JP3879653B2 - アーク電流判別方法、及びアーク電流判別装置 - Google Patents

アーク電流判別方法、及びアーク電流判別装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、交流負荷回路におけるアーク発生を検出し、火災等を未然に防ぐアーク電流判別方法、及びアーク電流判別装置に関するものであり、特に延長コード、器具付きコード、及びコンセントプラグを含む住宅電路の保護機器に利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、過電流や短絡電流によるコード及び負荷機器の保護は、バイメタルや瞬時遮断用電磁コイルを用いた遮断器で行っていた。一般的に瞬時遮断型遮断器は、遮断器の定格電流の10倍以上の電流が流れたときに遮断するように設定されている。しかし、コードの絶縁劣化等によって芯線間が接触するようなアーク短絡の場合には、短絡電流が瞬時遮断器の動作電流まで流れることがない状態や、負荷電流のように連続ではなく間欠的な電流となる場合があるため、瞬時遮断器が動作することなく、火災に至ることがあった。
【0003】
このような欠点を補うために、アーク特有の電流波形を検出する遮断器が提案されている。この遮断器は、コードの芯線間が接触したときのように瞬時遮断器が検出できない電流領域で、電子回路によってアーク特有の電流波形を負荷電流と識別して検出するものである。しかしながら、負荷電流波形をアーク短絡電流波形と誤認識する場合があり、一般の負荷電流波形で誤動作することが考えられる。
【0004】
ここで、短絡によって火災に至るまでの典型的な現象としては、芯線間が短絡し短絡電流が流れ、短絡点では大電流によって芯線が溶融してアーク放電が発生し、このアーク放電は非常に高温であるために、芯線等の高温の溶融物を飛散させ、周りのものに着火して火災になるというものである。芯線同士が溶融することによって発生するアーク短絡は、電源コードや延長コードの他に、負荷機器の内部や屋内配線でも発生する。さらに、コンセント栓刃間でも絶縁劣化によって微少電流が継続して流れ、最終的にアーク短絡となるトラッキング現象が発生する可能性もある。
【0005】
また、対になっている芯線のうち片方の芯線が何らかの応力によって切れ、切れた芯線の端部同士が何らかの力によって接触した場合、負荷が接続されている場合は負荷電流が流れ、芯線端部ではアーク放電が発生する。このアーク発生現象は、電流経路と負荷とが直列になっていることから直列アークと呼ばれ、この直列アークが発生すると火災に至ることもある。
【0006】
そこで例えば、単位時間毎に抽出した電流値のうち、隣接した電流値の差をとって計算した電流変動量に基づいてトラッキング短絡を検出する方法が提案されていた。(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−103657号公報(4頁左欄第48行〜5頁左欄第32行、図2〜図4)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の技術では交流回路で発生するアーク短絡現象を誤動作無く検出したり、直列アークを検出することができなかった。
【0009】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、正常な負荷電流では誤検出せず、芯線間の短絡によるアーク短絡現象や、芯線の切断による直列アーク現象による交流回路の異常電流を検出できるアーク電流判別方法、及びアーク電流判別装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、交流電源から交流負荷回路に供給される交流電流の半波毎の電流ピーク点の位相を検出し、検出した電流ピーク点の位相と所定周期後に検出した半波の電流ピーク点の位相との差の絶対値を算出して、前記位相差の絶対値を変数とする関数を積算し、前記積算値と閾値とを比較して、前記積算値が閾値を超えたときにアーク電流が発生したと判断することを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1において、前記交流電流の電流ピーク点の位相は、電源電圧のゼロクロス時点から半波毎の電流ピーク点までの時間として検出されることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1において、前記交流電流の電流ピーク点の位相は、半波毎の電流ピーク点から次の半波の電流ピーク点までの時間として検出されることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1において、前記交流電流の電流ピーク点の位相は、半波毎の電流ピーク点から1周期後の半波の電流ピーク点までの時間として検出されることを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至4いずれかにおいて、前記積算動作は、前記位相差の絶対値を変数とする関数を所定期間内で積算することを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、請求項2乃至5いずれかにおいて、前記交流電流を所定の周期でサンプリングしてデジタル値に変換してから電流ピーク点の時間を検出し、同じデジタル値の電流ピーク値が半波内で複数個検出された場合は、最も早く電流ピーク値が発生した時間と最も遅く電流ピーク値が発生した時間との中間を電流ピーク点の時間とすることを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、請求項2乃至5いずれかにおいて、前記交流電流を所定の周期でサンプリングしてデジタル値に変換してから、電流ピーク値に対して微少な値を電流ピーク値から減算した電流値が発生する時間で、且つ電流ピーク値の発生時間より早い時間と遅い時間との中間を電流ピーク点の時間とすることを特徴とする。
【0017】
請求項8の発明は、請求項6において、同じデジタル値の電流ピーク値が半波内で所定のサンプリング個数以上検出された場合、前記位相差の絶対値を変数とする関数をゼロに設定することを特徴とする。
【0018】
請求項9の発明は、請求項2乃至7いずれかにおいて、電流ピーク点の時間が所定の範囲外で検出された場合、前記位相差の絶対値を変数とする関数をゼロに設定することを特徴とする。
【0019】
請求項10の発明は、請求項1乃至7いずれかにおいて、前記位相差の絶対値が閾値を超えた場合、前記位相差の絶対値を変数とする関数をゼロに設定することを特徴とする。
【0020】
請求項11の発明は、請求項1乃至7いずれかにおいて、前記交流電流の半波毎の電流ピーク点の電流値を検出し、検出した電流ピーク点の電流値と1周期後に検出した半波の電流ピーク点の電流値との差の絶対値を算出して、前記電流差の絶対値と閾値とを比較し、前記電流差の絶対値が閾値より大きい場合、前記位相差の絶対値を変数とする関数をゼロに設定することを特徴とする。
【0021】
請求項12の発明は、請求項1乃至4いずれかにおいて、前記積算値は、前記位相差の絶対値が閾値を超えた場合、前記位相差の絶対値から所定値を引いた値を所定期間内で積算した値であることを特徴とする。
【0022】
請求項13の発明は、請求項1乃至4いずれかにおいて、前記積算値は、前記位相差の絶対値が閾値を超えた場合、所定期間内でカウントアップした値であることを特徴とする。
【0023】
請求項14の発明は、請求項1乃至4いずれかにおいて、前記積算値は、前記位相差の絶対値が閾値を超えた場合、その度に前記位相差の絶対値から第1の所定値を減算した値を積算し、前記位相差の絶対値が閾値を超えない場合、その度に前記積算値から第2の所定値を減算した値であることを特徴とする。
【0024】
請求項15の発明は、請求項1乃至4いずれかにおいて、前記積算値は、前記位相差の絶対値が閾値を超えた場合、その度にカウントアップし、前記位相差の絶対値が閾値を超えない場合、その度に所定値を減算した値であることを特徴とする。
【0025】
請求項16の発明は、請求項1乃至7いずれかにおいて、前記積算値が閾値を超えたとき、且つ前記交流電流の半波毎の電流ピーク点の電流値を検出し、検出した電流ピーク点の電流値と1周期後に検出した半波の電流ピーク点の電流値との差の絶対値を算出して、前記電流差の絶対値と閾値とを比較し、前記電流差の絶対値が閾値より大きい状態が所定の回数連続して続いたときにアーク電流が発生したと判断することを特徴とする。
【0026】
請求項17の発明は、請求項1において、前記位相差の絶対値を変数とする関数は前記位相差の絶対値によって区切られた小区間毎に積算され、小区間毎の積算値は小区間毎に設定された閾値と比較されて、所定の小区間で積算値が閾値を超えたときにアーク電流が発生したと判断することを特徴とする。
【0027】
請求項18の発明は、交流電源から交流負荷回路に供給される交流電流の半波毎の電流ピーク点の位相を検出する手段と、検出した電流ピーク点の位相と所定周期後に検出した半波の電流ピーク点の位相との差の絶対値を算出する手段と、前記位相差の絶対値を変数とする関数を積算する手段と、前記積算値と閾値とを比較する手段と、前記積算値が閾値を超えたときにアーク電流が発生したと判断する手段とを備えることを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
(実施形態1)
図2は本願発明の実施形態の回路構成例を示しており、AC100Vrmsの交流電源から交流負荷回路に供給される交流電流を検出する電流検出回路1と、電源電圧を検出する電圧検出回路2と、マイコン3とから構成される。電流検出回路1は、検出値に応じた電流を出力するCT10と、CT10の出力電流を電圧に変換する負荷抵抗11と、必要な帯域のみを通過させるフィルタ12と、信号を増幅する増幅回路13と、入力の絶対値を電流信号S1として出力する絶対値回路14とを備える。
【0030】
電圧検出回路2は、電源電圧を分圧する抵抗分圧回路20と、差動入力回路21と、必要な帯域のみを通過させるフィルタ22と、入力をゼロレベルと比較してデジタルパルスに変換した電圧信号S2を出力するゼロクロスコンパレータ23とを備える。
【0031】
マイコン3は、電流検出回路1が出力する電流信号S1を所定のサンプリング周波数(例えば100μsec)でA/D変換して取り込み、電圧検出回路2のゼロクロスコンパレータ23でデジタルパルスに変換した電圧信号S2をI/Oポートから取り込む。
【0032】
図3は、マイコン3が取り込む電流信号S1と電圧信号S2とを示しており、電流信号S1が絶対値に変換されているのはA/D変換の分解能を上げるためであり、A/D変換の分解能が十分な場合は絶対値回路14を加算回路に置き換えて、図4に示すようにCT10で検出した交流波形に直流を重畳した電流信号S1’をマイコン3でA/D変換してもよい。また、電圧信号S2は電源電圧の極性が反転する度に、ハイレベルとローレベルとを交互に繰り返している。
【0033】
そして、マイコン3内では電流信号S1、電圧信号S2を所定のプログラムによって解析し、アーク電流であると判定した場合、事故検出信号S3を電圧出力ポートから出力する。
【0034】
ここで、図5は、実験で再現した直列アークの電流波形であり、図6は図5の四角枠Mの拡大図であり、アーク電流波形と電源電圧(AC100V)波形とを示している。また、図7は一般家庭で使用される掃除機のスイッチを入れたときの負荷電流波形である。アーク電流は絶縁劣化箇所の電流経路や抵抗が不規則に変化するため各半波の電流ピーク値や、電流ピークの位相(ピーク位相)が不規則に変化することが特徴である。一方、負荷電流は負荷機器で制御されているため、アーク電流に比べて電流ピーク値やピーク位相が不規則且つ大きく変動することはない。
【0035】
そこで本実施形態では、アーク電流のピーク位相が半波毎に不規則に変動することに着目し、アーク電流と負荷電流とを識別するもので、マイコン3では、図1に示すように、アーク電流のピーク位相として、電源電圧のゼロクロス時点から正の半波の電流ピーク値Ipeak1,Ipeak2,...及び負の半波の電流ピーク値Ipeak1´,Ipeak2´,...となる時点までの各電流ピーク時間A(n)(正の半波:n=1,2,3,4,5,...、負の半波:n=1´,2´,3´,4´,5´,...)を検出し、検出した電流ピーク時間A(n)と1周期後に検出した半波の電流ピーク時間A(n+1)との差(隣り合う周期の電流ピーク時間の差)ΔA(n)´=A(n)−A(n+1)の絶対値ΔA(n)=|A(n)−A(n+1)|を算出して、隣り合う周期の電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)に対して所定期間(t0−α)〜t0間で[数1]で表される積算を行うものである。
【0036】
【数1】
Figure 0003879653
【0037】
この積算値Wは、W=W+ΔA(n)(但し、所定期間内での積算)でも表される。そしてマイコン3は積算値Wと閾値とを比較して、積算値Wが閾値を超えたときにアーク電流が発生したと判断する。
【0038】
次に負荷電流またはアーク電流が流れた場合、各々についての判定までの手順を具体的に説明する。図8は、図7に示す一般家庭で使用される掃除機のスイッチをオンにしたときの負荷電流の各半波の電流ピーク時間A(n)の時間変化を示すもので、横軸は時間として電流波形の半波の数nとし、縦軸は電流ピーク時間A(n)としてある。具体的には、図7の負荷電流波形における電源電圧のゼロクロス時点から半波毎の電流ピーク時点P1〜P6までの電流ピーク時間A(n)は、図8中の点P1a〜P6aに各々示される。
【0039】
図9は図8の隣り合う周期の電流ピーク時間の差ΔA(n)´の変動を示すもので、横軸は電流波形の半波の数nとし、縦軸は隣り合う周期の電流ピーク時間の差ΔA(n)´としてある。具体的には、図9中の点P11は図8中のP3a−P1a、点P12はP4a−P2a、点P13はP5a−P3aを示す。そして、電流ピーク時間の差ΔA(n)´が、互いに絶対値が等しい閾値K1(=0.5msec),K2(=−0.5msec)の外側である場合のみ、すなわち隣り合う周期の電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)が閾値0.5msecを超えた場合のみ積算値W=W+ΔA(n)の積算動作を行うが、この負荷電流の場合、電流ピーク時間の差ΔA(n)´の全点は閾値K1,K2に挟まれた内側に入る、すなわち電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)が閾値0.5msec以下となるため、積算動作は行わない。なお、一部の負荷、使用状況を除いて負荷電流の電流ピーク時間の差ΔA(n)´はこの閾値K1,K2内に入る。
【0040】
次に、アーク電流が流れた場合として、図10は、図5に示すアーク電流の各半波の電流ピーク時間A(n)の時間変化を示すもので、図8と同様に求められる。図11は図10の隣り合う周期の電流ピーク時間の差ΔA(n)´の変動を示すもので、図9と同様に求められる。そして、電流ピーク時間の差ΔA(n)´が、正負の閾値K1,K2を超える点、すなわち電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)が閾値0.5msecを超える点P21,P23,P26、P30,P32,P46,P48,P61,P66が出現している点がアーク電流の特徴であり、この電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)が閾値0.5msecを超えたときに積算値W=W+ΔA(n)の積算動作を行う。
【0041】
次に[数1]で示す第1の積算方法以外の4種類の積算方法(第2〜第5の積算方法)について説明する。なお、アーク電流の各半波の電流ピーク時間A(n)の時間変化、及び隣り合う周期の電流ピーク時間の差ΔA(n)´の変動は前述と同様に図10、図11と同様である。まず第2の積算方法は、隣り合う周期の電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)が閾値0.5msecを超えた場合には{ΔA(n)−0.5msec}を積算し(Wa=Wa+ΔA(n)−0.5)、0.5msec以下の場合はそのときの積算値Waから所定の値Lを減算する方法であり(Wa=Wa−L、Wa≧0)、ここではL=0.02とする。図11の電流ピーク時間の差ΔA(n)´に対応する本積算動作は図12に示され、図11の点P23が負の閾値K2をY=0.1msec超えたとき、図12の点P70に示すように、点P23と閾値との差0.1を積算値Waに積算する。次に点P24,P25は閾値K1,K2に挟まれた内側に入っているため、点P70→P71→P72に示すように積算値WaからL=0.02を各々減算する。次に点P26が正の閾値K1を超えた場合は、点P72→P73に示すように、点P26と閾値との差を積算値Waに積算する。そして、電流ピーク時間の差ΔA(n)´が大きいとき、点P74のように積算値Waが一気にアーク検出閾値K3(=0.2)を超えて、この時点でアーク電流検出と判定する。
【0042】
次に第3の積算方法は、隣り合う周期の電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)が閾値0.5msec以上となった場合に1カウントアップし、0.5msec未満となった場合は所定の値Mを減算する方法で、ここではM=0.2とする。図11の電流ピーク時間の差ΔA(n)´に対応する本積算動作は図13に示され、図11の点P21が正の閾値K1以上となったとき、図13の点P80に示すように積算値Wbの1カウントアップを行う。次に点P22は閾値K1,K2に挟まれた内側に入っているため、点P80→P81に示すように積算値WbからM=0.2を減算する。次に点P23が負の閾値K2以下となった場合は、点P81→P82に示すように積算値Wbの1カウントアップを行う。そして、積算値Wbがアーク検出閾値K4(=3)を超えたときにアーク電流検出と判定する。この積算方法は、閾値以上になる電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)がある期間内に亘って続いた場合にアーク検出を行うものである。
【0043】
また第4の積算方法として、所定期間内で、電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)が閾値0.5msecを超えた場合には{ΔA(n)−0.5msec}を積算する方法があり、所定期間内での積算値がアーク検出閾値を超えた場合にアーク電流検出と判定する。
【0044】
さらに第5の積算方法として、所定期間内で、電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)が、閾値0.5msec以上になった場合に1カウントアップする方法があり、所定期間内での積算値がアーク検出閾値を超えた場合にアーク電流検出と判定する。
【0045】
上記第2〜第5の積算方法のいずれも、電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)が閾値0.5msecを超えた場合に積算を行うが、第2,第4の積算方法は電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)と閾値0.5msecとの差を積算しており、この積算方法は、ΔA(n)−0.5msecが大きい場合に、積算値が一気に大きくなってアーク検出を行うので、検出時間を早くできるという特徴を有する。対して、第3,第5の積算方法は電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)が閾値0.5msecを超えた場合に1カウントアップしており、この積算方法はマイコン3のプログラミング上計算が容易であり、メモリの使用量を抑えることができるという特徴を有する。
【0046】
また積算期間に関しては、上記第4,第5の積算方法は常に最新の所定期間内での積算によってアーク電流を判定するのに対して、上記第2,第3の積算方法は電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)が閾値0.5msecを超えた場合に積算し、超えない場合に減算するもので、最新の積算期間の情報をメモリに記憶する必要がないためマイコン3のメモリを削減できるが、この積算方法は上記第4,第5の積算方法の簡易方法として考案したもので、積算時間が長い場合、意図した積算が行われない場合がある。
【0047】
インバータ式の電子レンジ等の電流波形は図14に示すように、電流波形のピーク付近が平らである。この電流信号をマイコン3でA/D変換すると図15のようになり、A/D変換の分解能(図15では100μsecでサンプリングしている)によっては時間t1〜t2の範囲で同じデジタル値の電流ピーク値Ipeak10が複数点となることがある。この場合は、最も早く電流ピーク値Ipeak10が発生した時間t1と、最も遅く電流ピーク値Ipeak10が発生した時間t2との中間である時間t3を電流ピーク時間A(n)とすることで、電流ピーク時間A(n)の検出精度を向上させることができる。
【0048】
また図16は、電流波形のピーク付近が平らでありながら、電流ピーク点のある部分がA/D変換の誤差によって本来の検出すべき位置よりずれた場合、その電流ピーク点の時間をそのまま電流ピーク時間A(n)とすると誤差が生じる。これを防ぐために、電流ピーク点から電流ピーク値Ipeak11に比べて非常に小さい値だけ下がった電流Ipeak11’であり、且つ電流ピーク値の発生時間より早い点E,電流ピーク値の発生時間より遅い点Fの時間t4,t5を検出し、時間t4,t5の中間である時間t6を電流ピーク時間A(n)とすることで、電流ピーク時間A(n)の検出精度を向上させることができる。
【0049】
さらに、アーク電流波形のピークは凸状であり、アーク電流波形では同じデジタル値の電流ピーク値が負荷電流と同じように続くことはないことから、同じデジタル値の電流ピーク値が一定数以上続く場合この波形は負荷特有の波形であると判断でき、負荷特有の波形である場合は、電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)を強制的にゼロ(ΔA(n)=0)とすることで、このような負荷特性による誤動作を防ぐことができる。
【0050】
次に、負荷電流の力率が非常に悪い場合の電流波形と電源電圧波形とを図17に示す。負荷電流の力率が非常に悪い場合には、電流ピーク点が電圧ゼロクロス時点t7,t8の近傍となることがある。電流ピーク値は電圧ゼロクロス時点t7−t8間で検出するので、電流ピーク点がこの時点t7−t8間から外れると電流ピーク時間A(n)を誤検出する場合がある。そこで、電流ピーク点の検出精度を考慮して、電圧ゼロクロス時点t7,t8の近傍の範囲T1(例えば位相0°〜10°),T2(例えば位相170°〜180°)内に電流ピーク点が存在する場合は、電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)を強制的にゼロ(ΔA(n)=0)とすることで、このような負荷による誤動作を防ぐことができる。
【0051】
また、電源を投入して負荷電流が流れ始めた直後や、負荷機器を使用中に使用モードを切り換えたとき、電流ピーク時間A(n)が変動する場合がある。この場合の電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)は、アーク電流発生時の電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)よりも大きく、変動の継続時間は数周期と短い。したがって、電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)が閾値より大きい場合、電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)を強制的にゼロ(ΔA(n)=0)とすることで、負荷機器の電源投入や、使用モードの切り換えによる誤動作を防ぐことができる。
【0052】
次に、インバータ式の洗濯機等の場合、電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)は大きく、誤動作を引き起こす恐れがある。以下この誤動作を防止する方法について説明する。図18はインバータ式の洗濯機の電流ピーク時間の差ΔA(n)´である。この変動は負荷機器の中でも大きく、アーク電流発生時の変動の大きさに匹敵する。
【0053】
ここで図19は、インバータ式の洗濯機の負荷電流について、隣り合う周期の電流ピーク値の差{Ipeak(n+1)−Ipeak(n)}と、電流ピーク時間の差ΔA(n)´との相関を表したものであり、図20はインバータ式の洗濯機のアーク電流について図19と同様の相関を表したものである。インバータ式の洗濯機の負荷電流は一般的に原点に近い部分に集まり、図19では原点を斜めに横切る範囲Q1内に収まっており、隣り合う周期の電流ピーク値の差の変動は大きいものの、電流ピーク値の差が小さい領域(例えば−5A〜5A)ではピーク時間の差の変動は比較的小さく、電流ピーク値の差が−5A〜5Aで且つピーク時間の差が500μsec以上あるいは−500μsec以下の範囲Q2内には分布がないことが特徴である。対してアーク電流は、その電流値及び電流ピークの時間が半波毎に不規則に変動する。よって図20に示すように、その分布は負荷電流に比べて広い範囲Q3に広がるのが特徴であり、電流ピーク値の差が小さい領域でもピーク時間の差の変動は大きいものとなっている。したがって、電流ピーク値の差の絶対値が閾値よりも大きい領域Q4(図19の斜線部,5A以上及び−5A以下)に存在する場合は、電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)を強制的にゼロ(ΔA(n)=0)とすることで、検出対象から除外してインバータ式の洗濯機での誤動作を防ぐことができる。
【0054】
さらに、一般的な負荷での誤動作対策を以下説明する。アーク電流の各半波のピーク電流値の変動は負荷電流のピーク電流の変動に比べて大きいので、積算値Wが閾値を超え、且つ交流電流の半波毎の電流ピーク値Ipeak(n)を検出し、検出した電流ピーク値Ipeak(n)と1周期後の半波の電流ピーク値Ipeak(n+1)との差の絶対値ΔIpeak(n)=|Ipeak(n+1)−Ipeak(n)|を閾値と比較し、電流差の絶対値ΔIpeak(n)が閾値より大きい状態が所定の回数連続して続いたときにアーク電流が発生したと判断すれば、電流ピーク点の位相の変動と電流ピーク値の変動とによってアーク電流検出の判定を行うので、誤動作をより少なくすることができる。
【0055】
また別の対策を以下説明する。アーク電流の電流ピーク時間A(n)は不規則に変動するので、電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)もある範囲でばらつく。一方、負荷電流の電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)は、負荷への電源投入時、使用モードの変更時や、インバータ式の洗濯機等を除いて、電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)は比較的小さく、所定の範囲内に収まる。そこで、電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)を、電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)によって区切られた小区分毎に積算する。例えば、小区分をW1,W2,W3...とし、p<ΔA(n)≦qであれば小区分W1で積算し、q<ΔA(n)≦rであれば小区分W2で積算し、...というように各小区分W1,W2,W3...毎に積算して、各小区分毎に設定した閾値と比較する。
【0056】
上記積算方法を用いると、アーク電流は電流ピーク時間の差の絶対値ΔA(n)がばらつくので、複数の小区間においてまんべんなく積算される。対して負荷電流の場合は、特定の小区間のみにおいて積算される。したがって、予め設定した複数の小区分において、小区分毎の積算値が閾値を超えた場合にアーク電流検出と判定することで、負荷電流に対する誤動作を低減することができる。
【0057】
(実施形態2)
図21は、アーク電流のピーク位相として、半波毎の電流ピーク点から次の半波の電流ピーク点までの時間(電流ピーク時間)B(n)(正の半波:n=1,2,3,4,5,...、負の半波:n=1´,2´,3´,4´,5´,...)を検出し、検出した電流ピーク時間B(n)と1周期後に検出した半波の電流ピーク時間B(n+1)との差(隣り合う周期の電流ピーク時間の差)の絶対値ΔB(n)=|B(n)−B(n+1)|を算出して、隣り合う周期の電流ピーク時間の差の絶対値ΔB(n)に対して所定期間(t0−α)〜t0間で[数2]で表される積算を行うものである。
【0058】
【数2】
Figure 0003879653
【0059】
この積算値Wは、W=W+ΔB(n)(但し、所定期間内での積算)でも表される。そして積算値Wと閾値とを比較して、積算値Wが閾値を超えたときにアーク電流が発生したと判断する。
【0060】
このアーク電流判別方法は、実施形態1のような電圧のゼロクロス時点の検出が不要であり、電流波形のみの検出によってアーク電流の判別を行うことができ、電流ピーク点の位相検出方法以外については実施形態1と同様に行うことができる。
【0061】
(実施形態3)
図22は、アーク電流のピーク位相として、半波毎の電流ピーク点から次の1周期後の半波の電流ピーク点までの時間(電流ピーク時間)C(n)(正の半波:n=1,2,3,4,5,...、負の半波:n=1´,2´,3´,4´,5´,...)を検出し、検出した電流ピーク時間C(n)と1周期後に検出した半波の電流ピーク時間C(n+1)との差(隣り合う周期の電流ピーク時間の差)の絶対値ΔC(n)=|C(n)−C(n+1)|を算出して、隣り合う周期の電流ピーク時間の差の絶対値ΔC(n)に対して所定期間(t0−α)〜t0間で[数3]で表される積算を行うものである。
【0062】
【数3】
Figure 0003879653
【0063】
この積算値Wは、W=W+ΔC(n)(但し、所定期間内での積算)でも表される。そして積算値Wと閾値とを比較して、積算値Wが閾値を超えたときにアーク電流が発生したと判断する。
【0064】
このアーク電流判別方法は、ドライヤーの弱モードで出現する半波整流した電流波形のように正側と負側とで異なる電流波形の場合に有効であり、電流ピーク点の位相検出方法以外については実施形態1と同様に行うことができる。
【0065】
ここで、一般家庭では複数の負荷が同時に使用されることが普通であり、この一般家庭の電路を流れる電流波形は、各負荷電流の合成(和)となり、このような状況でもアーク電流が流れた場合には検出する必要がある。上記実施形態1〜3においては、このような場合でも各半波の電流ピーク時間が同様に変動するので、アーク電流の検出が可能である。
【0066】
また、プラグのトラッキング現象は、プラグの栓刃間で微少な電流が流れ、絶縁劣化の進行によって徐々に電流が大きくなり、最終的には短絡に至る。この現象は比較的小さい電流(2〜3A程度)でもアークを発生し火災に至るため、なるべく小さいアーク電流で検出して電路を遮断する必要がある。上記実施形態1〜3においては電流ピーク時間を検出するので、2〜3A程度の小さい電流値についても電流ピーク時間の検出が可能であり、プラグのトラッキング現象を早期に検出することができる。
【0067】
上記実施形態1〜3においては、電流ピーク時間の変動を検出して、アーク電流と負荷電流とを識別する方法、及びその装置について述べた。しかし、アーク電流の性質からすれば、各周期毎のアーク電流が流れ始める時間や電流が流れなくなる時間等も同様に変動する性質がある。したがって上記実施形態1〜3で述べた電流ピーク時間の変動以外にも、電流の始点、終点の時間を検出することによってもアーク電流と負荷電流とを識別することができる。
【0068】
また、検出した電流ピーク時間A(n)、B(n)、C(n)と1周期後の半波の電流ピーク時間A(n+1)、B(n+1)、C(n+1)との差の絶対値を算出して、この電流ピーク時間の差の絶対値を変数とする関数を積算しているが、電流ピーク時間の差は検出した電流ピーク時間と所定の周期後に検出した半波の電流ピーク時間との差でよく、例えば検出した電流ピーク時間A(n)、B(n)、C(n)と半周期後に検出した半波の電流ピーク時間A(n)´、B(n)´、C(n)´との差の絶対値であってもよい。
【0069】
【発明の効果】
請求項1の発明は、交流電源から交流負荷回路に供給される交流電流の半波毎の電流ピーク点の位相を検出し、検出した電流ピーク点の位相と所定周期後に検出した半波の電流ピーク点の位相との差の絶対値を算出して、前記位相差の絶対値を変数とする関数を積算し、前記積算値と閾値とを比較して、前記積算値が閾値を超えたときにアーク電流が発生したと判断するので、正常な負荷電流では誤検出せず、芯線間の短絡によるアーク短絡現象や、芯線の切断が原因によって発生する直列アーク現象による交流回路の異常電流を検出できるという効果がある。
【0070】
請求項2の発明は、請求項1において、前記交流電流の電流ピーク点の位相は、電源電圧のゼロクロス時点から半波毎の電流ピーク点までの時間として検出されるので、交流電流の電流ピーク点の位相の具体的な検出方法を提供できるという効果がある。
【0071】
請求項3の発明は、請求項1において、前記交流電流の電流ピーク点の位相は、半波毎の電流ピーク点から次の半波の電流ピーク点までの時間として検出されるので、請求項2のような電圧のゼロクロス時点の検出が不要であり、電流波形のみの検出によってアーク電流検出の判定を行うことができるという効果がある。
【0072】
請求項4の発明は、請求項1において、前記交流電流の電流ピーク点の位相は、半波毎の電流ピーク点から1周期後の半波の電流ピーク点までの時間として検出されるので、ドライヤーの弱モードで出現する半波整流した電流波形のように正側と負側とで異なる電流波形の場合に有効であるという効果がある。
【0073】
請求項5の発明は、請求項1乃至4いずれかにおいて、前記積算動作は、前記位相差の絶対値を変数とする関数を所定期間内で積算するので、最新の期間の情報によってアーク電流検出の判定を行うことができるという効果がある。
【0074】
請求項6の発明は、請求項2乃至5いずれかにおいて、前記交流電流を所定の周期でサンプリングしてデジタル値に変換してから電流ピーク点の時間を検出し、同じデジタル値の電流ピーク値が半波内で複数個検出された場合は、最も早く電流ピーク値が発生した時間と最も遅く電流ピーク値が発生した時間との中間を電流ピーク点の時間とするので、インバータ式の電子レンジ等のようにピーク付近が平らな電流波形に対して、電流ピーク点の時間の検出精度を向上させることができるという効果がある。
【0075】
請求項7の発明は、請求項2乃至5いずれかにおいて、前記交流電流を所定の周期でサンプリングしてデジタル値に変換してから、電流ピーク値に対して微少な値を電流ピーク値から減算した電流値が発生する時間で、且つ電流ピーク値の発生時間より早い時間と遅い時間との中間を電流ピーク点の時間とするので、ピーク付近が平らな電流波形で、電流ピーク点のある部分がA/D変換の誤差によって本来の検出すべき位置よりずれた場合にでも、電流ピーク点の時間の検出精度を向上させることができるという効果がある。
【0076】
請求項8の発明は、請求項6において、同じデジタル値の電流ピーク値が半波内で所定のサンプリング個数以上検出された場合、前記位相差の絶対値を変数とする関数をゼロに設定するので、負荷特性による誤動作を防止することができるという効果がある。
【0077】
請求項9の発明は、請求項2乃至7いずれかにおいて、電流ピーク点の時間が所定の範囲外で検出された場合、前記位相差の絶対値を変数とする関数をゼロに設定するので、負荷電流の力率が悪い場合に電流ピーク点の時間を誤検出することを阻止して、負荷特性による誤動作を防止することができるという効果がある。
【0078】
請求項10の発明は、請求項1乃至7いずれかにおいて、前記位相差の絶対値が閾値を超えた場合、前記位相差の絶対値を変数とする関数をゼロに設定するので、負荷への電源投入や、使用モードの変更による誤動作を防止することができるという効果がある。
【0079】
請求項11の発明は、請求項1乃至7いずれかにおいて、前記交流電流の半波毎の電流ピーク点の電流値を検出し、検出した電流ピーク点の電流値と1周期後に検出した半波の電流ピーク点の電流値との差の絶対値を算出して、前記電流差の絶対値と閾値とを比較し、前記電流差の絶対値が閾値より大きい場合、前記位相差の絶対値を変数とする関数をゼロに設定するので、インバータ式の洗濯機等のように電流ピーク点の時間変動が大きい負荷に対して、誤動作を防止することができるという効果がある。
【0080】
請求項12の発明は、請求項1乃至4いずれかにおいて、前記積算値は、前記位相差の絶対値が閾値を超えた場合、前記位相差の絶対値から所定値を引いた値を所定期間内で積算した値であるので、最新期間の情報によってアーク電流検出の判定を行うことができ、電流ピーク点の位相の変動が大きい場合には検出時間が早くなるという効果がある。
【0081】
請求項13の発明は、請求項1乃至4いずれかにおいて、前記積算値は、前記位相差の絶対値が閾値を超えた場合、所定期間内でカウントアップした値であるので、最新期間の情報によってアーク電流検出の判定を行うことができ、さらにマイコンのプログラミング上計算が容易であり、メモリの使用量を抑えることができるという効果がある。
【0082】
請求項14の発明は、請求項1乃至4いずれかにおいて、前記積算値は、前記位相差の絶対値が閾値を超えた場合、その度に前記位相差の絶対値から第1の所定値を減算した値を積算し、前記位相差の絶対値が閾値を超えない場合、その度に前記積算値から第2の所定値を減算した値であるので、最新期間の情報をメモリに確保する必要がないためマイコンのメモリを削減することができ、さらに電流ピーク点の位相の変動が大きい場合には検出時間が早くなるという効果がある。
【0083】
請求項15の発明は、請求項1乃至4いずれかにおいて、前記積算値は、前記位相差の絶対値が閾値を超えた場合、その度にカウントアップし、前記位相差の絶対値が閾値を超えない場合、その度に所定値を減算した値であるので、最新期間の情報をメモリに確保する必要がないためマイコンのメモリを削減することができ、さらにマイコンのプログラミング上計算が容易であり、メモリの使用量をさらに抑えることができるという効果がある。
【0084】
請求項16の発明は、請求項1乃至7いずれかにおいて、前記積算値が閾値を超えたとき、且つ前記交流電流の半波毎の電流ピーク点の電流値を検出し、検出した電流ピーク点の電流値と1周期後に検出した半波の電流ピーク点の電流値との差の絶対値を算出して、前記電流差の絶対値と閾値とを比較し、前記電流差の絶対値が閾値より大きい状態が所定の回数連続して続いたときにアーク電流が発生したと判断するので、電流ピーク点の位相の変動と電流ピーク値の変動とによってアーク電流検出の判定を行い、誤動作をより少なくすることができるという効果がある。
【0085】
請求項17の発明は、請求項1において、前記位相差の絶対値を変数とする関数は前記位相差の絶対値によって区切られた小区間毎に積算され、小区間毎の積算値は小区間毎に設定された閾値と比較されて、所定の小区間で積算値が閾値を超えたときにアーク電流が発生したと判断するので、誤動作をより少なくすることができるという効果がある。
【0086】
請求項18の発明は、交流電源から交流負荷回路に供給される交流電流の半波毎の電流ピーク点の位相を検出する手段と、検出した電流ピーク点の位相と所定周期後に検出した半波の電流ピーク点の位相との差の絶対値を算出する手段と、前記位相差の絶対値を変数とする関数を積算する手段と、前記積算値と閾値とを比較する手段と、前記積算値が閾値を超えたときにアーク電流が発生したと判断する手段とを備えるので、正常な負荷電流では誤検出せず、芯線間の短絡によるアーク短絡現象や、芯線の切断による直列アーク現象による交流回路の異常電流を検出する装置を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電流ピーク点の位相を検出する第1の方法を示す図である。
【図2】同上の回路構成を示す図である。
【図3】同上の絶対値に変換された電流信号、電圧信号を示す図である。
【図4】同上の絶対値に変換されない電流信号、電圧信号を示す図である。
【図5】アーク電流波形を示す図である。
【図6】アーク電流波形の拡大図である。
【図7】掃除機の負荷電流波形を示す図である。
【図8】掃除機の負荷電流の電流ピーク時間の時間変化を示す図である。
【図9】図8の隣り合う周期の電流ピーク時間の差の時間変化を示す図である。
【図10】アーク電流の電流ピーク時間の時間変化を示す図である。
【図11】図10の隣り合う周期の電流ピーク時間の差の時間変化を示す図である。
【図12】図11の電流ピーク時間の差の第1の積算方法を示す図である。
【図13】図11の電流ピーク時間の差の第2の積算方法を示す図である。
【図14】インバータ式電子レンジの電流波形を示す図である。
【図15】本発明の電流ピーク時間の第1の検出方法を示す図である。
【図16】同上の電流ピーク時間の第2の検出方法を示す図である。
【図17】同上の電流ピーク時間の検出範囲を示す図である。
【図18】インバータ式洗濯機の隣り合う周期の電流ピーク時間の差の時間変化を示す図である。
【図19】インバータ式洗濯機の負荷電流の電流ピーク差と電流ピーク時間差との相関を示す図である。
【図20】アーク電流の電流ピーク差と電流ピーク時間差との相関を示す図である。
【図21】本発明の電流ピーク点の位相を検出する第2の方法を示す図である。
【図22】同上の電流ピーク点の位相を検出する第3の方法を示す図である。
【符号の説明】
A1,A1´,A2,A2´,... 電流ピーク時間
Ipeak1,Ipeak1´,... 電流ピーク値

Claims (18)

  1. 交流電源から交流負荷回路に供給される交流電流の半波毎の電流ピーク点の位相を検出し、検出した電流ピーク点の位相と所定周期後に検出した半波の電流ピーク点の位相との差の絶対値を算出して、前記位相差の絶対値を変数とする関数を積算し、前記積算値と閾値とを比較して、前記積算値が閾値を超えたときにアーク電流が発生したと判断することを特徴とするアーク電流判別方法。
  2. 前記交流電流の電流ピーク点の位相は、電源電圧のゼロクロス時点から半波毎の電流ピーク点までの時間として検出されることを特徴とする請求項1記載のアーク電流判別方法。
  3. 前記交流電流の電流ピーク点の位相は、半波毎の電流ピーク点から次の半波の電流ピーク点までの時間として検出されることを特徴とする請求項1記載のアーク電流判別方法。
  4. 前記交流電流の電流ピーク点の位相は、半波毎の電流ピーク点から1周期後の半波の電流ピーク点までの時間として検出されることを特徴とする請求項1記載のアーク電流判別方法。
  5. 前記積算動作は、前記位相差の絶対値を変数とする関数を所定期間内で積算することを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載のアーク電流判別方法。
  6. 前記交流電流を所定の周期でサンプリングしてデジタル値に変換してから電流ピーク点の時間を検出し、同じデジタル値の電流ピーク値が半波内で複数個検出された場合は、最も早く電流ピーク値が発生した時間と最も遅く電流ピーク値が発生した時間との中間を電流ピーク点の時間とすることを特徴とする請求項2乃至5いずれか記載のアーク電流判別方法。
  7. 前記交流電流を所定の周期でサンプリングしてデジタル値に変換してから、電流ピーク値に対して微少な値を電流ピーク値から減算した電流値が発生する時間で、且つ電流ピーク値の発生時間より早い時間と遅い時間との中間を電流ピーク点の時間とすることを特徴とする請求項2乃至5いずれか記載のアーク電流判別方法。
  8. 同じデジタル値の電流ピーク値が半波内で所定のサンプリング個数以上検出された場合、前記位相差の絶対値を変数とする関数をゼロに設定することを特徴とする請求項6記載のアーク電流判別方法。
  9. 電流ピーク点の時間が所定の範囲外で検出された場合、前記位相差の絶対値を変数とする関数をゼロに設定することを特徴とする請求項2乃至7いずれか記載のアーク電流判別方法。
  10. 前記位相差の絶対値が閾値を超えた場合、前記位相差の絶対値を変数とする関数をゼロに設定することを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載のアーク電流判別方法。
  11. 前記交流電流の半波毎の電流ピーク点の電流値を検出し、検出した電流ピーク点の電流値と1周期後に検出した半波の電流ピーク点の電流値との差の絶対値を算出して、前記電流差の絶対値と閾値とを比較し、前記電流差の絶対値が閾値より大きい場合、前記位相差の絶対値を変数とする関数をゼロに設定することを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載のアーク電流判別方法。
  12. 前記積算値は、前記位相差の絶対値が閾値を超えた場合、前記位相差の絶対値から所定値を引いた値を所定期間内で積算した値であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載のアーク電流判別方法。
  13. 前記積算値は、前記位相差の絶対値が閾値を超えた場合、所定期間内でカウントアップした値であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載のアーク電流判別方法。
  14. 前記積算値は、前記位相差の絶対値が閾値を超えた場合、その度に前記位相差の絶対値から第1の所定値を減算した値を積算し、前記位相差の絶対値が閾値を超えない場合、その度に前記積算値から第2の所定値を減算した値であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載のアーク電流判別方法。
  15. 前記積算値は、前記位相差の絶対値が閾値を超えた場合、その度にカウントアップし、前記位相差の絶対値が閾値を超えない場合、その度に所定値を減算した値であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載のアーク電流判別方法。
  16. 前記積算値が閾値を超えたとき、且つ前記交流電流の半波毎の電流ピーク点の電流値を検出し、検出した電流ピーク点の電流値と1周期後に検出した半波の電流ピーク点の電流値との差の絶対値を算出して、前記電流差の絶対値と閾値とを比較し、前記電流差の絶対値が閾値より大きい状態が所定の回数連続して続いたときにアーク電流が発生したと判断することを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載のアーク電流判別方法。
  17. 前記位相差の絶対値を変数とする関数は前記位相差の絶対値によって区切られた小区間毎に積算され、小区間毎の積算値は小区間毎に設定された閾値と比較されて、所定の小区間で積算値が閾値を超えたときにアーク電流が発生したと判断することを特徴とする請求項1記載のアーク電流判別方法。
  18. 交流電源から交流負荷回路に供給される交流電流の半波毎の電流ピーク点の位相を検出する手段と、検出した電流ピーク点の位相と所定周期後に検出した半波の電流ピーク点の位相との差の絶対値を算出する手段と、前記位相差の絶対値を変数とする関数を積算する手段と、前記積算値と閾値とを比較する手段と、前記積算値が閾値を超えたときにアーク電流が発生したと判断する手段とを備えることを特徴とするアーク電流判別装置。
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