JP3870680B2 - 有機ランタノイド錯体を含有する蛍光性印刷用インク - Google Patents

有機ランタノイド錯体を含有する蛍光性印刷用インク Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は蛍光性を有する印刷用インクに関する。本発明の印刷用インクは有機ランタノイド錯体を含有するので優れた輝度と色純度を有し、長期保存安定性に優れ、しかも水性溶媒を使用すれば対環境安全性に優れたものとなる。また、汎用の水銀灯による紫外線励起で発光し、しかも該励起波長と発光波長とが大きく隔たることを特徴とするので、例えばマネーカードや紙幣など複製防止の必要のある印刷物の真偽を携帯水銀灯の照射で容易に目視検出する偽造検出印刷等、蛍光を利用する各種印刷用途に有用である。
【0002】
【従来の技術】
ランタノイド陽イオンは、特有のf軌道電子の遷移に基づく波長幅の狭い蛍光やミリ秒に及ぶ長い蛍光寿命に特徴のある発光物質である。発光帯波長幅が狭いことは、実用的には色純度の良い発光材料であることを意味する。こうした特徴により蛍光性ランタノイド錯体は、例えば蛍光免疫分析や細胞マーカー等の生物学的分析における発光試薬として利用されている。
【0003】
ランタノイド陽イオンが芳香環を有する有機配位子により増感され高い蛍光能を獲得することは、例えばJ.Yuanら;Analytical Sciences February 1996,12巻,31頁(1996)等で良く知られている。また、特にポリベンジルエーテルデンドロンを配位子とするランタノイド3価陽イオン錯体において、該デンドロンがTb3+やEu3+等を非常に強く増感してその蛍光能を大きく向上させることが、「アンテナ効果」としてM.Kawaら;Chem.Mater.,10巻,286頁(1998)に報告されている。かかる有機配位子による増感は、通常、紫外線の有機配位子による吸収、次いで該紫外線のエネルギーのランタノイド陽イオンへの伝達による可視〜近赤外波長領域での蛍光発生、なる機構で起こる。
【0004】
かかる特徴ある発光能を微粒子状物体に持たせた発光性微粒子は、これを懸濁させた懸濁液等、一般に、応用上非常に幅広い興味が持たれるので、有機ランタノイド錯体についても、その蛍光能を利用すべく様々な組成物が提案されている。例えばY.Okamotoら;Macromolecules,14巻,17頁(1981)に報告のある合成樹脂マトリクス中に共重合又は分散する方法、T.Jinら;J.Alloys Compd.,252巻,59頁(1997)に報告のあるガラスマトリクス中に分散する方法、あるいは蛍光免疫分析試薬として実用化されている高分子ラテックスへの固定(例えば、特公平1−59546号公報、特開昭61−128168号公報、特開平3−188374号公報、あるいはドイツ国公開公報第2628158号等を参照)等が挙げられる。しかし、いずれの技術もマトリクス物質により有機ランタノイド錯体が原理的に希釈されるため、その蛍光能を最大限に発揮させるものとは言えない。
【0005】
一方、ランタノイド元素をドープした無機蛍光体は、テレビ受像器のブラウン管等の蛍光材料として広く使用されているが、かかる無機蛍光体を水や有機溶媒中に沈殿を生じることなく安定に懸濁させることは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、蛍光能、特に励起波長と蛍光波長とが大きく隔たった色純度の良い蛍光能を有し、かつ静置により沈殿を実質的に生じない長期保存安定性に優れた印刷用インク、該印刷用インクを利用した印刷方法、及び該印刷用インクを使用した印刷面を有する樹脂成形体の提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の現状に鑑み、蛍光性有機ランタノイド錯体自体を極めて安定に溶媒に溶解あるいは懸濁させる方法について鋭意系統的な検討を行った結果、特に芳香族デンドロンを配位子とするランタノイド錯体が極めて高い輝度と有機溶媒への優れた溶解性を有すること、及び界面活性剤の存在する水中で有機ランタノイド錯体を衝撃力により力学的に破砕することにより該錯体自体が極めて安定に懸濁しかつ発光能を保持した水性懸濁液を得ること、更に印刷用インク中にラジカル重合等の重合性成分を配合しこれを重合せしめることで印刷耐久性等の印刷品質を向上可能であることを見出して本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明の要旨は、
(1)有機ランタノイド錯体を含有する印刷用インクであって、該有機ランタノイド錯体が、繰り返し単位に芳香族ポリエーテルを有する芳香族デンドロンを配位子として含有するものであることを特徴とする印刷用インク
(2)界面活性剤の存在下、水性溶媒中に分散した有機ランタノイド錯体を力学的粉砕により懸濁安定化せしめることを特徴とする前記の印刷用インクの製造方法、
(3)前記の印刷用インク中の重合性成分を重合せしめる工程を含むことを特徴とする印刷方法、及び、
(4)前記の印刷用インクを使用した印刷面を有することを特徴とする樹脂成形体、
の4点に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につきさらに詳細に説明する。
<印刷用インク>
本発明の印刷用インクは、有機ランタノイド錯体を蛍光種として含有し、該錯体が静置による沈殿を実質的に生じない溶解状態あるいは懸濁安定化状態にあるものである。
【0010】
本発明における「懸濁」した状態とは、前記の水性溶媒中で、微粒子(固相)が水性溶媒相(液相)に存在する分子の物理化学的作用(例えば、分子の熱運動、溶媒和効果、ミセル形成能等)により、重力による沈殿性粗大粒子を生成しない状態を意味する。従って、目視あるいは顕微鏡的に微粒子の存在が確認されていても、静置により該微粒子が重力により沈降して沈殿を生じない分散状態がここで言う懸濁した状態に他ならない。
【0011】
本発明における「懸濁安定化」とは、重力による沈殿を、23℃付近の室温静置条件において十分に攪拌された状態から48時間以内に生成しないことを意味する。
後述するような界面活性剤により懸濁安定化された本発明の印刷用インクに好ましく使用される水性懸濁液は、化学的に過酷な保存条件(例えば60℃以上等の極端な高温、直射日光等の光線暴露、酸やアルカリの混入、等)を避ければ、実質的に沈殿を生成しないものであり、前記の静置条件において沈殿を生成しない時間は具体的には、好ましくは168時間(7日)以上、より好ましくは740時間(約1ヶ月)以上、更に好ましくは4400時間(約半年)以上、最も好ましくは8800時間(約1年)以上である。該静置条件において48時間以内に沈殿を生じる懸濁液は、実用上保存安定性に優れたものとは言い難いので、本発明の目的に合致しない。
【0012】
本発明の目的達成を著しく損なわない限りにおいて本発明の水性懸濁液には、任意の添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、あるいは光安定剤等の安定剤類、ガラス繊維、ガラスビーズ、マイカ、タルク、カオリン、粘土鉱物、炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、金属繊維、金属粉等のフィラー類、着色剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、基板との接着性を改善する接着剤等の添加剤類、ゴムやエラストマー等の耐衝撃性付与剤、熱可塑性樹脂等、必要に応じて任意の添加物を混合することも可能である。以下、主な添加剤について説明を加える。
【0013】
本発明の印刷用インクが特に水性溶媒を使用している場合には、粘度調整や保湿性向上等の目的で適当な水溶性高分子を添加しても構わない。かかる水溶性高分子としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体、グリセリンをベースにしたポリオキシエチレンオキシプロピレントリオール(即ち、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック共重合体とグリセリンの3つの水酸基がエーテル結合したもの、または該共重合体がランダム共重合体であるもの)、ビニルアセタール樹脂(ポリビニルアルコールにホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等の低級アルデヒドを反応させて製造され、ポリ酢酸ビニルとポリビニルアセタールとポリビニルアルコールがランダムに配列する組成を有する)等が例示され、これらは複数種混合して用いても良い。かかる水溶性高分子の添加量は、本発明の印刷用インク中、通常0.1〜15重量%程度とする。
【0014】
本発明の印刷用インクに添加される着色剤として、顔料、染料のどちらでも使用可能である。顔料としては公知の有機顔料あるいは無機顔料を単独又は混合して使用することができ、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ・チオインジゴ系、ベリノン・ベリレン系、イソインドレノン系、アゾメチレンアゾ系などの有機顔料や、カーボンブラック、マイカ、チタン白、パール顔料、酸化鉄・アルミニウム粉・真鍮等金属顔料などの無機顔料を用いることができる。これらの顔料は通常、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、及びそれらの金属塩・アンモニウム塩・アミン塩など、あるいはこれらを他の公知の樹脂などに練り込んで加工顔料としておくと、インクに混合する際に容易に分散するので便利な場合がある。また、既に分散剤中に顔料を練り込んである市販の加工顔料を用いてもよい。これらの顔料は色合いを勘案しながら単独又は混合して使用でき、本発明の印刷用インク中、通常1〜30重量%程度添加する。染料として、モノアゾ系、ジスアゾ系、金属錯塩型モノアゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系、トリアリルメタン系など公知のものを添加しても良い。
【0015】
本発明の印刷用インクには、アクリル樹脂粉末、アクリル樹脂水溶液、アクリル樹脂コロイダルディスパージョン、アクリル樹脂エマルジョン、及び体質顔料等をチキソトロピー性付与剤兼顔料分散剤として配合することができる。
本発明の印刷用インクを紙や木材等の親水性基材に塗布した場合の浸透補助剤として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテルを少量配合してもよい。
【0016】
<有機ランタノイド錯体>
本発明に用いられる有機ランタノイド錯体とは、ランタノイド陽イオンと有機配位子とを構成成分とする錯体である。そして、該配位子の増感作用(配位子を励起する光のエネルギーによりランタノイド陽イオンが発光する現象)を示す錯体であることが望ましい。
【0017】
有機ランタノイド錯体が溶剤溶解性を有する場合には後述する溶液型インクの材料として特に好適である。溶剤溶解性に優れる有機配位子として、後述するデンドロンが挙げられる。
また、後述する力学的破砕により得られる破砕微粒子が高輝度で発光する場合には後述する懸濁液型インクの材料として特に好適であるので、発光能上望該錯体は励起や発光の波長領域での光学的透明性を有するものであることが特に望ましい。但し、光学的透明性が不十分な有機ランタノイド錯体においても、少なくとも該破砕微粒子表層での発光が期待されるので、本発明の懸濁液型インクの目的をある程度達成可能な蛍光材料であることは言うまでもない。
【0018】
ここで言うランタノイド陽イオンとしては、Ce3+,Pr3+,Nd3+,Nd4+,Sm2+,Sm3+,Eu2+,Eu3+,Tb3+,Dy3+,Dy4+,Ho3+,Er3+,Tm2+,Tm3+,Yb2+,Yb3+等が挙げられ、中でも、Pr3+,Nd3+,Sm3+,Eu3+,Tb3+,Dy3+,Ho3+,Er3+,Tm3+,Yb3+等の3価陽イオンは、可視〜近赤外領域、長い寿命、狭い波長幅等の特徴を持つ蛍光を発することから好適であり、中でもSm3+,Eu3+,Tb3+,Dy3+,およびTm3+が更に好適であり、Eu3+およびTb3+が発光強度の点で最も好適である。
【0019】
一方、ここで言う有機配位子とは炭素原子を含有する配位子であり、その化学構造には特に制限はないが、増感作用の点でカルボキシレート基又はβ−ジケトネート基を配位構造として有するものが好適である。これらの配位子とランタノイド陽イオンとの組み合わせに特に制限はないが、本発明において発光特性の点から好適な組み合わせは、Tb3+とEu3+に対するカルボキシレート基を有する配位子、およびEu3+に対するβ−ジケトネート基を有する配位子が挙げられる。その他の有機配位子あるいは有機配位構造としては、水酸基、ケトン基、エーテル基等の酸素含有官能基、青酸イオン(CN-)やニトリル基、ピリジン環、トリアジン環、アミノ基等の窒素含有官能基、メルカプト基(又はチオール基:−SH)、チオフェン環、チオシアン酸イオン(SCN-)、チオシアヌル酸残基等の硫黄含有官能基等が例示される。
【0020】
本発明に用いられる有機ランタノイド錯体は、無機配位子(例えば塩化物イオンやヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン等の強酸の陰イオン等)を含有していても構わないが、無機配位子の使用は該錯体の発光能の点で不利な場合がある。
【0021】
<好適なカルボキシレート型錯体>
溶剤溶解性と増感効果の点で、本発明の印刷用インクに好適な有機ランタノイド錯体として、デンドロン配位子を含有する錯体が挙げられる。特に、フォーカルポイントにカルボキシレート基を有しかつ繰り返し単位に芳香環を有する芳香族デンドロンを配位子とするものが非常に好適である。
【0022】
本発明におけるデンドロン(Dendron)とは、近年盛んになってきているデンドリマー(Dendrimer:樹枝状規則分岐を有する高分子構造の総称)の研究において、かかる構造単位を持つ分子構築部品という意味で広く用いられる術語と同意であり、例えば、G.R.Newkomeら著の成書;Dendritic Molecules,Concepts・Synthesis・Perspectives(VCH VerlagsgesellschaftmbH;Weinheim,Germany;1996、ISBN:3−527−29325−6)にて用いられている。そして、該分岐構造の開始点(デンドロンを模式的に扇型と見なした場合の扇の要に相当)をフォーカルポイントと称し、分岐の次数を「世代(Generation)」と称する(図1を参照)。本発明におけるデンドロンの分岐点における分岐の本数には制限はないが、通常2本(図1の場合)又は3本であり、好ましくは2本である。なお、本発明においては、分岐点が1つの構造(即ち第1世代)もデンドロンと見なす。
【0023】
本発明に有機配位子として用いられるデンドロンは、その化学構造の繰り返し単位に芳香環を有することが好ましい。これは、該デンドロンが紫外光あるいは可視光を吸収することにより前記の「アンテナ効果」を発揮せしめるためである。ここで芳香環とは、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の炭化水素芳香環、ピリジン環、キノリン環等の含窒素芳香環等を意味する。本発明に好適なデンドロンの構造例として、具体的には、ポリベンジルエーテル等の芳香族ポリエーテル、ポリヒドロキシ安息香酸等の芳香族ポリエステル、芳香族又は半芳香族ポリアミド、芳香族ポリカーボネート(PC)、芳香族ポリエステルカーボネート、芳香族ポリケトン、芳香族ポリエーテルケトン(PEK)、芳香族ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等の芳香族ポリスルフィド、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド等の炭素以外の元素を高分子主鎖に含む芳香族系高分子構造、ポリフェニレン、ポリフェニレンエチニレン、ポリフェニレンエチレン等の炭素−炭素結合で主鎖が構成されている芳香族系共役高分子構造等が挙げられ、このうちポリベンジルエーテル等の芳香族ポリエーテル、ポリヒドロキシ安息香酸等の芳香族ポリエステル等が好ましく、中でもポリベンジルエーテル等の芳香族ポリエーテルがより好ましく、3,5−ジオキシベンジル基を繰り返し単位とする構造(C.J.Hawkerら;J.Chem.Soc.,Chem.Commun.、1010−1013頁(1990)を参照)が最適である。なお、錯体の発光特性を大きく損なわない限りにおいて、これらの複数種の構造が1つのデンドロン中に共存していても差し支えない。
【0024】
また、デンドロンがそのフォーカルポイントに下記式(1)で表される3,5−ジオキシベンゾエート構造を有する場合、発光特性の点でTb3+およびEu3+に対して好適であり、下記式(2)で表される3,4−ジオキシベンゾエート構造を有する場合に、Tb3+に対して特に好適である。
【0025】
【化1】
Figure 0003870680
【0026】
【化2】
Figure 0003870680
【0027】
かかるデンドロンの世代数に特に制限はないが、通常1〜6世代、合成の容易性から好ましくは1〜4世代(発光効果の点で好ましくは2〜4世代)、合成容易性と発光効果のバランスから最も好ましくは1〜3世代とする。
本発明に好適なカルボキシレート錯体の具体的な構造例としては、下記一般式(3)〜(8)において置換基Rが全て水素原子である構造式により表されるポリベンジルエーテルデンドロンを配位子とするランタノイド錯体が挙げられる。
【0028】
【化3】
Figure 0003870680
【0029】
【化4】
Figure 0003870680
【0030】
【化5】
Figure 0003870680
【0031】
【化6】
Figure 0003870680
【0032】
【化7】
Figure 0003870680
【0033】
【化8】
Figure 0003870680
【0034】
但し、前記一般式(3)〜(5)中のLn3+はTb3+またはEu3+を表し、前記一般式(3)〜(8)中のRは水素原子又はビニル基を表す。
前記一般式(3)〜(8)において置換基Rが全て水素原子である例示のうち、一般式(4)または(7)で表される第2世代ポリベンジルエーテルデンドロンカルボキシレートを配位子とする錯体は、合成容易性と輝度のバランス点で非常に好ましく、一般式(3)または(6)で表される第1世代ポリベンジルエーテルデンドロンカルボキシレートを配位子とする錯体は、錯体の単位重量当たりの輝度の点で実用的に非常に有用である。
【0035】
<好適なβ−ジケトネート型Eu3+錯体>
本発明の印刷用インクに好適なEu3+とβ−ジケトネート基を有する配位子により構成される蛍光性の有機ランタノイド錯体は、下記一般式(9)で表されるものである。
【0036】
【化9】
Figure 0003870680
【0037】
但し、一般式(9)において、Rは炭素数6以下のアルキル基または炭素数6以下のフッ化アルキル基を、R’は芳香族基をそれぞれ表す。好適なRとしては、例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基等の分岐を有するアルキル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等の直鎖状パーフルオロアルキル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロイソブチル基等の分岐を有するパーフルオロアルキル基等が挙げられ、より好適なのはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等の直鎖状パーフルオロアルキル基、およびヘプタフルオロイソプロピル基等の炭素数4以下のパーフルオロアルキル基、更に好適なのはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等の炭素数3以下のパーフルオロアルキル基、最も好適なのはトリフルオロメチル基である。一方、好適なR’としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基等の芳香族炭化水素基、チエニル基(又はテノイル基)やフラニル基(又はフロイル基)等の硫黄原子や酸素原子等のヘテロ原子を含有する芳香族基等が挙げられ、中でもフェニル基またはナフチル基がより好適で、ナフチル基が最も好適である。従って、本発明に好適な具体的な構造例としては、下記式(10)で表されるナフチル基を有する構造、あるいは式(10)のナフチル基がフェニル基で置換された構造等が挙げられ、中でも式(10)の化合物(以下、Eu(NTA)3と略記)が最適である。なお、Eu(NTA)3は蛍光免疫分析用蛍光体として使用されており、例えば前記のJ.Yuanら著の文献、あるいはE.P.Diamandis;Clin.Biochem.,21巻,139頁(1988)等に解説されている。
【0038】
【化10】
Figure 0003870680
【0039】
ここで例示したEu3+とβ−ジケトネート基を有する配位子により構成される蛍光性の有機ランタノイド錯体は、後述する懸濁液インクの材料として特に好適である。
<重合性を有する有機ランタノイド錯体>
後述する本発明の重合性インクの材料として、重合性を有する有機ランタノイド錯体は好適である。ここで言う重合性とは、任意の重合形式における重合性を意味し、重合形式としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合、開環重合、縮重合等が例示されるが、特にラジカル重合が好ましい。かかる重合性は、通常、有機配位子に重合性を有する官能基(以下、重合性基と呼ぶ)を導入して付与される。かかる目的に好適なのは、ラジカル重合性基等の重合性基を結合したデンドロンを配位子として含有する有機ランタノイド錯体である。
【0040】
前記のラジカル重合性基としては、芳香環と共役した炭素−炭素多重結合(例えば4−ビニルフェニル基や3−ビニルフェニル基等のスチレン残基、4−プロパルギルフェニル基、あるいはビニルナフタレン残基等の共役炭化水素構造、4−ビニルピリジル基や2−ビニルピリジル基等のビニルピリジン残基等の含窒素芳香環と共役した構造等)、アクリロイル基、メタクリロイル基、あるいはクロトノイル基等のアクリル酸、メタクリル酸、あるいはクロトン酸等の不飽和共役カルボン酸から誘導される共役炭化水素残基、マレイノイル基やフマロイル基等のマレイン酸やフマル酸等の不飽和共役ジカルボン酸から誘導される共役炭化水素残基、アリル基を有する構造(例えば4−アリルフェニル基、4−アリルオキシフェニル基、4−アリルオキシカルボニルフェニル基等)、ビニルエーテル構造やビニルエステル構造を有する構造(例えば4−ビニルオキシフェニル基、4−ビニルオキシカルボニルフェニル基等)が挙げられる。
【0041】
後述する重合性インクにおける重合反応性の点で、前記の重合性基はデンドロンの非フォーカルポイント末端に結合されていることが望ましい。また、1つのデンドロン中でのかかる重合性基の数に制限はないが、重合反応中における過度のゲル化を防ぐために、該重合性基の数は通常1〜8、好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜4、最も好ましくは1〜3の自然数とする。
【0042】
本発明に好適に使用されるラジカル重合性デンドロンを配位子とする有機ランタノイド錯体の具体的な構造例としては、前記一般式(3)〜(8)において置換基Rが全てビニル基である、4−ビニルフェニル基末端を有するポリベンジルエーテルデンドロンを配位子とするランタノイド錯体が挙げられ、これらの中でも前記一般式(4)または(7)で表される第2世代ポリベンジルエーテルデンドロンカルボキシレートを配位子とする錯体は、合成容易性と輝度のバランス点で非常に好ましく、前記一般式(3)または(6)で表される第1世代ポリベンジルエーテルデンドロンカルボキシレートを配位子とする錯体は、錯体の単位重量当たりの輝度の点で実用的に非常に有用である。なお前記一般式(3)〜(8)に例示の構造において、含有される4−ビニルフェニル基末端が、デンドロン構造中の任意の非フォーカルポイント末端に置き換わった異性体が同様のラジカル重合性を有することは言うまでもなく、また1つのデンドロン構造中に前記のように最大3つ程度の4−ビニルフェニル基末端が含有されていても好ましい重合性を発揮する。
【0043】
<溶液型インク>
前記の有機ランタノイド錯体を任意の溶剤に溶解した溶液は、本発明の印刷用インクとして使用可能である。かかる溶液から製造される印刷用インクをここでは「溶液型インク」と呼ぶ。
かかる溶液型インクにおける前記の有機ランタノイド錯体の濃度は、通常0.01〜90重量%、蛍光能、溶解性、及び溶液粘度等の印刷性の点で好ましくは0.1〜75重量%、更に好ましくは1〜60重量%、最も好ましくは5〜40重量%程度とし、かかる濃度で溶解させる限りにおいて該溶液型インクの製造方法に制限はない。
【0044】
かかる溶液型インクに使用される溶剤としては、トルエン、キシレン、スチレン、α−メチルスチレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン(通称THF)、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジエチルエーテル、ベンジルメチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、プロピオン酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル等のカルボン酸エステル類、塩化メチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、sym−テトラクロロエチレン等のハロゲン化アルキル類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(通称DMF)、N−ビニルホルムアミド、N−メチルピロリドン(通称NMP)、N−ビニルピロリドン等の非プロトン性アミド系溶媒、ジメチルスルホキシド(通称DMSO)やジブチルスルホキシド等のスルホキシド類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の低級グリコール類、グリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等の多価アルコール類、あるいは水等が挙げられる。これらの溶剤は、必要に応じて複数種を組み合わせて用いても構わない。
【0045】
なお、ここで例示した溶剤のうち、スチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、N−ビニルホルムアミド、あるいはN−ビニルピロリドン等のラジカル重合性の炭素−炭素多重結合を有する溶剤は、後述する重合性インク用の溶剤として特に有効である場合がある。
【0046】
これらのうち、前記の芳香族デンドロン配位子を含有する有機ランタノイド錯体を原料とする場合に好適な溶剤は、トルエン、キシレン、スチレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、THFやベンジルメチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル等のカルボン酸エステル類、塩化メチレン等のハロゲン化アルキル類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルアセトアミド、DMF、NMP等の非プロトン性アミド系溶媒、DMSO等のスルホキシド類等であり、中でもトルエンやクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、THF等のエーテル類、酢酸エチル等のカルボン酸エステル類、塩化メチレン等のハロゲン化アルキル類、アセトン等のケトン類、DMFやNMP等の非プロトン性アミド系溶媒等が溶解度の点で特に好適である。
【0047】
<重合性インク>
本発明の印刷用インクが重合性成分を含有する場合をここでは「重合性インク」と呼ぶ。該重合性成分としては、前記のような重合性を有する有機ランタノイド錯体、あるいは前記のラジカル重合性の炭素−炭素多重結合を有する溶剤等が具体的に挙げられる。かかる重合性インクは、有機ランタノイド錯体が溶解している前記の溶液型インクとして、あるいは後述する有機ランタノイド錯体の微粒子が溶媒中に懸濁安定化された懸濁液型インクのいずれの形式としても可能である。なお、後者の懸濁液型インクの場合に重合性を有する有機ランタノイド錯体の微粒子を用いると、該微粒子表面に該重合性基が存在する場合があり、かかる微粒子は重合性成分の1種と考えられる。
【0048】
本発明における重合性インクは、前記の任意の重合形式(特に好適なのはラジカル重合)により印刷後のインク中で重合反応を進行させることにより、高分子の生成、より好ましくは架橋高分子の生成を意図するものである。かかる高分子の生成により、印刷されたインク成分の溶剤溶解性を大きく減少させたり、摩擦、加熱、酸化、光劣化等の印刷を劣化させる外部要因に対する耐久性を著しく向上させる好ましい効果が見られる場合がある。特に好ましいのは前記の重合性を有する有機ランタノイド錯体の使用である。これは、本発明の印刷用インクの蛍光能の源泉である蛍光物質自体を高分子に共重合させ固定する効果による。
【0049】
かかる重合性インク中の重合性成分の割合は、全インク重量に対して通常1〜100重量%、前記の高分子の生成による効果の点で好ましくは10〜100重量%、更に好ましくは20〜100重量%、最も好ましくは30〜100重量%とする。
架橋高分子を重合反応により生成させる目的で、適当な架橋剤を添加することがしばしば好ましい結果を与える。かかる架橋剤をラジカル重合の場合を例に挙げると、1分子中に複数のラジカル重合性基を含有する化合物、即ち、ジビニルベンゼン等の多官能ベンゼン、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ブチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、アジピン酸ジビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル等の2官能ビニルエステル類等が例示される。これらのうち一般的に用いられる重要なものはジビニルベンゼン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート、アジピン酸ジビニル、アクリル酸ビニル等である。かかる架橋剤の使用量は、全重合性分子中のモル分率として、通常0.001〜5%、好ましくは0.01〜4%、更に好ましくは0.05〜3.5%、最も好ましくは0.1〜3%程度とする。
【0050】
重合性インクに添加する重合性成分として、前記のラジカル重合性の炭素−炭素多重結合を有する溶剤以外に、公知の任意のラジカル反応性モノマーの使用が可能である。具体的には、4−アセトキシスチレン、4−クロロメチルスチレン等のスチレン類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、メチルクロトネート、n−ブチルクロトネート、ベンジルクロトネート、N,N−ジメチルアミノプロピルクロトネート等のクロトン酸エステル類、(メタ)アクリル酸やクロトン酸等の不飽和共役カルボン酸、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、クロトニルアミド、N−メチルクロトニルアミド、N,N−ジメチルクロトニルアミド、N−クロトニルモルホリン、N−イソプロピルクロトニルアミド等のクロトニルアミド類、酢酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、ピバル酸ビニル、酪酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル等のカルボン酸のビニルエステル類、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸のモノエチルエステル、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等の共役不飽和ジカルボン酸誘導体等、N−ビニルオキサゾリン等が例示される。
【0051】
重合性インクにおける重合反応を進行させる条件に制限はないが、ラジカル重合の場合は、通常熱あるいは光の印加によるラジカル発生より重合を開始する。かかるラジカル発生剤の使用量は、該重合性インク中の全ラジカル重合性成分の重量に対して通常0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%、更に好ましくは0.05〜3重量%、最も好ましくは0.1〜2重量%程度とする。ラジカル重合を意図する重合性インクに使用される熱ラジカルの発生剤として一般的なものとしては、N,N’−アゾビスイソブチロニトリル(通称AIBN)等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル等の過酸化物等が最も一般的に用いられるが、水溶性のラジカル発生剤、例えば過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、あるいは水溶性のアゾ化合物(例えば和光純薬(株)から市販されているもの)等を使用しても構わない。また光ラジカルの発生剤として一般的なものとしては、α−アミノアセトフェノンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1等のアミノアセトフェノン類、の他、ベンジルジメチルケタール類、グリオキシエステル類、アシルホスフィンオキシ類等が例示される。
【0052】
前記したラジカル重合性を有するモノマー類、架橋剤、及びラジカル発生剤はいずれも、必要に応じて、それぞれ複数種を混合して用いても構わない。
<懸濁液型インク>
前記の有機ランタノイド錯体の微粒子を任意の溶剤に懸濁安定化した懸濁液は、本発明の印刷用インクとして使用可能である。かかる懸濁液から製造される印刷用インクをここでは「懸濁液型インク」と呼ぶ。
【0053】
かかる懸濁液型インクに使用する溶剤に制限はなく、その具体例は前記の溶液型インクにおける例示と同一である。但し、対環境安全性や作業者の安全性の観点で、水、アルコール類等の水性溶媒の使用が特に好適である。ここで言う水性溶媒とは、水、あるいは水を含んだ均一混合溶媒を意味するが、水が最も好ましい。
【0054】
水と混合して水性溶媒を与える物質には、水への溶解性を有し有機ランタノイド錯体への好ましくない化学反応を起こさない不活性なものである限りにおいて制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の低級グリコール類、グリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等の多価アルコール類、アセトンやメチルエチルケトン等の低級ケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(通称THF)、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等の脂肪族エーテル類、酢酸メチルや酢酸エチル等の低級脂肪酸のエステル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(通称DMF)、N−メチルピロリドン(通称NMP)等の非プロトン性アミド系溶媒、ジメチルスルホキシド(通称DMSO)やジブチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。これらの有機物質は複数を混合して用いても構わず、また水との混合比に制限はないが、水性溶媒中の水の含有量を通常5〜100重量%、好ましくは10〜100重量%、更に好ましくは20〜100重量%、最も好ましくは30〜100重量%とする。
【0055】
かかる懸濁液型インクにおいて、前記の有機ランタノイド錯体は微粒子として懸濁安定化されるが、その数平均粒径は、通常8〜1000nm、好ましくは15〜700nm、更に好ましくは30〜400nm、最も好ましくは50〜200nmとする。かかる粒径は、例えばコールターカウンター等の汎用の微粒子粒径測定装置、光散乱法、顕微鏡(光学顕微鏡や電子顕微鏡)等により測定される。
【0056】
前記の懸濁液型インクにおける前記の有機ランタノイド錯体の含有量は、該錯体の分子量にも大きく依存するが、ランタノイド元素の濃度としては通常0.001〜100ミリモル/L、懸濁液の発光能と懸濁安定性とのバランスから好ましくは0.005〜50ミリモル/L、更に好ましくは0.01〜20ミリモル/L、最も好ましくは好ましくは0.05〜5ミリモル/L程度とする。また、有機ランタノイド錯体の重量割合としては、通常0.001〜50重量%、懸濁液型インクの発光能と懸濁安定性とのバランスから好ましくは0.01〜30重量%、更に好ましくは0.1〜20重量%、最も好ましくは1〜10重量%とする。かかる有機ランタノイド錯体の含有量は、該懸濁液型インクからの溶媒の蒸留残渣の重量分析、該残渣の元素分析、該懸濁液型インクを加熱燃焼した場合の灰分分析、該懸濁液型インクのNMRスペクトルや赤外吸収スペクトル等の各種定性・定量分析又はそれらの組み合わせにより測定可能である。
【0057】
<水性懸濁液型インクの製造方法>
特に好ましい水性溶媒を使用した懸濁液型インクの製造方法として、界面活性剤の存在下、水性溶媒中に分散した有機ランタノイド錯体を力学的破砕により懸濁安定化せしめる方法(以下、破砕法と呼ぶ)が例示できる。かかる方法について以下に説明する。
【0058】
前記の破砕法において、まず有機ランタノイド錯体を機械的にできるだけ細かく粉体としておく操作(以下、前粉砕と呼ぶ)を行うのが好ましい。これにより、後述する「力学的破砕」による微粒子化が容易となる。かかる前粉砕は、既存の任意の粉砕装置(例えば、「乳鉢とすりこぎ」の原理によるすりつぶし装置、回転釜やベルト等の運動体と該運動体とのあいだに間隙を形成する圧縮体とを有しかかる間隙でのせん断力を利用する装置、ボールミル等の移動物体の運動エネルギーにより粉砕する装置、壁面への衝突の運動エネルギーにより粉砕する装置、等)で行って構わず、かかる前粉砕で得られる粉体の数平均粒径は、通常0.8〜1000μm、好ましくは0.8〜500μm、更に好ましくは0.8〜100μm、最も好ましくは0.8〜50μm程度とする。
【0059】
かかる前粉砕により得る有機ランタノイド錯体粉体を、次いで前記の水性溶媒に分散した水性分散液(以下、分散液と呼ぶ)を得る。この時適当な界面活性剤を併用すると、後述する力学的破砕において懸濁安定化の点で好ましい結果を与える場合が多い。これは、通常親油性の有機ランタノイド錯体の粉体あるいは破砕微粒子の表面を界面活性剤の親油性基が被覆し、外側に向いた界面活性剤の親水性基が有機ランタノイド錯体の粉体あるいは破砕微粒子をミセル的に水性溶媒中で安定化する効果によるものと推定される。ここで用いられる好適な界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等のカルボン酸塩等の陽イオン性界面活性剤、テトラエチルアンモニウム等の4級オニウム塩を結合した陰イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール鎖等の水溶性構造を結合した非イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子等が挙げられ、中でもドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等のカルボン酸塩等の陽イオン性界面活性剤が好適である。
【0060】
水性溶媒を使用した本発明の懸濁液型インクを得るには、前記の分散液に対して任意の力学的破砕を行う処理を施す。本発明における「力学的破砕」とは、該分散液中に存在する有機ランタノイド錯体の粉体に対して衝突、せん断、圧縮あるいは膨張等任意の力学的衝撃力を印加してこれを破砕することを意味する。かかる力学的衝撃力は、有機ランタノイド錯体の粉体どうし、該粉体と装置内壁の構造物との間、あるいは該粉体と水性溶媒との間等、該粉体の関わる任意の力学的相互作用により生じる。かかる力学的破砕の具体的方法としては、前記の分散液を硬度と強度に優れた任意の材料(例えば金属、半導体、セラミクス、ガラス、ダイヤモンド等)を内壁材質とする細管へ高圧注入する方法、前記の分散液を同様の硬度と強度に優れた任意の材料の表面に高速衝突させる方法、高圧の前記の分散液を急激に放圧させる方法等が例示され、これらのうち生産性や力学的破砕効果の点で好ましいのは、細管へ高圧注入する方法である。かかる細管への高圧注入における注入圧は、通常100〜5000kg/cm2、力学的破砕の効果と装置の耐圧性の点で好ましくは300〜4000kg/cm2、更に好ましくは500〜3000kg/cm2、最も好ましくは700〜2000kg/cm2程度の範囲とする。また、力学的破砕が起こる際の前記の分散液の温度はその時の圧力において水性溶媒の沸騰が起きない温度に制御するのが好ましく、通常は20〜200℃、好ましくは20〜150℃、更に好ましくは20〜130℃、最も好ましくは20〜120℃程度とする。かかる温度は、力学的破砕の起きる装置の箇所の分散液の実温測定、あるいは近傍の材質の温度測定により見積もられる。
【0061】
かかる例示の方法において、力学的破砕の効果を増大させる目的で、該分散液と接触する細管の内壁や表面に必要に応じて任意の立体構造物(例えば、楔形や直方体等任意形状の突起やくぼみ等の表面形状の変化、スリットや邪魔板、攪拌翼等)を設置して構わない。
かかる力学的破砕を受けて生成する有機ランタノイド錯体の破砕微粒子は、例えば前記の界面活性剤のミセル形成と類似の効果等の任意の効果により、水性溶媒中で懸濁安定化されることが望ましい。この時、例えば前記の界面活性剤の分子のような両親媒性分子、あるいはカルボニル基、水酸基、アミノ基等の極性基を有する極性分子を安定化分子として事前に該分散液に添加しておくことがしばしば良好な結果を与える。かかる安定化分子が好ましい懸濁安定化効果を示す限りにおいてその作用機構は任意であるが、例えば前記の界面活性剤におけるミセル形成と類似の機構、あるいは力学的破砕によるメカノケミカル反応によりかかる安定化分子と有機ランタノイド錯体の破砕微粒子表面との間の化学結合が新たに生成する機構、等が推測される。
【0062】
<重合性インクを使用した印刷方法>
本発明の印刷用インク中の重合性成分を重合せしめる工程を含むことを特徴とする印刷方法は、前記の重合性インクの説明のとおり、印刷品質の耐久性の点で好ましいものである。特にラジカル重合を進行させる場合、熱ラジカル重合あるいは光ラジカル重合等の任意のラジカル重合行う工程を経る印刷方法が好適である。いずれのラジカル重合の場合も、後述する加熱処理が有効である。
【0063】
熱ラジカル重合の場合、印刷後の印刷面を前記の熱ラジカル発生剤の分解温度以上に加熱する。かかる加熱温度は、通常40〜180℃、重合性及び有機ランタノイド錯体の熱劣化やラジカル重合性成分の揮発防止の点で好ましくは50〜160℃、更に好ましくは55〜140℃、最も好ましくは60〜130℃程度とする。また、この加熱時間は、加熱温度にもよるが通常1〜36000秒、重合性と生産性の点で好ましくは5〜18000秒、更に好ましくは10〜9000秒、最も好ましくは15〜3600秒程度とする。なお、該加熱時間中の加熱温度を変化させて好ましい熱ラジカル重合を設計することも可能である。例えば、加熱初期は40〜90℃程度の比較的低温で加熱することにより重合性成分の揮発を防ぎながらラジカルを発生させて重合を開始し、次いで90〜180℃程度の高温でラジカル重合を急速に進行させる、といった反応設計が考えられる。
【0064】
光ラジカル重合の場合、印刷後の印刷面に、前記の光ラジカル発生剤を分解せしめる波長の光をまず照射し、通常次いで重合を促進する目的で加熱する。かかる加熱の温度範囲と時間は、前記の熱ラジカル重合の場合の記述と同様である。なお、該加熱時間中の加熱温度を変化させて好ましいラジカル重合を設計することも可能である。例えば、加熱初期は40〜90℃程度の比較的低温で加熱することにより重合性成分の揮発を防ぎながらラジカル重合を徐々に進行させ、次いで90〜180℃程度の高温でラジカル重合を急速に進行させる、といった反応設計が考えられる。
【0065】
いずれの加熱処理においても、望ましくない空気酸化や加水分解等の副反応を抑制するために、乾燥した窒素等不活性ガスあるいは乾燥空気の雰囲気とすることが好ましい場合がある。また、印刷の生産性を向上させる目的で、連続印刷ラインにおいて前記の加熱処理や光照射を複数回印加することも可能である。あるいは、印刷物を任意の温度で加熱保存する熱アニール工程を印刷工程の後に付加してラジカル重合を進行あるいは完結させることも可能である。
【0066】
<偽造検出印刷等の用途>
本発明の印刷用インクは、蛍光体として使用する有機ランタノイド錯体の優れた輝度と色純度を保持し、対環境安全性に優れた水性溶媒(例えば水や含水エタノール等)を媒体とすることも可能であり、しかも沈殿を生じにくい長期保存安定性に優れたものである。また、汎用の水銀灯が発生する紫外線により励起され、しかも該励起波長と発光波長とが大きく隔たることを特徴とする。
【0067】
近年の印刷・複写技術の進歩により、紙幣、クレジットカードや銀行等金融機関のキャッシュカード等の各種マネーカード類、身分証明書、パスポート等複製防止の必要のある印刷物の偽造の増加が懸念される。また、前記の各種マネーカード類は、電子マネー等今後の個人のインターネット取引急増から、その発行数の急増とそれに伴うカード偽造対策の必要性が論じられていることは衆知である。
【0068】
かかる印刷物に本発明の印刷用インクを使用すると、該印刷物の真偽を極めて簡便に検査できる。例えば、携帯水銀灯の照射により本発明の印刷用インクが発生する高強度の可視蛍光により容易に目視検出可能である。これは、増感効果により高輝度発光する有機ランタノイド錯体の特性である、▲1▼紫外線により励起される性質、及び、▲2▼励起波長と発光波長とが大きく隔たる、という2つの性質から、太陽光や汎用照明器具等の紫外線含量の少ない日常の照明条件では発光が目視確認できる強度で実質的に起こらず、しかし特定波長の紫外線の照射条件で初めて目視確認可能な強度で発光するという原理による。従って、本発明の印刷用インクは、それが含有する有機ランタノイド錯体の蛍光能に由来する励起波長と発光波長の差が大きいことが望ましい。
【0069】
Tb3+やEu3+等の3価ランタノイド陽イオンの有機錯体は、特有のf軌道電子の遷移による蛍光の特徴として、通常、その発光帯の半値幅が数10nm程度と狭くかつ配位子を変更しても発光帯のピーク波長がほとんど変動しないという特性を有する。一方、励起波長については、有機ランタノイド錯体の与える励起スペクトルの範囲の任意の波長で発光が可能なので、必要に応じてこの範囲の任意波長を励起波長と定めることができる。従って、前記した本発明の印刷用インクの励起波長と発光波長の差は、該インクが含有する有機ランタノイド錯体の主発光帯(即ち、最大輝度を与える発光帯)のピーク波長λemと、励起スペクトル範囲内の任意の励起波長λexとの差(λem−λex)として通常50nm以上、好ましくは100nm以上、更に好ましくは150nm以上、最も好ましくは200nm以上となるように設計する。
【0070】
また、例えば、緑色発光するTb3+と赤色発光するEu3+のような異種ランタノイド陽イオンの有機錯体を例にとると、それぞれが、固有の発光波長と狭い半値幅を有する複数の発光帯を有するため、これら以外の同色発光材料により仮に偽造印刷したとしても、その発光スペクトルの測定によりあたかも指紋による個人の特定のように容易に識別可能である。さらに、こうした異種の有機ランタノイド錯体を含有する複数種の本発明の印刷用インクの併用により、更に複雑な印刷パターン形成が可能であり、偽造防止に役立つ。
【0071】
かかる概念による偽造困難な複雑な印刷パターン形成を意図する場合、複数種の有機ランタノイド錯体を任意の配合比で混合して本発明の印刷用インクに使用しても構わない。また精密な印刷を行うためには、インクジェット方式等、微細印刷に適した手段が好適である。
<樹脂成形体>
本発明の印刷用インクを使用した印刷面を有する樹脂成形体は前記の特徴により有用であり、例えば、偽造が困難な各種カード類(クレジットカード、キャッシュカード、IDカード等)として好適に利用される。但し、かかるカード類の形状は一例にすぎず、本発明の樹脂成形体の形状に制限はない。可能な実用形状としては、前記のカード類の他、PETボトル等のボトル状、OHPシート等のシート状、コンパクトカセットテープやビデオカセットテープ等の箱形成形体状、コンパクトディスク等のディスク状、光ファイバや釣り糸等の繊維状、樹脂ビーズ等の球状、農業用フィルムや食品包装用フィルム等のフィルム状等が例示できる。
【0072】
該印刷面に定着された本発明の印刷用インク由来の印刷層の形状や厚さには制限はないが、該印刷層の厚さはその力学的強度や印刷効果の点で、通常0.1〜5000μm、好ましくは1〜1000μm、更に好ましくは0.8〜500μm、最も好ましくは0.5〜200μm程度とする。なお、本発明の樹脂成形体においては、本発明の印刷用インクの必須成分である前記の有機ランタノイド錯体が該樹脂成形体の印刷面において蛍光能を発揮することが必要条件であるので、該錯体は必ずしも該印刷面上に全て存在している必要はなく、その一部又は全部が印刷面の樹脂表層内部に浸透して存在しても構わない。かかる印刷面の樹脂表層内部への有機ランタノイド錯体の浸透深さに制限はないが、励起光照射時の蛍光能の点で通常10mm以下、好ましくは7mm以下、更に好ましくは4mm以下、最も好ましくは1mm以下に制御する。
【0073】
本発明の樹脂成形体に使用される樹脂には制限はないが、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル等のPVC樹脂類、ポリ塩化ビニリデン等のPVDC樹脂類、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体(通称SAN)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(通称ABS)、アクリルゴムにアクリロニトリル−スチレン共重合体がグラフトした通称AAS樹脂、EPDM(エチレン−ジエンモノマー共重合体)ゴムにアクリロニトリル−スチレン共重合体がグラフトした通称EAS樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂(通称HIPS)、シンジオタクティックポリスチレン樹脂等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂(通称PMMA)等のアクリル樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(通称EVAL)等のポバール樹脂類、熱可塑性ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂類、ポリエチレンテレフタレート樹脂(通称PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(通称PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(通称PEN)等の芳香族ポリエステル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂(通称POM)、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、テレフタル酸および/またはイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとから得られるポリアミド、テレフタル酸および/またはイソフタル酸とアジピン酸とヘキサメチレンジアミンとから得られるポリアミド、共重合成分として1,3−フェニレンジオキシジ酢酸を含む共重合ポリアミド、共重合成分として二量体化脂肪酸を含む共重合ポリアミド等のポリアミド樹脂、ビスフェノールAポリカーボネート等の芳香族ポリカーボネート樹脂(通称PC)、ポリ(2,6−ジメチルフェノール)等のポリフェニレンエーテル樹脂(通称PPE)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(通称PPS)、フッ素樹脂等のポリアリーレンスルフィド樹脂等の熱可塑性エンジニアリングプラスチック(いわゆるエンプラ)類、ポリスルホン樹脂(通称PSU)、ポリエーテルスルホン樹脂(通称PES)、ポリアリレート樹脂(通称PAR)、ポリイミド樹脂(通称PI)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(通称PEEK)、液晶ポリマー(通称LCP)等のいわゆるスーパーエンプラ類、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂等の硬化性樹脂等が例示される。これらのうち、経済性、剛性や靱性等機械的物性、成形性、生産性等のバランスの点では、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル脂類、SAN樹脂、ABS樹脂、PMMA樹脂、PC樹脂、PET樹脂等の熱可塑性樹脂が好適である。
【0074】
これらの樹脂は、複数をブレンドしたいわゆるポリマーアロイ材料として用いても構わない。また任意の添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、あるいは光安定剤等の安定剤類、ガラス繊維、ガラスビーズ、マイカ、タルク、カオリン、粘土鉱物、炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、金属繊維、金属粉等のフィラー類、帯電防止剤、離型剤、可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤類、顔料や染料等の着色剤類、ゴムやエラストマー等の耐衝撃性付与剤等必要に応じて任意の添加物を混合することも可能である。
【0075】
本発明の樹脂成形体を得るに当たり、印刷前の印刷面に、あらかじめ任意の表面処理(例えばプラズマ処理、コロナ処理、オゾン処理、裸火処理、酸やアルカリ処理等の酸化反応等の化学反応を施す処理、各種プライマーを塗布して接着層を設ける処理、吸水処理、微細な擦過傷をつける摩擦処理、等)を行うことも可能である。
【0076】
【実施例】
以下に、実施例により本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。[測定装置と条件等]
(1)NMR:日本電子社製JNM−EX270型FT−NMR(1H:300MHz)溶媒:CDCl3
(2)FT−IR:日本分光工業社製FT/IR−8000型FT−IRを使用し、非晶性物質はKBr法あるいは液膜法(食塩結晶上にサンプルの塩化メチレン溶液のキャストフィルムを作成)にて、結晶性物質はKBrディスク法でそれぞれ測定した。
(3)蛍光スペクトル:日立製作所社製F−3000型蛍光光度計を使用して室温大気下で測定した。
【0077】
[合成例と実施例]
合成例1:第1世代デンドロンを配位子とする有機Tb3+錯体の合成
前掲のM.Kawaら著の文献において、フォーカルポイント部分の原料である3,5−ジヒドロキシ安息香酸の代わりに、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(以下、34DHBEtと略記)を用いて同様の合成を行い、第1世代のポリベンジルエーテル構造のカルボン酸デンドロンを合成した([34G1]COOHと略記)。即ち、34DHBEt(1当量)、ベンジルブロミド(2.05当量)、18−クラウン−6−エーテル(0.2当量)、及び無水炭酸カリウム(直前に乳鉢で粉砕、2.5当量)をアセトン中で加熱還流するエーテル化反応によりデンドロン骨格を構築し、次いで、該エチルエステル基に対して3当量の水酸化カリウムを含むTHF/メタノール含水溶液中で加水分解し、更に塩酸で中和した後再結晶で精製する手順によった。この生成物は、FT−IRスペクトルにおいて1680cm-1付近のカルボン酸のカルボニル基に帰属される吸収と、同じくカルボキシル基に帰属されるO−H伸縮振動とを与え、また1H−NMRスペクトルにて、末端フェニル基(10プロトン)、ベンジル基(2種、合計4プロトン)、及び分岐点であるベンゼン環(3プロトン)に帰属されるシグナルを与えたことからその構造を確認した。こうして得た[34G1]COOH(3当量)を酢酸テルビウム(III)無水塩(1当量)と混合し、クロロベンゼン中で加熱還流、次いで溶媒とともに生成する酢酸を減圧留去して、[34G1]COOHのカルボキシレートを配位子とする有機Tb3+錯体([34G1]3Tbと略記)を調製した。この生成物は、FT−IRスペクトルにおいて1680cm-1付近のカルボン酸のカルボニル基に帰属される吸収と、同じくカルボキシル基に帰属されるO−H伸縮振動とを与えないことから、原料カルボン酸である[34G1]COOHが相当するカルボキシレートに変換されTb3+錯体を形成したものと考えられた。[34G1]3Tbの一部は乳鉢で細かく粉砕して、以下の実施例に用いた。
【0078】
合成例2:第2世代デンドロンを配位子とする有機Tb3+錯体の合成
合成例1のデンドリマー合成戦略により、相当する第2世代のカルボン酸デンドロンを合成した([34G2]COOHと略記)。即ち、合成例1において、ベンジルブロミドの代わりに東京化成(株)から供給される3,5−ジベンジルオキシベンジルブロミドを用いて以下同様の合成操作を行った。この生成物は、FT−IRスペクトルにおいて1680cm-1付近のカルボン酸のカルボニル基に帰属される吸収と、同じくカルボキシル基に帰属されるO−H伸縮振動とを与え、また1H−NMRスペクトルにて、末端フェニル基(20プロトン)、ベンジル基(3種;4プロトン、2プロトン、2プロトン)、及び分岐点である3つのベンゼン環(合計9プロトン)に帰属されるシグナルを与えたことからその構造を確認した。こうして得た[34G2]COOHを、合成例1における[34G1]COOHの代わりに用いて同様の操作を行い、[34G2]COOHのカルボキシレートを配位子とする有機Tb3+錯体([34G2]3Tbと略記)を調製した。この生成物は、FT−IRスペクトルにおいて1680cm-1付近のカルボン酸のカルボニル基に帰属される吸収と、同じくカルボキシル基に帰属されるO−H伸縮振動とを与えないことから、原料カルボン酸である[34G2]COOHが相当するカルボキシレートに変換されTb3+錯体を形成したものと考えられた。
【0079】
合成例3:ナフタレン誘導体を配位子とする有機Eu3+錯体の合成
前記のJ.Yuanら著の文献等で公知の方法によりEu(NTA)3(構造は前記式10参照)を合成した。即ち、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン(4.27g;3当量)をエタノール(38mL)、メタノール(18mL)、及び水(1mL)の混合溶媒に室温で溶解し、電動モーター動力の機械的攪拌翼により攪拌した。この黄色い溶液に28%アンモニア水(0.97g;3当量)を加え、更に、別途調製した塩化ユウロピウム6水和物(1.96g;1当量)を水(64mL)に溶解した水溶液を1時間かけて滴下し、粘度の高い析出物を得た。濃縮して得た残渣をアセトンに溶解し、不溶物を濾別して得たアセトン溶液を大量の氷水中に激しい攪拌とともに投入した。得られた析出物を濾別して十分に水洗して、目的とするEu(NTA)3を得た。
【0080】
合成例4:ラジカル重合性を有する第1世代デンドロンを配位子とする有機Tb3+錯体の合成
4−ビニルベンジルクロリド(Aldrich社製、1.0当量)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸エチル(1.0当量)、無水炭酸カリウム(2.5当量)、18−クラウン−6エーテル(0.2当量)、テトラエチルアンモニウムブロミド(1.0当量)を乾燥アセトンに加え、更に触媒量の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを加えて60℃で加熱攪拌した。市販のシリカゲル薄層クロマトグラフィ(TLC)で反応をモニターし、4−ビニルベンジルクロリドの消失を確認した後、ベンジルブロミド(1.0当量)を加えて更に反応を継続した。TLCでベンジルブロミドの消失を確認した後、濃縮した。残渣は、塩化メチレンと水の2相間で分液し、有機相を濃縮して粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(n−ヘキサン/酢酸エチル系)で精製し、3,4−ジオキシ安息香酸残基にビニルベンジル基とベンジル基をそれぞれ1つずつエーテル結合した第1世代のエステルデンドロン(以下、V[34G1]COOEtと略)を得た。この構造は、FT−IRスペクトルにおいて1710cm-1付近にエステル基のカルボニル基に由来する吸収帯が観測されこと、及び、1H−NMRスペクトルにおいてエトキシ基のメチル基(トリプレット/3H)とメチレン基(カルテット/2H)、ベンジル位プロトン(4H)、3種のビニル基プロトン(ダブレット/1H、ダブルダブレット/1H、及びダブルダブレット/1H)、芳香族プロトン(1H、9H、及び2H)のそれぞれのシグナルが観測されたことから確認した。以下、合成例1同様の加水分解次いで塩酸による中和操作により相当するカルボン酸デンドロンに変換した。こうして得た第1世代のカルボン酸デンドロン(以下、V[34G1]COOHと略記)の構造は、FT−IRスペクトルにてカルボキシル基に帰属されるカルボニル基の吸収帯が観測されたこと、及び1H−NMRにおいてエトキシ基に帰属されるシグナルが見られなかったことから確認した。こうして得たV[34G1]COOHを、合成例1において[34G1]COOHの代わりに用いて同様の操作を行い、V[34G1]COOHのカルボキシレートを配位子とする有機Tb3+錯体(V[34G1]3Tbと略記)を調製した。この生成物は、FT−IRスペクトルにおいてカルボン酸のカルボニル基に帰属される吸収と、同じくカルボキシル基に帰属されるO−H伸縮振動とを与えないことから、原料カルボン酸であるV[34G1]COOHが相当するカルボキシレートに変換されTb3+錯体を形成したものと考えられた。
【0081】
<水性懸濁液の調製>
合成例5:デンドロンを配位子とする有機Tb3+錯体の水性懸濁液
水(99.5g)にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(以下SDSと略記、0.2g)を溶解し、ここに合成例1で得た有機Tb3+錯体[34G1]3Tbの粉砕粉末(数平均粒径は約5μm、0.3g)を加えて、室温で緩やかに攪拌した。攪拌を継続しながらSDS(0.3g)を更に加え、次いで前記の[34G1]3Tbの粉砕粉末(0.2g)を更に加えた。この水性分散液をガラス瓶に密栓して、激しく振り混ぜた後、直ちに吉田機械興業(株)製ナノマイザーYSNM1500−5超微粒化卓上実験装置(力学的破砕を行うジェネレータの方式は「衝突型ジェネレータ」とした;例えば特許第2788010号を参照)の原料液投入口に加え、高圧での衝突力による力学的破砕を行った。この時、水性分散液に印可した圧力130メガパスカルとし、該装置を1回通過させた。その結果、室温で静置しても少なくとも45日間沈殿を生じない程度に該有機Tb3 +錯体が懸濁安定化された水性懸濁液を得た。この水性懸濁液は、365nm波長の汎用水銀灯が発する紫外線を照射すると該Tb3+錯体特有の明るい緑色の蛍光を与えた。この水性懸濁液の蛍光スペクトルを、励起波長を300nmとして光路長1cmの石英セル中で測定したところ、542nm付近の主発光帯を始めとするTb3+陽イオンに固有のものであり主発光帯の半値幅が17nm程度である色純度の良いものであることが確認された。
【0082】
合成例6:ナフタレン誘導体を配位子とする有機Eu3+錯体の水性懸濁液
合成例5において、有機Tb3+錯体[34G1]3Tbの粉砕粉末の代わりに、合成例3で得たナフタレン誘導体を配位子とする有機Eu3+錯体Eu(NTA)3の粉砕粉末(数平均粒径は約5μm)を用いた他は同様の操作を行うと、室温で静置しても沈殿を生じない程度に該有機Eu3+錯体が懸濁安定化された水性懸濁液を得る。この水性懸濁液は、365nm波長の汎用水銀灯が発する紫外線を照射すると該Eu3+錯体特有の明るい赤い蛍光を与え、この水性懸濁液の蛍光スペクトルを、励起波長を300nmとして合成例5同様に測定すると、612nm付近の主発光帯を始めとするEu3+陽イオンに固有のものであり主発光帯の半値幅が数10nmと狭い色純度の良いものであることが確認される。
【0083】
実施例1:有機Tb3+錯体を含有した水性懸濁液型インク
合成例5で得た蛍光性水性懸濁液を1/4容量まで濃縮し、ここに平均分子量が30万であるポリエチレンオキシド(以下PEOと略記、該濃縮液中で2重量%となる量)を溶解して水性懸濁液型インクを得た。これを紙に塗布して乾燥したところ、定着性が良好でかつ合成例5で説明したと同一の緑色の蛍光能を有する印刷面を得た。
【0084】
実施例2:有機Eu3+錯体を含有した水性懸濁液型インク
実施例1において、蛍光性水性懸濁液として合成例6で得るものを使用した他は同一の操作を行うと、定着性が良好でかつ合成例6で説明したと同一の赤色の蛍光能を有する印刷面を得る。
実施例3:有機Tb3+錯体を含有した溶液型インク
合成例2で得た第2世代デンドロンを配位子とする有機Tb3+錯体[34G2]3Tb(20重量部)をTHF/トルエン混合溶媒(重量混合比=80/20;80重量部)に溶解して溶液型インクを得た。これを90℃に加熱したポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂板上に噴霧塗布して熱風乾燥させ、定着性が良好な印刷面を得た。この印刷面は、365nm波長の汎用水銀灯が発する紫外線を照射すると該Tb3+錯体特有の明るい緑色の蛍光を与えた。この印刷面の蛍光スペクトルを、励起波長を300nmとして測定すると、542nm付近の主発光帯を始めとするTb3+陽イオンに固有のものであり主発光帯の半値幅が20nm程度である色純度の良いものであることが確認された。
【0085】
実施例4:有機Tb3+錯体を含有した重合性溶液型インク
実施例3で使用した有機Tb3+錯体([34G2]3Tb、5重量部)、ベンジルアクリレート(45重量部)、及びAIBN(1重量部)を実施例3で使用したTHF/トルエン混合溶媒(49重量部)に溶解して溶液型インクを得る。これを90℃に加熱したポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂成形体上に噴霧塗布し、90℃の窒素気流オーブン中で加熱定着させると、定着性が良好な印刷面を得る。この印刷面は、実施例3で説明したと同様の緑色の蛍光能を有する。
【0086】
実施例5:重合性有機Tb3+錯体を含有した重合性溶液型インク
合成例4で得た重合性有機Tb3+錯体V[34G1]3Tb(10重量部)、ベンジルアクリレート(40重量部)、及びAIBN(1重量部)を実施例3で使用したTHF/トルエン混合溶媒(49重量部)に溶解して溶液型インクを得る。これを実施例4同様の操作でPET樹脂成形体上に噴霧塗布、次いで加熱定着させると良好な印刷面を得る。この印刷面は、365nm波長の汎用水銀灯が発する紫外線を照射すると該Tb3+錯体特有の明るい緑色の蛍光を与え、この印刷面の蛍光スペクトルを励起波長を300nmとして測定すると、542nm付近の主発光帯を始めとするTb3+陽イオンに固有のものであり主発光帯の半値幅が20nm程度である色純度の良いものであることが確認される。
【0087】
【発明の効果】
本発明の印刷用インクは有機ランタノイド錯体を含有するので優れた輝度と色純度を有する。また該錯体が溶解状態、あるいは微粒子として懸濁安定化された状態にあるので実質的に沈殿を生成しない長期保存安定性に優れ、しかも水性溶媒を使用すれば対環境安全性に優れたものとなる。また、汎用の水銀灯による365nm波長の紫外線励起で発光し、しかも該励起波長と発光波長とが大きく隔たることを特徴とするので、例えばマネーカードや紙幣など複製防止の必要のある印刷物の真偽を携帯水銀灯の照射で容易に目視検出する偽造検出印刷等、蛍光を利用する各種印刷用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 デンドリマーの世代とフォーカルポイントを表す模式図である。

Claims (10)

  1. 有機ランタノイド錯体を含有する印刷用インクであって、該有機ランタノイド錯体が、繰り返し単位に芳香族ポリエーテルを有する芳香族デンドロンを配位子として含有するものであることを特徴とする印刷用インク
  2. 芳香族デンドロンが、フォーカルポイントにカルボキシレート基を有するものである請求項1に記載の印刷用インク
  3. 有機ランタノイド錯体がテルビウム又はユウロピウムの陽イオンを含有するものである請求項1又は2に記載の印刷用インク。
  4. 有機ランタノイド錯体の溶液である請求項1〜3のいずれかに記載の印刷用インク。
  5. 有機ランタノイド錯体が懸濁安定化された懸濁液である請求項1〜3のいずれかに記載の印刷用インク。
  6. 懸濁液が水性懸濁液である請求項5に記載の印刷用インク。
  7. 重合性成分を含有するものである請求項1〜6のいずれかに記載の印刷用インク。
  8. 界面活性剤の存在下、水性溶媒中に分散した有機ランタノイド錯体を力学的粉砕により懸濁安定化せしめることを特徴とする請求項6に記載の印刷用インクの製造方法。
  9. 印刷用インク中の重合性成分を重合せしめる工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の印刷用インクを使用する印刷方法。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の印刷用インクを使用した印刷面を有することを特徴とする樹脂成形体。
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