JP3860820B2 - 3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールの製造方法 - Google Patents

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本発明は、3,3’,5,5’’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールの製造方法に関し、詳しくは、2,6−ジアルキルフェノールの酸化二量化によって3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールを製造する際に、未反応原料を回収して再利用することによる工業的に有利な3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールの製造方法に関する。以下、3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールついて「テトラアルキルビフェノール」と略記する場合がある。
テトラアルキルビフェノールは、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの原料として、また、石油製品の安定剤や可塑剤の原料などとして有用な化合物である。中でも、アルキル基がメチル基であるテトラアルキルビフェノールは、エポキシ樹脂の原料として電気電子分野などに於て有用である。
テトラアルキルビフェノールの合成方法としては、金属触媒および酸化剤の存在下、水溶媒中、2,6−ジアルキルフェノール(以下「ジアルキルフェノール」と略記することがある)を酸化二量化する方法が知られており、比較的高収率でテトラアルキルビフェノールを得ることが出来る(例えば、特許文献1〜2参照)。この方法は、具体的には、(1)水溶媒および金属触媒の存在下、酸素または酸素含有ガスによって2,6−ジアルキルフェノールの酸化二量化反応を行う工程と、(2)得られた反応混合物(水性スラリー)からテトラアルキルビフェノールを固液分離する工程とから成る。
上記方法でテトラアルキルビフェノールを工業的に製造する場合、酸化二量化反応後および固液分離後に於いて生じる未反応原料のジアルキルフェノールを含有する反応液の処理については、従来特に好ましい処理方法が知られて無いのが実情である。例えば、反応液を加熱し、水とジアルキルフェノールを共沸させて蒸留回収できることについては知られている(例えば、特許文献3〜4参照)が、蒸留回収した水とジアルキルフェノールの混合物を再利用することについては知られていない。したがって、反応後の未反応2,6−ジアルキルフェノールを廃棄処理するのが一般的であるが、未反応原料を廃棄してしまうこと及び廃棄処理にかかるコストにより製品コストが上昇し、大量の反応液の廃棄処理は地球環境の観点からも好ましくない。従って、反応液中のジアルキルフェノールを回収し再利用することが工業的には非常に重要である。
本発明者らは、上記の水とジアルキルフェノールから成る共沸混合物を蒸留回収し、そのまま原料の一部として再利用を試みたが、回収、再利用を繰返していくうちに、酸化二量化反応に於ける所定の転化率までの反応時間が徐々に長くなるという問題に遭遇した。
特開昭53−65834号公報 特開昭60−152433号公報 特開昭61−268641号 特許第2861221号公報
本発明は上記実状に鑑みなされたものであり、その解決課題は、未反応のジアルキルフェノールを回収して再利用を繰返し行なっても、酸化二量化反応に於ける転化率の低下および反応時間の増加が抑制され、反応液の廃棄量を少なく出来る工業的に有利な製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、(1)上記の反応時間の増加が不純物として副生する2−カルボニルフェノール化合物の蓄積による反応性阻害作用に起因していること、(2)酸化二量化反応後および/または固液分離後に於ける反応液から水と未反応2,6−ジアルキルフェノールと不純物として2−カルボニルフェノール化合物とを含有する混合物を留出させて回収し、その留分の一部を酸化二量化反応に供給することにより、不純物の蓄積が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第1の要旨は、水溶媒および金属触媒の存在下、酸素または酸素含有ガスによって2,6−ジアルキルフェノールの酸化二量化反応を行ない、未反応2,6−ジアルキルフェノール及び金属触媒を含有する水性反応液に3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールが分散した水性スラリーを得る工程(A)と、得られた水性スラリーから3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールを固液分離する工程(B)とから成る3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールの製造方法であって、工程(A)以降であり工程(B)に至る前に、精留方式により水性スラリーの蒸留を行い、水と未反応2,6−ジアルキルフェノールと不純物として下記一般式(I)で示される2−カルボニルフェノール化合物とを含有する混合物を留出させて回収し、当該回収留分の一部を酸化二量化反応に供給することを特徴とする3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールの製造方法に存する。
本発明の第2の要旨は、水溶媒および金属触媒の存在下、酸素または酸素含有ガスによって2,6−ジアルキルフェノールの酸化二量化反応を行ない、未反応2,6−ジアルキルフェノール及び金属触媒を含有する水性反応液に3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールが分散した水性スラリーを得る工程(A)と、得られた水性スラリーから3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールを固液分離する工程(B)とから成る3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールの製造方法であって、工程(B)で回収される水性反応液から水と未反応2,6−ジアルキルフェノールと不純物として下記一般式(I)で示される2−カルボニルフェノール化合物とを含有する混合物を精留により留出させて回収し、当該回収留分の一部を酸化二量化反応に供給することを特徴とする3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールの製造方法に存する。
本発明の第3の要旨は、水溶媒および金属触媒の存在下、酸素または酸素含有ガスによって2,6−ジアルキルフェノールの酸化二量化反応を行ない、未反応2,6−ジアルキルフェノール及び金属触媒を含有する水性反応液に3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールが分散した水性スラリーを得る工程(A)と、得られた水性スラリーから3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールを固液分離する工程(B)とから成る3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールの製造方法であって、工程(A)以降であり工程(B)に至る前に、水性スラリーの単蒸留を行い、水と未反応2,6−ジアルキルフェノールと不純物として下記一般式(I)で示される2−カルボニルフェノール化合物とを含有する混合物を留出させて回収し、且つ、工程(B)で回収される水性反応液から水と未反応2,6−ジアルキルフェノールと不純物として下記一般式(I)で示される2−カルボニルフェノール化合物とを含有する混合物を精留により留出させて回収し、上記2つの回収工程で得られる回収留分の一部を酸化二量化反応に供給することを特徴とする3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールの製造方法に存する。
本発明のテトラアルキルビフェノールの製造方法は、未反応のジアルキルフェノールを回収して再利用を繰返し行なっても、酸化二量化反応に於ける転化率の低下および反応時間の増加が抑制され、反応後の未反応ジアルキルフェノールの廃棄量を少なく出来る工業的に有利な製造方法であり、本発明の工業的価値は高い。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の製造方法は、水溶媒および金属触媒の存在下、酸素または酸素含有ガスによって2,6−ジアルキルフェノールの酸化二量化反応を行ない、主として未反応2,6−ジアルキルフェノール及び金属触媒を含有する水性反応液にテトラアルキルビフェノールが分散した水性スラリーを得る反応工程(A)と、得られた水性スラリーからテトラアルキルビフェノールを固液分離する工程(B)とから成る。なお、本発明の理解を助けるために、本発明の第1〜3の要旨に対応するフロー図の1例を図1に示す。以下、上述の反応工程(A)を工程(A)と略す。
先ず、工程(A)について説明する。工程(A)は、2,6−ジアルキルフェノールの酸化二量化反応工程である。本発明に於て、2,6−ジアルキルフェノールとは、フェノールの2,6位が炭素数1〜4のアルキル基で置換されたアルキルフェノールである。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、1−プロピル基、n−ブチル基、1−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基が例示され、工業的に特に重要なのものは、アルキル基がメチル基である2,6−ジメチルフェノール(2,6−キシレノール)である。
反応溶媒としては水を使用し、好ましくはアルカリ性物質を加えてアルカリ性条件下で反応を行う。アルカリ性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素塩、ホウ酸ナトリウム、ホウ砂などのホウ素化合物、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム等のアルカリ金属リン酸塩、トリエチルアミン、ピリジン等のアミン塩基類が例示され、中でも、収率、選択率の面からホウ素化合物、特にホウ砂が好ましい。アルカリ性物質は、通常、反応系のpHが8〜11の範囲に保たれる程度の量を使用する。使用するアルカリ性水性溶媒の量は、2,6−ジアルキルフェノール1モル当たり、通常100〜1000ml、好ましくは100〜500mlである。
反応溶媒には界面活性剤を加えるのが好ましく、その具体例としては、脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸塩などが例示され、好ましくはアルキル硫酸塩であり、中でもラウリル硫酸ナトリウムが反応速度や発泡性の観点から好ましい。界面活性剤の使用量は、2,6−ジアルキルフェノール1mol当り、通常0.1〜50mmolである。
金属触媒としては、各種の遷移金属化合物が使用できるが、中でも銅化合物が好適に使用される。銅化合物は、一価または二価のどちらも使用でき、ハロゲン化銅、水酸化銅、硫酸銅、硝酸銅、カルボン酸銅、アルキル硫酸銅などが例示される。金属触媒の使用量は、2,6−ジアルキルフェノール1mol当り、通常0.005〜0.04mmol、好ましくは0.01〜0.04mmolである。
酸素ガス又は空気などの酸素含有ガスは酸化二量化反応に於ける酸化剤として使用される。
酸化二量化反応の反応温度は通常50〜100℃であり、反応圧力は、気相中の酸素濃度にもよるが、通常大気圧〜30気圧の範囲であり、反応時間は通常5〜15時間である。酸素ガス又は酸素含有ガスの供給を停止することにより反応を終了させる。
得られる反応液は、未反応2,6−ジアルキルフェノール、界面活性剤、金属触媒および不純物として副生する前記式(I)で示される2−カルボニルフェノール化合物を含有するアルカリ性水性反応液中にテトラアルキルビフェノールが分散した状態の水性スラリーである。
2−カルボニルフェノール化合物は、酸化二量化反応の際にアルキルフェノール類のアルキル鎖が酸化されて生成すると考えられており、具体的には、サリチルアルデヒド類、サリチル酸類、2−(アルキルカルボニル)−フェノール類である。2−カルボニルフェノール化合物は、後述する未反応2,6−ジアルキルフェノールを蒸留回収する際に、その沸点や溶解度等の性質が近いために、未反応2,6−ジアルキルフェノールの回収留分中に混在し、回収を繰返すと蓄積する。2−カルボニルフェノール化合物が回収留分中に多量に存在すると、未反応2,6−ジアルキルフェノールを回収再利用した際に、2,6−ジアルキルフェノールの酸化二量化反応が阻害される。2−カルボニルフェノール化合物の中でも、特にサリチルアルデヒド類が生成・濃縮されやすく、また酸化二量化反応阻害効果も大きい。例えば原料として2,6−キシレノールを使用した場合、3−メチルサリチルアルデヒドが回収留分中に蓄積し、酸化二量化反応を大きく阻害する。
酸化二量化反応後の水性スラリー中の未反応2,6−ジアルキルフェノールの残存率は、アルキル基の種類により異なるが、一般に5〜50重量%の範囲であり、特に残存率10〜20重量%の場合、テトラアルキルビフェノールの収率および選択率の面から好ましい。未反応2,6−ジアルキルフェノールの残存率は、供給する酸化剤(酸素)の量によって制御できる。
工程(A)で得られた水性スラリーをそのまま次の固液分離工程(B)に供給してもよいが、固液分離前に以下に説明する後処理を行うことにより、効率良く高純度のテトラアルキルビフェノールを得ることが出来るため好ましい。
すなわち、酸化二量化反応後、酸素含有ガスの供給を停止して得られた水性スラリーに対し、好ましくは窒素などの不活性ガスにより反応器内の酸素を置換した後、酸を添加し、続いて行われる加熱処理中のpHが7以下、好ましくは6〜7の範囲になる様に水性スラリーのpHを調節する。このpH調節により、加熱処理中に副成するポリフェニレンエーテル等の重質不純物の増加が防止される。pH調節に使用される酸は特に限定されないが、一般に鉱酸が使用され、硫酸または塩酸が好ましい。
次いで加熱処理を行う。加熱処理は、通常60〜120℃の温度で、常圧で行い、処理時間は通常10時間以内である。この加熱処理で、反応で副成したジフェノキノン類を減少させ、テトラアルキルビフェノールの収量を高めることが出来る。
次いで加熱処理した水性スラリーに更に酸を添加して反応液のpHを好ましくは2.5〜5(特に原料の2,6−ジアルキルフェノールが2,6−キシレノールの場合、好ましくは3〜4.5)とする。pH調節に使用される酸は特に限定されないが、一般に鉱酸が使用され、硫酸または塩酸が好ましい。加熱処理後のpH調節は、製品テトラアルキルビフェノール中への金属触媒などの無機不純物の混入防止に効果的である。
上記pH調節を行なった水性スラリーにアルコールを添加し、混合撹拌する。アルコールの添加量は、水/アルコールの重量比が5/5〜8/2となる様に添加することが好ましく、特に原料の2,6−ジアルキルフェノールが2,6−キシレノールの場合は、水/アルコールの重量比が6/4〜7/3となる様に添加することが好ましい。アルコールを添加することにより、水性スラリーからポリフェニレンエーテル等の重質不純物を溶解除去することが出来る。
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等の炭素数1〜4の低級アルコールが好適に使用できる。水とアルコールの混合比率を上記の範囲とすることにより、テトラアルキルビフェノールの溶解度を減少させ、その回収率を高く維持すると共に、除去すべき不純物の溶解度を充分高く維持することが出来る。
アルコールの添加後の混合撹拌は、通常40〜100℃、好ましくは50〜90℃の温度で、通常0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間行う。アルコールを添加した混合液中のテトラアルキルビフェノールの濃度は、通常5〜50重量%である。
次いで、固液分離工程(B)について説明する。以下、固液分離工程(B)を工程(B)と略す。工程(B)は、工程(A)又は更に加熱処理などの付加工程を経て得られた水性またはアルコール含有水性スラリーを固液分離することにより、製品であるテトラアルキルビフェノールを分離する。固液分離方法には特に制限は無く、濾過、遠心分離などの通常の手段が使用できる。固液分離する際のスラリーの温度は、通常35〜70℃、好ましくは40〜65℃である。温度が高すぎる場合は有機不純物を除去し易いが、製品収量が低下する傾向となり、温度が低すぎる場合は、テトラアルキルビフェノール中の有機不純物の含量が増大する傾向となる。
固液分離により得られたテトラアルキルビフェノールを含有する固相には、通常10〜30%の液分を含有する。この液分中には、未反応2,6−ジアルキルフェノール、重質不純物などの反応副生成物、界面活性剤などを含有する。また、工程(B)を行う前にアルコール洗浄により精製した場合、洗浄に供したアルコールを含有する。そのため、通常、更に精製を行い、高純度の製品とすることが好ましい。高純度の製品を得る為の付加的な精製方法としては、温水により固液分離後の固相をリンス洗浄することが工業的に簡便であり好ましい。温水の温度は、通常35〜90℃、好ましくは40〜65℃である。また温水の量は、温度や洗浄の方法にもよるが、通常、固相に対して0.5〜3倍量(重量比)である。また、別の精製方法として、温水や有機溶剤で固液分離後の固相を混合洗浄し、再度、固液分離を行なって固相と液相に分離してもよい。
固液分離に於て回収される水性反応液は、水、未反応の2,6−ジアルキルフェノール、界面活性剤、金属触媒、不純物として前記式(I)で示される2−カルボニルフェノール化合物を含有するアルカリ性水性反応液であり、更に、工程(B)の前に、加熱処理およびアルコールによる精製などの付加工程を経た場合は、アルコールを含有する酸性水性反応液である。
本発明の第1の要旨に記載の製造方法に於て、上記酸化反応後の水性スラリーを蒸留し、主として水と未反応2,6−ジアルキルフェノールから成り不純物として2−カルボニルフェノール化合物を含有する混合物を留出させ、この回収留分の一部を酸化二量化反応に供給し、反応原料の2,6−ジアルキルフェノールの一部として再利用を行う。
上記回収留分中には2−カルボニルフェノール化合物が含有されているが(例えば、2,6−ジアルキルフェノールが2,6−キシレノールの場合、回収留分に3−メチルサリチルアルデヒドが含有される)、上述の操作を行なうことにより、2−カルボニルフェノール化合物が酸化二量化反応液に蓄積することが抑制され(回収留分の全部が常時に酸化二量化反応に供給される場合に比し)、酸化二量化反応に於ける転化率が低下し反応時間が長くなることが抑制されると共に、廃棄処理される未反応原料の2,6−ジアルキルフェノールの量を少なくすることが出来、工業的に有利な製造方法となる。
水性スラリーの蒸留を上述の固液分離前の後処理工程と併せて行う場合は、水性スラリーのpHを通常7以下、好ましくは6〜7に調節した後、アルコールを添加する前の加熱処理の工程に於ける加熱操作と同時に水性スラリーの蒸留を行い、未反応キシレノールを蒸留回収することが好ましい。
水性スラリーの蒸留の温度および圧力は、水と2,6−ジアルキルフェノールが共沸する条件を選択すればよく、必要に応じて加圧または減圧下で蒸留を行ってもよい。例えば2,6−ジアルキルフェノールが2,6−キシレノールの場合、常圧、約100℃で蒸留すればよい。工程(A)又はさらに上述の後処理を行って得られた水性スラリーを蒸留する場合の蒸留方式は単蒸留でもよいが、精留方式により、還流比を上げて2−カルボニルフェノール化合物を濃縮分離することができる。蒸留の際、水性スラリーの濃度が高くなり過ぎて攪拌などの操作が困難となる場合は、系内に水や水蒸気を添加しながら蒸留を実施してもよい。
酸化二量化反応に回収留分の一部を供給する方法としては、種々の方法が考えられるが、代表的方法としては、酸化二量化反応に回収留分の全量を数回供給した後、回収留分の一部または全部を除去して酸化二量化反応に供給する方法(すなわち、数回の反応につき回収留分の除去を1回行う)と、毎回の蒸留操作に於いて回収留分の一部を除去して酸化二量化反応に供給する方法があり、何れの方法でもよい。前者の方法では操作が簡便であり、後者の方法では各回の反応成績が安定化しやすくなる。
前者の数回の反応につき回収留分の除去を1回行う場合、酸化二量化反応に供給する回収留分の割合は各回で大きく変動するが、複数の反応サイクルにおいての平均として表すことができる。各回での反応時間、2−カルボニルフェノール化合物の濃度および反応に再使用しない回収留分の廃棄量を考慮しながら、最も効率の良くなる回数および供給量を採用することが好ましい。
後者の毎回の蒸留操作に於いて回収留分の一部を除去する場合、酸化二量化反応に供給する回収留分の割合は各回でほぼ安定して実施できる。この場合も反応時間、2−カルボニルフェノール化合物の濃度および反応に再使用しない回収留分の廃棄量を考慮しながら、最も効率の良くなる供給割合を採用することが好ましい。
上記の何れの方法に於ても、酸化二量化反応に供給する回収留分の割合は、蒸留回収の条件にもよるが、回収留分中の未反応2,6−ジアルキルフェノールに対し、通常99重量%以下、好ましくは50〜99重量%、より好ましくは90〜99重量%である(数回の反応につき回収留分の除去を1回行なう場合は、各回の平均供給割合とする)。酸化二量化反応に供給する回収留分の割合が大きすぎる場合、廃棄処理される未反応原料の2,6−ジアルキルフェノールの量はさらに少なくなるものの、2−カルボニルフェノール化合物が酸化二量化反応に蓄積し、酸化二量化反応に於ける転化率が低下し、反応時間が増加する。一方、酸化二量化反応に供給する回収留分の割合が少なすぎる場合、酸化二量化反応への2−カルボニルフェノール化合物の蓄積の抑制効果および酸化二量化反応に於ける転化率の低下と反応時間の増加が抑制される効果が飽和し、廃棄される未反応原料の2,6−ジアルキルフェノールの量が増加するため経済的に不利となる。
蒸留回収を単蒸留で行った場合は、回収留分中の2,6−ジアルキルフェノール中の不純物濃度が高くなりやすいため、酸化二量化反応に供給する回収留分の割合を比較的低くする必要があり、通常95重量%以下、好ましくは50〜90重量%である。また、蒸留回収を精密蒸留で行う場合は、不純物の2−カルボニルフェノール化合物が濃縮された留分を除いた回収留分を酸化二量化反応に供給できるため、酸化二量化反応に供給しない回収留分(残部)の重量は、回収を単蒸留で行った場合の残部と比較し少量(通常1/5〜1/10)とすることが可能であり、すなわち、酸化二量化反応に供給する回収留分の割合を大きくすることが可能である。なお、濃縮分離の後に、その残部から更に未反応原料の2,6−ジアルキルフェノールの一部を酸化二量化反応に供給してもよい。
回収した未反応原料の2,6−ジアルキルフェノール中の2−カルボニルフェノール化合物の濃度は、好ましくは5重量%未満、より好ましくは2重量%未満である。回収した未反応原料の2,6−ジアルキルフェノールは、新しい原料の2,6−ジアルキルフェノールと併せて酸化二量化反応に供給する。仕込反応液中の2,6−ジアルキルフェノール中に含まれる2−カルボニルフェノール化合物の濃度は、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.2重量%未満である。
本発明の第2の要旨に記載の製造方法に於て、工程(B)で回収される水性反応液を蒸留し、主として水と未反応2,6−ジアルキルフェノールとから成り不純物として2−カルボニルフェノール化合物を含有する混合物を留出させ、この回収留分の一部を酸化二量化反応に供給し、反応原料の2,6−ジアルキルフェノールの一部として再利用を行う。この操作により、第1の要旨で説明した効果と同様の効果が得られ、工業的に有利な製造方法となる。
工程(A)の後に上述の後処理工程を実施した場合、この水性反応液には低級アルコール等が含有される。この場合、蒸留工程で低級アルコール等の低沸点化合物を除いた後、2,6−ジアルキルフェノールの回収操作を行う。なお、水性反応液が酸性の場合は、装置の腐食防止等の点から、蒸留での加熱前に水酸化ナトリウム等のアルカリを使用して水性反応液を中和しておくことが好ましい。
上記水性反応液の蒸留の温度および圧力は、水と2,6−ジアルキルフェノールが共沸する条件を選択すればよく、必要に応じて加圧または減圧下で蒸留を行ってもよい。蒸留の方式は単蒸留でもよいが、水性反応液に低級アルコール等が含有される場合には、精留方式が特に好ましい。精留方式を採用することにより、アルコールの回収および再使用が出来るだけでなく還流比を上げて2−カルボニルフェノール化合物を濃縮分離することが出来る。蒸留の際、水性スラリーの濃度が高くなり過ぎて攪拌などの操作が困難となる場合は、系内に水や水蒸気を添加しながら蒸留を実施してもよい。
酸化二量化反応に回収留分の一部を供給する方法は、第1の要旨で説明した内容と同一である。
酸化二量化反応に供給する回収留分の割合は、第1の要旨で説明した内容と同一である。
回収した未反応原料の2,6−ジアルキルフェノール中および仕込反応液中の2−カルボニル化合物の好ましい濃度は、第1の要旨で説明した内容と同一である。
本発明の第3の要旨に於ては、第1の要旨で説明した水性スラリーからの蒸留回収操作(前段蒸留工程)および第2の要旨で説明した工程(B)で回収される水性反応液からの蒸留回収操作(後段蒸留工程)を併せて行う。それぞれの回収操作の蒸留回収方法は、第1の要旨および第2の要旨で説明したものと同様に実施することが出来る。この操作により、第1の要旨で説明した効果と同様の効果が得られ、工業的に有利な製造方法となる。
前段蒸留工程および後段蒸留工程に於ける操作は、第1及び第2の発明の要旨で述べたように、単蒸留でも精密蒸留でも実施することが出来るが、精密蒸留の方がより不純物の少ない未反応原料を回収することが出来る点で好ましい。しかしながら、2−カルボニルフェノール化合物は後段蒸留のほうに濃縮される傾向があるため、前段蒸留工程は簡便な単蒸留でも不都合なく実施することが出来る。後段蒸留工程については、単蒸留も可能であるが、水性スラリーが低級アルコールを含有する場合それを分離し、2−カルボニルフェノール化合物を濃縮分離するためにも精密蒸留が好ましい。
上記前段蒸留工程および後段蒸留工程で得られる回収留分を酸化二量化反応に供給する方法については、下記の方法が採用できる。(1)両工程で得られる回収留分を纏め、その一部を反応液に供給する方法。(2)両工程で得られる回収留分を独立に反応に供給する方法。(2)の方法の場合、両工程の回収留分の酸化二量化反応への供給割合には自由度があり、一方の留分を全部供給し一方の留分を一部供給することも、両方の留分の一部ずつを供給することも出来る。
前段蒸留工程および後段蒸留工程で得られた回収留分を酸化二量化反応に供給する割合は、蒸留回収の方法にもよるが、全回収留分中の未反応2,6−ジアルキルフェノールに対し通常99重量%以下、好ましくは50〜99重量%、より好ましくは90〜99重量%である。特に後段蒸留工程に於て精密蒸留時に2−カルボニルフェノール化合物を濃縮回収した場合には、その濃縮留分を除いた回収留分を酸化二量化反応に供給することで、供給割合を高くすることが出来る。
本発明の第3の要旨に於ける製造方法は工業的に非常に効率的な製造方法といえる。例えば、工程(B)の前に於て、水性スラリーの加熱精製を行い、その加熱処理を利用して未反応2,6−ジアルキルフェノールの蒸留回収を行うことにより工程(B)の前である程度の未反応2,6−ジアルキルフェノールを蒸留回収し、工程(B)で回収される水性反応液から残りの未反応2,6−ジアルキルフェノールを蒸留回収する方法を採用すれば、工程(B)の前のみ又は工程(B)の後のみで蒸留回収を行う場合と比較して蒸留に於ける負荷が軽減され、蒸留回収時間が短縮され、また水性スラリーの蒸留の際に適度なスラリー濃度を維持できる等の利点を有する。また、工程(B)に供する水性スラリーの量が減り、固液分離工程への負荷を軽減し、生産時間を短縮できる。
特に好ましい製造方法の例としては、工程(A)の酸化二量化反応の後、水性スラリーのpHを7以下に調節し、加熱処理を実施すると同時に前段蒸留工程による2,6−ジアルキルフェノールの回収を行い、pHを酸性として低級アルコールの混合処理を行った後、工程(B)の固液分離工程を行い、さらに得られる水性反応液のpHを7以上に調節した後、後段蒸留工程による2,6−ジアルキルフェノールの回収を行い、前段蒸留工程および後段蒸留工程で回収される2,6−ジアルキルフェノールの一部を酸化二量化反応に再使用する方法を挙げることが出来る。
前段蒸留工程で回収する未反応2,6−ジアルキルフェノールの量と、後段蒸留工程で回収する未反応2,6−ジアルキルフェノールの量との比は、製造効率が最適となる様に選択すればよい。蒸留回収する未反応2,6−ジアルキルフェノールの総量を100重量部とした場合、前段蒸留工程で回収する未反応2,6−ジアルキルフェノールの量は通常20重量部以上、好ましくは30〜50重量部であり、後段蒸留工程で回収する未反応2,6−ジアルキルフェノールの量は通常80重量部以下、好ましくは70〜50重量部である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例に於ける2,6−キシレノール及び3−メチルサリチルアルデヒド(MSA)の分析方法を以下に示す。
2,6−キシレノール及びMSAの定量分析は、カラムとして架橋度5%のフェニルメチルシリコーンキャピラリーカラム(J&W社製「CBP−5」)、検出器として水素
炎イオン化検出器(FID)をそれぞれ使用し、ガスクロマトグラフ(島津製作所社製「GC−14B」)により行なった。ジメチルホルムアミド20mlに試料20gを溶解して測定試料を調製し、内部標準物質としてフェノールを使用した。2,6−キシレノールについては内部標準法にて定量し、MSAについては内部標準法によって定量した2,6−キシレノールの純度および2,6−キシレノールとMSAとのガスクロマトグラフチャートの面積比を基に算出した。
実施例1:
ステンレス製反応器に、回収原料槽から2,6−キシレノール11重量%を含有する蒸留回収液100重量部(2,6−キシレノール11重量部および水89重量部から成る)を供給し、続いて新たな原料2,6−キシレノール64重量部および新たな水42重量部を添加し、撹拌しながら加熱昇温した。仕込み反応液中の2,6−キシレノール中に含まれるMSAの濃度は0.07重量%であった。内容物の温度が60℃になったところで、ホウ砂3.3重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.13重量部および酢酸第二銅0.004重量部を添加し、更に攪拌しながら加熱昇温した。内容物の温度が70℃になったところで酸素の導入を開始した。反応温度が70℃に保たれる様に攪拌を続け、原料2,6−キシレノールの約85重量%を酸化二量化させる量の酸素が消費された時点で酸素の導入を停止し、反応系内を窒素でパージした。
次いで、98重量%硫酸を添加し、生成水性スラリーのpHを6.2に調節した後、徐々に昇温させて単蒸留し、軽沸分を含む初留8重量部を系外に除去した後、水と未反応2,6−キシレノールから成る混合物28重量部を留出させ、回収原料槽に回収した。その後、反応器内の温度を単蒸留時の約100℃より70℃まで冷却し、98重量%硫酸を加えて反応液のpHを3.7に調節した後、イソプロピルアルコール/水(86/14(重量%))混合溶媒87重量部を添加し、反応器内の温度を60℃に調節しながら30分攪拌した。
次いで、水性スラリーの温度を60℃に維持しながら、バッチ式の遠心濾過器を使用して水性スラリーを固液分離し、60℃の温水59重量部を使用して遠心分離器内の固体を洗浄し、16重量%の水分を含有する3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール57重量部を得た。
遠心濾過機より回収される水性反応液に48重量%苛性ソーダ水溶液を添加してpHを7〜8に調節した後に、徐々に昇温させて精密蒸留(精留)した。約80℃に於て、イソプロピルアルコールと水を含む混合物留分を回収した後に、更に温度を上げて還流比をおよそ1に保ちながら精留を続け、約100℃に於て、水と未反応2,6−キシレノールを含有する混合物72重量部を留出させ、上述の回収原料槽に回収した。
以上の操作を計4回繰り返したところ、所定量の酸素を消費するのに必要とされる反応時間は12時間から13.8時間に増加し、仕込み反応液中の2,6−キシレノール中に含まれるMSAの濃度は0.13重量%に増加した。次いで、5回目の操作について、回収原料槽中の蒸留回収液の50重量%(50重量部)を系外へ除去し、残り50重量%(50重量部)を反応槽に供給し、再利用した。この際、回収原料2,6−キシレノールが5.5重量部および水が44.5重量部減少したので、新たな原料2,6−キシレノール69.5重量部および新たな水86.5重量部を添加した。5回目の操作に於ける反応時間は11.6時間に短縮し、仕込み反応液に於ける2,6−キシレノール中のMSAの濃度は0.06重量%となった。以上の5回の操作に於ける回収留分の供給割合と反応時間および仕込み反応液中の2,6−キシレノール中に含有されるMSAの濃度の推移について表1に示す。5回の操作を通じて回収した2,6−キシレノールは55重量部(11重量部×5回)、廃棄した2,6−キシレノールは5.5重量部であるため、回収留分中の2,6キシレノールの平均的な供給割合は90重量%であった。
実施例2:
実施例1と同様の操作により、未反応2,6−キシレノールの回収再利用を計7回繰り返した。この間に、反応仕込み液に於ける2,6−キシレノール中のMSAの濃度は0.08重量%から0.13重量%に増加し、所定量の酸素を消費するのに必要とされる反応時間は12時間から14.9時間に増加した。次いで、8回目の操作に於て、遠心濾過器より回収される水性反応液の蒸留の際に、48重量%苛性ソーダ水溶液を添加してpHを7〜8に調節し、約80℃に於いてイソプロピルアルコールと水を含む混合物留分を回収した後に、更に温度を上げて還流比をおよそ6に保ちながら精留を実施した。
はじめに主として水と2,6−キシレノールからなるMSAが低減された留分(1)を49重量部回収し、次いでMSAが濃縮された水とキシレノールを含む留分(2)を23重量部回収した。留分(1)中には水42.2重量部、2,6−キシレノール6.8重量部が含まれ、MSAは2,6−キシレノールに対し0.1重量%含まれており、回収原料槽に回収した。留分(2)中には水21.9重量部、2,6−キシレノール1.1重量部が含まれ、MSAは2,6−キシレノールに対し4重量%含まれていた。回収原料槽中の回収留分(キシレノール9.9重量部および水67.1重量部から成る)を酸化二量化反応に再利用し、MSAが濃縮された回収留分(2)(回収留分中に2,6−キシレノールの10重量%、MSAの65重量%を含む)は再使用しなかった。この際、回収原料2,6−キシレノールが1.1重量部および水が21.9重量部減少したので、新たな原料2,6−キシレノール65.1重量部および水63.9重量部を添加した。
8回目の反応操作において、反応仕込液の2.6−キシレノール中のMSAの濃度は0.05重量%となり、反応時間は11.7時間に減少した。以上の8回の操作に於ける回収留分の供給割合と、反応時間および反応仕込液中の2,6−キシレノール中に含有されるMSAの濃度の推移について表1に示す。この8回の操作を通じて、留分(2)を含む回収留分中の2,6−キシレノール88部に対し、酸化二量化反応に供給した2,6−キシレノールは86.9重量部であり、その割合は98.8重量%であった。
比較例1:
実施例1に於て、蒸留回収した未反応2,6−キシレノールの全量を再利用する操作を計13回繰り返した。回収再利用5回目の操作に於て、所定量の酸素を消費するのに必要とされる反応時間は12.7時間から14時間に増加し、反応液に於ける2,6−キシレノール中のMSAの濃度は0.09重量%から0.13重量%に増加した。更に、回収再利用を繰り返したところ、回収再利用13回目の操作に於て、所定量の酸素を消費するのに必要とされる反応時間は17.3時間に増加し、仕込み反応液に於ける2,6−キシレノール中のMSAの濃度は0.25重量%に増加した。平均反応時間が長くなり、単位時間当りの生産性が悪化した。以上の13回の操作に於ける回収留分の供給割合と反応時間および仕込み反応液の2,6−キシレノール中に含有されるMSAの濃度の推移について表1に示す。
本発明の製造方法を示すフロー図の1例で、図中(1)、(2)、(3)は、それぞれ、本発明の第1、第2、第3の要旨に係わる製造方法を示すフロー図の1例である。

Claims (7)

  1. 水溶媒および金属触媒の存在下、酸素または酸素含有ガスによって2,6−ジアルキルフェノールの酸化二量化反応を行ない、未反応2,6−ジアルキルフェノール及び金属触媒を含有する水性反応液に3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールが分散した水性スラリーを得る工程(A)と、得られた水性スラリーから3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールを固液分離する工程(B)とから成る3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールの製造方法であって、工程(A)以降であり工程(B)に至る前に、精留方式により水性スラリーの蒸留を行い、水と未反応2,6−ジアルキルフェノールと不純物として下記一般式(I)で示される2−カルボニルフェノール化合物とを含有する混合物を留出させて回収し、当該回収留分の一部を酸化二量化反応に供給することを特徴とする3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールの製造方法。
  2. 水溶媒および金属触媒の存在下、酸素または酸素含有ガスによって2,6−ジアルキルフェノールの酸化二量化反応を行ない、未反応2,6−ジアルキルフェノール及び金属触媒を含有する水性反応液に3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールが分散した水性スラリーを得る工程(A)と、得られた水性スラリーから3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールを固液分離する工程(B)とから成る3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールの製造方法であって、工程(B)で回収される水性反応液から水と未反応2,6−ジアルキルフェノールと不純物として下記一般式(I)で示される2−カルボニルフェノール化合物とを含有する混合物を精留により留出させて回収し、当該回収留分の一部を酸化二量化反応に供給することを特徴とする3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールの製造方法。
  3. 水溶媒および金属触媒の存在下、酸素または酸素含有ガスによって2,6−ジアルキルフェノールの酸化二量化反応を行ない、未反応2,6−ジアルキルフェノール及び金属触媒を含有する水性反応液に3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールが分散した水性スラリーを得る工程(A)と、得られた水性スラリーから3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールを固液分離する工程(B)とから成る3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールの製造方法であって、工程(A)以降であり工程(B)に至る前に、水性スラリーの単蒸留を行い、水と未反応2,6−ジアルキルフェノールと不純物として下記一般式(I)で示される2−カルボニルフェノール化合物とを含有する混合物を留出させて回収し、且つ、工程(B)で回収される水性反応液から水と未反応2,6−ジアルキルフェノールと不純物として下記一般式(I)で示される2−カルボニルフェノール化合物とを含有する混合物を精留により留出させて回収し、上記2つの回収工程で得られる回収留分の一部を酸化二量化反応に供給することを特徴とする3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールの製造方法。
  4. 回収留分として得られた未反応2,6−ジアルキルフェノールの50〜99重量%を酸化二量化反応に供給する請求項1〜3の何れかに記載の製造方法。
  5. 2,6−ジアルキルフェノールが2,6−キシレノールであり、3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ビフェノールが3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールである請求項1〜4の何れかに記載の製造方法。
  6. 水性スラリーの蒸留が、工程(A)の後で、水性スラリーに酸を添加してpHを7以下とし、加熱処理を行うと同時に行なわれる請求項1又は3〜5の何れかに記載の製造方法。
  7. 上記回収留分の一部を酸化二量化反応に供給する方法が、酸化二量化反応に回収留分の全量を数回供給した後に次の回収留分の全量を除去する方法、酸化二量化反応に回収留分の全量を数回供給した後に回収留分の一部を除去して残部を酸化二量化反応に供給する方法、または、毎回の蒸留操作において回収留分の一部を除去して残部を酸化二量化反応に供給する方法である請求項1〜6の何れかに記載の製造方法。
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