JP3852202B2 - トラス状骨組構造体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジョイントとフレームとからなる構造材によって構築される骨組構造体に関し、特に緊張部材によって所定のジョイント間に張力が付与される建築物・構築物等の構造物のトラス状骨組構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トラス状骨組構造体は、スマートで高い採光性と広い無柱空間が得られるなどの優れた特長を有していることから、野外コンサートホール、ガソリンスタンド、プール、展示場等の屋根、ビルの側面外壁、植物園用ドーム、寺院ドーム等の構造物に広く採用されている。このような構造物のトラス状骨組構造体は、その構造材であるフレームをジョイントによって接続することにより構築されるものである。
【0003】
トラス状骨組構造体における構造材のジョイント方式としては、
▲1▼ボールジョイント方式
▲2▼円柱状、四角柱状、三角柱状等の柱状ジョイント方式
の2方式がある。
このうち、後者の柱状ジョイント方式は、組立においてボルトや溶接による接合を全く必要としないため組立作業が簡単で、高い継手効率が得られるという優れた特長を有している。具体的にはハブと呼ばれる柱状ジョイント(柱状ハブ)に連結溝を形成しておき、これと、押し潰しによって形成した接続端部をその両端に有するフレームとを使用しフレームの接続端部とハブの連結溝を利用して両者を互いに嵌合して結合するものであり(例:米国特許第2,931,467号、実開平2−98121号公報、特開平7−102633号公報等)、本発明はこの後者のジョイント方式を採用したトラス状骨組構造体に関するものである。
【0004】
トラス状骨組構造体の様式としては、ドーム型、モスク型、ピラミッド型、フラットストラクチャ型、あるいはバレルヴォールト型等の各種形状を呈するものがあるが、それらが独立した構築物とされる場合ならびに構築物の一部の構造部分として併設される構造物とされる場合なども含まれる。これらのトラス構造物のうち、特に本発明はフラットストラクチャ型とバレルヴォールト型のトラス構造物、ライズ比(後述する)の小さいドーム型のトラス構造物用の骨組構造体に適用して好適である。なお、モスク型は頂点の形状がドーム型と若干異なるだけであるため、ドーム型に分類される。
【0005】
このようなトラス状骨組構造体において、最近では積雪、強震度の地震等に対しても十分に耐え得る強度を有するものが要望されていることから、大きな構造物を構築する際には、厚肉パイプからなるフレームを使用したり、フレームの長さを短くしたり、あるいは緊張部材を用いるなど種々の対策を講じている。
【0006】
このうち緊張部材を用いる構造は、所定のハブ間に直接または間接的に張力を付与することによりトラスの剛性を高め撓みを抑制する構造で、一例として図14に示すように構成されている。この骨組構造体は本出願人によって既に提案されたもので(特願平9−27757号)、ダブルレイヤーのフラットストラクチャ型に適用した例を示す。これを概略説明すると、骨組構造体1は、上面体2、下面体3、上面体2と下面体3を連結する束状連結フレーム(緊張部材用束)8および緊張部材10によってトラス状に構築されている。前記上面体2および下面体3としては、同一構造からなる多数のフレーム6が用いられ、互いに直交するように格子状に配列され、その両端部が柱状ハブ(以下、単にハブとも呼ぶ)7(7A,7B)に接続されている。ハブ7A,7Bは外周面に複数個の連結溝を有し、これらの連結溝にフレーム6の端部に設けた接続端部がハブの軸線方向から嵌合されることによりトラス節点を形成している。そして、上下に対向するハブ7Aとハブ7Bは、連結フレーム8の両端部にそれぞれ設けられている。
【0007】
前記緊張部材10は、前記上面体2と下面体3との間の空間内に前記フレーム6および束状連結フレーム8に対して交差するように斜めに組み込まれている。この場合、四角形メッシュをそれぞれ形成する上下各4本ずつ合計8本のフレーム6と、これらのフレーム6の端部が接続される上下各4個ずつ合計8個の柱状ハブ7A、7Bと、これらの柱状ハブ7A,7Bを連結する合計4本の束状連結フレーム8とによって形成される立方形の空間4内に、球状継手9と8本の緊張部材10を組み込んでいる。球状継手9は、前記空間4の中央に位置し、各緊張材10の一端が螺合によって接続され球状継手9を介して柱状ハブ間には間接的に緊張部材10により張力が付与されている。8本の緊張材10は、空間4の対角線方向を指向し、その他端が各束状連結フレーム8の上下端部付近にボルトにより取付けたブラケット11に連結金具12を介してぞれぞれ連結されている。
【0008】
このような骨組構造体1においては、緊張部材10によって骨組構造体1のハブ7間に張力が付与されるので、骨組構造体1の剛性を高め、荷重による撓みや破壊を効果的に抑制することができる。
【0009】
なお、緊張部材10に加える張力はトラス状骨組構造体が組み立てられた状態で張力が付与されている場合と、トラス状骨組構造体が組み立てられた時点での自重では張力が付与されず、自重以外の荷重や外力が加わった時点で緊張部材に張力が付与される場合とがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の骨組構造体1においては、緊張部材10を連結するためのブラケット11を束状連結フレーム8に溶接、ボルト等によって取付ける必要があるので、取付作業に煩わしさが伴い骨組構造体の構築に時間を要し製造コストが嵩むという問題があった。さらに、ブラケット11の取付位置はトラス節点からずれた位置となるので、骨組構造体1の美観を損なうという問題やトラス状骨組構造体として最適な節点を形成しないという問題があった。
【0011】
図15は緊張部材を利用した、他の従来例の概要図でバレルボールト状骨組構造体Aの両端を構成するハブ間を直接的に緊張用ワイヤBで連結し張力を付与すると共に、中間部には束Cを設置した例である。図示は省略したが、この例にあっても緊張材は両端を構成するハブに適宜ブラケットを溶接やボルト付けで取付けてこれに連結金具を取付けたワイヤを緊定させたものであった。
【0012】
本発明は上記した従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、緊張部材の取付作業が容易で、安価に構築することができ、しかも美観が良好なトラス状骨組構造体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために第1の発明は、両端に接続端部を有し互いに直交するように配設されることにより多数の四角形メッシュを形成する多数のフレームと、これらのフレームの前記接続端部が嵌合される複数個の連結溝を外周に有する多数の柱状ハブと、前記フレームによって形成される各四角形メッシュの中央にそれぞれ配置される緊張部材用束と、外周に複数の連結溝を有し前記緊張部材用束の上下端部にそれぞれ設けられた緊張部材用ハブと、この緊張部材用ハブと前記四角形メッシュを形成する柱状ハブとを連結する複数の緊張部材と、先端部に接続端部を有し前記各緊張部材の両端部にそれぞれ取付けられたブラケットとを備え、前記緊張部材の一端部側ブラケットの接続端部を前記緊張部材用ハブの連結溝に嵌合し、他端部側ブラケットの接続端部を前記柱状ハブの連結溝に嵌合したことを特徴とする。
【0014】
第2の発明は、上記第1の発明において、緊張部材用束の上端部に設けた緊張部材用ハブどうしおよび下端部に設けた緊張部材用ハブどうしも、緊張部材によってそれぞれ連結したことを特徴とする。
【0019】
本発明において、緊張部材はトラス状骨組構造体(以下、単に骨組構造体とする)を形成する所定のハブ間に張力を付与されることで骨組構造体の剛性を高める。積雪等により骨組構造体に荷重が鉛直方向に加わると、骨組構造体は下方に撓む。このとき、骨組構造体の下端は、外側に広がる方向に応力が発生し、緊張部材を一層緊張させる。このため、緊張部材は骨組構造体を荷重に抗して押し上げるように作用し、これによって骨組構造体の撓みが抑制される。
ブラケットとハブの接続は、フレームとハブの接続と同様に、ブラケットに設けた接続端部をハブの連結溝に嵌合するだけでよい。これにより組立工数を削減でき、部品の種類を削減することができる。また、ブラケットは押出形材の切断によって容易に製造できる。また、緊張部材の取付けをフレームの組立てと同様の作業方法で行うことができ、さらにハブそのものに直接張力をかけることができるので、骨組構造体に作用する応力の算出も容易となりトラス状骨組構造体の節点構造として最適なものとなる。
なお、本発明において、「緊張部材」とは、撚線ケーブル、中実ロッド材ならびに適宜な形状の形材、例えばH形鋼材等のいずれかまたはその組合わせの態様を含むものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1(A)、(B)、(C)は本発明をシングルレイヤーのバレルヴォールト型構造物の骨組構造体に適用した例を示す断面図、展開平面図および主面部(B−B面)の展開平面図、図2は骨組構造体の要部の一部を破断して示す正面図、図3は図2のIII −III 線断面図、図4は図2のIV−IV線断面図、図5は図2のV−V線断面図、図6は図5のVI−VI線断面図、図7は図3のVII −VII 線断面図、図8(A)、(B)、(C)はフレームの正面図、平面図および側面図、図9は柱状ハブとフレーム端部の斜視図、図10は柱状ハブとケーブル状緊張部材の接続構造を示す分解斜視図、図11(A)、(B)は連結プレートの正面図および平面図、図12(A)、(B)は他の連結プレートの正面図および平面図である。なお、従来技術の欄において示した構成部材等と同一のものについては同一符号をもって示す。また、図1(B)においては緊張部材10は実線で表示し、フレーム6は二点鎖線で表示し、図1(C)ではフレーム6を実線で表示し、緊張部材10は二点鎖線で表示している。
【0021】
図1において、シングルレイヤーのバレルヴォールト型骨組構造体20は、格子状に配列された多数のフレーム6と、これらのフレーム6の端部と緊張部材10を接続するためのブラケットを取付ける多数の柱状ハブ7と、これらの柱状ハブ7と前記フレーム6によって形成される四角形メッシュMの中央に位置する緊張部材用束8と、この緊張部材用束8の上下端部にそれぞれ設けられた張弦部材用ハブ7A,7Bとによって構築され、台座構造物22上に設置されている。そして、このような骨組構造体20は、必要により上面全体が図示しない屋根部材で覆われることによりシングルレイヤーのバレルヴォールト型トラス構造物を完成する。
【0022】
前記台座構造物22は、コンクリート壁、パネル体、窓体ならびに支柱等からなり、トラス構造物を支持するに十分な強度を有している。なお、緊張部材用束8の上下端に一体に設けられた緊張部材用ハブ7A,7Bは、骨組構造体20のスパンL方向においてケーブル状緊張部材21(21A,21B)によりそれぞれ連結されている。
【0023】
さらに骨組構造体20の構成等を図2〜図12に基づいて詳述する。
図8および図9において、前記フレーム6は、通常アルミニウム合金(例:JIS A6061,A6063をT1ないしT4に調質のもの)またはステンレス材のSUS304,SUS316等のパイプを用い、その両端部をプレス加工等により押し潰すことにより柱状ハブ3との接続端部25とテーパ部6Aを形成し、さらに接続端部25の両面に複数個のディンプル(凸部と凹部)からなる係止部26を設け、その後アルミニウム合金の場合T6等の調質し強度を向上させたものを用いている。この係止部26は前記接続端部25が柱状ハブ7の連結溝27に嵌合されたとき、連結溝27の壁面に形成した凸部と凹部からなる係合部28に係合することで、フレーム6の軸線方向に加わる荷重をハブ7に伝える。本例においてハブには後述の通り連結溝は8本形成されている。また、1つの柱状ハブ7に対して直交する4本のフレーム6が接続されるため、その各フレーム6の接続端部25は図9に示すように1つおきの連結溝27にそれぞれ嵌合される。
【0024】
さらに、一般的にはフレーム6には、ドーム型やモスク型のトラス状骨組構造体を構築する際、割り角度θ(図3参照)以外にその配設位置に応じて3つの角度、すなわちコイン角α、ベンド角β、ツイスト角γが付与され、これによって任意の球面度を有するドームの構築を可能にしている。コイン角αは接続端部25のフレーム6の軸線方向に対する切断角度、ベンド角βはフレーム6の軸線と接続端部25の軸線とのなす角度、ツイスト角γはフレーム6を介して隣合い高さおよびハブ軸方向の曲率中心位置が異なる柱状ハブ7間の連結溝27を連結するフレーム6における接続端部25間のなす角度である。なお、ダブルレイヤー式バレルヴォールト型においては接続端部25のコイン角αが40°〜90°に、ベンド角βならびにツイスト角γが0°〜10°にそれぞれ角度付けされ、ドーム型においてはコイン角αが80°〜90°に、ベンド角βが0°〜35°に、ツイスト角γが0°〜5°にそれぞれ角度付けされる。また、フレーム6の外径は25〜300mmφ、長さは0.5〜4m、肉厚は1〜10mm程度である。
【0025】
図9において、前記柱状ハブ7は、通常アルミニウム合金のJIS A6082−T6、ステンレス材のSCS11やSCS13の押出形材または鋳造品によって円柱状に形成され、中心にボルト挿通孔30を有している。また、柱状ハブ7の外周面には、溝壁面に前記係合部28を有する8個の連結溝27が周方向に等間隔をおいて放射状に形成され、この連結溝27に互いに直交する4本のフレーム6の前記接続端部25が軸線方向から嵌合されることによりトラス節点を形成している。ただし、フレーム6は、1つおきの連結溝27にそれぞれ接続され、残り4つの連結溝27に後述するブラケット57の接続端部70(図12参照)が嵌合される。そして、ボルト挿通孔30にはボルト31が挿通され、その上下の突出端部にワッシャ32および保持板33が装着され、ナット34の締結によって保持板33を柱状ハブ7の上下面に押し付けることで、前記フレーム6とブラケット57の接続端部25,70が連結溝27から柱状ハブ7の軸線方向に抜けるのを防止している。なお、柱状ハブ7の外径は50〜200mmφ、長さは40〜300mm程度である。
【0026】
図2において、前記緊張部材用束8は本例にあってはA6061TE−T4等によって外径が24mmφ、長さが450mm程度のパイプからなり、四角形メッシュMの中心に位置している。緊張部材用束8の両端部には、緊張部材用ハブ7A,7Bが嵌合、溶接等によってそれぞれ一体的に設けられているが、これに限らず押出成形によって緊張部材用ハブ7A,7Bと緊張部材用束8を一体に形成することも可能である。なお、緊張部材用束8は、束部材を構成するため、前記緊張部材10と共に骨組構造体20の機械的強度を増大させる役目を果たす。
【0027】
前記緊張部材用ハブ7A,7Bは、中心に上記したボルト挿通孔30の代わりにねじ孔39,40(図5、図10参照)がそれぞれ形成されている点が上記した柱状ハブ7と異なるだけで、その他の構成は全く同一である。そのため、外周には、8個の連結溝42,43がそれぞれ形成され、さらにその溝壁にはディンプルと呼ばれる凹凸(係合部)44がそれぞれ形成されている。
【0028】
図2および図10において、前記ケーブル状緊張部材21としては、本例にあっては外径3.19mmφ程度のステンレス製ケーブルが用いられる。上方側のケーブル状緊張部材21Aは、板状に形成された上下2個のケーブル状緊張部材用ブラケット45a,45bによって挟持され、これらのケーブル状緊張部材用ブラケット45a,45bに設けた挿通孔46および座金47にボルト48を挿通し前記緊張部材用束8の上端側に設けた緊張部材用ハブ7Aのねじ孔39に螺合することで緊張部材用ハブ7Aに所定の張力が付与された状態で固定される。また、ケーブル状緊張部材用ブラケット45a,45bは、後述するブラケット56の接続端部65(図11参照)が前記連結溝42から緊張部材用ハブ7Aの軸線方向に抜けるのを防止する。
【0029】
前記ケーブル状緊張部材用ブラケット45a,45bは本例にあってはJISA6063BE−T5等によって同一形状に形成され、互いに対向する挟持面には2条の溝49が全長にわたって平行に形成されており、これらの溝49に前記ケーブル状緊張部材21Aの接続部分が係入される。ここで、本実施の形態においては、ケーブル状緊張部材21Aとして2本用いた例を示したが、これに限らず1本または2本以上であってもよい。なお、ケーブル状緊張部材用ブラケット45a,45bとボルト48は、図示しないルーフパネル部材を緊張部材用ハブ7A上に取付けるためにも利用される。
【0030】
下方側のケーブル状緊張部材21Bは、上記した上方側のケーブル状緊張部材21Aと同様に本例にあっては外径が3.19mmφ程度のステンレス製ケーブルからなり、2個のケーブル状緊張部材用ブラケット51a,51b(図2参照)によって挟持され、これらのケーブル状緊張部材用ブラケット51a,51bおよび座金52にボルト53を挿通して下方側の緊張部材用ハブ7Bのねじ孔39(図5参照)に下方から螺合することで緊張部材用ハブ7Bに連結される。このケーブル状緊張部材21Bも2本用いられ所定の張力が付与される。なお、前記ケーブル状緊張部材用ブラケット51a,51bは上記したケーブル状緊張部材用ブラケット45a,45bと全く同一に形成されている。
【0031】
前記緊張部材10は、前記各四角形メッシュMに対して8本用いられる。緊張部材10としては、本例にあってはアルミニウム合金であるJIS A5056BE−H34等によって形成された外径が6mmφ程度の中実ロッドが用いられる。8本の緊張部材10のうち前記柱状ハブ7より上方に位置する4本の緊張部材10は、その一端が前記緊張部材用束8の上端側に設けた緊張部材用ハブ7Aにブラケット56を介して連結され、他端が四角形メッシュMを形成する4つの柱状ハブ7にブラケット57を介してそれぞれ連結される。一方、前記柱状ハブ7より下方に位置する残り4本の緊張部材10は、その一端が前記緊張部材用束8の下端側に設けた緊張部材用ハブ7Bにブラケット56を介して連結され、他端が前記四角形メッシュMを形成する4つの柱状ハブ7にブラケット57を介してそれぞれ連結される。また、一定の張力を付与した状態に緊張部材10を容易に施工するために緊張部材10の両端部には、雄ねじ部59が形成され、この雄ねじ部59に取付部材60がそれぞれ螺合されている。この場合、緊張部材10の両端部に形成される雄ねじ部59は、左ねじと右ねじとからなり、これにより緊張部材10の長さ調整が可能で骨組構造体20のフレーム6に所要の張力を付与している。すなわち、緊張部材10を組み付けた際、緊張部材10を回転させて両端の取付部材60を互いに接近する方向に移動させると、フレーム6は張力が付与される。なお、緊張部材10の太さや強度は、骨組構造体20の与えられた設計条件に応じて適宜決定される。また、緊張部材10に緊張力を付与する手段としてはターンバックルを用いてもよい。
【0032】
緊張部材10の各端部に取付けられる前記取付部材60は、本例ではアルミニウム合金のJIS A6063S−T5の押出形材を所定長さに切断することにより平面視形状がコ字状に形成され、基部に前記緊張部材10の雄ねじ部59が螺合するねじ孔が形成されている。また、取付部材60の互いに対向する両端部間には、前記ブラケット56またはブラケット57の基部が挿入され、かつボルト62およびナット64によって回動自在に連結されている。
【0033】
前記ブラケット56は、図11に示すように本例にあってはアルミニウム合金(JIS A6063S−T5等)の押出形材を所定長さに切断することにより、幅Wが31mm、高さhが30mm、板厚Tが4mm程度の板状体に形成され、基部側には前記ボルト62が挿通される1つのボルト挿通孔63が形成され、さらに先端部には両面にディンプルと称する凹凸(係合部)66を有する接続端部65が押し潰しによって一体に形成されている。この接続端部65は、フレーム6の接続端部25と同一形状で、前記緊張部材用ハブ7Aまたは緊張部材用ハブ7Bの連結溝42または連結溝43にハブの軸線方向から嵌合され、前記係合部66が連結溝42または連結溝43の溝壁に形成した係合部44(図5参照)に係合するようになっている。
【0034】
前記緊張部材10の緊張部材用束8とは反対側端部には、前記取付部材60を介して前記ブラケット57が取付けられている。このブラケット57は、図12に示すように両面にディンプルと称する凹凸(係合部)69を有する接続端部70が先端部に一体に設けられている点で上記したブラケット56と同じであるが、本例にあっては幅が31mm、高さが40mm、板厚が4mm程度で前記ブラケット56より大きい点、および2つのボルト挿通孔71を備えている点で異なっている。そして、このブラケット57には前記ボルト挿通孔71に挿通される2本のボルト72およびナット73によって上下に対向する2本の緊張部材10が取付部材60を介して連結され、接続端部70が前記柱状ハブ7の連結溝27に嵌合されることで、柱状ハブ7と2本の緊張部材10を連結する。なお、ブラケット57は前記フレーム6と共に前記保持部材33(図7参照)によって柱状ハブ7の軸線方向への抜けが阻止される。
【0035】
このような骨組構造体20において、緊張部材10とケーブル状緊張部材21は所定の張力が付与されることにより荷重Pによる骨組構造体20の下方への撓みを抑制することができ、強度を増大させることができる。
また、緊張部材10をブラケット56,57を介して柱状ハブ7、緊張部材用ハブ7A,7Bに直接連結しているので、図14に示す従来の連結構造、すなわち緊張部材用束8にブラケット11を取付け、このブラケット11に緊張部材10を連結するようにした連結構造に較べてブラケット11のボルト付けや溶接を必要とせず、部品点数、工数を削減することができる。また、ブラケット11の場合は、ボルト、溶接等によって緊張部材用束8に固定する必要があるため、その取付作業に時間を要するが、本発明においてはブラケット56,57の接続端部65,70を柱状ハブ7,緊張用7A,7Bの連結溝27,42,43に、フレーム6の接続端部25と同様に嵌合するだけで接続することができるので、これらブラケットの接続作業も容易である。また、従来の溶接等により固定されるブラケット11を用いた場合はその取付位置がトラス節点からずれた位置となるが、ブラケット56,57の場合はトラス節点に接続することができるので、骨組構造体20の美観を損なうことがなく、トラス節点として最適な形態となる。
さらに、ブラケット56,57は、押出形材を所定長さに切断し、穴開け加工を施すだけでよいので、その製造も容易である。
【0036】
図13(A)、(B)は本発明の他の実施の形態を示す概略構成図で、(A)はダブルレイヤーのバレルヴォールト型骨組構造体80に適用した例、(B)はダブルレイヤーのフラットストラクチャ型骨組構造体90に適用した例を示す。図13(A)の形態は骨組構造体80のスパン方向両端のハブ7間にケーブル状緊張部材よりなる緊張部材10を直接的に連結すると共に、束Tを利用したものである。図13(B)に示す形態は従来例として示した図14のブラケット11を本発明のものとしたものである。ハブ7に対するブラケット11の固定構造等、その他の構成は上記した実施の形態と略同一である。
【0037】
なお、上記した実施の形態においては、緊張部材10として中実ロッドを用いた例を示したが、これに限らず、H形鋼材などの形材やステンレス製撚線、または溶融亜鉛めっき鋼線等の撚線からなるケーブルを用いてもよい。
また、上記した実施の形態においては、バレルヴォールト型とフラットストラクチャ型の骨組構造体に適用した例を示したが、これに限らずドーム型、特にライズ比(ドーム型の場合は高さと直径の比)が小さいドーム型(例えば0.05〜0.2程度)骨組構造体にも適用して好適である。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように本発明に係るトラス状骨組構造体は、緊張部材をハブの連結溝にブラケットを介して接続したので、ブラケットを取付けるための溶接やボルト付けが不要となり、ハブ自体に特別な加工を加えたりする必要がない。特に、ハブの周りには余分なスペースがあまりないので、本発明を用いるとブラケットの接続端部をハブの連結溝に嵌合するだけでよく、そのため緊張部材の張弦作業が容易で、施工に要する時間を短縮することができ、構築コストを低減することができる。また、デザイン的にはすっきりしたジョイントとなる。
また、ブラケットは押出形材を所要長さに切断し、穴開け加工を施すだけでよいので、その製造も容易で、製造コストを低減することができる。
さらに、緊張部材の軸線方向をハブに一致させて最適なトラス節点を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)、(B)、(C)は本発明をシングルレイヤーのバレルヴォールト型トラス状骨組構造体に適用した例を示す断面図、展開平面図および主面部(B−B面)の展開平面図である。
【図2】 骨組構造体の要部の一部を破断して示す正面図である。
【図3】 図2のIII −III 線断面図である。
【図4】 図2のIV−IV線断面図である。
【図5】 図2のV−V線断面図である。
【図6】 図5のVI−VI線断面図である。
【図7】 図3のVII −VII 線断面図である。
【図8】 (A)、(B)、(C)はフレームの正面図、平面図および側面図である。
【図9】 柱状ハブとフレーム端部の斜視図である。
【図10】 緊張部材用ハブとケーブル状緊張部材の接続構造を示す分解斜視図である。
【図11】 (A)、(B)はブラケットの正面図および平面図である。
【図12】 (A)、(B)は他のブラケットの正面図および平面図である。
【図13】 (A)はダブルレイヤーのバレルヴォールト型骨組構造体に適用した例、(B)はシングルレイヤーのフラットストラクチャ型骨組構造体に適用した例を示す図である。
【図14】 緊張部材を用いた従来のダブルシングルレイヤーのフラットストラクチャ型骨組構造体の要部の側面図である。
【図15】 緊張部材を用いた従来の他のダブルシングルレイヤーのフラットストラクチャ型骨組構造体の斜視図である。
【符号の説明】
1…フラットストラクチャ型骨組構造体、2…上面体、3…下面体、4…空間、6…フレーム、7…柱状ハブ、7A,7B…緊張部材用ハブ、8…緊張部材用束、10…緊張部材、20…シングルレイヤーのバレルヴォールト型骨組構造体、21,21A,21B…ケーブル状緊張部材、25…接続端部、27…連結溝、28…係合部、42,43…連結溝、56,57…ブラケット、65,70…接続端部、M…四角形メッシュ。
Claims (2)
- 両端に接続端部を有し互いに直交するように配設されることにより多数の四角形メッシュを形成する多数のフレームと、これらのフレームの前記接続端部が嵌合される複数個の連結溝を外周に有する多数の柱状ハブと、前記フレームによって形成される各四角形メッシュの中央にそれぞれ配置される緊張部材用束と、外周に複数の連結溝を有し前記緊張部材用束の上下端部にそれぞれ設けられた緊張部材用ハブと、この緊張部材用ハブと前記四角形メッシュを形成する柱状ハブとを連結する複数の緊張部材と、先端部に接続端部を有し前記各緊張部材の両端部にそれぞれ取付けられたブラケットとを備え、前記緊張部材の一端部側ブラケットの接続端部を前記緊張部材用ハブの連結溝に嵌合し、他端部側ブラケットの接続端部を前記柱状ハブの連結溝に嵌合したことを特徴とするトラス状骨組構造体。
- 請求項1記載のトラス状骨組構造体において、
緊張部材用束の上端部に設けた緊張部材用ハブどうしおよび下端部に設けた緊張部材用ハブどうしも、緊張部材によってそれぞれ連結したことを特徴とするトラス状骨組構造体。
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