JP3882055B2 - 内燃機関の空燃比制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の制御方法に関し、特に空燃比手段を用いた内燃機関の空燃比制御方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、内燃機関の空燃比を制御するために、内燃機関の排気管等に、空燃比が理論空燃比より高いか低いかに反応する空燃比検出手段を設け、この空燃比検出手段の検出結果に基づいて燃料噴射量を制御することが行われている。
具体的には、エンジンのエンジン回転数及びスロットル開度を検出する手段を設け、これらの手段の検出結果に基づいて基本燃料噴射量をマップ等を用いて決定し、かつ、エンジンの温度及び吸気温度等のエンジンの運転条件に対する環境変化を検出する手段を設けて、これらの手段の検出結果に基づいて燃料噴射補正値あるいは補正係数を算出し、前記基本燃料噴射量に当該燃料噴射補正値を加算あるいは補正係数を乗算して補正した燃料噴射量として燃料噴射装置から燃料を噴射させる一方で、排気管等に空燃比検出手段を設け、前記補正燃料噴射量に基づいて供給された燃料による混合気の空燃比がリッチかリーンかを検出し、この検出結果からフィードバック補正値を決定し、例えば検出した空燃比がリッチの場合には燃料噴射量を減少させ理論空燃比にし、また、検出した空燃比がリーンの場合には燃料噴射量を増加させて空燃比を理論空燃比になるように制御する(図16参照、本図は通常の空燃比制御方法で制御された燃料噴射量と空燃比検出手段の検出結果の経時変化を示すグラフである。)。
また、上記した従来の制御方法では、エンジン温度等のエンジンの運転条件に対する環境変化を検出する手段の動作を監視し、前記手段の故障を検出した場合には、前記燃料噴射補正値を所定の値に固定するように制御しており(図17参照、本図は環境変化検出手段の故障用のフェールセーフが機能した状態を含む図16に対応するグラフである。)、また、空燃比検出手段が故障した場合のフェールセーフとして空燃比検出手段の検出結果に基づいて決定されるフィードバック補正値には限界幅を設定していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の制御方法によれば、最終的な燃料噴射量を空燃比手段の検出結果、即ち実際の空燃比に応じて補正しているので、極めて正確な空燃比制御が行え、また、エンジンの運転条件に対する環状変化を検出する手段を監視し、これらの環境変化検出手段の故障を検出した場合には燃料噴射補正値あるいは補正係数を所定あるいは補正係数の値に固定するので、前記環境変化検出手段の故障によって燃料噴射量が極端に多くなったり、また、少なくなったりすることがなく、さらに空燃比検出手段のフェールセーフとしてフィードバック補正値に限界値を設定しているので空燃比検出手段が故障した場合でも燃料噴射量が極端に多くなったり、また、少なくなったりすることがないという様々な利点を有するが、前記したように環境変化検出手段が故障して燃料噴射補正値あるいは補正係数が所定の値に固定された場合、空燃比検出手段に基づくフィードバック補正値の限界幅が決められてしまっているので、エンジンの運転状態によっては、図17に示すように、フィードバック補正値を限界まで上げてもなお、最終的な燃料噴射量が目標燃料噴射量に達せず、従って、空燃比がリーン状態のまま維持されてしまうことがある等の問題が残っている。
上記した問題点は、前記フィードバック補正値の限界幅を無くせば解決できるが、フィードバック補正値の限界幅を無くすと、空燃比検出手段が故障して、例えば、その検出結果がリーン側に固定されてしまった場合等に、フィードバック補正値は空燃比をリッチにするために、際限なく燃料噴射量を増加させることになるので好ましくない。
本発明は、上記した従来の問題点を解決し、環境変化検出手段及び空燃比検出手段の両方の故障に対するフェールセーフ機能を備え、かつ、環境変化検出手段が故障した場合でも、空燃比検出手段を用いたフィードバック制御で目標とする空燃比を得ることのできる内燃機関の空燃比制御方法を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明は、環境変化検出手段の故障時に当該手段の検出結果に基づいて決められる燃料噴射量補正値を一定の値に固定し、また、空燃比検出手段の検出結果に基づいて決められるフィードバック補正値に限界幅を設けるという二つのフェールセーフ機能を備えた内燃機関の空燃比制御方法において、環境変化検出手段が故障した時に、フィードバック補正値の限界幅を拡大して、フィードバック補正値の変化に対応して空燃比検出手段が反応し得るレベルまで、最終的な燃料噴射量を増加又は減少させる。
これにより、運転状態検出手段の故障後でも最適な空燃比が得られる内燃機関の空燃比制御が可能になる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に係る内燃機関の空燃比制御方法は、燃料噴射装置の燃料噴射量を、エンジンの運転状態を検出する手段の検出結果に基づいて決められる基本燃料噴射量と、エンジンの運転条件に対する環境変化を検出する手段の検出結果に基づいて決められる燃料噴射量補正値と、燃料噴射後の実際の空燃比を検出する手段からの検出結果に基づいて、空燃比がリーンであれば燃料噴射量を増加し、リッチであれば燃料噴射量を減少させるように算出されるフィードバック補正値とに基づいて決定する一方で、前記環境変化検出手段の動作を監視し、該手段の故障を検出した場合には、フェールセーフとして前記燃料噴射量補正値を所定の値に固定し、また、空燃比検出手段の故障時のフェールセーフとして前記空燃比フィードバック補正値に限界幅を定めた内燃機関の空燃比制御方法において、前記環境変化検出手段の故障を検出した時に、空燃比フィードバック補正値の変化に対応して空燃比検出手段が反応し得るレベルまで空燃比フィードバック補正値の限界幅を拡大することを特徴とするものである。
【0006】
前記限界幅はリッチ側及びリーン側の両方ともに拡大され得、この時に、リッチ側及びリーン側の拡大比率を変えてもよい。また、限界幅をリッチ側のみ拡大するようにしてもよい。
好ましくは、故障した環境変化検出センサの種類に応じて拡大率が決定され得る。
【0009】
【実施例】
以下、本発明に係る内燃機関の空燃比制御方法の一実施例を添付図面を参照しながら説明する。
図1は本発明が適用される2機掛け船外機を装備した船舶の外観図である。図面に示すように、この2機掛け船外機は船体1の船尾に各々船舶用6気筒2サイクルエンジンを搭載した2機の船外機3-1及び3-2を装着した形式のもので、各船外機のエンジンを独立して運転できるように、各々に後述する駆動制御装置100を設けてあり、どちらか一方のエンジンが故障した場合でも他方のエンジンで航行可能にされている。
前記した2機の船外機3-1及び3-2は何れも同じ構造であり、また、各船外機のエンジンを制御する駆動制御装置100の処理方法も同じ構造であるので、以下の説明では一方の船外機3-1のみを取り上げて説明する。
【0010】
図2は船外機3-1のエンジンと前記駆動制御装置100の関係を示す概略構成図、図3は、船外機3-1のエンジンの運転状態を検出するための検出手段及び燃料噴射や点火を駆動する手段、駆動制御装置100、及び駆動対象の関係を示すブロック図である。
図面に示すように、エンジンにはエンジンの運転状態やエンジンの運転条件に対する環境変化を検出するための手段として種々のセンサが設けられている。前記駆動制御装置100は、これらの検出センサからの検出情報に基づいて予め定めた制御プログラムに従って、そのときの最適空燃比を得られる燃料噴射量や、噴射タイミング又は点火タイミングなどを演算して点火プラグ及び燃料噴射装置に加えて燃料ポンプやオイルポンプ等を制御する。
上記制御プログラムは、検出情報の読込ルーチンと読み込んだ検出情報に基づいて各制御量を演算する複数の演算ルーチンとを予め定めたシーケンスに従って配置したメインルーチンを有し、このメインルーチンに従って演算処理を行う。
【0011】
以下、図3に示した各検出手段を上から順に説明する。
運転状態検出手段は、その時々のエンジンの運転状態を検出する検出手段であり、本実施例では、気筒検出手段#1〜#6、クランク角検出手段及びスロットル開度検出手段から成る。
気筒検出手段#1〜#6は、クランク軸の周りに6個配備される。これら気筒検出手段#1〜#6は、例えば各気筒のピストンが上死点又はそれより所定角度手前に位置する瞬間に信号を発するように構成され、本実施例ではクランク軸の一回転中に60度ごとに1つの気筒検出信号(TDC信号)を各気筒#1〜#6から順番に清算処理装置101に送る。エンジン回転数はこの気筒検出手段#1〜#6の検出結果に基づいて算出される。また、前期TDC信号は、各気筒についてのイベント割込み(TDC割込み)を実行するためのトリガ信号になり、前期TDC信号によってイベント割込みが実行され、イベント割込みのフロー中にメインルーチンで求められた各気筒についての制御演算結果に基づいた点火時期及び燃料噴射量セットが実行される。
クランク角検出手段は、点火時期制御のベースとなる角度パルスを発するものであり、クランク軸に係合するリングギア(図示せず)の歯数に対応してパルス信号を発する。例えば、ギア歯数112歯に対応して1回転中に448パルスを発するように構成する場合は、1パルスごとにクランク軸が0.8度回転することになる。点火時期制御はTDC割込みでのセット後のクランク角信号をカウントすることにより行われる。
スロットル開度検出手段は、吸気マニホルドに設けたスロットル弁(図示せず)の開度に応じてアナログ電圧信号を発する。演算処理装置はこのアナログ信号をA/D変換して読込、マップ読取等の演算処理で使用する。
環境変化検出手段は、エンジンの運転状態に対する周囲環境の状態の変化(例えば、本実施例の場合、各機関の温度の変化やトリム角の変化等)を検出する手段であり、本実施例ではトリム角検出手段、E/G温度検出手段、大気圧検出手段、及び吸気温度検出手段から成る。これら、上記した周囲環境の変化は、空燃比に直接影響するものなので、前記環境変化検出手段から得られた検出結果は、上記した運転状態検出手段の結果に基づいて算出される燃料噴射量や点火時期等の基準制御量を補正する基準制御量補正用のパラメータとして使用される。
トリム角度検出手段は、船体1に船外機を取り付けるためのブラケットに設けられ、船外機の取付角度を検出する。E/G温度検出手段は、各気筒(又は特定の基準気筒)のシリンダブロックに設けられ、その気筒の温度を検出する。大気圧検出手段は、カウリング内の適当な位置に設けられ、また、吸気温度検出手段は吸気通路の適当な位置に設けられる。
空燃比検出手段は、O2センサから成り、理論空燃比で反応して実際の空燃比がリッチかリーンかを検出し、燃料噴射量等のフィードバック制御を行うためのパラメータとして使用される。
ノック検出手段は、各気筒の異常燃焼を検出するためのものであり、ノッキングがおきた場合に点火時期を遅角側にシフトさせたり、または燃料をリッチ側に設定する等してノッキングを解消し、エンジンの損傷発生を防止する。
オイルレベル検出手段は、カウリング内のサブタンク及び船内のメインタンクの両方にレベルセンサを設けたものである。
サーモスイッチは、バイメタル式温度センサ等の応答性の速いセンサからなり、冷却系異常等によるエンジンの温度上昇等を検出し焼き付きを防止するための失火制御を行う。
シフトカットスイッチは、船外機のシフト操作時(前進クラッチあるいは後進クラッチ脱着操作)にかかるシフト操作系への負荷すなわちドッグクラッチの高面圧を検出するもので、制御装置はこのシフトカットスイッチからの信号に基づいて、クラッチ脱操作にかかるクラッチの面圧が高い場合にはエンジン出力すなわちトルクを下げてクラッチ脱操作を容易にする。
DES検出手段は、2機のエンジン3-1及び3-2を同時に駆動する2機掛け運転の場合に、一方のエンジンが異常により失火運転状態にあることを他方のエンジンに知らせるための信号であるDESを検知するものである。すなわち、該検出手段は、船尾に船外機を2台並設して備えた形式の船舶において、一方の船外機のエンジンがオイル不足や温度上昇等により失火制御を行っている場合に、そのエンジンのDES出力手段から出力されるDESを検出して、当該エンジンの失火運転状態を検知するためのもので、この検出結果を受けた他方のエンジンの駆動制御装置は、そのエンジンも前記一方のエンジンと同様に失火運転させ両方のエンジンの運転状態を同じにして走航のバランスを保つ。
バッテリ電圧検出手段は、バッテリ電圧を検出して、演算処理装置103に出力し、演算処理装置101では、この検出結果に基づいて、インジェクタの駆動電源電圧の変化によって変化するバルブの開閉動作の速さに応じて燃料噴射量を補正する。
スタータスイッチ検出手段は、エンジンが始動運転中かどうかの検出をするためのものであり、演算処理装置101では、この検出結果に基づいて、例えば始動状態であれば、燃料のリッチ化等を行い始動運転用の制御を行う。
E/Gストップスイッチ検出手段は、エンジン停止操作スイッチや落水検知スイッチから成り、このうち落水検知スイッチは落水事故等の緊急状態を検出するものであり、緊急時にエンジンを直ちに停止するように制御する。
【0012】
以上説明した各検出手段からの信号は演算処理装置101に入力され、演算処理装置101ではこれらの入力信号に基づいて出力側の燃料噴射手段#1〜#6、点火手段#1〜#6、燃料ポンプ及びオイルポンプを駆動制御する。尚、燃料噴射手段および点火手段は各々インジェクタ及び点火プラグから成り、これらは各気筒ごとに独立して順番に制御される。
【0013】
以下、図4及び図5を参照して上記演算処理装置101における点火時期制御及び燃料噴射制御を実行する基本構成に関して説明する。図4は、点火時期制御及び燃料噴射制御を実行するための基本構成を示すブロック図である。尚、このブロック図では点火時期及び燃料噴射量の基本制御量の演算を実行する部分、エンジンの運転状態に対する環境変化に応じて基本制御量の補正を実行する部分、空燃比検出手段からの検出結果に基づくフィードバック制御を実行する部分、及び環境変化検出手段の故障時のフェールセーフを実行する部分のみを具体的に示しており、前記したサーモスイッチによる焼き付け防止制御や、シフトカットスイッチの検出結果に基づくエンジン回転数の制御等と点火プラグを失火されるその他の制御を実行する部分については具体的な構成は省略してある。また、図5は上記駆動制御装置101の処理に対応する実際の燃料噴射量及び空燃比検出手段の検出結果の経時変化を示すグラフである。
【0014】
気筒判別手段201は気筒検出手段#1〜#6(図3参照)からの入力に基づいて対応する気筒番号を判別する。周期計測手段203は、この気筒判別手段201を介して気筒検出手段#1〜#6の検出信号を入力し、これらの検出信号に基づいて、各気筒からの入力信号時間間隔を計測し、これを6倍することにより1回転の時間(周期)を算出する。エンジン回転数算出手段205は、この周期の逆数を演算して回転数を求める。スロットル開度読込手段207は、スロットル開度検出手段から得られるアナログ電圧信号を入力し、これをデジタル信号に変換する。
【0015】
スロットル開度読込手段207でA/D変換されたスロットル開度信号とE/G回転数算出手段205で算出されたエンジン回転数信号とは基本点火時期算出手段209及び基本燃料噴射量算出手段211に送られ、各手段209及び211で、基準気筒、ここでは気筒#1の点火時期及び燃料噴射量が各々3次元マップから算出される。前記3次元マップは予め実験等によって得られたマップであり、図示していないが不揮発性メモリ(図3参照)に記憶されている。前記したエンジン回転数信号及びスロットル開度信号は、さらに気筒別点火時期補正値演算手段213及び気筒別燃料噴射量補正値演算手段215に送られ、これらの手段213及び215で、残りの気筒#2〜#6についての基本点火時期及び基本燃料噴射量に対する補正値が各気筒ごとにマップ演算して求められる。
【0016】
一方、トリム角度読込手段217、機関温度読込手段219及び大気圧読込手段221は、環境変化検出手段における対応する検出手段からの検出信号を読み取り、これらの情報を点火時期補正値算出手段223及び燃料噴射量補正値算出手段225に送り、これらの手段223及び225で各運転状態に応じた補正値を算出する。この場合、点火時期補正値については、基本点火進角の値に対して加算する補正進角(あるいは遅角)の角度数を読み込み、各読込データの種類ごとに予め記憶されたマップにより求める。また、燃料噴射量の補正値については、予め定めた比例計数を基本噴射量に対して乗算することにより求める。
【0017】
尚、点火時期補正及び燃料噴射量補正については、図示していないが、さらに吸気温度の検出データを各算出手段212、213に入力して吸気温度に基づく補正を行ってもよい。
【0018】
点火時期補正値算出手段223及び燃料噴射量補正値算出手段225で算出された各補正値は、それぞれ点火時期補正手段227及び燃料噴射量補正手段229に入力され、ここで基本点火時期及び基本燃料噴射量の算出値に加算して基準気筒#1の点火時期及び燃料噴射の制御量(即ち、補正点火時期及び補正燃料噴射量)が算出される。
【0019】
この基準気筒#1の点火時期及び燃料噴射量の制御量は、気筒別点火時期補正手段231及び気筒別燃料噴射量補正手段233に入力され、ここで基準気筒#1についての補正された基本点火時期及び燃料噴射量に対して、気筒#2〜#6についての気筒別点火時期補正値演算手段213及び気筒別燃料噴射量補正値演算手段215による制御補正値を加えることにより、気筒#2〜#6までの気筒の点火時期及び燃料噴射量の制御量が算出される。
【0020】
上記したようにして算出された#1から#6までの各気筒に対する点火時期および燃料噴射量の制御量に基づいて、点火出力手段235は、各気筒ごとの点火進角の角度の値で算出された制御量を気筒検出手段#1〜#6を基準にセットし、クランク角読込手段239からの入力信号によりカウントし、燃料出力手段237は燃料噴射装置の開弁時間を気筒検出手段#1〜#6を基準にタイマセットする。
【0021】
演算処理装置101は、さらにフィードバック制御手段241及びフェールセーフ制御手段243を備えている。
フィードバック制御手段241は、空燃比読込手段245から入力される実際の空燃比の情報に基づいてフィードバック補正値を決定し、燃料噴射量補正手段229に出力する。具体的には、このフィードバック制御手段241には、図5に示すように、空燃比読込手段245からリッチ又はリーンの何れかの信号が入力され、例えば空燃比がリーンの場合には空燃比がリッチになるまで燃料噴射量を所定量増加させ、また、空燃比が検出された空燃比がリッチの場合にはリーンになるまで燃料噴射量を所定量減少させて、空燃比検出手段がリーン信号とリッチ信号とを交互に出力するように補正燃料噴射量を補正するフィードバック補正値を決定し、燃料噴射量補正手段229は、基本燃料噴射量算出手段211から得られる基本燃料噴射量と燃料噴射量補正値算出手段225から得られる燃料噴射量補正値とから算出される補正燃料噴射量に、さらに前記フィードバック補正値を加算して最終的な燃料噴射量に関する制御値を決定する(図5参照)。
尚、前記フィードバック制御手段241では、空燃比検出手段の故障を考慮して、算出するフィードバック補正値に所定の限界幅R(図5参照)を設定しており、これにより例えば空燃比検出手段が故障して検出結果がリーン側に固定されてしまった場合等にフィードバック補正値によって最終的な燃料噴射量を際限なく増加させることを防止している。
【0022】
また、フェールセーフ制御手段243は、トリム角度読込手段217、機関温度読込手段219、及び大気圧読込手段221から成る環境変化検出手段の情報を入力し、これらの情報が欠落か或いは異常であるフェール状態であるか否かの環境変化検出手段に対するフェール判断を行い、その判断結果を点火時期補正値算出手段223、燃料噴射量補正値算出手段225、及びフィードバック補正値決定手段242に出力する。
前記燃料噴射量補正値算出手段225では、前記フェールセーフ制御手段243から、環状変化検出手段がフェールであるという情報を入力した場合は、燃料噴射補正値を所定の値に固定する(図5参照)。尚、燃料噴射量補正値算出手段225では、フェールである前記環境変化検出手段の種類に応じて固定値を決定してもよく、また、種類に関係なく所定の固定値に決定するようにしてもよい。一方、フィードバック制御手段241は前記フェールセーフ制御手段243から環境変化手段が故障している情報を得た場合には、フィードバック補正値の限界幅Rを予め設定した幅αだけ拡張する。これにより、環境変化検出手段の故障時に、燃料噴射量補正値が低い固定値で固定されても、フィードバック補正値を大きく設定することが可能になるので、最終的な燃料噴射量を空燃比検出手段が反応するレベル、即ち、目標燃料噴射量まで上げることができるようになる。最終的な燃料噴射量が目標燃料噴射量まで上がったら、その後は通常通り、空燃比検出手段がリーン信号とリッチ信号を交互に出力するようにフィードバック補正値の値を変化させて燃料噴射量を制御する(図5参照)。
【0023】
図6及び図7は、図4で説明した点火時期制御及び燃料噴射量制御の基本構成を含む、エンジンついての制御全体のフローチャートである。このフローチャートは、演算処理装置101のCPUに組み込まれた制御プロセス全体のシーケンスプログラムを示すメインルーチンのフローである。
【0024】
メインスイッチが投入されて電源が立ち上がってエンジン操作が開始されると、所定のリセット時間後まず制御処理装置内の各処理回路が初期化される(ステップ11)。
【0025】
次にステップ12において、以下のエンジンの運転状態が判断され結果が揮発性メモリ102に保持される。
a.メインスイッチのON,OFF情報、スタータスイッチ検出手段を使って読み込まれたスタータスイッチのON,OFF情報、及びクランク角検出手段から読み取られるクランク角パルス列からの算出されるエンジン回転数情報により始動状態か否か判断する始動判断。
b.スロットル開度検出手段から読み取られるスロットル開度情報、エンジン回転数情報、DES検出手段から読み取られる他方の船外機の運転状態情報であるDES情報、あるいは下記するオーバーヒート、オイル不足等の異常状態情報、あるいはスロットル開度情報の時間変化から算出される急加減速情報等に基づき特定気筒を休止すべきかどうかを判断する気筒休止判断。
c.主にスロットル開度情報、エンジン回転数情報に基づき酸素濃度のフィードバック制御を行うかどうかの判断。
d.主にスロットル開度情報、エンジン回転数情報に基づき特定の制御条件の場合に制御データを学習記憶させるかどうかの判断。
e.エンジン回転数情報に基づき過剰回転にあるかどうかのオーバーレボ判断。
f.スロットル開度情報、エンジン回転数情報及びエンジン温度検出手段或いはサーモスイッチによる温度情報に基づきオーバヒート状態にあるかどうかを判断するオーバーヒート判断。
g.スロットル開度情報、エンジン回転数情報及びオイルレベル検出手段による残存オイル量情報に基づき残存オイル量が少ないかどうかを判断するオイルエンプティ判断。
h.スロットル開度情報、クランク角情報、酸素濃度情報或いはクランク角検出手段の一種であるパルサーコイルからのパルサー情報に基づき、これらの情報が欠落か或いは異常であるフェール状態であるか否かのフェール判断、及び環境変化検出手段からの検出情報に基づき、これらの情報が欠落か或いは異常であるフェール状態にあるか否かのフェール判断。
i.2機掛け運転信号により他の船外機も運転されている2機掛け運転状態にあるかどうかの判断、
気筒休止状態信号により他方の船外機が気筒休止運転状態にあるか否かの判断、及び
DES(異常対応の失火制御状態を報知する信号)により他方の船外機が異常対応の失火制御状態にあるか否かの判断の3つの判断からなる2機掛け運転状態判断。
j.スロットル開度情報の時間変化から急加減速状態にあるかどうかの急加減速判断。
k.シフトカットスイッチの信号に基づいて、特定気筒の点火の停止及び燃料噴射量の減量を行っているか否かの判断。
以上説明した各種の判断は、前回のルーチンにおいて読み取った各検出手段からの検出情報や演算結果等の各種情報に基づいて行われる。
【0026】
次にステップ13において、ループ1のルーチンワークを行うかどうかの判別が行われる。
演算処理装置はハード的或いはソフト的に4ms間隔でループ1の処理用フラグ1を”1”にセットし、8ms間隔でループ2の処理用フラグ2を”1”にセットする。
図8はこのようなループ1及びループ2を実行するためのタイマ割込のフローチャートである。このようなタイマのセットはステップ11において行われ、各ループ1及び2のルーチンを実行中にそのフラグがセットされるとともに、次回のそのルーチンのためのタイマがセットされる。
図6に戻り、ステップ13において、フラグ1をチェックし、”1”であればステップ14及びステップ15からなるループ1の処理を実行する。尚、ステップ14に進むと同時にフラグ1はクリアされ”0”となる。ステップ13において、フラグ1が”0”であることが確認されると、ステップ16に進み、フラグ2が”1”であるかどうかのチェックが行われる。フラグ2が”1”であればステップ17に進むと同時にフラグ2はクリアされ”0”となる。ステップ16でフラグ2が”0”である場合にはステップ12に戻る。
【0027】
ステップ13の判別によりステップ14に進んだ場合、ステップ14ではスイッチ情報の読み込みが行われる。ここではE/Gストップスイッチ検出手段、メインスイッチ、スタータスイッチ検出手段及びサーモスイッチからの情報が読み取られ、続いてステップ15において、ノック検出手段及びスロットル開度検出手段からの情報が読み取られる。このループ1による情報の読み込みの終了後ステップ16に進み、ループ2のルーチンワークを行うかどうかが判別される。
【0028】
ステップ16の判別によりステップ17に進んだ場合、ステップ17では、オイルレベルの検出、シフトカットスイッチの出力、エンジン2機掛け運転信号、気筒休止状態信号、及びDES信号の読み込みが行われ、さらにステップ18に進んで、環境変化情報(大気圧情報、吸気温度情報、トリム角度情報、エンジン温度情報)、バッテリ電圧情報、及びノッキング情報が各検出手段から読み取られる。
【0029】
次に、ステップ19において、失火制御が行われる。これは、ステップ12の判断e〜gにおいて、過剰回転状態、オーバヒート状態或いは残存オイル少量状態が確認された場合、或いはステップ12の判断iで他のエンジンが異常状態にあるとの判断した場合、あるいは判断kでシフトカットスイッチの出力が検出されたときに、特定気筒の失火を行うように点火出力手段を制御するものである。さらに、後述するステップ24の気筒別補正において、失火させる気筒の燃料噴射量を他の気筒より半減させるべく、失火制御状態にあることを揮発性メモリ102に出力する失火時燃料制御が実施される。
下記するように図11のTDC割込みのステップ65で揮発性メモリ102や気筒別の噴射開始データ、噴射終了データを割り込んで噴射パルスをセットする時、失火制御状態にある否かもチェックされ、失火制御状態にある場合は失火該当気筒の噴射終了データが補正されて噴射パルスにセットされ、点火該当気筒より約半分の時間で噴射が終了されるようになる。
【0030】
上記ステップ19の処理に続けて、ステップ20でエンジンが回転しているかどうかの判断及びオイルタンクのレベルセンサからの情報い基づいて、燃料ポンプ及びオイルポンプの駆動制御が成される。この駆動制御は、燃料ポンプに関しては、エンジンが回転中ならば燃料ポンプを駆動し、エンジン停止中ならば燃料ポンプを停止するように制御し、また、オイルポンプに関しては、オイルタンク内のオイル残量が少ないときにオイルポンプを駆動して船体内のオイルタンクからオイルを補給するか、或いはエンジン回転数を低下させてオイル消費量を低下させるように制御するものである。
【0031】
次に、ステップ21において、気筒休止判断結果の判別を行う。これは、前述の運転状態判断ステップ12における判断bで、所定の低負荷低回転状態のときに休筒運転を行う判断をした場合に、演算処理のマップを選択するための判別ステップである。ステップ12で休筒運転を行わないと判断していた場合は、ステップ22に進み、通常の全気筒運転による通常運転マップを用いて点火時期及び噴射時間の基本演算及びこれに対する気筒別の補正演算を行う。なお、失火制御状態にあるかどうかの判断もなされ、失火制御状態にある場合は失火気筒にも、他の点火気筒への燃料噴射量と同じか所定の割合を減じた燃料を供給すべく燃料噴射時間の設定がなされる。これによりスロットル開度及びエンジン回転数が所定値以上の時から、失火制御を行っている場合でも、供給された燃料の気化熱により失火気筒のピストン等の冷却を行うことができ、ピストン等の損傷を防止できる。
また、ステップ12において休筒運転状態を行うと判断していた場合は、ステップ24に進み、特定の気筒を休止した休筒運転用の気筒休止マップを用いて点火時期及び燃料噴射時期の演算及び気筒別の補正演算が行われる。
【0032】
次に図7のステップ23において、無効噴射時間の補正値等を演算した後、ステップ25の環境変化情報に基づく燃料噴射量補正値算出処理に進む。
図9は燃料噴射量補正値算出処理のフローチャートを示している。図面に示すように、始めにステップ40で、前記したステップ12の判断hに基づいて環境変化検出手段がフェール状態にあるか否かの判断を行い、フェール状態にある場合にはステップ41で燃料噴射量補正値を固定値に設定し、また、フェール状態にない場合には、ステップ18で読み込んだ環境変化検出手段からの検出結果に基づいてステップ42で燃料噴射量補正値を算出した後、ステップ26に進んでフィードバック制御手段に関するフェールセーフ処理を行う。
【0033】
図10はステップ26で行われるフィードバック補正値限界幅変更処理のフローチャートを示している。図面に示すように、始めにステップ45で、前記したステップ12の判断hに基づいて環境変化検出手段がフェール状態にあるか否かの判断を行い、フェール状態にある場合にはステップ46でフィードバック補正値の限界幅Rを限界幅R+αに拡大し(図5参照)、また、フェール状態にない場合には前記ステップ46の処理を行わずに処理を終了し、ステップ27に進み、空燃比検出手段の検出結果に基づくフィードバック補正値演算処理を行う。
【0034】
ステップ27では、ステップ18で読み込こんだ空燃比検出手段の検出結果に基づいて、例えば、空燃比がリーンであればリッチになるまで燃料噴射量を増加させ、リッチであればリーンになるまで燃料噴射量を減少させるようにフィードバック補正値を決定し、その後ステップ28でノック制御補正係数を演算した後、ステップ29に進む。
【0035】
ステップ29では、点火時期及び燃料噴射の基本制御量に、各種の補正値を加えて最適な点火時期、噴射時間、噴射時期、及び燃料噴射量が演算される。
この処理の後、ステップ30において、エンジン停止前制御の演算が行われる。これはステップ12で、メインスイッチ或いはエンジンストップスイッチ等が切られて、エンジン停止状態と判断された場合に、再始動を考慮して点火のみを止めて燃料噴射は所定時間継続するための制御ルーチンである。以上によりループ2のルーチンを終了し、元の運転状態判断ステップ12に戻る。
【0036】
図11はTDC割込みルーチンのフローを示す。クランク軸には各気筒検出手段近傍を順次通過する時各気筒においてピストンが上死点にあることを知らせる信号を各気筒検出手段から出力させるマーカが固着されている。TDC割込みとは、気筒検出手段#1〜#6からの各気筒のTDC信号の入力に基づき、随時メインルーチンに割り込まれるルーチンである。
始めにステップ50で、入力されたTDC信号の気筒の番号を判定し、次にステップ51でその気筒番号を前回のTDC信号に係る気筒の番号と比較して、運転すべき回転方向に対するエンジンの正逆回転を判定する。このステップ51でエンジンが逆転していると判定した場合にはステップ66に進んでエンジンを直ちに停止する。また、ステップ51でエンジンが正転していると判定した場合には、ステップ52に進んで、例えば#1と#2の気筒間の時間間隔をカウントしてこれを6倍することによりエンジン回転の周期を算出する。続いてステップ53で、この周期の逆数を演算することにより回転数を算出し、ステップ54で、このエンジン回転数が所定の回転数よりも低いかどうかを比較して、低い場合にはステップ66に進んで直ちにエンジンを停止するエンジン停止判定を行う。
【0037】
ステップ54のエンジン停止判定でエンジンを停止しないと判定した場合にはステップ55に進み、入力されたTDC割込信号が特定の基準気筒#1からのものかどうかが判別される。前記割込信号が基準気筒#1からの信号であれば、ステップ56で休筒運転状態かどうかが判別され、休筒運転中であれば、ステップ58で休止すべき気筒のパターンを変更すべきかどうかが判別され、変更する場合にはステップ59に進んで休筒パターンの切換を行い、又は変更せずにそのまま次のステップ60に進み点火休筒情報をセットする。また、ステップ56による判定で休筒運転中でないと判定された場合は、そのまま、或いはステップ57で休筒情報をクリアしてステップ60に進み、ステップ55で割込信号が気筒#1からでないと判断した場合もまた、そのままステップ60に進み点火休筒情報のセットを行う。
【0038】
次に、ステップ61では、メインフローのステップ23でシフトカット処理の点火系補正情報がメモリに出力されているか否かの判断を行い、点火系補正情報が出力されている場合は、ステップ62でシフトカット処理に関する点火系補正情報をセットした後、ステップ60でセットされた点火休筒情報と前記ステップ62でセットされたシフトカット処理に関する点火系補正情報とに基づいて、ステップ63で該当気筒の点火パルスをセットする。また、ステップ61の判断でシフトとカットに関する点火系補正情報がメモリに出力されていない場合(点火系補正情報が点火系補正解除情報によりクリアされている場合を含む)は、ステップ62の処理を行わずに、ステップ63で前記点火休筒情報に基づいて該当気筒の点火パルスをセットする。
【0039】
上記処理の後、ステップ64で点火制御において失火させる休止気筒について燃料噴射制御における燃料噴射量を減少させる気筒を燃料噴射制御による休筒情報としてセットし、さらにステップ65で該点火制御において失火させる休止気筒について算出される燃料噴射の制御量より減少させた燃料噴射量に対応する噴射時間と、その他の気筒のついて算出される燃料噴射の制御量に対応した噴射時間に、それぞれ気筒のごとに対応した噴射パルスをセットする。
【0040】
以上が本発明に係る内燃機関の空燃比制御方法が適用された船外機エンジンの機構上の構成および制御系全体のシステム構成およびそのフローである。以上説明した駆動制御装置100によれば、環境変化検出手段の動作を監視し、前記検出手段の故障を検出した時にフィードバック補正値の限界幅を拡大するので、環境変化検出手段が故障した時に、環境変化検出手段の検出結果に基づいて演算される燃料噴射量補正値を固定させるフェールセーフ機能と、かつ空燃比検出手段の検出結果に基づいて決定されるフィードバック補正値に限界幅を設定するフェールセーフ機能の両方を備えていても、実際に環境変化検出手段が故障した時に、上記二つのフェールセーフ機能が適正な燃料噴射を行う妨げになることはなく、環境変化検出手段の故障時でも最適な空燃比制御を行うことができるという効果を奏する。
【0042】
図12は、環境変化検出手段故障時に、燃料噴射量補正値が固定されたことによる燃料噴射量の減少を補う方法の別の処理方法の参考例を示すフローチャート、図13は図12の処理に対応する空燃比検出手段及び燃料噴射量の経時変化を示すグラフを各々示している。
この処理は、図10におけるステップ25で燃料噴射量補正値算出処理が成された後に、図10のステップ26で実行される処理であり、他の処理は全て本発明に係る上記実施例と同じものとする。
始めにステップ70でステップ12(図6参照)の判断hに基づいて環境変化検出手段がフェール状態にあるか否かの判断を行い、フェール状態にない場合には、ステップ71〜ステップ74の処理を行わずに処理を終了する。ステップ70で環境変化検出手段がフェール状態にあると判断した場合には、ステップ71に進み、空燃比検出手段の出力結果がリッチ状態にあるか否かの判断を行い、リッチ状態にある場合にはステップ72に進んで、ステップ25(図7参照)で所定値に固定された燃料噴射量補正値の固定値を減量させる。
ステップ71で空燃比検出手段の出力結果がリッチ状態にないと判断した場合には、ステップ72の処理を行わずに、ステップ73に進み、ここで前記検出結果がリーン状態にあるか否かの判断を行い、リーン状態にあると判断した場合にはステップ24(図6参照)で所定値に固定された燃料噴射量補正値の固定値を増量させる。
以上説明したように、環境変化検出手段がフェール状態にある時に、所定値に固定された燃料噴射量補正値の値を増加・又は減少させることにより、図12に示すように、フィードバック補正値の限界幅を変えることなく、空燃比検出手段に基づくフィードバック制御を続けることができる。
【0043】
図14は、環境変化検出手段故障時に、燃料噴射量補正値が固定されたことによる燃料噴射量の減少を補う方法の別の処理方法の参考例を示すフローチャート、図15は図14の処理に対応する空燃比検出手段及び燃料噴射量の経時変化を示すグラフを各々示している。
この処理は、図7におけるステップ25で、燃料噴射量補正値算出処理が成された後、図7のステップ26で実行される処理であり、他の処理は全て本発明に係る上記実施例と同じものとする。
始めにステップ75でステップ12(図6参照)の判断hに基づいて環境変化検出手段がフェール状態にあるか否かの判断を行い、フェール状態にない場合には、ステップ76〜ステップ78の処理を行わずに処理を終了する。ステップ75で環境変化検出手段がフェール状態にあると判断した場合には、ステップ76に進み、空燃比検出手段の出力結果がリッチ状態にあるか否かの判断を行い、リッチ状態にある場合にはステップ77に進んで、ステップ22又はステップ24(図6参照)で算出された基本燃料噴射量を減量させる。
ステップ76で空燃比検出手段の出力結果がリッチ状態にないと判断した場合には、ステップ77の処理を行わずに、ステップ78に進み、ここで前記検出結果がリーン状態にあるか否かの判断を行い、リーン状態にあると判断した場合にはステップ24(図6参照)で所定値に固定された燃料噴射量補正値の固定値を増量させる。
以上説明したように、環境変化検出手段がフェール状態にある時に、所定値に固定された基本燃料噴射量自体を増加・又は減少させることにより、図14に示すように、フィードバック補正値の限界幅を変えることなく、空燃比検出手段に基づくフィードバック制御を続けることができる。
【0044】
実施例では6気筒2サイクルエンジンを例に挙げて本発明に係る内燃機関の制御方法について説明しているが、本発明を適当するエンジンは本実施例に限定されることなく、4サイクルエンジンに適用してもよく、また気筒数にも制限はないことはいうまでもない。
なお、燃料噴射量を基本燃料噴射量にエンジンの運転操作に対する環境変化を検出する手段の検出結果に基づいて決められる燃料の噴射補正係数と、さらに空燃比を検出して理論空燃比に近づくべく算出されるフィードバック補正係数とを乗算して求めても良い。この場合、燃料噴射補正係数aと基本燃料噴射量Q0、燃料噴射補正量q1との関係はa=(Q0+q1)/Q0となる。
また、フィードバック補正係数bとQ0、q1及フィードバック補正値q2との関係は、b=1+{q2/(Q0+q1)}となる。すなわち、請求項においては各結果について補正値といっているが、乗算して用いられる補正係数を用いて制御して実質的に本発明と同一となる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明した本発明に係る内燃機関の空燃比制御方法によれば、環境変化検出手段の故障時に当該手段の検出結果に基づいて決められる燃料噴射量補正値を一定の値に固定し、また、空燃比検出手段の検出結果に基づいて決められるフィードバック補正値に限界幅を設けるという二つのフェールセーフ機能を備えた内燃機関の空燃比制御方法において、環境変化検出手段が故障した時に、フィードバック補正値の限界幅を拡大して空燃比検出手段がフィードバック補正値の変化に対応して空燃比検出手段が反応し得るレベルまで、最終的な燃料噴射量を増加又は減少するように構成しているので、環境変化検出手段の故障時でも、空燃比検出手段を用いた最適なフィードバック制御を行うことができ、その結果最適な空燃比が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用される2機掛け船外機を装備した船舶の外観図である。
【図2】 船外機のエンジンと前記駆動制御装置の関係を示す概略構成図である。
【図3】 船外機のエンジンの運転状態を検出するための検出手段及び燃料噴射や点火を駆動する手段、駆動制御装置、及び駆動対象の関係を示すブロック図である。
【図4】 点火時期制御及び燃料噴射制御を実行するための基本構成を示すブロック図である。
【図5】 駆動制御装置101の処理に対応する実際の燃料噴射量及び空燃比検出手段の検出結果の経時変化を示すグラフである。
【図6】 駆動制御装置におけるエンジンに関する制御全体のフローチャートである。
【図7】 駆動制御装置におけるエンジンに関する制御全体のフローチャートである。
【図8】 図6及び図7に示したフローチャートに関するタイマ割込のフローチャートである。
【図9】 図6及び図7に示したフローチャートに関する燃料噴射量補正値算出処理のフローチャートである。
【図10】 図6及び図7に示したフローチャートに関するフィードバック補正値限界幅変更処理のフローチャートである。
【図11】 図6及び図7に示したフローチャートに関するTDC割込ルーチンのフローチャートである。
【図12】 環境変化検出手段故障時に、燃料噴射量補正値が固定されたことによる燃料噴射量の減少を補う方法の別の処理方法の参考例を示すフローチャートである。
【図13】 図12の処理に対応する空燃比検出手段及び燃料噴射量の経時変化を示すグラフを各々示している。
【図14】 環境変化検出手段故障時に、燃料噴射量補正値が固定されたことによる燃料噴射量の減少を補う方法のさらに別の処理方法の参考例を示すフローチャートである。
【図15】 図14の処理に対応する空燃比検出手段及び燃料噴射量の経時変化を示すグラフを各々示している。
【図16】 通常の空燃比制御方法で制御された燃料噴射量と空燃比検出手段の検出結果の経時変化を示すグラフである。
【図17】 環境変化検出手段の故障用のフェールセーフが機能した状態を含む図16に対応するグラフである。
【符号の説明】
1 船体
3-1 船外機
3-2 船外機
100 駆動制御装置
101 演算処理装置
102 揮発性メモリ
103 不揮発性メモリ
201 気筒判別手段
203 周期計測手段
205 エンジン回転数算出手段
207 スロットル開度読込手段
209 基本点火時期算出手段
211 基本燃料噴射量算出手段
213 気筒別点火時期補正値演算手段
215 気筒別燃料噴射量補正値演算手段
217 トリム角度読込手段
219 機関温度読込手段
221 大気圧読込手段
223 点火時期補正値算出手段
225 燃料噴射量補正値算出手段
227 点火時期補正手段
229 燃料噴射量補正手段
231 気筒別点火時期補正手段
233 気筒別燃料噴射量補正手段
235 点火出力手段
237 燃料出力手段
239 クランク角読込手段
241 フィードバック制御手段
243 フェールセーフ制御手段
245 空燃比検出手段

Claims (5)

  1. 燃料噴射装置の燃料噴射量を、
    エンジンの運転状態を検出する手段の検出結果に基づいて決められる基本燃料噴射量と、
    エンジンの運転条件に対する環境変化を検出する手段の検出結果に基づいて決められる燃料噴射量補正値と、
    燃料噴射後の実際の空燃比を検出する手段からの検出結果に基づいて、空燃比がリーンであれば燃料噴射量を増加し、リッチであれば燃料噴射量を減少させるように算出されるフィードバック補正値と
    に基づいて決定する一方で、
    前記環境変化検出手段の動作を監視し、該手段の故障を検出した場合には、フェールセーフとして前記燃料噴射量補正値を所定の値に固定し、また、空燃比検出手段の故障時のフェールセーフとして前記空燃比フィードバック補正値に限界幅を定めた
    内燃機関の空燃比制御方法において、
    前記環境変化検出手段の故障を検出した時に、空燃比フィードバック補正値の変化に対応して空燃比検出手段が反応し得るレベルまで空燃比フィードバック補正値の限界幅を拡大する
    ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御方法。
  2. 限界幅をリッチ側及びリーン側の両方ともに拡大することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御方法。
  3. 限界幅のリッチ側及びリーン側の拡大比率を変えることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御方法。
  4. 限界幅をリッチ側のみ拡大することを特徴とする請求項1に記載の空燃比制御方法。
  5. 故障した環境変化検出手段の種類に応じて限界幅の拡大率を決めることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の内燃機関の空燃比制御方法。
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