JP3845682B2 - シミュレーション方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、オペレータがある対象に対して行う動作を仮想空間上でシミュレーションするシミュレーション方法、シミュレーションプログラム、及びシミュレーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、医療現場・医学教育現場等において外科手術の事前検討や教育にコンピュータによって支援されたシミュレータを使用することが試みられてきた。このようなシミュレータにより、医師の使用するメス、注射器、カテーテル、内視鏡などの器具が人体の一部を切開したり、進入し、移動していく様子をコンピュータ上に再現することができる。その結果、実際の人体では試すことができない様々な処置の状況をコンピュータ上に再現することができる。また、安全性や治療効果を高めるための手術の事前検討や患者本人への事前説明を行ったり、医学教育に役立てることができる。
【0003】
このようなシミュレータにおいては、オペレータは手術に用いる医療機器に相当するプローブを操作し、その操作状況がデータ化される。また、コンピュータ上の仮想空間に人体の形状データが配置されており、操作状況のデータと人体の形状データとを共通の仮想空間に配置する。そして、それらのデータがコンピュータ内で演算処理されて、仮想空間における患者の空間配置とプローブの位置に応じた画像が描画される。この画像は、例えばそのシミュレーションを実行するオペレータがつけているHMD(ヘッドマウントディスプレイ)等のスクリーンや、別の観察者の見るディスプレイのスクリーン上に表示される。オペレータは自分の操作が人体でどのような結果となるかを認識できるようになり、また、オペレータ以外の医師等がオペレータの操作を検討することが可能となる。
【0004】
従来の手術シミュレータでは、手術がシミュレートされる人体の身体形状や器官の表面をポリゴンと呼ばれる多角形の集合の形式で、シミュレーションの前に作成する。
【0005】
このポリゴンデータを作成するためには、まず、人体の表面等の形状について形状の三次元データを取得する。これは、人体内部の器官にあっては、X線CTやMRI(Magnetic Resonance Imaging)などの医療用診断装置を用いて座標データを求める。次にこれらの三次元データを用いて人体のポリゴンモデルを作成する。
【0006】
そして、ポリゴンデータを用いてシミュレーションを行う。このとき、例えばメスによる切開の状況を再現するためには、オペレータは、実際には患者のいない空間でメスに相当するプローブを手にもって操作して手術の動作をシミュレートする。そのプローブにより、その空間の周囲に配置された例えば磁気センサ等によって位置と方向が同定され、メスの刃の位置が特定等される。そのプローブのデータはコンピュータに送られる。そして、コンピュータ上の仮想空間に予めポリゴンデータ等によって3次元で表現されている患者の空間配置(患者の身体形状表面の立体像や、患者の器官の立体像等の立体的配置)に、オペレータの持つプローブの実際の空間座標から取得した仮想空間内でのメスの方向や位置が重ね合わされる。シミュレーションの際には、プローブの位置と仮想空間での処理がリアルタイムで行われ、適当なサンプリング時間ごとに情報が書き換えられる。
【0007】
この仮想空間におけるメスの位置と人体形状との距離から、メスが人体に入り込んでいるのか、あるいはまだ入っていないのかといった状況が計算によって定められる。例えばメスの刃が人体の身体形状表面を横切ることにより、開腹手術等の状況が仮想空間内で再現される。このとき、仮想空間内での人体の身体形状や器官の形状を表わす多数の座標点と、プローブによって操作される仮想空間内のメスの位置との間の距離は、メス等の手術器具がどのような作用を身体に及ぼすかを決める指標となる。オペレータが例えばメスをある仮想対象物に近づけるとき、磁気式のセンサーなどによってメスの位置を測定し、コンピュータ上にあるこの仮想対象物(人体モデルの器官)の面のポリゴンとメスとの距離を求める。この際、原理的には、この人体のポリゴンモデルに含まれるポリゴンとメスとの距離をすべてのポリゴンについて計算し、その中から最短の距離を求める。そして最短の距離が0になると、メスが人体に接触したと判断することができる。こういう場合、プローブメスに反力を実現するような機構が備わっているものでは、メスに反力を返したり、画像を書き換えたりといったシミュレータの機能を実現することができる。いずれの場合にも、プローブの動きをリアルタイムで反映して距離計算を行う必要がある。
【0008】
また、脳内の血管は、出血によって重篤な脳障害を引き起こす可能性があり安易にメスを入れられないことから、カテーテルを用いた手術方法が盛んに検討されている。MRIの原理を応用したMRA(Magnetic Resonance Angiography)等によって、脳内の血流の立体像が得られるようになり、脳内血管の病変の位置や様子の観察手段が発達してきている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のシミュレーションで用いる人体のポリゴンモデルを準備するには、測定から測定値の加工・データの完成までに、コンピュータ上での自動化できない作業を伴う。このために多大な手間と期間が必要であり、多くの場合は、その作成に数週間程度を要する。従って、個々の患者の身体形状や器官の配置をポリゴンモデルにまで準備してシミュレートすることは事実上不可能であった。個々の患者の状況を反映して実際の手術の前に手術方法を検討したり練習したりするためには、測定からモデル作成までを半日程度またはそれ以下に短縮し、作業の多くの部分を自動化する必要があるが、これが不可能であるという問題点がある。
【0010】
また、プローブによって操作される医療器具の仮想空間での位置と人体との最短距離を求める場合において、この数十万個にもなり得るポリゴンとメスの距離を全てのポリゴンについて求め、最短の距離を求めるという方法は、リアルタイムで行う計算としては演算量が多すぎる。特に、シミュレータでオペレータに反力を与えようとする場合に上記原理に忠実に計算を行うと、シミュレータの動作レスポンスが悪くなる。さらに、より現実に近いフィードバックをオペレータに行うことを目的とした場合には、人体のモデルが精密になるほど仮想空間における距離の算出に時間がかかるという問題点がある。
【0011】
この問題点を克服するために、時間のかかる距離計算部分を省略して高速化する手法も提案されている。その改良方法は、一つは、ポリゴンで表現された人体を複数の部分に分け、計算する対象を距離が近いといった関係する部分のみに限定するものである。この場合、ポリゴンで表現された人体を複数の部分に分けて関係する部分のみに限定する距離の計算方法では、演算量は減るが、場合によっては計算から排除した部分の方が近いことがしばしば起こるという問題がある。このために、正確にシミュレーションしにくいという問題がある。特に、人体内部の複数の器官が近くにある場合といった複雑な位置関係を有する場合にはこの問題点は顕著なものである。
【0012】
さらに、もう一つの改良方法は、細かいポリゴンと、それをカバーする粗いポリゴンを持ち、プローブの距離が離れている部分のポリゴンに対しては粗いポリゴンを使って演算量を減らし、プローブの距離が近づくと細かいポリゴンを使って精度を上げるものである。さらに、細かいポリゴンと粗いポリゴンを用いる場合にはこの場合、ポリゴンの粗いものから細かいものに切り替えるときに、演算量が急に変化するため、シミュレータのレスポンスが変化するために、プローブの動きの表現がその変化の時点で不自然になるという問題点がある。また、同じ対象に対して粗いデータと細かいデータといった階層的に重複したデータを持つために、ポリゴンのデータ量が多くなるという問題点がある。
【0013】
加えて、脳血管障害などでは、患者ごとに患部(例えば脳動脈瘤)の位置や形状が異なりしかも形状が複雑である。MRA等の医療診断装置によって患部の状況を把握することは可能となってきたが、このための有効な治療方法であるカテーテル手術は、一方で、脳内の血管は複雑な分岐や配置をしていることや脳内の血管の破損の可能性等から、医師の習熟を要する。このためにシミュレータによる事前検討が大変有効であるにもかかわらず、これまでのポリゴンモデルで血管を再現するシミュレーション方法やシミュレータでは患者ごとの状況を反映した検討が実用的な時間では行えないという問題がある。
本発明は上記問題点の少なくともいくつかを解決することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、ポリゴンデータを作成したり用いることなく、対象物の形状データを直接利用する。この形状データによって仮想空間の有限個のサンプル点におけるサンプルポテンシャルをさらに求める。このサンプルポテンシャルは、対象物の周りに仮想的なポテンシャル場を想定して、そのポテンシャル値を定めるものである。ポテンシャル場は空間のいくつかの点においてサンプルポテンシャルとして求められる。このサンプルポテンシャルは、形状データに基づいて空間の各位置に対して定まるスカラー量として求める。このスカラー量のサンプルポテンシャルは、シミュレーションされる医療器具がとり得る仮想空間内の個々のサンプル点のそれぞれに対して一つの値として定まるように計算する。そしてこのサンプルポテンシャルを何らかの記憶装置に格納する。シミュレーションにおいては、この格納されたサンプル点ごとのサンプルポテンシャルを用いて、仮想空間内のプローブの位置におけるポテンシャルの近似値を求める。このため、仮想空間のプローブのとり得る位置の全てに対してサンプルポテンシャルを備えていなくても良い。さらに、プローブの位置におけるこのポテンシャル近似値に基づいて、仮想空間における対象物とプローブとの距離やその指標を求める。これにより、仮想空間でプローブが対象物とどういう位置関係にあるかが求まる。距離の指標としては、ポテンシャル近似値そのものであったり、あるいはそれから算出される適当な量である。そうして求まった情報は、何らかの情報提供装置によって、このシミュレータでシミュレーションを行うオペレータや、あるいは、そのオペレータとともにシミュレーション内容に関心を持つ別の者等に提供される。
【0015】
このように、本発明の一つの形態において、ある対象物に対するオペレータによるプローブの操作のシミュレーション方法であって、記憶装置に格納された前記対象物の3次元空間形状データに基づいて対象物を再現する仮想空間における仮想的ポテンシャル場を計算する第1演算ステップと、計算した仮想的ポテンシャル場におけるいくつかの点のポテンシャル値をサンプルポテンシャルとして記憶装置に格納する記憶ステップと、サンプルポテンシャルの値に基づいて仮想空間内のある点におけるプローブの作用部のポテンシャル近似値を求め、ポテンシャル近似値に基づいて仮想空間における対象物とプローブの作用部との距離を求める第2演算ステップと、距離に応じた情報を提供する情報提供ステップとを備えるシミュレーション方法、あるいはこれを実現するプログラムが提供される。
【0016】
あるいは、本発明の別の形態では、ある対象物に対するオペレータによるプローブの操作をシミュレーションするシミュレーション装置であって、記憶装置に格納された対象物の3次元空間形状データに基づいて対象物を再現する仮想空間における仮想的ポテンシャル場を計算する第1演算装置と、計算した仮想的ポテンシャル場におけるいくつかの点のポテンシャル値をサンプルポテンシャルとして記憶装置に格納する記憶装置と、サンプルポテンシャルの値に基づいて仮想空間内のある点におけるプローブの作用部のポテンシャル近似値を求め、ポテンシャル近似値に基づいて仮想空間における対象物とプローブの作用部との距離を求める第2演算装置と、距離に応じた情報を提供する情報提供手段とを備えてなるシミュレーション装置が提供される。
【0017】
これらにより、仮想空間に対してサンプルポテンシャルが予め与えられているために、オペレータがプローブを操作してシミュレーションする段階での演算量が低減される。そして、全体としてのマシンタイムも削減され、自動化が容易で対象物の個性を反映したシミュレータが実用となり得る。
このサンプルポテンシャルは、例えば、仮想空間における対象物の表面とプローブの作用部との最短距離を計算することで得られる。また、このポテンシャルを計算するステップは、仮想空間における対象物の表面とプローブの作用部との最短距離を計算するステップを含むものとすることができる。これらにより、シミュレーションに用いるポテンシャルから対象物までの最短距離が求まり、距離の情報が提供可能となる。また、距離に応じて動作を変える演算が容易となる
【0018】
また、本発明においては、仮想的ポテンシャル場は、3次元空間形状データに基づいて対象物の表面のポテンシャルを第1の値に設定し、対象物の外側にある仮想的表面におけるポテンシャルを第1の値とは異なる第2の値に設定して計算することで得られるシミュレーション方法や、これを実行するためのプログラムが提供される。例えば、対象物の電位を0と定めて外側に設けた基準面の電位をそれより高い正の電位とすれば、プローブのポテンシャル近似値の電位が正の値から0に近づくにつれて、プローブの仮想空間の位置が対象物に近づいていることがわかり、0になれば対象物に接していることがわかる。つまり、距離の指標として電位といったポテンシャルを用いることができる。これにより、境界条件を与えられた元でのポテンシャルは各種の計算手法で容易に求まるためにシミュレーションの準備段階の自動化が容易となる。
【0019】
また、本発明の別の形態では、例えば、血管の内部を進行するカテーテルの動作をシミュレートすることができる。つまり、本発明は、血管に対するオペレータによるカテーテルの操作をシミュレーションするためのシミュレーション方法であって、血管内の血流の流速の3次元空間分布データをサンプルポテンシャルとして格納する記憶ステップと、サンプルポテンシャルの値に基づいてある仮想空間内におけるプローブの作用部のポテンシャル近似値を求め、ポテンシャル近似値に基づいて仮想空間における血管の内面として認識される対象物とプローブの作用部との距離を求める演算ステップと、距離に応じた情報を提供する情報提供ステップとを備えるシミュレーション方法や、これを実行するプログラムが提供される。
【0020】
あるいは、本発明においては、血管に対するオペレータによるカテーテルの操作をシミュレーションするためのシミュレーション装置であって、血管内の血流の流速の3次元空間分布データをサンプルポテンシャルとして格納する記憶装置と、サンプルポテンシャルの値に基づいてある仮想空間内におけるプローブの作用部のポテンシャル近似値を求め、ポテンシャル近似値に基づいて仮想空間における血管の内面として認識される対象物とプローブの作用部との距離を求める演算装置と、距離に応じた情報を提供する情報提供手段とを備えてなるシミュレーション装置が提供される。
これらにより、習熟を要するカテーテル操作がシミュレートできて、操作の安全性や、効果、難易度が事前に検討できる。特に、血管内の血流の流速の3次元空間分布データはMRAと呼ばれる医療検査装置によって得ることができる。この検査の結果は比較的高速に得られるため、個々の患者のデータに基づいてカテーテル操作の事前検討が可能となる。
【0021】
さらに、本発明では、ポテンシャル近似値は、仮想空間内におけるプローブの作用部の位置を囲む複数のサンプル点におけるサンプルポテンシャルの値に基づく補間計算によって得られるものとすることができる。これにより、ポテンシャル近似値はサンプルポテンシャルの与えられていない点においても、演算量を削減してポテンシャル近似値を算出でき、シミュレータの動作が円滑になる。
【0022】
加えて、本発明では、サンプルポテンシャルは仮想空間における対象物の表面においてある定数となるようにされたサンプルポテンシャルとすることができる。定数を定めることで、距離の算定が容易になる。
【0023】
また、本発明では、サンプルポテンシャルは、定数を基準として仮想空間を分け、その一方におけるサンプルポテンシャルの値は定数より大きな値を有し、他の一方におけるサンプルポテンシャルの値は定数より小さな値を有するようにされたサンプルポテンシャルとすることができる。このようにすれば、サンプルポテンシャルの値によって、仮想空間においてプローブの作用点と対象物と位置関係が容易に判別できる。
【0024】
また、本発明では、ポテンシャル近似値と定数とを比較して、仮想空間におけるプローブの作用部と対象物との位置関係を判別することができる。これにより、位置関係のうち特に対象物の内部であるか表面であるか、あるいは外部であるかが容易に判別できる。
【0025】
また、本発明では、情報提供に、距離に応じてプローブの作用部へのオペレータの操作力に対する反力をオペレータが持つプローブに与えるものとすることができる。例えば、対象物が中空でなく中身の詰まったものである場合に、仮想空間でのプローブの位置が対象物に入ったときにのみ反力を返すようにすることができる。これにより、対象物が弾性を示すものであったり、その中でプローブに相当する実際のものを動かすときに抵抗を感じるものであったりした場合には、その状況に応じた弾性力や抵抗力のような反力を発生させてオペレータに対象物の内部であることを知らせたり、実際の状況に近いシミュレーションを行ったりすることができる。この際に、対象物内部に作用部が進入したことを利用することができる。
【0026】
また、本発明において、情報提供は画像表示とすることができる。その画像には、例えば、距離そのものを表示したり、距離に応じてアラートを表示したり、あるいは、特定の状況の画面に切り換えることができる。これにより、シミュレーターで実際の動作に近いシミュレーションが可能になったり、あるいは、実際の動作では得られないようなデータ(例えば動作中における距離など)が提示される。
【0027】
また、本発明では、プローブによってシミュレートされる動作が人体の少なくとも一部に対する行為であってもよい。「人体の少なくとも一部」とは、人体の肢体等の外形形状や、神経、脳等を含む任意の臓器・内臓の形状、筋肉・骨格・血管の形状、妊婦中の胎児の形状等に例示される人体の任意の一部または全体を意味する。これにより、本発明のシミュレータでは人体のいずれかの器官等に対する行為のシミュレーションが行える。この「行為」とは、医療行為や医療行為以外の行為である介護等の行為なども含む。なお、対象物の3次元空間形状データが人体の少なくとも一部であることは、本発明によって提供されるシミュレータに用いるデータが人体の少なくとも一部の形状に基づくものであることを意味し、本発明を構成する必須の要素に人体の一部を含むものではない。また、本発明のシミュレータによって試行または検討等される動作は医療行為を含み得るが、シミュレートすること自体は人体に何らの作用ももたらさないためそれ自体が医療行為に当たるものではない。
【0028】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
本発明においては、仮想空間内において、対象物であるもの(例えば、人体、あるいはその器官)をポリゴンモデルで表現することは必要ではない。対象物の3次元データをMRIやX線CT、モアレ法などの医療用測定器などから取得する。この3次元測定データは格子状のグリッドの各サンプル点に対して一つの値が定まるようにして得られるため、その外形を適当な手段で抽出すれば、3次元での形状が得られる。このデータは、そのままか、あるいはわずかな変換によって本発明に利用可能である。これらの手段によって得られたデータは、適当な記憶装置に記憶されて、シミュレーションを実行する前に準備される。
【0029】
準備段階として、この3次元データに基づいて、ポテンシャル場を計算する。このポテンシャル場は、対象物表面では定数(例えば、0)となるような条件と、必要に応じて例えば有限の距離にある仮想空間の外側境界を適当な別の定数になるように定めるといった付加的な条件を設定し、これらを境界条件として、適当な手段によってポテンシャル場を計算する。例えば、対象物(例えば人体)の表面で0となる電位を考え、対象物を中心とした半径3mの球を考えた上で、その球の表面における電位を1として、仮想空間内に作った3次元格子の格子点におけるポテンシャル値を求めておく。このような境界条件のもとで、電磁気学のポアソン方程式を数値的に解けば、仮想空間内の各点で電位が求められる。ポテンシャル場を計算するには、任意の数値計算手法を用いることができるが、例えば、境界要素法や有限要素法、差分法などを用いることができる。これらの適当な計算方法によって、仮想空間に定める有限個のサンプル点の集合であるサンプルグリッドにおけるサンプルポテンシャルが定まる。このサンプルポテンシャルは、サンプル点においてスカラー量を有するポテンシャルである。これらはいずれの例やいずれの計算方法であっても、3次元データが得られている場合には殆ど自動化された手順の計算に帰着されるため、連続計算をおこなって、数時間程度で必要なサンプルポテンシャルを求めることができる。これらの計算において、対象物の内部に進入するときには負になるようにするとさらに良い。このようなポテンシャル場は、人体、各臓器など異なる対象物ごとに求めておくことができる。
【0030】
このようにポテンシャル場を定めておくと、メスやカテーテルが動いても、人体モデルが変形しない限り、ポテンシャル値は変化しないので、仮想空間内のいずれの点においても、周りの格子点のポテンシャル値から内挿するだけでポテンシャル値を求めることができる。従って、人体表面とメスやカテーテルといったプローブの距離を求めることができる。その結果、プローブと多くのあるいは全てのポリゴンとの距離を計算するのに比べて、一時の内挿計算ですむことになり、大幅な計算時間の短縮になる。
【0031】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図2に本実施の形態で実現されるシミュレータの構成を示す。本発明のシミュレータ20では、オペレータ200は、シミュレータ20に備えられた入力装置となるプローブ214を操作する。プローブ214は支持装置216によって支持されていて、3次元の実空間におけるその位置や方向が適当なエンコーダまたは駆動装置218によって検知される。あるいは、磁気センサー204やジャイロ(図示せず)などによってプローブの方向を検知することもできる。このプローブの動きは演算装置202に入力されて、その演算装置によって準備される仮想空間にプローブの位置等が反映される。仮想空間では、そこに準備されている、プローブによって何らかの動作を施される対象物とともにプローブが配置される。この様子を図1に示す。ここでは、プローブ214によって実現する動作を行う器具は医療用のメス12であって、対象物は人体10としている。本実施の形態においては、仮想空間16にしか存在しないメス12を仮想空間16におけるプローブとして記載している。図2に戻ると、本実施の形態では第1の記憶装置210と第2の記憶装置212がさらに備えられている。記憶装置210は対象物の3次元データを格納しており、記憶装置212は後に計算されるサンプルポテンシャルを格納している。これらは一つの記憶装置であっても構わない。オペレータ200は、自分の行っているシミュレーションの状況を例えばヘッドマウントディスプレイ206によって画像として知り得る。また、プローブ214には駆動装置218によって適当な反力が生じるようにしてもよい。これらの情報は、演算装置202によって仮想空間におけるプローブと対象物の位置関係に応じて、オペレータに提供され、また、オペレータ以外の者、例えば実習生などの者に対しても、表示装置208によって提供することができる。
【0032】
図5に本実施の形態の準備段階の流れを記載している。ブロック50から開始した後に、ブロック52において、人体等の現実の対象物の3次元データを、例えばボディースキャナ等の3次元形状測定装置や、あるいはMRIといった内部データまで保持した3次元データとして取得する。図1に記載した人体10は、その3次元データをMRIやX線CTなどの医療用測定器などから取得し、そのデータを適当なしきい値で区分して3次元データとして表わしたものである。対象物である人体全部の3次元データは、光切断法によって3次元データを取得するボディースキャナであれば数分で、MRI等の測定器であれば解像度に依存して測定時間が変化するが、約1時間程度で測定が完了する。
【0033】
次にブロック54でこの3次元データに基づいてポテンシャルを計算する。仮想空間における対象物である人体10の表面の電位を0とする。また、人体を中心に半径3mの基準となる図示しない球面を考え、その球面上の電位を1となるように定める。仮想空間には電位が計算されるサンプル点の集合点を格子点とするグリッド14(図1参照)が準備されていて、この格子点のそれぞれにおいて人体10が仮想空間に形成する電位のポテンシャル値が、サンプルポテンシャルとして計算される。計算は、演算装置202によって行われても良いが、別の図示しない演算装置によって行われていても良い。この格子の間隔は任意であり、シミュレーションの精度などの諸条件にあわせて、当業者が自由に選択できるものである。本発明においては、これらの演算装置は、ポテンシャルの計算段階とシミュレーション実行段階とで同時に使わない場合には同じ演算装置とすることができるが、一般には別々のものであることができる。このサンプルポテンシャルは記憶装置212に格納される。このとき、例えば、人体10の内部に当たる格子点には、人体外部からの値が連続的してつながるように例えばマイナスの値を格納しておくことが容易にできる。計算では、人体外部で求まっているポテンシャルを内部へ外挿することで可能であるし、また、別の手段によっても可能である。以上のようにして、図5に示した本実施の形態の準備段階が実行される。
【0034】
さらに図3にシミュレーション時の仮想空間におけるプローブの周囲の様子を拡大して記載している。プローブ12は、例えばメスの刃先を作用点として有しており,この作用点を含むグリッドのセル30の周囲にはサンプルポテンシャルが計算された格子点がある。セル30にある8個の頂点では、サンプルポテンシャルがE0〜E7として計算されている。プローブ12の作用点におけるポテンシャル近似値は、周囲の8個あるサンプルポテンシャルから計算によって求めることができる。
【数1】
Figure 0003845682
(ここで、x、y、zは注目しているセルで0以上1以下の範囲をとるセル内の座標である。)
この式においては、対象物12の表面を0とするようにして求めたポテンシャルを用いているので、Eが0となると対象物の表面に到達していることを示している。この計算においては、あるプローブの位置に対する演算量は積が24回、和が19回の合計43回の演算で求めることが出来る。図3では単独のセル30を考えているが、より精度を高めるために、演算速度を落とさない範囲でさらに周囲の格子点のサンプルポテンシャルを用いて計算しても良い。
【0035】
図4に本実施の形態のシミュレーション段階での流れを示す。ブロック400にてスタートした後に、ブロック402において、オペレータはプローブを操作する。その操作に応じて、図2に記載したプローブの位置を測定するエンコーダ218または磁気センサ204の値が変化し、次の時刻のプローブ位置が求められる。次のプローブ位置では、ブロック406において、上記の過程に従ってポテンシャル近似値が再計算される。動きが小さくて図3に示した同じセル30で計算を行う場合にはセル内での座標のみが変更される。また動きが大きく別のセルになる場合には、新たに記憶装置212からサンプルポテンシャルのセットが新たなセルの位置に応じて呼び出される。ブロック408においては、この計算された次のプローブ位置のポテンシャル近似値の値を用いて、例えば、仮想空間での人体表面のポテンシャルが0であるならば、0以下であるかどうかが判定される。これにより、プローブの作用点が人体に到達したかどうかが判定される。ポテンシャルが0以下である場合には、到達した場合の処理であるブロック410の到達処理が施される。到達処理は、到達したというイベントに応じたイベント処理であってもよい。これにより、例えば、ディスプレイ206に到達した情報が表示されたり、到達して対象が変化する様子が描画されることができる。また、プローブに反力を与えてもよい。ポテンシャル近似値の値が0より大きい場合には、プローブが対象物に到達していないと判断されるので、計算が続行される。そして、現在のプローブ位置に新しいプローブ位置を代入して(ブロック412)、さらに画像描画やプローブ位置が記憶される(ブロック414)。このフローには記載していないが、適当なイベント処理プロセスを付加して、シミュレーションの終了や、エラー処理を適宜追加することもできる。
【0036】
[比較例1]
従来のポリゴンを用いるシミュレータは、図2に示したシミュレータの構成のうち、記憶装置212にはポリゴンデータを格納している。従来のシミュレータにおける仮想空間での構成を比較のために示す。図8は、従来のポリゴンを用いた例である。ポリゴンを用いた例においては、対象物80は多数のポリゴン820、840、842、860、862などによって構成された立体データとして配置される。ここにプローブ12が配置されて、対象物80との間で動作をシミュレートする。
【0037】
従来の方法では、図10に示すように、ブロック1000からスタートして、まず3次元データを取得する。これは任意の方法であってよい。そして、そのデータからノイズを除去して(ブロック1002)、データの値が同じ値の等値面でデータを2値化して抽出がおこなわれる(ブロック1006)。その後、ポリゴンモデルを作成する(ブロック1008)。ポリゴンモデルの作成は、データに基づいてポリゴンの生成を行い、そのポリゴンが途切れたり、孤立した部分が出てくるとそれを修正する(ブロック1010)。この作業は、自動化が難しく、作業を人手に頼らざるを得ないために数週間の時間を要する。さらに、例えば、図8に胸部82と腹部84、腰部86と区切ったようにパーツへ分解する場合もある。これによって、例えば図8ではポリゴン820がプローブ12の作用点から遠い距離にあるために、例えばポリゴンを粗くして計算の負担を低減させる。このために、各パーツには、詳細なポリゴンデータのほかに簡略化されたポリゴンデータも保持することが行われている(ブロック1014)。このようにしてブロック1016でポリゴンの準備が完了する。
【0038】
図9に従来の方法におけるフローを示す。ブロック900からスタートして、オペレータがプローブを操作すると(ブロック902)、その新しい位置がどこに来るかを算出する(ブロック904)。さらに新しいプローブの位置から最も近いポリゴンの位置を算出する。これは、ポリゴンを順次取り換えながらそのポリゴンまでの位置を算出し、最も距離の近いポリゴンを同定してその距離を選択するという処理になる(ブロック906)。このポリゴンまでの距離計算は、ポリゴンごとには負担の大きい計算ではないが、対象となるポリゴンが多数になるので、総体として演算量が膨大になる。こうして計算されたの距離に応じて、対象に到達したかどうかが判定される(ブロック908)。また、距離が正の値しかとらないので、プローブの動きが速い場合などは、ポリゴンで定義された対象物裏側にプローブの作用点が入ってしまった場合には、別途判定が必要になる(ブロック910)。そして、図4に示した本願発明の実施の形態と同様に、現在のプローブ位置に新しいプローブ位置を代入して(ブロック914)、さらに画像描画やプローブ位置が記憶される(ブロック916)。
【0039】
ブロック906の距離の計算では、プローブ12の作用点から各ポリゴンまでの距離(例えば、図8のポリゴン860までの距離866や、ポリゴン820までの距離826)が計算されて、最も近いポリゴンまでの距離によって対象物とプローブとが接触しているかどうかが判定される。
【0040】
この距離の計算では、ポリゴンごとに
【数2】
Figure 0003845682
(ここで、X0,Y0,Z0はプローブ12の仮想空間での位置、X,Y,Zはポリゴンの位置である。)
を計算する。
【0041】
この計算においては、積和演算が8回、平方根演算が1回である。平方根演算は積和演算の10倍以上の演算量になるために、おおよそ積和演算20回程度に相当する演算量がある。そして、これを注目する全てのポリゴンに対して求める。例えばポリゴンが1000個程度の比較的粗いモデルであっても、演算量は積和演算の2万回程度の演算で、プローブのある位置の計算が完了する。この計算量は、リアルタイムで処理するには量が多すぎるために、プローブの位置のアップデート頻度が少なくなって、シミュレータの動きが不自然になってしまう。
【0042】
このポリゴン数を減らすために、図8のパーツに分けた場合には、胸部82と腹部84、腰部86と区切ることができるが、腰部86に近いときには胸部82までの距離をポリゴン820より粗いポリゴンまでの距離で代用することが行われてきた。この場合には、プローブが近づくことを判定する手段が必要であり、プローブが近づいてきて精密なポリゴンに切り替えたりということがおこなわれてきた。この場合、精密なポリゴンへの切り換えに伴って、例えば反力を与えるようなプローブを使う場合には、不自然な反力の挙動が引き起こされてしまう。
【0043】
[実施の形態2]
本発明の別の実施の形態によれば、MRAのデータを直接用いたカテーテル手術のシミュレータが提供される。MRAは、核磁気スピンの共鳴信号の強さがそこに存在する水素の移動速度と共に弱くなる現象を用いた血流の測定装置である。血流中の水素原子は血液と共に流れているために、MRIの測定領域から流出してスピン共鳴信号の強度が低下する現象が起こる。このため、流れの部分においては信号が弱くなる。この現象に基づいて、流れがあるところほど(信号が弱いほど)明るく表示されるようにすると、血管中の血液の流速の分布を示す表示が得られる。これを3次元に構成すれば、血流に応じた強度の立体像が、数分〜数十分程度で得られる。速度分布は血管の中心で早く、血管の内表面で遅くなっているので、この血流の速度そのものを本発明のポテンシャルとして利用することにより、血管内のあるポイントと血管内壁面の距離を求めることができる。すなわち、血管内の中心付近ではポテンシャルが高く、血流あるいは血管内の位置が血管の内壁に近づいたり、当たったりした場合にはポテンシャルが低くなる。
【0044】
図6に本実施の形態の仮想空間での構成を示す。ここで、対象物となるのは血管内壁であるが、その血管の内壁の代わりに血流のデータを用いている。厚みのない仮想的な血管60が、図6に示されている。この血管の内部にはMRAで取得したポテンシャルが配置される。実際にはポテンシャルの値(流速の値)が一定以下になった部分を血流の境界として血管の内壁と見なすことによってこういうデータが得られる。このような血管内において、カテーテル64が進行してゆき、ポテンシャルが定義されているグリッドの中を進んでゆく。グリッドの各格子点には、MRAで得られたデータが対応している。血管内壁に接するところでは血流が弱くなり血管中央では強いという事実から、このポテンシャルは、血管中央に行くほど高く、周辺に行くほど低い値となる。この値が一定以下になったことをもって、その位置が血流外であることがわかり、血管内壁またはそれより外の組織にあることがわかる。
【0045】
図7にこのMRA撮影から3次元の対象物(血管)のデータ作成のプロセスを説明する。MRAデータは立体的に与えられた血流の太さや分岐を反映したものとなり、曲がりくねった枯れ木の枝ぶりのようなデータが得られる(ブロック72)。このデータそのものは単なる流速分布でしかないため、適当なしきい値と、そのデータを最大値から最小値に割り当てるレンジの設定によって、必要な箇所までの血流のデータが得られる。例えば、患部の位置が太い血管の部分にあって太い血管のみをシミュレーションの対象としたければ、弱い血流がしきい値以下となるようにしきい値を高めに設定する。こうすると、細い血管のために血流が弱いところはデータから消えて簡便にシミュレーションが行える。しかし、血管が孤立してしまったり、途切れたりしてしまい、ポテンシャルにもこれが現れる。患部が細かい血管のところにあれば、しきい値を低くして全ての血流を拾うようにする。このときには、細い血管まで拾えるが、ノイズが多くなり、シミュレーションにも測定にまつわるノイズが付きまとう。これらを勘案し、適当なしきい値とレンジを設定する(ブロック74)。これによって適当な範囲で得られた血流の3次元流速データを、本発明のサンプルポテンシャルとする。
【0046】
サンプルポテンシャルが得られると、シミュレーションの工程は図4に記載の実施の形態1とほぼ同様になる。ブロック402で操作されるプローブは、図2に示したプローブ214のようなメスを模したものではなく、カテーテルを模したものとなる。操作の自由度は、メスを模した場合には6自由度(位置のXYZ座標とメス全体のオイラー角3成分)だったものが、カテーテルでは進行方向の一座標とカテーテルの回転という2自由度になる。カテーテルの場合には、動きの自由度は少ないが、その先端が少し湾曲しておりその湾曲した先端の向きを分岐していたりする血管の進みたい方に適切にむけて、進んでゆく。ここで、重要なパラメータは、血管壁へのカテーテル先端の衝突角度(壁面に垂直のとき0度、平行のとき90度と選ぶ)である。この衝突角によって血管を突き破るか破らないかが決まるため、衝突角によって血管の中を進行しているのか,あるいは血管の内壁を突き破っているかが判定できる。図13にこの操作をシミュレートする場合のフローを示した。ブロック1302ではカテーテルを操作して、例えば、少し進行する。新しいカテーテルの位置は、直前の位置に基づいて算出される(ブロック1304)。カテーテルの先端に当たる作用部についてサンプルポテンシャルからポテンシャル近似値が計算されて、新しいカテーテルの位置が血管内かどうか判定される(ブロック1306)。血管内であればそのまま進行するが、MRAから求めたサンプルポテンシャルから計算したポテンシャル近似値が血管内ではなくなる値であれば、衝突角が評価される(ブロック1308)。衝突角は、カテーテルの作用点の直前の位置と今回の位置とから決まる移動ベクトルと血管内壁の法線方向から計算される。あるいは、カテーテルの先端部の伸びている方向から計算されても良い。衝突角が一定値(α)以上であれば、実際のカテーテルがそれ自身の弾性で反れて戻るように、血管内部に戻る(ブロック1314)。しかし、この衝突角がαより小さければ、血管内壁に垂直に近い状況で当たっているので、血管を破るのと同じ状況になる(ブロック1310)。この場合には、シミュレータは、適当な情報をオペレータ等に提供して警告する(ブロック1312)。カテーテルの作用部が血管内を進行している状況では、患部に届くまではその状況がループされるが、患部に届いた後は(ブロック1316)、塞栓手術の操作に入る(ブロック1318)。塞栓手術は、実際には白金のコイルを毛玉状にして血管にある例えば脳動脈瘤を塞いだりする手術である。シミュレーションでは、これも、本発明のポテンシャルの計算に基づいて実行できる。なお、実際のカテーテル手術では、先端の状況は複数の方向からX線撮影をして、カテーテルの先端から造影剤を与えながらながら行われている。先端の状況に応じて反力が手元に伝わることは通常は無いために、シミュレーションにおいても反力を与える必要はないが、実際の血管の配置に応じて3次元のデータを用いてシミュレーションできるために、実際の手術で必要なX線画像への習熟といった要素もシミュレーションできて有効である。本発明のシミュレータまたはシミュレーション方法によって患者毎のモデルを使って医師が手術の検討を行ったり、事前にトレーニングしたりすることが可能となる。
【0047】
[比較例2]
従来のカテーテル手術のシミュレーションは、図12に示すように、造影剤を用いたX線CTの撮影やあるいは、MRA撮影によって血流の立体配置を測定し(ブロック1202)、ノイズ除去(ブロック1204)を行って等値面によって血管を抽出する(ブロック1206)。そしてポリゴンモデルを作成する(ブロック1208)。ポリゴンモデルの途切れや孤立を修正するのは、比較例1と同様である(ブロック1210)。そして、血管の太さなどに応じてパーツへ分解し(ブロック1212)、プローブの作用点から離れた時に用いる簡略データを作成する(ブロック1214)。このようにしてポリゴンの準備が可能となるが、ポリゴンモデルの作成に数週間の時間を要することは比較例1と同様である。したがって、患者ごとに異なる血管の分岐や配置,あるいは患部の状況や位置に応じたシミュレーションは事実上不可能であった。また、図11に示すように、従来はカテーテルの先端にあたるプローブの作用点62が血管内壁を作るポリゴン1102やポリゴン1104との距離をもとめ、それが最小のものをもって血管内壁との距離を定めていた。しかしこの方法では、比較例1と同様に、計算量が多く滑らかなシミュレーションができなかった。
【0048】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、3次元データに基づいてポテンシャルを予め計算しておき、そのポテンシャルに基づいて対象物とプローブの距離を求めることができるので、シミュレーションにおいてリアルタイムで計算すべき演算量が削減される。全体でのマシンタイムが削減され、モデリングの自動化が容易で対象物の個性を反映したシミュレータが実用となり得る。
【0049】
また本発明によれば、境界条件を与えられた元でのポテンシャルは各種の計算手法で容易に求まるためにシミュレーションの準備段階の自動化が容易となり、シミュレーションの準備を極めて迅速に行うことができる。
【0050】
そして本発明に従って、血管のカテーテルの動作がシミュレートできる。これにより、習熟を有するカテーテル操作がシミュレートできる。また準備が容易で実用性が高いシミュレーションがおこなえるため、患者毎のモデルを使って医師が手術の検討を行ったり、事前にトレーニングしたりすることが可能となる。したがって、操作の安全性や処置の効果が事前に検討できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシミュレータにおける仮想空間の配置を示す概略図である。
【図2】本発明のシミュレータの構成を示す構成図である。
【図3】本発明のシミュレータにおいてポテンシャル近似値を求めるプローブとサンプルポテンシャル与えられる格子点と位置関係を示す説明図である。
【図4】本発明のシミュレーション方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明のシミュレーションの準備方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の、血管にカテーテルを用いる動作をシミュレートする際の概念を示す概略図である。
【図7】本発明の、血管にカテーテルを用いる動作のシミュレーションの準備方法を示すフローチャートである。
【図8】従来のポリゴンを用いたシミュレータにおける仮想空間の配置を示す概略図である。
【図9】従来のポリゴンを用いたシミュレータにおけるシミュレーションの方法を示すフローチャートである。
【図10】従来のポリゴンを用いたシミュレータにおける準備方法を示すフローチャートである。
【図11】従来の、血管にカテーテルを用いる動作を、ポリゴンを用いてシミュレーションをする際の概念を示す概念図である。
【図12】従来の、血管にカテーテルを用いる動作をポリゴンを用いてシミュレートする方法における準備方法を示すフローチャートである。
【図13】本発明および従来の、血管中をカテーテルが進行する動作のシミュレートする方法の示すフローチャートである。
【符号の説明】
12 プローブ(メス)
14 グリッド
10 対象物
20 シミュレータ
200 オペレータ
214 プローブ
202 演算装置
30 セル
60 血管
64 プローブ(カテーテル)

Claims (16)

  1. 演算手段と記憶手段とを少なくとも有するシミュレーション装置を用いた、ある対象物に対するオペレータによるプローブの操作のシミュレーション方法であって、
    第1演算手段が、前記記憶手段に格納された前記対象物の3次元空間形状データに基づいて前記対象物を再現する、3次元格子が設定された仮想空間に対して、該3次元格子の格子点におけるポテンシャル値を演算することによって、前記仮想空間の仮想的ポテンシャル場を計算する第1演算ステップと、
    前記記憶手段が、計算した該仮想的ポテンシャル場における前記ポテンシャル値をサンプルポテンシャルとして記憶する記憶ステップと、
    第2演算手段が、実空間における前記プローブの位置データを受付け、前記プローブの作用部の実空間の位置に対応する前記仮想空間内の点におけるポテンシャル近似値を、前記サンプルポテンシャルの値に基づいて求め、該求められた前記プローブの作用部のポテンシャル近似値に基づいて前記仮想空間における前記対象物と前記プローブの作用部との距離を求める第2演算ステップと、
    該距離に応じた情報を提供する情報提供ステップとを備えるシミュレーション方法。
  2. 前記第1演算手段が、前記仮想空間の対象物の表面のポテンシャルを第1の値として用い、対象物の外側にある前記仮想空間の仮想的表面におけるポテンシャルを第1の値とは異なる第2の値として用いて、前記ポテンシャル値を演算することにより、前記仮想的ポテンシャル場を計算する、請求項1に記載のシミュレーション方法。
  3. 演算手段と記憶手段とを少なくとも有するシミュレーション装置を用いた、血管に対するオペレータによるカテーテルの操作をシミュレーションするためのシミュレーション方法であって、
    前記血管内の血流の流速の3次元空間分布データを、該データに基づいて再現される仮想空間のサンプルポテンシャルとして前記記憶手段が記憶する記憶ステップであって前記仮想空間に設定された3次元格子の格子点におけるポテンシャル値は、前記データより取得される、記憶ステップと、
    前記演算手段が、実空間におけるプローブの位置データを受付け、前記プローブの作用部の実空間の位置に対応する前記仮想空間内の点におけるポテンシャル近似値を、前記ポテンシャル値に基づいて求め、該求められた前記プローブの作用部のポテンシャル近似値に基づいて、前記仮想空間における前記血管の内面として認識される対象物と該プローブの作用部との距離を求める演算ステップと、
    該距離に応じた情報を提供する情報提供ステップとを備えるシミュレーション方法。
  4. 前記演算手段が、前記仮想空間内におけるプローブの作用部の位置を囲む複数の前記サンプル値に基づく補間計算を行うことによって前記ポテンシャル近似値を求める、請求項1または3のいずれかに記載のシミュレーション方法。
  5. 前記情報提供ステップが、前記距離に応じて該プローブの作用部へのオペレータの操作力に対する反力をオペレータが持つプローブに与えるものである請求項1に記載のシミュレーション方法。
  6. 前記プローブによってシミュレートされる動作が人体の少なくとも一部に対する行為である請求項1から5のいずれかに記載のシミュレーション方法。
  7. ある対象物に対するオペレータによるプローブの操作をシミュレーションするシミュレーションプログラムであって、演算手段と記憶手段とを少なくとも有するシミュレーション装置を、
    前記記憶手段に格納された前記対象物の3次元空間形状データに基づいて前記対象物を再現する、3次元格子が設定された仮想空間に対して、該3次元格子の格子点におけるポテンシャル値を演算することによって、前記仮想空間の仮想的ポテンシャル場を計算する第1演算手段と、
    計算した該仮想的ポテンシャル場における前記ポテンシャル値をサンプルポテンシャルとして記憶する記憶手段と、
    実空間における前記プローブの位置データを受付け、前記プローブの作用部の実空間の位置に対応する前記仮想空間内の点におけるポテンシャル近似値を、前記サンプルポテンシャルの値に基づいて求め、該求められた前記プローブの作用部のポテンシャル近似値に基づいて前記仮想空間における前記対象物と前記プローブの作用部との距離を求める第2演算手段と、
    該距離に応じた情報を提供する情報提供手段して機能させるためのプログラム。
  8. 前記第1演算手段が、前記仮想空間の対象物の表面のポテンシャルを第1の値として用い、対象物の外側にある前記仮想空間の仮想的表面におけるポテンシャルを第1の値とは異なる第2の値として用いて、前記ポテンシャル値を演算することにより、前記仮想的ポテンシャル場を計算する、請求項7に記載のプログラム。
  9. 血管に対するオペレータによるカテーテルの操作をシミュレーションするためのシミュレーションプログラムであって、演算手段と記憶手段とを少なくとも有するシミュレーション装置を、
    前記血管内の血流の流速の3次元空間分布データを、該データに基づいて再現される仮想空間のサンプルポテンシャルとして記憶する記憶手段であって、前記仮想空間に設定された3次元格子の格子点におけるポテンシャル値は、前記データより取得される、記憶手段と、
    実空間におけるプローブの位置データを受付け、前記プローブの作用部の実空間の位置に対応する前記仮想空間内の点におけるポテンシャル近似値を、前記ポテンシャル値に基づいて求め、該求められた前記プローブの作用部のポテンシャル近似値に基づいて、前記仮想空間における前記血管の内面として認識される対象物と該プローブの作用部との距離を求める演算手段と、
    該距離に応じた情報を提供する情報提供手段として機能させるためのプログラム。
  10. 前記演算手段が、前記仮想空間内におけるプローブの作用部の位置を囲む複数の前記サンプル値に基づく補間計算を行うことによって、前記ポテンシャル近似値を求める、請求項7または9のいずれかに記載のプログラム。
  11. 前記プローブによってシミュレートされる動作が人体の少なくとも一部に対する行為である請求項7から10のいずれかに記載のプログラム。
  12. ある対象物に対するオペレータによるプローブの操作をシミュレーションするシミュレーション装置であって、
    記憶手段に格納された前記対象物の3次元空間形状データに基づいて前記対象物を再現する、3次元格子が設定された仮想空間に対して、該3次元格子の格子点におけるポテンシャル値を演算することによって、前記仮想空間の仮想的ポテンシャル場を計算する第1演算手段と、
    計算した該仮想的ポテンシャル場における前記ポテンシャル値をサンプルポテンシャルとして記憶する記憶手段と、
    実空間における前記プローブの位置データを受付け、前記プローブの作用部の実空間の位置に対応する前記仮想空間内の点におけるポテンシャル近似値を、前記サンプルポテンシャルの値に基づいて求め、該求められた前記プローブの作用部のポテンシャル近似値に基づいて前記仮想空間における前記対象物と前記プローブの作用部との距離を求める第2演算手段と、
    該距離に応じた情報を提供する情報提供手段とを備えてなるシミュレーション装置。
  13. 前記第1演算手段が、前記仮想空間の対象物の表面のポテンシャルを第1の値として用い、対象物の外側にある前記仮想空間の仮想的表面におけるポテンシャルを第1の値とは異なる第2の値として用いて、前記ポテンシャル値を演算することにより、前記仮想的ポテンシャル場を計算する、請求項12に記載のシミュレーション装置。
  14. 血管に対するオペレータによるカテーテルの操作をシミュレーションするためのシミュレーション装置であって、
    前記血管内の血流の流速の3次元空間分布データを、該データに基づいて再現される仮想空間のサンプルポテンシャルとして記憶する記憶手段であって、前記仮想空間に設定さ れた3次元格子の格子点におけるポテンシャル値は、前記データより取得される、記憶手段と、
    実空間におけるプローブの位置データを受付け、前記プローブの作用部の実空間の位置に対応する前記仮想空間内の点におけるポテンシャル近似値を、前記ポテンシャル値に基づいて求め、該求められた前記プローブの作用部のポテンシャル近似値に基づいて、前記仮想空間における前記血管の内面として認識される対象物と該プローブの作用部との距離を求める演算手段と、
    該距離に応じた情報を提供する情報提供手段とを備えてなるシミュレーション装置。
  15. 前記演算手段が、前記仮想空間内におけるプローブの作用部の位置を囲む複数の前記サンプル値に基づく補間計算を行うことによって前記ポテンシャル近似値を求める、請求項12または14のいずれかに記載のシミュレーション装置。
  16. 前記プローブによってシミュレートされる動作が人体の少なくとも一部に対する行為である請求項12から15のいずれかに記載のシミュレーション装置。
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