JP3850576B2 - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱硬化性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、熱硬化性および含有されたオキセタン環含有官能基を有する樹脂(含有樹脂)の貯蔵安定性にすぐれ、かつ含有樹脂が目的に応じてその分子量が容易に制御されたものであり、熱硬化後に所望の特性を容易に発現し、塗料、印刷インキ、着色剤などに好適に使用し得る樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エポキシ基およびカルボキシル基を同一分子内に含有した樹脂が加熱によって架橋硬化することは既知であり、かかる樹脂は、たとえば塗料などに利用されていた。
【0003】
しかしながら、前記のごときエポキシ基およびカルボキシル基を同一分子内に含有した樹脂は、これらエポキシ基とカルボキシル基とのあいだでの分子内架橋反応性が高いため、樹脂の合成の際にゲル化したり、生成した樹脂が貯蔵安定性にいちじるしく劣るといった欠点を有していた。
【0004】
そこで、前記欠点を改善する目的で、たとえば前記エポキシ基のかわりにオキセタン官能基が導入された、オキセタン官能基およびカルボキシル基を同一分子内に含有する樹脂からなる樹脂組成物や(特開平9−221602号公報)、オキセタン官能基含有樹脂、ポリエポキシド、反応性ケイ素を含有する化合物および有機金属化合物を含有してなる樹脂組成物(特開平9−208674号公報)が提案されている。
【0005】
しかしながら、前記オキセタン官能基およびカルボキシル基を同一分子内に含有する樹脂からなる樹脂組成物は、やはりこれらオキセタン官能基とカルボキシル基とのあいだで分子内架橋反応を起こしてしまうことから、樹脂の貯蔵安定性、とくに高温下での貯蔵安定性が不充分であるとともに、樹脂の分子量が所望の範囲内に制御され難いという欠点を有する。また前記オキセタン官能基含有樹脂、ポリエポキシドなどからなる樹脂組成物も、オキセタン官能基とエポキシ基および/または反応性ケイ素とを同一分子内に含有することから、樹脂の貯蔵安定性が不充分であり、樹脂の分子量が制御され難いという欠点を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、熱硬化性および含有樹脂の貯蔵安定性にすぐれ、含有樹脂が目的に応じてその分子量が容易に制御された樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)一般式(I):
【0008】
【化2】
【0009】
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜18のアルキル基、Aは主鎖に酸素を含有していてもよい2価の炭化水素基を示す)で表わされるオキセタン環含有官能基を有し、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有(メタ)アクリレート、フッ素含有(メタ)アクリレート、スチレン、スチレン誘導体および重合性アミドからなる群から選ばれる1種以上の単量体単位を有し、かつ、同一分子内にカルボキシル基を有しない樹脂、
(B)多官能性有機酸、多官能性フェノールおよび多官能性チオールからなる群から選ばれる少なくとも1種である架橋性官能基を有する架橋剤および
(C)硬化触媒
を含有してなる熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、前記したように、一般式(I)で表わされるオキセタン環含有官能基を有し、同一分子内にカルボキシル基を有しない樹脂(A)、架橋性官能基を有する架橋剤(B)および硬化触媒(C)を含有したものである。
【0011】
樹脂(A)は、その分子内に一般式(I)で表わされるオキセタン環含有官能基を有するが、同一分子内にカルボキシル基を有しない樹脂であるので、分子内架橋がおこるおそれがない。
【0012】
前記オキセタン環含有官能基を表わす一般式(I)において、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜18のアルキル基であり、かかるアルキル基の例としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基などがあげられる。これらのなかでも、安価で、より汎用性に富むという点から、とくにメチル基、エチル基などの炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましい。またAは主鎖に酸素を含有していてもよい2価の炭化水素基であるが、かかる2価の炭化水素基としては、たとえば
【0013】
【化3】
【0014】
などの炭素数1〜20の炭化水素基があげられ、好ましくは炭素数1〜6で、酸素数0〜6、なかんづく0〜2の炭化水素基があげられる。
【0015】
熱硬化性樹脂組成物に充分な熱硬化性を付与するには、オキセタン環含有官能基は樹脂(A)の1分子内に平均20個以上、好ましくは平均50〜500個含まれることが望ましい。
【0016】
本発明に用いられる樹脂(A)としては、樹脂組成物から形成される硬化物の耐久性が低下しないようにするには、その数平均分子量が3000以上、好ましくは10000以上のものが望ましく、また塗装作業性が劣らないようにするには、その数平均分子量が200000以下、好ましくは50000以下のものが望ましい。
【0017】
樹脂(A)は、同一分子内にオキセタン環含有官能基と反応するカルボキシル基などの官能基を有していないので、その数平均分子量を容易に制御することができる。
【0018】
樹脂(A)の種類にはとくに限定がなく、前記オキセタン環含有官能基が側鎖および/または主鎖に結合したものであればよい。たとえばオキセタン環を有するアクリル系樹脂が好ましいが、同様にポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂や、これらの変性樹脂なども用いることができる。
【0019】
前記アクリル系樹脂としては、たとえば同一分子内にエチレン性不飽和基とオキセタン環とを有するオキセタン環含有(メタ)アクリレート類と、その他のエチレン性不飽和モノマー、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの芳香族基含有(メタ)アクリレート類;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレート類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有(メタ)アクリレート類;スチレン、スチレン誘導体;(メタ)アクリルアミドなどの重合性アミド類とを、共重合させたポリマーなどがあげられる。
【0020】
前記オキセタン環含有(メタ)アクリレート類の代表例としては、たとえば3−メチル−3−オキセタンメチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタンメチル(メタ)アクリレート、3−n−プロピルメチル−3−オキセタンメチル(メタ)アクリレート、3−イソプロピル−3−オキセタンメチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタンエチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタンエチル(メタ)アクリレート、3−n−プロピル−3−オキセタンエチル(メタ)アクリレート、3−イソプロピル−3−オキセタンエチル(メタ)アクリレート、2−メチル−3−オキセタンメチル(メタ)アクリレート、2,3−ジメチル−3−オキセタンメチル(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−3−オキセタンメチル(メタ)アクリレート、2,3,4−トリメチル−3−オキセタンメチル(メタ)アクリレート、3−エチル−2−メチル−3−オキセタンメチル(メタ)アクリレート、3−エチル−2,4−ジメチル−3−オキセタンメチル(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらのなかでは、安価であるという点から、3−メチル−3−オキセタンメチル(メタ)アクリレートおよび3−エチル−3−オキセタンメチル(メタ)アクリレートがとくに好ましい。
【0021】
本発明に用いられる架橋剤(B)は架橋性官能基を有するものであり、この架橋性官能基が前記樹脂(A)中のオキセタン環含有官能基と架橋反応(熱硬化反応)するようなものであればとくに限定はない。本発明では、分子内架橋ではなく、樹脂(A)がかかる架橋剤(B)によって架橋されることから、その熱硬化性のみならず、含有樹脂の貯蔵安定性、とくに高温下での貯蔵安定性にすぐれた樹脂組成物となるのである。
【0022】
前記架橋剤(B)としては、たとえばシュウ酸、フマル酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸などの二官能性カルボン酸、クエン酸などの三官能性カルボン酸、モノマーとしてカルボキシル基を含有するもののポリマーであるポリカルボン酸や、グルコン酸などのカルボン酸以外の官能基を有する多官能性有機酸;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、イソプロピリデンビスジクロロフェノール、ポリヒドロキシスチレン、フェノール樹脂、ビスフェノール類などの多官能性フェノール;チオビスベンゼンチオール、チオグリコール酸、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラチオプロピオネートなどの多官能性チオールなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。樹脂(A)との架橋反応の進行しやすさを考慮すると、これら多官能性有機酸、多官能性フェノールおよび多官能性チオールの少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0023】
本発明に用いられる硬化触媒(C)は前記樹脂(A)中のオキセタン環含有官能基と架橋剤(B)中の架橋性官能基との架橋反応を促進するものであればよく、とくに限定はない。
【0024】
前記硬化触媒(C)としては、たとえばテトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライドなどのオニウム塩;トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7(商品名:DBU、サンアプロ社製)などのアミン類;クラウンエーテル錯体;トリフェニルホスフィンなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでは、架橋反応をより促進しやすいという点から、オニウム塩、クラウンエーテル錯体、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7およびトリフェニルホスフィンが好ましく、これらのなかでもとくにオニウム塩が好ましい。
【0025】
樹脂組成物の硬化物の架橋不足により塗膜の強度が低下しないようにするという点を考慮すると、架橋剤(B)中の架橋性官能基の量は樹脂(A)中のオキセタン環含有官能基1モルに対して0.1モル以上、好ましくは0.5モル以上であることが望ましく、また硬化物の耐水性が低下しないようにするという点を考慮すると、架橋性官能基の量は、オキセタン環含有官能基1モルに対して5モル以下、好ましくは2モル以下であることが望ましい。
【0026】
硬化触媒(C)の量は、樹脂組成物の熱硬化性が低下しないようにするには、樹脂(A)の固形分100重量部(以下、部という)に対して0.1部以上、好ましくは0.5部以上であることが望ましく、また樹脂組成物から形成される塗膜の耐水性が低下しないようにするには、硬化触媒(C)の量は樹脂(A)の固形分100部に対して20部以下、好ましくは15部以下であることが望ましい。
【0027】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、さらに必要に応じて、たとえば溶剤、顔料、体質顔料、分散剤、紫外線吸収剤や、その他の添加剤を配合することができる。これらの配合量は、本発明の目的を阻害しない程度に適宜調整すればよい。
【0028】
とくに、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、たとえば各種基材に塗布して用いる場合には、前記溶剤を添加することが作業性の点から好ましい。該溶剤としては、たとえばアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、溶剤の添加量は樹脂組成物の使用目的や塗布方法などによって異なるが、通常熱硬化性樹脂組成物の固形分濃度が10〜70重量%程度となるようにすることが好ましい。
【0029】
熱硬化性樹脂組成物の調製方法にはとくに限定がなく、たとえば樹脂(A)を必要に応じて適当量の溶剤に溶解または分散させたのち、適宜配合量を調整した架橋剤(B)および硬化触媒(C)を添加し、撹拌混合すればよい。なお、これら樹脂(A)、架橋剤(B)および硬化触媒(C)の添加順序にはとくに限定がない。
【0030】
つぎに、本発明の熱硬化性樹脂組成物を基材に塗布し、硬化させる方法について説明する。
【0031】
熱硬化性樹脂組成物を塗布することができる基材の種類にはとくに限定はないが、たとえば鉄、アルミニウムなどの金属材料、プラスチック、紙、木材などの有機系材料、ガラス、石材などの無機系材料などがあげられる。
【0032】
基材に塗布する方法としては通常の方法を採用することができるが、たとえばスプレー塗装法、浸漬法、フローコーティング法、ロールコート法、静電塗装法、スクリーン印刷などがあげられる。なお、調製後の熱硬化性樹脂組成物を、塗布方法に適した粘度に調節するために、さらに溶剤で希釈することもできる。
【0033】
ついで、熱硬化性樹脂組成物が塗布された基材を80〜200℃程度で10〜300分間程度加熱することにより、基材との密着性にすぐれた塗膜が形成される。塗膜の厚さはかかる塗膜が形成される基材の種類や用途などによって異なるため、一概には決定することができないが、通常1〜300μm程度、なかんづく5〜100μm程度となるように調節されることが好ましい。
【0034】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性および含有樹脂の貯蔵安定性にすぐれ、かつ含有樹脂が目的に応じてその分子量が容易に制御されたものであるので、たとえば塗料、印刷インキ、着色剤などに好適に使用することができる。
【0035】
【実施例】
つぎに、本発明の熱硬化性樹脂組成物を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0036】
製造例1(樹脂(A)の製造)
撹拌機および冷却器を取り付けた100ml容の三つ口フラスコに、3−エチル−3−オキセタンメチルメタクリレート3部とメタクリル酸メチル1.63部とを計り取り、乾燥トルエン28.26部を加えてチッ素ガスで1時間置換したのち、これにアゾビスイソブチロニトリル0.0535部を加え、チッ素ガス気流下にて、60℃で5時間、80℃で3時間撹拌して重合させた。重合反応終了後、反応溶液を室温まで冷却したのち、n−ヘキサンに注ぎ込み、沈殿物を回収した。
【0037】
つぎに、良溶媒としてアセトン、貧溶媒としてエーテルを用い、2回再沈殿精製を行ない、樹脂(A)を得た。収量は3.34g、収率は72%であった。
【0038】
得られた樹脂(A)のゲル透過クロマトグラフィ測定による数平均分子量は2.0×104であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は1.77(ポリスチレン換算)であった。
【0039】
樹脂(A)の構造解析は、IRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルを測定して行なった。その結果を以下に示す。
【0040】
これらの結果から、樹脂(A)は以下に示す繰返し単位を有し、1分子内に平均125個のオキセタン環含有官能基を有する樹脂であることが確認された。
【0041】
【化4】
【0042】
実施例1
樹脂(A)10部と架橋剤(B)のアジピン酸4部と硬化触媒(C)としてテトラフェニルホスホニウムブロマイド1部とを計り取り(オキセタン環含有官能基1モルに対して架橋性官能基1.5モル、樹脂(A)の固形分100部に対して硬化触媒(C)10部)、アセトンに溶解させて固形分濃度が約20重量%の熱硬化性樹脂組成物を得た。
【0043】
この樹脂組成物をKBr板に塗布し、室温で30分間減圧乾燥を行なったのち、150℃で60分間または170℃で60分間加熱して厚さ約50μmのポリマーフィルムを形成させた。このときのオキセタン環の変化をIRスペクトル測定にて追跡した。基準ピークとしてはC−H結合に起因する波数2963cm-1のピークを、オキセタン環のピークとしては波数926cm-1のピークをそれぞれ用いた。その結果を図1に示す。なお、図1中、符号αで示すグラフは150℃で加熱した場合のものであり、符号βで示すグラフは170℃で加熱した場合のものである。
【0044】
図1に示されるように、樹脂組成物中の樹脂(A)のオキセタン環の反応率(転化率)は、150℃で加熱した場合が約72モル%、170℃で加熱した場合が約89モル%であり、いずれのポリマーフィルムもクロロホルム、テトラヒドロフランおよびアセトンに不溶であった。
【0045】
このことから、樹脂(A)とアジピン酸との架橋反応が効率よく進行し、樹脂組成物が熱硬化性にすぐれたものであることがわかる。
【0046】
実施例2
樹脂(A)10部と架橋剤(B)のチオビスベンゼンチオール7部と硬化触媒(C)としてテトラフェニルホスホニウムブロマイド1部とを計り取り(オキセタン環含有官能基1モルに対して架橋性官能基1.5モル、樹脂(A)の固形分100部に対して硬化触媒(C)10部)、アセトンに溶解させて固形分濃度が約20重量%の熱硬化性樹脂組成物を得た。
【0047】
この樹脂組成物をKBr板に塗布し、室温で30分間減圧乾燥を行なったのち、150℃で180分間加熱して厚さ約50μmのポリマーフィルムを形成させた。このときのオキセタン環の変化をIRスペクトル測定にて追跡した。基準ピークとしてはカルボニル結合に起因する波数1728cm-1のピークを、オキセタン環のピークとしては波数926cm-1のピークをそれぞれ用いた。その結果を図2に示す。
【0048】
図2に示されるように、樹脂組成物中の樹脂(A)のオキセタン環の反応率(転化率)は約67モル%であり、ポリマーフィルムはクロロホルム、テトラヒドロフランおよびアセトンに不溶であった。
【0049】
このことから、樹脂(A)とチオビスベンゼンチオールとの架橋反応が効率よく進行し、樹脂組成物が熱硬化性にすぐれたものであることがわかる。
【0050】
実施例3
樹脂(A)10部と架橋剤(B)のイソプロピリデンビスジクロロフェノール20部と硬化触媒(C)としてテトラフェニルホスホニウムブロマイド1部とを計り取り(オキセタン環含有官能基1モルに対して架橋性官能基1.5モル、樹脂(A)の固形分100部に対して硬化触媒(C)10部)、アセトンに溶解させて固形分濃度が約20重量%の熱硬化性樹脂組成物を得た。
【0051】
この樹脂組成物をKBr板に塗布し、室温で30分間減圧乾燥を行なったのち、170℃で270分間加熱して厚さ約50μmのポリマーフィルムを形成させた。このときのオキセタン環の変化をIRスペクトル測定にて追跡した。基準ピークとしてはカルボニル基に起因する波数1728cm-1のピークを、オキセタン環のピークとしては波数926cm-1のピークをそれぞれ用いた。その結果を図3に示す。
【0052】
図3に示されるように、樹脂組成物中の樹脂(A)のオキセタン環の反応率(転化率)は約96モル%であり、ポリマーフィルムはクロロホルム、テトラヒドロフランおよびアセトンに不溶であった。
【0053】
このことから、樹脂(A)とイソプロピリデンビスジクロロフェノールとの架橋反応が効率よく進行し、樹脂組成物が熱硬化性にすぐれたものであることがわかる。
【0054】
比較例1
撹拌機、冷却器および滴下ロートを取り付けた1リットル容の四つ口フラスコに、キシレン100部およびn−ブタノール35部を加えて120℃に加熱したのち、滴下ロートから3−エチル−3−オキセタンメチルメタクリレート17部、メタクリル酸9部、n−ブチルメタクリレート74部およびn−ブチルアクリレート67部の混合物にアゾビスイソブチロニトリル5部を溶解させた溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後30分間エージングを行ない、ついでアゾビスジメチルバレロニトリル1.7部をキシレン17部に溶解させた溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後30分間エージングを行ない、樹脂固形分濃度が50重量%の樹脂(A′)溶液(同一分子内に平均22個のオキセタン環含有官能基および平均25個のカルボキシル基を有する樹脂(A′)の溶液)を得た。
【0055】
試験例1
製造例1で得られた樹脂(A)にアセトンを添加して樹脂固形分濃度を50重量%に調整した樹脂(A)溶液と、比較例1で得られた樹脂(A′)溶液とを、それぞれ225ml容の広口ガラス瓶に充填し、密閉状態で70℃にて4週間放置したのち、樹脂溶液の状態を調べた。
【0056】
その結果、製造例1の樹脂(A)溶液は、放置前と比べてまったく変化がなかったのに対し、比較例1の樹脂(A′)溶液は、ゲル化していた。
【0057】
このことから、本発明の熱硬化性樹脂組成物中の含有樹脂は、高温下であっても貯蔵安定性にすぐれることがわかる。
【0058】
【発明の効果】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性にすぐれるとともに、含有樹脂と架橋剤とのモル比を適宜調整することにより、樹脂の分子量(架橋度)が所望の範囲内に、目的に応じて、任意に容易に制御されたものである。さらにこの含有樹脂は、とくに高温下での貯蔵安定性にもすぐれたものである。
【0059】
したがって、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化後に所望の特性を容易に発現し、たとえば塗料、印刷インキ、着色剤などに好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた熱硬化性樹脂組成物について、加熱時間に対する樹脂(A)のオキセタン環の反応率(転化率)を表わすグラフである。
【図2】実施例2で得られた熱硬化性樹脂組成物について、加熱時間に対する樹脂(A)のオキセタン環の反応率(転化率)を表わすグラフである。
【図3】実施例3で得られた熱硬化性樹脂組成物について、加熱時間に対する樹脂(A)のオキセタン環の反応率(転化率)を表わすグラフである。
Claims (5)
- (A)一般式(I):
(B)多官能性有機酸、多官能性フェノールおよび多官能性チオールからなる群から選ばれる少なくとも1種である架橋性官能基を有する架橋剤および
(C)硬化触媒
を含有してなる熱硬化性樹脂組成物。 - 硬化触媒(C)がオニウム塩、クラウンエーテル錯体、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7またはトリフェニルホスフィンである請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 架橋剤(B)中の架橋性官能基の量が樹脂(A)中のオキセタン環含有官能基1モルに対して0.1〜5モルである請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 硬化触媒(C)の量が樹脂(A)の固形分100重量部に対して0.1〜20重量部である請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
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