JP3879274B2 - 発振器の温度補償方法及びその温度補償回路 - Google Patents

発振器の温度補償方法及びその温度補償回路 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、SAW(弾性表面波)共振子、音叉型振動子などの振動子を用いた発振器の温度補償方法、およびその温度補償回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の回路としては、発振器の製造段階において、製品個々について周波数の温度依存性を予め測定し、温度毎の周波数偏差を補償するために必要な電圧信号レベルをPROM(プログラマブル・リード・オンリ・メモリ)に記憶して出荷するものが知られている(例えば、特開昭63−240107号公報に記載の発明)。
【0003】
このような従来の回路では、その動作中は、振動子と熱的に結合された温度センサの検出温度をマイクロコンピュータが読み取り、この読み取った温度に対応した電圧信号レベルをPROMから読み出す。このPROMから読み出された電圧信号レベルに基づいてマイクロコンピュータから電圧制御発振器に電圧信号が与えられる。電圧制御発振器には、可変リアクタンス素子(例えば可変容量ダイオード)が接続されており、可変リアクタンス素子のリアクタンスが制御電圧によって可変されることで発振周波数が所望の値に調整される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来の回路では、各温度に対する周波数偏差の補償量を製品個々についてPROMに記憶させる必要があるので、記憶容量の大きなPROM(メモリ)が必要となる上に、その記憶のために比較的長時間の作業が必要となり、もって製作費用(コスト)が嵩むという不都合があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述の点に鑑みなされたものであり、その目的は、メモリの容量の軽減化により、製作費用の低減化を図るようにした発振器の温度補償方法およびその温度補償回路を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するために、請求項1から請求項6に記載の各発明は、以下のように構成した。
【0007】
すなわち、請求項1に記載の発明は、温度に対する周波数偏差が2次の多項式で近似される振動子を用いた発振器の発振周波数を、前記振動子の検出温度に応じて補償するようにした発振器の温度補償方法において、前記多項式中の複数のパラメータのうち、前記振動子の製造時のばらつきの大きな少なくとも1つのパラメータの値を固有の値として予め求めるとともに、そのばらつきの小さな残余のパラメータの値を標準の値とし、これら各パラメータの値を予め記憶しておき、前記発振器の動作時には、前記振動子の温度を検出し、少なくともこの検出温度、および前記記憶されている複数のパラメータの各値に基づいて周波数偏差を求め、この求めた周波数偏差に基づいて前記発振器の発振周波数の温度補償を行うようにした発振器の温度補償方法であって、前記多項式中のパラメータの平均的な値を仮定した場合の、各温度とこの各温度に対応する周波数偏差との関係を記述した標準テーブルを、さらに予め作成しておき、前記発振器の動作時の前記周波数偏差の算出は、前記振動子の検出温度により前記標準テーブルを参照して求め、これを求める際には、前記複数のパラメータの各値とそのパラメータの平均値とに基づいて予め求められている補正値を用いて前記周波数偏差を補正するようにしたものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、発振器に用いられるとともに、温度に対する周波数偏差が2次の多項式で近似される振動子の温度を検出する温度検出手段と、前記多項式中の複数のパラメータのうち、前記振動子の製造時のばらつきの大きな少なくとも1つのパラメータの値を固有の値として予め求めてあるとともに、そのばらつきの小さな残余のパラメータの値を標準の値とし、これら各パラメータの各値を予め記憶する記憶手段と、前記温度検出手段の検出温度、および前記記憶手段に記憶されている複数のパラメータの各値に基づいて周波数偏差を求める周波数偏差算出手段と、この周波数偏差算出手段の求めた周波数偏差に基づいて前記発振器の発振周波数を補償する補償手段とを備えた発振器の温度補償回路であって、前記多項式中のパラメータの平均的な値を仮定した場合の、各温度とこの各温度に対応する周波数偏差との関係を記述した標準テーブルを、さらに備え、前記周波数偏差算出手段は、前記温度検出手段の検出温度に基づいて前記標準テーブルを参照して周波数偏差を求め、これを求める際には、前記複数のパラメータの各値とそのパラメータの平均値とに基づいて予め求められている補正値を用いて前記周波数偏差を補正するようにしたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
まず、本発明の実施形態の説明に先立って、発振器に使用される振動子のうちSAW共振子や音叉振動子の特性について説明する。
【0015】
発振器に使用されるSAW共振子や音叉振動子の周波数偏差Δf/fO は、次の(1)式で近似される。
【0016】
Δf/fO ≡(f−fO )/fO ≒α(θ−θP 2 +ΔfP /fO …(1)
但し、f:共振周波数〔Hz〕
O :公称周波数〔Hz〕
θ:温度〔℃〕
θP :頂点温度〔℃〕
α:温度係数〔℃-2
ΔfP /fO :頂点温度(θ=θP )における周波数偏差
なお、一部重複するが、(1)式中の各パラメータの説明と、SAW共振子での特性値を図1に示す。
【0017】
ここで、(1)式に示すように、SAW共振子や音叉振動子の周波数偏差は、温度に対して2次の曲線になり、(1)式の右辺の第1項は温度に依存する周波数偏差、その右辺の第2項は温度に依存しない周波数偏差を表している。
【0018】
SAW共振子において、頂点温度θP =θP (typ)=25℃、温度係数α=α(typ)=−3.4×10-8-2、ΔfP /fO =0の平均的な条件を仮定した場合には、(1)式は次の(2)式で表される。
【0019】
Δf/fO ≒α(typ){θ−θP (typ)}2 …(2)
この平均的な周波数偏差の特性を示すと図2に示すようになる。
【0020】
ところで、実際の製品では、頂点温度θP 、温度係数α、頂点温度における周波数偏差ΔfP /fO の3つのパラメータは、いずれも製品個々にばらつきを有している。SAW共振子の頂点温度θP 、温度係数α、頂点温度における周波数偏差ΔfP /fO の平均値と、そのばらつきの一例を示すと、図1に示すようになる。
【0021】
また、そのばらつきを図3〜図6に示す。図3は頂点温度θP のばらつき、図4は温度係数αのばらつき、図5は頂点温度における周波数偏差ΔfP /fO のばらつきをそれぞれ示す。図6は、これらの総合的なばらつきの範囲を表したものである。なお、各図は、横軸が温度θ〔℃〕を表し、縦軸が周波数偏差Δf/fO 〔ppm〕を表す。
【0022】
次に、本発明の発振器の温度補償回路の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
この第1実施形態は、(1)式で表わされるSAW共振子の頂点温度θP 、温度係数α、および頂点温度における周波数偏差ΔfP /fO の各値を予め求め、この求めた各パラメータの各値を予め記憶しておき、発振器の動作時に、SAW共振子の温度を検出し、この検出温度と、予め記憶されている各パラメータの各値を用い、(1)式に基づいて周波数偏差を求め、この求めた周波数偏差により発振器の発振周波数を温度補償するものである。
【0024】
このため、この第1実施形態は、図7に示すように、温度センサ1、マイクロコンピュータ2、記憶装置3、および電圧制御発振器(VCO)4から構成され、マイクロコンピュータ2は、A/D変換器21、CPU(演算処理装置)22、ROM(読み出し専用メモリ)23、およびD/A変換器24から構成されている。
【0025】
温度センサ1は、図8に示すSAW共振子5の温度を検出し、その検出温度をA/D変換器21に出力するように構成されている。
【0026】
A/D変換器21は、温度センサ1からのアナログ形態の検出温度を、ディジタル信号にA/D変換してCPU22に出力するように構成されている。
【0027】
CPU22は、後述のようにROM23に予め格納されている手順により各種の判断や演算処理を行うとともに、その判断や演算結果に応じた信号を出力するように構成されている。
【0028】
ROM23は、CPU22が行う各種の判断や演算の手順が予め格納されている。
【0029】
D/A変換器24は、CPU22からのディジタル形態の出力をアナログ形態の信号にD/A変換して電圧制御発振器4に出力するように構成されている。
【0030】
記憶装置3は、ユーザ書込み形の記憶装置(例えばPROM)であり、後述のようにして予め求めたSAW共振子5についての(1)式中の頂点温度θP 、温度係数α、および頂点温度における周波数偏差ΔfP /fO の各値が予め格納されている。
【0031】
次に、電圧制御発振器4の回路の構成の一例について、図8を参照して説明する。
【0032】
この電圧制御発振器4はコルピッツ型といわれるものであり、図8に示すように、増幅用のトランジスタQ1を有し、このトランジスタQ1のコレクタはコンデンサC3を介して出力端子に接続されるとともに、コイルL1を介して電源に接続されている。トランジスタQ1のエミッタは、抵抗R3を介して接地されている。トランジスタQ1のベースとエミッタとの間にはコンデンサC1が接続され、抵抗R3にはコンデンサC2が並列に接続されている。
【0033】
トランジスタQ1のベースには、抵抗R1と抵抗R2の各一端が接続されるとともに、抵抗R1の他端は電源に接続され、抵抗R2の他端は接地されている。トランジスタQ1のベースにはSAW共振子5の一方の電極が接続され、その他方の電極は電圧制御端子に接続されている。また、電圧制御端子には周波数可変用の可変容量ダイオード6のカソード側が接続され、そのアノード側は接地されている。さらに、電圧制御端子は、図7のD/A変換器24の出力側に接続されている。
【0034】
ところで、図8に示す回路構成によると、電圧制御発振器4の電圧制御端子に印加する電圧が増大するにつれて可変容量ダイオード6の容量の値が小さくなり、その結果、発振周波数が高くなる。つまり、可変容量ダイオード6を接続しない場合における発振周波数よりも低い周波数を得ることができない。従って、周波数を公称周波数fO に調整するためには、周波数偏差Δf/fO が負であることが補正可能な条件となる。そのため、あらかじめ周波数を低めに設計することが必要となる。
【0035】
すなわち、図9に示すような平均的な特性が得られるように振動子の設計を行うことになる。図9では、頂点温度における周波数偏差ΔfP /fO が−110ppmとなるように設定されている。このため、実際には、頂点温度における周波数偏差ΔfP /fO の値は、±100ppmの製造ばらつきに加え、この人為的な周波数偏差分を含んだ値となる。このような方策によって、図10に示すように、すべての製品について、周波数偏差Δf/fO を負の範囲に収めることが可能となる。
【0036】
次に、このような構成からなる第1実施形態による発振器の温度補償について、図11を参照して説明する。
【0037】
この第1実施形態では、まず、SAW共振子5について、(1)式中の頂点温度θP 、温度係数α、頂点温度における周波数偏差ΔfP /fO の各パラメータの値について、SAW共振子ごとにあらかじめ求めておく。
【0038】
この各パラメータの値の算出は、各SAW共振子についてその周囲温度を15℃の間隔で変化させ、その温度毎の発振周波数を求め、これにより近似曲線を作成し、この作成した近似曲線に基づいて頂点温度θP 、温度係数α、頂点温度における周波数偏差ΔfP /fO をそれぞれ求める。
【0039】
このようにして求めたSAW共振子5の頂点温度θP 、温度係数α、および頂点温度における周波数偏差ΔfP /fO の各値は、記憶装置3に予め格納させておく。
【0040】
そして、電圧制御発振器4の温度補償時には、温度センサ1が検出するSAW共振子5の検出温度θをCPU22が読み込み(ステップS11)、この読み込んだ検出温度θと、記憶装置3に格納されている頂点温度θP と、温度係数αと、頂点温度における周波数偏差ΔfP /fO とを用いて、CPU22は、(1)式に基づいて検出温度θにおけるSAW共振子の周波数偏差Δf/fO を算出する(ステップS12)。
【0041】
次いで、CPU22は、その算出した周波数偏差Δf/fO に基づいて電圧制御発振器4の補償に必要な電圧レベルを算出し、この算出した電圧がD/A変換器24でD/A変換されて電圧制御発振器4に接続される可変容量ダイオード6に供給される(ステップS13)。これにより電圧制御発振器4の発振周波数は、所望の値に補正される。
【0042】
以上述べたように、第1実施形態によれば、周波数偏差を近似的に表す(1)式のパラメータの各値のみを記憶装置3に予め記憶させれば良いので、メモリの容量の軽減化が実現できる上に、その製作費用の低減化を実現できる。
【0043】
また、上記のパラメータの各値を可変抵抗器で設定するようにし、動作の開始時にA/D変換器で読み取るようにすれば、従来のようにPROMを搭載する必要がなくなり、大幅なコストダウンが実現可能となる。
【0044】
なお、第1実施形態では、(1)式中の頂点温度θP 、温度係数α、頂点温度における周波数偏差ΔfP /fO の各パラメータの値について、SAW共振子ごとに予め求め、この求めた値を記憶装置3に予め格納するようにした。しかし、この3つのパラメータは、SAW共振子の製造時においてばらつきの程度が異なり、そのばらつきが大きく許容できないものと、そのばらつきが小さく許容できるものとがある。
【0045】
そこで、本発明では、その3つのパラメータのうち、例えばばらつきの大きなパラメータを頂点温度θP 、頂点温度における周波数偏差ΔfP /fO とし、これらについてはSAW共振子ごとにその値をあらかじめ求めておき、ばらつきの小さい温度係数αについては各SAW共振子に共通な平均値を使用するようにしてもよい。この場合、温度係数αは、記憶装置3に変えて、ROM23に記憶させることができる。
【0046】
次に、本発明の発振器の温度補償回路の第2実施形態について、図12〜図14を参照して説明する。
【0047】
この第2実施形態は、(2)式に示した平均的な特性の際の温度とこの温度に対応する周波数偏差の標準的な対応表7を、図12に示すようにあらかじめ作成し、この対応表7に応じた図13に示すような標準テーブル8をROM23内に予め作成しておき、発振器の動作時に、SAW共振子5の温度を検出し、この検出温度に基づいて標準テーブル8を参照して周波数偏差を求め、これを求める際には、後述の補正値を用いて周波数偏差の補正を行うようにしたものである。
【0048】
このような第2実施形態は、ハードウエアの構成が図7および図8に示した第1実施形態と基本的に同様であるので、その構成の説明は必要な場合以外は適宜省略し、発振器の温度補償について以下に詳細に説明する。
【0049】
図12示す対応表7には、温度とその温度に対する周波数偏差の絶対値が記されている。また、電圧制御発振器4の動作温度範囲は例えば−40℃〜85℃であり、頂点温度θP のばらつきが±15であるので、このばらつきを含めた温度範囲は図12に示すように−55℃〜100℃となる。
【0050】
この例では、図7に示すA/D変換器21、D/A変換器24は共に8ビットの分解能を有しているので、−55℃〜100℃の温度範囲を「256」の分解能で検出することができる。また、図13に示すROM23内部の標準テーブル8の先頭アドレスは、簡単のために「0000H」としてある。従って、例えば、25℃に対する周波数偏差量は、アドレス「0084H」に格納されている。各アドレスのデータは、その温度における周波数偏差量であり、0〜220ppmの範囲が8ビットの分解能で記憶されている。
【0051】
次に、このような標準テーブルを備えた第2実施形態による発振器の温度補償について、図14を参照して説明する。
【0052】
この第2実施形態では、まず、(1)式中の頂点温度θP 、温度係数α、頂点温度における周波数偏差ΔfP /fO の各パラメータの値について、SAW共振子毎にあらかじめ求める。この求め方は、第1実施形態の場合と同様であるので、その説明は省略する。
【0053】
そして、その求めた頂点温度θP 、温度係数α、および頂点温度における周波数偏差ΔfP /fO の各値と、これら各パラメータの各平均値θP (typ)、α(typ)とから、頂点温度θP の補正量T、温度係数αの補正量A、周波数偏差の補正量Fを以下の(3)〜(5)式により算出する。
【0054】
T=θP (typ)−θP …(3)
A=α/α(typ)…(4)
F=ΔfP /fO …(5)
この算出した補正量T、A、Fを、記憶装置3に予め格納させておく。
【0055】
また、上述した図12に示すような対応表を作成し、この対応表に応じた標準テーブル8をROM23に予め格納させておく。
【0056】
そして、電圧制御発振器4の温度補償時には、まず、CPU22が、記憶装置3に格納されている補正量T、A、Fを読み込む(ステップS1)。
【0057】
次に、温度センサ1が検出するSAW共振子5の検出温度θを、CPU22が読み込む(ステップS2)。そして、この検出温度θに頂点温度の補正量Tを加算し、検出温度θを補正する(ステップS3)。
【0058】
例えば、頂点温度θP が20℃、頂点温度の平均値が25℃とすると、(3)式から頂点温度θP の補正量Tは5℃である。このため、温度センサ1の検出温度θが10℃の場合には、ステップS3ではその5℃が加算され、補正後の温度θは15℃となる。
【0059】
次のステップS4では、CPU22は、その補正された温度θに対応する標準テーブル8のアドレスを算出する。例えば、補正された温度θが15℃の場合には「0074H」がアクセスすべきアドレスとなる。このように、補正量Tだけ加算された温度に基づいてアドレスを算出することにより、頂点温度θP の平均値からの誤差が補正された周波数偏差を読み込むことが可能となる。
【0060】
次いで、ステップS5では、CPU22は、その求めたアドレスから周波数偏差Δf/fO に相当するデータを読み込む。ただし、ここで読み込まれた周波数偏差Δf/fO は、あくまでも温度係数αが平均値の場合に対するデータである。そこで、次のステップS6では、その周波数偏差Δf/fO に補正量Aを掛ける処理を行う。この処理により、温度係数αのばらつきが補正される。
【0061】
次のステップS7では、ステップS6で求められた値に補正量Fを加え、ΔfP /fO に相当する値を補正する。
【0062】
以上のような一連の処理により、SAW共振子5の検出温度に応じた周波数偏差量が算出される。
【0063】
次に、ステップS8では、その算出された周波数偏差量に基づき、D/A変換器24に出力すべき電圧信号レベルが算出される。ここでは、可変容量ダイオード6と電圧制御発振器4の特性により求まる既知の関係式に基づいてその電圧信号レベルが算出される。例えば、関係式が非線形である場合には、図示しないテーブルを参照して目的の電圧信号レベルを得ることになる。
【0064】
次のステップS9では、その算出した電圧信号レベルを出力する。そして、ステップS2に戻り、以上の一連の各処理を繰り返す。
【0065】
一般に、温度変化の時定数はマイクロコンピュータの動作速度に比較して十分に遅いので、タイマにより一定時間ごとにステップS2からステップS9の各処理を繰り返すように構成しても良い。
【0066】
そして、このような一連の処理の繰り返しにより、D/A変換器24からは、常にその時点の温度に対応した周波数偏差量を補償する電圧信号が出力され、これにより可変容量ダイオード6の容量が変化し、電圧制御発振器4は所望の周波数で発振を持続する。
【0067】
以上述べたように、この第2実施形態によれば、標準テーブルを使用するようにしたので、この標準テーブルを各製品が共通に使用でき、その結果、従来のように各製品ごとのPROMに、温度ごとに周波数偏差の補償に必要な電圧を記憶するような作業が不要となり、もって製作費用を低減化できる。
【0068】
なお、この第2実施形態では、SAW共振子について、(1)式中の頂点温度θP 、温度係数α、頂点温度における周波数偏差ΔfP /fO の各パラメータの値について求め、その各SAW共振子ごとに求めた各パラメータの値と、これら各パラメータの各平均値から、(3)〜(5)式のように補正量T、A、Fを求めておき、標準テーブルを用いて周波数偏差を求める際に、その補正量の全てを使用するようにした。
【0069】
しかし、上記の3つのパラメータは、SAW共振子の製造時においてばらつきの程度が異なり、そのばらつきが大きく許容できないものと、そのばらつきが小さく許容できるものとがある。
【0070】
そこで、3つのパラメータのうち、例えば、温度係数αについてそのばらつきが許容できるような場合には、そのばらつきについては必ずしも補正を必要とせず、このような場合にも本発明に含まれる。なお、この場合には、図14のステップS6の処理が省略される。
【0071】
なお、上記の各実施形態では、SAW共振子に用いた発振器の温度補償について説明したが、本発明は音叉型振動子を用いた発振器の温度補償についても適用可能であること勿論である。
【0072】
また、請求項2に記載の温度検出手段は図7の温度センサ1に対応し、同様に、記憶手段は記憶装置3もしくはROM23に、周波数偏差算出手段はCPU22などに、補償手段は図8の可変容量ダイオードなどにそれぞれ対応する。また、請求項2に記載の標準テーブルは、図13の標準テーブル8に対応する。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、周波数偏差が近似的に表される2次の多項式中の複数のパラメータのみを予め記憶させれば良いので、記憶手段の記憶容量の軽減化が実現できる上に、その軽減化により製作費用の低減化も実現できる。
【0075】
また、本発明において、標準テーブルを使用して周波数偏差を求める場合には、その標準テーブルを各製品に共通に使用でき、もって従来のように各製品毎のPROMに、温度毎に周波数偏差の補償に必要な電圧を記憶するような作業が不要となり、もって製作費用を低減化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】振動子の周波数偏差を示す式の各パラメータの説明と、SAW共振子での特性値を示す図である。
【図2】振動子の平均的な周波数偏差の特性を示す図である。
【図3】頂点温度のばらつきを示す図である。
【図4】温度係数のばらつきを示す図である。
【図5】頂点温度における周波数偏差のばらつきを示す図である。
【図6】これらの総合的なばらつきの範囲を示す図である。
【図7】本発明の発振器の温度補償回路の第1実施形態の構成の一例を示すブロック図である。
【図8】図7の電圧制御発振器の回路構成の一例を示す回路図である。
【図9】可変容量ダイオードを考慮した場合のSAW共振子の周波数偏差の平均的な特性を説明する図である。
【図10】その場合のばらつきの範囲を示す図である。
【図11】第1実施形態による発振器の温度補償の一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の発振器の温度補償回路の第2実施形態にかかる対応表の一例を示す図である。
【図13】図12に示す対応表に応じて作成した標準テーブルの一例を示す図である。
【図14】第2実施形態による発振器の温度補償の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 温度センサ
2 マイクロコンピュータ
3 記憶装置
4 電圧制御発振器
5 SAW共振子
6 可変容量ダイオード
7 対応表
8 標準テーブル
21 A/D変換器
22 CPU(演算処理装置)
23 ROM
24 D/A変換器

Claims (2)

  1. 温度に対する周波数偏差が2次の多項式で近似される振動子を用いた発振器の発振周波数を、前記振動子の検出温度に応じて補償するようにした発振器の温度補償方法において、
    前記多項式中の複数のパラメータのうち、前記振動子の製造時のばらつきの大きな少なくとも1つのパラメータの値を当該振動子固有の値として予め求めるとともに、そのばらつきの小さな残余のパラメータの値を標準の値とし、これら各パラメータの値を予め記憶しておき、
    前記発振器の動作時には、前記振動子の温度を検出し、少なくともこの検出温度、および前記記憶されている複数のパラメータの各値に基づいて周波数偏差を求め、
    この求めた周波数偏差に基づいて前記発振器の発振周波数の温度補償を行うようにした発振器の温度補償方法であって、
    前記多項式中のパラメータの平均的な値を仮定した場合の、各温度とこの各温度に対応する周波数偏差との関係を記述した標準テーブルを、さらに予め作成しておき、
    前記発振器の動作時の前記周波数偏差の算出は、前記振動子の検出温度により前記標準テーブルを参照して求め、これを求める際には、前記複数のパラメータの各値とそのパラメータの平均値とに基づいて予め求められている補正値を用いて前記周波数偏差を補正するようにしたことを特徴とする発振器の温度補償方法。
  2. 発振器に用いられるとともに、温度に対する周波数偏差が2次の多項式で近似される振動子の温度を検出する温度検出手段と、
    前記多項式中の複数のパラメータのうち、前記振動子の製造時のばらつきの大きな少なくとも1つのパラメータの値を当該振動子固有の値として予め求めてあるとともに、そのばらつきの小さな残余のパラメータの値を標準の値とし、これら各パラメータの各値を予め記憶する記憶手段と、
    前記温度検出手段の検出温度、および前記記憶手段に記憶されている複数のパラメータの各値に基づいて周波数偏差を求める周波数偏差算出手段と、
    この周波数偏差算出手段の求めた周波数偏差に基づいて前記発振器の発振周波数を補償する補償手段と、
    を備えた発振器の温度補償回路であって、
    前記多項式中のパラメータの平均的な値を仮定した場合の、各温度とこの各温度に対応する周波数偏差との関係を記述した標準テーブルを、さらに備え、
    前記周波数偏差算出手段は、前記温度検出手段の検出温度に基づいて前記標準テーブルを参照して周波数偏差を求め、これを求める際には、前記複数のパラメータの各値とそのパラメータの平均値とに基づいて予め求められている補正値を用いて前記周波数偏差を補正するようにしたことを特徴とする発振器の温度補償回路。
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