JP3882231B2 - 複合圧電材料の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合圧電材料の製造方法に関し、特に超音波プローブ等に用いられる複合圧電材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1に示すような構造を有する複合圧電材料が、超音波医療用診断装置の超音波プローブ等に用いられてきた。複合圧電材料100において、多数の四角柱形状の圧電セラミックス体101が、所定の間隔を空けて樹脂マトリックス102中に規則的に配列されている。たとえば超音波探触子を得るため、このような板状材料の主要面にストリップ電極を含む電極が形成される。
【0003】
図1に示す複合材料は、従来たとえば図2に示すようなプロセスによって製作された。所定の厚みを有するPZTセラミックス板111を樹脂基板112上に接着した後(図2(a))、ダイシングソーを用いてセラミックスを網目状に切断し、多数の角柱状体を形成する(図2(b))。切断により生じた溝に樹脂材料を充填し固化させた後、接着剤を溶解して基板112からセラミックスを分離させると、図2(c)に示すような複合圧電材料が得られる。
【0004】
たとえば超音波探触子に関し、分解能の向上を目的として、使用周波数が高くなっていく傾向にある。使用周波数を高くしたい場合、複合圧電材料上に形成される電極の幅とともに、複合圧電材料中の圧電セラミックス体の寸法も小さくする必要がある。ダイシングソーを用いる従来の製造方法では、この要求に応えてより小さな圧電セラミックスを形成することは困難である。圧電セラミックス板に溝を形成する際、溝同士の間隔をより小さくしようとすれば、機械的および熱的な影響により、圧電セラミックスが損傷しやすくなるからである。また、ダイシングソーを用いるプロセスは、溝加工のために時間がかかる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、より寸法の小さな圧電セラミックス体を有する複合圧電材料を提供することにある。
【0006】
本発明のさらなる目的は、より高い分解能を達成することができる複合圧電材料を提供することにある。
【0007】
本発明のさらなる目的は、より寸法の小さな圧電セラミックス体を有する複合圧電材料を、比較的高い歩留りで製造することのできる方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、圧電セラミックスからなる複数の柱状体が、それぞれの長手方向が互いに平行になるよう間隔を空けて有機ポリマー材料からなるマトリックス中に配列された構造を有する複合圧電材料であって、柱状体の長手方向にほぼ垂直な断面が、1辺が75μm以下の正方形、またはそれと同等の面積となる円もしくは多角形であることを特徴とする。
【0009】
本発明による複合圧電材料において、柱状体の長手方向にほぼ垂直な断面における最大幅に対する柱状体の長さの比は、2以上、または3.3以上とすることができる。
【0010】
本発明による複合圧電材料において圧電セラミックスの体積百分率は10〜30%の範囲内が好ましい。
【0011】
本発明の複合圧電材料において、柱状体の長手方向に垂直な方向の周波数定数は、560kHz・mm〜940kHz・mmの範囲の外であることが望ましい。
【0012】
本発明の複合圧電材料において、柱状体の形状は円錐台または角錐台とすることができ、円錐台または角錐台のテーパ角度を0.1°〜20°の範囲内とすることができる。
【0013】
また本発明は、圧電セラミックスからなる複数の柱状体が、それぞれの長手方向が互いに平行になるよう間隔を空けて有機ポリマー材料からなるマトリックス中に配列された構造を有する複合圧電材料の製造方法を提供する。この方法では、まず基板上にリソグラフィのための樹脂材料からなる層を形成する。樹脂材料からなる層には、1辺が88μm以下の正方形またはそれと同等の面積となる円もしくは多角形が複数、間隔を空けて配列されたパターンを有するレジストパターン形成のためのマスクを介して、シンクロトロン放射によるX線が照射される。次いで、樹脂材料からなる層を現像して、パターン形成された樹脂を得る。パターン形成された樹脂材料上に金属材料を堆積させた後、樹脂材料を除去してパターン形成された樹脂材料の形状が転写された金属材料からなる型を得る。得られた金型に樹脂材料を充填する。金型から樹脂材料を抜取り、金型の形状が転写された樹脂型を得る。得られた樹脂型にセラミックスを生成させるための材料を充填し固化させる。次いで、樹脂型を、樹脂を溶融状態にすることなく気化または昇華させるか、または溶剤に溶解させることにより、除去する。残った固化物を加熱し、断面が1辺が75μm以下の正方形またはそれと同等の面積となる円もしくは多角形である複数の柱状体が間隔を空けて台座部から延びた構造を有するセラミックス構造体を得る。得られたセラミックス構造体上に有機ポリマー材料を付着させる。有機ポリマー材料が付着したセラミックス構造体から、台座部を除去して、複数の柱状体が有機ポリマー材料中に間隔を空けて配列された複合材料を得る。
【0014】
本発明による製造方法において、シンクロトロン放射によるX線を照射する工程は、シンクロトロン放射光のマスクを介する回折光が樹脂材料からなる層に十分照射されるよう、マスクと樹脂材料からなる層との間に所定の間隔を設ける工程を備えることができる。この回折光を伴う露光により樹脂材料において基板から遠ざかるに従い開口面積が大きくなった孔を得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
たとえば医療用超音波画像診断装置の超音波探触子を一具体例に挙げて、本発明をより詳細に説明する。図1に示すような複合圧電材料に電極を形成して超音波探触子を得る場合、形成すべき電極の幅は、使用する超音波の体内における波長と密接な関係がある。たとえば文献T.R.Gururaja, “Piezoelectrics for medical ultrasonic imaging ”, American Ceramic Society Bulletin vol. 73, No. 5, (1994)によると、この探触子をフェーズドアレイ電子セクタスキャン方式で使用する場合、電極の幅は体内における波長の1/2、リニアスキャン方式で使用する場合、電極の幅は体内波長の3/2が好ましい。一方、現在は分解能の向上を目的として使用周波数が高くなる傾向にあり、5〜10MHzでの検査に対する要求が高い。この傾向は、心臓病に対する検査や血管内の検査に使用される探触子において顕著である。このことを考慮して、形成すべき電極の幅を計算すると、表1のようになる。なお、ここで体内での音速を1500m/sとして計算を行なった。
【0016】
【表1】
Figure 0003882231
【0017】
医療用超音波診断装置の探触子材料として図1に示すような複合圧電材料が用いられる主な理由は次のとおりである。
【0018】
(a) 複合圧電材料では、音響インピーダンスが圧電セラミックス単体より低い。そのため、音響インピーダンスマッチング層を設けずとも、体内に効率よく音波を伝播させることができる。
【0019】
(b) 複合圧電材料では、画像劣化の原因となる電極面に平行な方向(横方向)の振動が抑制され、必要とされる垂直な方向(縦方向)の振動は圧電セラミックス単体と比較して大差がない。
【0020】
(c) 複合圧電材料では、電極面に垂直な方向の電圧圧電定数が圧電セラミックス単体と比べて高く、超音波の感度が高い。
【0021】
これらのメリットを十分に発揮させることができる複合圧電材料の設計において、圧電セラミックスの占積率が非常に重要となる。音響インピーダンスは、構成材料の加重平均になるので、なるべく圧電セラミックスの占積率を減らすことが望まれる。電極面に平行な方向の振動の強さ(横振動の歪み圧電定数)は、おおよそ圧電セラミックス占積率に比例するので、この点からも圧電セラミックス占積率は低い方がよい。一方、電極面に垂直な方向の振動(縦方向の歪み圧電定数)は、典型的には圧電セラミックス占積率が0〜10%の範囲で急激に増加し、その後10〜30%の範囲で緩やかに増加し、30〜100%の範囲ではほとんど変化しない。電圧圧電定数は、縦方向の歪圧電定数を誘電率で割った値に比例する。誘電率は圧電セラミックス占積率に比例するため、電圧圧電定数の点からは、圧電セラミックス占積率は10%前後がよい。以上を総合すると、複合圧電材料における圧電セラミックスの体積百分率は10〜30%の範囲がより好ましい。
【0022】
以上に述べてきたような電極幅と圧電セラミックス占積率に対する要求から、複合圧電材料において配列される各圧電セラミックスの好ましい寸法を次に求める。電極で分割された各素子において圧電セラミックスの占積率は10〜30%の範囲にあることが望ましいため、各圧電セラミックス体の断面を正方形とすると、その一辺の長さは電極幅の1/4以下にすることが望ましい。そこで、望まれる圧電セラミックス断面の寸法を表2にまとめる。また、複合圧電材料の厚さ方向の周波数定数(共振周波数と厚さの積)は1800kHz・mm程度であることから、この定数を使用周波数で割れば必要な探触子の厚さが表2に示すように求められる。なお探触子の厚さは周波数定数から算出した厚さの1/2にすることもあるので、表2には2通りの値を示した。さらに、「圧電セラミックス断面の最大幅(正方形の対角線の長さ)」に対する「探触子の厚さ(これは圧電セラミックスの高さに相当する)」の比(縦横比)を計算した結果を表2に併せて示す。
【0023】
【表2】
Figure 0003882231
【0024】
表2から明らかなように、使用周波数7.5MHz以上のフェーズドアレイ電子セクタスキャン方式に望まれる複合圧電材料において、正方形の各圧電セラミックスの1辺の長さは25μm以下である。すなわち断面は1辺が25μm以下の正方形、またはそれと同等の面積となる円や多角形であることが望まれる。また、使用周波数7.5MHz以上のリニアスキャン方式に望まれる複合圧電材料において、正方形の各圧電セラミックスの1辺の長さは75μm以下である。すなわち断面は1辺が75μm以下の正方形、またはそれと同等の面積となる円や多角形であることが望まれる。縦横比はいずれの場合も2以上が望ましく、特にフェーズドアレイ電子セクタスキャン方式では3.3以上がより望ましい。
【0025】
超音波プローブに複合圧電材料を使用することで、横方向の振動が抑制されるが、さらに横方向の共振周波数が使用する帯域からずれているならば好都合である。生体内での音速を1500m/sとした場合、使用する周波数fと電極幅wとの間には次の関係が成立する。
【0026】
(フェーズドアレイ電子セクタスキャン方式) f・w=750(kHz・mm)または(MHz・μm)
(リニアスキャン方式) f・w=2250(kHz・mm)または(MHz・μm)
使用する周波数にはある程度の帯域が存在する。この幅は、中心値の約50%程度であるので、これを加味すると次のようになる。
【0027】
(フェーズドアレイ電子セクタスキャン方式) f・w=560〜940(kHz・mm)
(リニアスキャン方式) f・w=1690〜2810(kHz・mm)
仮に、複合圧電材料の横方向モードの周波数定数がこれらの帯域にある値であれば、使用する周波数帯域に横方向の共振周波数が存在することになる。この場合、その周波数あたりで、画像素子間のクロストークが大きくなり支障をきたすことが考えられる。一方、縦方向モードの周波数定数が上記の範囲内の場合、超音波の送受信における周波数特性がフラットでなくなってしまうので好ましくないが、クロストークなどによって画質が劣化することはない。通常、探触子材料として使用されるPZTでは、必要とされる縦方向の振動モードの周波数定数は2200kHz・mm、支障となる横方向の振動モードの周波数定数は1400kHz・mm程度である。一方、複合圧電材料の周波数定数は、圧電セラミックスの周波数定数と複合化すべき樹脂のヤング率によって決まる。複合圧電材料の縦方向の振動モードにおける周波数定数は1600〜1800kHz・mm程度、横方向の振動モードにおける周波数定数は500〜1100kHz・mm程度である。横方向の方が樹脂のヤング率の影響を強く受ける。以上を考慮すれば、横方向の振動モードにおける周波数定数が560〜940kHz・mmの範囲外であることが望ましい。このような周波数定数は、たとえばPZTの占積率や複合化する樹脂のヤング率により制御することができる。
【0028】
本明細書において、「圧電セラミックス」という用語は圧電効果を示すセラミックス材料を示す。圧電セラミックスには、たとえば、チタン酸バリウムやジルコン酸鉛−チタン酸鉛系固溶体などの灰チタン石型構造の結晶が含まれ、たとえば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)およびチタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)などのチタン酸ジルコン酸塩が好ましく用いられる。さらに圧電セラミックスとして、チタン酸鉛等を用いることもできる。
【0029】
本発明において、有機ポリマー材料には、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂等の樹脂、または、シリコンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム等のゴムを使用することができる。
【0030】
有機ポリマー材料中に配列される柱状体の高さは、たとえば90〜360μm、使用周波数によって好ましくは90〜240μmとすることができる。柱状体の断面は円または多角形とすることができるが、多角形として、正三角形、正方形、正六角形等の正多角形の他、長方形等を用いることもできる。また、後述するように、圧電セラミックスからなる柱状体を、円錐台または角錐台の形状とすることができる。円錐台または角錐台のテーパ角度は、たとえば0.1°〜20°の範囲内とすることができ、好ましくは1〜5°の範囲とすることができる。このような形状は、後述するようにマスクを介する回折光をリソグラフィ工程において用いることにより容易に形成することができる。
【0031】
上述したように寸法の小さい圧電セラミックス体を有する複合材料は、次のプロセスにより調製することができる。以下、図を参照して本発明による製造方法を詳細に説明する。図3(a)に示すように、本発明のプロセスにおいて基板1上にはリソグラフィのための樹脂層2が形成される。基板として、たとえば、銅、ニッケル、ステンレス鋼などの金属基板、チタン、クロムなどの金属をスパッタ蒸着したシリコン基板等からなる基板を用いることができる。樹脂層を形成するための材料として、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のポリメタクリル酸エステルを主成分とするレジスト材料、X線に感受性を有する化学増幅型レジスト材料等を挙げることができる。樹脂層の厚みは、目的に応じて任意に選ぶことができ、通常0.1〜0.5mmが用いられる。
【0032】
次いで、図3(b)に示すように基板1上にマスク3を配置し、マスク3を介してシンクロトロン放射のX線(以下SR光と略す)10が樹脂層2に照射される。マスク3は、所定のパターンで形成されたX線吸収層3aを有している。所定のパターンは、複数の1辺が88μm以下の正方形、または複数のそれと同等の面積となる円もしくは多角形が間隔をあけて配列されたパターンを含む。マスクを構成する透光性基材には、たとえば窒化シリコン、シリコン、ダイヤモンド、チタン等を用いることができ、X線吸収層には、たとえば金、タングステン、タンタルなどの重金属あるいはその化合物等を用いることができる。X線吸収層の厚みは、所望のレジストパターンの厚みによって任意に選ぶことができるが、たとえば3〜10μmとすることができる。また、場合によっては透光性基材のないマスクの使用も可能である。
【0033】
樹脂層に照射すべきSR光の波長は、たとえば1〜10Åとすることができ、そのエネルギは、1〜10keVとすることができる。SR光の光源は、たとえば産業用小型SR装置(蓄積電子エネルギ0.6〜1.5GeV)、中型SR装置(蓄積電子エネルギ1.5〜3GeV)等とすることができる。
【0034】
露光された樹脂層を現像してたとえばSR光により変質した部分を除去すると、図3(c)に示すような樹脂パターン2′が得られる。樹脂パターン2′は、複数の孔2′aを有する。この孔の形状は、最終的に得られる複合圧電材料の圧電セラミックスの形状に相当する。ただし、圧電セラミックスは、焼成時に線収縮率約85%で縮むため、寸法は変化する。したがって、孔の断面は、1辺が88μm以下の正方形、またはそれと同等の面積となる円もしくは多角形である。孔の断面における最大幅に対する孔の深さの比は、2以上が好ましく、3.3以上がより好ましい。
【0035】
次いで、図3(d)に示すように、樹脂パターン2′上に金属5を堆積する。金属5は、たとえば樹脂パターン2′の厚みを超えて0.5〜1mmの範囲の厚みで堆積する。基板1をめっき電極としてめっきを行なえば、樹脂パターン2′上に容易に金属を堆積させることができる。金属として、たとえばニッケル、銅、金およびそれらの合金、パーマロイ等を用いることができるが、金属5を後で金型として用いるため、ニッケルがより好ましい。
【0036】
次に、ウエットエッチング等によって基板を除去し、ウエットエッチングあるいはプラズマエッチングにより樹脂を除去すれば、図3(e)に示すような金型5′が得られる。金型5′には、樹脂パターン2′の形が転写されている。したがって、樹脂パターンの孔に対応する凸部5′aは、断面が1辺が88μm以下の正方形、またはそれと同等の面積となる円もしくは多角形である。
【0037】
次に、図4(a)に示すとおり、以上のプロセスにより得られた金型5′に樹脂7を注入する。樹脂には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂(メタクリル樹脂)、ポリウレタン樹脂(PUR)、ポリオキシメチレン(POM)等のポリアセタールなどの熱可塑性樹脂、エポキシ、シロップ状アクリルなどの熱硬化性樹脂等を用いることができる。樹脂を硬化させた後、冷却して樹脂を金型5′から離して樹脂型7′を得る。
【0038】
樹脂型を形成した後、図4(c)に示すように、樹脂型7′に微細構造体を構成すべき材料を充填する。本発明の場合、セラミックスを生成させるための材料が充填される。材料は、樹脂型からあふれる程度まで充填される。このような材料として、たとえばセラミックス粒子を含有するスラリーを用いることができる。スラリーには、低粘度のものより高粘度のものを用いることが好ましい。低粘度のスラリーを注入する場合、真空下での注入が必要になってくる。一方高粘度のスラリーは、大気中で樹脂型に圧入することが可能となる。圧入のための圧力は、たとえば100kgf/cm2 以上、より好ましくは100〜150kgf/cm2 の範囲とすることができる。また低粘度のスラリーは水を多く含むので、その後の乾燥工程において精密なコントロールを必要とする。高粘度のスラリーの場合、そのような精密なコントロールを必要としない。
【0039】
次に図4(d)に示すように、樹脂型を除去する。除去のため、樹脂を溶融状態にすることなく気化もしくは昇華させるか、または適当な溶剤に溶解させる。樹脂を気化させる場合、たとえば真空中で加熱することにより樹脂成分を蒸発させることができる。この場合、たとえば500℃の温度において10-4Torr以下の圧力下で樹脂を分解および蒸発させることができる。またレーザアブレーションにより樹脂成分を気化させることもできる。レーザにはたとえばArFエキシマレーザを用いることができ、350mJ/cm3 以下のエネルギ密度にてレーザを照射することにより、セラミックスに影響を及ぼすことくなく樹脂のみを除去することができる。さらに樹脂を酸素プラズマ等のプラズマによりエッチングしてもよい。たとえば、酸素とフレオンのプラズマによるエッチングを行なうと、樹脂の分解速度は速いが、セラミックスのエッチング速度は極端に遅い。このようなセラミックスと樹脂のエッチング耐性の差を利用することにより、樹脂のみを速やかに除去することができる。より具体的には、たとえば50Wのプラズマパワー、0.5Torrの反応ガス圧において、アクリルからなる樹脂型は約3μm/分でエッチングすることができる。プラズマの条件は、樹脂の厚みや材質等によって適宜選択することができる。また、溶剤に樹脂型を溶解することによって、セラミックスの構造体を傷つけることなく樹脂型のみを除去することができる。たとえばアクリル樹脂型の場合、溶剤としてアセトンを用いることができる。樹脂型の材質によって、適宜好ましい溶剤を選択することができる。これらの方法はいずれもセラミックス構造体を傷つけたり破壊することなく、樹脂型のみを速やかに除去できる方法である。これらの方法を用いれば、非常に微細な構造物を樹脂型で形成することができる。一方、樹脂を溶融状態にするような条件下で樹脂型を除去すると、溶融した樹脂によって微細な柱状体が倒されたりするおそれがある。
【0040】
樹脂を除去することにより、図4(e)に示すような微細構造体が得られる。セラミックス粒子のスラリーを用いる場合、スラリーの乾燥固化物を焼成することにより、セラミックス焼結体からなる微細構造体8′が得られる。この微細構造体は、台座部8′aから所定の間隔をあけて圧電セラミックスからなる複数の柱状体8′bが延びた構造を有する。柱状体8′bの長手方向に垂直な断面は、1辺が75μm以下の正方形、またはそれと同等の面積となる円もしくは多角形である。柱状体の高さは、使用周波数とスキャン方式によって、たとえば90〜360μmの範囲であり、好ましくは90〜240μmの範囲である。柱状体の縦横比は2以上、好ましくは3〜7である。また柱状体は、40〜700個/mm2 の密度で配置させることができる。
【0041】
このようにして作製した圧電セラミックス構造体に樹脂を含浸することで複合圧電材料を調製することができる。たとえば図5(a)に示すように、カップ120に圧電セラミックス構造体121を入れ、上から有機ポリマー材料122を含浸させる。これを硬化させ、固めたものをカップ120から取出す(図5(b))。次いで、図5(c)および(d)に示すように圧電セラミックス構造体の高さや幅を超えた樹脂部分および台座部分を研削や研摩によって除去すると、複合圧電材料を123を得ることができる。
【0042】
本発明において、円錐台または角錐台の形状の柱状体を有する複合圧電材料は、次のようなプロセスによって調製することができる。まず図6(a)に示すように、基板1上にリソグラフィのための樹脂層2を形成する。次に、図1(b)に示すように基板1の上方にマスク3を配置し、マスク3を介してSR光10を樹脂層2に照射する。マスク3は、所定のパターンで形成されたX線吸収層3aを有している。この場合、マスク3と樹脂層2との間の間隔dは顕著に大きくとられる。このようにマスクを樹脂からかなり離れたところに配置することによって、SR光10の直進光10aに加えてマスク3によるSR光の回折光10bも樹脂層2の変質に寄与するようになる。回折光10bは、図に示すようにマスクのX線吸収層の真下(点線で示す)から少し外側にずれた樹脂層の部分に到達する。たとえば、図7に示すような直進光10aに対する回折光10bの角度θは、0.05〜10°、好ましくは0.5〜2.5°の範囲とすることができる。角度θが適当な範囲となるよう、間隔dを設定することができる。回折光10bは、直進光10aよりも長い波長を有し、強度も低いため、直進光よりも浅い部分を変質させる。したがって、露光により変質された樹脂層の部分2aは、表面に行くに従って幅が広くなっている。樹脂層に照射すべきSR光の波長は、たとえば1〜10Åとすることができ、そのエネルギは、1〜10keVとすることができる。この場合、特に5〜10Åの長波長成分を除去せずに用いることが好ましい。これらの長波長成分は適当な回折光をもたらす。SR光の光源は、上述したものを用いることができる。マスクと樹脂層との間の間隔dは、必要とされるテーパ角度および照射するSR光の波長に応じて任意に選ぶことができる。
【0043】
露光された樹脂層を現像してSR光により変質した部分を除去すると、図6(c)に示すような樹脂パターン2′が得られる。樹脂パターン2′において、孔2′aの開口幅Wは、基板1から遠ざかるに従って大きくなっている。したがって、孔の開口面積は基板1から遠ざかるに従って大きくなる。孔2′aを構成する側壁2′bは、樹脂層の厚み方向(矢印で示す)に対して傾いている。孔は、たとえば円錐台または角錐台の形状とすることができる。孔の断面は、1辺が88μm以下の正方形、またはそれと同等の面積となる円もしくは多角形とされる。孔の側壁の傾きは、図8に示すような断面における相い交わるべき2本の直線6および6′のなす角度(テーパ角度)αとして表わすことができる。テーパ角度αは、0.1〜20°の範囲、好ましくは1〜5°の範囲とすることができる。
【0044】
次いで、図6(d)に示すように樹脂パターン2′上に金属5を堆積する。次に、ウエットエッチングなどによって基板を除去し、ウエットエッチングあるいはプラズマエッチングにより樹脂を除去すれば、図6(e)に示すような金型5′が得られる。金型5′には、樹脂パターン2′の形が転写されている。したがって、樹脂パターンの孔に対応する凸部5′aは、樹脂パターンにほぼ等しいテーパ角度α′を有しており、凸部5′aの幅は、先端にいくほど狭くなっている。テーパ角度α′は、0.1〜20°の範囲、好ましくは1〜5°の範囲である。
【0045】
次に図9(a)に示すとおり、得られた金型5′に樹脂7を注入する。樹脂を硬化させた後、冷却して樹脂を金型5′から離して樹脂型7′を得る。このとき、金型5′の凸部は、上述したように所定のテーパ角度で先端にいくほど細くなっているので、樹脂型7′は金型5′から容易に抜取ることができる。抜取る際、樹脂と金型の間に働くのは初期の接着力であり、摩擦力はほとんど働かない。また、接着力において金型凸部を破壊する方向に働く成分は小さく、金型凸部が抜取りの際に破壊されることはない。このように回折光を用いて所定のテーパ角度を有する構造体を得ることで、樹脂型の形成において金型の破壊をより効果的に防止することができ、金型の寿命を長くすることができる。
【0046】
樹脂型を形成した後、図9(c)に示すように、樹脂型7′にセラミックスを生成させるための材料8を充填する。次に図9(d)に示すように樹脂型を除去する。樹脂は、溶融状態にすることなく気化または昇華させるか、適当な溶剤に溶解させる。樹脂を除去することにより、図9(e)に示すような微細構造体が得られる。セラミックススラリーの乾燥固化物を焼成することにより、圧電セラミックス焼結体からなる微細構造体8′が得られる。微細構造体8′は、台座部8′aと、台座部8′a上に形成される複数の柱状体8′bを有する。柱状体8′bの断面は、1辺が75μm以下の正方形、またはそれと同等の面積となる円もしくは多角形である。柱状体の高さは、使用周波数とスキャン方式によって、たとえば90〜360μmの範囲であり、好ましくは90〜240μmの範囲である。柱状体の縦横比は2以上、好ましくは3〜7である。また柱状体は、40〜700個/mm2 の密度で配置させることができる。円錐台または角錐台の形状を有する柱状体のテーパ角度は、0.1〜20°の範囲、好ましくは1〜5°の範囲である。得られた圧電セラミックス体から、図10に示すように複合圧電材料が調製される。プロセスは上述のとおりである。
【0047】
この方法では、X線マスクと基板との間隔を制御して回折光を積極的にリソグラフィーに用いることにより、所定のテーパ角度を有する構造体を容易に製作することができる。この方法では、基本的に1回の露光工程により厚み方向に対して傾斜した壁を有する構造体を得ることができる。製作に要する時間も比較的短く、露光のため複雑な工程を必要としない。基板に垂直な方向にSR光を照射するリソグラフィー工程によっても、傾斜した壁を有する構造体を得ることができる。回折光を用いるプロセスにおいて、解像度は直進光のみを用いる場合よりも若干低下する。しかしながら、回折光の照射は、再現性よく制御することができるため、高い精度で必要な金型および微細構造体を得ることができる。
【0048】
一方、従来の技術によって同様の構造を得ようとすると、以下に述べるように種々の困難が伴う。たとえば、図11(a)に示すように斜めの方向からSR光30をマスク23を介して基板21上のレジスト層22に照射した後、さらに図11(b)に示すように、傾斜角度を変えてSR光30を照射することができる。しかしながら、このような場合、得られる構造体は図11(c)に示すとおりであり、開口の幅が表面にいくに従って狭くなった孔を有するレジストパターン22′が得られる。このようなレジストパターンは、本発明が必要とする形状の反対である。また図12に示すように、SR光40に対して、レジスト32が塗布された基板33を所定の角度で傾け、回転させる方法も考えられる。この場合、露光領域32′は円錐台の形状を有する。しかしながら、この方法では、露光領域の中心部と周辺部との移動速度が異なるため、全体的に均一な照射量を実現することが困難である。この方法は、精度の高い微細構造体を得る方法として実際的ではない。SR光を斜めに照射する方法では、図13に示す方法がより実際的であると考えられる。図13に示す方法では、まず図13(a)に示すようにSR光50を基板41上のレジスト42に斜めに照射した後、図13(b)に示すようにマスク43の位置をずらし、基板41の角度を変えてSR光50を照射する。このような工程によれば、図13(c)に示すような構造体が得られる。しかしながらこの方法では、マスクを精度よくずらす必要があるが、それにはマスクと基板との位置関係を合わせる(整合させる)必要がある。このような工程を1枚のマスクで行なうことは不可能であり、複数枚の異なるマスクが必要となる。この方法では、マスクの位置合わせのために作業時間が長くなり、製造における精度も低下する。また得ようとする形状によってSR光の照射を何度も行なう必要があるため、ある領域では必要以上に露光時間が長くなる。吸収エネルギ密度が上限値を超える場合、レジストにおいてポジ−ネガの反転が起こってしまい、所望のレジストパターンが得られない。またこの方法において単波長の光を使用することが望ましいが、SR光において単波長の光は相対的に強度が低いため、さらに露光時間が長くなる。また、角錐台のレジストパターンを得ることができるが、円錐台を得ることができないなど、形状も制限される。この方法は、作業時間、コスト、精度および効率の点において多くの問題を抱えている。これらの方法と本発明の方法とを比べると、本発明の方法が、如何にシンプルであり、精度が高く、効率でありかつ低コストであるかが容易に理解されるはずである。
【0049】
【実施例】
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる多数の柱状体が樹脂に分散された複合圧電材料を以下に示すようにして調製した。
【0050】
(1) 金型の製作
図3および図6に示すようなプロセスに従ってPZTアレイ構造体用の金型を作製した。まず、X線に感受性があるレジスト、メタクリル酸メチルとメタクリル酸の共重合体(P(MMA+MAA))を180μmの厚みでチタンをスパッタ蒸着したシリコン基板からなる導電性基板に塗布した。次に、窒化シリコンからなる透光性基板上に窒化タングステンからなる吸収層パターンを形成したマスクを、レジスト層の上方に配置した。マスクを介してシンクロトロン放射光(SR光)をレジストに照射した。SR装置はNIJI−3(偏向部の磁場4テスラー、蓄積電子エネルギ0.6GeV)であった。SR照射において、通常はカプトンなどをフィルタに用いて3Å以上の超波長光をなるべくカットするが、本実施例の場合は超波長光のカットを行なわなかった。SR装置自体から放射される光のピーク波長は約6Åであったが、100μmの厚さのベリリウム窓を通過する光を使用したためレジストに実際に照射されるSR光のピーク波長は約4Åであった。マスクとレジスト層の間隔dを、50μm以下、5mm、14mmおよび28mmにそれぞれ設定し、SR光の照射をそれぞれ行なった。マスクには、直径30μmの円が、相対角60°、ピッチ57μmで規則的に配列したもの、または1辺が30μmの正方形のパターンが30μmの間隔で規則的に配列したものを用いた。円または正方形のパターンの部分は、X線を透過させるようになっている。SR光の照射の後、メチルイソブチルケトン(MiBK)により現像を行ない、レジストパターンを得た。円形のパターンを有するマスクを用いた場合、マスクとレジスト層の間隔dが50μm以下のときは、直径30μmの円柱形状の孔が多数形成されていた。円形のパターンを有するマスクとレジスト層の間隔dが5mm、14mmおよび28mmである場合、テーパ角度がそれぞれ2°、6°、14°の円錐台の形状を有する孔が多数レジストパターンに形成されていた。円錐台における基板側の直径は30μmであった。このように、マスクとレジスト層の間隔を顕著に大きくすることで、SR光の回折効果を利用して、適当な範囲のテーパ角度を得ることができた。また30μm角の正方形のパターンを有するマスクを用いた場合、角柱形状または角錐台形状の孔が多数形成されたレジストパターンを得ることができた。角錐台のテーパ角度は、間隔dが5mmのとき2°、間隔dが14mmのとき6°、間隔dが28mmのとき14°であった。
【0051】
次に、導電性基板をめっき電極としてめっきを行ない、ニッケルを1mmの厚さまで堆積させた。基板を水酸化カリウム水溶液で溶解した後、レジストを酸素プラズマにより除去し、金型を得た。金型は、図14(a)または図15(a)に示すような形状を有している。図14(a)に示す金型55において、台座部55aから円柱または角柱形状の微細な柱55bが多数延びている。また図15(a)に示す金型55′において、台座部55′aから円錐台または角錐台形状の微細な柱55′bが延びている。柱55′bの上面は直径30μmの円であるかまたは1辺が30μmの正方形である。柱55bおよび55′bの高さは180μmである。柱55bまたは55′bは、30μmの間隔で配列されている。
【0052】
(2) セラミックス微細構造体の作製
図4および図9に示すようなプロセスに従ってPZT焼結体からなる微細構造体を形成した。まず得られた金型に樹脂を充填した。樹脂として、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなるアクリル樹脂を用いた。シロップ状のアクリル樹脂を金型に流し込み、加熱して硬化させた後、室温まで冷却して樹脂を金型から離し、樹脂型を得た。樹脂型は、所望する微細構造体の形状を反転させたものである。次いで、樹脂型にPZT粒子を含有するスラリーを充填した。スラリーは、水および有機バインダーを用いて、調製した。次に、乾燥により充填したスラリーを固化した。続いて酸素プラズマを用いるアッシングを行ない、樹脂型を除去した。アッシングの条件は、反応ガス圧0.5Torr、RFパワー50Wであった。残ったスラリーの固化物に、500℃において仮焼成を施し、さらに1100℃において本焼成を施した。焼成によりPZT焼結体からなる微細構造体が得られた。得られた構造体の形状を図14(b)および図15(b)に示す。微細PZTアレイ構造体68において、板状の台座部68aから円柱形状または角柱形状の微細な柱68bが多数延びている。本焼成によって約85%収縮するため、柱68bの断面は直径25μmの円であるか1辺の長さが25μmの正方形である。板状の台座部68′aからは円錐台または角錐台形状の微細な柱68′bが多数延びている。柱68′bの上面は、直径25μmの円であるかまたは1辺が25μmの正方形である。柱68bおよび68′bの高さは150μmである。柱68bおよび68′bは、いずれも25μmの間隔で配列されている。
【0053】
このようにして作製したPZTアレイに樹脂を含浸することで、複合圧電材料を作製することができた。作製方法は、たとえば図5および10に示すとおりである。樹脂にはエポキシ樹脂を用いた。図5(a)および図10(a)に示すように、カップ120にPZTアレイ121を入れ、上からエポキシ樹脂122を真空下で含浸した。これを加熱して樹脂を硬化させ、固めたものをカップ120から取出した(図5(b)および図10(b))。続いて、図5および図10の(c)および(d)に示すように、PZTアレイの高さや幅を超えた樹脂部分およびPZTアレイの台座部分を研削や研磨によって除去すると、複合圧電材料123を形成することができた。得られた複合圧電材料の厚みは100μmであった。
【0054】
このようにして調製した複合圧電材料の両面に金をスパッタ蒸着して電極を形成した。分極を行なった後、カッティングを行ない、5mm×5mmの寸法の超音波探触子を得た。得られた探触子の特性を測定したところ、縦振動モードの電気機械結合係数Ktは60〜65%であり、PZT単体において得られる値43〜45%を大きく上回っていた。縦振動の歪み圧電定数d38はおよそ300×10-12 m/Vであり、この値はPZT単体の約8割であった。横振動モードに関しては、K31が15%程度、d31が60×10-12 m/Vであり、これはPZT単体の1/4〜1/3であった。これにより、画像診断で支障となる横振動モードが抑制され、必要な縦振動モードはPZTと大差がないことがわかった。また、縦振動の感度を与える電圧圧電定数g33は、100〜120×10-3Vm/Nであり、これはPZT単体の23×10-3Vm/Mの4〜5倍程度である。したがって、得られた複合圧電材料はPZT単体のものよりも感度が高い。得られた複合圧電材料の音響インピーダンスについては、10Mraylの計算値が得られた。これは、PZT単体の場合の30Mraylよりもはるかに生体の場合の1.5Mrayl(ただし骨は4〜8Mrayl)に近い。
【0055】
横振動の周波数定数については、使用周波数帯域でのヤング率が5.5×108 Pa以下であれば、周波数定数560kHz・mm以下となり、ヤング率が2.4×109 Pa以上であれば周波数定数940kHz・mm以上となることが実験から示され、横振動の周波数定数を560〜940kHz・mmの範囲の外で制御することが可能であることがわかった。その実験結果を図16に示す。しかし実際は、製造プロセスの都合から後者の条件の樹脂を使用する方が望ましい。また、使用する周波数帯域が中心周波数の50%以上の場合には、それに応じた周波数定数が得られるよう、樹脂のヤング率を制御することが必要である。
【0056】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明によれば、より高い周波数で使用することのできる複合圧電材料を提供することができる。本発明による複合圧電材料は、高い分解能を必要とする超音波探触子に適している。本発明は、フェーズドアレイ電子セクタスキャン方式およびリニアスキャン方式で使用される超音波プローブにそれぞれ適した複合圧電材料を提供するものである。本発明は、特に医療用超音波画像診断装置の探触子に適した複合圧電材料を提供するものであるが、その用途は特にこれに限定されるものではない。本発明はまた、上述したような優れた能力を有する複合圧電材料を高い歩留りで製造できる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】複合圧電材料の一般的な構造を示す斜視図である。
【図2】複合圧電材料を製造するための従来のプロセスを示す斜視図である。
【図3】本発明による製造プロセスの一例を説明する概略断面図である。
【図4】本発明による製造プロセスの一例を示す概略断面図である。
【図5】本発明による製造プロセスの一例を示す概略断面図である。
【図6】本発明による製造プロセスのもう一つの例を示す概略断面図である。
【図7】SR光について直進光と回折光とがなす角度を示す模式図である。
【図8】本発明によるもう一つの製造プロセスにおいてX線リソグラフィーにより得られたレジストパターンの形状を示す概略断面図である。
【図9】本発明による製造プロセスのもう一つの具体例を示す概略断面図である。
【図10】本発明による製造プロセスのもう一つの具体例を示す概略断面図である。
【図11】従来法により傾斜した壁を有する構造体を製造するための方法を示す概略断面図である。
【図12】もう一つの従来法により、傾斜した壁を有する構造体を製造するプロセスを示す概略断面図である。
【図13】従来法を用いて本発明と同様の傾斜した壁を有する構造体を得るための工程を示す概略断面図である。
【図14】実施例により得られた金型およびPZTアレイ構造体の形状を示す部分断面図である。
【図15】実施例により得られた金型およびPZTアレイ構造体の他の形状を示す部分断面図である。
【図16】本発明により得られる複合圧電材料に関し、樹脂ヤング率と横振動モードの周波数定数との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 樹脂層
3 マスク
5 金属
5′ 金型
7 樹脂
7′ 樹脂型
8 セラミックス材料
8′ セラミックスからなる微細構造体

Claims (2)

  1. 圧電セラミックスからなる複数の柱状体が、それぞれの長手方向が互いに平行になるよう間隔を空けて有機ポリマー材料からなるマトリックス中に配列された構造を有する複合圧電材料の製造方法であって、
    基板上にリソグラフィのための樹脂材料からなる層を形成する工程と、
    前記樹脂材料からなる層に、1辺が88μm以下の正方形またはそれと同等の面積となる円もしくは多角形が複数、間隔を空けて配列されたパターンを有するレジストパターン形成のためのマスクを介して、シンクロトロン放射によるX線を照射する工程と、
    前記樹脂材料からなる層を現像する工程と、
    現像によりパターン形成された樹脂材料上に金属材料を堆積させる工程と、
    前記樹脂材料を除去して前記パターン形成された樹脂材料の形状が転写された前記金属材料からなる型を得る工程と、
    得られた金型に樹脂材料を充填する工程と、
    前記金型から前記樹脂材料を抜取り、前記金型の形状が転写された樹脂型を得る工程と、
    得られた前記樹脂型にセラミックスを生成させるための材料を充填し、固化させる工程と、
    前記樹脂型を、樹脂を溶融状態にすることなく気化または昇華させるか、または溶剤に溶解させることにより、除去する工程と、
    残った固化物を加熱して、断面が1辺が75μm以下の正方形またはそれと同等の面積となる円もしくは多角形である複数の柱状体が間隔を空けて台座部から延びた構造を有するセラミックス構造体を得る工程と、
    得られたセラミックス構造体上に有機ポリマー材料を付着させる工程と、
    有機ポリマー材料が付着したセラミックス構造体から、前記台座部を除去して、前記複数の柱状体が前記有機ポリマー材料中に間隔を空けて配列された複合材料を得る工程とを備える、複合圧電材料の製造方法。
  2. 前記シンクロトロン放射によるX線を照射する工程は、前記シンクロトロン放射光の前記マスクを介する回折光が前記樹脂材料からなる層に十分照射されるよう、前記マスクと前記樹脂材料からなる層との間に所定の間隔を設ける工程を備え、
    前記回折光を伴う露光により前記樹脂材料において前記基板から遠ざかるに従い開口面積が大きくなった孔が得られることを特徴とする、請求項記載の複合圧電材料の製造方法。
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