L3として、伝熱管1の段ピッチL3と列間距離L2との関係をL2:L3≒√3:2としている。このように構成すると、隣接する伝熱管の列間配管距離L4がL4=L3となる。即ち隣り合う列の伝熱管1との距離と、列を構成する伝熱管1同士の距離はほぼ同一になる。このため、図1に示したような熱交換器を構成する際、x方向端部で伝熱管1同士を接続するのであるが、同一列内の伝熱管の段間を配管する部品と、隣り合う列を配管する部品とを同一の部品で配管でき、製造コストを押さえられる。
また、伝熱管の段ピッチL3に対してフィン幅L1および列間距離L2を縮めると、限られたスペースに多列の熱交換器を高密度に実装できるので、従来はL1<L3を満足する構成であった。
【0031】
上記のように従来は、フィン幅L1<伝熱管の段ピッチL3として伝熱管距離L4=L3と構成したり、段ピッチL3に対してフィン幅L1および列間距離L2を縮めるように構成している。しかしこれらの構成のものでは、何らかの手段を用いてフィン3への着霜を均一にして暖房運転の継続時間を長くすることができても、フィン幅は小さく、霜を保持するフィン面積が少ないので、やはりフィン面間は閉塞しやすいという問題点があった。
【0032】
そこで、本参考形態では、切断線12を設けてフィン3に均一に着霜させると共に、フィン幅L1>伝熱管の段ピッチL3を満足するような構成としている。フィン幅L1を伝熱管の段ピッチL3よりも長くすると、フィン面積を大きくでき、霜を保持する容積も多くできる。このため、フィン面間が閉塞するまでの時間を長くでき、暖房運転の継続時間を更に長くできる。具体的にはフィン幅L1を伝熱管の段ピッチL3よりも数mm程度長くしただけでも、全体としてフィン面積を大きくでき、霜を保持する容積も多くできるので、フィン面間が閉塞するまでの時間を長くできる。
【0033】
参考形態4.
以下、切断線に関する参考形態について述べる。参考形態1、2において、切断線12は伝熱管1の前方のフィン前縁部11に直線形状で形成しているが、これに限るものではない。
ただし、切断線12を形成する位置は、伝熱管1の流入外気流れ前方のフィン前縁部11としている。フィン前縁部11において、伝熱管1の流入外気流れ前方のフィン温度と伝熱管間の流入外気流れ前方のフィン温度とを比べると、伝熱管1の流入外気流れ前方の方が、伝熱管1即ち冷媒までの距離が短いので、フィン温度が低くなっている。このため、伝熱管1の流入外気流れ前方、または伝熱管1の上流側を取り囲むように切断線12を入れて熱伝導を遮ることで、効果的にフィン前縁部11におけるフィン温度を高くできる。この結果フィンの前縁部に集中して着霜するのを防ぐ構成とする。
【0034】
切断線12の長さは長いほどフィン前縁部11への断熱効果が得られやすいのだが、フィン前縁部11への着霜量が抑制されるに充分なほど切断線12を長くすると、切断線12が長すぎるためにフィン3の強度が低下する。このため、切断線12の形状を例えば図12(a)に示すように、フィン前縁にほぼ平行な切断線と、その切断線と角度を持つ切断線を組み合わせて、伝熱管1を取り囲むようにしてもよい。このように構成すると、切断線長さは角度を持つ部分で短くなるので、フィン3の強度の低下を防ぐことができ、かつ効率よく断熱効果を得ることができる。また、図12(b)のように複数の段階で角度を持つ形状でもよい。また、図12(c)のように組み合わせる切断線の間に若干の隙間があってもよく、図12(d)のように直線の組み合わせの代わりに曲線で構成して、伝熱管1の上流側で伝熱管1を囲むようにしてもよい。
【0035】
上記のように、切断線は、伝熱管1とフィン前縁との間の熱伝導を遮る形状であれば、どのように構成してもよいが、特に、伝熱管1の上流側で、伝熱管1を取り囲むように構成すると、フィン3の強度を保持したままで、効果的に伝熱管1とフィン前縁との間の熱伝導を遮ることができる。
【0036】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1による空気調和機の室外機について説明する。本実施の形態は熱交換器のフィンの構成およびこのフィンを成型する方法に関するものである。
実施の形態1による空気調和機の室外機は、参考形態1に述べたように、複数の熱交換器列を有する構成において、少なくとも外気の流れの上流側の熱交換器列のフィン前縁部11に切断線12を施している。
フィン前縁部11に切断線12を施す際に、図13に示すように切断線12を形成した切断線部でフィン面に大きくずれが生じてしまうことがある。ずれが生じると、このずれの部分での前縁効果により切断線部に着霜が集中して外気流れの通風抵抗になる。このため切断線部ではフィン面にずれが生じないことが望ましい。
【0037】
フィン3を作成する際、フィン3に刃を押し当てたり、また刃物で切り入れて切断線12を入れただけでは、図13に示すような切断線部のフィン面にずれが起こりやすい。
以下、切断線12を形成したことによるフィン面のずれを押さえるためのフィン3の製造方法を、図14(a)〜(d)に基づいて説明する。図において、13はフィン成型用の型である。
図14は切断線12を形成したフィン3をプレスによって平らにする工程を示している。図の上部はフィン3の平面を示し、下部は成型の様子を示すA−A線断面図である。図14(a)に示すようにまず切断線12を施した板状のフィン3を作成し、図14(b)に示すようにフィン成型用の型13で上下からプレスしてフィン3の面を押さえる。このプレス成型用の型13は、切断線12に当たる部分はストレートな平面であり、他の部分、例えば伝熱管1の間に当たる部分は波状に凹凸が形成されている。このため、図14(b)でプレスしてフィン3の面を押さえ、図14(c)で型13を離すと、切断線部は平面になってフィン3面からのずれを押さえることができ、さらに伝熱管1の間には波状の凹凸が形成される。この後、図14(d)で、フィン3の前縁および後縁を所定幅に切りそろえる。
【0038】
このようにして切断線部のフィン3面のずれを押さえる手段を用いてフィンを作成すれば、切断線部に生じたずれに着霜が集中するという弊害を回避できるという効果を奏する。
さらに、上記のプレスによる成型方法では切断線部をプレスすると同時にフィン面の切断線の入っていない部分に適当な凹凸を入れることができる。この凹凸によってフィン3の剛性を高くでき、熱交換器や室外機の形成が容易になるとともに、フィン3に形成された凹凸面でフィン面上の気流が乱されることにより伝熱性能が向上する。また、さらにこのプレスの際にフィン面の端部の平らな部分を左右対称にすると、図14(d)でフィン3を所定幅で切り揃える工程において、フィン3にかかる応力が左右均等になり変形しにくくなって作業が容易になる。
また、上記ではフィン3面の切断線12の入っていない部分に適当な凹凸をプレスによって形成しているが、フィン3面において、切断線12の入っていない部分に加えて、さらに、切断線12の入っている部分にも適当な凹凸を形成してもよい。この場合には、凹凸の形成されるフィンの面積を大きくできるのでフィン3の剛性を高くでき、また、切断線部は凹凸状にプレスされるので切断線12の両側のフィン3面で連続した形状で凹凸が形成され、図13に示すように切断線12の両側でフィン面がずれるのを防止することができる。
【0039】
このように、本実施の形態によれば、フィンに切断線を形成した後、プレスによってフィンの面を押さえる工程を施すという比較的簡単な方法で、切断線部への着霜を防ぐことで暖房運転の継続時間を長くできる空気調和機の室外機が得られる。
【0040】
参考形態6.
以下、本発明の参考形態6による空気調和機の室外機について説明する。本参考形態は空気調和機の室外機に搭載される熱交換器の構成およびその製造方法に関するものである。
図15は参考形態6に係わる熱交換器を示す斜視図であり、図16はこの熱交換器を搭載した室外機の主な構成を示す平面構成図である。図において、各符号において参考形態1と同一のものは、同一または相当部分を示しているので、ここではその記載を省略する。
【0041】
図15に示すように、例えば3列の熱交換器列を室外機の箱体4の長辺よりも長く構成し、室外機の箱体4の2面に沿うようにその角でほぼ90度に折り曲げている。このように、折り曲げられた熱交換器8を用いると、熱交換器面積を大きく採ることができ、熱交換性能が向上する。また、図16に示すように吸込み面も2方向とすることができるので広く採れ、熱交換器通過風速が減少するために、送風機の負荷が軽くなり消費電力も押さえられる。
【0042】
また、図17,図18に示した熱交換器は、室外機の箱体4の3面に沿うように2つの角でほぼ90度に折り曲げている。このような熱交換器を用いると、室外機の箱体4の3面を熱交換器面積とすることができ、熱交換器面積を大きく採ることができる。このため、熱交換性能が向上する。また、図18に示すように吸込み面も3方とすることができるので広く採れ、熱交換器通過風速が減少するために、送風機の負荷が軽くなり消費電力も押さえられる。
また、図15〜図18では3列の熱交換器を示しているが2列の場合も、また4列以上の場合などでも同様である。
【0043】
以下、図15〜図18にあるような折り曲げられた形状の熱交換器の製造方法について図19,図20を用いて説明する。ここでは、図15にあるような片側のみ折り曲げた形状を代表させて説明するが、図17,図18にあるような両側を折り曲げた形状に付いても同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0044】
図19は本参考形態に係わる熱交換器の作成工程を示すフローチャートである。ST1でフィン3を作成する。即ち各列のフィン3を所定の幅に作成する。ここで、例えば図14(d)に示したように、必要な切断線12やフィン面の凹凸も施しておく。少なくとも外気の流入方向の最上流側に配置されるフィンには、その伝熱管の前方のフィン前縁部に切断線を形成する。次にST2でフィンと伝熱管を配置する。これは、フィン3に伝熱管1を挿入した形で複数列分を所定の列間隔にて配置する。この時はまだ曲げられていない平らな熱交換器の形状である。ST3では、例えば拡管によりフィン3と伝熱管1とを接合する。このときに複数列の熱交換器の片側を揃え、サイドプレート2にて繋げておくと一体の熱交換器として扱いやすく後の作成作業が容易になる。次にST4で複数列を同時に折り曲げる。これは、例えば図20に示すように熱交換器折り曲げ治具14を当てて(図20(a))、図20(b),(c)に示すように複数列を同時に折り曲げると、比較的容易に複数の熱交換器列を同時にそろえて屈曲させることができる。
【0045】
このように複数の熱交換器列を同時に折り曲げることにより、熱交換器作成の作業工程数を減らすことができ、作成に要する時間を短くできる。なお、本参考形態によって製造した熱交換器は、伝熱管の各列毎にフィンが独立して設けられており、伝熱性能を向上できる。また、少なくとも外気の流入方向の最上流側に配置されるフィンにおいて、その伝熱管の前方のフィン前縁部に切断線を形成しているので、これを空気調和機の室外機に搭載することにより、フィン前縁部への着霜の集中を防ぎ、暖房運転の継続時間を長くできる室外機が得られる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、熱交換器の製造方法は、少なくとも外気の流入方向の最上流側に配置されるフィンに切断線を形成する工程と、前記切断線を形成した後に前記切断線の両側のフィンのずれを押さえるように、前記フィンの前記切断線を形成した部分をプレスする工程と、前記フィンに伝熱管を挿入して前記フィンと前記伝熱管とを接合する工程とを施すので、切断線部への着霜を防ぐことで暖房運転の継続時間を長くできる空気調和機の室外機が得られ、さらにこれに用いる熱交換器を比較的簡単に製造できる製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考形態1に係る空気調和機の室外機に搭載される熱交換器を示す斜視図である。
【図2】 参考形態1による空気調和機の室外機に搭載される熱交換器の複数列の1列部分を示す図であり、図2(a)は全体斜視図、図2(b)は部分拡大図である。
【図3】 参考形態1による空気調和機の室外機を示す外観斜視図である。
【図4】 参考形態1による空気調和機の室外機を示す平面構成図である。
【図5】 参考形態1に係わる熱交換器を示す部分断面図である。
【図6】 参考形態1に係わる熱交換器を示す部分上面図である。
【図7】 本発明の参考形態2に係わる熱交換器を示す部分断面図である。
【図8】 参考形態2に係わる熱交換器を示す部分上面図である。
【図9】 参考形態2に係わる熱交換器を示す部分断面図である。
【図10】 参考形態2に係わる熱交換器を示す部分上面図である。
【図11】 本発明の参考形態3に係わり、伝熱管とフィンの大きさおよび配置について説明する説明図である。
【図12】 本発明の参考形態4に係わり、熱交換器を示す部分断面図である。
【図13】 本発明の実施の形態1に係わり、切断線部付近のフィン断面を示す説明図である。
【図14】 実施の形態1によるフィン成型を工程順に示す工程図である。
【図15】 本発明の参考形態6に係わる熱交換器を示す斜視図である。
【図16】 参考形態6による空気調和機の室外機を示す平面構成図である。
【図17】 参考形態6に係わる熱交換器を示す斜視図である。
【図18】 参考形態6による空気調和機の室外機を示す平面構成図である。
【図19】 参考形態6に係わる熱交換器の作成手順を示すフローチャートである。
【図20】 参考形態6に係わる熱交換器の折り曲げ工程を説明する説明図である。
【図21】 従来の室外機の熱交換器への着霜状況を示す説明図である。
【図22】 従来の熱交換器を示す部分断面図である。
Claims (1)
- 少なくとも外気の流入方向の最上流側に配置されるフィンに切断線を形成する工程と、前記切断線を形成した後に前記切断線の両側のフィンのずれを押さえるように、前記フィンの前記切断線を形成した部分をプレスする工程と、前記フィンに伝熱管を挿入して前記フィンと前記伝熱管とを接合する工程とを施すことを特徴とする熱交換器の製造方法。
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