JP3864472B2 - 臭素化ジフェニルエタン混合物、その製造方法及びそれを配合してなる難燃性樹脂組成物 - Google Patents

臭素化ジフェニルエタン混合物、その製造方法及びそれを配合してなる難燃性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃剤として高難燃性能及び高機械物性能を発現できる1分子当たりの平均臭素化数が7.6〜9.2個であり、かつ色調が白色である臭素化ジフェニルエタン混合物、その製造方法及びそれを配合してなる難燃性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ジフェニルエタン臭素化物として、1分子当りの平均臭素化数が6〜7個の臭素化物及び芳香族環の水素を全て臭素に置換した10臭素化物が難燃剤として知られているが、過去に本発明の混合物についての具体的な例示はなく、本発明は新規な組成の混合物である。以下に、従来品の物性及び製造方法を示す。
【0003】
平均臭素化数が7個のジフェニルエタン臭素化物は、ガスクロマトグラフィーによる分析でヘキサブロモ体を40〜55面積%、ヘプタブロモ体を12〜25面積%、オクタブロモ体を15〜25面積%、ノナブロモ体を10〜15面積%及びデカブロモ体を0〜5面積%の範囲で含有する融点範囲が約160〜210℃の灰色若しくは黄色帯びた混合物粉末である。
【0004】
また、平均臭素化数が10個のジフェニルエタン臭素化物は、ガスクロマトグラフィーによる分析でデカブロモ体を実質95面積%以上含有する融点範囲が約350℃の白色粉末である。
【0005】
これらジフェニルエタン臭素化物の製造は、臭化第2鉄、四塩化ジルコニウム及び三塩化アルミニウム等のルイス酸触媒の存在下、臭素化試剤である臭素とジフェニルエタンとを反応させることで行っている(特開平4−211623号公報、特開平5−85946号公報、特開平5−246912号公報、米国特許第5008477号明細書、米国特許5030778号明細書、米国特許第5124496号明細書等)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来より、樹脂の難燃化にジフェニルエタン臭素化物が使用されてきたが、従来品における難燃性能及び機械物性能は未だ満足すべきものではなく、また近年の難燃規制の強化、配合した難燃性樹脂組成物の性能のさらなる向上要求により、従来品の欠点を補完する剤の開発が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を鑑み、ジフェニルエタン臭素化物について鋭意検討を行った。その結果、1分子当りの平均臭素化数が7.6〜9.2個の範囲にある臭素化ジフェニルエタン混合物が白色でなおかつ樹脂に配合した場合、驚くべきことに従来のジフェニルエタン臭素化物に比べ低配合量で高い難燃性能を発現できるだけでなく、著しく優れた機械物性能を発現することを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は平均臭素化数が7.6〜9.2個の範囲にある白色の臭素化ジフェニルエタン混合物、その製造方法及びそれを配合してなる難燃性樹脂組成物である。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明の臭素化ジフェニルエタン混合物の物性は、以下の通りである。
【0011】
(1)生成物は、ガスクロマトグラフィー分析において、ヘキサブロモジフェニルエタン、ヘプタブロモジフェニルエタン、オクタブロモジフェニルエタン、ノナブロモジフェニルエタン及びデカブロモジフェニルエタンの混合物であり、特にノナブロモジフェニルエタンを16〜50面積%、デカブロモジフェニルエタンを6〜40面積%の範囲で含有し、融点が190〜320℃の範囲にあり、ハンター白色度が80以上である白色の粉体である。この組成及び融点範囲に於いてのみ、高難燃性能及び高機械物性能が発現される。
【0012】
(2)生成物の1分子当りの平均臭素化数は、7.6〜9.2個の範囲であり、また生成物中の臭素含有率は74〜81%、塩素含有率は0.2〜2%の範囲である。
【0013】
尚、本発明に於いていう平均臭素化数とは、臭素化ジフェニルエタン混合物を元素分析することにより得られた組成比を元に算出した1分子当りの平均臭素化数である。
【0014】
次に、この臭素化ジフェニルエタン混合物の製造方法について説明する。
【0015】
本発明の臭素化ジフェニルエタン混合物の製造方法は、ルイス酸触媒の存在下、反応に不活性な溶媒に原料のジフェニルエタンを溶解させ、これに臭素化試剤である塩化臭素を滴下し反応させることによって行われる。反応液は、塩化臭素の滴下途中より臭素化ジフェニルエタン混合物が析出し、最終的にスラリー溶液として得られる。尚、臭素化試剤に臭素を用いて本発明の化合物と同様な平均臭素化数の化合物を製造した場合、生成物に激しい着色が生じるため好ましくない。
【0016】
本発明の方法で使用される塩化臭素は、通常臭素と塩素を5℃以下で混合することで調製が可能であるが、予め臭素を反応で使用する有機溶媒に溶解した後、塩素と混合しても良い。臭素と塩素の仕込み比は、本質的には等モル比でも問題ないが製品中の塩素含有量を少なくするため、塩素に対して臭素を1.0〜1.5モル比過剰に使用しても問題ない。尚、塩化臭素は市販のものを使用しても差支えない。
【0017】
塩化臭素の添加量は、仕込みのジフェニルエタンに対して11〜20モル比であり、使用する触媒の種類、反応条件により決める。尚、目的とする平均臭素化数は、反応後得られる臭素化ジフェニルエタン混合物の難燃性能及び機械物性能を考慮して1分子当り7.6〜9.2個の範囲である。
【0018】
本発明で使用される反応溶媒としては、ジフェニルエタンを溶解させ、かつ塩化臭素に対し不活性であるか、または極めて低い反応性を有するものが適用可能である。一般的に、ハロゲン化炭化水素系溶剤が使用され、例えば塩化メチレン、クロロホルム、エチレンジクロライド、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、臭化メチレン、ブロモホルム、エチレンジブロマイド等である。有機溶媒の使用量としては、特に限定するものではないが、反応時のスラリー粘度、経済性等により反応に具するジフェニルエタンに対して重量比で3〜50倍量用いるのが望ましい。
【0019】
本発明の方法で使用されるルイス酸触媒としては、特に限定するものではないが、一般的に塩化第二鉄、臭化第二鉄等のハロゲン化鉄類、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三臭化アンチモン等のハロゲン化アンチモン類、三塩化チタン、四塩化チタン等のハロゲン化チタン類、三塩化硼素、三臭化硼素等のハロゲン化硼素類及び三フッ化硼素ジエチルエーテル錯体等のハロゲン化硼素錯体等が挙げられ、特に好ましくは三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三臭素化アンチモン等のハロゲン化アンチモン類である。これらは、単独若しくは混合して使用しても差支えない。
【0020】
触媒の使用量は、通常、仕込みのジフェニルエタンに対して0.5〜30モル%の範囲であり、好ましくは5〜20モル%の範囲である。0.5モル%以下では臭素化反応速度が低く、30モル%以上では加えた場合では経済的でない。
【0021】
反応温度は、通常−30〜20℃の範囲であり、好ましくは−5〜10℃の範囲である。
【0022】
塩化臭素の滴下時間は、触媒の種類及び添加量、そして反応時の反応熱の発生状態により調整を行うが、通常1〜12時間程度である。塩化臭素滴下後、直ちに後処理を行っても良いが所定の温度で1〜12時間熟成を行っても良い。
【0023】
反応終了後、得られたスラリー溶液中の余剰の塩化臭素を例えば、ヒドラジン、亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤を添加して還元した後、濾過、酸洗浄、水洗及び乾燥を行って目的のジフェニルエタン臭素化物を白色粉末として得る。
【0024】
以上の方法で得られた臭素化ジフェニルエタン混合物は、難燃剤として使用される。例えば熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂に配合することにより当該樹脂の機械物性能を低下させることなく高い難燃性能を発現することができる。
【0025】
本発明の臭素化ジフェニルエタン混合物が適用可能な樹脂としては、具体的に例えれば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン(以下、HIPSと略記する)、発泡ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体(以下、ABSと略記する)、ポリプロピレン、石油樹脂、ポリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂が挙げられ、さらには熱可塑性樹脂を2種類以上混合したポリカーボネート−ABS等に代表されるポリマーアロイ等も例示できる。これらのうち、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、発泡ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS、ポリプロピレン、石油樹脂、ポリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂及び熱可塑性樹脂を2種類以上を混合したポリカーボネート−ABS等に代表されるポリマーアロイが好適な樹脂として例示される。
【0026】
本発明の臭素化ジフェニルエタン混合物の樹脂への配合量としては、配合する樹脂の種類や目的とする難燃性能により異なり、特に限定するものではないが、通常樹脂100重量部に対して5〜50重量部配合する。
【0027】
本発明の臭素化ジフェニルエタン混合物を樹脂に配合するにあたり、難燃性能をより高めるために三酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等の難燃助剤を添加しても良く、この場合、本発明の臭素化ジフェニルエタン混合物100重量部に対して通常5〜100重量部が添加される。さらに、必要に応じて、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体の光安定剤、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤等を添加しても良く、この場合、本発明の難燃樹脂組成物100重量部に対して通常0.05〜5重量部添加される。これらのほか必要に応じて帯電防止剤やタルク等の無機充填剤を添加しても良い。
【0028】
本発明の臭素化ジフェニルエタン混合物の樹脂への配合方法としては、熱硬化性樹脂に配合する場合には、例えば予め本発明の臭素化ジフェニルエタン混合物と樹脂原料を混合した後、硬化させれば良く、熱可塑性樹脂に配合する場合には、ロールを用いた混練若しくはバンバリーミキサーを用いて必要な配合試剤を混合し、二軸押出し機等を用いてペレット化しても良い。これらの方法で得られた難燃性樹脂組成物の加工法は、特に限定するものではないが、例えばプレス成型、押出し成型及び射出成型等を行い目的とする成型品を得ることができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明の臭素化ジフェニルエタン混合物は、有用な難燃剤であり、特に熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂に配合した場合、従来品に比べ低配合量で高難燃性能及び高機械物性能を発現できる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0031】
尚、製造で得られた生成物について以下の方法により組成分析、融点測定、元素分析及びハンター白色度測定を行った。
【0032】
(1)組成分析は、ガスクロマトグラフィーを用いて行った。以下に測定条件を示す。
【0033】
Figure 0003864472
(2)融点測定は、Yanaco社製融点測定装置を用い、10℃/min.の昇温速度で公知の方法により行った。
【0034】
(3)元素分析は、炭素及び水素元素含量についてヤナギモト社製CHMコーダー(MT−3型)を用いて公知の方法で行った。また、臭素及び塩素元素含量は試料を酸素フラスコで燃焼させた後、ガスの吸収溶液をイオンクロマトグラフィー(東ソー社製イオンクロマトグラフィーシステム)を用いて公知の方法により行った。
【0035】
(4)ハンター白色度の測定は、日本電色工業社製測色色差計(ND−1001DP型)を用いて公知の方法により行った。
【0036】
実施例1
温度計、攪拌機及び冷却管を備えた3Lの四つ口丸底フラスコに臭素1758g(11.0mol)及び塩化メチレン1070gを仕込み、攪拌しながら0℃に冷却した。次いで、塩素ガス780g(11.0mol)をその温度を維持しながら、攪拌下、この臭素溶液に約2時間かけて吹き込み、塩化臭素溶液の調製を行った。尚、塩化臭素の仕込み比は、ジフェニルエタンの仕込み量に対して11モル比であり、また臭素と塩素の仕込み比は等モル比に設定した。
【0037】
続いて、5L四つ口丸底フラスコにジフェニルエタン365g(2.0mol)、三塩化アンチモン46g(0.2mol)及び塩化メチレン2570gを仕込み、室温下、攪拌しながら溶解させた。尚、三塩化アンチモンの仕込み比は、ジフェニルエタンの仕込み量に対して10モル%に相当する。溶解後、この溶液に攪拌しながら、先程の塩化臭素溶液を0℃で約3時間かけて滴下し、滴下後、その温度を維持しながら2時間熟成を行った。塩化臭素溶液の滴下途中より、反応液はスラリー状態となった。滴下終了後、得られたスラリー溶液中の残存塩化臭素を20%ヒドラジン水溶液で還元し、濾過を行った。得られた湿結晶を、5%塩酸水溶液で酸洗浄を行い、水洗を行って最後に120℃の温度で乾燥して白色の臭素化ジフェニルエタン混合物1580gを得た。
【0038】
この得られた臭素化ジフェニルエタン混合物について、融点測定、元素分析、核磁気共鳴スペクトル、ガスクロマトグラフィー,赤外吸収スペクトル及びハンター白色度を測定した結果を以下に示す。
【0039】
(1)融点測定:190〜305℃
(2)元素分析結果
Figure 0003864472
この元素分析結果から、算出した1分子当りの平均臭素化数は7.9個であった。
【0040】
(3)核磁気共鳴スペクトル(CDCl3 ,ppm):δ2.9〜3.9(m,1H)、δ7.4〜7.9(m,0.48H)
(4)ガスクロマトグラフィー(面積%):ヘキサブロモ体を7.0面積%、ヘプタブロモ体を52.0面積%、オクタブロモ体を17.0面積%、ノナブロモ体を16.5面積%、デカブロモ体を7.0面積%及び不純物を0.5面積%
(5)赤外吸収スペクトル(KBr,cm-1):ν=3085,2947,2869,2782,2705,2587,2361,1734,1541,1512,1450,1395,1323,1285,1229,1181,1159,1140,1058,1004,869,765,739,662,649,554
(6)ハンター白色度:86
実施例2
温度計、攪拌機及び冷却管を備えた3Lの四つ口丸底フラスコに臭素1918g(12.0mol)及び塩化メチレン1070gを仕込み、攪拌しながら0℃に冷却した。次いで、塩素ガス851g(12.0mol)をその温度を維持しながら、攪拌下、この臭素溶液に約2時間かけて吹き込み、塩化臭素溶液の調製を行った。尚、塩化臭素の仕込み比は、ジフェニルエタンの仕込み量に対して12モル比であり、また臭素と塩素の仕込み比は等モル比に設定した。
【0041】
続いて、5L四つ口丸底フラスコにジフェニルエタン365g(2.0mol)、三塩化アンチモン46g(0.2mol)及び塩化メチレン2570gを仕込み、室温下、攪拌しながら溶解させた。尚、三塩化アンチモンの仕込み比は、ジフェニルエタンの仕込み量に対して10モル%に相当する。溶解後、この溶液に攪拌しながら、先程の塩化臭素溶液を0℃で約3時間かけて滴下し、滴下後、その温度を維持しながら2時間熟成を行った。塩化臭素溶液の滴下途中より、反応液はスラリー状態となった。滴下終了後、得られたスラリー溶液中の残存塩化臭素を20%ヒドラジン水溶液で還元し、濾過を行った。得られた湿結晶を、5%塩酸水溶液で酸洗浄を行い、水洗を行って最後に120℃の温度で乾燥して白色の臭素化ジフェニルエタン混合物1778gを得た。
【0042】
この得られた臭素化ジフェニルエタン混合物について、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った結果、ヘキサブロモ体を1.3面積%、ヘプタブロモ体を12.6面積%、オクタブロモ体を21.3面積%、ノナブロモ体を30.2面積%、デカブロモ体を33.2面積%、及び不純物を1.3面積%含有しており、融点範囲は260〜310℃であった。また、元素分析を行った結果では、炭素が18.6%、水素が0.7%、臭素が78.6%、及び塩素が1.4%であり、この元素分析結果から、算出した1分子当りの平均臭素化数は8.9個であった。更に、色差計による色相分析を行った結果ではハンター白色度が86であった。
【0043】
実施例3
HIPS樹脂(三菱化学製HT−88)に対して、実施例1で得られた臭素化ジフェニルエタン混合物を表1で示す配合量で配合し、200℃でロール混練を行った。続いて、200℃でプレス成型を行った後、評価用試料片を作成し、得られた試料片について、下記の方法により燃焼試験及び機械物性評価を行った。(1)燃焼試験
酸素指数は、スガ試験機製試験装置(ON−1型)を用いて、JIS K 7201に規格されている酸素指数法に準拠して行った。また、UL94V燃焼性試験はスガ試験機製試験装置(UL94V型)を用いて、UL94V垂直燃焼試験方法に準拠して行った。
【0044】
(2)MFR
MFRは、東洋精器製試験装置(T01型)を用いて、JIS K 7210に規格されているMFR測定方法に準拠して行った。
【0045】
(3)耐衝撃性
耐衝撃性は、上島製作所製試験装置(UF−インパクトテスター)を用いて、JIS K 7110に規格されているIzod測定方法に準拠して行った。
【0046】
(4)引張り試験
引張り試験は、オリエンテック社製引張り試験装置(テンシロン UCT−2.5T型)を用いて、JIS K 7113に規格されている引張り試験方法に準拠して行った。
【0047】
【表1】
Figure 0003864472
【0048】
実施例4
HIPS樹脂に対して、実施例2で得られた臭素化ジフェニルエタン混合物を表1で示す配合量で配合し、実施例3と同様な条件でロール混練を行った。続いて、実施例3と同様な条件でプレス成型を行った後、評価用試料片を作成し、得られた試料片について燃焼試験及び機械物性評価を行った。結果を表1にあわせて示す。
【0049】
比較例1
平均臭素化数が7個の臭素化ジフェニルエタン混合物について、HIPS樹脂における難燃性能及び機械物性能の評価を行うため、以下の方法により製造を行った。
【0050】
500mL四つ口丸底フラスコにジフェニルエタン365g(2.0mol)、三塩化アルミニウム18g(0.13mol)及び臭化メチレン3280gを仕込み、室温下、攪拌しながら溶解させた。尚、三塩化アルミニウムの仕込み比は、ジフェニルエタンの仕込み量に対して6.5モル%に相当する。溶解後、この溶液に攪拌しながら、臭素2237g(14.0mol)を15℃で約3時間かけて滴下し、滴下後、その温度を維持しながら2時間熟成を行った。尚、臭素の仕込み比は、ジフェニルエタンの仕込み量に対して7モル比に相当する。尚、臭素の滴下途中より、反応液はスラリー状態となった。滴下終了後、得られたスラリー溶液中の残存塩化臭素を20%ヒドラジン水溶液で還元し、濾過を行った。得られた湿結晶を、5%塩酸水溶液で酸洗浄を行い、水洗を行って最後に120℃の温度で乾燥して黄色のジフェニルエタン7臭素化物1270gを得た。
【0051】
続いて、HIPS樹脂100重量部に対して先程のジフェニルエタン7臭素化物を表1で示す配合量で配合し、実施例1と同様な条件でロール混練を行った。続いて、実施例1と同様な条件でプレス成型を行った後、評価用試料片を作成し、得られた試料片について、下記の方法により燃焼試験及び機械物性評価を行った。結果を表1にあわせて示す。
【0052】
比較例2
HIPS100重量部に対して、市販のジフェニルエタン10臭素化物(Saytex8010;アルベマール社製)を表1で示す配合量で配合し、実施例3と同様な条件でロール混練を行った。続いて、実施例3と同様な条件でプレス成型を行った後、評価用試料片を作成し、得られた試料片について燃焼試験及び機械物性評価を行った。結果を表1にあわせて示す。
【0053】
実施例5
ABS樹脂(JSR社製#10)に対して、実施例1で得られた臭素化ジフェニルエタン混合物を表2で示す配合量で配合し、220℃でロール混練を行った。続いて、240℃でプレス成型を行った後、評価用試料片を作成し、得られた試料片について燃焼試験及び機械物性評価を行った。結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
Figure 0003864472
【0055】
実施例6
ABS樹脂に対して、実施例2で得られた臭素化ジフェニルエタン混合物を表2で示す配合量で配合し、実施例5と同様な条件でロール混練を行った。続いて、実施例5と同様な条件でプレス成型を行った後、評価用試料片を作成し、得られた試料片について燃焼試験及び機械物性評価を行った。結果を表2にあわせて示す。
【0056】
比較例3
ABS樹脂100重量部に対して、比較例1で得られたジフェニルエタン7臭素化物を表2で示す配合量で配合し、実施例5と同様な条件でロール混練を行った。続いて、実施例5と同様な条件でプレス成型を行った後、評価用試料片を作成し、得られた試料片について燃焼試験及び機械物性評価を行った。結果を表2にあわせて示す。
【0057】
比較例4
ABS樹脂100重量部に対して、ジフェニルエタン10臭素化物を表2で示す配合量で配合し、実施例5と同様な条件でロール混練を行った。続いて、実施例5と同様な条件でプレス成型を行った後、評価用試料片を作成し、得られた試料片について燃焼試験及び機械物性評価を行った。結果を表2にあわせて示す。
【0058】
比較例5
500mL四つ口丸底フラスコにジフェニルエタン36.5g(0.20mol)、三塩化アルミニウム1.8g(0.013mol)及び臭化メチレン328gを仕込み、室温下、攪拌しながら溶解させた。尚、三塩化アルミニウムの仕込み比は、ジフェニルエタンの仕込み量に対して6.5モル%に相当する。溶解後、この溶液に攪拌しながら、臭素255.7g(1.60mol)を15℃で約3時間かけて滴下し、滴下後、その温度を維持しながら2時間熟成を行った。尚、臭素の仕込み比は、ジフェニルエタンの仕込み量に対して8モル比に相当する。尚、臭素の滴下途中より、反応液はスラリー状態となった。滴下終了後、得られたスラリー溶液中の残存塩化臭素を20%ヒドラジン水溶液で還元し、濾過を行った。得られた湿結晶を、5%塩酸水溶液で酸洗浄を行い、水洗を行って最後に120℃の温度で乾燥して紫色の臭素化ジフェニルエタン混合物137gを得た。この得られた臭素化ジフェニルエタン混合物について、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った結果、不純物を11面積%含有し、更に色差計による色相分析の結果、ハンター白色度が70であった。

Claims (2)

  1. ハロゲン化鉄類、ハロゲン化アンチモン類、ハロゲン化チタン類、ハロゲン化硼素類及びハロゲン化硼素錯体からなる群より選ばれるルイス酸触媒の存在下、ジフェニルエタンを仕込みのジフェニルエタンに対して11〜20モル比の塩化臭素と反応させることを特徴とする、ヘキサブロモジフェニルエタン、ヘプタブロモジフェニルエタン、オクタブロモジフェニルエタン、ノナブロモジフェニルエタン及びデカブロモジフェニルエタンの混合物で、平均臭素化数が7.6〜9.2個の範囲にあり、ガスクロマトグラフィーによる分析においてノナブロモ体を16〜50面積%、デカブロモ体を6〜40面積%の範囲で含有し、なおかつ色調がハンター白色度で80以上である臭素化ジフェニルエタン混合物の製造方法。
  2. 臭素化ジフェニルエタン混合物の溶融開始温度が190℃以上で、溶融終了温度が320℃以下であることを特徴とする請求項2に記載の臭素化ジフェニルエタン混合物の製造方法
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