JP3870653B2 - 液体混合装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、原液と希釈液をノズルから容器に吐出させて所定の希釈比率で混合させるようにした液体混合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、2種類又はそれ以上の種類の液体を互いに混合させる液体混合装置として、例えば、ジュース等の飲料を提供する飲料供給装置がある。この飲料供給装置では、濃縮したシロップ等の原液と冷水や炭酸水等の希釈液とを一つのノズルから一つのカップに吐出して混合させることにより、所定の比率(濃度)に希釈した飲料をつくるようになっている。
【0003】
この種の液体混合装置は、原液と希釈液を所定の希釈比率でノズルへ配給するために、原液の流量を調節する原液用弁と、希釈液の流量を調節する希釈液用弁と、原液の流量を計測する原液流量計と、希釈液の流量を計測する希釈液流量計と、各弁の開閉を制御するマイクロコンピュータ(マイコン)とを備える。マイコンは、各流量計からの信号に基づいて原液及び稀釈液の流量を監視しながら原液用弁及び希釈液用弁を制御することにより、ノズルからの原液、希釈液の吐出量を制御するようになっている。
【0004】
ここで、液体混合装置として、図12のタイムチャートに示すようなタイミングで原液と希釈液を配給することにより、所定の希釈比率の混合液をつくるようにしたものがある。このタイムチャートは、マイコンが実行する原液用弁及び稀釈液用弁の開閉、即ちオン・オフのタイミングの違いを、原液流量計及び稀釈液流量計から出力されるパルス信号のタイミングとパルス数の違いにより表している。この装置で、原液流量計及び希釈液流量計は、1パルスを1mlとして液体流量に比例した数のパルス信号を出力する。ここでは、原液と希釈液との目標希釈比率を「1:5」として、原液と希釈液の吐出総量が「200ml」、そのうち原液の総量が「33ml」、希釈液の総量が「167ml」となるように設定される。
マイコンは、原液と希釈液の配給を同時に開始させるために、原液用弁及び希釈液用弁を同時に開かせる。その後、マイコンは、希釈液については、単位時間当たりの流量が一定となるように上記総量の分だけ希釈液用弁を連続的に開かせる。一方、マイコンは、原液をノズルから断続的に吐出させるために、原液用弁を断続的に開閉させる。即ち、1回分の吐出量を任意の量(例えば「5ml」)とし、原液の総量(「33ml」)から決定される回数分だけ原液用弁を断続的に開閉させる。但し、最終回の吐出量は、それ以前の1回分の吐出量(5ml)で総量(33ml)を除した余り量(3ml)となるようになっている。
ここでは、原液が1回吐出されてから次に吐出されるまでの間で希釈液が「25ml」吐出され、その間の原液と希釈液との希釈比率が上記した「1:5」となるように設定される。但し、最終(7回目)における原液の吐出に対応する希釈液の吐出量は、希釈液の総量(167ml)を「25ml」で除した余りの量(17ml)となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来の液体混合装置では、原液と希釈液の配給を同時に開始させるために原液用弁と希釈液用弁を同時に開かせているが、粘度の関係から原液の方が希釈液より先にノズルから吐出される傾向がある。このため、原液がノズルに固着したり、原液のかたまりがカップの底に残留したりすることになった。原液がノズルに固着した場合、ノズルからの液体の出が悪くなるといった問題がある。一方、原液のかたまりがカップの底に残った場合、混合液を積極的に掻き混ぜなければ、カップの底で原液が部分的に濃くなり、混合液の品質が落ちるといった問題がある。
【0006】
又、前記従来の液体混合装置では、最終回で吐出される原液の量とそれに対応する希釈液の吐出量との稀釈比率が、他の回のそれとは異なっていた。このため、混合液を積極的に掻き混ぜなければ、カップの上部でうすく下部で濃くなり、原液の濃さがカップの部位で不均一となり、混合液の品質が落ちるといった問題がある。
【0007】
更に、前記従来の液体混合装置では、原液及び稀釈液の吐出を途中で強制的に停止させたり、任意の量の混合液をつくったりする場合に、混合液の稀釈比率が所期の比率に合わなくなるおそれがあった。
【0008】
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は、ノズルに原液が固着したりカップの底に原液のかたまりが残ったりすることのない液体混合装置を提供することにある。
この発明の第2の目的は、前記第1の目的に加え、容器の部位によって原液濃度に差を生じさせることのない液体混合装置を提供することになる。
この発明の第3の目的は、前記第1の目的又は前記第2の目的に加え、原液及び稀釈液の吐出を途中で強制的に停止させても、混合液の稀釈比率を所期の比率に調整することを可能にした液体混合装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、原液の流量を計測するための原液流量計と、前記原液の流量を調節するための原液用弁と、希釈液の流量を計測するための希釈液流量計と、前記希釈液の流量を調節するための希釈液用弁と、前記原液流量計及び前記希釈液流量計の計測結果に基づいて前記原液用弁及び前記希釈液用弁を制御することにより、前記原液と前記希釈液をそれぞれ所定量ずつノズルから容器に吐出させて所定の全希釈比率で混合させる液体混合装置において、前記原液と前記希釈液との混合を開始させるとき、前記希釈液を所定の先出量だけ前記原液より先に前記ノズルから吐出させるために、前記希釈液用弁を前記原液用弁より先に開かせる開始時制御手段と、前記原液と前記希釈液との混合を開始させたとき、前記希釈液を所定の総量だけ前記ノズルから連続的に吐出させるために、前記希釈液用弁を所定の全期間だけ連続的に開かせると共に、前記原液について所定の総量を複数回に分割して前記ノズルから断続的に吐出させるために、前記原液用弁を断続的に開閉させる開始後制御手段と、前記原液について断続的に行われる各吐出に対応して前記連続的に吐出される希釈液の前記全期間を仮想的に複数の部分期間に分割し、1回目の部分期間においては、最初に希釈液用弁を開かせてから2回目に前記原液用弁を開かせるまでの間における希釈液の吐出量とそれに対応して吐出される原液の吐出量との部分希釈比率を前記全希釈比率に合わせ、2回目以降の各部分期間においては、前記原液が1回吐出されてから次に吐出されるまでの間における希釈液の吐出量とそれに対応して吐出される原液の吐出量との部分希釈比率を前記全希釈比率に合わせるために前記原液用弁の開閉を制御する希釈比率制御手段とを備えたことを趣旨とする。
【0010】
上記発明の構成によれば、原液と希釈液との混合開始に際して、開始制御手段の制御により希釈液用弁が原液用弁より先に開かれ、先出量の分だけ希釈液が原液より先にノズルから容器へ吐出されることになる。従って、最初に稀釈液によってノズルが洗われることになる。
【0011】
【0012】
また、上記発明の構成によれば、原液と希釈液との混合が開始されたとき、開始後制御手段の制御により希釈液用弁が所定の全期間だけ連続的に開かれて、希釈液が所定の総量だけノズルから連続的に吐出される。これと並行して、開始後制御手段の制御により原液用弁が断続的に開閉されて、原液の所定の総量が複数回に分割されてノズルから断続的に吐出される。
ここで、原液と稀釈液との稀釈比率を調整するために、希釈比率制御手段の制御により、原液が各吐出回で断続的に吐出されるのに対応して、連続的に吐出される希釈液の全期間が仮想的に複数の部分期間に分割され、各部分期間における希釈液の吐出量とそれに対応して吐出される原液の吐出量との部分希釈比率が原液の総量と稀釈液の総量との全希釈比率に合わせられる。従って、容器の各位置の間で原液と稀釈液との部分稀釈比率が均一化される。
【0013】
上記第2の目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、原液の流量を計測するための原液流量計と、原液の流量を調節するための原液用弁と、希釈液の流量を計測するための希釈液流量計と、希釈液の流量を調節するための希釈液用弁と、原液流量計及び希釈液流量計の計測結果に基づいて原液用弁及び希釈液用弁を制御することにより、原液と希釈液をそれぞれ所定量ずつノズルから容器に吐出させて所定の全希釈比率で混合させる液体混合装置において、原液と希釈液との混合を開始させるとき、希釈液を所定の先出量だけ原液より先にノズルから吐出させるために、希釈液用弁を原液用弁より先に開かせる開始時制御手段と、原液と希釈液との混合を開始させたとき、希釈液を所定の総量だけノズルから連続的に吐出させるために、希釈液用弁を所定の全期間だけ連続的に開かせると共に、原液について所定の総量を複数回に分割してノズルから断続的に吐出させるために、原液用弁を断続的に開閉させる開始後制御手段と、原液について断続的に行われる各吐出に対応して連続的に吐出される希釈液の全期間を仮想的に複数の部分期間に分割し、各部分期間における希釈液の吐出量とそれに対応して吐出される原液の吐出量との部分希釈比率を全希釈比率に合わせるために原液用弁の開閉を制御する希釈比率制御手段と、原液について断続的に行われる複数回の吐出のうち奇数回目又は偶数回目の吐出の開始時期を補正するために、原液用弁の開く時期を補正する開時期補正手段とを備えたことを趣旨とする。
【0014】
上記発明の構成によれば、開時期補正手段の補正により、原液の複数回の吐出のうち奇数回目又は偶数回目の吐出の開始時期が補正される。従って、原液及び稀釈液の全稀釈比率が小数の位で定められるときでも、部分稀釈比率を全稀釈比率に合わせることが可能になる。
【0015】
上記第3の目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、原液の流量を計測するための原液流量計と、原液の流量を調節するための原液用弁と、希釈液の流量を計測するための希釈液流量計と、希釈液の流量を調節するための希釈液用弁と、原液流量計及び希釈液流量計の計測結果に基づいて原液用弁及び希釈液用弁を制御することにより、原液と希釈液をそれぞれ所定量ずつノズルから容器に吐出させて所定の全希釈比率で混合させる液体混合装置において、原液と希釈液との混合を開始させるとき、希釈液を所定の先出量だけ原液より先にノズルから吐出させるために、希釈液用弁を原液用弁より先に開かせる開始時制御手段と、原液と希釈液との混合を開始させたとき、希釈液を所定の総量だけノズルから連続的に吐出させるために、希釈液用弁を所定の全期間だけ連続的に開かせると共に、原液について所定の総量を複数回に分割してノズルから断続的に吐出させるために、原液用弁を断続的に開閉させる開始後制御手段と、原液について断続的に行われる各吐出に対応して連続的に吐出される希釈液の全期間を仮想的に複数の部分期間に分割し、各部分期間における希釈液の吐出量とそれに対応して吐出される原液の吐出量との部分希釈比率を全希釈比率に合わせるために原液用弁の開閉を制御する希釈比率制御手段と、原液と希釈液との混合途中でその停止が指示されたとき、その指示された時期に対応する吐出回における部分希釈比率を全希釈比率に合わせた状態で混合を停止させるために、原液用弁及び希釈液用弁の閉じる閉時期を制御する混合停止制御手段とを備えたことを趣旨とする。
【0016】
上記発明の構成によれば、原液と希釈液との混合が途中で強制停止されるときでも、混合停止制御手段の制御により、その停止が指示された時期に対応した原液の吐出回を最終回としてその部分希釈比率が全希釈比率に合わせられた状態で、原液と稀釈液との混合が停止される。
【0017】
上記第2の目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、原液の流量を計測するための原液流量計と、原液の流量を調節するための原液用弁と、希釈液の流量を計測するための希釈液流量計と、希釈液の流量を調節するための希釈液用弁と、原液流量計及び希釈 液流量計の計測結果に基づいて原液用弁及び希釈液用弁を制御することにより、原液と希釈液をそれぞれ所定量ずつノズルから容器に吐出させて所定の全希釈比率で混合させる液体混合装置において、原液と希釈液との混合を開始させるとき、希釈液を所定の先出量だけ原液より先にノズルから吐出させるために、希釈液用弁を原液用弁より先に開かせる開始時制御手段と、原液と希釈液との混合を開始させたとき、希釈液を所定の総量だけノズルから連続的に吐出させるために、希釈液用弁を所定の全期間だけ連続的に開かせると共に、原液について所定の総量を複数回に分割してノズルから断続的に吐出させるために、原液用弁を断続的に開閉させる開始後制御手段と、原液について断続的に行われる各吐出に対応して連続的に吐出される希釈液の全期間を仮想的に複数の部分期間に分割し、各部分期間における希釈液の吐出量とそれに対応して吐出される原液の吐出量との部分希釈比率を全希釈比率に合わせるために原液用弁の開閉を制御する希釈比率制御手段と、原液の最終の吐出回に対応する部分希釈比率を全希釈比率に合わせるために、同吐出回に対応して残された原液及び稀釈液の余り量に基づいて原液用弁及び希釈液用弁の閉じる時期をそれぞれ演算するための最終時期演算手段とを備えたことを趣旨とする。
【0018】
上記発明の構成によれば、原液の最終の吐出回に対応する原液用弁及び希釈液用弁の閉じる時期が最終時期演算手段により演算されることから、原液の総量やその1回分の吐出量、或いは稀釈液の総量が任意に変えられても、その都度、原液用弁及び希釈液用弁を閉じる時期を人が設定し直す必要がない。
【0019】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
以下、本発明(請求項1,4)の液体混合装置を具体化した第1の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
この実施の形態では、本発明の液体混合装置を、原液であるシロップを稀釈液である冷水や炭酸水と混合してジュース等の飲料を作る飲料供給装置に適用した場合について説明する。図1にはその飲料供給装置の構成をブロック図に示す。
【0021】
飲料供給装置には、数種類の飲料を提供できるものもあるが、図1には、説明を簡略化するために1種類の飲料を供給する構成が示される。又、希釈液として、炭酸水や冷水の代わりに熱湯を使用することにより、ホット飲料を供給する飲料供給装置としてもよい。
【0022】
この飲料供給装置は、シロップを配給するためのシロップ流路1と、冷水を配給するための冷水流路2と、炭酸水を配給するための炭酸水流路3とを備える。シロップ流路1には、シロップの流量を調節するためのシロップ調節機4が設けられる。冷水流路2には、冷水の流量を調節するための冷水調節機5が設けられる。炭酸水流路3には、炭酸水の流量を調節するための炭酸水調節機6が設けられる。
【0023】
シロップ調節機4は、シロップの流量を計測するためのシロップ流量計7と、そのシロップの流量を調節するための電磁弁よりなるシロップ用弁8とを含む。この流量計7は弁8の上流側に設けられる。シロップ流量計7は本発明の原液流量計に相当し、シロップ用弁8は本発明の原液用弁に相当する。
【0024】
冷水調節機5は、冷水の流量を計測するための冷水流量計9と、冷水の流量を調節するための電磁弁よりなる冷水用弁10とを含む。この流量計9は弁10の上流側に設けられる。冷水流量計9は本発明の稀釈液流量計に相当し、冷水用弁10は本発明の稀釈液用弁に相当する。
【0025】
炭酸水調節機6は、炭酸水の流量を計測するための炭酸水流量計11と、炭酸水の流量を調節するための電磁弁よりなる炭酸水用弁12とを含む。この水流量計11は弁12の上流側に設けられる。炭酸水流量計11は本発明の稀釈液流量計に相当し、炭酸水用弁12は本発明の稀釈液用弁に相当する。
【0026】
シロップ用弁8、冷水用弁10及び炭酸水用弁12の下流側は一つのノズル13に接続され、シロップ、冷水及び炭酸水がそのノズル13を通じて容器であるカップ14へ吐出され、混合されるようになっている。
【0027】
この飲料供給装置は、上記各調節機4〜6を制御するためのコントローラ20を備える。各調節機4〜6の各流量計7,9,11及び各弁8,10,12は、それぞれコントローラ20に接続される。このコントローラ20は、飲料供給装置の全体を統括制御するためのメインコントローラ19に接続される。コントローラ20はマイクロコンピュータより構成され、CPU21、入力部22、出力部23、記憶部24、動作通信部25及び停止スイッチ26を含む。入力部22は、各流量計7,9,11からの計測信号を入力すると共に、停止スイッチ26からの停止信号を入力する。停止スイッチ26は、飲料供給装置の動作を強制的に停止させるために操作されるものである。出力部23は、CPU21からの制御信号を各弁8,10,12へ出力するものである。記憶部24は、CPU21の演算処理に必要な所定のデータを一時記憶するものである。動作通信部25は、メインコントローラ19との間でデータをやりとりするものである。
【0028】
この飲料供給装置は、各種機器を内蔵するケース(図示略)と、そのケースの前面に配置された選択スイッチとを備える。そして、利用者が飲料の種類を選択して対応する選択スイッチを操作することにより、その選択信号がメインコントローラ19を介してコントローラ20へ送られる。コントローラ20では、その選択信号を受けて本装置を動作させるために、CPU21が記憶部24に記憶された制御プログラムに従い出力部23を通じて各調節機4〜6へ制御信号を出力する。この飲料供給装置は、原液であるシロップに対し、稀釈液である冷水又は炭酸水を選択的に混合させる。即ち、本装置は、シロップを冷水で稀釈した冷水飲料又はシロップを炭酸水で稀釈した炭酸飲料を、利用者の選択に応じてつくるようになっている。従って、コントローラ20は、飲料供給に際して、シロップ調節機4と、冷水調節機5又は炭酸水調節機6とを組み合わせて制御することになる。
【0029】
次に、上記各調節機4〜6について説明する。各調節機4〜6の構成は互いに同じであることから、ここでは、シロップ調節機4を代表的に説明する。図2に、シロップ調節機4の断面図を示す。この調節機4は、流路を含むボディ31に一体的に設けられたシロップ流量計7及びシロップ用弁8を備える。
【0030】
ボディ31は、直方体形状のブロックであり、底面に設けられた入力ポート32から側面に設けられた出力ポート33までの流路を有する。流量計7はその流路の途中に設けられる。流量計7は、出力ポート33の背面に位置するバルブボディ31の側面に配置される。
【0031】
図3には、この調節機4における流量計7が示される。このボディ31の側面には、入力ポート32に連通する入力側流路34が開口され、弁8の側へ連通する弁側流路35が開口される。そして、それらの流路34.35の間に挟まれるように流量計7が設けられる。
【0032】
流量計7は、両流路34,35の開口部分の深さまで形成された長円形状をなす計測室36を有する。この計測室36には、互いに噛み合った一対の楕円ギヤ37,38が組み込まれる。即ち、計測室36の中には、楕円ギヤ37,38が回転可能に軸支される。これらギヤ37,38がギヤポンプのように互いに噛み合って計測室36の内壁と最小の隙間を保ちながら回転可能に構成される。計測室36を囲むようにボディ31に形成された環状溝には、シール用のOリング39が嵌め込まれる。計測室36を塞ぐフタ40は、Oリング39を押し潰すようにボディ31にネジ止めされる。
【0033】
図4に、図2のA−A線に沿った断面図を示す。一方の楕円ギヤ37にはマグネット41が埋め込まれ、フタ40には磁気センサ42が埋め込まれる。この流量計7は、楕円ギヤ37,38を経て流れる液体の流量を、一方の楕円ギヤ37の回転数をカウントすることにより計測するものである。
【0034】
計測室36から弁側流路35に入ったところには、フローワッシャ43が設けられる。このフローワッシャ43は、フタ40が固定される際に、押さえ部材44により押さえられることにより所定位置に挟み込まれる。このフローワッシャ43は、流量計7を経て流れる液体の圧力変動が大きい場合に、その液体の流量を一定にするものであり、液体流通用のノズルを中心に有するリング状部材である。
【0035】
弁側流路35は、シロップ用弁8に対応して設けられた弁室45に連通すると共に、その弁室45に突設された弁座46の弁孔47を経て出力ポート33へ連通する。シロップ用弁8は、弁体48を弁座46へ向かって付勢するプランジャ49を含む。このプランジャ49は、コイル50が通電により励磁されることにより、コア51に吸着保持されるようになっている。
【0036】
この飲料供給装置は、コントローラ20が、各調節機4〜6の流量計7,9,11で計測されるシロップ、冷水及び炭酸水の流量を監視しながら、各弁8,10,12を制御することにより、それらの液体をノズル13からカップ14へ吐出させて混合させる。
【0037】
ここで、各調節機4〜6における液体の流れは以下の通りである。シロップ調節機4を例に挙げて説明すると、図2〜4に示すように、シロップ調節機4において、入力ポート32に流入したシロップは、入力側流路34を経て計測室36へ流れ、同室36へ流れ込んだシロップの圧力により流量計7の楕円ギヤ37,38を回転させる。ここで、計測室36に流れたシロップの圧力は、例えば、図3に示す状態に各楕円ギヤ37,38が配置される場合、縦長配置された楕円ギヤ37には、その回転軸の下方へ左側から反時計方向へのみ作用し、横長配置された楕円ギヤ38には、その下方から回転軸の左右に同じように作用する。従って、互いに噛み合った楕円ギヤ37,38には、図3に矢印で示すように、回転力が付与され、シロップが計測室36の壁面に沿って外回りで流れることになる。この実施の形態では、楕円ギヤ37,38が使用されることから、例えば、図3に示すように楕円ギヤ37と計測室36の内壁との隙間を大きくとることができ、シロップの送り量をより多くすることができる。
【0038】
計測室36を通ったシロップは、その圧力変動が大きい場合であっても、フローワッシャ43により一定量の流れとなって弁側流路35から弁室45へと流れる。弁室45に入ったシロップは、弁体48が弁座46から離れることにより、出力ポート33から排出される。
【0039】
シロップ用弁8において、コイル50の通電によりコア51が励磁されると、プランジャ49が下方への付勢力に抗して上方へ吸引されて上昇し、これによって弁体48が弁座46から離れ、同弁8が開かれる。一方、コイル50の通電が止められると、プランジャ49が下方へ押し下げられて弁体48が弁座46に当接し、同弁8が閉じられる。
【0040】
このシロップ調節機4に流れたシロップは、その弁8の開閉によりノズル13からの吐出量が調節されると共に、その吐出量(流)量が流量計7により計測される。流量計7を流れるシロップは、各楕円ギヤ37,38の回転分だけシロップ用弁8へと送られる。各楕円ギヤ37,38の1回転当たりの流量は、予め計算によって求められ、その流量が流量計7の計測結果によりコントローラ20により確認される。
従って、この流量計7では、磁気センサ42が楕円ギヤ37の回転に伴うマグネット41の通過を検出して1回転当たり1パルスの信号を出力し、そのパルス信号がコントローラ20に入力される。流量計7は、1パルスを1mlとしてシロップの流量に比例した数のパルス信号を出力する。コントローラ20は、そのパルス信号をカウントすることにより、シロップの流量を算出することになる。
【0041】
次に、コントローラ20が実行する飲料供給制御の内容について説明する。
図5には、飲料をつくるときのシロップと冷水又は炭酸水との配給方法をタイムチャートに示す。このタイムチャートは、コントローラ20が実行するシロップ用弁8と冷水用弁10又は炭酸水用弁12との開閉タイミング(オン・オフタイミング)の違いを、シロップ流量計7と冷水流量計9又は炭酸水流量計11とから出力されるパルス信号のタイミングとパルス数の違いにより表したものである。
【0042】
この実施の形態では、原液のシロップに対して稀釈液として冷水と炭酸水が選択的に混合されることから、以下には説明の便宜上、冷水と炭酸水をまとめて「稀釈液」と呼び、冷水用弁10と炭酸水用弁12をまとめて稀釈液用弁10,12と呼び、併せて冷水流量計9と炭酸水流量計11をまとめて稀釈液流量計9,11と呼ぶことにする。この実施の形態で、シロップ流量計7及び希釈液流量計9,11は、1パルスを1mlとして液体流量に比例した数のパルス信号を出力するようになっている。
【0043】
この実施の形態では、シロップと希釈液との総量が「198ml」、そのうちシロップの総量が「33ml」、希釈液の総量が「165ml」、シロップの総量と希釈液の総量との全希釈比率が「1:5」となるように設定される。
【0044】
この実施の形態で、コントローラ20は、シロップ流量計7及び希釈液流量計9,11における液体流量の計測結果であるパルス信号に基づいてシロップ用弁8及び希釈液用弁10,12を制御することにより、シロップと希釈液をそれぞれ上記総量ずつノズル13からカップ14に吐出させて上記全希釈比率(1:5)で混合させるようになっている。
【0045】
コントローラ20は、シロップと希釈液との混合を開始するときに、図5に示すように、稀釈液を「先出量」の分だけシロップより先にノズル13から吐出させるために、希釈液用弁10,12をシロップ用弁8より先に開かせるようになっている。即ち、コントローラ20は、最初に稀釈液用弁10,12をシロップ用弁10,12より先に開かせ、シロップ流量計7からのパルス信号を「6個」カウントした時点でシロップ用弁8を初めて開かせるようになっている。この制御を実行するコントローラ20が、本発明の開始時制御手段に相当する。
【0046】
その後、コントローラ20は、希釈液については、単位時間当たりの流量が一定となるように上記総量(165ml)の分だけ希釈液用弁10,12を連続的に開かせる。即ち、図5に示すように、コントローラ20は、稀釈液用弁10,12を開けてから、稀釈液流量計9,11からのパルス信号を「165個」カウントするまで同弁10,12の開きを持続させる。図5に示すように、この実施の形態では、稀釈液用弁10,12が開けられる期間を「全期間」と呼ぶ。
【0047】
一方、コントローラ20は、シロップの総量(33ml)を7回に分けてノズル13から吐出させるために、シロップ用弁8を断続的に7回開かせるようになっている。即ち、図5に示すように、コントローラ20は、1回目〜6回目の1回分の吐出量がそれぞれ「5ml」となるように、シロップ流量計7からのパルス信号を「5個」カウントする間だけシロップ用弁8を開かせる。
【0048】
この実施の形態では、図5に示すように、先出量に対応する1回目を除き、2回目〜6回目において、シロップが1回吐出されてから次に吐出されるまでの間で希釈液の吐出量が「25ml」になるように設定される。即ち、コントローラ20は、2回目〜6回目のシロップ吐出に対応して、シロップ用弁8を開かせてから次に開かせるまでに稀釈液流量計9,11からのパルス信号をそれぞれ「25個」カウントする。これにより、その間のシロップと希釈液との部分希釈比率を上記全稀釈比率(1:5)と同じになるようにしている。
【0049】
又、1回目のシロップの吐出に対応して、先出量の「6ml」を含めて稀釈液の吐出量が「25ml」となるように設定される。即ち、図5に示すように、コントローラ20は、最初に稀釈液用弁10,12を開かせてから2回目にシロップ用弁8を開かせるまでの間に稀釈液流量計9,11からのパルス信号を「25個」カウントするようになっている。
【0050】
更に、最終回(7回目)におけるシロップ吐出については、その吐出量が「3ml」となるように、コントローラ20はシロップ流量計7からのパルス信号を「3個」カウントする間だけシロップ用弁8を開かせる。又、そのシロップの吐出量に対応して希釈液の吐出量が「15ml」となるように、コントローラ20は、7回目にシロップ用弁8を開けてから稀釈液流量計9,11からのパルス信号を「15個」カウントした後に稀釈液用弁10,12を閉じさせるようになっている。
【0051】
この実施の形態で、最終回(7回目)におけるシロップ用弁8及び稀釈液用弁10,12の開き期間は、「実稀釈比率」に応じて予め設定された複数の組合せデータから適宜選択することにより決定される。即ち、コントローラ20は、図6に示す「終了パルステーブル」を参照することにより、シロップ用弁8の開き期間に相当する「原液パルス数」と、稀釈液用弁10,12の開き期間に相当する「稀釈液パルス数」との組合せを、そのとき必要とする「実稀釈比率」に応じて決定する。ここで、「実稀釈比率」とは「稀釈液パルス数/原液パルス数」の値を意味する。
この「終了パルステーブル」では、「1.00〜6.00」の範囲の「実稀釈比率」に対応して「原液パルス数」と「稀釈液パルス数」の組合せが予め複数設定される。各組合せを選択する際の優先順位として、コントローラ20は、最初に各液体の全量誤差が「±3パルス」以内、かつ実稀釈比率が目標値に近いものを選択する。次に、コントローラ20は、上記選択された組合せが複数存在する場合には、高稀釈比率側の組合せを選択する。更に、コントローラ20は、上記選択された組合せが複数存在する場合には、原液パルス数の少ないものを選択する。この実施の形態では、目標とする「実稀釈比率」を「5.00」として、図6に示すように右欄の上から13番目の「原液パルス数」と「稀釈液パルス数」の組合せ、即ち「3,15」が選択されて使用される。このような制御を実行するコントローラ20は、本発明の最終時期演算手段に相当する。即ち、コントローラ20は、シロップの最終回(7回目)の吐出に対応する部分希釈比率を全希釈比率(1:5)に合わせるために、同吐出回に対応して残されたシロップ及び稀釈液の余り量に基づいてシロップ用弁8及び希釈液用弁10,12の閉じ時期を、上記最終パルステーブルを参照することにより演算するようになっている。
【0052】
この実施の形態では、図5に示すように、各回のシロップ吐出に対応して分けられる稀釈液の吐出期間を、上記「全期間」に対応する「部分期間」として、シロップの1回目の吐出に対応する部分期間を「第1期間」とし、シロップの2回目の吐出に対応する部分期間を「第2期間」とし、以下同様に「第3期間」、「第4期間」、「第5期間」、「第6期間」及び「第7期間」と呼ぶことにする。
【0053】
以上説明したように、この実施の形態の飲料供給装置の構成によれば、シロップと希釈液(冷水,炭酸水)との混合を開始するときに、稀釈液用弁10,12がシロップ用弁8より先に開かれ、先出量の分だけ希釈液がシロップより先にノズル13からカップ14へ吐出されることになる。従って、最初に稀釈液のみによってノズル13が洗われてから稀釈液及びシロップがノズル13から吐出されることになる。この結果、ノズル13にシロップが固着するのを防止することができ、常にシロップ及び稀釈液をノズル13から円滑に吐出させることができるようになる。又、カップ14の底にシロップのかたまりが残るのを防止することができ、カップ14に入った混合液を特に積極的に掻き混ぜなくても、カップ14の底でシロップが部分的に濃くなることを防ぐことができ、混合液の濃度品質を確保することができるようになる。
【0054】
この実施の形態の飲料供給装置によれば、シロップと希釈液との混合が開始されてから、稀釈液用弁10,12が165パルス分の全期間だけ連続的に開かれ、希釈液が165mlの総量分だけノズル13から連続的に吐出される。これと並行して、シロップ用弁8が断続的に開閉され、シロップの総量である33mlが7回に分割されてノズル13から断続的に吐出されることになる。
【0055】
ここで、シロップと稀釈液との稀釈比率又は実稀釈比率を調整するために、シロップ用弁8の開閉がコントローラ20により制御される。これにより、図5に示すように、1〜7回の各回でシロップが断続的に吐出されるのに対応して、連続的に吐出される希釈液の全期間が仮想的に第1期間〜第7期間の部分期間に分割され、各部分期間における希釈液の吐出量(25ml又は15ml)とそれに対応して吐出されるシロップの吐出量(5ml又は3ml)との部分希釈比率がシロップの総量(165ml)と稀釈液の総量(33ml)との全希釈比率である「1:5」に合わせられることになる。
【0056】
このことは、稀釈液の第1期間の長さを、先出量分の6パルスを含めて他の第2期間〜第6期間の長さ(25パルス)と同じにすることにより達成される。つまり、第1期間で設けた先出量の分(6パルス)を、他の部分期間を減らすことでは補正する必要ない。
又、最終回(7回目)にシロップを吐出するに当たって、稀釈液の第7期間の長さを第1期間〜第6期間のそれと同じ長さ(25パルス)にすることができないときには、予め設定された終了パルステーブルを参照して原液パルス数と稀釈液パルス数の組合せを決定することにより、その第7期間の部分稀釈比率を全稀釈比率の値(1:5)に合わせるようにしている。これにより、第1期間〜第7期間の部分稀釈比率の値の全てを全稀釈比率のそれと同じにしている。
【0057】
従って、図7に示すように、カップ14の中の位置によってシロップと稀釈液との部分稀釈比率が「1:5」に均一化されるようになる。この結果、カップ14の中の位置によってシロップの濃度に差が生じることを防止することができる。このため、シロップと稀釈液を出し終わった後に、その混合液を特に積極的に掻き混ぜなくても、カップ14の各位置でシロップの濃さを均一にすることができ、混合液の濃度品質を確保することができるようになる。
【0058】
この実施の形態では、最終の第7期間で終了パルステーブルを参照することによりシロップ用弁8及び稀釈液用弁10,12の閉じ時期を演算するようにしている。このため、シロップの総量やその1回分の吐出量、或いは稀釈液の総量が任意に変えられても、その都度、第7期間においてシロップ用弁8及び稀釈液用弁10,12を閉じる時期を人が設定し直す必要がない。この結果、シロップの最終吐出回に対応する部分稀釈比率の値を全稀釈比率の値に、手間なく容易に合わせることができるようになる。
【0059】
[第2の実施の形態]
次に、本発明(請求項2)の液体混合装置を具体化した第2の実施の形態を図面に従って説明する。尚、本実施の形態を含む以下の各実施の形態において、前記第1の実施の形態と同一構成については、同一符号を付して説明を省略するものとし、以下には異なった点のみ説明するものとする。
【0060】
この実施の形態では、コントローラ20が実行する飲料供給制御の内容の点で第1の実施の形態と内容が異なる。図8に、図5に準ずるタイムチャートを示す。この実施の形態では、シロップの総量と稀釈液の総量との全稀釈比率を「1:5」ではなく、「1:5.1」等の半端な値にした場合の対処の仕方について説明する。ここで、全稀釈比率を「1:5.1」にするには、1回〜7回までの各回におけるシロップ用弁8の開き期間を「5パルス」にした場合、それに対応する稀釈液用弁10,12の部分期間を「25.5パルス」にしなければならず、切り捨ての誤差が生じることになる。
そこで、この課題を解決するために、この実施の形態では、シロップについて断続的に行われる7回の吐出のうち、偶数回目である2回目、4回目及び6回目のシロップ吐出の開始時期を補正するために、コントローラ20が、シロップ用弁8の開き時期を所定の補正値Cだけ遅らせるようになっている。この実施の形態では、補正値Cが「1パルス」に設定される。この補正値Cは、必要に応じて適宜に変更されるものである。この補正を実行するコントローラ20は、本発明における開時期補正手段に相当する。
【0061】
上記飲料供給装置の構成によれば、偶数回目(2回目、4回目及び6回目)のシロップ吐出に対応するシロップ用弁8の開き時期が1パルス分の補正値Cだけ補正されることにより、稀釈液についての第1期間、第3期間及び第5期間の長さがそれぞれ1パルス分だけ増やされることになる。
従って、全稀釈比率が半端な「1:5.1」であっても、1回目、3回目及び5回目のシロップ用弁8の開き期間と、それに対応する第1期間、第3期間及び第5期間の長さとの比率が「5:26」に、2回目、4回目及び6回目のシロップ用弁8の開き期間と、それに対応する第2期間、第4期間及び第6期間の長さとの比率が「5:25」になる。これにより、相前後する奇数回目及び偶数回目を合わせた2回分のシロップ吐出に対応するシロップ用弁8の開き期間と、それに対応する二つの部分期間の長さとの比率が「10:51」になる。この結果、全稀釈比率を「1:5.1」のように小数第1位まで正確に合わせることができるようになる。又、2回分のシロップ吐出を一組とする部分稀釈比率を「1:5.1」に合わせることができ、この意味で、カップ14の中の位置によってシロップの濃度に大きな差が生じることを防止することができるようになる。
【0062】
[第3の実施の形態]
次に、本発明(請求項3)の液体混合装置を具体化した第3の実施の形態を図面に従って説明する。
【0063】
この実施の形態でも、コントローラ20が実行する飲料供給制御の内容の点で第1及び第2の実施の形態と異なる。この実施の形態の飲料供給装置では、停止スイッチ26を操作することにより、シロップと稀釈液の吐出を強制的に停止させて飲料供給を強制停止させることができる。しかし、飲料の供給を強制停止させるために、単に停止スイッチ26の操作と同時にシロップ用弁8及び稀釈液用弁10,12を途中で強制的に閉じたのでは、飲料中のシロップと稀釈液との稀釈比率が予定していた全稀釈比率と合わなくなる。
【0064】
そこで、上記課題を解決するために、この実施の形態では、シロップと希釈液とを混合させる途中で停止スイッチ26の操作により混合の停止が指示されたときに、その指示の時期に対応したシロップの吐出回における部分希釈比率を全希釈比率に合わせた状態でシロップと稀釈液の混合を停止させるために、コントローラ20がシロップ用弁8及び稀釈液用弁10,12の閉じ時期を制御するようになている。この制御を実行するコントローラ20が、本発明の混合停止制御手段に相当する。
【0065】
図9はシロップの任意の吐出回に対応するシロップ及び稀釈液の吐出期間をパルス数により示したものである。この図において、停止スイッチ26からの停止信号がシロップが吐出される途中で時刻Taのタイミングで入ったとき、コントローラ20は、原液パルスの最初から3パルス目でシロップ用弁8を閉じさせると共に、最初から15パルス目で稀釈液用10,12を閉じさせることにより、シロップ及び稀釈液の吐出をそれぞれ停止させるようになっている。これにより、シロップと稀釈液との稀釈比率を全稀釈比率である「1:5」に合わせるようになっている。
【0066】
一方、図9において、停止スイッチ26からの停止信号が5パルス分のシロップの吐出が終了してから時刻Tbのタイミングで入ったとき、コントローラ20は、稀釈液パルスの最初から25パルス目で稀釈液用10,12を閉じさせることにより、稀釈液の吐出を停止させるようになっている。これにより、シロップと稀釈液との稀釈比率を全稀釈比率である「1:5」に合わせるようになっている。
【0067】
上記飲料供給装置の構成によれば、シロップと希釈液とが混合される途中でその混合の停止が指示されたときに、シロップ用弁8及び稀釈液用弁10,12の閉じ時期が上記説明のように制御され、その停止が指示された吐出回に対応する部分希釈比率が全希釈比率に合わせられた状態で、シロップと稀釈液との吐出・混合が停止される。このため、シロップと稀釈液の吐出をその途中で任意に停止させた場合でも、その混合液の稀釈比率を常に所期の全稀釈比率である「1:5」に正確に調整することができるようになる。
【0068】
[第4の実施の形態]
次に、本発明(請求項1)の液体混合装置を具体化した第4の実施の形態を図面に従って説明する。
【0069】
この実施の形態の制御内容は、第1の実施の形態のそれを変形したものであり、その内容を図5に準ずる図10のタイムチャートに示す。この実施の形態では、稀釈液の第1期間が「6パルス」分の先出量を含めて「25パルス」となるように設定されるのと同様、他の第2期間〜第6期間においても2回目〜6回目のシロップ吐出に先立つ「6パルス」分を各部分期間に含めるように、1回目〜6回目のシロップ吐出に対応する第1期間〜第6期間の配分が行われる点で第1の実施の形態と異なる。7回目のシロップ吐出と稀釈液についての第7期間の関係については、終了パルステーブルにより決定する第1の実施の形態の場合と同じである。
【0070】
従って、この実施の形態でも、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を得ることができる。特に、この実施の形態では、稀釈液についての第2期間〜第6期間の配分の仕方が、第1期間のそれと同じであることから、第1期間〜第6期間の間で制御プログラムを共通化することができ、プログラム作成の効率化を図ることができるようになる。
【0071】
[第5の実施の形態]
次に、本発明(請求項2)の液体混合装置を具体化した第5の実施の形態を図面に従って説明する。
【0072】
この実施の形態の制御内容は、第2の実施の形態のそれを変形したものであり、その内容を図8に準ずる図11のタイムチャートに示す。この実施の形態では、前述した図10に示す内容において、シロップの総量と稀釈液の総量との全稀釈比率を「1:5.1」等の半端な値にした場合に対処するために、各吐出回の一部におけるシロップ用弁8の開き時期を所定の補正値Cだけ遅らせるようになっている。即ち、この実施の形態では、図11に示すように、シロップについて断続的に行われる7回の吐出のうち、偶数回目である2回目、4回目及び6回目のシロップ吐出の開始時期を補正するために、コントローラ20が、シロップ用弁8の開き時期を補正値Cだけ遅らせるようになっている。そして、2回目、4回目及び6回目のシロップ吐出に対応するシロップ用弁8の開き時期が1パルス分の補正値Cだけ補正されることにより、稀釈液についての第1期間、第3期間及び第5期間の長さがそれぞれ1パルス分だけ増やされるようになっている。7回目のシロップ吐出と稀釈液についての第7期間の関係については、終了パルステーブルにより決定する第1の実施の形態の内容と同じである。
【0073】
従って、この実施の形態でも、前記第4の実施の形態の作用及び効果を前提として、前記第2の実施の形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0074】
尚、この発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で以下のように実施することもできる。
【0075】
(1)前記各実施の形態では、本発明の液体混合装置を飲料供給装置に具体化したが、これに限られるものではなく、例えば、所定原液としての薬液を稀釈液により稀釈するようにした薬液供給装置に具体化することもできる。
【0076】
(2)前記各実施の形態によれば、7回目のシロップの吐出及び第7期間の稀釈液の吐出に対応して、最終パルステーブルを参照することにより決定される原液パルス数及び稀釈液パルス数に基づいてシロップ用弁8及び稀釈液用弁10,12の閉じ時期を制御するようにした。これに対し、最終パルステーブルではなく、所定の計算式に従って原液パルス数及び稀釈液パルス数を演算するようにしてもよい。
【0077】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明の構成によれば、ノズルに原液が固着したり容器の底に原液のかたまりが残ったりするのを防止することができ、常に液体をノズルから円滑に吐出させることができ、容器の底で原液が部分的に濃くなることを防止することができるという効果を発揮する。
【0078】
請求項1に記載の発明の構成によれば、容器の中の位置によって原液濃度に差が生じることを防止することができ、混合液を掻き混ぜなくても容器の各位置で原液濃度を均一にすることができるという効果を発揮する。
【0079】
請求項2に記載の発明の構成によれば、全稀釈比率を小数の位まで正確に合わせることができると共に、容器の各位置で原液濃度に大きな差が生じることを防止することができるという効果を発揮する。
【0080】
請求項3に記載の発明の構成によれば、原液及び稀釈液の吐出を途中で停止させても、混合液の稀釈比率を所期の全稀釈比率に正確に調整することができるという効果を発揮する。
【0081】
請求項4に記載の発明の構成によれば、原液の最終吐出回に対応する部分稀釈比率の値を全稀釈比率の値に、手間なく容易に合わせることができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態に係り、飲料供給装置を示すブロック図である。
【図2】 同じく、シロップ調節機を示す断面図である。
【図3】 同じく、シロップ調節機の流量計を示す図である。
【図4】 同じく、図2のA−A線断面図である。
【図5】 同じく、シロップと稀釈液の配給方法を示すタイムチャートである。
【図6】 同じく、「終了パルステーブル」を示す図である。
【図7】 同じく、カップにおける部分稀釈比率と全稀釈比率を示す説明図である。
【図8】 第2の実施の形態に係り、シロップと稀釈液の配給方法を示すタイムチャートである。
【図9】 第3の実施の形態に係り、シロップ及び稀釈液の吐出期間の違いを示す説明図である。
【図10】 第4の実施の形態に係り、シロップと稀釈液の配給方法を示すタイムチャートである。
【図11】 第5の実施の形態に係り、シロップと稀釈液の配給方法を示すタイムチャートである。
【図12】 従来例に係り、原液と稀釈液の配給方法を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
7 シロップ流量計(原液流量計)
8 シロップ用弁(原液用弁)
9 冷却水流量計(稀釈液流量計)
10 冷却水用弁(稀釈液用弁)
11 炭酸水流量計(稀釈液流量計)
12 炭酸水用弁(稀釈液用弁)
13 ノズル
14 カップ(容器)
20 コントローラ(開始時制御手段、開始後制御手段、稀釈比率制御手段、開時期補正手段、混合停止制御手段及び最終時期演算手段)
Claims (4)
- 原液の流量を計測するための原液流量計と、
前記原液の流量を調節するための原液用弁と、
希釈液の流量を計測するための希釈液流量計と、
前記希釈液の流量を調節するための希釈液用弁と、
前記原液流量計及び前記希釈液流量計の計測結果に基づいて前記原液用弁及び前記希釈液用弁を制御することにより、前記原液と前記希釈液をそれぞれ所定量ずつノズルから容器に吐出させて所定の全希釈比率で混合させる液体混合装置において、
前記原液と前記希釈液との混合を開始させるとき、前記希釈液を所定の先出量だけ前記原液より先に前記ノズルから吐出させるために、前記希釈液用弁を前記原液用弁より先に開かせる開始時制御手段と、
前記原液と前記希釈液との混合を開始させたとき、前記希釈液を所定の総量だけ前記ノズルから連続的に吐出させるために、前記希釈液用弁を所定の全期間だけ連続的に開かせると共に、前記原液について所定の総量を複数回に分割して前記ノズルから断続的に吐出させるために、前記原液用弁を断続的に開閉させる開始後制御手段と、
前記原液について断続的に行われる各吐出に対応して前記連続的に吐出される希釈液の前記全期間を仮想的に複数の部分期間に分割し、1回目の部分期間においては、最初に希釈液用弁を開かせてから2回目に前記原液用弁を開かせるまでの間における希釈液の吐出量とそれに対応して吐出される原液の吐出量との部分希釈比率を前記全希釈比率に合わせ、2回目以降の各部分期間においては、前記原液が1回吐出されてから次に吐出されるまでの間における希釈液の吐出量とそれに対応して吐出される原液の吐出量との部分希釈比率を前記全希釈比率に合わせるために前記原液用弁の開閉を制御する希釈比率制御手段とを備えたことを特徴とする液体混合装置。 - 原液の流量を計測するための原液流量計と、
前記原液の流量を調節するための原液用弁と、
希釈液の流量を計測するための希釈液流量計と、
前記希釈液の流量を調節するための希釈液用弁と、
前記原液流量計及び前記希釈液流量計の計測結果に基づいて前記原液用弁及び前記希釈液用弁を制御することにより、前記原液と前記希釈液をそれぞれ所定量ずつノズルから容器に吐出させて所定の全希釈比率で混合させる液体混合装置において、
前記原液と前記希釈液との混合を開始させるとき、前記希釈液を所定の先出量だけ前記原液より先に前記ノズルから吐出させるために、前記希釈液用弁を前記原液用弁より先に開かせる開始時制御手段と、
前記原液と前記希釈液との混合を開始させたとき、前記希釈液を所定の総量だけ前記ノズルから連続的に吐出させるために、前記希釈液用弁を所定の全期間だけ連続的に開かせると共に、前記原液について所定の総量を複数回に分割して前記ノズルから断続的に吐出させるために、前記原液用弁を断続的に開閉させる開始後制御手段と、
前記原液について断続的に行われる各吐出に対応して前記連続的に吐出される希釈液の前記全期間を仮想的に複数の部分期間に分割し、前記各部分期間における希釈液の吐出量とそれに対応して吐出される原液の吐出量との部分希釈比率を前記全希釈比率に合わせるために前記原液用弁の開閉を制御する希釈比率制御手段と、
前記原液について断続的に行われる複数回の吐出のうち奇数回目又は偶数回目の吐出の開始時期を補正するために、前記原液用弁の開く時期を補正する開時期補正手段と
を備えたことを特徴とする液体混合装置。 - 原液の流量を計測するための原液流量計と、
前記原液の流量を調節するための原液用弁と、
希釈液の流量を計測するための希釈液流量計と、
前記希釈液の流量を調節するための希釈液用弁と、
前記原液流量計及び前記希釈液流量計の計測結果に基づいて前記原液用弁及び前記希釈液用弁を制御することにより、前記原液と前記希釈液をそれぞれ所定量ずつノズルから容器に吐出させて所定の全希釈比率で混合させる液体混合装置において、
前記原液と前記希釈液との混合を開始させるとき、前記希釈液を所定の先出量だけ前記原液より先に前記ノズルから吐出させるために、前記希釈液用弁を前記原液用弁より先に開かせる開始時制御手段と、
前記原液と前記希釈液との混合を開始させたとき、前記希釈液を所定の総量だけ前記ノズルから連続的に吐出させるために、前記希釈液用弁を所定の全期間だけ連続的に開かせると共に、前記原液について所定の総量を複数回に分割して前記ノズルから断続的に吐出させるために、前記原液用弁を断続的に開閉させる開始後制御手段と、
前記原液について断続的に行われる各吐出に対応して前記連続的に吐出される希釈液の前記全期間を仮想的に複数の部分期間に分割し、前記各部分期間における希釈液の吐出量とそれに対応して吐出される原液の吐出量との部分希釈比率を前記全希釈比率に合わせるために前記原液用弁の開閉を制御する希釈比率制御手段と、
前記原液と前記希釈液との混合途中でその停止が指示されたとき、その指示された時期に対応する吐出回における前記部分希釈比率を前記全希釈比率に合わせた状態で前記混合を停止させるために、前記原液用弁及び前記希釈液用弁の閉じる閉時期を制御する混合停止制御手段と
を備えたことを特徴とする液体混合装置。 - 原液の流量を計測するための原液流量計と、
前記原液の流量を調節するための原液用弁と、
希釈液の流量を計測するための希釈液流量計と、
前記希釈液の流量を調節するための希釈液用弁と、
前記原液流量計及び前記希釈液流量計の計測結果に基づいて前記原液用弁及び前記希釈液用弁を制御することにより、前記原液と前記希釈液をそれぞれ所定量ずつノズルから容器に吐出させて所定の全希釈比率で混合させる液体混合装置において、
前記原液と前記希釈液との混合を開始させるとき、前記希釈液を所定の先出量だけ前記原液より先に前記ノズルから吐出させるために、前記希釈液用弁を前記原液用弁より先に開かせる開始時制御手段と、
前記原液と前記希釈液との混合を開始させたとき、前記希釈液を所定の総量だけ前記ノズルから連続的に吐出させるために、前記希釈液用弁を所定の全期間だけ連続的に開かせると共に、前記原液について所定の総量を複数回に分割して前記ノズルから断続的に吐出させるために、前記原液用弁を断続的に開閉させる開始後制御手段と、
前記原液について断続的に行われる各吐出に対応して前記連続的に吐出される希釈液の前記全期間を仮想的に複数の部分期間に分割し、前記各部分期間における希釈液の吐出量とそれに対応して吐出される原液の吐出量との部分希釈比率を前記全希釈比率に合わせるために前記原液用弁の開閉を制御する希釈比率制御手段と、
前記原液の最終の吐出回に対応する前記部分希釈比率を前記全希釈比率に合わせるために、同吐出回に対応して残された前記原液及び前記稀釈液の余り量に基づいて前記原液用弁及び前記希釈液用弁の閉じる時期をそれぞれ演算するための最終時期演算手段と
を備えたことを特徴とする液体混合装置。
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