JP3876575B2 - 凹凸模様形成性粉体塗料、その製造方法、塗膜の形成方法および塗装物 - Google Patents

凹凸模様形成性粉体塗料、その製造方法、塗膜の形成方法および塗装物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフッ素樹脂を含む凹凸模様形成性粉体塗料、さらに詳しくは優れた意匠性を有する凹凸模様、特にテクスチュア調の模様を形成することができる凹凸模様形成性粉体塗料、この粉体塗料の製造方法、塗膜の形成方法および塗装物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、家電製品を始めパソコン、プリンターなどのOA機器、さらには鋼製家具などの被塗物への装飾表現の多様化が進んでいる。また地球環境保護対応型塗料として粉体塗料への期待が高まる中、従来の粉体塗料では表現できなかった意匠性、特に凹凸模様を形成させて意匠性を付与する粉体塗料が要求されている。
【0003】
凹凸模様を形成させる従来の方法として、特定の樹脂を粉体塗料の主体樹脂に分散して塗料化する方法が知られている。例えば特開昭60−258270号には、常温で固体の熱硬化性樹脂と熱可塑性セルロースエーテル系樹脂粉末とを含有する混合物を、熱硬化性樹脂は溶融するが熱可塑性セルロース系樹脂は溶融しない温度で混練し、冷却後、微粉砕化した粉体塗料が開示されている。
しかし、この粉体塗料では熱硬化性樹脂と熱可塑性セルロースエーテル系樹脂とを同一温度で混練するため、熱可塑性セルロースエーテル系樹脂の十分な分散が得られず、塗膜の模様の均一性が得られないばかりでなく、塗膜の一部は素地にまで達する現象を起こし、耐食性に欠けるという問題点を有している。
【0004】
別の方法として、加熱硬化温度において形状の安定な樹脂ビーズによりサテン調の凹凸模様を形成させる方法が提案されている。例えば特開平9−302272号には、平均粒径が10〜200μmの樹脂ビーズ0.1〜40重量%を含有する粉体塗料を塗装する方法が開示されている。
しかし上記方法では、ちぢみ模様に近い微細な凹凸模様を得るには樹脂ビーズの粒径を小さくし、塗装膜厚を樹脂ビーズの粒径以下で塗装する必要があるので、粉体塗料の持つ防食性が十分発揮されない。
【0005】
さらに別の方法として、特定の樹脂、硬化剤、硬化触媒を用いることにより亀甲状の不特定網目模様を形成させる方法が提案されている。例えば特開平7−62269号には、水酸基価が10〜320mgKOH/gの常温で固体の粉体塗料用樹脂60〜95重量部、ガラス転移温度が30〜70℃のトルエンスルホンアミド変性メラミン樹脂5〜40重量部、沸点が80〜250℃のアミン化合物でブロックしたスルホン酸化合物0.1〜3重量部を配合した粉体塗料が開示されている。
しかしこの方法では、特定の樹脂を用いるため、コストが高くなるほか、塗膜の性能も限られたものとなってしまう。
【0006】
【発明を解決しようとする課題】
これら従来の方法による意匠性塗膜は、塗膜表面に比較的大きな凹凸差の形成による意匠性表現に限られており、異なるトーンや、ソフトな手触り感を有した模様は得られていない。また近年、パソコンやプリンターのようなOA機器、携帯電話、オフィス家具、計測機器等を中心にデザイン傾向が高まり、より均一かつ緻密かつ微細な凹凸模様の形成による優れた意匠性とソフトな手触り感を有する模様(以下、織物調の手触り感という意味でテクスチュアー調模様という場合がある)を与える塗膜が求められている。
【0007】
本発明の課題は、このような要望に応えるため、均一かつ緻密かつ微細で優れた意匠性とソフトな手触り感を有する凹凸模様を形成することができるとともに、塗膜硬度が硬く、しかも塗膜性能に優れた塗膜を形成することができる凹凸模様形成性粉体塗料を提供することである。
本発明の他の課題は、上記凹凸模様形成性粉体塗料を簡単に効率よく製造することができる凹凸模様形成性粉体塗料の製造方法を提案することである。
本発明のさらに他の課題は、上記凹凸模様形成性粉体塗料を用いて凹凸模様の塗膜を形成する塗膜の形成方法、およびそれによって得られる塗装物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の凹凸模様形成性粉体塗料、その製造方法、塗膜の形成方法および塗装物である。
(1) 常温で固体の熱硬化型の塗膜形成樹脂(A)100重量部に対して、フッ素樹脂(B)を0.01〜20重量部の割合で含む粉体塗料であり、
塗膜形成樹脂(A)の硬化反応温度は120〜280℃であり、
フッ素樹脂(B)は溶融しないかまたは溶融温度が150〜340℃であって、塗膜形成樹脂(A)の溶融温度および硬化温度において溶融せず、フッ素含有量が10〜85重量%のフッ素樹脂であり、
塗膜形成樹脂(A)に対してフッ素樹脂(B)を前記の割合で添加して、塗膜形成樹脂(A)の硬化温度より20℃以上低い温度で加熱溶融させ、混合して冷却し、粉砕することにより、塗膜形成樹脂(A)がフッ素樹脂(B)に融着しており、
フッ素樹脂(B)の溶融温度より5℃以上低い温度で塗膜形成樹脂(A)を加熱硬化させて形成される塗膜が、中心線平均粗さ(Ra)が2〜20μm、10点平均粗さ(Rz)が10〜100μm、1cmあたりのピーク数(Pc)が10〜40個の凹凸模様の塗膜である
凹凸模様形成性粉体塗料。
(2) フッ素樹脂(B)がポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロプロピレン共重合体、またはエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体である上記(1)記載の凹凸模様形成性粉体塗料。
(3) 塗膜形成樹脂(A)100重量部に対してフッ素樹脂(B)を0.01〜20重量部の割合で添加した後、塗膜形成樹脂(A)をその硬化温度より20℃以上低い温度で加熱溶融させて混合し、次に冷却したのち粉砕することにより、塗膜形成樹脂(A)がフッ素樹脂(B)に融着した凹凸模様形成性粉体塗料を製造する方法であって、
塗膜形成樹脂(A)の硬化反応温度は120〜280℃であり、
フッ素樹脂(B)は溶融しないかまたは溶融温度が150〜340℃であって、塗膜形成樹脂(A)の溶融温度および硬化温度において溶融せず、フッ素含有量が10〜85重量%のフッ素樹脂であり、
フッ素樹脂(B)の溶融温度より5℃以上低い温度で塗膜形成樹脂(A)を加熱硬化させて形成される塗膜が、中心線平均粗さ(Ra)が2〜20μm、10点平均粗さ(Rz)が10〜100μm、1cmあたりのピーク数(Pc)が10〜40個の凹凸模様の塗膜である
凹凸模様形成性粉体塗料の製造方法。
(4) フッ素樹脂(B)がポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロプロピレン共重合体、またはエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体である上記(3)記載の凹凸模様形成性粉体塗料の製造方法。
(5) 上記(1)または(2)記載の凹凸模様形成性粉体塗料を被塗物に塗布し、フッ素樹脂(B)の溶融温度より5℃以上低い温度で塗膜形成樹脂(A)を加熱硬化させて、中心線平均粗さ(Ra)が2〜20μm、10点平均粗さ(Rz)が10〜100μm、1cmあたりのピーク数(Pc)が10〜40個の凹凸模様の塗膜を形成する塗膜の形成方法。
(6) 上記(1)または(2)記載の凹凸模様形成性粉体塗料を被塗物に塗布し、フッ素樹脂(B)の溶融温度より5℃以上低い温度で塗膜形成樹脂(A)を加熱硬化させて、中心線平均粗さ(Ra)が2〜20μm、10点平均粗さ(Rz)が10〜100μm、1cmあたりのピーク数(Pc)が10〜40個の凹凸模様の塗膜を形成した塗装物。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で使用される塗膜形成樹脂(A)は常温で固体であり、加熱溶融することにより硬化する熱硬化型の樹脂が制限なく使用できる。塗膜形成樹脂(A)としては、従来から粉体塗料用として用いられている公知の熱硬化型樹脂を用いることができる。例えば、主体樹脂と硬化剤とを含む硬化剤既含有型の樹脂、硬化剤後添加型の樹脂、および加熱により架橋が形成される2種以上の架橋反応基を1分子内に有する自己架橋型樹脂のいずれのものでも使用できる。なお本明細書においては、塗膜形成に硬化剤が用いられる場合、塗膜形成樹脂(A)は主体樹脂および硬化剤の両者を合せたものを意味する。
【0010】
塗膜形成樹脂(A)を構成する主体樹脂としてはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂などがあげられる。また硬化剤としてはメラミン樹脂、グリシジル化合物、ブロックイソシアネート化合物、イソシアネート化合物、ウレトジオン化合物、ヒドロキシアルキルアミド化合物、アルキルアミド化合物、アミド化合物、アミン化合物、多塩基酸化合物、酸無水化合物、ヒドラジン化合物、フェノール化合物、およびそれらの重合体などがあげられる。これらの主体樹脂と硬化剤とは、塗膜に要求される性質に応じて任意に組み合せて使用される。
【0011】
塗膜形成樹脂(A)として用いられる主体樹脂と硬化剤との具体的な組合せとしては、主体樹脂がポリエステル樹脂の場合、硬化剤としてはメラミン樹脂、グリシジル化合物、ブロックイソシアネート化合物、ウレトジオン化合物およびヒドロキシアルキルアミド化合物などからなる群から選ばれる少なくとも一種の硬化剤が用いられる。また主体樹脂がエポキシ樹脂の場合、硬化剤としてはアミン化合物、多塩基酸化合物、酸無水化合物、ヒドラジン化合物およびフェノール化合物などからなる群から選ばれる少なくとも一種の硬化剤が用いられる。
【0012】
また主体樹脂がアクリル樹脂の場合、硬化剤としてはグリシジル化合物、ブロックイソシアネート化合物、ウレトジオン化合物、ヒドロキシアルキルアミド化合物、多塩基酸化合物および酸無水化合物などからなる群から選ばれる少なくとも一種の硬化剤が用いられる。また主体樹脂がフッ素樹脂の場合、硬化剤としてはメラミン樹脂、グリシジル化合物、ブロックイソシアネート化合物、ウレトジオン化合物、ヒドロキシアルキルアミド化合物、多塩基酸化合物および酸無水化合物などからなる群から選ばれる少なくとも一種の硬化剤が用いられる。
塗膜形成樹脂(A)は一種単独で使用することもできる、二種以上を組み合せて使用することもできる。
【0013】
本発明で用いられるフッ素樹脂(B)としては、フッ素樹脂(B)中にフッ素原子を10〜85重量%、好ましくは40〜80重量%含有するものが制限なく用いられるが、塗膜形成樹脂(A)の溶融温度および塗膜形成樹脂(A)の硬化温度において溶融しないフッ素樹脂が選択される。塗膜形成樹脂(A)の溶融温度とは塗膜形成樹脂(A)が軟化して流動化する温度である。上記塗膜形成樹脂(A)の硬化温度とは、塗膜形成樹脂(A)の硬化反応が行われる温度であり、焼付け温度に相当する。
フッ素樹脂(B)は溶融温度が150〜340℃、好ましくは170〜330℃のものを用いる
【0014】
なおフッ素樹脂(B)に融点が存在しない、すなわち溶融しないものも使用することができ、この場合は塗膜形成樹脂(A)の硬化温度では分解しないものが選択される。また塗膜形成樹脂(A)を2種以上使用する場合は、その中で最も高い硬化温度において溶融しないフッ素樹脂(B)を組み合せて用いる。
フッ素樹脂(B)は本発明の凹凸模様形成性粉体塗料中において骨材として用いられ、凹凸模様の形成をなすものである。
【0015】
フッ素樹脂(B)を構成するフッ素含有単量体の種類は特に限定されるものではない。またフッ素含有単量体の単独重合体であってもよく、2種以上のフッ素含有単量体の共重合体であってもよく、またはフッ素含有単量体とフッ素を含有しない他の単量体との共重合体であってもよい。
【0016】
フッ素含有単量体の例としてはテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ペルフルオロプロピレン、ペルフルオロアルキルビニルエーテルなどがあげられる。
フッ素を含有しない他の単量体としては、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィンなどがあげられる。
【0017】
フッ素樹脂(B)の具体的なものとしては、ポリテトラフルオロエチレン(フッ素含有量=76重量%、融点=327℃)、ポリクロロトリフルオロエチレン(フッ素含有量=49重量%、融点=220℃)、ポリフッ化ビニリデン(フッ素含有量=59重量%、融点=156〜178℃)、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロプロピレン共重合体(フッ素含有量=76重量%、融点=275℃)、またはエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(エチレン/テトラフルオロエチレンのモル比が1/1の場合のフッ素含有量=59重量%、融点=270℃)などがあげられる。なお上記フッ素樹脂(B)のフッ素含有量は構造式から算出される値であり、融点は公知の方法で重合された重合体の一例である。
【0018】
フッ素樹脂(B)としては市販品を使用することもできる。市販品の代表的なものとしては、例えばDYNEON TFシリーズ(商品名:DYNEON社製)、DYNEON TFMシリーズ(商品名:DYNEON社製)、FLUOシリーズ(商品名:MICRO POWDERS,INC.製)などをあげることができる。
【0019】
フッ素樹脂(B)は有色、無色問わず所望とする色調に応じて、任意のものをを使用することができる。また1種類単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合せて用いてもよい。また従来の凹凸模様を与える組成物やメタリック調を与える組成物と組み合せてもよい。
【0020】
本発明の凹凸模様形成性粉体塗料におけるフッ素樹脂(B)の含有量は、塗膜形成樹脂(A)100重量部に対して0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部の割合である。フッ素樹脂(B)の含有量が15重量部の割合を越えてもテクスチュア調の模様が得られる場合もあるが、加工性および塗膜の物性低下が生じる。一方、0.01重量部未満では模様の均一性に乏しい塗膜となる。
【0021】
本発明の凹凸模様形成性粉体塗料では塗膜形成樹脂(A)がフッ素樹脂(B)に融着した粉体塗料である。このような粉体塗料は、塗膜形成樹脂(A)がその硬化温度より低い温度で溶融し、フッ素樹脂(B)は溶融しない状態で両者を混合し、冷却により固化させ粉砕して得られる粉体塗料であり、塗膜形成樹脂(A)とフッ素樹脂(B)とが融着した状態の粉体から構成される。
【0022】
塗膜形成樹脂(A)とフッ素樹脂(B)とが融着していない場合、例えば塗膜形成樹脂(A)の粒子とフッ素樹脂(B)の粒子との単純な粉体の混合物の場合、テクスチュアー調模様を形成することはできない。また保存、運搬または塗装作業中に塗膜形成樹脂(A)とフッ素樹脂(B)とが分離することもない。
【0023】
本発明の凹凸模様形成性粉体塗料は塗膜形成樹脂(A)およびフッ素樹脂(B)の他に、必要に応じて塗膜形成樹脂(A)100重量部に対して0.01〜100重量部の割合で顔料を配合することができる。顔料としては二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料;タルク、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム等の体質顔料;シアニンブルー、アゾ顔料等の有機顔料;メタリックやパール顔料などがあげられる。
【0024】
また本発明の凹凸模様形成性粉体塗料には、本発明の目的を損なわない範囲で、従来の粉体塗料に配合されている公知の硬化促進剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の改質剤、または他の添加剤、あるいは従来の凹凸模様を与える組成物やメタリック調を与える組成物などを他の成分として配合することもできる。他の成分の配合量は顔料を除く合計の配合量として、塗膜形成樹脂(A)100重量部に対して0.01〜30重量部の割合とするのが好ましい。
【0025】
本発明の凹凸模様形成性粉体塗料は、塗膜形成樹脂(A)100重量部に対してフッ素樹脂(B)を0.01〜20重量部の割合で添加し、さらに必要により添加する他の成分を添加した後、塗膜形成樹脂(A)をその硬化温度未満の温度、好ましくは硬化温度より20℃以上低い温度で加熱溶融させて混合し、次に冷却したのち粉砕することにより製造することができる。塗膜形成樹脂(A)を加熱溶融させて混合する前に、ドライブレンダーなどで各成分を混合することもできる。このような製造方法により、塗膜形成樹脂(A)がフッ素樹脂(B)に融着している本発明の凹凸模様形成性粉体塗料を容易に効率よく得ることができる。
【0026】
本発明の凹凸模様形成性粉体塗料の好ましい製造は、塗膜形成樹脂(A)、ならびに必要により配合される顔料および添加剤等の混合物中にフッ素樹脂(B)を所定量添加してドライブレンダーで混合した後、押出混練機、一軸または二軸エクストルーダー等を用いて塗膜形成樹脂(A)の溶融する温度範囲であって硬化しない温度範囲、通常80〜120℃で溶融混練を行い、ペレット状とした後冷却する。冷却後に得られる固体を衝撃粉砕機、気流式粉砕機等により粉砕、好ましくは微粉砕することにより凹凸模様形成性粉体塗料を製造することができる。また粉砕後に、分級することもできる。
【0027】
ここでフッ素樹脂(B)を塗膜形成樹脂(A)の溶融状態で混合することなく、例えば粉砕時、または分級時にフッ素樹脂(B)を添加して粉体状態で混合しても、塗膜形成樹脂(A)がフッ素樹脂(B)に融着した本発明の凹凸模様形成性の粉体塗料を得ることはできない。
【0028】
本発明の凹凸模様形成性粉体塗料を用いた塗膜の形成方法は、前記本発明の凹凸模様形成性粉体塗料を静電吹付法、摩擦帯電吹付法、流動浸漬法または静電流動浸漬法などの公知の粉体塗料における塗装方法により被塗物に塗布し、その後フッ素樹脂(B)の溶融温度未満の温度で、塗膜形成樹脂(A)を加熱溶融させて硬化させることにより、塗膜を形成する方法である。このような方法により、均一かつ緻密かつ微細な凹凸模様を有する塗膜を形成させることができ、これにより優れた意匠性とソフトな手触り感を有する凹凸模様を有する塗膜を形成することができる。本発明の凹凸模様形成性粉体塗料から形成される塗膜は、従来の凹凸模様粉体塗料では得られない均一かつ緻密かつ微細な凹凸模様を有する塗膜である。
【0029】
被塗物としては塗膜形成時における加熱硬化条件に耐え得るものであれば、材質および形状は特に制限はなく、任意の被塗物に塗装を行うことができる。このような被塗物の材質としては、例えば0.2〜2mm厚程度の鋼板、亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム板、マグネシウム合金、ステンレス鋼板等の金属板、硝子、セラミック、それらの成形品などをあげることができる。
【0030】
本発明の凹凸模様形成性粉体塗料の硬化温度(焼付温度)は、塗膜形成樹脂(A)の硬化反応温度以上の温度であって、かつフッ素樹脂(B)の溶融温度未満の温度で行う。通常、熱硬化型の粉体塗料の硬化反応温度(架橋温度)は120〜280℃であるので、この温度で硬化が行われる。この場合、硬化温度はフッ素樹脂(B)の溶融温度よりも5℃以上、好ましくは10℃以上低いのが望ましい。フッ素樹脂(B)を2種類以上使用している場合は、上記フッ素樹脂(B)の溶融温度は最も溶融温度が低いフッ素樹脂(B)の溶融温度である。またフッ素樹脂(B)の溶融温度に幅がある場合は低い側の溶融温度である。このような硬化温度を選択することにより、容易にテクスチュアー調模様の塗膜を得ることができる。硬化温度を高くすると硬化処理の時間を短縮することができるので、硬化温度を高くする場合には溶融温度のより高いフッ素樹脂(B)を塗膜形成樹脂(A)と組合せて使用する。
【0031】
本発明の凹凸模様形成性粉体塗料を被塗物へ塗装するには、市販の静電塗装機(荷電圧:−50〜−100kV)やその他粉体塗装法により均一に塗装した後、熱風焼付炉、赤外炉、誘導加熱炉等で加熱溶融し硬化させて塗膜を形成する。加熱硬化の条件としては、塗膜形成樹脂(A)の種類や塗料の配合組成にもよるが、通常、被塗物の温度が120〜280℃で1〜30分間、好ましくは150〜250℃で3〜20分間が適当である。
【0032】
塗装膜厚としては特に制限にはないが、通常、平均膜厚で20〜100μm、好ましくは30〜80μmの塗膜厚とする。このようにして塗装することにより、塗膜硬度が硬く、しかも耐食性等の塗膜性能に優れ、かつ均一かつ緻密かつ微細な凹凸模様を有し、優れた意匠性を有するテクスチュア調模様の塗膜が形成される。
【0033】
本発明の凹凸模様形成性粉体塗料の塗装によりテクスチュア調模様の塗膜が形成される理由は明らかではないが、塗膜形成樹脂(A)の硬化温度において溶融しないフッ素樹脂(B)が表面張力の関係で塗膜表面に集まり、そのため塗料の溶融粘度が高い状態で硬化するため膜厚に大きく左右されることなく、微細な凹凸模様を形成するためであると推測される。
【0034】
このようにして形成される塗膜が均一かつ緻密かつ微細な凹凸模様を有していることは、中心線平均粗さ(Ra)、10点平均粗さ(Rz)および1cmあたりのピーク数(Pc)を指標にして示すことができる。
すなわち、本発明の凹凸模様形成性粉体塗料を用いて前記方法により硬化塗膜を形成することにより、中心線平均粗さ(Ra)が2〜20μm、好ましくは3〜9μm、10点平均粗さ(Rz)が10〜100μm、好ましくは15〜55μm、1cmあたりのピーク数(Pc)が5〜40個、好ましくは10〜35個の均一かつ緻密かつ微細な凹凸模様を有している塗膜を容易に形成することができる。
【0035】
上記中心線平均粗さ(Ra)および10点平均粗さ(Rz)は模様の高さを表現するもので次の値である。また1cmあたりのピーク数(Pc)は凹凸の緻密さを表現するもので次の値である。
Ra:平均線からの絶対値偏差の平均値。
Rz:基準長さ毎の凸部の高い方から5点の絶対値の平均値と、凹部の低い方から5点の絶対値の平均値との和。
Pc:中心線に平行な二本のカウントレベルを設け、下側のカウントレベルと曲線の交差する2点間において、上側のカウントレベルと曲線が交差する点が1点以上ある場合に1山(ピーク)とし、1cm当たりの山(ピーク)の数。
【0036】
上記中心線平均粗さ(Ra)は表面粗度計、例えば(株)ミツトヨ製サーフテスト301(商標)により測定することができる。
また10点平均粗さ(Rz)は表面粗度計、例えば(株)ミツトヨ製サーフテスト301(商標)により測定することができる。
また1cmあたりのピーク数(Pc)は表面粗度計、例えば(株)ミツトヨ製サーフテスト301(商標)により測定することができる。
【0037】
このようなテクスチュア模様が形成された塗膜を有する被塗物は、優れた意匠性を有するとともにソフトな手触り感を有し、しかも塗膜硬度が硬く、かつ耐食性などの塗膜性能にも優れているので、自動車のボディおよび部品;テレビ、オーディオ等の家電製品;パソコン、プリンター等のOA機器;電話機、携帯電話等の電気、通信機器;ポール、防音壁等の道路資材;建物の内壁、柱巻、ルーフ、間仕切り板等の建材;パイプ、継手、金属機械、ゴミ入れ、小物入れ、スチール家具、スチール机、飲料缶といった鉄、亜鉛メッキ鋼、ステンレス、アルミニウム、マグネシウムおよびそれらの合金等の金属製品;ガラス、木材、石こうボート、ガラス繊維等を原料とする織物、耐熱紙、150℃以上の耐熱を有するプラスチックス、これらの印刷物または着色物などの分野で使用することができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明の凹凸模様形成性粉体塗料は、特定の塗膜形成樹脂および特定のフッ素樹脂を特定量含有し、しかも両成分は特定の方法で製造されることにより融着し、特定の塗膜を形成するように構成されているので、均一かつ緻密かつ微細で優れた意匠性とソフトな手触り感を有する凹凸模様が形成されるとともに、塗膜硬度が硬く、しかも塗膜性能に優れた塗膜が形成される。
本発明の凹凸模様形成性粉体塗料の製造方法は、特定の塗膜形成樹脂に特定のフッ素樹脂を添加した後、塗膜形成樹脂をその硬化温度より20℃以上低い温度で加熱溶融させて混合し、次に冷却したのち粉砕し特定の塗膜を形成するように構成されているので、上記凹凸模様形成性粉体塗料を簡単に効率よく製造することができる。
【0039】
本発明の塗膜の形成方法は、上記凹凸模様形成性粉体塗料から塗膜を形成するに際して、フッ素樹脂の溶融温度より5℃以上低い温度で塗膜形成樹脂を硬化させて特定の塗膜を形成するように構成されているので、均一かつ緻密かつ微細で優れた意匠性とソフトな手触り感を有する凹凸模様を形成することができるとともに、塗膜硬度が硬く、しかも塗膜性能に優れた塗膜を形成することができる。
本発明の塗装物は上記塗膜が形成されているので、意匠性に優れ、ソフトな手触り感および織物調の手触り感を有している。
【0040】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0041】
実施例1〜4
表1に示した成分を、ドライブレンダー(商品名;ヘンシェルミキサー、三井三池化工機株式会社製)により約1分間均一に混合し、次に80〜100℃の温度条件で押出混練機(商品名;ブスコニーダーPR46、ブス社製)を用いて溶融混練し、塗膜形成樹脂(A)をフッ素樹脂(B)に融着させた。冷却後ハンマー式衝撃粉砕機で微粉砕した後、100メッシュの金網で分級することにより凹凸模様形成性粉体塗料を製造した。
【0042】
得られた粉体塗料を、−80kV荷電で静電吹付法によりマグネシウム合金製の金属板に塗装した。次いで表2に示した焼付条件において加熱硬化させた後、塗膜外観および塗膜物性について評価を行った。結果を表2に示す。また得られた塗膜について、(株)ミツトヨ製サーフテスト301(商標)を用いて表面粗さ曲線を下記測定条件で求めた。図1〜図4に示す。
縦軸:1目盛り10μm
横軸:1区間2.5mm
基準長さカットオフ:2.5mm
ピークカウントレベル:2.5μm
【0043】
【表1】
Figure 0003876575
【0044】
表1の注
*1 P−3450:ポリエステル樹脂、酸価=35mgKOH/g、DSMResins社製、商標
*2 M−8120:ポリエステル樹脂、水酸基価=30mgKOH/g、大日本インキ化学工業(株)製、商標
*3 EP1002:エポキシ樹脂、エポキシ当量=650g/eq.、SHELL Chemicals社製、商標
*4 B1530:アダクト体イソシアネート硬化剤、イソシアネート当量=280g/eq.、CREANOVA社製、商標
*5 モダフロー:レベリング剤、MONSANT社製、商標
*6 ブタフロー:硬化促進剤、ESTRON Chemical Inc.製、商標
*7 TF1645:DYNEON TF1645、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素含量=76重量%、融点=320℃、DYNEON社製、商標
*8 TF1750:DYNEON TF1750、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素含量=76重量%、融点=320℃、DYNEON社製、商標
*9 FLUO 625F :ポリテトラフルオロエチレン、フッ素含量=74重量%、融点=316℃、MICRO POWDERS INC.製、商標
【0045】
【表2】
Figure 0003876575
【0046】
表2の注
*1 B成分の配合割合:A成分100重量部に対するB成分の重量部。
*2 塗膜模様:均一かつ緻密かつ微細な凹凸模様が形成されることにより、意匠性とソフトな手触り感を有する塗膜(すなわちテクスチュアー調模様)が形成されたか否かを、肉眼観察により判定した。
良好:テクスチュアー調模様が形成された。
不均一:凸部が独立し、不均一な模様が形成された。
*3 Ra(中心線平均粗さ):(株)ミツトヨ製サーフテスト301(商標)により求めた。
*4 Rz(10点平均粗さ):(株)ミツトヨ製サーフテスト301(商標)により求めた。
*5 Pc(ピークカウント):(株)ミツトヨ製サーフテスト301(商標)により求めた。
*6 エリクセン値: JIS K5400 8.2.2破断距離法に準じて行った。
*7 耐衝撃性:JIS K5400 8.3.2デュポン式に準じて行った。
*8 屈曲性試験:JIS K5400 8.1に準じて行った。
*9 耐塩水噴霧性:JIS K5400 9.2に準じて、塗膜表面にクロスカットを行った後、300時間連続で試験を行った。カット面上でテープはく離を行い、カット中心線からはく離した幅の最大値をはく離距離として測定し、耐塩水噴霧性の指標とした。
*10 鉛筆硬度:JIS K5400 8.4.2に準じて行った。
【0047】
実施例1および2はフッ素樹脂(B)として融点が320℃のポリテトラフルオロエチレンを異なる重量部用いたハイブリッド系粉体塗料、実施例3はフッ素樹脂(B)として融点が316℃以上のポリテトラフルオロエチレンを用いたウレタン系粉体塗料、実施例4は融点が異なるポリテトラフルオロエチレンを2種用いたウレタン系粉体塗料である。
【0048】
表2からわかるように、実施例1〜4のいずれの凹凸模様形成性粉体塗料においても、塗装された塗膜はテクスチュア調の模様が被塗物上に形成され、優れた意匠性と共に良好な塗膜物性を示す塗膜が得られた。
【0049】
比較例1〜2
表3に示した成分を用いて、実施例1〜4と同じ方法により粉体塗料を製造し、実施例1〜4と同じ方法により塗装を行った。次いで表4に示した焼付条件において加熱硬化させた後、塗膜外観および塗膜物性について評価を行った。結果を表4、図12および図13に示す。
【0050】
比較例3
表3に示したフッ素樹脂以外の成分をドライブレンダー(商品名;ヘンシェルミキサー、三井三池化工機株式会社製)により約1分間均一に混合し、次に80〜100℃の温度条件で押出混練機(商品名;ブスコニーダーPR46、ブス社製)を用いて溶融混練を行い、冷却後表3に示したフッ素樹脂を添加してハンマー式衝撃粉砕機で微粉砕した後、100メッシュの金網で分級することにより粉体塗料を製造した。
得られた粉体塗料は、実施例1〜4と同じ方法により塗装を行った。次いで表4に示した焼付条件において加熱硬化させた後、塗膜外観および塗膜物性について評価を行った。結果を表4に示す。
【0051】
比較例4
比較例3と同様にフッ素樹脂以外の成分を溶融混練を行い、冷却後にハンマー式衝撃粉砕機で微粉砕した。その後、フッ素樹脂を添加してから100メッシュの金網で分級することにより粉体塗料を製造した。
得られた粉体塗料は、実施例1〜4と同じ方法により塗装を行った。次いで表4に示した焼付条件において加熱硬化させた後、塗膜外観および塗膜物性について評価を行った。結果を表4に示す。
【0052】
【表3】
Figure 0003876575
*1 表1参照
*3 表1参照
*5 表1参照
*7 表1参照
*10 SYNFLUO 180VF :ポリテトラフルオロエチレン樹脂、フッ素含量=76重量%、融点=104〜110℃、MICRO POWDERS INC.製、商標
【0053】
【表4】
Figure 0003876575
【0054】
比較例1、2はフッ素樹脂として硬化温度より融点が低いポリテトラフルオロエチレンを異なる重量部用いた粉体塗料である。表4からわかるように、比較例1、2の粉体塗料ではいずれの塗膜も目的とするテクスチュア調模様は得られなかった。また比較例3、4の粉体塗料では、いずれも塗装中に吹きムラを生じ、目的とするテクスチュア調模様は得られず、塗膜物性の低下も認められた。
【0055】
実施例5〜11
表5または表7に示した成分を用いて、実施例1〜4と同じ方法により凹凸模様形成性粉体塗料を製造し、実施例1〜4と同じ方法により塗装を行った。次いで表6または表8に示した焼付条件において加熱硬化させた後、塗膜外観および塗膜物性について評価を行った。結果を表6、表8、図5〜図11に示す。
【0056】
【表5】
Figure 0003876575
【0057】
表5の注
*1 AN720:ポリエステル樹脂、酸価=60mgKOH/g、Vianova Resins社製、商標
*2 GV150:ポリエステル樹脂、水酸基価=34mgKOH/g、日本ユピカ(株)製、商標
*3 DER663U:エポキシ樹脂、エポキシ当量=775g/eq.、Dow Chemicals社製、商標
*4 B1530:アダクト体イソシアネート硬化剤、イソシアネート当量=280g/eq.、CREANOVA社製、商標
*5 モダフロー:レベリング剤、MONSANT社製、商標
*6 ブタフロー:硬化促進剤、ESTRON Chemical Inc.製、商標
*7 PTFE:DYNEON PTFE、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素含量=76重量%、融点=320℃、DYNEON社製、商標
*8 PVdF:ポリフッ化ビニリデン、フッ素含量=59重量%、融点=156〜178℃、elf atochem社製、商標
【0058】
【表6】
Figure 0003876575
【0059】
【表7】
Figure 0003876575
【0060】
【表8】
Figure 0003876575
【0061】
実施例5〜8はフッ素樹脂(B)として融点が320℃のポリテトラフルオロエチレンを異なる重量部用いたハイブリッド系粉体塗料またはウレタン系粉体塗料、実施例9は実施例6のウレタン系粉体塗料の塗膜厚を変えた例、実施例10は実施例6のウレタン系粉体塗料の焼付条件を変えた例、実施例11はフッ素樹脂(B)として融点が156〜178℃のポリフッ化ビニリデンを用いたハイブリッド系粉体塗料である。
【0062】
表6および表8からわかるように、実施例5〜11のいずれの凹凸模様形成性粉体塗料においても、塗装された塗膜はテクスチュア調の模様が被塗物上に形成され、優れた意匠性と共に良好な塗膜物性を示す塗膜が得られた。
【0063】
比較例5、6
表9に示した成分を用いて、実施例1〜4と同じ方法により粉体塗料を製造し、実施例1〜4と同じ方法により塗装を行った。次いで表9に示した焼付条件において加熱硬化させた後、塗膜外観および塗膜物性について評価を行った。結果を表10および図14に示す。
【0064】
【表9】
Figure 0003876575
【0065】
【表10】
Figure 0003876575
【0066】
比較例5はポリテトラフルオロエチレンを多量に配合したポリエステル/ウレタン系粉体塗料、比較例6はフッ素樹脂として硬化温度より融点が低いポリフッ素ビニリデンを用いた粉体塗料である。
表10からわかるように、比較例5では熱可塑性を示すフッ素樹脂成分(B)の比率が高くなるため溶融混練後のハンマー式衝撃粉砕機で粉砕が困難となり、粉体塗料を製造することができなかった。また比較例6では塗膜形成樹脂が硬化するときにフッ素樹脂が溶融してしまい、目的とするテクスチュア調模様は得られなかった。
【0067】
図1〜図11からわかるように、実施例1〜11のいずれの硬化塗膜も凹凸の大小は異なるものの、テクスチュア調凹凸模様が観測された。これに対して、図12〜14(比較例1、2、6)では凹凸模様が観測されなかった。
図1〜3(実施例1〜3)はフッ素樹脂(B)の配合割合の違いによる表面粗さ曲線を示しており、フッ素樹脂(B)の配合割合が多くなるほど凹凸は大きくなる傾向が認められる。また図6〜8(実施例6〜8)についても図1〜3と同じ傾向が認められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた硬化塗膜の表面粗さ曲線を示すグラフである。
【図2】実施例2で得られた硬化塗膜の表面粗さ曲線を示すグラフである。
【図3】実施例3で得られた硬化塗膜の表面粗さ曲線を示すグラフである。
【図4】実施例4で得られた硬化塗膜の表面粗さ曲線を示すグラフである。
【図5】実施例5で得られた硬化塗膜の表面粗さ曲線を示すグラフである。
【図6】実施例6で得られた硬化塗膜の表面粗さ曲線を示すグラフである。
【図7】実施例7で得られた硬化塗膜の表面粗さ曲線を示すグラフである。
【図8】実施例8で得られた硬化塗膜の表面粗さ曲線を示すグラフである。
【図9】実施例9で得られた硬化塗膜の表面粗さ曲線を示すグラフである。
【図10】実施例10で得られた硬化塗膜の表面粗さ曲線を示すグラフである。
【図11】実施例11で得られた硬化塗膜の表面粗さ曲線を示すグラフである。
【図12】比較例1で得られた硬化塗膜の表面粗さ曲線を示すグラフである。
【図13】比較例2で得られた硬化塗膜の表面粗さ曲線を示すグラフである。
【図14】比較例6で得られた硬化塗膜の表面粗さ曲線を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 常温で固体の熱硬化型の塗膜形成樹脂(A)100重量部に対して、フッ素樹脂(B)を0.01〜20重量部の割合で含む粉体塗料であり、
    塗膜形成樹脂(A)の硬化反応温度は120〜280℃であり、
    フッ素樹脂(B)は溶融しないかまたは溶融温度が150〜340℃であって、塗膜形成樹脂(A)の溶融温度および硬化温度において溶融せず、フッ素含有量が10〜85重量%のフッ素樹脂であり、
    塗膜形成樹脂(A)に対してフッ素樹脂(B)を前記の割合で添加して、塗膜形成樹脂(A)の硬化温度より20℃以上低い温度で加熱溶融させ、混合して冷却し、粉砕することにより、塗膜形成樹脂(A)がフッ素樹脂(B)に融着しており、
    フッ素樹脂(B)の溶融温度より5℃以上低い温度で塗膜形成樹脂(A)を加熱硬化させて形成される塗膜が、中心線平均粗さ(Ra)が2〜20μm、10点平均粗さ(Rz)が10〜100μm、1cmあたりのピーク数(Pc)が10〜40個の凹凸模様の塗膜である
    凹凸模様形成性粉体塗料。
  2. フッ素樹脂(B)がポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロプロピレン共重合体、またはエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体である請求項1記載の凹凸模様形成性粉体塗料。
  3. 塗膜形成樹脂(A)100重量部に対してフッ素樹脂(B)を0.01〜20重量部の割合で添加した後、塗膜形成樹脂(A)をその硬化温度より20℃以上低い温度で加熱溶融させて混合し、次に冷却したのち粉砕することにより、塗膜形成樹脂(A)がフッ素樹脂(B)に融着した凹凸模様形成性粉体塗料を製造する方法であって、
    塗膜形成樹脂(A)の硬化反応温度は120〜280℃であり、
    フッ素樹脂(B)は溶融しないかまたは溶融温度が150〜340℃であって、塗膜形成樹脂(A)の溶融温度および硬化温度において溶融せず、フッ素含有量が10〜85重量%のフッ素樹脂であり、
    フッ素樹脂(B)の溶融温度より5℃以上低い温度で塗膜形成樹脂(A)を加熱硬化させて形成される塗膜が、中心線平均粗さ(Ra)が2〜20μm、10点平均粗さ(Rz)が10〜100μm、1cmあたりのピーク数(Pc)が10〜40個の凹凸模様の塗膜である
    凹凸模様形成性粉体塗料の製造方法。
  4. フッ素樹脂(B)がポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロプロピレン共重合体、またはエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体である請求項3記載の凹凸模様形成性粉体塗料の製造方法。
  5. 請求項1または2記載の凹凸模様形成性粉体塗料を被塗物に塗布し、フッ素樹脂(B)の溶融温度より5℃以上低い温度で塗膜形成樹脂(A)を加熱硬化させて、中心線平均粗さ(Ra)が2〜20μm、10点平均粗さ(Rz)が10〜100μm、1cmあたりのピーク数(Pc)が10〜40個の凹凸模様の塗膜を形成する塗膜の形成方法。
  6. 請求項1または2記載の凹凸模様形成性粉体塗料を被塗物に塗布し、フッ素樹脂(B)の溶融温度より5℃以上低い温度で塗膜形成樹脂(A)を加熱硬化させて、中心線平均粗さ(Ra)が2〜20μm、10点平均粗さ(Rz)が10〜100μm、1cmあたりのピーク数(Pc)が10〜40個の凹凸模様の塗膜を形成した塗装物。
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