JP3845387B2 - ケーブルの張力調整装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力部材および出力部材の少なくとも一方に接続されて牽引力を伝達するケーブルの張力を調整するケーブルの張力調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両のブレーキやクラッチを作動させるケーブルの伸びを調整するケーブルの張力調整装置が、下記特許文献1〜3により公知である。特許文献1には駐車ブレーキのケーブルの途中に配置されたイコライザーに張力調整装置を設けたものが記載されており、特許文献2には駐車ブレーキのブレーキレバーに張力調整装置を設けたものが記載されており、特許文献3にはクラッチやブレーキのケーブルの途中あるいは端部に張力調整装置を設けたものが記載されている。これらの張力調整装置は何れもラチェット機構を備えており、ケーブルの張力が減少したときに、ラチェット爪およびラチェット歯の係合位置を変化させてケーブルの張力を増加させるようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特公平4−33657号公報
【特許文献2】
実公平6−2853号公報
【特許文献3】
特開2001−82438号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の張力調整装置は何れもラチェット機構を備えているため、ラチェット爪がラチェット歯を乗り越える際に打撃音が発生する問題があるだけでなく、1回の調整量がラチェット歯のピッチに制限されてしまうため、そのピッチ未満の細かい調整できなかった。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、無段階の張力調整が可能であり、しかも作動時に騒音が発生しないケーブルの張力調整装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、入力部材および出力部材の少なくとも一方に接続されて牽引力を伝達するケーブルの張力を調整するケーブルの張力調整装置において、軸線方向に移動可能に配置された入力部材と、軸線方向に移動可能かつ軸線まわりに回転可能に配置されて入力部材に第1ねじ機構を介して係合する出力伝達部材と、出力伝達部材の前進端を規制する出力部材と、軸線方向に移動可能かつ軸線まわりに回転可能に配置され、第1ねじ機構と逆ねじの第2ねじ機構を介して出力伝達部材に係合するアジャスト部材と、アジャスト部材に後向きに設けた第1クラッチ面および出力部材に前向きに設けた第2クラッチ面で構成されて該アジャスト部材の軸線まわりの回転を拘束するクラッチ機構と、出力部材に対してアジャスト部材を後退方向に付勢し、クラッチ機構の第1、第2クラッチ面が離間したときに出力伝達部材に対してアジャスト部材を相対回転させる第1付勢手段と、入力部材を出力部材に対して後方に付勢してケーブルに張力を与える第2付勢手段とを備えたことを特徴とするケーブルの張力調整装置が提案される。
【0007】
上記構成によれば、ケーブルが永久伸びした状態で、あるいはケーブルに組付時の弛みが存在する状態では出力伝達部材と出力部材との間に隙間が発生するため、入力部材を前方に牽引して該入力部材と共に出力伝達部材を前進させて前記隙間を詰めると、出力伝達部材と共にアジャスト部材が前進してクラッチ機構の第1、第2クラッチ面が離間する。その結果、第1付勢手段の付勢力で第2ねじ機構がスリップしてアジャスト部材が出力伝達部材に対して相対回転することで、アジャスト部材が後退して第1、第2クラッチ面が係合する。
【0008】
その後に入力部材の牽引を解除すると、第2付勢手段の付勢力で出力部材に対して出力伝達部材が後方に付勢されるが、出力伝達部材に第2ねじ機構を介して係合するアジャスト部材は第1、第2クラッチ面が係合して出力部材に回転不能に拘束されているため、第2ねじ機構がスリップして出力伝達部材がアジャスト部材に対して相対回転する。すると出力伝達部材に第1ねじ機構を介して係合する入力部材が後退してケーブルの張力を増加させるが、これと同時に出力伝達部材が第2ねじ機構を介してアジャスト部材に対して後退するため、出力伝達部材に対する入力部材の後退量、即ちケーブルの永久伸び(あるいは初期弛み)の調整量は、第2付勢手段による出力伝達部材の後退量(ケーブルの永久伸び量)の全量ではなく、その一部だけに制限される。以上の過程により、入力部材が出力伝達部材に対してケーブルの永久伸び量の一部だけ後退し、これを繰り返すことによりケーブルの永久伸び量の全量が調整される。
【0009】
このように、入力部材を一旦牽引して解放した際に第2付勢手段の付勢力で出力伝達部材が後退すると、第2ねじ機構により回転する出力伝達部材に対して入力部材が後退することでケーブルの永久伸び量が調整されるが、その調整量はケーブルの永久伸び量の一部だけであり、これを繰り返すことで最終的にケーブルの永久伸び量の全量を調整するので、入力部材に大きな負荷を加えたときにケーブルの永久伸び量の全量を超える過剰な調整が行われるのを防止することができる。
【0010】
またラチェット機構を用いずに第1、第2ねじ機構の回転で調整を行うので、ラチェット機構に特有の打撃音が発生せずに静粛な作動が可能となるだけでなく、ラチェット機構に特有のステップ状の調整ではなく連続的な調整が可能になる。しかもケーブルの永久伸び量が大きいときには1回の調整量も大きくなるので、比較的に少ない作動回数でケーブルの永久伸び量の全量を調整することができる。
【0011】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、第2ねじ機構が矩形状のねじ山およびねじ溝を有することを特徴とするケーブルの張力調整装置が提案される。
【0012】
上記構成によれば、第2ねじ機構が矩形状のねじ山およびねじ溝を有するので、第2ねじ機構の摺動摩擦抵抗を減少させてスムーズな作動を可能にすることができる。
【0013】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、第2ねじ機構が合成樹脂製あるいはアルミニウム製であることを特徴とするケーブルの張力調整装置が提案される。
【0014】
上記構成によれば、第2ねじ機構が合成樹脂製あるいはアルミニウム製であるので、矩形状のねじ山およびねじ溝を金型成形で容易に製造することができる。
【0015】
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、ケーブルにより駐車ブレーキを作動させることを特徴とするケーブルの張力調整装置。
【0016】
上記構成によれば、ケーブルの永久伸びや組付時の弛みを調整することで駐車ブレーキを確実に作動させることができる。
【0017】
尚、実施例の支点ピン13および円筒部材14は本発明の出力部材に対応し、実施例のコイルスプリング19は本発明の第1付勢手段に対応し、実施例のコイルスプリング21は本発明の第2付勢手段に対応する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0019】
図1〜図6は本発明の一実施例を示すもので、図1は駐車ブレーキ装置の全体図、図2は図1の2方向拡大斜視図、図3は図2の3−3線拡大断面図、図4は入力部材の牽引開始時の作用説明図、図5は入力部材の牽引中の作用説明図、図6は入力部材の牽引解除時の作用説明図である。
【0020】
図1に示すように、エンジンの駆動力が自動変速機を介して伝達される左右の後輪Wr,Wrにドラム式の駐車ブレーキ1,1が設けられており、運転席の横に配置された電動駐車ブレーキ装置2が左右のケーブル3,3を介して前記駐車ブレーキ1,1に接続される。各々の駐車ブレーキ1はブレーキドラム4と、ブレーキドラム4の内周面に接触可能な一対のブレーキシュー5,6と、両ブレーキシュー5,6を連結する連結ロッド7と、一方のブレーキシュー5にピン8を介して一端を回転自在に支持されたレバー9とを備えており、レバー9の他端に前記ケーブル3が接続される。
【0021】
従って、電動駐車ブレーキ装置2に設けた電動モータ10でケーブル3を牽引すると、レバー9がピン8まわりに図中時計方向に回転して連結ロッド7に圧縮荷重が作用し、その荷重で他方のブレーキシュー6が図中左方向に押されてブレーキドラム4に押し付けられ、かつ連結ロッド7およびピン8を介して一方のブレーキシュー5が図中右方向に押されてブレーキドラム4に押し付けられ、駐車ブレーキ1が制動力を発生する。逆に、電動モータ10でケーブル3を緩めると、図示せぬリターンスプリングの弾発力でブレーキシュー5,6がブレーキドラム4から離反して駐車ブレーキ1の制動力が解除される。
【0022】
電動駐車ブレーキ装置2には、2本のケーブル3,3の張力を均一化するためのイコライザーEが設けられる。
【0023】
次に、図2および図3に基づいてイコライザーEの構造を説明する。尚、図3において、左側を前方と定義し、右側を後方と定義する。
【0024】
イコライザーEは金属板を折り曲げて形成したハウジング11を備えており、ハウジング11の左右両端に固定ピン12,12を介して固定された2本のケーブル3,3が左右の駐車ブレーキ1,1に接続される。ハウジング11の中央に支点ピン13を介して円筒部材14の前端が左右揺動自在に支持される。支点ピン13の貫通孔13aを緩く貫通するボルト状のロッドよりなる入力部材15は、その前端が電動駐車ブレーキ装置2に設けた電動モータ10(図1参照)に接続されて前方に牽引される。
【0025】
入力部材15の外周に形成された雄ねじに、円筒状の出力伝達部材16の内周に形成された雌ねじが噛み合っており、これらの雄ねじおよび雌ねじは第1ねじ機構S1を構成する。第1ねじ機構S1は、概略三角形のねじ山およびねじ溝を有する一条右ねじである。出力伝達部材16の外周に形成された雄ねじと、円筒状のアジャスト部材17の内周に形成された雌ねじとが噛み合っており、これらの雄ねじおよび雌ねじは第2ねじ機構S2を構成する。第2ねじ機構S2は、矩形状のねじ山およびねじ溝を有する多条(実施例では3条)左ねじである。つまり、第1ねじ機構S1および第2ねじ機構S2は、そのねじ山およびねじ溝の旋回方向が逆になっている。
【0026】
アジャスト部材17は円筒部材14の内部に緩く嵌合しており、アジャスト部材17に後向きに形成した第1クラッチ面17aと円筒部材14に前向きに形成した第2クラッチ面14aとがクラッチ機構18を構成する。第1、第2クラッチ面17a,14aは、入力部材15の軸線Lに対してコーン状に傾斜しており、これによりクラッチ機構18の係合力が高められる。クラッチ機構18を係合方向に付勢すべく、支点ピン13の座面13bとアジャスト部材17の前端との間にコイルスプリング19およびボールベアリング20が配置される。また出力伝達部材16の後部に形成したフランジ16aと円筒部材14との間にコイルスプリング21およびボールベアリング22が配置される。
【0027】
本実施例では、入力部材15は鉄製であり、出力伝達部材部材16はアルミニウム製であり、アジャスト部材17および円筒部材14は合成樹脂製である。出力伝達部材16およびアジャスト部材17をアルミニウム製および合成樹脂製とすることで、第2ねじ機構S2の矩形状のねじ山およびねじ溝を容易に金型成形することができる。仮に、出力伝達部材部材16およびアジャスト部材17を鉄製とすると、鉄の溶融温度の関係で金型成形することができず、また切削で矩形状のねじ山およびねじ溝を製造しようとすると非常にコストが嵩んでしまう。
【0028】
次に、上記構成を備えたイコライザーEの作用を説明する。
【0029】
イコライザーEを組み付けた直後の状態、あるいはケーブル3,3に永久伸びが発生した状態では、図3に示すように、出力伝達部材16の前端と支点ピン13の座面13bとの間に隙間αが存在する。この状態から電動駐車ブレーキ装置2を作動させて入力部材15を前方に牽引すると、入力部材15に第1ねじ機構S1を介して連結された出力伝達部材16がコイルスプリング21を圧縮しながら前記隙間αを詰め、出力伝達部材16の前端が支点ピン13の座面13bに当接する。その結果、入力部材15の牽引力は、出力伝達部材16、支点ピン13およびハウジング11を介してケーブル3,3に伝達され、駐車ブレーキ1,1を作動させる。その際に、ハウジング11が支点ピン13まわりに自由に揺動することで、左右のケーブル3,3の張力を均一化して駐車ブレーキ1,1に均一な制動力を発生させることができる。
【0030】
上述したように、前進する出力伝達部材16がコイルスプリング21を圧縮しながら前記隙間αを詰めると、図4に示すように、出力伝達部材16と共に前進するアジャスト部材17の第1クラッチ面17aと、円筒部材14の第2クラッチ面14aとが隙間αだけ離間してクラッチ機構18が係合解除される。すると、コイルスプリング19の弾発力で第2ねじ機構S2がスリップすることで、図5に示すように、アジャスト部材17が出力伝達部材16に対して矢印R1方向に回転しながら後退し、クラッチ機構18が再び係合する。
【0031】
このとき、第2ねじ機構S2が摺動摩擦抵抗の小さい矩形状のねじ山およびねじ溝を有しているので、第2ねじ機構S2を容易にスリップさせてアジャスト部材17および出力伝達部材16をスムーズに相対回転させることができる。
【0032】
駐車ブレーキ1,1の制動力を解除すべく入力部材15の前方への牽引力を解除すると、図6に示すように、コイルスプリング21の弾発力で出力伝達部材16が後退するが、クラッチ機構18が係合してアジャスト部材17が円筒部材14に移動不能かつ回転不能に拘束されているため、第2ねじ機構S2がスリップして出力伝達部材16が回転する。その結果、出力伝達部材16および入力部材15が第1ねじ機構S1において相対回転し、出力伝達部材16に対して入力部材15が後退し、ケーブル3,3の永久伸びを補償する調整が行われる。しかしながら、これと同時にアジャスト部材17および出力伝達部材16が第2ねじ機構S2において相対回転することで、アジャスト部材17に対して出力伝達部材16が後退する。
【0033】
この出力伝達部材16の後退は、上述した入力部材15の後退によるケーブル3,3の永久伸びの補償機能を一部キャンセルするように作用するため、結果としてケーブル3,3の永久伸び量の一部だけが調整される。このように、入力部材15の牽引および解放を繰り返す度に、ケーブル3,3の永久伸び量が一部ずつ調整され、最終的にケーブル3,3の永久伸びの全量が調整されるので、入力部材15が強い荷重で牽引された場合でも、ケーブル3,3の永久伸びの過剰な調整(オーバーアジャスト)が行われるのを防止することができる。
【0034】
以下、上記作用を定量的に説明する。
【0035】
入力部材15の1回の牽引解除で該入力部材15が出力伝達部材16に対して後退する距離をLupとし、入力部材15の1回の牽引解除で出力伝達部材16がアジャスト部材17に対して後退する距離をLdnとすると、本来必要とされる調整量α(つまり前記隙間αに対応するケーブル3,3の永久伸び量)は、
α=Lup+Ldn
で表される。
【0036】
ここで、出力伝達部材16の回転数をnとし、第1ねじ機構S1のピッチをP1とし、第2ねじ機構S2のピッチをP2、条数をNとすると、
Lup=nP1
Ldn=nNP2
で表される。
【0037】
従って、入力部材15の1回の牽引解除で調整される量の、本来必要とされる調整量Lに対する比率Rは、
で表される。
【0038】
上式から明らかなように、前記比率Rは、1条ねじである第1ねじ機構S1のピッチP1が大きいほど、また多条ねじである第2ねじ機構S2のピッチP2および条数Nが小さいほど大きくなる。逆に、前記比率Rは、1条ねじである第1ねじ機構S1のピッチP1が小さいほど、また多条ねじである第2ねじ機構S2のピッチP2および条数Nが大きいほど小さくなる。
【0039】
以上のように、入力部材15を一旦牽引した後に解放すると、コイルスプリング21の付勢力で出力伝達部材16が後退し、第2ねじ機構S2により回転する出力伝達部材16に対して入力部材15が後退することでケーブル3,3の永久伸び量が調整される。このときの調整量はケーブル3,3の永久伸び量の一部だけであり、これを繰り返すことで最終的にケーブル3,3の永久伸び量の全量を調整するので、入力部材15に大きな負荷を加えたときにケーブル3,3の永久伸び量の全量を超える過剰な調整が行われるのを防止し、従来必要であったオーバーアジャスト防止機構を廃止して構造の簡素化によるコストダウンを図ることができる。
【0040】
またラチェット機構を用いずに第1、第2ねじ機構S1,S2の回転で調整を行うので、ラチェット機構に特有の打撃音の発生を回避することができ、しかもラチェット機構に特有のステップ状の調整を回避して連続的な調整が可能になる。またケーブル3,3の永久伸び量が大きいときには1回の調整量も大きくなるので、比較的に少ない作動回数でケーブル3,3の永久伸び量の全量を調整することができる。
【0041】
このように、イコライザーEに設けた張力調整装置でケーブル3,3の張力を常に最適の大きさに調整するので、駐車ブレーキ1,1の作動を確実なものにすることができる。
【0042】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0043】
例えば、実施例では第1ねじ機構S1を右ねじとし、第2ねじ機構S2を左ねじとしているが、それを逆にして第1ねじ機構S1を左ねじとし、第2ねじ機構S2を右ねじとしても良い。
【0044】
また請求項1〜請求項3の発明は、電動駐車ブレーキ装置2以外の任意の用途のケーブルに対して適用することができる。
【0045】
また実施例では張力調整装置をイコライザーEに設けているが、それをイコライザー以外の部位に設けることができる。
【0046】
また実施例では張力調整装置をケーブル3の前端部に設けているため、そのケーブル3の前端部は出力部材に接続されている。張力調整装置をケーブル3の後端部に設けた場合には、そのケーブル3の後端部は入力部材に接続されることになる。また張力調整装置をケーブル3の中間部に設けることができる。この場合には、前側のケーブル3の後端部が入力部材に接続され、後側のケーブル3の前端部が出力部材に接続されることになる。
【0047】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、入力部材を一旦牽引して解放した際に第2付勢手段の付勢力で出力伝達部材が後退すると、第2ねじ機構により回転する出力伝達部材に対して入力部材が後退することでケーブルの永久伸び量が調整されるが、その調整量はケーブルの永久伸び量の一部だけであり、これを繰り返すことで最終的にケーブルの永久伸び量の全量を調整するので、入力部材に大きな負荷を加えたときにケーブルの永久伸び量の全量を超える過剰な調整が行われるのを防止することができる。
【0048】
またラチェット機構を用いずに第1、第2ねじ機構の回転で調整を行うので、ラチェット機構に特有の打撃音が発生せずに静粛な作動が可能となるだけでなく、ラチェット機構に特有のステップ状の調整ではなく連続的な調整が可能になる。しかもケーブルの永久伸び量が大きいときには1回の調整量も大きくなるので、比較的に少ない作動回数でケーブルの永久伸び量の全量を調整することができる。
【0049】
また請求項2に記載された発明によれば、第2ねじ機構が矩形状のねじ山およびねじ溝を有するので、第2ねじ機構の摺動摩擦抵抗を減少させてスムーズな作動を可能にすることができる。
【0050】
また請求項3に記載された発明によれば、第2ねじ機構が合成樹脂製あるいはアルミニウム製であるので、矩形状のねじ山およびねじ溝を金型成形で容易に製造することができる。
【0051】
また請求項4に記載された発明によれば、ケーブルの永久伸びや組付時の弛みを調整することで駐車ブレーキを確実に作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】駐車ブレーキ装置の全体図
【図2】図1の2方向拡大斜視図
【図3】図2の3−3線拡大断面図
【図4】入力部材の牽引開始時の作用説明図
【図5】入力部材の牽引中の作用説明図
【図6】入力部材の牽引解除時の作用説明図
【符号の説明】
1 駐車ブレーキ
3 ケーブル
13 支点ピン(出力部材)
14 円筒部材(出力部材)
14a 第2クラッチ面
15 入力部材
16 出力伝達部材
17 アジャスト部材
17a 第1クラッチ面
18 クラッチ機構
19 コイルスプリング(第1付勢手段)
21 コイルスプリング(第2付勢手段)
L 軸線
S1 第1ねじ機構
S2 第2ねじ機構
Claims (4)
- 入力部材(15)および出力部材(13,14)の少なくとも一方に接続されて牽引力を伝達するケーブル(3)の張力を調整するケーブルの張力調整装置において、
軸線(L)方向に移動可能に配置された入力部材(15)と、
軸線(L)方向に移動可能かつ軸線(L)まわりに回転可能に配置されて入力部材(15)に第1ねじ機構(S1)を介して係合する出力伝達部材(16)と、
出力伝達部材(16)の前進端を規制する出力部材(13)と、
軸線(L)方向に移動可能かつ軸線(L)まわりに回転可能に配置され、第1ねじ機構(S1)と逆ねじの第2ねじ機構(S2)を介して出力伝達部材(16)に係合するアジャスト部材(17)と、
アジャスト部材(17)に後向きに設けた第1クラッチ面(17a)および出力部材(14)に前向きに設けた第2クラッチ面(14a)で構成されて該アジャスト部材(17)の軸線(L)まわりの回転を拘束するクラッチ機構(18)と、
出力部材(13)に対してアジャスト部材(17)を後退方向に付勢し、クラッチ機構(18)の第1、第2クラッチ面(17a,14a)が離間したときに出力伝達部材(16)に対してアジャスト部材(17)を相対回転させる第1付勢手段(19)と、
入力部材(15)を出力部材(14)に対して後方に付勢してケーブル(3)に張力を与える第2付勢手段(21)と、
を備えたことを特徴とするケーブルの張力調整装置。 - 第2ねじ機構(S2)が矩形状のねじ山およびねじ溝を有することを特徴とする、請求項1に記載のケーブルの張力調整装置。
- 第2ねじ機構(S2)が合成樹脂製あるいはアルミニウム製であることを特徴とする、請求項2に記載のケーブルの張力調整装置。
- ケーブル(3)により駐車ブレーキ(1)を作動させることを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のケーブルの張力調整装置。
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