JP3856117B2 - 射出成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形方法の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セラミックス分野や金属冶金分野において、セラミック粉末や金属粉末などの成形用粉末を成形し、複雑な形状の成形体を得る方法としては以下のものがある。
【0003】
(1)ワックス、樹脂バインダーを用いた射出成形法
成形用粉末とワックスや樹脂バインダーとを、樹脂バインダーの溶解温度以上に加熱、軟化し、均一混練後、バインダーの融点以下の温度に冷却し、凝固させることによって、成形用材料を製造する。得られた成形用材料は、室温では手で変形させられないほど硬いため、再度バインダーの軟化温度まで加熱し、押出機に投入し、押出物を切断し、ペレット化する。あるいは、硬い成形用材料をそのまま破砕し、ペレット化することもできる。このペレットを射出成形機に投入し、加熱軟化させ、成形する。
【0004】
(2)寒天を用いた水系射出成形法
この方法は、例えば特許第2604592号公報や特許第3105225号公報に記載されている。
(方法2a)
成形用粉末と溶剤(例えば水)とを混合し、得られた混合物にゲル生成物質(例えば寒天)粉末を添加し、ゲル生成物質の溶解温度以上(通常90℃以上)に加熱してゾルを生成させる。次いで、ゾルをゲル化点以下の温度に冷却することによって、ゲル化させる。得られたゲルは、手で変形させられる程度に柔らかい。この材料系では、水と寒天とによって形成されるゾルが、成形用粉末のバインダーとしての役割を果たす。次いで、ゲルを粉砕し、ペレット状の成形用材料を得る。この成形用材料における水分含有量を、乾燥または加湿により調整し、水分を規定量残した状態の成形用材料を得る。この残存水分量により、成形体、焼成体の収縮率を制御できる。所定水分含有量を有する成形用材料を射出成形機に投入し、加熱、軟化させて成形する。
【0005】
(方法2b)
また、成形用粉末、水およびゲル生成物質の混合物を加熱してゾルを生成させた後、ゾルを加熱しながら射出成形機に投入し、射出成形する方法も知られている。
【0006】
例えば、海草からの抽出物質である寒天は、水の存在下、95〜100℃でゾル状の粘性流体となり、35〜40℃でゲル化して弾性体となる。このような性質を持つ寒天粉末を成形用粉末と混合し、水を加えて粘土状の可塑性を有する状態になるまで混練する。その混練物を例えば射出成形機に投入し、80℃以上で加熱すると寒天はゾル化し、流動性を増して、従来のワックスバインダー材料より低圧で均一に射出成形可能になる。この方法では、低圧で型内に注入し、成形できるので、複雑形状の型の転写性が良く、成形機内の摩耗も少ない。ゲル化した寒天は、常温の通風下でも非常に離水しやすいため、容易に乾燥し、成形した形状をかなりの強度で保持することができる。成形体を乾燥した後は、脱脂工程を経ることなく直ちに焼結工程へ移行することができる。ここで、成形体中に含有される寒天は、400℃以上で灰化し、従来のワックス、樹脂等のバインダーの場合のように有害ガスを発生することはない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような寒天を利用した射出成形方法には、以下の問題点がある。即ち、射出成形用金型の内部の成形用空間に、寒天および成形用粉末からなるゾルをスプルを通して注入して成形し、次いで金型を冷却して成形体をゲル化させ、次いで金型から離型させる必要がある。しかし、ゲル状の成形体の強度は比較的に低い。特に、金型から成形体を離型した後には、常温の通風下で容易に乾燥し、成形した形状をかなりの強度で保持できる。しかし、成形体を金型から離型する段階では、いまだ成形体は離水しておらず、強度が低いままである。この状態で金型を開くと、成形体が型の表面に付着し、離型が困難である。
【0008】
樹脂バインダーを用いた成形体の場合には、エジェクターピンを突出させて成形体を金型から離型することができる。しかし、寒天ゲルを用いた成形体の場合には、上記のように離型時の強度が低いことから、成形体をエジェクターピンで押圧すると、エジェクターピンが成形体を突き破るおそれがある。
【0009】
更に、金型内でのゲル化の際、成形体が収縮しないため、型を開いた時に、成形体が可動型に付着するか、固定型に付着するかが不定であり、意図しない側の型に成形体が付着することがある。
【0010】
本発明の課題は、成形用材料を充填し、成形するための成形用空間を形成する第一の型および第二の型、および第一の型に設けられ、成形用空間に成形用材料を注入するためのスプルを備えている射出成形装置において、成形体に対して強い機械的外力を加えることなく、成形体の破壊を防止しつつ、型から容易に離型できるようにすることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、成形用粉末、寒天質ゲル生成物質および溶剤を含む混合物からなる成形用材料を成形するための成形用空間を形成する第一の型および第 二の型、第一の型に設けられ、成形用空間に成形用材料を注入するためのスプル、第一の型および第二の型にそれぞれ設けられておりかつ成形用空間に面する多孔質体、および多孔質体に対して気体を供給するための気体供給機構を備える射出成形装置を用い、多孔質体の開気孔率は5%以上、40%以下であり、多孔質体の気孔径は1μm以上、50μm以下であり、
第一の型と第二の型とを離し、第一の型の多孔質体から気体を0.2MPa以上かつ2MPa以下の圧力で噴出させることによって成形体を第一の型から離して第二の型に付着させ、次いで前記第二の型の多孔質体から前記気体を0.2MPa以上かつ2MPa以下の圧力で噴出させることによって成形体を第二の型から離型させ、気体が、大気、還元性雰囲気または不活性雰囲気であることを特徴とする、射出成形体の製造方法に係るものである。
【0012】
また、本発明は、成形用粉末、寒天質ゲル生成物質および溶剤を含む混合物からなる成形用材料を成形するための成形用空間を形成する第一の型および第二の型、第一の型に設けられ、成形用空間に成形用材料を注入するためのスプル、第一の型および第二の型にそれぞれ設けられておりかつ成形用空間に面する多孔質体、および多孔質体に対して気体を供給するための気体供給機構を備える射出成形装置を用い、多孔質体の開気孔率は5%以上、40%以下であり、多孔質体の気孔径は1μm以上、50μm以下であり、
第一の型と第二の型とを離し、第二の型の多孔質体から気体を0.2MPa以上かつ2MPa以下の圧力で噴出させることによって成形体を第二の型から離して第一の型に付着させ、次いで第一の型の多孔質体から気体を0.2MPa以上かつ2MPa以下の圧力で噴出させることによって成形体を第一の型から離型させ、気体が、大気、還元性雰囲気または不活性雰囲気であることを特徴とする方法に係るものである。
【0013】
本発明者は、型のうち、少なくとも成形体に接する部分に多孔質体を設置し、離型時に多孔質体から気体を吹き出させることによって、成形体を破損することなく、型から浮かせて離型することを想到した。これによって、成形体に対して過大な機械的応力を加えることなく、容易に離型することができるようになった。
【0014】
特開平07−32426号公報においては、押しボタンスイッチ用成形品の製造方法において、金型キャビティの少なくとも一部を多孔質金属部材としている。そして、金型内の空気あるいは成形材料から発生するガスを、多孔質材を通して外部に排出することにより、ショートショットなどの不良を防止している。しかし、本願発明とは異なり、用途が離型ではないし、本願発明では外部から気体を供給している。
【0015】
特開平7−164495号公報においては、金型内に充填されたプラスチック成形体の溶融層が固化する前に、金型内に設けられた多孔質金属を経て外部からガスを送込み、ヒケやソリを防止している。しかし、本願発明のように離型のために気体を外部から送り込んでいない。
【0016】
特開平10−151647号公報に記載の射出成形用金型においては、金型の一部を多孔質体によって形成している。そして、天然デンプンなどの原料に水とバインダーを混合してゲルとし、このゲルを加熱して、射出成形用金型のキャビティに供給し、キャビティ内部で発泡させる。そして、金型を冷却し、発泡体を離型するのに際して、多孔質体から空気をキャビティに吹き込み、成形体を金型から離型する。これによって、表面状態の良い成形体を得ている。
【0017】
しかし、本発明においては、成形用粉末、ゲル生成物質および溶剤を含む混合物を加熱して得られたゾルを射出成形して成形体を得ている。このような成形体は、多量の成形用粉末が比較的少量のゲル成形物質によってつなぎ合わされているような状態である。このため、前述の射出装置によって多孔質体から空気を吹き込むと、成形体と金型表面との間に送られた空気圧力によって、成形体が変形し、更に破壊することが分かった。通常の発泡成形体の場合には、多孔質体から空気を送ると、まず成形体が弾性変形し、次いで金型表面から吹き飛ばされ、次いで復元する。しかし、本発明の成形用材料はこのような弾性変形を行わず、空気圧によって直ちに破壊することが判明した。このような事態を防止するためには、離型時の空気圧を0.2MPa以上かつ2MPa以下とする必要があった。
【0018】
【発明の実施の形態】
離型時に多孔質体から噴出する気体の圧力は、成形体の離型を促進するという観点からは0.2MPa以上であることが好ましく、0.5MPa以上であることが更に好ましい。また,離型時の成形体の破損を抑制するという観点からは、前記圧力を2MPa以下とすることが好ましく、1MPa以下とすることが更に好ましい。
【0019】
本発明において対象とする成形用粉末は、加熱によって焼結し、焼結体を生成するような成形用粉末であれば特に制限はない。また、成形用粉末は、溶媒への溶解や溶媒との反応を生じないような粉末であることが好ましい。本成形用粉末は、無機物粉末であることが好ましく、焼結を目的とする無機物粉末であることが特に好ましい。
【0020】
無機物粉末は、典型的には、セラミック粉末、金属粉末、セラミックス−金属複合材料の粉末、およびこれらの混合粉末である。セラミックスとしては、例えばアルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、マグネシア、フェライト、コージェライト、イットリア等の希土類元素の酸化物等の酸化物系セラミックス;チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ジルコン酸鉛、希土類元素のマンガナイト、希土類元素のクロマイト等の複合酸化物;窒化アルミニウム、窒化珪素、サイアロン等の窒化物系セラミックス;炭化珪素、炭化ホウ素、炭化タングステン等の炭化物系セラミックスを例示できる。また、金属としては、鉄、ステンレス、カルボニル鉄等の鉄系金属、チタン、銅、アルミニウム等の非鉄金属または非鉄金属の合金を例示できる。また、無機物粉末としては、グラファイト、ガラス、カーボンも例示できる。更に、無機物粉末以外の成形用粉末としては、樹脂粉末を例示できる。
【0021】
本発明で用いるゲル生成物質は寒天質ゲル生成物質である。寒天質ゲル生成物質とは、寒天質のすべてのゲル生成物質を含み、高純度のアガロースだけでなく、アガロペクチン成分を多く含む純度の低い寒天も含んでおり、また改質寒天も含む。純粋な寒天はアガロースと呼ばれており、1、3位で結合したβ−D−ガラクトピラノースと、1、4位で結合した3、6−アンヒドロ−L−ガラクトピラノースを繰り返し単位とする中性多糖類である。また、寒天質ゲル生成物質には、アガロースの誘導体も含まれていて良い。アガロースが部分的に硫酸エステル、メトキシル、ピルビン酸などを含んでいる場合にはアガロペクチンと呼ばれている。一般的な寒天は、アガロースとアガロペクチンとの混合物である。
【0022】
寒天質ゲル生成物質中に、アガロースとアガロース誘導体(典型的にはアガロペクチン)とが含有されている場合には、アガロースとアガロース誘導体との比率は、目的とする用途によって異なる。アガロース誘導体中には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、硫酸分などの灰分が含まれている。このため、ファインセラミックスなどのように、不純物を嫌う用途においては、アガロース誘導体の量が少ないことが好ましい。具体的には、灰分2重量%以下が好ましく、灰分1重量%以下の高純度のアガロースが特に好ましい。
【0023】
溶剤は、ゲル生成物質粉末を溶解し、加熱時にゾルを生成し、温度降下時にゲルを生成するようなゲル生成物質用の溶剤である。溶剤としては、水が特に好ましいが、アルコール類等の親水性有機化合物溶媒であってもよく、また水と親水性有機化合物溶媒との混合物であってもよい。親水性有機化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、および塩素または臭素原子によって置換されたアルコール類が好ましい。
【0024】
混合段階においては、例えばミキサー、特にプラネタリーミキサーを使用できる。この際、ミキサーにチョッパーを設けることによって、混合物に剪断応力を加えることができる。
【0025】
混合物を成形して成形用材料を得る段階では、成形用材料をペレタイゼーションし、ペレットを得ることができる。また、他の成形法、例えば鋳込み成形法、押し出し成形法を利用して混合物の成形体を得、この成形体を切断、造粒することもできる。ただし、ここで言う切断とは、混合物の成形体を細かくするような工程を言い、解砕、粉砕、造粒を含む概念である。
【0026】
射出成形工程においては、成形用材料を射出成形機内に投入し、成形用材料を混練と同時に溶解温度以上の温度に加熱し、流動性のゾルを得る。加熱温度は、75℃以上とすることが好ましく、80℃以上とすることが更に好ましい。また、溶剤の蒸発によって成形体が不均質になることを防止するという観点からは、120℃以下が好ましく、100℃以下が更に好ましい。加熱温度が100℃以上の場合には、水の沸騰を避けるために加圧することが好ましい。
【0027】
射出成形装置は、成形用空間を形成する第一の型および第二の型を備えている。第一の型には、成形用空間に成形用材料を注入するためのスプルを設ける。本発明の射出成形装置は、第一の型および第二の型以外の型を、一つまたは複数備えていても良い。
【0028】
多孔質体は、第一の型と第二の型とに設けられており、成形用空間に面する。このような多孔質体の材質は限定されないが、以下の材質が特に好適である。
(1)金属粉末の多孔質焼結体:この材質としては、合金工具鋼、高速度鋼、ステンレス鋼、クロムモリブデン鋼を例示できる。
(2)セラミック粉末の多孔質焼結体:この材質としては、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、窒化珪素、炭化珪素を例示できる。
【0029】
多孔質体の開気孔率は、気体の噴出効率を向上させ、離型を容易とするという観点からは、5%以上と、15%以上とすることが更に好ましい。
【0030】
多孔質体の開気孔率は、成形体の多孔質体への付着を抑制するという観点からは、40%以下と、25%以下とすることが更に好ましい。
【0031】
多孔質体の気孔径は、気体の噴出効率を向上させるという観点から1μm以上とし、また成形材料による多孔質体空孔の閉塞を防止するという観点から、50μm以下とする。
【0032】
第一の型の全体を多孔質体とすることができるが、緻密質部材からなる本体に多孔質体を一体化することが特に好ましい。また、第二の型の全体を多孔質体とすることができるが、緻密質部材からなる本体に多孔質体を一体化することが特に好ましい。また、これらの場合には、型のうち成形用空間に面する表面の全体を多孔質体とすることができるし,あるいは成形用空間に対して本体と多孔質体との双方が面するようにすることもできる。
【0033】
特に好ましくは、第一の型または第二の型を、緻密質部材からなる本体と、本体に一体化された中子とによって構成し、中子を多孔質体によって形成する。
【0034】
多孔質体に対して気体を供給するための気体供給機構の種類は特に限定されない。典型的には、気体供給機構は、加圧気体を送出するコンプレッサーと、多孔質体へと加圧気体を送る配管とからなる。
【0035】
気体は、大気、還元性雰囲気、不活性雰囲気であ
【0036】
多孔質体を第二の型(スプルのない型)に設ける。スプルから成形用材料を成形用空間へと注入し、成形した後、型を開く際に成形体をスプルのない第二の型へと付着させ、次いで第二の型から気体を噴出させて成形体を離型する。
【0037】
図1は、参考例に係る射出成形装置を概略的に示す模式図であり、図2は、第一の型14Aと第二の型15Aとを離した状態を示す模式図である。
【0038】
本例では、第一の型14Aが固定型であり、第二の型15Aが可動型である。第一の型14Aは、固定型本体2からなっており、本体2は取り付け板1に対して取り付けられている。本体2にはスプル9が設けられている。第二の型15Aは、板状の可動型本体3と、本体の中央部から突出する中子6とを備えている。中子6は多孔質体からなる。そして、固定型本体2、可動型本体3および中子6によって成形用空間20が形成されている。可動型本体3は、スペーサーブロック4によって取り付け板5に取り付けられている。
【0039】
本例の装置は、中子6へと気体を供給する気体供給機構16を備えている。気体供給機構16は、加圧気体を送出するコンプレッサー10、バルブ12および配管11を備えており、配管11の先端が多孔質体6に連結されている。
【0040】
前述したような流動状態の成形用材料をスプル9から成形用空間20へと注入し、成形し、次いで冷却して固化させる。図示しない周知の駆動機構を駆動させ、可動型本体3を駆動し、図2に示すように固定型本体2から離す。この状態で、成形体8の表面8aは、固定型本体2の表面2aから離れ、成形体8の表面8bは、中子6の表面6aに対して付着する。
【0041】
この状態で、バルブ12を開き、コンプレッサーからの気体を配管11を通して矢印Aのように多孔質体6へと供給する。この気体は、多孔質体6の表面6aから噴出し、成形体8を離型させる。
【0042】
本発明においては、多孔質体を第一の型および第二の型にそれぞれ設ける。この場合には、第一の型と第二の型とのいずれに成形体が付着する場合にも、本発明の方法によって容易を離型を行うことができる。例えば、成形用材料がゾルである場合には、前述したように、型内でのゲル化の際、成形体が収縮しないため、型を開いた時に、成形体が第一の型に付着するか、第二の型に付着するかが不安定である。従って、双方の型に多孔質体および気体供給機構を設けることによって、いずれの型に付着した場合にも対応できる。
【0043】
多孔質体を第一の型および第二の型にそれぞれ設ける。そして、第一の型と第二の型とを離すときに、第一の型または第二の型の多孔質体から気体を噴出させることによって、気体を噴出させない型の多孔質体に成形体を付着させる。次いで、多孔質体の付着した型の多孔質体から気体を噴出させることによって、成形体をその型から離型させる。この場合には、第一の型と第二の型とを離すときに成形体を一方の型に対して確実に付着させることができる。
【0044】
図3は、この実施形態に係る射出成形装置を概略的に示す模式図であり、図4は、第一の型14Bと第二の型15Bとを離した状態を示す模式図である。図3、図4において、図1に示した各構成部分には同じ符号を付け、その説明を省略することがある。
【0045】
本例では、第一の型14Bが固定型であり、第二の型15Bが可動型である。第一の型14Bは、固定型本体2と、リング状の中子7とを備えている。固定型14Bの中央部にはスプル9が設けられており、スプル9の出口周辺の周囲はリング状の中子7によって包囲されている。中子7は多孔質体からなる。
【0046】
第二の型15Bは、板状の可動型本体3と、本体の中央部から突出する中子6とを備えている。中子6は多孔質体からなる。固定型本体2、可動型本体3、中子6、7によって成形用空間20が形成されている。
【0047】
本例の装置は、中子6へと気体を供給する気体供給機構16Bと、中子7へと気体を供給する気体供給機構16Aとを備えている。各気体供給機構16A、16Bは、加圧気体を送出するコンプレッサー10、バルブ12、13および配管11を備えており、配管11の先端が多孔質体6,7に連結されている。
【0048】
流動状態の成形用材料をスプル9から成形用空間20へと注入し、成形し、次いで冷却して固化させる。可動型本体3を駆動し、図4に示すように固定型本体2から離す。この際、バルブ13を開き、コンプレッサーからの気体を配管11を通して矢印Bのように中子7へと供給する。この気体は、中子7の表面7aから噴出し、第一の型から成形体8の表面8aを浮揚させる。この結果、成形体8は、可動型15B側へと確実に付着する。
【0049】
次いで、バルブ12を開き、コンプレッサーからの気体を配管11を通して矢印Aのように中子6へと供給する。この気体は、中子6の表面6aから噴出し、成形体8を離型させる。
【0050】
【実施例】
アルミナ粉末として、易焼結性の低ソーダアルミナ粉末6000gを用いた。分散剤として、ポリアクリル酸アンモニウム共重合体をアルミナ粉末100重量部に対して1重量部添加し、水分量が21.5重量部となるようにイオン交換水を加え、充分に混合した。次いで、混合物を、ナイロンボールを粉砕メディアとしてポットミル中で5時間粉砕した。得られたスラリーを、線径390μm、目開き600μm(JIS Z8801)のスクリーンに通し、次いで混合槽中に入れた。
【0051】
粉末寒天を、アルミナ粉末100重量部に対して3重量部の割合で秤量した。混合物を攪拌しながら、寒天粉末を混合槽中に投入し、混合した。次いで、混合槽を加熱し、寒天粉末を溶解させるのと共に混練を行った。温度は、室温から95℃まで30分間で昇温した。95℃に材料の温度を保持しつつ、回転数30rpmでプラネタリーブレードを回転させ、スラリーを混練した。95℃で混練を30分間行い、得られた混練物を室温まで冷却し、成形用材料を得た。この成形用材料を混合槽から取り出した。成形用材料をペレタイズし、この際調湿操作を行い、ペレットの水分量を17.5%に調整した。
【0052】
型締め30トンの電動射出成形機に図3、図4に示すような金型を装着し、前述の方法で成形した。本体2、3はステンレス鋼によって形成した。中子6、7は、開気孔率25%、気孔径7μmのステンレス鋼によって形成した。加圧気体としては大気を使用し、噴出圧力は0.5MPaにした。得られた成形体には、クラック、割れ、表面の剥離などの欠陥は認められなかった。
【0053】
得られた成形体を室温にて一昼夜乾燥した後、130℃の乾燥機中で残留水分を除去し、昇温速度300℃/時間、最高温度1620℃、1620℃での保持時間2時間の条件で焼成した。冷却は、自然放冷で行った。得られた焼結体には、密度ムラや欠陥は見られなかった。
【0054】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、成形用材料を充填し、成形するための成形用空間を形成する第一の型および第二の型、および第一の型に設けられ、成形用空間に成形用材料を注入するためのスプルを備えている射出成形装置において、成形体に対して強い機械的外力を加えることなく、成形体の破壊を防止しつつ、型から容易に離型できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例に係る射出成形装置を概略的に示す模式図であり、可動型15Aに、多孔質体からなる中子6が設けられている。
【図2】図1の射出成形装置において、可動型と固定型とを離した状態を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る射出成形装置を概略的に示す模式図であり、固定型14Bに、多孔質体からなる中子7が設けられており、可動型15Bに、多孔質体からなる中子6が設けられている。
【図4】図3の射出成形装置において、可動型と固定型とを離した状態を示す模式図である。
【符号の説明】
2 第一の型の本体 2a 本体の表面 3 第二の型の本体 6 第二の型側の多孔質体からなる中子 6a 中子6の表面 7 第一の型側の多孔質体からなる中子 7a 中子7の表面 8 成形体 8a、8b 成形体8の表面 9 スプル 10 コンプレッサー 11 配管 12、13 バルブ 14A、14B 第一の型 15A、15B 第二の型 16、16A、16B 気体供給機構 20 成形用空間

Claims (2)

  1. 成形用粉末、寒天質ゲル生成物質および溶剤を含む混合物からなる成形用材料を成形するための成形用空間を形成する第一の型および第二の型、前記第一の型に設けられ、前記成形用空間に前記成形用材料を注入するためのスプル、前記第一の型および前記第二の型にそれぞれ設けられておりかつ前記成形用空間に面する多孔質体、および前記多孔質体に対して気体を供給するための気体供給機構を備える射出成形装置を用い、前記多孔質体の開気孔率は5%以上、40%以下であり、前記多孔質体の気孔径は1μm以上、50μm以下であり、
    前記第一の型と前記第二の型とを離し、前記第一の型の前記多孔質体から前記気体を0.2MPa以上かつ2MPa以下の圧力で噴出させることによって前記成形体を前記第一の型から離して前記第二の型に付着させ、次いで前記第二の型の前記多孔質体から前記気体を0.2MPa以上かつ2MPa以下の圧力で噴出させることによって前記成形体を前記第二の型から離型させ、前記気体が、大気、還元性雰囲気または不活性雰囲気であることを特徴とする、射出成形体の製造方法。
  2. 成形用粉末、寒天質ゲル生成物質および溶剤を含む混合物からなる成形用材料を成形するための成形用空間を形成する第一の型および第二の型、前記第一の型に設けられ、前記成形用空間に前記成形用材料を注入するためのスプル、前記第一の型および前記第二の型にそれぞれ設けられておりかつ前記成形用空間に面する多孔質体、および前記多孔質体に対して気体を供給するための気体供給機構を備える射出成形装置を用い、前記多孔質体の開気孔率は5%以上、40%以下であり、前記多孔質体の気孔径は1μm以上、50μm以下であり、
    前記第一の型と前記第二の型とを離し、前記第二の型の前記多孔質体から気体を0.2MPa以上かつ2MPa以下の圧力で噴出させることによって前記成形体を前記第二の型から離して前記第一の型に付着させ、次いで前記第一の型の前記多孔質体から前記気体を0.2MPa以上かつ2MPa以下の圧力で噴出させることによって前記成形体を前記第一の型から離型させ、前記気体が、大気、還元性雰囲気または不活性雰囲気であることを特徴とする、射出成形体の製造方法。
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