JP3881847B2 - 揮発性物質を分配するための圧電式噴霧システム - Google Patents

Description

【０００１】
（技術分野）
本発明は、圧電装置によって、微細噴霧におけるが如く、微粒子又は微小水滴の形態にて、香料、空気清浄剤、殺虫剤、又はその他の物質のような液状活性物質を分配するための手段に関する。とりわけ、本発明は、電気機械的な又は電気音響的な作動装置によって液体又は液状懸濁液の液滴を製造するための圧電式液体送達システムに向けられる。さらに具体的には、本発明は、圧電素子と連絡したオリフィス板を利用した、電池で作動するディスペンサに関する。分配されるべき液体の粘度及び表面張力を制御することにより、かかる液体を分配する改良された方法を達成する。
【０００２】
（背景技術）
微細噴霧の形成又は霧吹きによる液体の分配は周知である。かかる分配の方法の１つは、超音波圧電振動装置により発生する音響振動によって液体を噴霧することである。かかる方法の例は、分配されるべき液体を保持するためのノズルチャンバー及びチャンバーの少なくとも一部を形成する振動板を含むエアゾールディスペンサを開示しているCarterの米国特許第４，７０２，４１８号に示される。エアゾール分配ノズルは、リザーバからノズルに液体を導入するために制限された経路と共にその中に配置される。圧電ベンダーを作動させるのに低電圧電源と組合せたパルス発生器が用いられ、それは、液体をリザーバからノズルに向かわせてエアゾール噴霧を作る。
【０００３】
もう１つの噴霧器噴霧装置は、Humberstoneの米国特許第５，５１８，１７９号に示され、それは、合成の薄壁構造を有する作動装置によって振動させられ、曲げ状態で作動するように配置された膜を含む液滴製造装置を教示している。液体は直接膜表面に供給され、膜の振動により微細液滴にてそこから噴霧される。
【０００４】
Todaの米国特許第５，２９７，７３４号及び第５，６５７，９２６号は、それに接続した振動板と共に圧電振動装置を含む超音波噴霧装置を教示している。米国特許第５，２９７，７３４号では、振動板は液体の通過のためにそこに多数の小さな孔を有するとして記載されている。
【０００５】
多数の別の特許が超音波噴霧による液体分配のための手段、又は分配における時間間隔のための手段を開示しているが、それらは香料のような物質の効果的な噴霧において控え目な成功しか達成していない。例えば、米国特許第３，５４３，１２２号、第３，６１５，０４１号、第４，４７９，６０９号、第４，５３３，０８２号、及び第４，７９０，４７９号を参照のこと。このような特許の開示及び本明細書で引用されるその他のすべての出版物は、本明細書で十分説明されているかのように、参考として組み入れる。
【０００６】
かかる噴霧器は、容易に携帯可能で、圧電素子と機械的に接続したオリフィス板を用いた、液体の送達率にほとんど変化がなく又はまったく変化がなく長時間の使用が可能な、電池で作動するディスペンサを提供することができない。従って、噴霧器が液体の広い分散を提供する一方で極めて効果的で且つ最小限の電力を消費する、芳香剤や殺虫剤のような活性液体の分配に使用する改良された噴霧器又はディスペンサに対する需要が存在する。
【０００７】
（発明の開示）
本発明の第１の目的は、香料、空気清浄剤、又はその他の液体のような液体を分配する極めて効果的な方法を提供することである。かかるその他の液体には、家庭用洗剤、消毒剤、殺菌剤、忌避剤、殺虫剤、アロマセラピー製剤、医薬品、治療用液、又は使用ために噴霧から利益が得られるその他の液体若しくは液状懸濁液が挙げられる。このような組成物は水性であってもよく、又は種々の溶媒を含んでもよい。
【０００８】
圧電素子と機械的に接続した半球形のオリフィス板を用いた容易に携帯できる、電池で作動するディスペンサを提供することが本発明の目的である。時間の全体にわたって送達の一貫性を維持しつつ低電圧電池で数ヵ月間効果的に作動することができる圧電ポンプを提供することが発明の更なる目的である。９ボルトの電池、Ａ、単三（ＡＡ）、単四（ＡＡＡ）、単二（Ｃ）及び単一（Ｄ）電池のような従来の乾電池、ボタン電池、腕時計の電池及び太陽電池のような電源で使用することができる圧電噴霧器を提供することもかかる目的に包含される。本発明と組合せて利用されるのに好ましいエネルギー源は単三及び単四電池である。
【０００９】
さらにもう１つの目的では、最初に送達されたのと同じ性質／組成を最終日に維持しつつ、即ち、時間とともに成分が変化したり、分離したりすることなく、芳香油や殺虫剤のような液体を長い間、線形に噴霧することができる液体送達システムを提供することが所望される。かかるユニットの電子工学部分はプログラムすることが可能であってもよく、正確な送達率（時間当りのミリグラムで、以後ｍｇ／時）を設定するために使用してもよい。別の方法として、電子回路の構成によって消費者が、個人の好み、有効性、又は部屋のサイズについての所望のレベルに強度又は有効性を調整することができてもよい。
【００１０】
本発明のもう１つの目的は、ユニットから間欠的に推進されてもよい小さな「雲」又は「煙」を形成し、その雲や煙の粒子が、大きな領域に存在する空気流に乗ってその領域の全体にわたって迅速に拡散する又は移動する純粋な芳香剤又は殺虫剤の小さな粒子を提供することである。かかる粒子の小さなサイズ及びそれに相応した質量に対して大きな比率の表面積は、結果的に迅速に且つ均一に蒸発する液体粒子となることがわかっている。好ましい実施態様では、送達システムは、ひとつの１．５ボルト単三電池によって数ヵ月間、線形の送達率で作動し、全期間にわたって本質的に同一サイズの液滴の均一な容量を送達する。
【００１１】
第１の態様では、本発明は、分配されるべき液体を提供する工程、オリフィス板を提供する工程及び、板が振動している間にその液体をそのオリフィス板に移動させる工程を含み、その液体が、約１０ｍＰａｓ（１０センチポアズ）未満の粘度及び約２０ＭＮ／ｍ（２０ダイン／ｃｍ）〜約３５ｍＮ／ｍ（３５ダイン／ｃｍ）の表面張力を有することを特徴とする、液体を噴霧する方法を提供する。
第２の態様において、振動性液状霧ディスペンサのための液体供給用パッケージであって、その内部からその上端の直上位置（１４）まで延び、毛細管作用にて容器（５）内から液体を供給するための芯（７）を伴った液体容器（５）及び前記位置（１４）における液体が約６センチポアズ未満の粘度及び約２０ｍＮ／ｍ^-1（２０ダイン／ｃｍ）〜約３５ｍＮｍ^-1（３５ダイン／ｃｍ）の表面張力を有することを特徴とする、容器（５）内部に含有された分配されるべき液体を含む、パッケージが提供される。
本発明の第３の態様は、空気中に微細に分散される液体の霧を形成する装置であって、それを通じて延びる多数の小さなオリフィスを有するオリフィス板、前記オリフィス板に高速で振動を起こすために配置された振動器、液体を含有する容器、及び液体を前記容器から前記オリフィス板が振動している間にオリフィス板の表面に送達する液体用導管を含み、その表面におけるその液体が約６ｍＰｓａ（６センチポアズ）未満の粘度及び実質的に２０〜３５ｍＭｍ^-1（２０〜３５ダイン／ｃｍ）の範囲にある表面張力を有することを特徴とする、該装置を含む。
本発明の好ましい実施態様では、本発明のこれらの目的及びその他の目的は、芳香剤、殺虫剤のための噴霧方法及び噴霧器によって達成される。
本発明の好ましい実施態様では、発明のこのような目的及びその他の目的は、芳香剤、殺虫剤及び前述したようなその他の液体のための噴霧器によって達成され、その際、噴霧システムは、分配されるべき液体のためのチャンバー、液体の分散のために前記チャンバーからオリフィス板に液体を供給する手段、圧電素子、エネルギー源及び圧電素子を作動させ、制御するための回路構成を包含する。芳香剤、殺虫剤、又はその他の所望の液体は、オリフィス板と接触した表面張力で液体を送達する毛細管送水システムのような液体輸送手段を介して、オリフィス板の裏側に供給される。小型電池によって電力を与えられる回路構成によって作動させてもよい圧電素子は、素子を振動させ、液体をオリフィス板に送り出すが、オリフィス板はそこに、その表面に垂直に１又はそれより多くの小さな先細り又は円錐状の孔を有し、前記孔の出口は、直径がだいたい約１〜約２５ミクロン、好ましくは約４〜約１０ミクロン、及び最も好ましくは約５〜約７ミクロンである。１０センチポアズ未満の粘度を示し、且つ約３５未満、好ましくは約２０〜３０ダイン／ｃｍの範囲にある表面張力を有するものに液体の使用を限定することによって、優れた結果が得られることがわかっている。従って、本発明は、分散の開始時における時間単位当りの分散される量が、分散終了近くに又は終了時に分散される量と異ならないように、全時間を通して分散に分配されるべき液体を均一に噴霧する手段を提供する。粘度は、極めて感度の高い二重間隙幾何形状（high sensitive double gap geometry）と共にBohlin社製回転粘度計ＣＶＯレオメータシステムを用いて決定されるようなセンチポアズである。ダイン／ｃｍで示す表面張力の結果は、ウイルヘルミプレート法で操作されるKruss社製Ｋ−１２自動表面張力計を用いて得られた。１ダイン／ｃｍは１ミリニュートン／ｍ、ｍＮｍ^-1に等しく、１センチポアズは１ミリパスカル秒、ｍＰａｓに等しいことが理解されるべきである。本発明のこのような目的及びさらにその他の目的及び利点は、以下に続く、しかしながら単に好ましい実施態様にすぎない説明から明らかになるであろう。従って、クレームは、発明の全範囲を理解するために注意を向けられるべきである。
【００１２】
（発明の実施の形態）
図面及び以下の考察は本発明の好ましい実施態様に向けられたものであるが、本発明それ自体は与えられる説明よりも広いことを理解されるべきである。具体的には、本発明は、片持梁及び／又は増幅板の使用のような圧電噴霧並びに従来の電源、即ち電池電力ではなく壁の電源プラグにより作動する噴霧器のような形態にも等しく適用可能である。
【００１３】
図１は、回路板１とその中に位置する圧電素子２との一般的関係を示す。本発明の理解を明瞭且つ容易にするために、電子回路構成及びそれに接続する電池を図示せず回路板１を説明する。使用時、回路板はディスペンサのシャーシに連結してもよく、代わりにシャーシは使用するために装飾的な殻のような筐体又は容器（図示せず）に入れてもよい。シャーシ板１１は図５の平面図に示されるが、筐体は説明されていない。装飾的容器又は筐体は、消費者に心地よい外観を提供し、液体が噴霧形態の中をディスペンサから空気中に通過できる一方で、ディスペンサの要素を保持し、保護する目的に好適ないかなる形態又は形状であってもよい。従って、ディスペンサ筐体は、分配されるべき液体と共に使用するのに及び接触するのに好適ないかなる素材の高速成形によって有利に生産されてもよい。
【００１４】
圧電素子２は回路板１で説明されるようにはめ込まれ、グロメット４又は素子の振動を阻害しないいかなる類似の好適な手段によって支えられてもよい。圧電素子２は、環の形態にて、オリフィス板と輪状の関係で位置し、それと共に振動を連絡し合うようにオリフィス板の輪縁に取り付けられる。圧電素子は一般に、ジルコン酸チタン酸鉛（ＰＺＴ）又はメタニオブ酸鉛（ＰＮ）のような圧電セラミック素材を含むが、圧電特性を示すいかなる素材であってもよい。
【００１５】
オリフィス板は目的に好適ないかなる従来の素材も含むが、約１０〜約１００ミクロン、好ましくは約２０〜約８０ミクロン、及び最も好ましくは約５０ミクロンの厚さを有するニッケルコバルトの均一な多孔構造を残すように、フォトレジスト基板上で形成される、電気メッキされて従来の方法で引き続いて除かれるニッケルコバルト組成物から好ましくは構成される。ニッケル、マグネシウム−ジルコニウム合金、種々のその他の金属、金属合金、合成物、プラスチック及びそれらの混合物のようなその他の好適な素材をオリフィス板に利用してもよい。電気メッキを介してニッケルコバルト層を形成することにより、フォトレジスト基板の外形を有する多穴性構造が作られてもよく、その際、出口側で直径約６ミクロン且つ入り口側でさらに大きな直径を有する円錐状の孔を形成することにより、浸透性を達成する。オリフィス板は好ましくは半球状の形状、即ち、中央が幾分高くなっているが、形状において平坦から放物線状まで、弧状、又は半球状、又は性能を高めるいかなる好適な形状に変化してもよい。均一な直径の液滴を同時に排出することができるように、その中の孔が本質的に同一振幅の振動の条件下にあることを確実にするために、オリフィス板は相対的に高い曲げ剛性を有するべきである。
【００１６】
オリフィス板又は孔を囲む輪状のセラミック製圧電素子の形態を示しながら、本発明は、振動板と接触した発振器及び片持梁、ノズル、又は液滴若しくは霧の分散に好適なオリフィス板を含む従来の圧電素子と共に使用するのにも好適であることが着想される。
【００１７】
図２にも示されるように、液体容器５は、芳香剤、空気清浄剤、昆虫制御液又はその他の分配されるべき液体の保管及び供給のためのものである。説明されているように、容器はフタ８で閉じられている。容器の移動及び保管の際に使用され、容器をディスペンサに入れ、その中味を使用できることが所望の場合容易に取り外してもよい、示されていない取り外し可能な一番上のフタ又はキャップを保持するために存在する差し込みピンクリップ６も示されている。ボトルの開口部９からフタ８を通って液体供給媒体７である、芯状又は半球状の液体送水媒体を描き出している。硬質の毛細管システムから軟質の多孔性芯まで多数の種々の形状及び素材を含む可能性があるが、便宜上、我々は、芯としての液体供給手段を引用する。芯の機能は液体を容器５からオリフィス板が接している位置まで運ぶことである。従って、芯は運ばれる液体、多孔性によって影響されるべきではなく、オリフィス板との伸展性を許容すべきである。芯の多孔性は、芯の柔軟性の範囲を通して、及びそのいかなる構成にあっても液体の均一な流れを提供するのに十分であるべきである。オリフィス板の表面に最も上手く液体を輸送するには、芯自体が液体をオリフィス板に輸送するためにオリフィス板に物理的に接触することが必要であることが判っている。液体は好ましくは、本質的に送達される液体のすべてが表面張力によってオリフィス板に接着する又は移動するような方法でオリフィス板に送達される。好適な芯素材の中で、我々は紙、又はナイロン繊維、綿、ポリプロピレン、ファイバーグラスなどのような素材を利用することが好適であることを見い出した。芯は好ましくは、それが並列するオリフィス板の表面に適合する形状であってもよく、芯ホルダー又は保定器１０により正確な位置に保持され、液体容器５のフタ８のボトル開口部９に位置してもよい。液体の粘度及び表面張力の結果、液体は芯からオリフィス板に容易に流れるであろう。容器、液体、ボトルのフタ、芯及び芯ホルダー又は保定器、並びに保管及び輸送のために密封するための一番上のフタを含む液体供給ユニットの切り離せない部分として芯が包含されることが意図されていることに注意すべきである。従って、かかるユニットは、消費者の都合でディスペンサに入れられるのに好適なディスペンサのための詰替えボトルを含む。図２に示されるように、この目的で、液体容器５は、一番上のフタ又はキャップを除いた後、操作位置でそれをロックするシャーシ１１における好適な受け取り手段に挿入するために、ボトルのフタ８上に取り付け手段１６を有してもよい。
【００１８】
図３は、発明の特に好ましい実施態様の液体容器５、芯７、圧電素子２及びオリフィス板３の間の関係を断面図にて説明している。圧電素子は例えば、印刷された回路板１の中、グロメット４のそば、又は圧電素子の振動を制約しないいかなる好適な手段のそばにも位置する。発明の好ましい実施態様では、輪状の圧電素子は、オリフィス板３を取り囲み、それに機械的に接続する。オリフィス板は言いかえれば、芯７と接触して、液体を容器５からオリフィス板に分配し、その場合、移動は表面張力の接触を介して生じる。回路板１と液体容器を適当な位置に保持して芯をオリフィス板３と並列させる、ディスペンサのシャーシ板１１は示されていない。芯７はフタ８の開口部で芯ホルダー１０によって保持され、芯尾部１５が容器５における液体の完全な利用を保証している間、その調整範囲が可能なように、柔軟な芯７に対する自由度を保証する。この自由度によってオリフィス板の表面に対して芯が自己調整することができ、製造の偏差により生じる位置の変動を補正することができ、容器からオリフィス板面への液体の移動に応じた供給手段を提供する。当業者には明らかなように、図３及び４で示されるように、芯の高さは、図４に示されるように液体ギャップ１４を変えるように、及び芯とオリフィス板との間の適当な接触度を保証するために調整されてもよい。芯とオリフィス板とのさらに詳細な図については、図３の拡大した詳細である図４に注意を向けると、その際、半球状のオリフィス板と並列してループした芯７が示されており、それによって液体間隙１４を作り、その中にて移動されるべき液体は、オリフィス板との表面張力で接触している。図４は実際に接触していない芯とプレートを示しているが、この間隙は単に説明のためであり、液体の輸送では実際は芯７とオリフィス板３が接触することが理解されるべきである。示されるように、フタ要素８における開口部９を介した芯７の通過は、芯ホルダー／保定器１０によって制御される。図４はまた、圧電素子２に対する取り付けグロメット４、オリフィス板３、及びオリフィス板輪縁１２、並びにボトルのフタ８に対して取り外し可能なキャップ（図示せず）を保持するクリップ６も示す。
【００１９】
図５は、回路板１、圧電素子２、オリフィス板３、取り付けグロメット４及びシャーシ板１１の関係を示す平面図である。前に示したように、オリフィス板との輪状関係にて圧電素子２は、回路板１における所定の位置にグロメット４によって保持されている。回路板は、クリップ１７及び保定金具１８のような従来の方法によってシャーシ板１１に取り付けられている。
【００２０】
図６では、発明についての単純化した断面図によって、種々の要素の全体的な関係が説明されている。オリフィス板３はオリフィス板輪縁１２を含むとして示され、言いかえれば、エポキシ接着剤のような好適な取り付け手段１３によって圧電素子に取り付けられている。芯７は部分的にオリフィス板と接触して説明され、液体ギャップ１４を作り、それによって分配されるべき液体はオリフィス板に輸送される。芯は、示されていない液体容器５に中に伸びる繊維性の尾部も含むとして示されている。
【００２１】
上記で示したように、記載されたディスペンサの使用に関する要素と方法における改良を特別に組合せることによって、結果的には驚くべき優れた結果が得られることが学習されてきた。例えば、液体容器から圧電分配手段のオリフィス板に延長された時間にわたって、液体の安定的且つ均一な流れを最も容易に達成するためには、液体の粘性及び表面張力を慎重に制御しなければならないことを学習してきた。記載されたような分配装置の好ましい実施態様では、かかる制御が最も有益である一方で、変化している構成及び要素のディスペンサに利点があることもわかってきた。
【００２２】
分配される液体の粘度が、好ましくは１０センチポアズ未満、好ましくは約０．５〜５センチポアズ、及び最も好ましくは約１〜約４センチポアズの値に制御されるべきであることがわかった。１０センチポアズを超える粘度を持つ製剤は、オリフィス板の６ミクロンの孔を介しては噴霧しないことがわかったが、０．５〜５センチポアズの範囲にある粘度は１．５ボルトの単三電池を用いて数ヵ月間、効果的な間欠性の噴霧を提供することがわかった（１センチポアズ＝１ｍＰａｓ）。
【００２３】
このような範囲内にある粘度は、低いレベルのエネルギー消費で液体の噴霧を可能にし、それによって、エネルギー源が電源プラグではなく電池であるようなディスペンサにおける電池寿命が延長される。エネルギー利用におけるかかる改良は、消費者に大きな価値をもたらし、電池交換の必要性が少なくなり、電力消費の水準比率がさらに大きくなることにより分配率における変動が少なくなる。
【００２４】
さらに、特に液体の粘度が好ましい粘度範囲の上限に近づいた場合、分配される液体の表面張力は、ウイルヘルミプレート法で操作するKruss社製Ｋ−１２自動表面張力計によって測定されるように、約３５ダイン／ｃｍ未満、及び好ましくは約２０ダイン／ｃｍ〜約３０ダイン／ｃｍ、及びさらに好ましくは約２０ダイン／ｃｍ〜約２５ダイン／ｃｍであるべきであることが判っている（１ダイン／センチメートル＝１ｍＮｍ^-1）。この範囲内で表面張力を選択する鍵となる要素は、圧電分配手段のオリフィス板の背面上で液体の広がりが均一であることを保証するのにかかる表面張力が適当であること、及び指示された範囲内では相対的に低い表面張力が相対的に高い粘度の液体には有益であることが判っている。
【００２５】
（実施例）
図面で説明しているような噴霧器において、分散率について多数の芳香剤を調べた。粘度は、低いものの約１．９〜約１５で異なっていた。流動度をｍｇ／時、粘度をｍＰａｓ（センチポアズ）として結果を以下に示した。
香料 粘度 流動
Ａ １．９ ４０．５
Ｂ １．９ ３２
Ｃ ２．０ ２１．９
Ｄ ２．１ １９
Ｅ ２．３ ２７．６
Ｆ ２．３ ６．８
Ｇ ２．４ ２５．６
Ｈ ２．６ １３．６
Ｉ ３．０ １０．７
Ｊ ３．７ ２．３
Ｋ ４．９ ２．７
Ｌ ６．２ １．１
Ｍ ６．４ ＤＮＡ＊
Ｎ ６．７ ＤＮＡ＊
Ｏ ９．８ ＤＮＡ＊
Ｐ １０．２ ＤＮＡ＊
Ｑ １４．５ ＤＮＡ＊
Ｒ １５．０ ＤＮＡ＊
＊ＤＮＡ＝噴霧せず
【００２６】
片持梁の噴霧器で調べられた液体の表面張力を変化させて、さらに試料を調べた。このような試料は、トリエチレングリコール（ＴＥＧ）、変性アルコール溶媒及び芳香剤を含んでいた。試料の一部（試料番号２、４及び６）には、表面張力を低下させるために蛍光界面活性剤であるゾニル（Zonyl）を利用した。試料の粘度及び表面張力を以下に掲げた。粘度は、高感度二重間隙幾何形状と共にBohlin社製の回転粘度計ＣＶＯレオメータシステムを用いてセンチポアズで示す。ダイン／ｃｍで表した表面張力の結果は、ウイルヘルミプレート法で操作するKruss社製Ｋ−１２自動表面張力計を用いて得られた（１ダイン／センチメートル＝１ｍＮｍ^-1）。
【００２７】
試料 粘度 表面張力
１ １．４ ２２．８
２ １．４ ２２．９
３ １．９ ２４．４
４ ２．０ ２４．４
５ ３．８ ２９．０
６ ３．９ ２６．７
表面張力が約２５ダイン／ｃｍ未満で、且つ粘度が約３．０センチポアズ未満である試料については改良された流動結果が得られることが判った。表面張力と粘度の両方が好ましい範囲の限界値に近づいた場合、利点はより少なくなるとともに、粘度の方が制御する上でより重要なパラメータとなって現れている。
【００２８】
本発明は、今のところ好ましい実施態様であると見なされることに関して説明されているが、発明は開示された実施態様に限定されないことが理解されるべきである。それとは反対に、発明は、添付されたクレームの範囲の中で種々の変更及び等価の改変を網羅することを意図する。
【００２９】
（産業上の利用可能性）
本発明に記載された噴霧システムは、任意のいかなる環境に対しても、延長された時間の間、ディスペンサを作動する電池の寿命にわたって空気中に均一に分配する等量の液体という利点を伴って、空気清浄剤、香料、又は殺虫剤のような液体を自動的に分配するのに使用することができる。さらに、個人的な好み、有効性、又は部屋のサイズに対する所望のレベルによって強度又は有効性を調整するように、分散される液体の量を変えてもよいという追加の利点と共に、消費者が所望するように空気中に分散される液体を変えられるように、思いのままに詰替え手段及び電池の交換によってディスペンサを再利用してもよい。分配される液体の粘度及び表面張力を特定された範囲内で制御することにより電源の寿命が延びる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の好ましい実施態様に基づいた圧電式噴霧器で使用するのに好適な回路板の部分的等角図である。
【図２】 オリフィス板の表面に液体をもたらすのに好適な液体容器及び液体輸送手段の等角図である。
【図３】 液体容器、供給手段及び圧電素子の関係を示す断面図である。
【図４】 円で囲まれた図３の領域の拡大詳細図である。
【図５】 好ましい実施態様のシャーシ上に取り付けられた圧電素子及びプリント回路板の平面図である。
【図６】 本発明の好ましい実施態様と共に使用するのに好適な圧電ポンプ組立て品の極めて単純化した断面図を示す。

Claims (9)

1. 分配されるべき液体を提供する工程と、
   半球状のオリフィス板（３）を提供する工程と、
   上部がオリフィス板と並列してループし、オリフィス板との間に間隙を形成する芯（７）を提供し、オリフィス板を振動させている間に、前記間隙に前記液体を移動させる工程と、
   を含む、液体を噴霧する方法であって、
   前記液体が、約１０ｍＰａｓ（１０センチポアズ）未満の粘度及び約２０ｍＮｍ^-1（２０ダイン／ｃｍ）〜約３５ｍＮｍ^-1（３５ダイン／ｃｍ）の表面張力を有することを特徴とする方法。
2. 前記液体が、芳香剤、殺虫剤、家庭用洗浄剤、消毒剤、殺菌剤、忌避剤、アロマセラピー用製剤、医薬品、治療用液、及び使用のための噴霧により有用となるその他の液体及び液状懸濁液から成る群から選択されることと、前記オリフィス板が直径約１〜約２５ミクロンの孔を有し、圧電素子（２）及びプログラム可能な電子部品（１）と機械的に連絡して、前記液体の送達率を制御し、且つ前記板（３）から前記液体の小さな粒子の間欠的な放出を提供することを特徴とする、請求項１に記載の方法。
3. 前記液体が、前記液体のまとまりから前記オリフィス板（３）の一面に送達されること、及び前記液体が、前記一面において約６ｍＰａｓ（６センチポアズ）未満の粘度を有することを更なる特徴とする、請求項１に記載の方法。
4. 前記オリフィス板における液体が３．９ｍＰａｓ（３．９センチポアズ）未満の粘度を有することを特徴とする、請求項１、２及び３のいずれか１項に記載の方法。
5. 前記オリフィス板（３）における液体が、２２．８と２６．７ｍＮｍ^-1（２２．８と２６．７ダイン／ｃｍ）との間の表面張力を有することを特徴とする、請求項４に記載の方法。
6. 液体容器（５）の内部から前記液体容器（５）の上端部直上位置（１４）まで延出し、前記位置においてループし、前記液体容器（５）の上端部の開口部で芯ホルダ（１０）によって保持され、毛細管作用にて前記液体容器（５）内から前記液体を供給するための柔軟な芯（７）を伴った前記液体容器（５）と、
   前記液体容器（５）内部に含有された分配されるべき液体と、
   を有する、液体の振動性霧状ディスペンサのための液体供給用パッケージであって、
   前記位置（１４）における液体が約６センチポアズ未満の粘度及び約２０ｍＮｍ^-1（２０ダイン／ｃｍ）〜約３５ｍＮｍ^-1（３５ダイン／ｃｍ）の表面張力を有することを特徴とする、前記液体供給用パッケージ。
7. オリフィス板（３）を貫通するように延在する多数の小さなオリフィスを有する半球状の前記オリフィス板（３）と、
   前記オリフィス板（３）に高速で振動を起こすために配置された振動器（２）と、
   液体を含有する容器（５）と、
   上部が前記オリフィス板（３）と並列してループし、前記オリフィス板の表面との間に間隙を形成する液体用導管（７）によって前記液体が前記容器（５）から前記オリフィス板の前記表面に、前記オリフィス板が振動している間に送達される前記液体用導管（７）と、
   を有する、空気中に微細に分散される液体の霧を形成する装置であって、
   前記表面における前記液体が約６ｍＰａｓ（６センチポアズ）未満の粘度及び約２０ｍＮｍ^-1（２０ダイン／ｃｍ）〜約３５ｍＮｍ^-1（３５ダイン／ｃｍ）の表面張力を有することを特徴とする、前記空気中に微細に分散される液体の霧を形成する装置。
8. 前記オリフィス板（３）における前記液体が３．０ｍＰａｓ（３．９センチポアズ）未満の粘度を有することを特徴とする請求項７に記載の装置。
9. 前記オリフィス板における前記液体が２２．８と２６．７ｍＮｍ^-1（２２．８と２６．７センチポアズ）との間の表面張力を有することを特徴とする請求項８に記載の装置。

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