以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る、たとえば、バス用の磁気式プリペイドカード(以後、単に磁気カードと呼称する)に対して磁気情報の読取りや書込み処理を行なうカード処理装置を搭載したバス料金収受装置の外観構成を示すものである。このバス料金収受装置は、大きく分けて、現金精算を行なう料金箱部1、および、カード精算を行なうカード処理装置2とから構成されている。
料金箱部1において、釣銭なしの乗客が現金を投入する料金投入口3、釣銭ありの乗客が紙幣を両替する両替紙幣挿入口4、硬貨を両替する両替硬貨投入口5、両替硬貨が放出される硬貨受け皿6、両替硬貨投入口5に投入した硬貨を返却する返却レバー7、係員が放出硬貨など手動で操作するのに使用する料金箱部用操作盤8、料金回収された現金を入れる金庫9、および、運賃改訂や締切業務などをメモリカードで行なうためのメモリカード差込み口10が設けられている。
カード処理装置2において、磁気カードを挿入するカード挿入口11、挿入した磁気カードの残高やバス利用料金などの表示を行なう客用表示部12、乗客が子供料金指定を行なう客用釦13、精算終了した磁気カードが排出されるカード取出口14、および、係員がカード処理に対して手動で操作するのに使用するカード処理装置用操作盤15が設けられている。
図2は、カード処理装置2の内部構成を概略的に示すものである。すなわち、図2において、カード処理装置本体21の前面にはカード挿入口11が、また本体21の後端上部にはカード取出口14がそれぞれ設けられていて、これらカード挿入口11とカード取出口14との間には、カード挿入口11から挿入された磁気カードCをカード取出口14へ搬送する搬送手段としての搬送路22が設けられている。搬送路22は、複数の搬送ローラ対23,…によって構成されていて、図示しないモータによって駆動される。ここに、搬送ローラ対23は、環境(温度、湿度など)の変化に応じて変形する特性を有する物質、たとえばゴムによって形成されているものとする。
搬送路22のカード挿入口11の近傍には、挿入された磁気カードCを検知する検知器24、および、シャッタソレノイド25によって開閉駆動されるシャッタ26がそれぞれ設けられている。
搬送路22のシャッタ26の下流側には、搬送される磁気カードCのあらかじめ設定される所定の位置に対して所定の処理を行なう処理手段としての磁気ヘッド27、および、磁気ヘッド27との間で磁気カードCを挟持して搬送するとともに、磁気ヘッド27に対して磁気カードCを押圧する押圧部材としてのプラテンローラ28が設けられている。磁気ヘッド27は、搬送される磁気カードCの磁気記録部において、あらかじめ設定される所定の位置に対して磁気情報の読取りおよび書込みを選択的に行なうもので、後で詳細を説明するように、読み書き可能ないわゆるコンビネーションヘッドを用いている。また、プラテンローラ28は、環境(温度、湿度など)の変化に応じて変形する特性を有する物質、たとえばゴムによって形成されている。
搬送路22の磁気ヘッド27の上流側近傍には、磁気情報の読取開始位置を検知するための検知器29、および、既パンチ穴を読取るための検知器30がそれぞれ設けられている。また、搬送路22の磁気ヘッド27の下流側近傍には、磁気情報の書込位置およびパンチ穴位置を検知するための検知器31が設けられている。
搬送路22の検知器31の下流側近傍には、磁気カードCのあらかじめ設定される所定の位置に対して所定の処理を行なう処理手段としてのパンチ部32、すなわち、磁気カードCのパンチ穴形成部において、あらかじめ設定される所定の位置に対して記録情報に応じたパンチ穴を形成するパンチ穴形成手段としてのパンチ部32が設けられている。
搬送路22のパンチ部32の下流側には、搬送される磁気カードCのあらかじめ設定される所定の位置に対して所定の処理を行なう処理手段としての印刷ヘッド33、印刷ヘッド33を磁気カードCに対して接触させるための印刷ヘッド駆動ソレノイド34、および、印刷ヘッド33との間で磁気カードCを挟持して搬送するとともに、印刷ヘッド33に対して磁気カードCを押圧する押圧部材としてのプラテンローラ35が設けられている。印刷ヘッド33は、搬送される磁気カードCの印刷記録部において、あらかじめ設定される所定の位置に対して印刷情報を印刷するもので、たとえば、サーマルヘッドを用いている。また、プラテンローラ35は、環境(温度、湿度など)の変化に応じて変形する特性を有する物質、たとえばゴムによって形成されている。
搬送路22のパンチ部32と印刷ヘッド33との間には、磁気カードCにパンチ部32で開けられたパンチ穴を読取るための検知器36、および、印刷開始位置を検知するための検知器37がそれぞれ設けられている。
搬送路22の印刷ヘッド33の下流側近傍には、磁気カードC上に印刷ヘッド33で印刷された情報の印刷開始位置を検出するための、ラインセンサなどの画像読取センサ38が設けられている。搬送路22のカード取出口14の近傍には、排出される磁気カードCを検知するための検知器39が設けられている。
なお、検知器24,29,30,31,36,37,39は、たとえば、相対向して配設された光源と受光素子とからなる光学的な検知器が用いられる。
ここで、カード処理装置2の全体的な動作について簡単に説明しておく。今、カード挿入口11から磁気カードCが挿入され、それが検知器24によって検知されると、カード誤挿入防止のためのシャッタ26がシャッタソレノイド25によって開かれる。また、検知器24が挿入された磁気カードCを検知すると、図示しないモータの駆動により搬送路22が動作して、磁気カードCが図示矢印b方向に取込み搬送される。
この搬送される磁気カードCが検知器30を通過する際、磁気カードCに既に開けられているパンチ穴の位置が検知器30によって読取られる。次に、検知器29が搬送される磁気カードCを検知すると、搬送される磁気カードCの磁気情報が磁気ヘッド27によって読取られる。
このとき、磁気カードCから読取った磁気情報に異状がある場合、あるいは、期限切れなどのカード無効の場合、搬送路22を逆転させることにより、磁気カードCを図示矢印a方向に搬送し、カード挿入口11から排出する。
磁気カードCから読取った磁気情報が正常である場合、さらに図示矢印b方向に搬送され、検知器31を通過するまで搬送される。その後、検知器31が磁気カードCの通過を検知すると、搬送路22を逆転させることにより、磁気カードCを図示矢印a方向に搬送しながら、磁気ヘッド27によって磁気情報の書込みを行なう。
磁気情報の書込みが終了すると、磁気情報の書込み内容確認を行なうため、さらに図示矢印a方向に搬送され、検知器29を通過するまで搬送される。その後、検知器29が磁気カードCの通過を検知すると、搬送路22を逆転させることにより、図示矢印b方向に搬送しながら、磁気ヘッド27によって磁気カードCのいま書込まれた磁気情報が読取られる。
このとき、読取った磁気情報に異常がある場合、磁気情報の書込みリトライを行なう。すなわち、搬送路22で更に図示矢印b方向に搬送され、検知器31を通過するまで搬送される。その後、検知器31が磁気カードCの通過を検知すると、搬送路22を逆転させることにより、図示矢印a方向に搬送しながら、磁気ヘッド27によって磁気情報の再書込みを行なう。
再書込み終了後、磁気情報の書込み内容確認を再度行なうため、再び検知器29を通過するまで図示矢印a方向に更に搬送する。その後、検知器29が磁気カードCの通過を検知すると、搬送路22を逆転させることにより、図示矢印b方向に搬送しながら、磁気ヘッド27によって磁気カードCのいま再書込みされた磁気情報が再び読取られる。
このとき、読取った磁気情報に異常がある場合、搬送路22を逆転させることにより、磁気カードCを図示矢印a方向に搬送し、カード挿入口11から排出する。読取った磁気情報が正常な場合、搬送路22を逆転させることにより、検知器31を通過するまで磁気カードCを図示矢印a方向に搬送する。
その後、検知器31が磁気カードCの通過を検知すると、搬送路22を逆転させることにより、図示矢印b方向に搬送し、検知器31が磁気カードCを検知すると、さらに所定の位置まで磁気カードCを搬送し、パンチ部32によって磁気カードCにカード残高の目安穴などのパンチ穴を開ける。
その後、さらに磁気カードCを図示矢印b方向に搬送しながら、検知器36によってパンチ後のパンチ穴を読取ることにより、いま開けたパンチ穴に異常があるか否かをチェックする。
このチェックの結果、パンチ穴に異常がある場合、すなわち、たとえば、パンチ穴が開けられていなかった場合、搬送路22を逆転させることにより、検知器31を通過するまで図示矢印a方向に搬送する。その後、検知器31が磁気カードCの通過を検知すると、搬送路22を逆転させることにより、図示矢印b方向に搬送し、検知器31が磁気カードCを検知すると、さらに所定の位置まで磁気カードCを搬送し、パンチ部32によって磁気カードCにカード残高の目安穴などのパンチ穴を開ける。
その後、さらに磁気カードCを図示矢印b方向に搬送しながら、検知器36によってパンチ後のパンチ穴を読取ることにより、いま開けたパンチ穴に異常があるか否かを再度チェックする。
ここで、再度異常がある場合、係員がカード処理に対して手動で操作するのに使用するカード処理装置用操作盤15にエラーコードなどを表示し、係員に異常を知らせる。この時点での磁気カードCは、磁気処理が終了しているので、カード処理に支障が無いことから継続して印刷処理に移る。
すなわち、搬送路22を逆転させることにより、検知器37を通過するまで図示矢印a方向に搬送する。その後、検知器37が磁気カードCの通過を検知すると、搬送路22を逆転させることにより、図示矢印b方向に搬送し、検知器37を通過するタイミングと、先ほど処理した磁気情報に基づく印刷位置が、印刷ヘッド33とプラテンローラ35との間にさしかかったときに、ソレノイド34を駆動することにより、印刷ヘッド33を間に磁気カードCを挟んでプラテンローラ35に押し当て、磁気カードCにバス乗車料金やカード残高などを印刷する。
印刷処理を終えた磁気カードCは、さらに図示矢印b方向に搬送しながら、画像読取センサ38によって読取走査することにより、印刷ヘッド33で印刷された情報が所定の位置に印刷されているか確認する。そして、磁気カードCは、さらに図示矢印b方向に搬送され、検知器39を通過後、精算が終了した磁気カードCとしてカード取出口14へ排出される。
図3は、上記のように構成されたカード処理装置2の制御系統の構成を示すものである。すなわち、この制御系統は、カード処理装置全体の制御を司るCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)41、CPU41の制御プログラムなどを記憶しているROM(リード・オンリ・メモリ)42、磁気カードCから読取った情報の記憶、および、制御プログラムのバッファとして情報を記憶する記憶手段としてのRAM(ランダム・アクセス・メモリ)43、前記磁気ヘッド27を制御する読取・書込回路44、前記検知器24,29〜31,36,37,39の各検知出力に基づき搬送される磁気カードCを検知するカード検知回路45、前記画像読取センサ38の出力に基づき磁気カードC上の印刷位置を検出する印刷位置検出回路46、前記カード処理装置用操作盤15を制御する操作盤制御回路47、前記メモリカード差込み口10に差込まれたメモリカードを処理するメモリカードリーダ・ライタ48が接続されたインタフェイス回路49、前記客用表示部12を制御する表示制御回路50、前記シャッタ用ソレノイド25を駆動制御するシャッタ制御回路51、前記パンチ部32を制御するパンチ制御回路52、前記印刷ヘッド33および前記ヘッド駆動ソレノイド34を制御する印刷制御回路53、および、前記搬送路22などの搬送系を駆動する搬送用モータ54を駆動制御する搬送制御回路55などから構成されている。
次に、上記のように構成されたカード処理装置2の処理動作について、3つの要点に分けてそれぞれについて詳細に説明する。
まず、磁気処理、印刷処理、パンチ穴処理を行なうにあたり、その処理位置を自動的に補正して所定の位置に処理を行なう点に関して以下に詳述する。
すなわち、磁気処理、パンチ穴処理、印刷処理を行なうに際し、まず、磁気処理を行なうとき、磁気カードCは搬送路22によって図示矢印b方向に搬送される。この搬送される磁気カードCが検知器30を通過する際、磁気カードCに既に開いているパンチ穴の位置が検知器30によって読取られる。
次に、検知器29が搬送される磁気カードCを検知すると、図示矢印b方向に搬送される磁気カードC上の磁気情報が磁気ヘッド27によって読取られる。このとき、CPU41は、読取った磁気情報に異常があるか否かを判定し、異常がある場合の処理は、前述した通りである。
磁気カードCから読取った磁気情報が正常である場合、磁気カードCは更に図示矢印b方向に搬送され、検知器31を通過するまで搬送される。その後、検知器31が磁気カードCの通過を検知すると、搬送路22を逆転させることにより、磁気カードCを図示矢印a方向に搬送しながら、磁気ヘッド27によって、磁気カードCのあらかじめ定められた開始基準位置Xの位置に磁気情報の書込み処理を行なう。
書込み処理が終了すると、磁気情報の書込み内容確認を行なうため、磁気カードCは更に図示矢印a方向に搬送され、検知器29を通過するまで搬送される。その後、検知器29が磁気カードCの通過を検知すると、搬送路22を逆転させることにより、磁気カードCを図示矢印b方向に搬送しながら、磁気ヘッド27によって、磁気カードCのいま書込まれた磁気情報が読取られる。
このとき、CPU41は、読取った磁気情報の異常の有無の他に、読取った磁気情報に基づき実際の磁気情報の書込み位置を検出し、その書込み位置についてもチェックを行なう。すなわち、CPU41は、読取った磁気情報に異常があるか否かを判定し、異常がある場合、搬送路22を逆転させることにより、磁気カードCを図示矢印a方向に搬送し、カード挿入口11から排出する。
読取った磁気情報が正常な場合、CPU41は、あらかじめ定められた開始基準位置Xと検出した実際の書込み位置とを比較し、両者の間に差がある場合、その差をΔXとし、RAM43に記憶する。
その後、搬送路22を逆転させることにより、磁気カードCを図示矢印a方向に搬送し、検知器31を通過するまで搬送する。その後、検知器31が磁気カードCの通過を検知すると、搬送路22を逆転させることにより、磁気カードCを図示矢印b方向に搬送し、検知器31が磁気カードCを検知すると、さらに所定の位置Yまで磁気カードCを搬送し、パンチ部32によって磁気カードCにカード残高の目安穴などのパンチ穴を開ける。
その後、さらに磁気カードCを図示矢印b方向に搬送しながら、検知器36によってパンチ後のパンチ穴を読取ることにより、CPU41は、いま開けたパンチ穴が所定の位置Yに異常なく開けられているか否かをチェックする。
このチェックの結果、パンチ穴に異常がある場合、たとえば、パンチ穴が開けられていなかった場合、搬送路22を逆転させることにより、検知器31を通過するまで磁気カードCを図示矢印a方向に搬送する。その後、検知器31が磁気カードCの通過を検知すると、搬送路22を逆転させることにより、磁気カードCを図示矢印b方向に搬送し、検知器31が磁気カードCを検知すると、さらに所定の位置Yまで磁気カードCを搬送し、パンチ部32によって磁気カードCにカード残高の目安穴などのパンチ穴を開ける。
その後、さらに磁気カードCを図示矢印b方向に搬送しながら、検知器36によってパンチ後のパンチ穴を読取ることにより、CPU41は、いま開けたパンチ穴が所定の位置Yに異常なく開けられているか否かを再度チェックする。
ここで、再度異常がある場合、係員がカード処理に対して手動で操作するのに使用するカード処理装置用操作盤15にエラーコードなどを表示し、係員に異常を知らせる。この時点での磁気カードCは、磁気処理が終了しているので、カード処理に支障が無いことから継続して印刷処理に移る。
一方、読取ったパンチ穴が正常な場合、CPU41は、その読取ったパンチ穴の位置(実際のパンチ穴の形成位置)を検出し、この検出した実際のパンチ穴形成位置をあらかじめ定められた開始基準位置Yと比較し、両者の間に差がある場合、その差をΔYとし、RAM43に記憶する。
次に、搬送路22を逆転させることにより、検知器37を通過するまで磁気カードCを図示矢印a方向に搬送する。その後、検知器37が磁気カードCの通過を検知すると、搬送路22を逆転させることにより、磁気カードCを図示矢印b方向に搬送し、検知器37を通過するタイミングと、先ほど処理した磁気情報に基づく印刷の所定位置Zが、印刷ヘッド33とプラテンローラ35との間にさしかかったときに、ソレノイド34を駆動することにより、印刷ヘッド33を間に磁気カードCを挟んでプラテンローラ35に押し当て、磁気カードCに乗車料金やカード残高などを印刷する。
印刷処理を終えた磁気カードCは、さらに図示矢印b方向に搬送しながら、画像読取センサ38によって読取走査することにより、CPU41は、印刷位置検出回路46を介して、印刷ヘッド33で印刷された情報が所定の位置に印刷されているか確認する。そして、CPU41は、印刷位置検出回路46を介して、印刷ヘッド33による実際の印刷位置を検出し、この検出した実際の印刷位置をあらかじめ定められた所定基準位置Zと比較し、両者の間に差がある場合、その差をΔZとし、RAM43に記憶する。
磁気カードCは、さらに図示矢印b方向に搬送され、検知器39を通過後、精算が終了した磁気カードCとしてカード取出口14へ排出される。
このように、1枚の磁気カードCに対して処理を行なった時点で、磁気処理の基準位置X、パンチ穴処理の基準位置Y、印刷処理の基準位置Zのそれぞれに対する差(ずれ量)ΔX,ΔY,ΔZを求めて記憶することにより、次に処理する磁気カードCに対して、この差分を補正した磁気処理の基準位置X’、パンチ穴処理の基準位置Y’、印刷処理の基準位置Z’によって各処理を行ない、自動的に補正を行なうものである。
ただし、これらの処理基準位置については、実際には時間Tx,Ty,Tzによって制御され、読取りを行なう際の方向と処理を行なう際の方向とが違うために生じる速度差を加味して補正される。具体的には、磁気情報の読取りは図示矢印b方向に搬送速度Vbで行なわれ、磁気情報の書込みは図示矢印a方向に搬送速度Vaで行なわれるため、速度差ΔV(VaとVbとの差)が生じる。
すなわち、読取時の基準位置Xの算出はTxとVbとの積で表され、書込時の基準位置出しのためには、XとVbとの商から算出される時間Tx’での処理が行なわれる。Ty,Tzについても同様に、Ty’,Tz’で処理される。
次に、磁気処理、印刷処理を行なうにあたり、そのヘッドギャップを初期調整設定時の環境(温度、湿度)と実稼働時の環境(温度、湿度)との相違に係わらず保証する点に関して以下に詳述する。
図4は、カード処理装置本体21内に設けられている磁気処理部を示している。磁気処理部は、図示しないベースに固定された磁気ヘッド27と、一端にプラテンローラ28を、他端にプラテンローラ28と同形状かつ同材質のゴムローラで構成された調整部材としての調整用ローラ61をそれぞれ回転自在に保持し、さらに、プラテンローラ28側の先端にプラテンローラ28に押圧力を与えるためのスプリング部材としての押圧用コイルスプリング62を保持し、中心部の支点63を中心に回動する保持具64と、プラテンローラ28のギャップ調整を行なうときに使用し、図示矢印c,d方向(上下方向)に移動調整可能なギャップ調整プレート(固定部材)65とから構成されている。
また、プラテンローラ28が磁気ヘッド27に対して必要なギャップ位置は、支点63を対象点として、反対側にプラテンローラ28と同形状かつ同材質のゴムローラからなる調整用ローラ61がギャップ調整プレート65と接する位置に設けられている。すなわち、たとえば、プラテンローラ28が環境温度によって熱収縮をした場合、プラテンローラ28と同形状かつ同材質の調整用ローラ61も同様に熱収縮するため、磁気ヘッド27に対するプラテンローラ28の位置は、変化しない。
なお、ギャップを調整するとき、ギャップ幅を広く取りたいときは、ギャップ調整プレート65を図示しない移動用ねじなどにより図示矢印d方向に移動する。この調整により、プラテンローラ28と同形状かつ同材質の調整用ローラ61が図示矢印d方向に押され、保持具64が支点63を中心に回動する。この保持具64の動きが、その他端に保持されているプラテンローラ28を図示矢印c方向に移動する。
また、ギャップ幅を狭く取りたいときは、ギャップ調整プレート65を図示しない移動用ねじなどにより図示矢印c方向に移動する。この調整により、プラテンローラ28と同形状かつ同材質の調整用ローラ61が図示矢印c方向に押され、保持具64が支点63を中心に回動する。この保持具64の動きが、その他端に保持されているプラテンローラ28を図示矢印d方向に移動する。
このような調整を行なうことにより、搬送路22で磁気カードCが搬送されるときには、押圧用スプリング62によって常に一定の必要な押圧力を確保することができる。また、通常処理の磁気カードC以外の異物が挿入された場合にも、プラテンローラ28が図示矢印c方向に逃げることが可能である。
なお、説明を省略するが、印刷ヘッド33の印刷処理部においても、上記磁気処理部と同様な構成で行なうことが可能である。
次に、磁気処理を行なうにあたり、読み書き可能な磁気ヘッドの場合、その処理を行なう前に磁気ヘッドの異常を検出し、異常処理を防ぐ点に関して以下に詳述する。
図5は、磁気ヘッド27、および、読取・書込回路44の部分を示している。磁気ヘッド27は、磁気カードCの磁気記録層に磁気処理を行なうための漏れ磁束を発生させるために所定の隙間を持ったコア71と、コア71にそれぞれ巻装されている書込コイル72および読取コイル73とから構成されている。書込コイル72および読取コイル73には読取・書込回路44が接続されている。すなわち、書込コイル72には、書込みのためのパルス電圧を出力する書込回路74が、読取コイル73には、読取った磁気情報に応じたパルス電圧を読取る読取回路75がそれぞれ接続されている。そして、書込回路74および読取回路75はCPU41に接続され、CPU41によって書込みタイミングなどが制御されるようになっている。
このような構成において、たとえば、本装置に電源が投入されると、CPU41は、書込回路74に対して、あらかじめ定められた特定のパルス電圧P1(図6(a)参照)を出力するように指示をだす。これを受取った書込回路74は、図6(a)に示すような特定のパルス電圧P1を出力する。この出力された特定のパルス電圧P1は書込コイル72に印加され、これにより、コア71に特定のパルス電圧P1に応じた誘導電流Iが発生し、この誘導電流Iにより、読取コイル73にパルス電圧P1と同形状のパルス電圧P2(図6(b)参照)が発生し、読取回路75で読取られる。
CPU41は、書込回路74から出力したパルス電圧P1と、読取回路75に入力されたパルス電圧P2とを比較する。この比較の結果、図6に示すように、パルス電圧P1のパルス間隔Δtとパルス電圧P2のパルス間隔Δt’とが等しい場合、CPU41は、書込コイル72および読取コイル73は共に正常と判断し、本装置を動作可能状態に設定する。
上記比較の結果、パルス電圧P1のパルス間隔Δtとパルス電圧P2のパルス間隔Δt’とが等しくない場合、CPU41は、書込コイル72あるいは読取コイル73の異常発生と判断し、カード処理装置用操作盤15に異常表示などを行なうことにより、その旨を係員に報知する。
以上説明したように上記実施の形態によれば、磁気カードを処理するごとに磁気処理の所定位置、印刷処理の所定位置、パンチ穴処理の所定位置と実際に磁気処理、印刷処理、パンチ穴処理を行なった位置との差を検出し、その差に基づき、次に処理する磁気カードの磁気処理の所定位置、印刷処理の所定位置、パンチ穴処理の所定位置に対して補正した位置で処理を行なうことによって、磁気カードに対して磁気処理、印刷処理、パンチ穴処理を行なうにあたり、その処理位置を自動的に補正し、常に所定の位置に精度高く処理を行なうことができる。したがって、本装置の製造時における各処理の位置調整作業や、運用時における定期点検時の再調整作業の手間を無くし、本装置の信頼性を向上できる。
また、上記実施の形態によれば、磁気記録部のプラテンローラが、環境温度や湿度の変化による熱収縮や膨脹によって外形の変化を生じたとき、所定の点を支点とした反対側に環境温度や湿度の変化による熱収縮や膨脹によって外形の変化がプラテンローラと同様に生じる調整用ローラを設け、その調整用ローラの外形変化を利用して一定のヘッドギャップが保証されるようにすることで、本装置の稼働環境温度や湿度と本装置の製造時の環境温度や湿度との差が生じる場合でも、プラテンローラの外形が熱収縮や膨張により変化した量に係わらず、ヘッドギャップが一定に保たれるため、製造時の調整マージンを多く取ることができ、調整作業も容易にしつつ、本装置の信頼性を向上できる。
また、上記実施の形態によれば、たとえば、電源投入時、読み書き可能な磁気ヘッドの書込コイルから入力した特定のパルス信号と、そのパルス信号による誘導電流により読取コイルから得られるパルス信号とを比較し、両パルス信号が不一致のとき、磁気ヘッドの異常と判定することにより、処理を行なう前に磁気ヘッドの異常を検出し、異常処理を防止することができる。したがって、磁気ヘッドに異常がある場合、磁気カードを処理する以前にその異常を検知し、磁気処理異常の原因の確定と正常だった磁気情報を破壊してしまう危険性の回避が可能なため、本装置の信頼性を向上できる。
なお、前記実施の形態では、記録媒体がバスの回数券などとして使用される磁気式プリペイドカードの場合について説明したが、たとえば、鉄道機関に用いられる自動改札装置用の磁気式プリペイドカードや磁気式乗車券、磁気式定期券などであっても、同様に適用できる。
また、前記実施の形態では、バス料金収受装置において磁気式プリペイドカードを処理するカード処理装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、たとえば、買物などに使用される磁気式のクレジットカードや、セキュリティシステムに用いられる個人認証用の磁気カードなどを処理するカード処理装置にも、同様に適用できる。
C……磁気カード(記録媒体)、2……カード処理装置、11……カード挿入口、14……カード取出口、22……搬送路(搬送手段)、27……磁気ヘッド(処理手段)、28……プラテンローラ(押圧部材)、32……パンチ部(処理手段、パンチ穴形成手段)、33……印刷ヘッド(処理手段)、35……プラテンローラ(押圧部材)、38……画像読取センサ、41……CPU、42……ROM、43……RAM(記憶手段)、44……読取・書込回路、45……カード検知回路、46……印刷位置検出回路、52……パンチ制御回路、53……印刷制御回路、54……搬送用モータ、55……搬送制御回路、61……調整用ローラ(調整部材)、62……押圧用コイルスプリング(スプリング部材)、63……支点、64……保持具、65……ギャップ調整プレート(固定部材)、71……コア、72……書込コイル、73……読取コイル、74……書込回路、75……読取回路、P1……入力されるパルス電圧、P2……出力されるパルス電圧。