JP3869687B2 - 微生物活性測定装置及び微生物活性の測定方法 - Google Patents

微生物活性測定装置及び微生物活性の測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ほぼリアルタイムの迅速測定が可能であり、誰でも微生物活性を簡便且つ定量的に検出できる微生物活性測定装置、及びそのとき使用する微生物活性の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今、微生物、中でも悪性の細菌による食中毒事件は社会問題の一つとなっており、例年の如く夏場にはこうした事件が報じられる。食中毒事件は、原因不明の場合も多いが、細菌が原因の場合が全体の8割以上にものぼっており、食品管理における細菌検査がきわめて重要なことを示唆している。
【0003】
そして、食品産業のプラント化が進んだ現状では、一つの工場で発生した細菌汚染により社会的に甚大な被害を及ぼしかねない。このため、食品会社は食品製造にあたって細心の衛生管理を行い、細菌検査を行っている。細菌検査においては、一般的に後述するコロニーカウント法で細菌の個体数をカウントすることが行われている。
【0004】
ところで、微生物には上述したような悪性の細菌ばかりでなく、有用な微生物も非常に多い。古来、千年以上にわたって育まれてきた醸造技術では、発酵を行う酵母等の有用菌がなくては目的を果たせず、例えば乳製品製造では乳酸菌が、また最近開発された各種抗生物質の生産にはカビや放射線菌等が欠かせないことは周知のことである。
【0005】
こうした有用な微生物を用いて有用物質を生産するプロセスにおいては、他の工業プロセスと同様に、多くの物理的状態量や化学的状態量が計測され、目的生産物の収率改善に利用されている。中でもリアクター内部に存在する微生物の個体数や活性度(以下、生菌数ともいう)は、反応を直接的に示す重要なパラメータであるためとくに重要で、定量的にこれを把握する方法が切望されている。
【0006】
なお、以上の説明からも分かるように、本明細書において微生物というのは、こうしたプロセスで用いられる酵母類やカビ類のほかに、一般に細菌、真菌、放線菌、リケッチア、マイコプラズマ、ウイルス等、いわゆる微生物学の対象となっているあらゆる微生物を含んでいる。
【0007】
さて、このような微生物の個体数、活性度を定量するために、従来は一般的にコロニーカウント法を用いてきた。すなわち、この方法は、微生物を含有した懸濁液のサンプルを培地上に散布し、この微生物の増殖に伴って形成されるコロニー(集落)の数から生菌数を定量するものである。しかし、このコロニーカウント法は、コロニーが形成されるまでに1日から数日という驚くほどの長時間を必要とし、定量が行えるとはいえ、オフラインでしか使用できないものであった。これでは、リアクター内の状態を把握してプロセス制御を行うことなど不可能なものであった。そして、検査対象からのサンプリング、濃縮や希釈、培地への植えつけ、コロニー数(CFU)のカウントなど、専門家による高度の知識と煩雑な手作業が必要である。こうしたことから、検査に必要なランニングコストの上昇や、人為的ミスを招来することがないとはいいきれなかった。
【0008】
このほかの方法として、発光を利用するATP(Adenosine Tri Phosphate)法がある。動物、植物、細菌などの細胞には、必ずATP(アデノシン三リン酸)が含まれているため、検査試料中の細菌内に含まれるATPをATP抽出試薬により抽出し、更に抽出したATPを蛍の酵素(ルシフェラーゼ)により発光させ、発光量を測定することでATP量を検出するものである。微生物中のATP含有量はある一定の数値になっているので、発光強度から推定されるATP量を検出することでサンプルに含まれる菌数を推定するものである。
【0009】
しかし、ATP抽出試薬によるATPの抽出や、酵素を作用させたり、発光量の測定、ATP量の推定等は専門家による高度で複雑な作業が必要で、時間もかかり、リアルタイムの測定が行えるものではなかった。
【0010】
そこで、本発明者は、コロニーカウント法によらずに微生物の個体数を定量することを目的として、他の発明者らとともに誘電泳動と電気インピーダンスを組み合わせて微生物数を測定する方法(DEPIM法 (Dielectrophoretic Impedance Measurement Method))を提案した。
【0011】
このDEPIM法は、微生物の濃縮プロセスと菌濃度検出プロセスのいずれのプロセスも電気的に行うのが特徴である。濃縮プロセスは、誘電泳動現象(電界中で分極した誘電体粒子に電気的な力が作用し、一定方向に運動する現象)により細菌を集積型マイクロ電極上で濃縮し、菌濃度検出プロセスは、濃縮する時の電極間インピーダンスの変化から菌濃度を定量的に推定するものである(八浪、他:「誘電泳動インピーダンス計測による大腸菌の懸濁濃度測定(1)〜原理と装置概要〜」、静電気学会講演論文集'99、pp.337〜340 (1999);濱田、他:「誘電泳動インピーダンス計測による大腸菌の懸濁濃度測定(2)〜懸濁濃度の推定モデル〜」、静電気学会講演論文集'99、pp.341〜344 (1999))。
【0012】
このDEPIM法で微生物を検出するためには、微生物を誘電泳動力によりマイクロ電極に捕集することが必要である。言い換えれば、誘電泳動力が十分に作用しないような条件下ではマイクロ電極に捕集される菌数が減少するため、検出信号は低下するという特徴を有している。微生物に作用する誘電泳動力FDEPは複素数表現すると、理論的に以下の(数1)で与えられる。
【0013】
【数1】
Figure 0003869687
ここで、複素誘電率Kは(数2)で表され、
【0014】
【数2】
Figure 0003869687
また、懸濁液の複素誘電率ε は(数3)で表され、
【0015】
【数3】
Figure 0003869687
ε :懸濁液の誘電率
ε :懸濁液の複素誘電率
ε :微生物の複素誘電率
σ 懸濁液の伝導率
ω :電界の角周波数
また、
a :球形近似したときの微生物の半径
Re[K] :微生物と懸濁液の複素誘電率に依存するパラメータ
E :電界強度
である。この(数1)(数2)(数3)から明らかなように、懸濁液と微生物の大きさが一定であれば、誘電泳動力FDEPはパラメータRe[K]に比例することがわかる。
【0016】
図9は細胞質導電率をパラメータとするRe[K]の周波数特性図である。図9において、誘電泳動に用いる電界の周波数fをパラメータとして、誘電泳動力を細胞質導電率σiの関数として表している。細胞質内部の溶液の導電率である。図9によると、周波数10kHz〜1MHzで正の誘電泳動力が働き、それ以外では負の誘電泳動力が働くのがわかる。細胞質導電率σiと周波数fによっては負の誘電泳動力が働き、誘電泳動力FDEPが微生物に作用しても、捕集できない場合があることが分かる。
【0017】
従って、微生物(細胞質導電率σi)の種類や生死に応じて周波数fを選択すると、正の誘電泳動力を作用させて捕集したり、負の誘電泳動力を作用させて排除することが可能である。但し、実際の誘電泳動には懸濁液導電率等の影響も考慮しなければならない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、従来から様々の分野で微生物の個体数と活性度を定量する必要があったが、コロニーカウント法に代わる適当な定量方法がなく、一般的にコロニーカウント法が用いられてきた。しかし、このコロニーカウント法は、コロニーが形成されるまでに1日から数日という非常に長い時間を必要とし、定量が行えるとはいえ、オフラインでしか使用できないものであった。
【0019】
現在、食中毒等への対処や保険衛生の点から迅速性が強く求められ、また、酵母や有用な微生物を用いての有用物質の生産システムを高効率に制御したり、生産物の収率管理等を行うために、微生物の個体数と活性度をリアルタイムに定量することが求められている。しかし、上述したコロニーカウント法や、ATP法は、定量自体にも時間がかかってリアルタイムの測定を実現するのは完全に無理である上に、測定に使用する試薬等も多く、当然専門家による高度で複雑な作業が必要で、とても一般の人間が測定を行えるようなものではなかった。
【0020】
その点、本発明者が他の研究者らと一緒に提案したDEPIM法は、微生物の濃縮と菌濃度検出のいずれのプロセスも電気的に行うため、測定に時間がかからないという点で大きな特徴を有しており、検出に際して試薬を使用しないし、誘電泳動現象の経時変化を統計的にみることによって菌濃度の推定時間を短縮できるというきわめて優れた特徴を有している。
【0021】
このように優れたDEPIM法であるが、微生物に関する(数1)の中の複素誘電率K、従って、Re[K]は、Craneなど複数の研究者によって微生物の活性(生菌、死菌の区別)に強く影響を受けることが指摘されている。しかし、この活性を区別して定量化する方法は存在しない。DEPIM法でリアルタイムに微生物活性を測定できるようになるためには、どうしても試料液中の微生物の生菌、死菌の区別を明確に付け、生菌だけを検出する手法の開発が必要である。
【0022】
すなわち、食中毒や保険衛生の点から微生物の活性を検出する場合には、通常,検出と同時並行的に殺菌が行われているため死菌もリアルタイムに増えていくし、酵母や有用な微生物を用いての生産システムにおいても、リアルタイムに生菌、死菌の増減を把握しなければならない。
【0023】
そこで、本発明はこのような問題を解決するために、リアルタイムに近い迅速性を備え、誰でも微生物活性を簡便且つ定量的に検出する微生物活性測定装置を提供することを目的とする。
【0024】
また、本発明は、リアルタイムに近い迅速性を備え、誰でも微生物活性を簡便且つ定量的に検出する微生物活性の測定方法を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決するため本発明の微生物活性測定装置は、微生物毎に懸濁液導電率,生菌だけのときのコンダクタンスと死菌だけのときのコンダクタンスの比をとったときに該死菌だけのコンダクタンスが10%以下となる活性度測定最適周波数,検量線データを格納した活性度測定用テーブルが格納されたメモリ部とを備え、入力手段から試料液に含まれる微生物の種類と懸濁液導電率が入力されると、演算制御部が活性度測定用テーブルから活性度測定最適周波数を読み出し、誘電泳動用電源部が該活性度測定最適周波数の交流電圧を印加して微生物のうち生菌を濃縮し、測定部によって測定されたインピーダンスにより検量線データに基づいて電極間のコンダクタンス変化から微生物数を算出して出力することを特徴とする。
【0026】
これにより、リアルタイムに近い迅速性を備え、誰でも微生物活性を簡便且つ定量的に検出することができる。
【0027】
また、本発明の微生物活性の測定方法は、試料液に浸漬した一対の電極間に生菌だけのときのコンダクタンスと死菌だけのときのコンダクタンスの比をとったときに該死菌だけのコンダクタンスが10%以下となる活性度測定最適周波数の交流電圧を印加し、該試料液に含有された特定の微生物中の生菌を誘電泳動して濃縮するとともに電極間のインピーダンスを測定し、測定したインピーダンスに基づいて電極間のコンダクタンス変化から微生物数を算出することを特徴とする。
【0028】
これにより、リアルタイムに近い迅速性を備え、誰でも微生物活性を簡便且つ定量的に検出することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、試料液を収容することができる測定チャンバーと、測定チャンバー内の試料液に浸漬され、不平等電界を発生して誘電泳動により該試料液に含有される微生物を濃縮するとともに、このときのインピーダンスを測定するための一対の電極と、電極間に交流電圧を印加する誘電泳動用電源部と、電極間のインピーダンスを測定することができる測定部と、誘電泳動用電源部と測定部の制御を行う演算制御部と、微生物毎に懸濁液導電率,生菌だけのときのコンダクタンスと死菌だけのときのコンダクタンスの比をとったときに該死菌だけのコンダクタンスが10%以下となる活性度測定最適周波数,検量線データを格納した活性度測定用テーブルが格納されたメモリ部とを備え、入力手段から試料液に含まれる微生物の種類と懸濁液導電率が入力されると、演算制御部が活性度測定用テーブルから活性度測定最適周波数を読み出し、誘電泳動用電源部が該活性度測定最適周波数の交流電圧を印加して微生物のうち生菌を濃縮し、測定部によって測定されたインピーダンスにより検量線データに基づいて電極間のコンダクタンス変化から生菌の微生物数を算出して出力することを特徴とする微生物活性測定装置であるから、微生物名と懸濁液導電率を入力手段により入力すると、活性度測定用テーブルから活性度測定最適周波数を読み出し、この活性度測定最適周波数の交流電圧を印加して電極間に不平等電界を発生させ、これによって発生する誘電泳動力により微生物のうち生菌だけを誘電泳動で濃縮することができる。このとき、活性度測定最適周波数は、生菌に対しては正の誘電泳動力が作用し、死菌に対しては負の誘電泳動力が作用する、若しくは実用上(言い換えればほとんど)正の誘電泳動力が作用しないから、生菌と死菌の分離を実用上の精度を保ちつつ可能にするとともに、分離可能な周波数の中では正の誘電泳動力を大きくすることができる。これにより濃縮できるのは生菌だけとなる。この濃縮と同時にインピーダンス測定を行い、生菌が濃縮されて電極間のコンダクタンスが変化するのを検出し、コンダクタンスの変化が微生物数(生菌数)と比例していることを利用し、微生物のうち生菌の数を算出して出力することができる。活性度測定最適周波数を選択したときに、死菌が当初若干残留する理由は、測定開始時点に電極付近に存在した死菌に対しては、生菌に作用する大きな正の誘電泳動力は作用しないものの、負の誘電泳動力もしくは0近傍の誘電泳動力が作用し、これによって域外に排除されるのに時間がかかるからである。
【0031】
本発明の請求項に記載の発明は、演算制御部が、前記電極間のコンダクタンスの初期増加率から生菌の微生物数を算出して出力することを特徴とする請求項記載の微生物活性測定装置であるから、誘電泳動により微生物を濃縮する際に、濃縮過程初期のコンダクタンスの増加率で試料液中の微生物濃度を推定することができ、リアルタイムと評価できるほどの迅速な測定が可能になる。
【0032】
本発明の請求項に記載の発明は、測定チャンバーには攪拌装置が設けられ、演算制御部が時計手段の行う計時に基づいて試料液の攪拌を行うことを特徴とする請求項1または2記載の微生物活性測定装置であるから、試料液を導入して誘電泳動するとき、微生物濃度を全体として均一化するとともに、より多くの微生物を電極近傍に導くことができる。
【0033】
本発明の請求項に記載の発明は、測定チャンバーには試料液の供給管と排出管が設けられるとともに、供給管に供給バルブ、排出管に排出バルブが設けられ、演算制御部が時計手段の行う計時に基づいて、供給バルブを開いて試料液を測定チャンバーに供給し、測定後排出バルブを開いて試料液を排出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の微生物活性測定装置であるから、試料液を自動的に供給し、測定後自動的に排水することができる。
【0034】
本発明の請求項に記載の発明は、測定チャンバーには洗浄液の洗浄管が設けられるとともに、洗浄管に洗浄バルブが設けられ、演算制御部が時計手段の行う計時に基づいて、洗浄バルブを開いて洗浄液を測定チャンバーに供給し、試料液を排出した後チャンバー内を洗浄することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の微生物活性測定装置であるから、排水後洗浄液を測定チャンバーに導入し、自動的に測定チャンバー内を洗浄することができる。
【0035】
本発明の請求項に記載の発明は、試料液に浸漬した一対の電極間に生菌だけのときのコンダクタンスと死菌だけのときのコンダクタンスの比をとったときに該死菌だけのコンダクタンスが10%以下となる活性度測定最適周波数の交流電圧を印加し、該試料液に含有された特定の微生物中の生菌を誘電泳動して濃縮するとともに電極間のインピーダンスを測定し、測定したインピーダンスに基づいて電極間のコンダクタンス変化から生菌の微生物数を算出することを特徴とする微生物活性の測定方法であるから、活性度測定最適周波数の交流電圧を印加して電極間に不平等電界を発生させ、これによって発生する誘電泳動力により微生物のうち生菌だけを誘電泳動で濃縮することができる。このとき、活性度測定最適周波数は、生菌に対しては正の誘電泳動力が作用し、死菌に対しては負の誘電泳動力が作用する、若しくは実用上(言い換えればほとんど)正の誘電泳動力が作用しないから、生菌と死菌の分離を実用上の精度を保ちつつ可能にするとともに、分離可能な周波数の中では正の誘電泳動力を大きくことができる。これにより濃縮できるのは生菌だけとなる。この濃縮と同時にインピーダンス測定を行い、生菌が濃縮されて電極間のコンダクタンスが変化するのを検出し、コンダクタンスの変化が微生物数(生菌数)と比例していることを利用し、微生物のうち生菌の数を算出して出力することができる。
【0037】
本発明の請求項に記載の発明は、電極間のコンダクタンスの初期増加率から微生物数を算出することを特徴とする請求項記載の微生物活性の測定方法であるから、誘電泳動による濃縮過程初期のコンダクタンスの増加率で試料液中の微生物濃度を推定することができ、リアルタイムと評価できるほどの迅速な測定が可能になる。
【0038】
(実施の形態1)
以下、本発明における実施の形態1における微生物活性測定装置及び微生物活性の測定方法について説明する。図1は本発明の実施の形態1における微生物活性測定装置の構成図、図2(a)は本発明の実施の形態1における微生物活性測定装置の活性度測定用テーブルの測定用制御データ図、図2(b)は本発明の実施の形態1における微生物活性測定装置の活性度測定用テーブルの検量線図、図3は本発明の実施の形態1における微生物活性測定装置の誘電泳動力に及ぼす細胞質導電率と電界周波数の関係図、図4は本発明の実施の形態1における微生物活性測定装置の電界周波数100kHzでの生菌と死菌の検出図、図5は本発明の実施の形態1における微生物活性測定装置の電界周波数1MHzでの生菌と死菌の検出図、図6は本発明の実施の形態1における微生物活性測定装置の生菌と死菌の混合懸濁液から生菌と死菌が分離されることを示す図、図7は本発明の実施の形態1における微生物活性測定装置の生菌数の加熱殺菌時間依存性を示す図、図8は図4は本発明の実施の形態1における微生物活性測定装置の加熱殺菌後の微生物活性測定図である。
【0039】
図1において、1はDEPIM法 (Dielectrophoretic Impedance Measurement Method)で微生物中の生菌を測定するため試料液を収容する測定チャンバー、2は微生物活性を測定するためのチップ化された電極部、2a,2bは電極部2を構成する一対の電極である。電極2a,2bは、誘電泳動を行うために不平等電界を発生して、電極2a,2b間にパールチェインと呼ばれる微生物の鎖を多数橋絡できる形状、例えばキャッスルウォール型電極、櫛歯型電極等の形状を備えておればよい。キャッスルウォール型電極は、両側に1ピッチ(例えば50μm〜100μm)おきに突出する多数の矩形電極片が形成された電極2a,2bを1ピッチずらして5μm〜10μm離して配設したもので、電極2a,2bの各矩形電極片のエッジ間に電界が集中するものである。また、櫛歯型電極は、櫛のように歯(例えば30μm〜100μm幅)を形成された一対の電極が溝に入れ子状に挿入、組み合わされ、狭いギャップ(例えば5μm〜10μm幅)で対向した電極であり、主として厚さ方向のエッジ間に不平等電界が形成され、パールチェインが多数形成されるものである。微生物の大きさでギャップやピッチは最も適当な値を選択するのが望ましい。
【0040】
電極2a,2bはクロムや白金等の薄膜電極として構成し、ガラス基板やプラスチック基板にスパッタリングや蒸着、メッキ等で成膜し、フォトリソグラフィー等でエッチングして形成するのがよい。薄膜の厚さは50nm〜200nm程度のものが多数のパールチェインを形成する上で望ましい。なお、電極2a,2bの材質はクロムや白金に限らず、交流電圧を印加したとき電気分解が生じないイオン化傾向の小さい金属であればよい。
【0041】
ところで、測定チャンバー1は、図1に示すように電極部2を別体として内部に収容するほかに、電極部2の基板を覆った構造とすることもできる。例えば、電極2a,2bの周囲にスペーサを配置して、このスペーサ上にガラス板やプラスチック板等を載せて接着すれば微小な測定チャンバー1をコンパクトな構造として作ることができる。これは試料液が少量である場合に有効であり、攪拌に代えて閉回路として流動させることで、微生物を電極2a,2b付近に導くとともに微生物濃度を均一化するのが望ましい。
【0042】
次に、3は電極2a,2b間に誘電泳動を発生させるために交流電圧を印加する誘電泳動用電源部、4は電極2a,2b間のインピーダンスを測定することができる測定部、5はマイクロプロセッサ等から構成され、作業域に制御用のプログラムや各種データをロードして機能し、少なくとも誘電泳動用電源部3及び測定部4を制御するとともに演算を行う演算制御部、6は時計手段である。誘電泳動用電源部3は、電極2a,2b間に印加する交流電圧の電圧と周波数を演算制御部5によって制御される。本実施の形態1においては、1kHz〜10MHzの間で周波数を変えることができ、ピーク間電圧(以下、ppと表す)1Vpp〜20Vppを印加できるファンクションジェネレータが採用されている。なお、本明細書で交流電圧というのは、正弦波のほか、ほぼ一定の周期で流れの向きを変える三角波、方形波等の電圧を意味し、正負両サイドの電流の平均値が等しいものである。後述する活性度測定最適周波数は微生物の種類や懸濁液伝導率によって変化し、電圧は電極2a,2b間で電気分解が発生せず、誘電泳動力が大きくなるような値が選択される。
【0043】
測定部4には500Ω程度の電流検出用の抵抗が設けられ、図1に示す電圧印加回路に直列に挿入されており、これを流れる電流を測定して電極2a,2b間のコンダクタンス(抵抗成分の逆数)を算出している。すなわち、演算制御部5は、時計手段6の計時する、例えば10sec間隔というタイミングで、誘電泳動用電源部3の周波数と電圧を制御し、電極2a,2b間に活性度測定最適周波数の交流電圧を印加すると同時に、このとき測定部4に電圧印加回路を流れる電流の測定を行わせ、試料液中の微生物が濃縮されたことによる抵抗成分の測定を行い、逆数をとってコンダクタンスの算出をしている。時計手段6はこのサンプリングのタイミングだけでなく、実施の形態1における微生物活性測定装置の自動運転のためのスケジューリングのための時間管理を行う。
【0044】
さて、7は演算制御部5にロードするプログラムや各種データを格納したメモリ部、7aはメモリ部7の中に設けられ、微生物のうち生菌だけを捕集して濃縮するための測定用制御データと、コンダクタンスを示す測定部4の出力(以下、DEPIM出力)から生菌数を換算するための検量線データ等を格納した活性度測定用テーブルである。測定用制御データは、微生物毎に、微生物を懸濁した試料液の懸濁液導電率と、生菌に正の誘電泳動力を作用し、死菌に負の誘電泳動力もしくは0近傍の誘電泳動力を作用させることが可能な活性度測定最適周波数がデータベース化されている。活性度測定最適周波数より大きい周波数を選択すると、生菌を濃縮するための正の誘電液動力が低下し、活性度測定最適周波数より小さい周波数を選択すると、生菌と死菌の分離が難しくなって測定精度が低下する。従って、活性度測定最適周波数を使用するのが最適であるが、これより大きい周波数を使用することも考えられる。しかし、測定に時間がかかるようになる上、測定部4との関係から好ましいものではない。
【0045】
そこで、以下、活性度測定用テーブル7aに格納されている測定用制御データや検量線データについて詳述する。図2(a)に示すように、測定用制御データには、少なくとも、微生物名,試料液の溶媒である懸濁液の懸濁液導電率,印加する交流電圧のピーク間電圧,活性度測定最適周波数が互いに関係付けられて格納されている。すなわち、測定用制御データとして格納されているのは、微生物の種類毎に関係付けられた懸濁液導電率と、このとき印加するピーク間電圧と、活性度測定最適周波数等である。図2(a)においては、懸濁液導電率は微生物毎に1種類の導電率しか格納されていないが、微生物毎に複数種類の導電率を格納し、それぞれにピーク間電圧と活性度測定最適周波数を関係付けるのが好適である。図2(b)には、測定部4が検出したコンダクタンスを示すDEPIM出力と生菌数とを換算するための検量線が記載されている。この検量線データは、微生物の種類毎にDEPIM出力値と生菌数が1対1で対応付けられたテーブル状になっていてもよいが、検量線を1次関数として活性度測定用テーブル7aに記憶しておくのもデータ量を小さくできて望ましい。
【0046】
次に、活性度測定最適周波数について説明する。DEPIM法による誘電泳動力を示す(数1)において、複素誘電率K、従って、Re[K]は、複数の研究者によって微生物の活性(生菌、死菌の区別)に強く影響を受けることが指摘されている。Craneらの研究者は、加熱殺菌などによって微生物の細胞膜に含まれるタンパク質(酵素)が変性し細胞膜に欠陥が生じると、細胞膜内部の細胞質に含まれる各種イオンがこれら欠陥を通して外部に漏れ出すため、細胞質部分の導電率σiが時間と共に低下することを指摘している。
【0047】
この細胞質内導電率σiが低下した場合、(数1)中のRe[K]すなわち誘電泳動力がどのように変化するかを理論的に求めた結果が図3である。図3においては、誘電泳動に用いる電界の周波数fをパラメータとして、誘電泳動力を細胞質導電率σiの関数として表現している。図3によると、周波数100kHzでは誘電泳動力の細胞質導電率σiへの依存性は小さいが、周波数1MHzでは細胞質導電率σiの低下に伴い誘電泳動力が低下することがわかる。例えば細菌の失活によって細胞質導電率σiが初期値の10−1mから10−2mに低下した場合、周波数100kHzでは誘電泳動力は5%しか低下しないが、1MHzでは70%も低下している。
【0048】
従って、周波数1MHzで細胞質導電率σiが低くなった微生物の集合(例えば、σiが2×10−3S/m付近の大部分が死菌である集合に、生菌がわずか混じった集合)を誘電泳動した場合、細胞質導電率σiの低下に伴い正の誘電泳動力が作用する生菌はほとんど存在せず、負の誘電泳動力が作用する死菌がほとんど全部を占めることが分かる。しかし、これが周波数100kHzの場合は、死菌に対しても正の誘電泳動力が作用し、周波数1MHzでは濃縮されなかった同じ微生物の集合が生菌死菌合わせて濃縮されることが分かる。これが、500kHzの場合は、σiが2×10−3S/m付近の大部分の死菌には誘電泳動力はほとんど作用せず、それ以上の細胞質導電率σiをもつ死菌に対してわずかながら正の誘電泳動力が作用している。
【0049】
これらのことは、死菌に対して誘電泳動を行う周波数を高くしていくと、負の誘電泳動力かほとんど誘電泳動力が作用しない状態が招来され、生菌に対してだけ正の誘電泳動力が作用するようになることを示している。しかし、周波数の増加につれて誘電泳動力自体は減少傾向を示し、誘電泳動に時間を要するようになる上、10MHz以上の高周波数にすると、測定部4の能力から測定する精度が期待通りに得られなくなる。従って、生菌死菌を選択的に濃縮するのに活性度測定最適周波数が最も有効な周波数であることが分かる。
【0050】
この活性度測定最適周波数を決定するには、次のような実験を行って決定するのがよい。すなわち、同じ微生物濃度で生菌だけの試料液と死菌だけの試料液をそれぞれ用意し、同じ周波数、電圧、懸濁液導電率で測定を行う。周波数を変化させて上昇させていくと、生菌だけのコンダクタンスを示すDEPIM信号が死菌のそれより相対的に大きくなっていく。この死菌に対する測定部4からのDEPIM信号が検出されないようになったときの周波数を活性度測定最適周波数とする。この状態においては、死菌は結果として電極2a,2b近傍の測定領域から排除されているからである。図2(a)に示した活性度測定最適周波数はこのようにして決定されたものであり、微生物毎、懸濁液毎に実験を繰り返して精緻な活性度測定用テーブル7aを作成しておくのが適当である。
【0051】
ところで、以上説明したことから分かるとおり、この活性度測定最適周波数には近傍に最適とはいえないが許容される周波数の範囲が存在する。すなわち、死菌に対して実用上、ほとんど正の誘電泳動力が作用しない周波数の範囲である。死菌に対するDEPIM信号が検出されないまでも、生菌だけのときのDEPIM信号と死菌だけのときのそれとの比をとったとき10%以下となる周波数であれば、測定精度を維持しつつ測定することが可能である。従って、この範囲も広義には活性度測定最適周波数(本発明の活性度測定最適周波数)に含めることができる。
【0052】
そして、図9に記載された細胞質導電率をパラメータとするRe[K]の周波数特性図を参照すると、細胞質導電率にもよるが10MHzを超えると、10kHz以下と同様に、正の誘電泳動力が作用する状態から負の誘電泳動力が作用する状態に移行する。上述したように、10MHz以上の高周波領域では測定部4で精度が期待できなくなるため、本発明ではこれを避け、10MHz以下で周波数を上昇させながら活性度測定最適周波数を決定しているが、10MHz以上の高周波領域においても、生菌のDEPIM信号と死菌のそれとの比が10%以下となる周波数があるのなら、ある程度の精度で微生物活性を測定する可能性はある。
【0053】
続いて、図1において、8は微生物名や懸濁液導電率を入力するためのデータ入力部(実施の形態1における本発明の入力手段)、9はデータ入力のための表示を行ったり、演算制御部5が検量線データに基づいて算出した生菌数を表示するためのLCD等の表示部である。また、10は微生物を含有した試料液を貯めた試料液槽、11は試料液槽10と測定チャンバー1を接続し、資料液槽10内の試料液を測定チャンバー1に導く供給管である。12は測定チャンバー1から測定後の試料液を排出するための排出管、13は供給管11に設けられた電磁弁等の供給バルブ、14は排出管12に設けられた排出バルブである。15はスターラ等の撹拌装置であって、時計手段6の行う計時に基づいて演算制御部5が誘電泳動を行う前や誘電泳動時に試料液の攪拌を行うものである。これにより、試料液を供給管11から導入して誘電泳動するとき、微生物濃度を全体として均一化するとともに、より多くの微生物を電極2a,2b近傍に導くことができる。
【0054】
また、測定チャンバー1を、電極2a,2bの周囲にスペーサを配置して、このスペーサ上にガラス板等を載せて接着した微小な測定チャンバー1の場合等には、攪拌装置15に代えて排出管12を試料液層10に接続して閉じた状態で流動させることで微生物を電極2a,2b付近に導くとともに、微生物濃度を均一化する方法と組み合わせで用いるのが望ましい。16は洗浄液タンク、17は洗浄管、18は洗浄バルブである。演算制御部5が洗浄バルブ18を開いて洗浄液を測定チャンバー1に供給し、試料液を排出した後測定チャンバー1内を洗浄する。時計手段6の時間管理で、排水後洗浄液を測定チャンバー1に洗浄液を導入し、自動的に測定チャンバー1内を洗浄して次の測定に備えることができる。本発明の微生物活性測定装置による測定にとって洗浄液で洗浄することは必須のことではないが、微生物含有の試料液を測定後直ちに洗浄したほうが望ましいので,本実施の形態1においては洗浄系が設けられている。
【0055】
さらに、本実施の形態1の微生物活性測定装置は、測定セルフチェック機構を備えて、それほど知識がなくとも正しく測定できるようになっている。すなわち、本微生物活性測定装置が正しく準備されていなければ、測定を行っても無駄になってしまう。そこで、本微生物活性測定装置は測定開始直後にセルフチェックを行う。測定開始したばかりの状態では微生物が捕集されていない。この状態で電極2a,2b間のインピーダンス測定を行ってDEPIM信号を検出すると、懸濁液の導電率と誘電率だけに依存した初期値を示す。もし、演算制御部5が、測定開始直後にDEPIM信号を検出して、懸濁液が示す初期値が通常値の範囲と大きく異なっていると判断すると、電極部2が破損して短絡されていたり汚染されているなどの可能性があり、アラームを鳴らし、または表示部9によって警告を表示して電極や装置の確認や交換を促す。懸濁液が示す初期値の通常値は、活性度測定用テーブル7aに懸濁液毎に用意しておくか、格納されている検量線データを利用して判定すればよい。このようなセルフチェックを行うことによって、専門家でなくとも簡単に微生物活性の測定が確実に行える。
【0056】
次に、本実施の形態1の微生物活性測定装置を動作させたときの動作手順と測定結果について説明する。図1において、図示しない電源スイッチを入力し、表示部9に表示されたガイダンスにより、データ入力部8から微生物の種類と、懸濁液導電率を入力する。演算制御部5はセルフチェックを行い、入力に基づいて活性度測定用テーブル7aから印加する交流電圧と活性度測定最適周波数を読み出し、誘電泳動電源部3を制御して電極2a,2bに印加する。これとともに測定部4でインピーダンス測定を行う。
【0057】
時計手段6の計時する所定時間(例えば10sec)毎に、測定部4は微生物を濃縮したことによって変化するコンダクタンスを測定し、この結果に基づき演算制御部5は活性度測定用テーブル7aから検量線データを読み出して生菌数を換算する。
【0058】
次に、微生物として生菌と死菌の大腸菌を用い、懸濁液導電率が0.1mS/mの条件下で周波数100kHzで微生物活性測定を行った場合の結果を説明する。死菌は加熱殺菌(80℃,15分)によって調製し、コロニーカウント法により失活を確認した。図に示すように周波数100kHzでは生菌、死菌共にほぼ同様のコンダクタンスの増加が認められる。このコンダクタンスの増加は、誘電泳動力により懸濁液中の大腸菌が電極ギャップ2a,2b間に捕集された結果生じたものである。
【0059】
そして、活性度測定最適周波数1MHzで同様の計測を行った結果を図に示す。生菌では周波数100kHzと同様のコンダクタンス増加が認められるが、死菌ではコンダクタンスはほぼ一定であった。顕微鏡を用いて電極近傍での誘電泳動現象を観測した結果、周波数1MHzでは死菌には誘電泳動力が作用せず、電極へは死菌が捕集されないことが確認された。このように、電界周波数を活性度測定最適周波数である1MHzにすることで生菌のみを検出できる。
【0060】
次に、生菌と死菌が混濁された大腸菌懸濁試料液を対象に選択的微生物活性測定を行った例を図6に示す。生菌と死菌を混合した試料液のコンダクタンスを示すDEPIM出力は生菌のみの場合の出力とほぼ一致している。これにより、混合懸濁液から選択的に生菌のみを検出・定量することが可能であることが分かる。生菌の混合比を変化させると、それに対応して混合液のDEPIM出力が変化する。
【0061】
加熱殺菌処理後の生菌数は、加熱時間に対し図7のように指数関数的に減少することが知られている。本実施の形態1の微生物活性測定装置により生菌数のみを選択的に検出することができるので、図6のような測定を加熱時間の経過と共に順次行えば、菌の活性(生菌の割合)を短時間で、ほぼリアルタイムといえる迅速さで検出することができる。上述の大腸菌懸濁試料液を対象として、DEPIM法により生菌数の加熱殺菌時間依存性を測定した結果を図8に示す。図8には比較のため培養法により求めた生菌数変化も併せて示している。なお、図8のDEPIM出力は規格化したものである。同図に示すように、DEPIM法で計測した生菌数は、培養法で決定したものとよく対応しており、加熱時間と共に指数関数的に生菌数が減少する様子を計測することができる。この場合、DEPIM法の測定に要する時間は10分以内であり、培養法に必要な時間(約24時間)に比べて極めて短時間で生菌数変化を検出することができる。すなわち、インピーダンスの測定はリアルタイムで行うことができるので、DEPIM法によって微生物の活性がほぼリアルタイムで測定することができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載の微生物活性測定装置は、入力手段から試料液に含まれる微生物の種類と懸濁液導電率が入力されると、演算制御部が活性度測定用テーブルから生菌だけのときのコンダクタンスと死菌だけのときのコンダクタンスの比をとったときに該死菌だけのコンダクタンスが10%以下となる活性度測定最適周波数を読み出し、誘電泳動用電源部が活性度測定最適周波数の交流電圧を印加して微生物のうち生菌を濃縮し、測定部によって測定されたインピーダンスにより検量線データに基づいて電極間のコンダクタンス変化から微生物数を算出して出力するから、微生物名と懸濁液導電率を入力手段により入力すると、活性度測定用テーブルから活性度測定最適周波数を読み出し、この活性度測定最適周波数の交流電圧を印加して電極間に不平等電界を発生させ、これによって発生する誘電泳動力により微生物のうち生菌だけを誘電泳動で濃縮することができる。そして、活性度測定最適周波数は、生菌に対しては正の誘電泳動力が作用し、死菌に対しては負の誘電泳動力が作用する、若しくは実用上(言い換えればほとんど)正の誘電泳動力が作用しないから、生菌と死菌の分離を実用上の精度を保ちつつ可能にするとともに、分離可能な周波数の中で正の誘電泳動力を大きくにすることができる。これにより濃縮できるのは生菌だけとなる。この濃縮と同時にインピーダンス測定を行い、生菌が濃縮されて電極間のコンダクタンスが変化するのを検出し、コンダクタンスの変化が微生物数(生菌数)と比例していることを利用し、微生物のうち生菌の数を算出して出力することができる。リアルタイムの微生物活性の測定ができ、発酵プロセス制御において有用な情報が得られ、品質向上やコスト削減に役立つ。また、食品製造プロセス全般に対しても、殺菌効果を迅速に確認することができ、迅速かつ簡便な菌検出技術として確立することができる。
【0064】
本発明の請求項に記載の微生物活性測定装置は、電極間のコンダクタンスの初期増加率から微生物数を算出して出力するから、誘電泳動により微生物を濃縮する際に、濃縮過程初期のコンダクタンスの増加率で試料液中の微生物濃度を推定することができ、リアルタイムと評価できるほどの迅速な測定が可能になる。
【0065】
本発明の請求項に記載の微生物活性測定装置は、測定チャンバーには攪拌装置が設けられ、誘電泳動を行う前に試料液の攪拌を行うから、試料液を導入して誘電泳動するとき、微生物濃度を全体として均一化するとともに、より多くの微生物を電極近傍に導くことができる。
【0066】
本発明の請求項に記載の微生物活性測定装置は、供給バルブを開いて試料液を測定チャンバーに供給し、測定後排出バルブを開いて試料液を排出するから、試料液を自動的に供給し、測定後自動的に排水することができる。
【0067】
本発明の請求項に記載の微生物活性測定装置は、洗浄バルブを開いて洗浄液を測定チャンバーに供給し、試料液を排出した後チャンバー内を洗浄するから、排水後洗浄液を測定チャンバーに導入し、自動的に測定チャンバー内を洗浄することができる。
【0068】
本発明の請求項6に記載の微生物活性の測定方法は、生菌だけのときのコンダクタンスと死菌だけのときのコンダクタンスの比をとったときに該死菌だけのコンダクタンスが10%以下となる活性度測定最適周波数の交流電圧を印加し、試料液に含有された特定の微生物中の生菌を誘電泳動して濃縮するとともに電極間のインピーダンスを測定し、コンダクタンス変化から生菌の微生物数を算出するから、活性度測定最適周波数の交流電圧を印加して電極間に不平等電界を発生させ、これによって発生する誘電泳動力により微生物のうち生菌だけを誘電泳動で濃縮することができる。このとき、活性度測定最適周波数は、生菌に対しては正の誘電泳動力が作用し、死菌に対しては負の誘電泳動力が作用する、若しくは実用上(言い換えればほとんど)正の誘電泳動力が作用しないから、生菌と死菌の分離を実用上の精度を保ちつつ可能にするとともに、分離可能な周波数の中では正の誘電泳動力を大きくすることができる。これにより濃縮できるのは生菌だけとなる。この濃縮と同時にインピーダンス測定を行い、生菌が濃縮されて電極間のコンダクタンスが変化するのを検出し、コンダクタンスの変化が微生物数(生菌数)と比例していることを利用し、微生物のうち生菌の数を算出して出力することができる。リアルタイムの微生物活性の測定ができ、発酵プロセス制御において有用な情報が得られ、品質向上やコスト削減に役立つ。また、食品製造プロセス全般に対しても、殺菌効果を迅速に確認することができ、迅速かつ簡便な菌検出技術として確立することができる。
【0070】
本発明の請求項に記載の微生物活性の測定方法は、電極間のコンダクタンスの初期増加率から微生物数を算出するから、誘電泳動による濃縮過程初期のコンダクタンスの増加率で試料液中の微生物濃度を推定することができ、リアルタイムと評価できるほどの迅速な測定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における微生物活性測定装置の構成図
【図2】(a)本発明の実施の形態1における微生物活性測定装置の活性度測定用テーブルの測定用制御データ図(b)本発明の実施の形態1における微生物活性測定装置の活性度測定用テーブルの検量線図
【図3】本発明の実施の形態1における微生物活性測定装置の誘電泳動力に及ぼす細胞質導電率と電界周波数の関係図
【図4】本発明の実施の形態1における微生物活性測定装置の電界周波数100kHzでの生菌と死菌の検出図
【図5】本発明の実施の形態1における微生物活性測定装置の電界周波数1MHzでの生菌と死菌の検出図
【図6】本発明の実施の形態1における微生物活性測定装置の生菌と死菌の混合懸濁液から生菌と死菌が分離されることを示す図
【図7】本発明の実施の形態1における微生物活性測定装置の生菌数の加熱殺菌時間依存性を示す図
【図8】本発明の実施の形態1における微生物活性測定装置の加熱殺菌後の微生物活性測定図
【図9】細胞質導電率をパラメータとするRe[K]の周波数特性図
【符号の説明】
1 測定チャンバー
2 電極部
2a,2b 電極
3 誘電泳動用電源部
4 測定部
5 演算制御部
6 時計手段
7 メモリ部
7a 活性度測定用テーブル
8 データ入力部
9 表示部
10 試料液槽
11 供給管
12 排出管
13 供給バルブ
14 排出バルブ
15 撹拌装置
16 洗浄液タンク
17 洗浄管
18 洗浄バルブ

Claims (7)

  1. 試料液を収容することができる測定チャンバーと、
    前記測定チャンバー内の試料液に浸漬され、不平等電界を発生して誘電泳動により該試料液に含有される微生物を濃縮するとともに、このときのインピーダンスを測定するための一対の電極と、
    前記電極間に交流電圧を印加する誘電泳動用電源部と、
    前記電極間のインピーダンスを測定することができる測定部と、
    前記誘電泳動用電源部と前記測定部の制御を行う演算制御部と、
    微生物毎に懸濁液導電率,生菌だけのときのコンダクタンスと死菌だけのときのコンダクタンスの比をとったときに該死菌だけのコンダクタンスが10%以下となる活性度測定最適周波数,検量線データを格納した活性度測定用テーブルが格納されたメモリ部とを備え、
    入力手段から試料液に含まれる前記微生物の種類と懸濁液導電率が入力されると、前記演算制御部が前記活性度測定用テーブルから活性度測定最適周波数を読み出し、前記誘電泳動用電源部が該活性度測定最適周波数の交流電圧を印加して前記微生物のうち生菌を濃縮し、前記測定部によって測定されたインピーダンスにより前記検量線データに基づいて前記電極間のコンダクタンス変化から生菌の微生物数を算出して出力することを特徴とする微生物活性測定装置。
  2. 前記演算制御部が、前記電極間のコンダクタンスの初期増加率から微生物数を算出して出力することを特徴とする請求項1記載の微生物活性測定装置。
  3. 前記測定チャンバーには攪拌装置が設けられ、前記演算制御部が時計手段の行う計時に基づいて試料液の攪拌を行うことを特徴とする請求項1または2記載の微生物活性測定装置。
  4. 前記測定チャンバーには試料液の供給管と排出管が設けられるとともに、前記供給管に供給バルブ、前記排出管に排出バルブが設けられ、前記演算制御部が時計手段の行う計時に基づいて、前記供給バルブを開いて試料液を前記測定チャンバーに供給し、測定後前記排出バルブを開いて試料液を排出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の微生物活性測定装置。
  5. 前記測定チャンバーには洗浄液の洗浄管が設けられるとともに、前記洗浄管に洗浄バルブが設けられ、前記演算制御部が時計手段の行う計時に基づいて、前記洗浄バルブを開いて洗浄液を前記測定チャンバーに供給し、試料液を排出した後前記チャンバー内を洗浄することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の微生物活性測定装置。
  6. 試料液に浸漬した一対の電極間に生菌だけのときのコンダクタンスと死菌だけのときのコンダクタンスの比をとったときに該死菌だけのコンダクタンスが10%以下となる活性度測定最適周波数の交流電圧を印加し、該試料液に含有された特定の微生物中の生菌を誘電泳動して濃縮するとともに前記電極間のインピーダンスを測定し、測定したインピーダンスに基づいて前記電極間のコンダクタンス変化から生菌の微生物数を算出することを特徴とする微生物活性の測定方法。
  7. 前記電極間のコンダクタンスの初期増加率から生菌の微生物数を算出することを特徴とする請求項記載の微生物活性の測定方法。
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