JP3856256B2 - マスキング治具及びシリンダの溶射方法 - Google Patents

マスキング治具及びシリンダの溶射方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単気筒エンジン又は多気筒エンジンのシリンダライナの摺動面に耐摩耗性及び耐焼付性に優れる溶射皮膜を形成する際に用いるマスキング治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
図15、16のような多気筒エンジンのシリンダライナに溶射ガン101からのプラズマジェット102によって溶射皮膜を形成する際は、シリンダヘッドとの合わせ面104及び隣のボア105に皮膜が付着するのを防止する必要がある。まず、図15に示すシリンダヘッドとの合わせ面104に関しては、皮膜を除去して仕上げ加工しなければならない。このとき、付着している皮膜106は、耐摩耗性の向上を目的としたものであるから、シリンダ材のアルミニウム合金と比較して加工が難しくなる。また、既に合わせ面の加工が終わっているものに溶射を行った場合には、再度同様の加工をすることになり、工程上の無駄である。
【0003】
次に、図16に示す隣のボア105に関しては、ボアの状態によって不具合が変わる。最初はボアが既に溶射済の場合であるが、このときは、後加工のホーニングの削り代の部分に皮膜が付着するので皮膜性状的には問題ないが、全体が均一な膜厚の一部のみ膜厚が増加するので、ホーニングの際の仕上がり精度が低下する原因となり易い。次に、ボア105がブラスト処理されている場合であるが、このときは、後で溶射される面に皮膜が付着してしまう。この皮膜は隣のボアの溶射時のものであるから溶射距離が設定値よりかなり大きくなっている。このため、皮膜の密着強さが低下する等皮膜性状を悪化させる原因となり易い。最後にボア105がブラスト前で未処理の場合であるが、この時は後のブラスト処理の際に皮膜が除去できなくなったり、除去するのに時間がかかる等の不都合を生じる。しかし、このような問題点を解決するマスキング治具に関しては、従来特に提案されていない。
単気筒エンジンでは、隣接するボアはないが、シリンダヘッドとの合わせ面の保護について、多気筒エンジンと同様の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記事情に対して、本発明は、単気筒又は多気筒エンジンのシリンダライナに溶射皮膜を形成する際にシリンダヘッドとの合わせ面及び/又は隣のボアに皮膜が付着することを防止できるマスキング治具を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、単気筒又は多気筒エンジンのシリンダライナに溶射皮膜を形成する際にシリンダヘッドとの合わせ面及び/又は隣のボアに皮膜が付着することを防止できると共に、シリンダごとへの着脱をなくすようにしたマスキング治具を提供することを目的とする。
またさらに、本発明は、様々なボア径のシリンダに対応することができる汎用性を持ったマスキング治具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明にかかるマスキング治具では、単気筒エンジン又は多気筒エンジンのシリンダライナ摺動面に溶射を行う際、シリンダヘッドとの合わせ面及び/又は隣のボアに溶射皮膜が付着することを防止する手段を設け、各気筒のボア位置にシリンダボア内面を溶射するための開口部を設け、該開口部同士の間に上向きの支柱を設けた
【0006】
本発明では、マスキング治具上面の開口部分に着脱自在のアタッチメントを設けることができる。このような構成とすることにより、マスキング治具に皮膜が堆積し、治具交換が必要になったとき、アタッチメントを交換するだけで済む。また、溶射するシリンダのボア径に応じた径のアタッチメントに交換するだけで他の種類のシリンダに対応することができ、汎用性が高くなる。さらに、多品種生産に応じたアタッチメントだけを準備すれば良いので、治具の保管場所が少なくて済む。
【0007】
本発明では、マスキング治具をシリンダがスライド可能なトンネル形状に構成し、該マスキング治具の上面にシリンダボア内面を溶射するための開口部を設けるようにすることができる。これによって、シリンダごとにマスキング治具をセットする必要がなくなり、量産性が高くなる。また、溶射したいボア用の開口部以外はマスクされているため、シリンダヘッドとの合わせ面及び他のボアに溶射皮膜が付着しない。
【0008】
本発明では、マスキング治具上面の開口部中心軸が、ターンテーブル中心軸又は溶射ガン公転軸と一致するようにすることができる。これによって、ターンテーブルにシリンダをセットして回転させる場合でも、溶射ガンを公転させて溶射する場合でも、常に開口部中心軸が回転中心となり好都合である。
【0009】
本発明は上記のようなシリンダがスライド可能なトンネル形状に構成したマスキング治具を用いたシリンダ溶射方法もその一側面として含み、かかる方法によれば、シリンダをマスキング治具の下でスライドさせ、単気筒又は多気筒エンジンのシリンダの各ボアをマスキング治具上面の開口部に順次合わせて溶射することもできる。これによって、マスキング治具を固定したまま、単気筒エンジン、多気筒エンジン等全てのシリンダに溶射することができ、シリンダごとのマスキング治具の着脱が不要となり、量産に向いている。加えて、シリンダごとにマスキングした場合に比べて、治具の数が極めて少なくて済むため、保管場所や治具の移動が少なくて済む。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面に示した実施の形態を参照しながら、本発明を説明する。なお、これらの実施の形態は、本発明をより具体的に示すものであって、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
実施の形態(その1)
図1に本実施の形態にかかるマスキング治具1を示す。このマスキング治具1は、シリンダヘッドとの合わせ面の各気筒のボア位置に合わせ、開口部2を有する。さらに、図1、2に示すように各開口部2間に上向の支柱3を設けている。開口部2は、その直径がボアの直径未満の値となるように設定している。図2に示すように、支柱3は、ジェットの吹出口4から隣のボアに引いた二本の接線5、5より支柱3の端部が外になるような幅を有し、図3に示すように高さを10〜50mmとしている。
【0011】
本実施の形態のマスキング治具1の材質は、入手及び加工が比較的容易な鉄又はアルミニウム合金等が適している。また、板厚は、溶射の際の熱で変形しない程度であれば特に問題はない。
本実施の形態のマスキング治具1は、各気筒のボア位置に開口部2を有するプレートにより、溶射皮膜が付着するのが好ましくないシリンダヘッドとの合わせ面を覆ってしまうので、このような合わせ面に皮膜が付着することがない。また、各開口部2間にある支柱3により隣のボアに皮膜が付着するのを防いでいる。開口部2の直径は、ボアの直径以上であると皮膜がシリンダとの合わせ面の方まではみ出してしまう。さらに、マスキング治具1に付着した皮膜とシリンダライナに付着した皮膜がくっついてしまうので、マスキング治具を取り外す際にシリンダライナ側の皮膜に欠けや剥離を生じ易い。そこで、先に述べたように、開口部2の直径をボアの直径より小さく設定することが好ましい。開口部2の直径は、マスキング治具1側とシリンダライナ側に付着した皮膜がつながらないことと、マスキング治具1の影になって皮膜が付着しない部分が多くなり過ぎないことを条件とすると、ボアの直径より0.5〜2mm小さい値が好ましい範囲である。
【0012】
支柱3は、隣のボアがジェットの吹き出し口4から影になるように配置されなければならない。それによって、支柱3がなかった場合にボア内まで飛来した溶射粒子が支柱3で止められ、隣のボアに皮膜が付着することがなくなる。そこで、図2について先に述べたように、支柱3の幅をジェットの吹き出し口4から隣のボアに引いた二本の接線5、5より支柱3の端部が外になるように設定すれば、溶射粒子がボア内に入らない。
【0013】
溶射の開始や終了地点付近は、膜厚が他の部分より小さい等の問題があるため、部品への溶射の際には、開始及び終了点を部品の外へ持って来るのが一般的である。つまり、シリンダライナへの溶射では、シリンダライナ上端より上部が実際の溶射終了地点となる。通常は、上端より5〜30mm程度上の位置まで溶射を行うので、その間に隣のボアに皮膜が付着するのを防止しなければならない。また、プラズマジェットに乗って飛んでいる溶射粒子は、ある程度の広がりを持っているので、支柱3の高さが溶射終了地点と同じでは全ての溶射粒子を止めることはできない。そこで、前述のように図3に示すごとく、支柱3の高さは、10〜50mmが好ましい範囲である。
【0014】
実施の形態(その2)
図4から図14に、本発明の他の実施の形態を示す。
上記実施の形態(その1)は、従来あった問題を解消している。ただし、マスキング治具の着脱の時間がかかり、取り外したマスキング治具を取り付け場所に移動しなくてはならず、機種ごとに違ったマスキング治具が必要である等の改良すべき点がある。本実施の形態(その2)では、さらにこれらの点についても対応がなされている。
図4から6に、本実施の形態によるマスキング治具51をシリンダ溶射用ターンテーブル52上に設置した状態を示す。マスキング治具51は、ターンテーブル52上に固定され、シリンダ53が矢印B―B方向にスライドできるように前後方向が開放されたトンネル形状をなしている。これにより、設置したマスキング治具51の下をスライドレール54等を利用して次々にシリンダ53が設置もしくは移動でき、シリンダ53ごとにマスキング治具51を着脱する必要がなくなる。また、マスキング治具51の上面は、シリンダボア内面の溶射に必要な内径溶射ガン55が入るための開口部56が設けてあり、それ以外の部分は、シリンダヘッド面及びシリンダ外周に溶射皮膜が形成しないように十分な幅だけ遮蔽されている。
【0015】
図4から6では、マスキング治具51は完全なトンネル形状をしているが、マスキング治具51の側面57部分は、つながっている必要はなく、支柱として何本かに別れていてもかまわない。
トンネル長さ(図7のL)は、単気筒でも多気筒でも、溶射ガンを一番高く上げた時にシリンダ53に溶射フレームがかかる範囲をマスキングできるよう遮蔽板58を設けておけば良い。また、トンネルの幅(図7のW)は、シリンダ53がスライドするのに十分な広さがあれば良い。加えて、製造予定の一番大きいシリンダに合わせてトンネル幅を設計すると共に、マスキング治具51の高さの調整ができるようにしておけば、全てのシリンダがマスキング治具の下を通過できるようになる。
【0016】
溶射を行う場合、基材と溶射ガンとの距離が安定した皮膜作りの重要な因子となる。したがって、シリンダボア内面のような内径溶射の場合、図7に示すように、ターンテーブル上にワーク53を固定し、ターンテーブル中心軸C1とワーク内径中心軸(ここでは溶射したいシリンダボア59の中心軸)C2を一致させて回転させ、内径溶射ガンをボア59内に送り込むことにより、一定の溶射距離を保って溶射できる。
また、ターンテーブル上にワーク53を固定しなくても、溶射ガン55が公転して一定の溶射距離を保つ方法もあるが、この場合も、図8に示すように、溶射ガン公転軸C3とワーク内径中心軸(溶射したいシリンダボア59の中心軸)C2を一致させる必要がある。
【0017】
そして、マスキング治具51上面の開口部56は、シリンダボア59を溶射するための内径溶射ガン55の通り道であり、ターンテーブルによりシリンダ53及びマスキング治具51が回転している場合でも、内径溶射ガン55が公転している場合でも、溶射ガン55と接触せず、溶射時に不要な影を作らないためには溶射したいシリンダボア中心軸C2とマスキング治具51上面の開口部56の中心軸C4が一致していなければならない。図9のようにずれていると、シリンダヘッドの合わせ面上に皮膜61が堆積してしまうこととなる。すなわち、マスキング治具51上面の開口部56中心軸C4は、ターンテーブル中心軸C1もしくは内径溶射ガン公転軸C3と一致していなければならない。
【0018】
以上の条件が満たされることで単気筒でも多気筒シリンダでも順次各ボア中心軸をマスキング治具51上面の開口部56中心軸C4と合うようにスライドさせ、溶射することで、一つのマスキング治具51で連続してシリンダボア59内面の溶射ができ、治具の着脱等不要な時間を取らずに済むことで量産性が上がる。加えて、シリンダ53一つ一つにマスキング治具を付ける場合、数多くの治具を保管しなくてはならないのに対して、トンネルの幅、高さ調整等の工夫をすることで、一つのマスキング治具ですべてのシリンダに対応することも可能となる。
【0019】
シリンダ53とマスキング治具51の隙間部分を拡大したものを図10に示す。図中D1 はシリンダボア内径、D2 はマスキング治具51上面の開口部56内径、Δhはシリンダ53とマスキング治具51との隙間を示す。シリンダ53とマスキング治具51の隙間Δhは、あまり狭いとシリンダ53をスライド又はシリンダ回転時にシリンダ53とマスキング治具51が接触して傷付あったり、かみ込みが生じてシリンダ53がスライドしにくくなったりする。また、あまり広いと、シリンダヘッドとの合わせ面を保護するために、マスキング治具51の開口部56の内径D2 をかなり小さくしなくてはならず、溶射ガン55との接触等の問題が生じる。したがって、0.5≦Δh≦5mm程度が良く、より好ましくは、0.5≦Δh≦2mm程度が良い。
【0020】
図11に示すように、マスキング治具51上面の開口部56の内径D2 は、あまり小さいと内径溶射ガン55が通過する際に接触を起こしたり、溶射フレームにあぶられて治具が溶けてしまったり、マスキング治具51の影になってシリンダボア59上部で皮膜が堆積しない部分が広く存在したりする。また、図12に示すように、逆に大きすぎるとシリンダヘッドとの合わせ面が保護できず、皮膜63が堆積してしまう。
【0021】
市販の溶射ガンでは、溶射フレームが45deg、60deg、90degで吹き出すものがある。90degの溶射ガンでは、溶射フレームの吹き出し角度とシリンダヘッドとの合わせ面がほぼ平行であるため、シリンダヘッドとの合わせ面に皮膜は堆積されにくい。したがって、90degの場合、他のボアにフレームが届かなければ良いため、D1 ≧D2 であれば良い。
45deg、60degの場合は、図13に示したように、
2 ≦D1 −2・Tanθ・Δhであれば、シリンダヘッドとの合わせ面に皮膜は堆積しない。ここでθは、溶射フレーム64の角度であり、この角度はボアの中心線に対する溶射ガンの噴射口の角度として定義される。
【0022】
また、図14に示すように、ピストン65の摺動を考慮して、シリンダボア59上部では、シリンダボア59を摺動するピストン65のピストンヘッド66から1stピストンリング67の溝68の上端までの長さΔtに相当する部分がピストン65及びピストンリング67と接触しない。したがって、シリンダボア上部Δtまで皮膜が形成されなくても良いとすると、D1 −2・Tanθ(Δh+Δt)≦D2 となる。したがって、
1 −2・Tanθ(Δh+Δt)≦D2 ≦D1 −2・Tanθ・Δhの範囲が好ましい。ただし、溶射ガン55の太さ、溶射距離を考慮して、マスキング治具51の溶解や溶射ガン55との接触は避けなくてはならない。
【0023】
開口部56の内径D2 を隙間ΔhとシリンダD1 で表したが、機種によってD1 が違う以上、必要とされる内径D2 も変化して来る。したがって、開口部56だけアタッチメント方式で取り換えれば、シリンダボア59に関しては、全てのシリンダに対応可能となる。すなわち、本実施の形態では、アタッチメント69を設けている。先に述べたように、トンネルの幅を予定されている一番大きいシリンダ53に合わせると共にマスキング治具51の高さ調整ができるようにしておけば、汎用性を持たせることができる。
また、マスキング治具51のメンテナンス部分としては、皮膜が堆積する開口部56となり、アタッチメント69を皮膜が堆積する領域に広げて交換すればメンテナンス性も向上する。
アタッチメント69は、図10では断面カギ形で示したが、この形状にとらわれるものではなく、簡単に取り換えられる形であればどのような形状でも良い。
【0024】
溶射材料については、ボア内面に耐摩耗性を付与するためのものであれば、金属、サーメット等特に限定されるものではない。
その他、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、当業者にとって自明な、変形、付加等は全て本発明の技術的範囲に含まれる。
【0025】
【実施例】
実施例1
ボアの直径76mm、ボア間のピッチ85mmの4気筒シリンダブロックに溶射を行った。
マスキング治具は、図1から図3について説明した実施の形態にかかるものを用いた。板厚8mm、開口部の直径75mm、支柱の幅80mm、支柱の高さ40mmであった。
溶射は、表1の条件でマスキング治具を取り付けた場合とそうでない場合について比較した。
【0026】
【表1】
Figure 0003856256
マスキング治具を取付なかったものは、シリンダヘッドとの合わせ面及び隣のボアに皮膜が付着してしまったが、マスキング治具を取り付けたものは、全く皮膜の付着は見られなかった。
【0027】
実施例2
ボア直径D1 76mm、ボア間のピッチ85mmの4気筒シリンダブロックを、図4の治具を用いて、ターンテーブルに載せて溶射した。マスキング治具51のトンネル長さは250mm(今回の溶射では、内径溶射ガン55吹き出し口がシリンダヘッド合わせ面から50mm離れた所で退避させた)。
トンネル幅は、380mm、シリンダ53との隙間Δhは、3mm、マスキング治具51の開口部56の内径D2 は68mmとした。また、シリンダ溶射の際の溶射条件は表1示したと同様であった。溶射ガン55の溶射フレーム吹き出し角度θは、45degであるから、マスキング治具51の開口部56の内径D2 は64≦D2 ≦70であり、D2 =68mmは範囲内であることが了解される。上記条件で4気筒シリンダを溶射したところ、溶射中他のボアに皮膜が堆積したり、シリンダヘッドとの合わせ面に皮膜が堆積することはなく、効率良く溶射できることが確認された。
【0028】
【発明の効果】
上記したところから明かなように、本発明によれば、単気筒又は多気筒エンジンのシリンダライナに溶射皮膜を形成する際にシリンダヘッドとの合わせ面及び/又は隣のボアに皮膜が付着することを防止できるマスキング治具が提供される。さらに、本発明によれば、単気筒又は多気筒エンジンのシリンダライナに溶射皮膜を形成する際にシリンダヘッドとの合わせ面及び/又は隣のボアに皮膜が付着することを防止できると共に、シリンダごとへの着脱をなくすようにしたマスキング治具が提供される。またさらに、本発明によれば、様々なボア径のシリンダに対応することができる汎用性を持ったマスキング治具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるマスキング治具の一実施の形態を説明する斜視図である。
【図2】本発明にかかるマスキング治具の一実施の形態を説明する部分平面図である。
【図3】本発明にかかるマスキング治具の一実施の形態を説明する部分側面図である。
【図4】本発明にかかるマスキング治具の他の実施の形態について、使用状態を説明する斜視図である。
【図5】本発明にかかるマスキング治具の他の実施の形態について、使用状態を説明する側面図である。
【図6】本発明にかかるマスキング治具の他の実施の形態について、使用状態を説明する正面図である。
【図7】本発明にかかるマスキング治具の他の実施の形態について、使用状態を説明する平面図である。
【図8】本発明にかかるマスキング治具を用いて溶射を行う際の溶射ガンの動きを説明する平面図である。
【図9】本発明のマスキング治具を使用する際の開口部とシリンダボアの位置関係を説明する部分断面図である。
【図10】図6のA部拡大図である。
【図11】本発明のマスキング治具の開口部の内径とシリンダボアの内径の関係を説明する断面図である。
【図12】本発明のマスキング治具の開口部の内径とシリンダボアの内径の関係を説明する断面図である。
【図13】本発明のマスキング治具を使用する際の溶射フレームの角度と、他の諸元との関係を説明する部分断面図である。
【図14】本発明のマスキング治具を使用する際のピストンリング及び溝と、他の諸元との関係を説明する部分断面図である。
【図15】従来の溶射方法を説明する概念的平面図である。
【図16】従来の溶射方法を説明する概念的平面図である。
【符号の説明】
1、51 マスキング治具
2、56 開口部
3 支柱
4 ジェットの吹出口
52 ターンテーブル
53、104 シリンダ
54 スライドレール
55、101 内径溶射ガン
58 遮蔽板
59 シリンダボア
65 ピストン
69 アタッチメント

Claims (4)

  1. 単気筒エンジン又は多気筒エンジンのシリンダライナ摺動面に溶射を行う際、シリンダヘッドとの合わせ面及び/又は隣のボアに溶射皮膜が付着することを防止する手段を設け、各気筒のボア位置にシリンダボア内面を溶射するための開口部を設け、該開口部同士の間に上向きの支柱を設けたことを特徴とするマスキング治具。
  2. 請求項のマスキング治具において、マスキング治具上面の開口部分に着脱自在のアタッチメントを設けたことを特徴とするマスキング治具。
  3. 請求項1又は2のマスキング治具において、マスキング治具をシリンダがスライド可能なトンネル形状に構成し、該マスキング治具の上面にシリンダボア内面を溶射するための上記開口部を設けたことを特徴とするマスキング治具。
  4. 請求項1〜3のいずれかのマスキング治具において、マスキング治具上面の開口部中心軸が、ターンテーブル中心軸又は溶射ガン公転軸と一致するようにしたことを特徴とするマスキング治具。
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