JP3842621B2 - 疲労寿命評価システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械のフロント構造物等における疲労推定寿命を算出する疲労寿命評価システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、有限要素法(以下、FEM)による応力解析が広く行われている。このFEM解析結果を用いて疲労寿命を推定する場合には、予め部材の疲労試験データ(S−N線図)を入手し、このS−N線図に応力解析値を代入して寿命を推定する。その際、FEM解析結果を溶接形状等に応じて変化する応力集中率(切り欠き係数)で補正すれば、溶接条件を考慮して寿命を推定することができる。このようして疲労寿命を推定するようにした装置は、例えば特開平6−331506号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報記載の装置では、応力集中率等は解析者自身が設定する。しかしながら、溶接形状は多種多様であり、その溶接形状に応じた応力集中率を解析者自身が設定するのは煩雑であり、目標寿命を満足する溶接条件の選定が困難である。
【0004】
本発明の目的は、溶接形状等の形状設計を容易かつ最適に行うことができる疲労寿命評価システムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1の発明による疲労寿命評価システムは、構造物のシェルモデルを用いて有限要素法により構造物の各部の応力を演算する解析手段と、構造物の応力集中部における各種局所形状をパラメータとし、この各局所形状に応じてそれぞれ設定された複数の応力集中率と構造物の疲労寿命評価線図をそれぞれ予め記憶する記憶手段と、解析手段で演算された応力と記憶手段に記憶された応力集中率および疲労寿命評価線図に基づいて、応力集中部の各局所形状についての疲労寿命をそれぞれ自動的に算出し評価する寿命評価手段とを備えることにより上述した目的を達成する。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の疲労寿命評価システムにおいて、疲労寿命評価線図が、ピーク応力と疲労寿命との関係を示す、構造物に固有の単一の線図であり、寿命評価手段が、解析手段で演算された応力を記憶手段に記憶された応力集中率で補正し、補正後の応力を疲労寿命評価線図に適用して、応力集中部の各局所形状に応じた疲労寿命をそれぞれ算出するものである。
(3)請求項3の発明は、請求項1または2に記載の疲労寿命評価システムにおいて、応力集中部が溶接継手部であり、応力集中率を溶接条件に応じて設定するものである。
(4)請求項4の発明は、請求項3に記載の疲労寿命評価システムにおいて、溶接継手部の継手形式を自動的に判別する判別手段を備え、記憶手段が、継手形式に応じた局所形状の組合せを記憶し、寿命評価手段が、判別手段で判別された継手形式とこの継手形式に応じた局所形状の組合せに応じて疲労寿命を評価するものである。
(5)請求項5の発明は、請求項4に記載の疲労寿命評価システムにおいて、判別手段でT継手と判別されると、さらにその表裏を判別し、寿命評価手段が、溶接継手部における要素の溶接ビード側面のみについて疲労寿命を評価するものである。
(6)請求項6の発明は、請求項3〜5のいずれか1項に記載の疲労寿命評価システムにおいて、解析手段で演算された溶接継手部における応力を、溶接線と平行方向および直交方向にそれぞれ補正する補正手段を備、寿命評価手段が、補正手段により補正された応力を、記憶手段に記憶された溶接線の平行方向および直交方向の応力集中率でそれぞれ補正するものである。
(7)請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の疲労寿命評価システムにおいて、応力集中部における要素応力のみを出力する出力手段を備えるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図19を参照して本発明による疲労寿命評価システムの実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係わる疲労寿命評価システムのハード構成を示すブロック図であり、図19はこのシステムにより寿命推定される油圧ショベルの斜視図である。図19に示すように、油圧ショベルは、走行体1と、走行体1上に旋回可能に搭載された旋回体2と、旋回体2に回動可能に取り付けられたブーム3A、アーム3B、バケット3Cからなるフロント構造物3とを有する。ブーム3Aはブームシリンダ3aの伸縮により回動し、アーム3Bはアームシリンダ3bの伸縮により回動し、バケット3Cはバケットシリンダ3cの伸縮により回動する。フロント構造物3は、複数の板部材の溶接構造により形成される。このような溶接構造では、溶接継手部とくにビード止端部と、板部材の端部(自由端または板コバと呼ぶ)の応力集中率が高くなって高応力が発生しやすい。そこで、以下では、フロント構造物3のビード止端部近傍および自由端近傍の疲労寿命を推定する。
【0007】
図1に示すように、疲労寿命評価システムは、ハードディスク等の記憶装置10と、キーボード等の入力装置20と、CPU,ROM,RAMなどからなる演算装置30と、モニタやプロッタ等の出力装置40とを有する。記憶装置10には、フロント構造物3のCADデータと、メッシュ作成プログラムや有限要素法(以下、FEM)解析プログラム等の各種プログラムと、疲労寿命推定に係わる各種疲労データが記憶されている。
【0008】
CADデータとしては、後述する図11のフロント姿勢にそれぞれ対応したものが記憶されている。疲労データとしては、ビード止端部の応力集中率(切り欠き係数)、溶接継手の疲労寿命推定線図(S−N線図)、実機相当の疲労寿命推定線図(S−N線図)が記憶されている。切り欠き係数は、図2(a)に示す隅肉溶接および図2(b)に示す突き合わせ溶接に対応し、継手形式毎に溶接線に平行な方向の応力成分σxおよび垂直な方向の応力成分σyに対する値がそれぞれ図3(具体的数値は省略)に示すように設定される。なお、図3では板コバに対応する切り欠き係数も併せて設定される。これらの切り欠き係数は予め実験等により求められる。
【0009】
図3において、切り欠き係数は、継手形式と応力成分σx,σyだけでなく、破壊部位(図2のI,II)と溶接仕上げ処理に応じて設定されている。ここで、溶接仕上げ処理の組合せは継手形式に応じて異なり、その組合せは次のとおりである。なお、継ぎ手形式は、図4に示すように(a)突き合わせ継手、(b)T継手、(c)十字継手に分類される。
▲1▼T継手,十字継手:溶接なし、溶接のまま、化粧ビード盛り、G仕上げ
▲2▼突き合わせ継手:溶接のまま、バッキング、化粧ビード盛り、G仕上げ
▲3▼自由端:母材のまま、板コバG仕上げ
【0010】
本実施の形態では、後述するように継手形式を特定し、この継手形式に応じた上記▲1▼〜▲3▼の仕上げ処理をそれぞれ行った場合の疲労寿命を推定する。これにより目標寿命を満足する溶接仕上げ処理を求めることができる。なお、さらに板厚をパラメータとして切り欠き係数を設定してもよい。隅肉溶接を対象とした場合の一例(具体的数値は省略)を図5に示す。
【0011】
溶接継手のS−N線図は、図6に示すように応力振幅Δσとその応力振幅Δσの下で破断までの繰り返し数との関係を示すものである。このS−N線図は予め各種溶接構造を有するテストピースを用い、実験により求められる。この場合のテストピースの断面形状(ビード形状)の一例を図7(a)〜(g)に示す。図7(a)〜(g)によりビード止端部の曲率半径を求め、これを所定の計算式にあてはめてビード止端部の切り欠き係数を算出する。図6の応力振幅Δσ(等価応力範囲)は実測した公称応力にこの切り欠き係数を乗じたものであり、溶接止端部のピーク応力範囲を表す。これにより、S−N線図は溶接継手形状に拘わらず1本の線で表せる。
【0012】
実機相当のS−N線図は以下のように算出する。まず、予め実機のフロント構造物を所定時間(例えば1時間)稼働し、フロント各部の応力変動を計測する。その応力計測値をレインフロー頻度処理した例を図8に示す。次いで、この図8と図6のS−N線図から修正マイナー則を用い、実機相当の応力変動下でのS−N線図を求める。このS−N線図の一例を図9に示す。図9において縦軸はピーク応力範囲である。
【0013】
次に、本実施の形態に係わる疲労寿命評価システムによる疲労寿命の推定手順について説明する。
図10は、本実施の形態に係わる疲労寿命評価システムによる寿命推定手順を示す図である。なお、図10のステップS3〜ステップS7の処理は、主に演算装置30で行われる。まず、ステップS1で、実稼働状況下において溶接継手部に最大応力、最小応力を発生させるようなFEM解析条件を設定する。すなわち、溶接継手部に作用する応力はフロント構造物3の姿勢変化に伴い変化するため、ステップS1では、最大応力および最小応力を発生させるようなフロント姿勢を予めはり計算等により求める。その結果の一例を図11に示す。
【0014】
図11(a)〜(d)はブーム3Aの応力解析を行うフロント姿勢、図11(e)〜(k)はアーム3Bの応力解析を行うフロント姿勢である。荷重条件として、図11(a)〜(c)、(e)〜(j)では、バケット3Cの右、左、中央にそれぞれ垂直方向の負荷を作用させる。すなわち、これらの姿勢ではそれぞれ3通りの荷重条件について応力解析を行う。一方、図11(d),(k)は旋回横当を想定した姿勢であり、この姿勢ではバケット3Cにそれぞれ水平方向の負荷を作用させる。これらの荷重条件や境界条件は入力装置20からキー入力され、記憶装置10に記憶される。
【0015】
ステップS2では、図11のフロント構造物3を板厚中心の面状のブロックにモデル化し、ブロックデータを作成する。これは、予め記憶装置10に記憶されたフロント構造物3のCADデータを用い、入力装置20からのキー入力によって行われる。ブロックモデルの一例(ブーム3Aのみ)を図12に示す。この場合、ブロックとブロックの交差部でブロックを分割するか否かは自由であり、分割するときの交差線(エッジ線)は外形線Gとなり(図13(b),(d),(f)参照)、分割しないときのエッジ線は補助線Hとなる(図13(a),(c),(e)参照)。各ブロックは外形線により形成され、ブロックデータは外形線を構成する点データと補助線を構成する点データ、およびエッジ線を形成するデータにより構成される。このようにして作成されたブロックデータは記憶装置10に記憶される。
【0016】
次いで、ステップS3で、記憶装置10に記憶されたブロックデータを読み込み、演算装置30内でメッシュ作成プログラムを実行する。これにより、各ブロックモデルがメッシュ分割され、図11のフロント姿勢に対応したメッシュデータがそれぞれ作成される。なお、図12にはブーム3Aのメッシュモデルの一例を併せて示す。メッシュデータは節点および要素データからなり、これらは記憶装置10に記憶される。
【0017】
次に、ステップS4で、以下のようにしてブロックデータから溶接継手形式を特定する。図13は図4の溶接継手をブロックモデルで示したものである。図13において、(a)と(b)、(c)と(d)、(e)と(f)はそれぞれ継手形式は等しいが、ブロックモデルは異なっている。すなわち、図13(a)では2つのブロックB1,B2が補助線Hで交差しているのに対し、図13(b)では4つのブロックB1,B2,B3,B4が外形線Gで交差している。図13(c)ではブロックB2の外形線とブロックB1の補助線Hが交差しているのに対し、図13(d)では3つのブロックB1,B2,B3が外形線Gで交差している。図13(e)ではエッジ線が補助線Hであるのに対し、図13(f)では外形線Gとなっている。
【0018】
これらブロックモデルの違いを考慮し、次のように継手形式を特定する。
▲1▼特定の外形線Gまたは補助線Hを点番号で定義し、この点番号を含む線分データをブロックデータからサーチする。
▲2▼サーチされた線分データが外形線Gである場合は+1をカウントし、補助線Hである場合は+2をカウントする。
▲3▼カウント値の合計が2の場合は突き合わせ継手、3の場合はT継手、4以上の場合は十字継手、1の場合は自由端とする。
これを図13にあてはめると、図13(a),(b)ではそれぞれ4がカウントされ、(c),(d)ではそれぞれ3がカウントされ、(e),(f)ではそれぞれ2がカウントされる。これにより、エッジ線が外形線Gか補助線Hかに拘わらず、ブロックデータから継手形式を特定することができる。
【0019】
寿命推定を行う要素は、応力集中部、すなわち溶接部と自由端における要素である。ステップS5では、メッシュデータからこれらの要素データを抽出し、さらにT継手においては要素の表裏の判定を行う。これは、図4に示すようにT継手ではブロックB1の片面にのみビードが盛られるので、片面(ビード側)の応力解析値のみを用いてビード止端部の疲労寿命を推定するためである。これらのデータも記憶装置10に記憶される。
【0020】
要素の表裏の判定は次のように行う。
(1)図14に示すようにブロックB1,B2,3のエッジ線(例えば外線G)上に位置する隣り合う2個の節点をn1,n2とする。T継手ではこの節点n1,n2を含む要素は図示のように3個存在する。
(2)この3個の要素E1,E2,E3のうち、n1以外でn2と隣り合う節点をそれぞれ節点n3,n4,n5とする。
(3)各要素E1,E2,E3に直交する軸(直交軸)の向きを比較する。この場合、各要素E1,E2,E3の節点番号並びが時計回りか反時計回りかにより直交軸の向きを決定し、各要素E1,E2,E3の直交軸の方向がほぼ一致もしくは180゜異なる2つを選択する。
(4)選択されない要素(図ではE3)により、図15に示すようにローカル座標を定める。この場合、エッジ線Gから接点n4への方向をz軸とする。
(5)z軸と平行な要素、すなわちブロックB3内の要素については、表裏の応力値を用いて後述する寿命計算を行う。
(6)残りのブロックB1,B2については、そのブロック内の各要素E1,E2の直交軸の方向がローカル座標のz軸方向と一致するか否かを判定し、一致するときは表面の応力を、逆向きのときは裏面の応力を用いて寿命を算出する。
【0021】
以上の処理が終了すると、ステップS6に進み、記憶装置10に記憶されたメッシュデータを読み込み、演算装置30内でFEM解析プログラムを実行する。この場合、ステップS1で入力した荷重条件を読み込み、荷重条件毎に応力計算を行う。これにより、各要素毎にフロント姿勢、荷重条件に応じた応力(主応力σ1,σ2)がそれぞれ算出される。なお、ここで算出する応力は要素重心における応力である。
【0022】
ステップS6で算出する応力は全体座標系を基準とした応力であり、ステップS7では、この応力解析値σ1,σ2をエッジ線方向の応力σxおよびエッジ線と直交方向の応力σyに補正する。補正を要する応力は、ステップS5で抽出した要素の応力であり、図16に示すように応力解析値σ1とエッジ線GまたはHとのなす角をθとすると、補正後の主応力σx,σyはそれぞれ次式(I),(II)のようになる。
σx=(1/2)×(σ1+σ2)+(1/2)×(σ1−σ2)×cos(2θ) (I)
σy=(1/2)×(σ1+σ2)+(1/2)×(σ1−σ2)×cos(2(90-θ)) (II)
これにより主応力σx,σyは図のS−N線図の応力値に良好に対応することとなり、寿命推定を精度よく行うことができる。
【0023】
このようにしてフロント姿勢、荷重条件に応じた補正後の主応力σx,σyが求まると、要素毎にその最大主応力σmaxと最小主応力σminを抽出し、応力振幅Δσ(=σmax−σmin)の絶対値を求める。このようにして求めた応力振幅Δσは記憶装置に記憶され、例えば図17に示すように出力装置40からプロット出力される。すなわち、図17では、応力集中部における応力分布のみを出力する。
【0024】
ステップS8では、ステップS7で求めた応力振幅Δσに予め記憶装置10に記憶された切欠き係数を乗じ、各溶接形状に対応したビード止端部のピーク応力をそれぞれ算出する。そして、この算出値を図9に示したS−N線図にあてはめ、疲労推定寿命を求める。この疲労推定寿命は記憶装置10に記憶されるとともに、出力装置40から出力される。
【0025】
疲労推定寿命の算出結果の一例を図18に示す。図18において、要素番号はステップS5で抽出したものであり、荷重条件1〜3はステップS1で設定したものである。応力成分σx,σyはステップS7で補正した応力であり、各応力値のうち上段は要素表面の応力、下段は要素裏面の応力である。全振幅応力Δσのうち、上段は要素表面の溶接線に平行および直交する応力成分σx,σyの最大値と最小値の差、下段は要素裏面の溶接線に平行および直交する応力成分σx,σyの最大値と最小値の差である。距離xはエッジ線GまたはHの始点から要素重心までの距離、距離yはエッジ線GまたはHから要素重心までの距離である。推定寿命値はA:溶接なし、B:溶接のまま、C:化粧ビード盛り、D:G仕上げの溶接形状に対応しており、それぞれ上段は要素表面の応力に基づいて求めた寿命、下段は要素裏面の応力に基づいて求めた寿命である。なお、推定寿命値が所定時間(例えば20000時間)以上の場合は寿命推定値を記号(−)で示す。
【0026】
このように本実施の形態では、フロント構造物3のビード止端部の仕上げ処理に応じた切り欠き係数(図3,5)と部材のS−N線図(図,9)を予め記憶装置10に記憶し、FEMによる応力解析値に切り欠き係数を乗じて溶接形状に対応したビード止端部のピーク応力を算出し、このピーク応力をS−N線図に適用して疲労寿命を推定するようにした。これにより目標疲労寿命を満足する溶接条件の選定が可能となり、溶接形状等の設計を容易かつ最適に行うことができる。
【0027】
また、継手形式を考慮して溶接形状の組合せを設定するとともに、フロント構造物3のブロックデータに基づいて溶接継手部の継手形式を判定するようにしたので(ステップS4)、無益な寿命計算を省略し、寿命計算を効率的に行うことができる。さらに、T継手においてはビード側の要素面を判定し(ステップS5)、ビード側の要素応力を用いて寿命計算するようにしたので、寿命計算を一層効率的に行うことができる。さらにまた、FEMによる応力解析値σ1,σ2を溶接線と平行方向および直交方向の応力σx,σyに変換するようにしたので(ステップS7)、補正応力σx,σyはS−N線図(図)の応力に良好に対応しており、疲労推定寿命の精度が向上する。
【0028】
なお、目標疲労寿命(例えば20000時間)をキー入力し、この目標疲労寿命に対する許容応力を図9のS−N線図から求め、この許容応力とビード止端部のピーク応力とを比較して許容応力以内か否かを判定するようにしてもよい。また、溶接条件をパラメータとして応力集中率を設定する代わりに、シェルモデルで表せない局所形状(例えば面取り量や隅Rの値)をパラメータとして応力集中率を設定してもよい。これにより溶接構造物以外であっても適用可能である。さらに、上記実施の形態では、疲労推定寿命のために実機相当のS−N線図(図9)を用いるようにしたが、変動応力下でなければ図のS−N線図をそのまま用いてもよい。さらにまた、エッジ線G,Hに隣接する要素について寿命を算出するようにしたが、ビード長さを考慮し、ビード止端部に位置する要素について寿命を算出するようにしてもよい。
【0029】
以上の実施の形態と請求項との対応において、記憶装置10が記憶手段を、演算装置30と出力装置40が出力手段をそれぞれ構成する。また、演算装置30が解析手段、寿命評価手段、判別手段、補正手段をそれぞれ構成する。とくに、図10のステップS6が解析手段に、ステップS4が判別手段に、ステップS7が補正手段にそれぞれ対応する。
【0030】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、構造物の応力集中部における局所形状をパラメータとして、この各局所形状に応じて設定された応力集中率と構造物の疲労寿命評価線図を予め記憶し、この応力集中率と疲労寿命評価線図、および有限要素法による応力解析値に基づいて各局所形状に対応した疲労寿命を評価するようにした。これにより、目標疲労寿命を満足する溶接形状等の選定が可能となり、溶接形状等の設計を容易かつ最適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる疲労寿命評価システムの構成を示すブロック図。
【図2】溶接継手の継手形式を示す斜視図であり、併せて応力方向を示す図。
【図3】ビード止端部の切り欠き係数の設定の一例を示す図。
【図4】溶接継手の継手形式を示す正面図。
【図5】切り欠き係数の設定の他の例を示す図。
【図6】溶接継手のS−N線図。
【図7】溶接部の断面形状の一例を示す図。
【図8】応力計測値をレインフロー頻度処理した結果を示す図。
【図9】実機に対応したS−N線図。
【図10】本発明の実施の形態に係わる疲労寿命評価システムによる寿命推定手順を示す図。
【図11】応力計算に供するフロント姿勢を示す図。
【図12】フロント(ブーム)のブロックモデルおよびメッシュモデルを示す図。
【図13】図4をブロックモデルで示した図。
【図14】T継手の要素の表裏の判定手法を説明する図(その1)。
【図15】T継手の要素の表裏の判定手法を説明する図(その2)。
【図16】応力解析値の補正内容を説明する図。
【図17】応力解析結果の出力例を示す図。
【図18】本発明の実施の形態に係わる疲労寿命評価システムによる出力例を示す図。
【図19】本発明が適用される油圧ショベルの斜視図。
【符号の説明】
3 フロント構造物 3A ブーム
3B アーム 10 記憶装置
20 入力装置 30 演算装置
40 出力装置

Claims (7)

  1. 構造物のシェルモデルを用いて有限要素法により前記構造物の各部の応力を演算する解析手段と、
    前記構造物の応力集中部における各種局所形状をパラメータとし、この各局所形状に応じてそれぞれ設定された複数の応力集中率と前記構造物の疲労寿命評価線図をそれぞれ予め記憶する記憶手段と、
    前記解析手段で演算された応力と前記記憶手段に記憶された応力集中率および疲労寿命評価線図に基づいて、前記応力集中部の各局所形状についての疲労寿命をそれぞれ自動的に算出し評価する寿命評価手段とを備えることを特徴とする疲労寿命評価システム。
  2. 請求項1に記載の疲労寿命評価システムにおいて、
    前記疲労寿命評価線図は、ピーク応力と疲労寿命との関係を示す、前記構造物に固有の単一の線図であり、
    前記寿命評価手段は、前記解析手段で演算された応力を前記記憶手段に記憶された応力集中率で補正し、補正後の応力を前記疲労寿命評価線図に適用して、前記応力集中部の各局所形状に応じた疲労寿命をそれぞれ算出することを特徴とする疲労寿命評価システム。
  3. 請求項1または2に記載の疲労寿命評価システムにおいて、
    前記応力集中部は溶接継手部であり、前記応力集中率は溶接条件に応じて設定されることを特徴とする疲労寿命評価システム。
  4. 請求項3に記載の疲労寿命評価システムにおいて、
    前記溶接継手部の継手形式を自動的に判別する判別手段を備え、
    前記記憶手段は、継手形式に応じた前記局所形状の組合せを記憶し、前記寿命評価手段は、前記判別手段で判別された継手形式とこの継手形式に応じた前記局所形状の組合せに応じて疲労寿命を評価することを特徴とする疲労寿命評価システム。
  5. 請求項4に記載の疲労寿命評価システムにおいて、
    前記判別手段でT継手と判別されると、さらにその表裏を判別し、前記寿命評価手段は、前記溶接継手部における要素の溶接ビード側面のみについて疲労寿命を評価することを特徴とする疲労寿命評価システム。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の疲労寿命評価システムにおいて、
    前記解析手段で演算された前記溶接継手部における応力を、溶接線と平行方向および直交方向にそれぞれ補正する補正手段を備え、前記寿命評価手段は、前記補正手段により補正された応力を、前記記憶手段に記憶された溶接線の平行方向および直交方向の応力集中率でそれぞれ補正することを特徴とする疲労寿命評価システム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の疲労寿命評価システムにおいて、
    前記応力集中部における要素応力のみを出力する出力手段を備えることを特徴とする疲労寿命評価システム。
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