JP3842316B2 - 位置検出装置および傾斜センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、位置または方位を検出するセンサに関し、特に物体の三次元的な動きをコンピュータ等の画像処理機器にデータとして供給する入力デバイスの分野に関する。また、自動車、船舶などのナビゲーションシステムやバーチャル・リアリティ(仮想現実感)システムのヘッドマウントディスプレイ(HMD)に取り付けて頭部の動きを検出するために用いられる位置検出装置、またはコンピュータ支援作図(CAD)システムに用いられる三次元入力デバイス(三次元マウス等)に関するものである.
【0002】
【従来の技術】
[従来技術例1]
従来技術例1として、磁気方位センサにより方位検出する従来技術を説明する。従来技術例は図44にその一例を示す如く、1個のコア56にコイルA54とコイルB55を直行させて巻いた1対のコイルを持つフラックスゲート型磁気センサを回路基板9上に配置した構造をしている。この1対のコイルは同じ磁気ベクトルを感知し、磁気方位センサの移動に対して90度位相がずれた信号値を出力する。
【0003】
方位を感知する場合、地磁気ベクトルは南から北に向いているため、磁場ベクトルが最大となる向きが北向きとなる。今、コイルA54の信号が最大出力となる方向を北とすると、最小出力となる方向が南となり、東西方向はどちらも同じ値となる。しかし、コイルB55が直行して巻かれているため、この出力値の最大最小で東西を識別する事ができる。さらに、それぞれの信号はサイン曲線を描くため、逆算することにより磁気ベクトルを基準とした水平面内の回転角度0から360度を計算することができる仕組みとなっている。
【0004】
また、フラックスゲート型磁気センサの代わりに、磁気抵抗素子を用いて同様に回転角度をセンシングする磁気方位センサも存在する。
[従来技術例2]
従来技術例2として、三次元位置検出装置の例を説明する。特開平3−502262、1994年電子情報通信学会春季大会予稿集(佐藤,竹田,林:HMDのための空間位置センサの開発,P.1−504)に記載されている技術などがあり、回転面の仰角をある程度計測することができる。これら方位計となる2つの磁気センサと回転面の傾斜を測る1つないし2つの傾斜センサをもつシステムがそれである。しかし、これでは全転を計測することはできない。全転を計測するには、後述の如く本発明のように3個以上の磁気センサが必要である。さらに、従来技術例2は、本発明のような傾斜センサの信号から慣性力の影響や磁場の歪の影響を除去する手段を有していない。
【0005】
[従来技術例3]
また、磁気センサを3つ以上用いた従来技術例3として、特開平2−238336に記載されているような技術がある。ここでは、傾斜角を少なくとも3成分計測して三次元の姿勢を求めている。この技術は全回転を計測することができるが、このシステムは、航空機や船舶の姿勢制御に用いるため、傾斜中の回転角加速度や慣性力の影響を無視して考えている。
【0006】
他にも、自立型位置検出技術として、ジャイロを用いた装置がある。これらの装置は時間による回転量の変化を積分して、移動量や回転量を計測する方法を用いている高価な装置であり、光ジャイロ等を用いている。
[従来技術例4]
上述した従来技術は、すべて位置センサ単体で位置を計測する方法である。従来技術例4として、位置センサ外部に基準になるものを設置して位置を計測する方法を説明する。センサ外部の一箇所以上に、電磁波、音波、光等を用いた信号を発生もしくは受信できる装置を設置し、位置センサと信号を交信する。この従来技術例4では、位置センサと外部センサが、両方とも演算用コンピュータにつながっているか、もしくは位置センサと連動したコンピュータが外部センサの固定位置を正確にわかっている。このコンピュータは位置センサと外部センサの情報をもとに固定の外部センサと移動している位置センサの情報を比較することによって、位置の変化を計測するものである。
【0007】
例えば、外部センサもしくは磁場信号の発信器が内蔵されている外部装置と位置センサの間に発生させた磁場を、3成分の磁気が検出可能なフラックスゲート位置センサで磁力検知し、固定の外部装置をリファレンスにしたときの変動量から三次元位置を検出するモジュールがある。
【0008】
このようなリファレンスを用いる方法は、次のような問題点がある。すなわち、まず第一に外部の装置と交信するため、測定範囲が限定されてしまう。さらに、装置も大型化し、どうしても高級なシステムになってしまう。よって、三次元位置検出を行う場合の機動性が無くなってしまう。
【0009】
本発明は、自立してその位置を計測する装置であり、技術分野は従来技術例1から3に分類される。
[従来技術応用例]
また、位置検出装置をコンピュータや電子機器へのポインティングデバイスとして応用する場合、従来例として、「マウス」がある。これは、ボールの機械的な回転やミラーの光学的反射により、面上の運動量を検出する装置である。この他にも、平坦なセンサや手に保持されるスタイラスからなる「タブレット」やコンピュータや表示部周囲に取り付けられたセンサが移動量を追跡して、その方位及び位置を感知する装置もある。
【0010】
さらに、位置検出装置をナビゲーションシステムとして応用する場合、方位または位置のデータを持ったコンピュータシステムに、地球上空の静止衛星からの信号を検出した位置センサの信号を入力して、現在位置を測定するGPS(Global Pointing System)などの従来技術がある。この技術は、先に説明したリファレンスを用いる従来技術の応用技術である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
[課題1]
従来技術例1に示した方位センサの場合、直交する2つの磁気センサもしくは直行させて巻いた2つのフラックスゲートコイルの出力電圧(Xa、Ya)からtan-1(Ya/Xa)を計算することにより、回転角すなわち方位が計算できる。
【0012】
しかし、従来の2個の磁気センサだけでは、水平回転の二次元的な方位もしくは回転角しか検出することができない。これは磁気感知中に磁気センサが傾斜すると、磁気センサと磁場ベクトルの仰角が変化し、測定強度が変化するためである。従って、この信号から求めた方位や角度は実際の値と異なるという現象が生じる。
【0013】
このような欠点を解決するために、磁気センサが取り付けられた測定対象の傾斜角を測定する必要がある。
しかしながら、従来技術例2で示したように、2個の磁気センサに1個ないし2個の傾斜センサを用いて、位置センサの角度を測定すると、仰角は傾斜センサを用いることにより計測できるが、磁気センサの値が傾斜の影響で変化したのか、回転の影響で変化したのか判断できない。
【0014】
また、回転角度や傾斜角度を正確に求めるために、従来技術例3に示したように、3個以上の磁気センサと3個以上の傾斜センサを併用して測定する方法も存在する。この方法であれば位置測定は可能である。しかしながら、最低6個のセンサを使用するので、コストもかかり、小型化も困難であるという欠点を有する。
【0015】
そこで、課題1として、三次元的な動きを感知するために、回転面が傾斜しても回転角は影響を受けずに正確に測定することができ、かつ、傾斜角度も測定できるようにする必要がある。また、できるだけ少ないセンサの数で安価な小型の三次元位置検出装置を作る必要がある。
【0016】
[課題2]
課題2は傾斜角の測定にある。傾斜角検出には加速度センサを用いる方法、ジャイロセンサなどの角速度センサを用いる方法等がある。従来技術例2、3においてもこのような方法が用いられている。
【0017】
加速度センサを単独で用いて傾斜角を計測する場合の問題点について述べる。加速度センサを傾斜させると、傾斜角に対して重力の正弦(sin)成分がセンサの感度に寄与するため、センサの出力からその傾斜角を知ることができる。この原理では、センサがある角度で静止して決して動いていない状態であれば問題なく計算できる。しかし測定物体が上下に回転して、回転角度が連続して変化している場合、その回転体は角加速度を持つ。そして、この角加速度も加速度センサが感知できる成分である。また他の加速度センサが感知する成分として遠心力成分もあげられる。
【0018】
つまり、本来、重力加速度のみを検知するつもりの加速度センサが、測定に回転運動をともなうとき、角加速度や遠心力等の回転運動による成分を合成した値を計測することになる。したがって、重力加速度成分を用いた式では運動中の物体の傾斜角を正確に測定することはできない。しかも、現在知られている物理法則では、原理的に重力による加速度と運動による加速度を分離することはできないので、加速度センサ単体では動的に変化する傾斜角を計測することは難しい。
【0019】
従来技術例2に示した、1994年電子情報通信学会春季大会予稿集に記載されている技術においては、傾斜センサとして、重力によってたわむ梁を持つ加速度センサを用いている。この加速度センサによって鉛直方向からの傾斜角を検知する方法を図45を用いて説明する。傾斜角がθのとき梁11は角度αだけたわむものとすると、このたわみに応じて梁11に設置された抵抗体13に歪が発生し、抵抗体13の抵抗値変化をもたらす。この抵抗値変化を検出することによって傾斜角θを知ることができるというものである。しかしながら、この加速度センサにおいても回転運動による力が作用した場合、梁11のたわみ角はαではなく例えばα'となり、抵抗体13に蓄積される歪量も異なってくるため、このときの抵抗値変化量は傾斜角θを示すものとはならない。しかし、従来、この補正は技術的に難しいため行われていない。
【0020】
同じく従来技術例2に示した、特開平3−502262においては、図46に示すように透明球57のなかに透明液体58が封入され、透明球57の外部に取り付けられた光源17と光源17からの光を検知する光検出素子18と間の光路がセンサが傾くことにより変化し、光検出素子18の出力が変化することを利用して鉛直方向からの傾斜角θを検知しようとしている。しかしながら透明液体58は回転運動による力も同時に受けるため、検出すべき傾斜角に応じた位置Pではない位置P'に平衡点をもつ。従って、光検出素子18からの出力は傾斜角θに応じた出力とはならず、この出力データより演算される傾斜角は本来の傾斜角θとは異なってくる。また、この例の場合には透明球体57の中に透明溶液58が注入されているため、液面が揺動し、回転運動が終了した後でも出力が安定しないはずである。
【0021】
次にジャイロに代表される角速度センサを単独で用いて傾斜角を計測する場合の問題点に付いて述べる。
角速度センサの信号を積分することで測定されるべき角度の値になるため、傾斜角を計測することができる。しかし、信号に含まれるノイズやバイアス成分および温度変化によるドリフト成分なども積分されるため、時間とともに誤差が増大してしまう。例えば、実際の傾斜角に全く変化がなくても、時間とともに信号が変化してしまうことになる。従来の技術では、このような誤差の増大を防ぐには光ジャイロのように高級なセンサを用いて、積分回路の部品を高級にする以外に方法がない。圧電振動ジャイロのような比較的低価格の角速度センサでは温度特性が悪く、傾斜角検出装置を作ることができなかった。
【0022】
以上の理由から、課題2は傾斜センサを用いて傾斜角度を求めるときに、感知する合成加速度成分から重力加速度以外を分離して削除し、また、値を積分することなく角度を求めることにある。
[ポインティングデバイス応用への課題]
また、三次元位置検出装置をポインティングデバイスとして応用する場合、「マウス」や「タブレット」では、面上の移動量を検出するため、平面上の運動にしか対応できないという問題がある。そこで、この場合の発明の課題は、従来のポインティングデバイスが測定していた次元から、さらに測定できる次元を増やし、三次元的な物体の動きを検出することにある。
【0023】
[ナビゲーションシステム応用への課題]
また、三次元位置検出装置をナビゲーションシステムとして応用する場合、従来の静止衛星を利用したナビゲーションシステムでは、静止衛星の感応範囲内に動きが限定されるという問題がある。中には、静止衛星の感応範囲外を補う目的で、各種センサを移動物体に取り付けている装置も存在するが、あくまでも、補助的な役割でしか利用することができない。そこで、この場合の発明の課題は、従来のナビゲーションシステムの測定方法である外部の静止衛星に依存する方法から、このような基準を持たず、自立して位置を検出する方法に変えることにある。
【0024】
さらに、本発明においても、さらなる改善をするにあたり、新たな課題が生じたが、それらについては、本発明との関連する説明の都合上、以下の「問題を解決するための手段」の項で記述する。
【0025】
【問題を解決するための手段】
[手段1]
まず、課題を解決するための手段1として、本発明では下記のような手段を用いた。
【0026】
課題1に述べたように、従来の2個の磁気センサだけでは、水平回転の二次元的な方位もしくは回転角しか検出することができなかった。そこで、2個の磁気センサと各センサの出力信号を増幅する増幅回路と、アナログデジタル変換回路付きコンピュータを配置した位置検出システムに対して、傾斜角を測定するため、少なくとも1つの傾斜センサを追加した。しかし、2個の磁気センサでは値が傾斜の影響で変化したのか、回転の影響で変化したのか判断できない。そこで、回転面内の2個の磁気センサに対してその面に角度を持たせて少なくとも1つの補正用磁気センサを追加した。
【0027】
また、傾斜センサとして、梁のたわみもしくは重りの移動量によって重力加速度方向を感知する加速度センサ、もしくは窓中の透過光量の変化によって重力加速度の方向を感知する回転角センサを設置した。上記位置センサは、磁気センサが少なくとも3個と傾斜センサが少なくとも1個というシンプルな構成を持っている。ただし、課題2に述べたように、重力成分を用いて傾斜角を測定しようとするとき、傾斜センサが運動中は傾斜角を正確に計測することができない。
【0028】
そこで、手段1では、これら少なくとも3個の磁気センサと少なくとも1個の傾斜センサが出力する信号を複合して用いて回転角度の測定と重力加速度成分の分離を同時に行った。
以下にその方法を示す。回転面上で2個の磁気センサが、回転平面内に存在する直行軸XYに対して、反時計回りを正として、Xセンサが角μ、Yセンサが角φだけ傾いて設置されていたとすると、その時に出力する値(Xa,Ya)を式(1)に代入することにより回転角度が求めることができる。
【0029】
ここでは、回転面上にX、Yの2個の磁気センサがあると仮定している。
回転角=tan-1{(Xa・sinφ+Ya・cosμ)/(Xa・cosφ-Ya・sinμ)} (1)式(1)は従来例1、2に示している2個の磁気センサを用いて回転角を検出する場合の一般式である。よって、これは回転面が傾斜しない、もしくは一定の傾斜角を保持している場合である。ここで、回転面上にある角度を持った補正磁気センサを考える。ここでは補正センサZが1個、回転面に垂直であるZ軸に対して角ψだけ傾いて、その傾きのベクトルをXY面に投影した時に得られる投影ベクトルとX軸の成す角を反時計回りを正として角κだけ回転して取り付けられているとした。このときのZセンサの出力値をZaとした場合、回転面が傾斜した分を補正する式は次の式(2)で与えられる。
【0030】
回転角=tan-1{(Yb・cosB+Zb・sinB)/Xb} (2)
Xb=(Xa・cosφ−Ya・sinμ)/cos(φ−μ)
Yb=(Xa・sinφ+Ya・cosμ)/cos(φ−μ)
Zb=Za/cosψ+(Xb・cosκ+Yb・sinκ)・tanψ
ここで、角Bは回転面のX軸回りの傾斜角である。これは傾斜センサが計測する角度である。
【0031】
式(2)を用いることにより、三次元的な回転を回転角、傾斜角として計測することができる。
次に、傾斜センサが静止し、重力成分の計測中に出力する真の傾斜角をBtとする。そして、課題2で問題となっている傾斜センサが運動しているときの運動加速度のような動成分も含んだ値を計測することにより計算される傾斜角をBfとする。このBfからBtを求める手段、すなわち、合成加速度成分から運動加速度を削除して傾斜角を求める手段を以下に示す。
【0032】
物体が静止しているときに受ける重力加速度1Gとセンサの傾きによって、変位する信号をGaとするとその時の傾斜角度Bは式(3)で求めることができる。
B=sin-1(Ga/1G) (3)
この場合は、B=Btとなる。
【0033】
さらに、回転面が傾斜していないときの回転面上のXセンサの示す値をX0、Yセンサの示す値をY0、補正用磁気センサZの示す値をZ0とすると式(3)が成り立つような静的な場合に次の式(4)が成り立つ。
Z0/cosψ+(X1・cosκ+Y1・sinκ)・tanψ=Zb・cosB-Yb・sinB (4)
X1=(X0・cosφ−Y0・sinμ)/cos(φ−μ)
Y1=(X0・sinφ+Y0・cosμ)/cos(φ−μ)
Xb=(Xa・cosφ−Ya・sinμ)/cos(φ−μ)
Yb=(Xa・sinφ+Ya・cosμ)/cos(φ−μ)
Zb=Za/cosψ+(Xb・cosκ+Yb・sinκ)・tanψ
ここで、B=Btであり、Xa、Ya、Zaは各センサの傾斜後の計測値である。
【0034】
しかしながら、回転面の傾斜の変化が動的に変化している場合や、回転面が回転中の場合に、式(3)により得られるBはBfとなる。BfをBとして、式(4)に代入しては、式(4)が成り立たなくなる。すなわち、式(4)の右辺と左辺に差が生じる。
【0035】
そこで、この差を動的ノイズの特性値Cとすると、式(5)が得られる。
C=Zb・cosB-Yb・sinB-Z0/cosψ-(X1・cosκ+Y1・sinκ)・tanψ (5)
ここで、B=Bfである。B=Btとなるときは、式(4)に示すとおり、C=0となる。
【0036】
この動的ノイズ特性値Cを求めることが本発明の手段1における最も特徴的なところである。Cが0以外の値を示すときには、Bfが代入されているので、この時のCの値を用いて、動的な成分を除去すれば、Btを求めることができる。
よって、本発明ではBfから動的な影響によるノイズ成分を除去するアクティブフィルタを創出した。
【0037】
Bt(i)=Bt(i-1)・(1-f(0.81))+・f(0.81) (6)
f(x)=1/{x・(|C|+1)} (7)
式(3)より求まるBを式(6)に代入することにより、静的に求めた場合の
Btと同様な値を求めることができる。
【0038】
ここで、Bt(i)は測定結果として出力する傾斜角度である。Bt(i-1)は一つ前にセンサが出力した角度である。Bは式(3)より求めた動的、静的にかかわらない傾斜角度でBtの場合もBfの場合もある。
式(7)のxの値はフィルタ制御係数であり、この係数を決めることによって、系に働く他の加速度成分を効率よく除去することができる。
【0039】
さらに、ここで求めた傾斜角Bt(i)を式(2)に代入して回転角を求めることができる。また、直接式(7)を用いて、次の式(8)のように回転角Aを求めることもできる。
A(i)=A(i-1)・(1-f(0.75))+A・f(0.75) (8)
ここで、A(i)は測定結果としてセンサが出力する回転角度である。A(i-1)は一つ前に出力した角度である。Aは式(3)より求められたBtもしくはBfを式(2)に代入して求めた回転角度である。
【0040】
以上のような方法を用いることにより、従来の2個の磁気センサでは不可能であった角度の三次元位置検出を行うことが可能となる。
しかも、センサの構成としては、最小使用個数が磁気センサ3個と傾斜センサ1個というシンプルな構成で安価に実現可能である。また、積分の手法も用いていない。さらに、従来では不可能であった傾斜センサが感知する合成加速度成分から運動加速度成分を特性値Cを求める方法で除去することができる。
【0041】
[手段2]
また、さらにシンプルな構成として、以下のような手段2を行うことにより、三次元の位置検出を行った。手段1のシステムから傾斜センサを取り外したシステムである。ただし、回転の条件が少し制限される。
【0042】
磁気の独立した3軸成分を検出する磁気センサのみを用い、かつ3軸のうち2軸の回りの回転角のみを磁気の3軸成分より演算する。
簡単のため図47のように、X,Y,Z軸を直交軸とし、装置は原点Oを中心として回転運動を行うものとする。M0 は原点Oにおける地磁気である。装置の回転RはX軸回りの回転RX (回転角B),Y軸回りの回転RY (回転角C)およびZ軸回りの回転RZ (回転角A)によって表現することができる。初期状態におけるX,Y,Z成分をMX0,MYO,MZ0,回転R後の成分をMX ,MY ,MZ とする。回転RをRZ →RX →RY の順に実現するものとすると、
【0043】
【数1】
Figure 0003842316
【0044】
と表すことができる。ここで、
【0045】
【数2】
Figure 0003842316
【0046】
【数3】
Figure 0003842316
【0047】
【数4】
Figure 0003842316
【0048】
である。
(MX0,MY0,MZ0)および(MX ,MY ,MZ )は磁気センサの出力値より得られる。従って式(9)は3つの回転角A,B,Cについての3元連立方程式であるが、独立な方程式は実際は2つしかない。そこで例えばY軸回りの回転がない場合、すなわち、回転角C=0の場合を考える。このとき式(9)より回転角A,Bについて次の方程式(13)を得る。
【0049】
この回転角C=0という考え方が本発明の解決手段2における最も大きな特徴である。この条件を与えることにより、傾斜センサ不要のよりシンプルな装置が実現できる。ただし、この方法は手段1に比べて回転を制限することになる。しかし、バーチャルリアリティの分野に用いる場合、このような制限があっても、頭の動きの中で首を傾げる方向となるC回転を0として、ほとんど影響が無い。
【0050】
MX= MX0cosA +MY0sinA
MY=−MX0cosBsinA+MY0cosBcosA+MZ0sinB (13)
MZ= MX0sinAsinB−MY0sinBcosA+MZ0cosB
そして、式(13)より回転角A,Bは、
A=sin-1(MX/(MX02+MY02))−α (14)
B=sin-1(MZ0/(MY2+MZ2) )−β (15)
と求められる。ここでαおよびβは、
tanα=MX0/MY0 (16)
tanβ=MZ/MY (17)
である。
【0051】
このようにしてY軸回りの回転がない場合、磁気の初期成分(MX0,MY0,MZ0)および回転運動後あるいは回転運動中の成分(MX ,MY ,MZ)を磁気センサにより検出することによって、Z軸回りの回転角AおよびX軸回りの回転角Bを求めることができ、装置の姿勢を知ることができる。
【0052】
上述説明ではX,Y,Z軸を直交軸とし、またY軸回りの回転をゼロとしたが、X,Y,Z軸が斜交軸であっても、また回転のない軸をXあるいはZ軸としても演算の一般性を損なうことはなく、同様の演算によって2軸分の回転角を求めることができる。
【0053】
上述の例においては回転角AおよびBを求めるための必要条件は、
MY0≠0 かつ MY ≠0
である。MY0≠0は初期状態において磁気のY成分がゼロではない姿勢をとることが必要なことを示しているが、この姿勢を初期状態に選ぶことには事実上全く問題を生じない。また、MY ≠0は、回転運動後あるいは回転運動中の磁気検出時においてY成分がゼロではないことを要請するが、Y成分がゼロを検出したとき、出力データとしてゼロでない小さな値をダミーデータとして出力すべく演算アルゴリズムを作成しておけば、演算上のオーバーフローを避けることができる。ダミーデータが小さい値であれば、演算によって求められた回転角Bと実際の回転角とのずれは十分小さいものにすることができる。このように、回転角を導出する上で必要となる条件は装置を実際に使用する上でなんら制約をもたらすものではない。
【0054】
もう一度、実現条件を整理すると、本発明の手段2においては、三次元回転角度を検出する装置を組み込むべき機器が、ある特定の方向のまわりには回転しないという場合に成立するものである。もし、その方向の回りの回転がある場合には演算誤差を生じるが、多くの機器においてあるいは多くの回転運動状態において、ある方向については回転しないまたは回転は十分に微小なものとみなせる場合が多々あり、かつバーチャルリアリティの分野等の姿勢制御などの場合には、一定の精度内で姿勢角を求めれば十分であることが多い。従って、回転のない、あるいは回転の微小な軸を非回転軸と想定し、回転角を検出する装置を組み込むことにより機器の姿勢を検知し制御することは実用上十分に可能である。
【0055】
そこで、この方法においても、従来では不可能であった角度の三次元位置検出を行うことが可能となる。しかも、センサの構成としては、最小使用個数が磁気センサ3個という最もシンプルな構成で安価に実現可能である。また、積分の手法も用いていない。
【0056】
[手段3]
次に、傾斜センサを用いるときの問題点について、傾斜センサ単体で解決する手段3を説明する。先に述べたように、傾斜センサとして重力加速度を感知するものや角速度を感知するものがある。前者の場合、重力による加速度と運動による加速度を分離することはできないので、動的に変化する傾斜角を計測することは難しく、後者の場合、角速度センサの信号を積分することで角度の値を求めるため、微少な測定誤差も同時に積分することになり、時間とともに誤差が増大してしまうという欠点がある。
【0057】
そこで、これらの問題を解決するために、下記のような手段を用いた。
加速度センサと角速度センサを組み合わせて、角速度センサの信号を微分することで運動加速度を求め、加速度センサの出力から差し引くことで補正する方法である。この方法により、加速度センサの信号のうち純粋に重力だけによる成分が残り、傾斜角が動的に変化していても、あるいは静止状態にあっても正確に計測することができる。角速度センサの信号を微分しているため、積分による誤差の蓄積は起こらない。
【0058】
また、このようなセンサの場合、温度特性による信号のドリフトが発生することが多いが、積分しないので十分無視することができる。さらに、積分による誤差が生じないということは、感度の悪い安価なセンサを用いても、正確な測定ができるということである。
【0059】
以下に、その考え方を説明する。加速度のないときに出力電圧がゼロ、地球上の通常の重力と同じ加速度G(9.8m毎秒毎秒)においてVGなる出力電圧を発生する感度を持つ加速度センサを考える場合、傾斜角θで静止した加速度センサに働く重力Gのうち感度に寄与する力の成分Fは
F = G × sinθ (18)
である。
【0060】
したがって、このとき加速度センサの出力電圧Vaは、
Va = VG × sinθ (19)
である。
傾斜角θが動的に変化しているとき、傾斜の回転の中心から加速度センサまでの距離をr、加速度センサの速度をv、傾斜角θの変化率すなわち角速度をωとすると、加速度センサに働く加速度aは時間をtとして、次の式で表せる。
【0061】
a=dv/dt = r × dω/dt (20)
ただし、dv/dtはvの時間微分、dω/dtはωの時間微分である。
したがって、静止状態にない、運動中の加速度センサの出力電圧は、
Va = VG ×(F + a)/G (21)
Va=VG×(G×sinθ+r×dω/dt)/G (22)
と表すことができる。これにより、計測しようとしているF以外の運動加速度成分aが誤差となり、正確な傾斜角を測ることができないことがわかる。また、ジャイロセンサなどの角速度センサのみを用いて傾斜角θを計測しようとする場合、角速度の信号を積分して角度の信号に変換する必要がある。このとき信号のわずかなノイズやバイアス成分が積分され、大きな誤差となる。この誤差は時間とともに累積される場合が多い。そのため、安価で性能の悪い振動ジャイロセンサなどの角速度センサを用いて安定した傾斜計を作ることは極めて困難である。
【0062】
そこで、加速度センサと角速度センサの2個を使い、角速度センサを用いて角速度ωを測定し、角加速度dω/dtと式(22)を使って加速度センサの信号を補正すれば、課題2を解決することができる。
微分などの信号処理はアナログ演算回路で行ってもよいし、マイクロ・プロセッサ(デジタル演算)で行ってもよい。
【0063】
[手段4]
また、いままで述べたように、手段3では、複合傾斜センサで重力加速度と運動加速度を分離する方法を述べている。しかし、式(20)で用いられている速度vは、磁気センサの成分を演算することにより求めることもでき、これから加速度aを求めることもできる。つまり、傾斜センサと同様に回転している磁気センサの成分を時間微分する。ここで、傾斜センサとは、手段3で述べている加速度センサのことである。この結果傾斜センサの速度vを求めることができる。このvをもう一度時間で微分することにより、式(20)と同様となり、傾斜センサに働く加速度aが算出される。以後は同様の計算で傾斜センサの信号を補正することができる。この方法を手段4とする。
【0064】
[手段5]
上述した手段については、いづれも数式的に運動加速度を割り出して、差し引いて補正する方法が主であった。手段5として、位置計算を行うマイクロコンピュータのデジタル処理の中で、運動の加速度が大きく影響している場合を割り出して、運動加速度の影響を補正する手段を述べる。ただし、この方法は、左右回転が高速に行われているときに、傾斜センサに加わる運動の加速度を補正する場合にほぼ限定される。
【0065】
運動の加速度が大きく傾斜センサに作用するのは、センサ基板が高速に回転している場合である。影響を及ぼす力には、遠心力や慣性力が考えられる。そこで、磁気センサの信号の微分値をモニタリングし、微分値が大きい場合には、左右に高速回転していると判断する。高速回転している場合は、回転角度の計算に用いる傾斜角の値を、現在求めた値から1サイクル前に求めた値に変えて、手段1に示す回転角度の計算を行う機能とした。高速に回転していない場合は、手段1の方法により、回転角度の計算を行う。
【0066】
ここで、上記計算処理の1サイクルは、20msである。
このアルゴリズムは、本発明の三次元位置検出装置を頭に装着して、頭の回転に対する評価を行った結果、高速に頭を回転させているときには、上下方向に対する回転がほとんど起きていないという結論から割り出したものである。
【0067】
[さらなる改善事項]
課題1、課題2を解決するための手段として、従来の位置検出システムに前記本発明の各センサを追加することにより、三次元位置検出を可能にした。しかも、そのシステムは、従来からあった高価でセンサ数の多い三次元位置検出システムよりも、安価で簡単に作ることができる。しかしながら、上述のセンサ構成による三次元位置検出装置を実現する上で、いくつかの新たなる問題点が発生したので、本発明ではそれらを解決するさらなる改善手段を発明した。
【0068】
以下に本発明のさらなる改善手段を説明する。ただし、手段の番号は本発明の手段1〜5とわかりやすく区別するために、通し番号とした。手段6からは本発明のさらなる改善である。
[さらなる改善手段6]
微少な磁気を計測するためには、高感度の磁気センサを用いる必要がある。また、傾斜センサとして加速度センサを使う場合、1G程度の加速度をセンスするためには、高感度の加速度センサを用いる必要がある。しかし、高感度なゆえ、ノイズに関しても高感度となる。例えば、商用電源が発する磁場がノイズとなったり、加速度センサが装置の振動を関知してノイズとなる場合もある。仮想現実感(バーチャル・リアリティ)システムにおいては、傾斜角検出装置の出力する座標データにしたがって画像表示を行うため、センサの信号にノイズがあると、ノイズが画面表示の振動となってあらわれてしまう。
【0069】
従って、高感度の磁気センサによる磁場ノイズや高感度の加速度センサの振動ノイズが発生することによる測定への影響を無くすことが課題となった。そこで、これに対処するために、センサ回路にフィルタ回路を付加した。しかも、本発明の三次元位置検出装置を仮想現実感システムに応用する場合は、カットオフ周波数fcが10から100Hz程度のローパス・フィルタ回路(高域除去、低域通過回路)を用いるのが良いことがわかった。この方法によりノイズが高感度のセンサに及ぼす影響を無くすことができた。
【0070】
また、ノイズをデジタル処理側でフィルタリングする手段について、以下に述べる。本発明の三次元位置検出装置において、位置計算のサイクルを15〜20msとした。主に60Hzを基準としている。このサイクルで処理を行うことは、前記時間内に発生した振動ノイズや急峻な運動加速度による傾斜センサの値の振動をある程度カットすることができる。
【0071】
[さらなる改善手段7]
次に、前記とは別の種類のノイズによっても、三次元位置検出の精度が悪化する問題が起きることがわかった。前述したセンサ構成の三次元位置検出装置では、測定空間内に存在する地磁気もしくは、測定環境の半固定磁場が、モニタテレビのような磁場発生源や鉄板、鉄骨のような磁性材料によって歪んでいると、傾斜角度や回転角度が0度から大きく離れるにつれて、回転角度が正常値から大きくシフトしてしまう。
【0072】
従って、磁気センサが検出する磁場がゆがんでいても、精度良く回転角を検出することが次の課題となった。そこで、これに対処するために、回転面内に2個設置した磁気センサに対してその回転面に角度を持たせて少なくとも2個以上の補正用磁気センサを設置する構成を考えた。
【0073】
これら少なくとも2個の補正用磁気センサを用いて、測定周囲の磁場の歪みを補正した。以下にこれを説明する。
一般に磁場歪の無い状態で、回転角を求める式は式(2)で与えられる。
ここで、Xa、Yaは、回転面上にある2個の磁気センサがその面内に存在する直行軸XYに対して、反時計回りを正として、Xセンサが角μ、Yセンサが角φだけ傾いて設置されていたときの出力値である。Zaは回転面に対してある角度を持って設置されている補正用磁気センサの出力値であり、角ψはその補正磁気センサが、回転面に垂直であるZ軸に対して傾いている角度である。また、角κはその傾きのベクトルを回転面に投影した時に得られる投影ベクトルとX軸の成す角を反時計回りを正としてときの角度である。Bは回転面のX軸回りの傾斜角であり、傾斜センサが出力する角度である。
【0074】
式(2)は、回転面内で一様な磁界であれば、回転が生じても補正用磁気センサ成分から算出される回転面XYに垂直な磁気成分は変化しない。しかしながら、回転面内に磁気歪みが生じると、補正用磁気センサの成分は回転によって変化する。結果として、式(2)の計算結果は正常な回転角度と異なった値となってしまう。これが、磁場歪の影響である。
【0075】
そこで、回転中の補正用Zセンサの値を、磁場歪みの影響を少なくして安定させるために、回転面内の磁場の値を平均してとれば良い。今、n個の補正用Zセンサを回転面上に設置したとすると回転角は式(23)より求めることができる。
【0076】
【数5】
Figure 0003842316
【0077】
ここで、Zaiはそれぞれの補正用磁気センサの出力値であり、角ψiはその補正磁気センサが、回転面に垂直である軸Zに対して傾いている角度であり、また、角κiはその傾きのベクトルをXY面に投影した時に得られる投影ベクトルとX軸の成す角を反時計回りを正としてときの角度である。
【0078】
式(23)から回転角度を導くと、磁場歪みは平均化されて回転角度に対する磁場歪みの影響が小さくなる。以上のような方法を用いることにより、磁場歪が発生している場所でも、精度良く回転角度を求めることができた。
[さらなる改善手段8]
また、傾斜センサにおいても、傾斜感度の問題による測定誤差が発生した。そこで、精度の高い測定を目的として、以下のような工夫をした。傾斜センサは、感度方向と重力方向が平行である場合に、高い検出精度をもつが、垂直に近づくにつれて検出精度が悪くなる。これは、式(18)に示すように、検出感度がリニアではなくサイン曲線を持つためである。これを解決するために、検出精度が悪くなるところを補うように、複数個の傾斜センサを取り付け角度を変えて設置した。この方法により、測定誤差がほとんど無くなった。ところが、傾斜センサの検出精度にバラツキがあると、信号の切り換えの時に信号の「とび」が発生した。そこで、傾斜センサの信号切り換えの前後で、値を平均する等の補正を加えて計算を行った。この結果、垂直に近づくにつれて発生する誤差や信号の「とび」は軽減された。
【0079】
ただし、この誤差に関しては、±90度付近という極値での現象なので、普通に使用する場合はあまり悪影響は無い。また、バーチャルリアリティやナビゲーションなどの位置検出に関しては、垂直付近はほとんど関係がない。
[さらなる改善手段9]
次に、傾斜センサの検出範囲が、傾斜センサとして加速度センサを用いる限り、その構造上から正負90度に限られるという問題が発生した。例えば、重力1Gに対してセンサ感度方向が重力方向と一致した向きを0度として、180度反転すると、逆方向に最も変位し、−1Gを感知する。しかし、この構造では反転(180度)したときに、0度から右回転して180度に達したのか、左回転して180度に達したのか感知できず、結局、0〜180度の範囲しか出力することができない。そこで、全回転360度の角度を求めるための方法を考えた。
【0080】
回転面内に少なくとも2つ以上の傾斜センサを、その感度方向が回転面に対して直行し、それぞれが位相差を持つように設置した。これによって、傾斜センサ同士の出力値がお互いの設置角度差分、位相遅れとなって検出されるので、この位相差とそれぞれの出力値を検出することにより、±90度の境を越えても現在向いている方向を検出することができる。つまり、この方法によって、360度全周の回転方向を検出することができる。
【0081】
この場合のセンサ構成は、少なくとも3個の磁気センサと少なくとも2個の傾斜センサとなる。手段1、手段2において説明した装置よりもセンサの数が少なくとも1つ増加しているが、従来技術例3に示したような磁気センサと傾斜センサが6個以上の構成に対してはセンサ数、コストの点でも優位な構成といえる。また、バーチャルリアリティに用いる頭部回転角検出センサは、そのシステムを頭に保持したまま人間が逆立ちすることは不可能なので、本発明の手段1に示したセンサ構成でも十分実用的ではある。
【0082】
[さらなる改善手段10]
次に、安価な三次元位置検出装置を実現するために、低性能なセンサを用いたことによる問題が発生した。手段1、手段2で述べたように、三次元の位置を検出するには、各センサの信号を増幅回路で増幅し、それをマイクロコンピュータ等の演算回路を用いて計算し、角度算出を行っている。一般に磁気センサや傾斜センサ等のセンサ類は環境温度によって、センシング特性が変化する特徴をもっている。また、生産されるセンサは同じ型のものでも、生産時の微妙な製造バラツキにより、1つ1つがセンシング特性にバラツキを持っていることが常である。特に、このバラツキが原因で、温度特性が個体差で非常に大きく変化することが当業者の常識となっている。また、これはセンサの信号の増幅を行うアンプについても同様のことがいえる。このように、個体差が非常に激しい部品を使って三次元位置検出を行う場合、その出力信号もバラツキが発生し、検出角度にも同様にバラツキがでてしまう。
【0083】
このバラツキを小さくするためには、センサを出荷するときにきびしい検査をして特性を揃えたセンサを識別する必要がある。ただし、このようなことを行うと、センサのコストが非常に高くなり、安価な三次元位置検出装置を実現することができない。
【0084】
そこで、位置センサ部または演算回路部に、不揮発性もしくはバックアップ電池によってデータを保存することができるメモリを搭載し、位置検出を行う前に少なくとも1回、個体バラツキ特性を測定し、その結果及びその校正値を上記メモリに登録することにより、安価であるがゆえに生じるバラツキを解消した。
【0085】
個体バラツキのデータとしては、全センサの出力電圧のバラツキを、そしてアンプ回路に関しても、センサを含めた出力電圧バラツキを記録対象とする。また、温度ドリフトによる出力値変化もメモリに記録する。回路の製造番号等の個体を識別できるデータも記録する。さらに、ソフトスイッチの役割も持たせた。
【0086】
個体バラツキの解決方法を述べる。電圧バラツキは主に、オフセット電圧のバラツキとゲイン電圧のバラツキがある。そこで、データとしては、各センサと増幅回路のオフセット電圧とゲイン電圧が記録されている。オフセット電圧は標準のオフセット電圧値に対してズレている差分を差し引いて校正を行う。ゲイン電圧は標準のゲイン電圧値に対して増減している割合を求め、乗除することにより校正を行う。温度ドリフトについては、各温度のドリフト電圧を測定し記録してあるので、測定時に温度センサより求めた温度からドリフト電圧を求め、差し引くことにより校正を行う。測定時温度がメモリに記録されている温度データを参照できない場合は、温度データから近似計算を行って校正電圧を算出した。
【0087】
この校正を行うことにより、各センサは同じ磁場環境では同じ電圧を出力し、環境温度が変化しても、同じ電圧を保持することができる。従って、部品の製造時のバラツキによる角度算出への影響を無くし、バラツキをもった部品すべての組み合わせに対し、三次元位置を精度良く求めることが可能となった。各種センサの低コストを目指すことによって、メモリと温度センサが部品として増加したが、どちらも量産部品であるため、従来、製品バラツキを無くすために、完成品を感度別に識別するという手間がかかる作業を余儀なくされている高級で高価な磁気センサや加速度センサを用いる場合に対して、部品増加によるコストアップ量は微小である。
【0088】
[応用用途別解決手段]
これまでは、三次元位置検出装置について、特に特定の用途を限定しない場合について解決手段を説明してきた。以降では応用例として、用途を特定した場合の問題点解決手段を述べる。
【0089】
また、上述した手段1〜10とわかりやすく区別するために、同様に通し番号とした。手段10からは本発明の応用用途別解決手段である。
[応用用途別解決手段11]
課題2として、傾斜センサに加速度センサを用いると、運動による加速度成分と重力成分を同時に検出してしまうという問題を示した。この問題を解決するときに、用途をバーチャルリアリティシステムのための頭部回転検出に用いる場合に限定すると、次のような手段が考えられる。
【0090】
一般に、回転による力の影響が無い条件は、回転方向に感度が無いときと、回転の中心部分にセンサを配置したときである。すなわち、頭の回転運動が行われるときに、その回転に対して、上記した感度がない方向に傾斜センサを設置すると運動の加速度の影響が発生しない。人間の頭の回転運動で激しく運動する方向は、頭を左右に振る動きと、頭を上下に振る動きである。
【0091】
そこで、この頭の動きを考慮して、傾斜センサに加速度センサを用いる場合、センサの設置位置を、センサの感度方向と重力場の方向が一致する向きに設置するときは、頭の耳付近に設置し、センサの感度方向と重力場の方向が垂直である向きに設置するときは、頭の後頭部から首の付け根付近に設置した。これらの配置は、回転に対してセンサの感度が無い方向である。
【0092】
このように、三次元位置検出装置の使用をバーチャルリアリティシステムへの応用と限定した場合、頭部への傾斜センサの取り付け位置を変えることによりで課題2にあげたような、運動の加速度を取り除くことができる。
[応用用途別解決手段12]
次に、二次元の「マウス」や二次元の「タブレット」に本発明の三次元位置検出装置を応用する場合について述べる。これら従来装置の問題点として以下のことがあげられる。一つは、平面上の移動にしか対応できないこと、もう一つは、広い平らな面が必要であることである。
【0093】
これらの課題を解決するために、前記の手段1以降に述べた磁気センサを少なくとも3つ、もしくは、そこに加速度センサを用いた傾斜センサを少なくとも1つ加えた三次元位置センサを構成する。これにより、手段1,2に示したのと同じ手段を用いて、広いエリアを必要としないその場での三次元回転角度を検出する事ができる。
【0094】
さらに、傾斜センサに加速度センサを用いているため、三次元位置センサの移動加速度を検出することができる。つまり、加速度を時間で2回積分することにより、移動距離を計測することができ、三次元の位置を検出できる「マウス」や「タブレット」を実現することもできる。また、この場合、次元軸に対応させて傾斜センサを増やすと、増やした数の次元軸に対して移動距離を計測することができる。ただし、三次元のポインタや位置入力デバイスとして使用する場合、各軸に対する移動距離を計測しなくても、回転角と1軸の移動距離を計測して、それに対応させて利用アプリケーション側で移動量を決めることを行っても十分実用的である。
【0095】
課題2では、運動の加速度の分離を述べているが、これらは回転時に発生する回転運動における加速度のことである。三次元位置検出装置が平行移動する場合は、磁気センサの成分は変化しない。従って、平行移動における運動の加速度は磁気センサの成分を用いて計算する回転角に影響しない。さらに、移動の時に発生する加速度は傾斜を検出するときの重力成分の変化に比較して十分大きいので、積分によりその移動距離を計算しても、計算誤差はさほど大きくない。
【0096】
[応用用途別解決手段13]
次に、ナビゲーションシステムにおける位置センサとして、三次元位置検出装置を応用する場合について述べる。これらの問題点として以下のことがあげられる。
【0097】
従来技術応用例に示したように、従来のシステムでは位置センサ外部に基準を設けて、相対位置を検出している。従って、外部基準が認識できる位置以外では、位置を検出することができない。
これらの課題を解決するために、上述の手段1以降に述べたような磁気センサを少なくとも3つと、加速度センサを少なくとも2つ用いた三次元位置センサを構成する。これにより、外部基準を必要としないナビゲーションシステムが可能となる。
【0098】
移動距離検出方法は、「マウス」への応用として述べたように、加速度センサの成分を2回積分することにより算出することができる。また、上述と同様に、三次元位置検出装置が平行移動する場合は、磁気センサの成分は変化しないので、回転角と移動量を独立して計測することができる。
【0099】
従って、ナビゲーションシステムとして、自動二輪車や自転車のように移動中に車体が傾く物体でも取り付けることができ、正確に現在位置を測定することができる。本発明の三次元位置検出装置は、小型で安価な装置であるため、特にこのような軽車両むけには最も適した装置である。しかも、小型で安価にもかかわらず、実用的に十分な位置精度を得ることができる性能を持っている。
【0100】
【作用】
従来、2個の磁気センサだけでは、水平回転の二次元の方位もしくは回転角しか検出することができず、三次元の空間の位置変化を計測することができなかった。さらに、傾斜センサを用いるときに、傾斜センサの回転運動中は動的加速度成分が重力加速度成分に合成されて検出されるので、傾斜角を正確に計測することができなかった。
【0101】
そこで、手段1に示したように、補正用磁気センサを含めて少なくとも3個の磁気センサと少なくとも1個の傾斜センサを用いて、その信号を増幅、演算できる三次元位置検出装置を構成した。そして、これらセンサの信号から動的ノイズ特性値Cを計算し、前記式(3)より求めた動的ノイズを含んだ傾斜角度Bから、動的ノイズ特性値Cを用いて動的な成分を除去した。この結果、従来の2個の磁気センサでは不可能であった角度の三次元位置検出を行うことができた。さらに、多数個のセンサを用いて三次元位置を求めていた高価な位置検出システムに比較して、最小使用個数が磁気センサ3個と傾斜センサ1個というシンプルで安価なシステムを実現した。また、シンプルで安価なシステムであるが、その精度に関しては、実用に十分耐える測定結果が得られる。
【0102】
また、手段2に示したように、3軸成分を検出する磁気センサのみと、その信号を増幅、演算する回路を設けた三次元位置検出装置を作ることにより、ある特定の方向のまわりには回転しないという制限付きで、角度の三次元位置検出を行うことが可能である。しかも、センサの構成としては最もシンプルで安価な構成で、三次元位置検出を実現することができる。また、多くの回転運動状態において、ある方向についての回転は十分に微小なものとみなせる場合が多々ある。特にバーチャルリアリティシステムにおける人間の頭部の回転角検出の場合、顔のロール方向はほとんど無視できるので、手段2における回転の制限があっても姿勢を検知することは実用上十分に可能である。
【0103】
次に、本発明の傾斜センサについて、その作用を述べる。傾斜センサに用いる加速度センサや角速度センサは、動的に変化する傾斜角を計測することは難しく、角速度センサの信号を積分することは時間とともに積分誤差が増大してしまうという2つの欠点があった。
【0104】
そこで、手段3に示したように、本発明では、加速度センサと角速度センサを組み合わせて傾斜センサを構成し、混合加速度から運動加速度を差し引いた。その結果、純粋な重力だけを取り出すことができ、傾斜角が動的に変化していても、あるいは静止状態にあっても、傾斜角を正確に計測することができる。また、同様の考え方で、手段4に示したように、加速度センサを用いた傾斜センサと磁気センサで構成される三次元位置検出装置上で、磁気センサの成分を時間微分し、傾斜センサの動的成分を求めて差し引き、複合の加速度から動的ノイズを分離することも行った。
【0105】
さらに、手段5に示したように、磁気センサの値の微分値から、センサ基板の運動の大きさを割り出して、その結果によって、回転角度計算に用いる傾斜センサの値を選択した。この方法によって、高速な左右回転から受ける傾斜センサへの運動加速度の影響を補正することができる。
【0106】
次に、本発明により行った電気的もしくは磁気的なノイズや微振動によるノイズの消去作用について説明する。商用電源によるノイズ、センサの微小振動によるノイズ、または、磁場歪によるノイズ等、種々のノイズが三次元位置検出装置の周辺において発生する。電源ノイズや微小な振動によるノイズは、センサ回路にカットオフ周波数fcが10から100Hz程度のローパス・フィルタ回路を付加することにより除去することができる。また、磁場歪によるノイズは、回転面内の磁気センサに対して、少なくとも2個以上の補正用磁気センサをその回転面に角度を持たせて設置し、これらの磁気センサの値を平均して求めることにより、磁場歪の平均化を行い、磁場歪によるノイズを無視できるくらいに小さくすることができる。
【0107】
さらに、ノイズをデジタル処理側でフィルタリングするために、位置計算のサイクルを15〜20msとすることにより、前記時間内に振動ノイズや急峻な運動加速度による傾斜センサの値の振動が発生していても、ある程度カットすることができる。
【0108】
また、傾斜センサの感度の問題についての本発明の作用を述べる。複数個の傾斜センサを取り付け角度を変えて設置し、それぞれ感度が悪くなる方向を向くときに感度の良いセンサにサンプリングを切り替えて検出することにより、1個の傾斜センサでは、感度方向が垂直に近づくにつれて精度が悪くなる現象を無くすることができる。さらに、傾斜センサの信号切り替えの前後で、値を平均する等の補正行うことにより、傾斜センサの感度不良域を無くすことができる。ただ、これでは、検出範囲が正負90度に限られるので、回転面内の少なくとも2つ以上の傾斜センサから出力される信号の位相差を検出し、演算回路で計算することにより、360度の範囲で三次元回転位置を測定する。
【0109】
また、低性能なセンサや安価な部品を用いたことによる固体バラツキや温度特性バラツキの問題についての本発明の作用を述べる。位置センサ部または演算回路部に、不揮発性もしくはデータを保存することができるメモリを搭載し、個体バラツキ特性や温度バラツキ特性を記録した。さらに、回路の製造番号等の個体を識別することができるデータも記録し、ソフトスイッチの役割も付けた。この結果、環境温度が変化しても、三次元位置検出にバラツキが無くなった。しかも、アプリケーションによって、個体の識別や内部演算のソフトスイッチによる切り替えができるようになった。
【0110】
次に、バーチャルリアリティシステムに応用する時に、有効である本発明の作用について述べる。傾斜センサの設置向きによって耳付近や後頭部から首の付け根付近に傾斜センサの設置方向を変えた。これは、バーチャルリアリティシステムの使用者の頭の動きを考慮した結果である。一般に、回転による力の影響が無い条件は、回転方向にセンサの感度が無いときと、回転の中心部分にセンサがあるときである。すなわち、頭の回転運動が行われるときに、その回転に対して感度がない方向に傾斜センサを設置すると運動の加速度の影響が発生しない。バーチャルリアリティシステムの使用者の頭の回転運動で激しく運動する方向は、頭を左右に振る動きと、頭を上下に振る動きである。
【0111】
ここで、バーチャルリアリティシステムの使用者が正面を向いて上下の方向に感度を持つように傾斜センサを設置することを考えた場合、運動の影響を受ける回転方向は上下方向である。左右方向に関しては原理的に感度がない。頭の上下回転を調べた結果、ほぼ耳付近が回転の中心となることがわかった。そこで、耳付近にセンサを設置することによって、回転による力の影響を無視できる程度に小さくすることができた。
【0112】
また、バーチャルリアリティシステムの使用者が正面を向いて前後の方向に感度を持つように傾斜センサを設置することを考えた場合、上下回転に関しては上述したように耳付近が最も影響が小さい。しかしながら、左右回転を考えた場合、傾斜センサは最も大きく回転運動の影響を受けてしまう。そこで、左右の回転方向に対して感度が無く、しかも、上下回転に対しても感度が小さい位置を考えると、頭の後頭部から首の付け根付近である。この部分であれば、左右回転に対しては傾斜センサの感度方向が回転の中心を向いているので影響が無く、上下回転に関しても、回転の中心付近を向いているし、位置も回転中心に近い。
本発明の三次元位置検出装置をバーチャルリアリティシステムへの応用に用いるとき、取り付け位置を変えるだけでも、良好な回転角測定が行える。
【0113】
次に、二次元「マウス」や二次元「タブレット」に応用する時の本発明の作用について述べる。これらの装置では、二次元エリアのみの検出範囲であること、動作に広い平らな面が必要であることが問題であった。そこで、本発明の三次元位置検出装置の少なくとも3個の磁気センサもしくはそれに加えて少なくとも1個の加速度センサを用いた傾斜センサを用いて三次元位置検出装置を作ることにより、三次元の回転角度及び移動量を得ることができる。しかも、これらを使用するために広い平らな場所を必要せず、その場で三次元回転角を検出する事ができる。さらに、加速度センサを用いたことで、2回積分により移動距離を計測することができ、三次元の位置を検出できる「マウス」や「タブレット」を実現することもできる。
【0114】
同様に、ナビゲーションシステムにおける位置センサとして応用する場合も、本発明では自立して位置を検出することができる。方法は上述の三次元回転角検出方法と加速度センサを用いた2回積分による移動距離検出方法である。しかも、装置が小型軽量なので、持ち運びや取付を簡単に行うことができる。
【0115】
ここで、本発明の三次元位置検出装置を用いた応用範囲をまとめると、人や動物の体の部分の動きの様子、ロボットのような空間位置制御を必要とする機器、ペン入力デバイスのようなペンの動きの情報を移動や回転量で入力する器具、ポインティングデバイス、画像選択機、ナビゲーションシステムのような機器自身の空間に対する絶対位置や相対位置の計算を必要とするもの等があげられ、このようなものに簡単に取り付け、もしくは内蔵して、三次元位置を計測することができる。また、メインCPUへの入力デバイスとして、簡単に接続することが可能である。
【0116】
【実施例】
[実施例1〜7]
以下に、本発明の実施例1〜7を図面に基づいて説明する。
図1に、以下に説明する本発明の実施例1〜7における回路ブロック構成例を示す。X,Y,Zの3成分の磁場を検出するため、3つの磁気センサ1、2、3と1つの傾斜センサ4の出力がそれぞれ増幅器5に接続されフィルタ回路6を通してアナログデジタル(A/D)変換器7に入力される。さらに、そのA/D変換結果がマイクロコンピュータ8に入力され、演算を行う回路構成となっている。そして、マイクロコンピュータ8はその演算結果を出力する。図2に三次元位置検出装置の概略図を示す。回路基板9内にX磁気センサ1とY磁気センサ2を設置し、その2つのセンサが成す面に立つように補正用Z磁気センサ3を設置した。このとき、X,Y磁気センサ1、2の取り付け位置を計測して、前記式(1)における角φと角μが0度となるように取り付けた。また、補正用Z磁気センサ3についても、前記式(2)における角ψと角κが0度となるように取り付けた。角φ、μ、ψ、κが0度で無くても計算には差し支えないが、こうすることにより演算回路内部の三角関数の処理が簡単になり、動的ノイズ特性値Cを求める計算が簡単になる。これ以降の実施例に対しても、同様の理由で、角φ,μ,ψ,κがほぼ0度となるように取り付けている。
【0117】
そして、X、Y磁気センサ1、2が測定する磁場の面を回転面とし、この面に垂直になるように傾斜センサ4を設置した構造とした。図中のセンサに付けた矢印はセンサの向きを示すものである。
実施例としては、磁気センサ1、2、3にフラックスゲートを用いたものと、磁気抵抗素子を用いたものと、磁気インピーダンス素子を用いたものとを用意し、それぞれの磁気センサに組み合わせるように、梁11のたわみ量から傾斜角度を測定する加速度センサタイプの傾斜センサ4と、窓16を透過する光量から傾斜角度を測定する傾斜センサ4を用いて三次元位置検出装置を作成した。
【0118】
実施例1は、磁気センサ1、2、3にフラックスゲートを用い、傾斜センサ4に梁のたわみ量から傾斜角度を測定するタイプを用いた。このセンサはその断面図を図3に示すように、支持フレーム10から出た梁11の先に重り12が付いており、重力によって梁11がたわむ量を梁11に取り付けた抵抗体13の抵抗値変化によって検出する仕組みとなっている。今回の実施例では、シリコンウエハをエッチングすることにより重り12と梁11を形成し、梁11の部分に拡散抵抗を埋め込んで、その出力を取り出せるセンサを作製した。
【0119】
実施例2は、磁気センサ1、2、3に磁気抵抗素子を用い、傾斜センサ4に実施例1と同様の梁11のたわみ量から傾斜角度を測定するタイプを用いた。
実施例3は、磁気センサ1、2、3に磁気インピーダンス素子を用い、傾斜センサ4に実施例1と同様の梁11のたわみ量から傾斜角度を測定するタイプを用いた。
【0120】
実施例4は、磁気センサ1、2、3にフラックスゲートを用い、傾斜センサ4に窓16を透過する光量から傾斜角度を測定するタイプを用いた。このセンサはその断面図を図4に示すように、遮光塗料で遮光した平らな円筒形の容器14の中に、遮光性液体15を封入し、90度ずつ3つの面に光が透過する窓16を開けた。向かい合う窓16の近傍にそれぞれ光源17を置き、前記向かい合う窓16の間にある窓16の近傍に光検出素子18を取り付けて、2個の光源17と同期させて光検出素子18を作動させ、発光源の位置と検出強度から傾斜センサ4の円周方向の傾きを計測する仕組みになっている。そして、円筒形の容器14は遮光性の箱に設置されている。今回の実施例では、遮光塗料を塗った透明プラスチックの円筒型容器に、遮光性のインクを半分程度封入し、窓部にLEDを1つずつ取り付け、受光部にフォトトランジスタを取り付けて、トランジスタの出力から角度を測定するセンサを作製した。
【0121】
実施例5は、磁気センサ1、2、3に磁気抵抗素子を用い、傾斜センサ4に実施例4と同様の窓16を透過する光量から傾斜角度を測定するタイプを用いた。実施例6は、磁気センサ1、2、3に磁気インピーダンス素子を用い、傾斜センサ4に実施例4と同様の窓16を透過する光量から傾斜角度を測定するタイプを用いた。
【0122】
また、位置移動の動的変化にともなう遠心力や慣性力等の力を取り除くことは、センサが異なっていても、センサが出力する電圧ゲインをA/D変換することにより同様なデジタル信号に置き換えることができ、既に述べた式(1)〜(8)を用いて処理が行える。 また、各センサ、増幅器5、フィルタ回路6までのアナログ回路部とA/D変換器7、マイクロコンピュータ8までのデジタル回路部は長さ2〜3メートルのケーブルを用いて接続した。
【0123】
ただし、アナログ回路部とデジタル回路部を分離したことにより、回路が不安定になる場合もあるので、今回の実施例では実施例7として、デジタル回路部も同一の回路基板9上に設置した三次元位置検出装置も作成した。実施例7は、磁気センサ1、2、3に磁気抵抗素子、傾斜センサ4に梁11のたわみ量から傾斜角度を測定するタイプを用いた。
【0124】
次に、実施例1〜7における位置検出装置の回転角及び傾斜角度の検出結果を図5から図11に示す。図中原点が回転、傾斜ともに0度の位置を現わす。横軸が回転角度を意味し、左右に±180度の角度として表示している。回転角については1回転の計測が可能である。縦軸は傾斜角を意味し、上下に±90度の角度を示している。また、グラフ上の点は、縦軸の傾斜角を±10、±30、±50、±70、±90度、横軸の回転角を0、±20、±40、±60、±80、±100、±120、±140、±160、±180度にして、縦軸と横軸の各組合わせの各位置で出力された角度をプロットしたものである。全てにおいて、回転、傾斜にともなって、良好に角度を測定することができている。
【0125】
実施例7のアナログ回路部とデジタル回路部が同一基板タイプと実施例1〜6の分離基板タイプによる違いがほとんど無いことから、デジタル回路部を2〜3メートル分離しても測定精度に影響がないことがわかる。
以上のような実施例により、本発明の三次元位置検出装置を用いると、測定物体の三次元的な回転角度の精度の良い測定が可能となることがわかる。
【0126】
[実施例8]
図12に本発明における他の実施例8の回路ブロック構成例を示す。三次元位置を測定する装置に付属する独立した3軸をX、Y、Zとする。磁気センサ1、2、19において前記X、Y、Z軸方向の磁気成分が検出され、これら3成分に対応する出力は、増幅器5、フィルタ回路6によって増幅、整流され、さらにA/D変換器7によってデジタル信号化された後、マイクロコンピュータ8に入力される。マイクロコンピュータ8では前記手段2に示した演算方法によって前記3軸のうち2軸の回りの回転角のみが演算され、その結果が出力される。
【0127】
本実施例では、傾斜センサ4を用いることなく3軸磁気センサのみで機器の姿勢角を検知することができる。
好適な実施例は、頭部の姿勢角を検出しその角度に応じてディスプレイ上の仮想視野を変化させる、いわゆるヘッドマウントディスプレイ33によって与えられ、例えばバーチャルリアリティを利用したゲーム機として多用される。図13のように頭部に付随してX、Y、Z軸を設定する。この場合、Y軸回りの回転を微小なものとみなし、Y軸回りの回転角C(ローリング)をゼロとすることによってZ軸回りの回転角A(ヨーイング)およびX軸回りの回転角B(ピッチング)を上述の演算によって求め、こうして得られた角度A、Bに応じてディスプレイ上に映し出される視野を変化させる。本発明者らの研究によれば、ピッチング角があまり大きくない場合、ローリング角は十分に小さいものとみなしてよいことが明らかになった。実際、ピッチング角が約±60度以内であれば実際の姿勢角に応じて表示した視野と上述の演算アルゴリズムによって出力された回転角に応じて表示した視野との差はほとんどなかった。コンピュータを使用したゲームなどの場合、頭部のピッチング角が±60度程度になることはほとんどないため、本実施例は簡易的回転角検出装置としてきわめて有効である。さらに装置独自のリファレンスが不用であるため、場所を制限することなく使用することができる。
【0128】
[実施例9]
図14にさらなる他の実施例としての三次元位置検出装置の構成の概略を示す。図14(a)は上面より見た平面図、図14(b)は側面より見た側面図である。
【0129】
回路基板9上に、動的ノイズ特性値Cを求める計算を簡単にするため、前記角φ,μ,ψ,κが0度になるように取り付けた3つの磁気センサ、X軸センサ1、Y軸センサ2、補正用Z軸センサ3と傾斜角を検知するための加速度センサ21と角速度センサ22を実装した。すなわち、加速度センサ21と角速度センサ22で傾斜センサ4を実現している。
【0130】
本実施例の磁気センサ1、2、3には磁気抵抗素子(MR素子)を用いた。本実施例で用いた磁気センサの感度は磁場1ガウスあたり出力電圧4mVである。MR素子以外のセンサでも、アモルファス磁気インピーダンス素子(MI素子)、フラックスゲートのように、高感度な磁気センサであれは、他の実施例1〜6に示したとおり、発明の効果は同様である。そして、3つの磁気センサ1、2、3は、それぞれ、磁気ベクトルのX成分、Y成分、Z成分を検出する。
【0131】
本実施例の加速度センサ21は、重りの付いた梁が加速度または重力によってたわむことを利用したものである。梁のたわみは梁に組み込まれた半導体のピエゾ抵抗効果によって抵抗値の変化として検出される。抵抗値の変化はブリッジ回路によって電圧の変化に変換される。なお、別の方式として梁のたわみ量を静電容量によって検出する容量型加速度センサもあるが、どちらを用いても発明の効果は同等である。
【0132】
加速度センサ21は基板面(X軸、Y軸)に対して垂直に、Z軸に対して平行に取り付けられており、X軸回りの傾斜角を検出することができる。加速度センサ21は、垂直に対して傾斜角がゼロのとき、出力電圧がゼロ、傾斜角がθのとき出力電圧はsinθに比例する。
【0133】
本実施例の角速度センサ22は圧電振動ジャイロ方式のものである。X軸回りの回転角速度を検出できるように取り付けてある。
いずれのセンサも増幅器5を利用した増幅回路と低域通過のフィルタ回路6(ローパス・フィルタ)を通してアナログ/デジタル変換器7(A/D変換器)に接続している。A/D変換器7の入力レンジに対してセンサの信号が小さいため、増幅する必要がある。また、不要なノイズを除去するため、ローパス・フィルタ回路6が必要となる。図15に実施例で用いたローパス・フィルタ回路6の概要を示した。フィルタのカットオフ周波数fcは20Hzとした。fcが20Hzであれば、商用電源の50Hzまたは60Hzのノイズ、および、コンピュータ機器などが発する高周波ノイズも除去される。本発明の応用例の一つである仮想現実感システム(バーチャル・リアリティ・システム)においては、人間の頭部の動きは通常10Hz以下程度であるので、ローパス・フィルタのカットオフ周波数fcを10Hzから100Hz程度とすれば必要な信号は除去することなく、不要な高周波信号を除去することができる。
【0134】
回路基板9にはセンサだけでなく、傾斜角および回転角の計算のためのマイクロコンピュータ8が実装してある。A/D変換器7により各センサの信号をデジタル量に変換したのち、マイクロコンピュータ8によりデジタル演算処理することができる。また、このマイクロコンピュータ8は入出力ポートを持ち、外部のコンピュータ機器またはテレビゲーム機器などに対しデータのデジタル信号出力または受信することができる。この実施例では、12bit、8チャンネルのA/D変換器およびメモリを内蔵した16bit型ワンチップマイクロコンピュータを用いた。また、回路基板9上に、センサのデータを記憶し、プロセッサの作業領域として用いるためのメモリを実装してもよい。この実施例では、1つの回路基板9上にA/D変換器7からマイクロコンピュータ8までを実装しているが、センサ部の基板と演算部の基板を分けて構成しても、何等問題なく、角度検出が行える。
【0135】
加速度センサ21の信号と角速度センサ22の信号は増幅器5によって増幅され、ローパス・フィルタ回路6によってノイズを除去した後、角速度センサ22の信号は微分回路25によって角加速度信号に変換した後、加算回路26によって合成される。微分された角速度センサ22の信号をあらかじめ反転増幅させておけば、加算回路26によって、加速度センサ21の信号から角速度センサ22の信号を差し引くことができる。加速度センサ21と角速度センサ22の信号の合成により、加速度センサ21に含まれる運動加速度成分を除去し、重力による加速度成分のみが残る。以上の方法で得られた加速度センサ21の信号はA/D変換器7によってデジタル量に変換され、演算処理によって傾斜角のデータを得ることができる。また、得られた傾斜角のデータと磁気センサ1、2、3のデータから回転角のデータが得ることができる。すなわち、センサの向いている方向を検出することができる。
【0136】
なお、本実施例の三次元位置検出装置には温度センサ23が設けてあり、温度変化によるセンサの特性変化を補正することができる。
以上に述べた本実施例の回路構成の概略を図16に示す。図17に本実施例で用いた加算回路26の概略を示す。図18に本実施例で用いた微分回路25の概略を示す。図15に本実施例で用いたローパス・フィルタ回路6の概略を示す。いずれの回路も抵抗器を可変抵抗にすれば、センサの感度などに合わせた特性に調整することが可能である。
【0137】
なお、上で述べた実施例では、1組だけの加速度センサ21と角速度センサ22しか備えていないため、X軸回りの傾斜角のみを計測する構成であるが、直交する配置でもう1組の加速度センサ21と角速度センサ22を備えることによりY軸回りの傾斜角も計測可能である。
【0138】
本実施例の三次元位置検出装置を用いて傾斜角の測定を行った。その結果を図19に示す。傾斜角をマイナス45゜から45゜まで、2秒の周期で連続的に変化させ、傾斜角のデータを記録したものである。点線は計算値63、一点鎖線は従来の方法による補正をしていない信号65、実線は加速度センサ21と角速度センサ22の信号を合成した本実施例の信号64、破線は角速度信号66である。図19からわかるように連続的に傾斜角を変化させると、重力加速度だけでなく運動加速度が加速度センサ21に働くため、従来の方法では正しい信号よりも大きな信号になってしまっている。それに対し、本実施例の信号64は計算値63に近い、ほぼ正しい信号になっている。
【0139】
応用例として、図20に示すヘッドマウントディスプレイ33(HMD)に本実施例のセンサ回路基板9(三次元位置検出装置)を搭載し、図21に示すようにこのHMD33をパーソナルコンピュータ37とを接続し、仮想現実感システム(バーチャル・リアリティ・システム,VRシステム)を構成した。
【0140】
図20に本実施例のセンサ回路基板9(三次元位置検出装置)を搭載したHMD33の概略を示す。
HMD33のゴーグル20内部にはセンサ回路基板9(三次元位置検出装置)と液晶表示装置31(LCD)が搭載されている。液晶表示装置31は右目用液晶表示装置(右)34と左目用液晶表示装置(左)35の合わせて2枚搭載されている。HMD33を頭部28に装着し、地磁気または人工的磁場の中で頭部28を動かすと、センサ回路基板9(三次元位置検出装置)が傾斜角と磁場の方向を検出するため、頭部28が向いている方向を検出することができる。センサ回路基板9(三次元位置検出装置)に搭載したマイクロコンピュータ8はパラレル出力ポートを備えているため、検出した角度のデータをデジタル信号としてパーソナルコンピュータ37へ送ることができる。パーソナルコンピュータ37内部のメモリには画像のデータが格納されており、その画像をHMD33のゴーグル20内部の液晶表示装置31に表示することができる。
【0141】
たとえば、ある室内画像のデータを表示すれば、HMD33装着者は、あたかもその室内にいるかのような感覚を得られる。画像信号は信号分配器36を通して左右の左右の液晶表示装置に入力される。左右の液晶表示装置35、34に視差を計算したわずかに異なる画像を表示することにより立体映像を表現することも可能である。このとき、センサ回路基板9(三次元位置検出装置)で検出した頭部28の動きに合わせてパーソナルコンピュータ37で画像のデータを演算処理した上、そのデータをゴーグル20内部の液晶表示装置31に表示することにより、HMD33装着者が右を向けば右側、左を向けば左側の画像のデータを表示することができる。したがって、表示している画像のデータが、室内を表現したデータであるとすると、HMD33装着者は頭部28を動かすことで、あたかも自分が室内を見回しているかのような感覚が得られる。この仮想現実感システムを用いると従来のテレビゲームに比べて臨場感あふれるゲームや立体映像を生かした三次元CADシステムなどの応用が可能である。このようなHMD方式仮想現実感システムについては、
ハワード・ワインゴールド 著 『バーチャル・リアリティ』(ソフトバンク
刊)
M・W・クルーガー 著 『人工現実』(トッパン 刊)
服部桂 著 『人工現実感の世界』(工業調査会 刊)
などで解説されている。
【0142】
以上のような仮想現実感システムにおいて、加速度センサ21のみで角速度センサ22を含まない三次元位置検出装置を用いると、頭部28の動きが速い場合、運動加速度の影響から正しい角度を検出できないことは、上述したとおりである。また、従来の三次元位置検出装置を用いると、回転角の計算にも傾斜角の値を用いるため、回転のデータも誤ったものとなってしまう。そのため、頭部28の動きに対してズレのある画像が表示され、HMD33装着者にとって不自然な画像の動きを見ていることになる。このように頭部28の動きを正確に反映しない動きの画像を長時間見ていると、HMD33装着者は気分が悪くなり、吐き気やめまい、頭痛を訴えた場合があった。
【0143】
しかし、本発明のセンサ回路基板9(三次元位置検出装置)を搭載したHMD33では、速い動作であっても正確に傾斜角、回転角を計測することができるため、頭部28の動きに対して正確に追従する画像を表示することができ、HMD33装着者が頭痛などの不調を訴えることはなかった。
【0144】
[実施例10]
図22に本発明のさらなる他の実施例の回路構成の概略を示す。実施例9がアナログ回路を用いて加速度センサ21と角速度センサ22の信号を合成して傾斜角を求めたものであるのに対して、実施例10は、各信号をデジタル量に変換した後に、マイクロコンピュータ8によってデジタル演算を行って合成し、傾斜角を求める方法を用いたものである。
【0145】
実施例9と同様に、本実施例の三次元位置検出装置は、3つの磁気センサ1、2、3と1つの加速度センサ21と1つの角速度センサ22を備えている。各センサの信号は増幅器5、ローパス・フィルタ回路6を経由して、A/D変換器7によりデジタル量に変換される。A/D変換した各センサの信号を表すデジタル量はマイクロコンピュータ8が演算処理し、傾斜角および回転角をデジタル信号出力する。計算式は問題を解決するための手段で述べた式を用いることができる。角速度信号は微分処理することにより角加速度信号に変換し、加速度センサ21の信号を補正するために用いる。デジタル演算処理では連続量の微分は行えないので、差分演算で代用すればよい。
【0146】
以上の方法により、実施例1と同様の効果、すなわち、傾斜角の変化量が大きく、運動による加速度が加速度センサ21に影響を与える場合であっても、正しい傾斜角のデータが得られる。
[実施例11]
以下に、本発明のさらなる他の実施例を図面に基づいて説明する。図23に本実施例における回路ブロック構成例を示す。X,Y,Zの3成分の磁場を検出するため、4つの磁気センサと1つの傾斜センサがそれぞれ増幅器5に接続されフィルタ回路6を通してアナログデジタル変換器7に入力されている。さらに、その結果がマイクロコンピュータ8に入力され、演算が行われて結果が出力される回路構成となっている。図24に三次元位置検出装置の概略図を示す。回路基板9内にX磁気センサ1とY磁気センサ2を設置し、その2つのセンサが成す面に立つように補正用Z磁気センサ3を2つ設置した。このとき、前記式(1)(2)の角φ,μ,ψ,κがほぼ0度となるように4個の磁気センサを取り付けている。そして、X、Y磁気センサが測定する磁場の面を回転面とし、この面に垂直となるように傾斜センサ4を設置した構造とした。図中のセンサに付けた矢印はセンサの向きを示すものである。補正用Z磁気センサ3は前記式(23)に示すように、2つ以上であればいくつでもかまわない。
【0147】
磁気センサ1、2、3には磁気抵抗素子を用い、傾斜センサ4には梁11のたわみ量から傾斜角度を測定するタイプを用いて三次元位置検出装置を作成した。次に、本実施例における三次元位置検出装置の回転角及び傾斜角度の検出結果を図25に示す。原点が回転、傾斜ともに0度の位置を現す。横軸が回転角度を意味し、左右に±180度の角度として表示している。回転角については1回転の計測が可能である。縦軸は傾斜角を意味し、上下に±90度の角度を示している。実施例において傾斜センサを1個のみの設置であったため、±90度の範囲を越えた計測は不可能であった。また、グラフ上の点は、縦軸の傾斜角を±10、±30、±50、±70、±90度、横軸の回転角を0、±20、±40、±60、±80、±100、±120、±140、±160、±180度にして、縦軸と横軸の各組合わせの各位置で出力された角度をプロットしたものである。全てに於いて、回転、傾斜にともなって、良好に角度を測定することができている。
【0148】
これと比較して図25中で測定誤差が大きい白丸は補正用Zセンサが1個の場合の測定値である。傾斜角度が0度から大きく離れるにつれて回転角度がシフトしていく。これは前後左右の回転面内に存在する地磁気、もしくは、測定環境の半固定磁場がモニタテレビのような磁場発生源や鉄板、鉄骨のような磁性材料によって歪まされている影響が現れているためである。
【0149】
以上の実施例により、本実施例の三次元位置検出装置を用いると、磁場の影響が軽減された精度の良い測定物体の三次元回転角度の測定が可能となることがわかる。
[実施例12]
以下に、さらに他の本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図26に本発明の本実施例における回路ブロック構成例を示す。X,Y,Zの3成分の磁場を検出するため、3つの磁気センサ1、2、3と2つの傾斜センサ4がそれぞれ増幅器5に接続されフィルタ回路6を通してアナログデジタル変換器7に入力されている。さらに、その結果がマイクロコンピュータ8に入力され、演算が行われて結果が出力される回路構成となっている。図27に三次元位置検出装置の概略図を示す。回路基板9内にX磁気センサ1とY磁気センサ2を設置し、その2つのセンサが成す面に立つように補正用Z磁気センサ3を1つ設置した。このとき、前記式(1)(2)の角φ,μ,ψ,κがほぼ0度となるように磁気センサを取り付けている。そして、X、Y磁気センサ1、2が測定する磁場の面を回転面とし、この面に垂直となるように傾斜センサ4を2個設置した構造とした。2個の傾斜センサ4は角度差90度で取り付けられているため、片方の傾斜センサ4が90度もしくは−90度傾いた場合、もう片方の傾斜センサ4は回転方向によって、プラスもしくはマイナスのGを感知しながら0度に達する。この値と符号を用いて計算することにより、傾斜角度を全転360度測定することができる。このような構造の三次元位置検出装置を作製した。図中のセンサに付けた矢印はセンサの向きを示すものである。
【0150】
本実施例では傾斜センサ4は2個であるが、傾斜センサ4は2つ以上であればいくつでもかまわない。また、磁気センサ1、2、3には磁気抵抗素子を用い、傾斜センサ4には梁11のたわみ量から傾斜角度を測定するタイプを用いた。本実施例の磁気センサには磁気抵抗素子を用いたが、磁気抵抗素子以外のセンサでも、磁気インピーダンス素子、フラックスゲートのような高感度な磁気センサであれば、磁気抵抗素子を用いた場合と同レベルの検出信号を得ることができるので、このような磁気センサを用いても発明の効果は磁気抵抗素子を用いた場合と同様である。
【0151】
次に、本実施例における三次元位置検出装置の回転角及び傾斜角度の検出結果を図28に示す。原点が回転、傾斜ともに0度の位置を現す。横軸が回転角度を意味し、左右に±180度の角度として表示している。回転角については1回転の計測が可能である。縦軸は傾斜角を意味し、上下も±180度の角度を表示している。
【0152】
グラフ上の点は、縦軸の傾斜角を±10、±30、±50、±70、±90、±110、±130、±150、±170度、横軸の回転角を0、±20、±40、±60、±80、±100、±120、±140、±160、±180度にして、縦軸と横軸の各組合わせの位置で出力された角度をプロットしたものである。グラフからもわかるように、従来では不可能であった±90度以上の傾斜角度を測定できている。
【0153】
以上のような実施例により、本発明の三次元位置検出装置を用いると、測定物体の傾斜全転の三次元的な角度測定が可能となることがわかる。
[実施例13]
以下に、本発明のさらに他の実施例を図面に基づいて説明する。図29に三次元位置検出装置の概略図を示す。回路基板9内にX磁気センサ1とY磁気センサ2を設置し、その2つのセンサが成す面に立つように補正用Z磁気センサ3を1つ設置した。このとき、前記式(1)(2)の角φ,μ,ψ,κがほぼ0度となるように磁気センサを取り付けている。本実施例の磁気センサ1、2、3には磁気抵抗素子を用いた。また、磁気抵抗素子以外のセンサでも、磁気インピーダンス素子、フラックスゲートのような高感度な磁気センサであれば、磁気抵抗素子を用いた場合と同レベルの検出信号を得ることができるので、発明の効果は磁気抵抗素子を用いた場合と同様である。
【0154】
さらに、X、Y磁気センサ1、2が測定する磁場の面を回転面とし、この面にほぼ垂直となるように傾斜センサ4を1個設置した構造とした。図中のセンサに付けた矢印はセンサの向きを示すものである。さらに、その回転面上に不揮発性メモリ24であるEEPROM及び、センサ周辺温度を計測するための温度センサ23を搭載した。図30にセンサ回路のブロック図を示す。X,Y,Zの3つの磁気センサ1、2、3と傾斜センサ4がそれぞれ増幅器5に接続されフィルタ回路6を通してアナログデジタル変換器7に入力されている。また、温度センサ23もアナログデジタル変換器7に入力されている。そして、A/D変換結果がマイクロコンピュータ8に入力され、不揮発性メモリの信号を参照して演算が行われ、その結果が出力される回路構成となっている。
【0155】
次に、本実施例の三次元位置検出装置を恒温槽に入れ、最初に20度での各センサが出力する基準電圧をそれぞれ測定し、センサ個体のバラツキを校正し、それをEEPROMに記録した。次に、温度を0度から50度まで変化させて、センサ及び回路の温度ドリフト量を測定し、EEPROMに記録した。
【0156】
図31、図32に本実施例における位置検出装置の回転角及び傾斜角度の検出結果を示す。回転角45、90、135、180度に保持して、温度を変化させたときに出力される角度をプロットしたものが図31で、傾斜角度±45、90度に保持して、温度を変化させたときに出力される角度をプロットしたものが図32である。全てに於いて、回転、傾斜とも、温度の影響無しに角度を測定することができている。
【0157】
また、他の実施例8に示した、最もシンプルな磁気センサのみの三次元位置検出装置においても、センサの近傍に温度センサを設置し、上述したような温度補正をかけたところ、同様の結果を得ることができた。
以上のような実施例により、本発明の三次元位置検出装置を用いると、環境温度に左右されず、測定物体の三次元的な角度測定が可能となることがわかる。
【0158】
[実施例14]
以下に、本発明のさらに他の実施例を図に基づいて説明する。
図33に、本実施例の構成図を示す。本実施例の三次元位置検出装置は、ヘッドマウントフレーム29上に設置された磁気センサユニット40と傾斜センサユニット41、センサからの信号を処理する演算ボックス42からなる。磁気センサユニット40と傾斜センサユニット41には、それぞれ中に増幅器5が組み込まれてあり、演算ボックス42にケーブルで接続されている。演算ボックス42には、フィルタ回路6とA/D変換器7とマイクロコンピュータ8が組み込まれてあり、マイクロコンピュータ8で計算されたデータはRS−232Cを介してコンピュータシステム49に接続されている。全体のブロック図を図34に示す。
【0159】
このとき、磁気センサ1、2、3は磁気抵抗素子からなり、前記式(1)(2)の角φ,μ,ψ,κがほぼ0度となるように磁気センサを取り付けている。磁気センサ1、2、3が検出した信号は、これを増幅する増幅器5に入力される。磁気抵抗素子は、外部磁界の方向によって電気抵抗に異方性を生じる磁気抵抗効果を用いたものである。このため、磁気抵抗素子は感度に指向性を持っていて、局所磁場を簡単に検出することができる。本実施例の磁気センサ1、2、3には磁気抵抗素子を用いたが、磁気抵抗素子以外のセンサでも、磁気インピーダンス素子、フラックスゲートのように、高感度な磁気センサであれば、磁気抵抗素子を用いた場合と同レベルの検出信号を得ることができ、発明の効果は磁気抵抗素子を用いた場合と同様である。
【0160】
傾斜センサ4も信号を増幅する増幅器5に入力されている。傾斜センサ4は、梁の先に重りを付け、梁がたわむことを利用して、ひずみゲージでたわみ量を測定するタイプである。図35に傾斜センサ4の傾きを変化させたときのセンサの出力値変化特性のグラフを示す。横軸は傾斜センサ4の傾き、縦軸は1Gで1V出力とした場合の傾斜センサ4の出力値である。
【0161】
増幅された各センサの信号は、ノイズ成分をカットするフィルタ回路6に入力され、A/D変換器7に入力される。そして、デジタル信号に変換し、マイクロコンピュータ8により、ユーザーの頭の回転角または位置を計算し、結果を出力する。フィルタ回路6はよく知られている例えばCR回路からなり、電気的なノイズを除去するものである。マイクロコンピュータ8は、処理プログラムの入ったメモリを内蔵している。また、A/D変換器7以降の演算部をヘッドマウントフレーム29に取り付けることも可能である。
【0162】
本実施例の動作原理は、最初にスタート時点での局所磁場の向きと重力に対するユーザーの頭の傾きを磁気センサ1、2、3、傾斜センサ4から求めておく。次に、センサからの信号をマイクロコンピュータ8に送り、前記式(1)から(8)を用いてユーザーの頭の傾きと回転角度を計算してデータを出力する。これら一連の処理を20ms以内で行い、次の時点で新たに角度を計算する。
【0163】
本実施例では、傾斜センサ4のヘッドマウントフレーム29への取り付け位置が重要となる。
傾斜センサ4は、地球の重力を検出する以外に、物体の運動加速度も検出する。そのため、ヘッドマウントフレーム29に傾斜センサ4を設置した場合、傾斜センサ4は重力による力の合成値と、頭の回転及び移動によって引き起こされる加速度成分値の合成値が出力される。そのため、ヘッドマウントフレーム29に取り付けられた傾斜センサ4の出力値を用いて方向及び位置の計算を行った場合、本来の方向及び位置とは大きく異なってしまう。そこで、本実施例では、傾斜センサ4の設置位置を特定することで、頭の回転及び移動によって引き起こされる加速度成分を最小にし、重力による力の成分値だけを検出する三次元位置検出装置を作製した。
【0164】
傾斜センサ4の取り付け方が、図36(a)に示すように、傾斜センサ4の感度方向と重力の方向が一致する場合、垂直回転平面内に傾斜センサ4を設けると、傾斜センサ4の重りに回転による接線方向の加速度成分が大きくかかる。従って、回転による接線方向の加速度成分を最小にするために、傾斜センサ4の設置位置は頭の耳付近に設置した。前記の傾斜センサ4の設置位置では、垂直回転の場合、傾斜センサ4の設置位置が頭の回転の中心に近いため、回転の接線方向の加速度が小さく、重力による力の成分値の方が大きくなり、回転による加速度成分を最小にすることができる。さらに水平回転の場合、図36(a)のような取り付け方では、回転による加速度は、傾斜センサ4の感度方向に垂直であるため、無視することができる。
【0165】
また、傾斜センサ4の取り付け方が、第36図(b)に示すように、傾斜センサ4の感度方向と重力の方向が垂直である場合、水平回転平面内に傾斜センサ4を設けると、傾斜センサ4の重りに、回転による遠心力成分が大きくかかり、垂直回転平面内に傾斜センサ4を設けると、傾斜センサ4の重りに、回転による接線方向の加速度成分が大きくかかる。このため、遠心力、回転の接線方向の加速度成分等の検出を最小にするために、傾斜センサ4の設置位置は、頭の後頭部から首の付け根付近に設置した。前記の傾斜センサ4の設定位置では、水平回転の場合、頭の回転の中心に近いため、傾斜センサ4の重りにかかる回転による遠心力成分を小さくすることができる。また、垂直回転の場合、頭の後頭部付近の動きは小さいため、傾斜センサ4の重りにかかる回転の接線方向の加速度成分は非常に小さい。このため、頭の傾きによる重力の成分が大きく出力されることになる。
【0166】
上記の方法により、本発明は傾斜センサ4の取り付け場所を変え、運動の加速度成分に対する感度をできるだけ小さくした結果、精度の良い三次元位置検出ができた。
[実施例15]
本実施例は、磁気センサ1、2、3、傾斜センサ4から演算回路全ては、実施例14と同様の構成になっている。傾斜センサ4は、地球の重力を検出する以外に、物体の運動加速度も検出する。そのため、傾斜センサ4の出力値を用いて位置の計算を行った場合、本来の位置とは大きく異なってしまう。そこで、本実施例では、三次元位置検出装置の回転によって引き起こされる加速度成分を、磁気センサ1、2、3の信号を用いて取り除いた。
【0167】
マイクロコンピュータ8に入力される磁気センサ1、
2、3の信号から、前記式(20)に示される速度vを求める方法について説明する。前記手段4に示したように、傾斜センサ4と同様に回転している磁気センサ1、2、3の成分を時間微分し速度vを計算する。さらに、もう一度時間で微分することにより、傾斜センサ4に働く加速度aが算出される。そして、傾斜センサ4の出力値からこの加速度aを引くことで、重力加速度成分だけが残ることになる。上記の方法によって、傾斜センサ4の運動成分を取り除いた正確な位置検出をすることができる。
【0168】
[実施例16]
三次元位置検出装置の左右回転が非常に早いとき、その回転による遠心力や回転の接線方向の加速度も大きくなる。そこで、本実施例では、左右回転角度の変化分が大きい場合、現在の傾斜センサ4の値を、1つ前に計測した値に入れ換えて、角度計算を行うアルゴリズムをマイクロコンピュータ8に組み入れた。尚、回路構成は、前記実施例14と全て同じである。
【0169】
図37に本実施例の位置計算用フローチャートを示す。磁気センサ1、2の現在の値と1サイクル前の値をメモリから取り出して、それらの差の絶対値を求める。そして、その値がすべて1ビット以下であれば、高速な左右回転は発生していないと判断し、現在の傾斜センサ4の値をメモリから取り出し、手段1に示した方法で三次元位置を計算する。しかし、絶対値の一つでも2ビット以上であれば、高速な左右回転が発生していると判断し、1サイクル前の傾斜センサ4の値をメモリから取り出し、手段1に示した方法で三次元位置を計算する。
【0170】
ここで、1サイクルは20msの周期である。
三次元位置検出装置が左右に速く回転するときには、三次元位置検出装置の重力方向に対する傾斜が大きく変化することは少ない。そして、磁気センサの信号の変化量は、1サイクル20ms付近で三次元位置計算を行っている場合、1ビット以下になると、運動の加速度の影響が大きくなるといえる。これは本実施例の三次元位置検出装置を使った動作テストから割り出したものである。
【0171】
この処理を行った結果、非常に速い三次元位置検出装置の動きも追従して計測できた。
[実施例17]
実施例17では、傾斜センサ4についてのさらに他の実施例をしめす。傾斜センサ4に関する問題点において、傾斜センサ4に梁のたわみ量から傾斜角度を測定するタイプを用いるとき、その検出感度がサインカーブを描くため、検出角度が±90度付近で出力値の変化量が小さくなり、角度の検出分解能が下がり、感度が悪くなるという問題があった。
【0172】
そこで、前記さらなる改善手段8に示したように、傾斜センサ4を2個使い、感度が悪い範囲をカバーして傾斜を測定した。図38に本実施例の傾斜センサ4を回転させたときの出力波形を示す。出力に関しては、出力値を出力の振幅で割り、単位量として表現している。回転角が0度のとき、傾斜センサ▲1▼の出力は0であり、傾斜センサ▲2▼の出力は最大となる。回転角が増すと、傾斜センサ▲1▼の感度は90度に近づくにしたがって悪くなり、逆に傾斜センサ▲2▼の感度は大きくなる。そこで、水平面に対して−45度〜45度、135度〜180度、−180度〜−135度の範囲は傾斜センサ▲1▼を用い、45度〜135度、−135度〜−45度の範囲は傾斜センサ▲2▼を用いることにした。このように、本実施例では、傾斜センサの傾き角度によって、信号を取り込む傾斜センサを切り換えることで、正確な傾斜角度の検出が可能となった。
【0173】
[実施例18]
実施例17に説明した傾斜角度の検出方法について、同じ型の傾斜センサ4でも、その感度にバラツキがある場合を、さらに他の実施例18として説明する。2個の傾斜センサ4にバラツキがある場合、傾斜センサ4の信号切り換えを行うと、例えば傾斜センサ▲1▼の出力が45度を示していたとしても、傾斜センサ▲2▼の出力が45度を示しているとは限らず、切り換えたときに角度が45度から急に50度に「とぶ」ということも起こる。
【0174】
そこで、前記さらなる改善手段8に示した「とび」補正の手段に従って、本実施例では、信号の切り換えの前後で傾斜センサの信号に補正を加えて位置計算に信号を送る機構とした。
動作原理は、信号切り換えの前後5度の範囲の所から、
傾斜センサ▲1▼の出力×α+傾斜センサ▲2▼の出力×(1−α)
という計算を行い、2つの傾斜センサの値の「とび」をフィルタしてとっている。ここで係数αは、傾斜センサの検出する角度によって変化する値であり、傾斜センサ▲1▼と傾斜センサ▲2▼の切り換え前後5度の角度とαの関係は図39に示すとおりである。
【0175】
以上の手段をとることで、傾斜センサの出力信号を切り換えたときの信号の「とび」がなくなり、スムーズなカーソルの移動や画面の切り換えが可能となった。
[実施例19]
以下に、本発明を三次元マウス装置として応用したさらに他の実施例19を図40に基づいて説明する。また、図41に本発明の三次元マウスのブロック図を示す。
【0176】
三次元マウス装置は、光通信窓46と光通信部47及び、ボタンスイッチ44を有する三次元マウスと外部コンピュータシステム49に接続された光通信部47からなる。三次元マウスには、傾斜センサ4を兼ねる2つの加速度センサ21と3つの磁気センサが組み込まれている。各センサは、センサの信号を増幅する増幅器5に接続され、さらに電気的ノイズを除去する例えばCR回路を用いたフィルタ回路6に接続されている。フィルタ回路6の出力端は、A/D変換器7を通してマイクロコンピュータ8に接続され、各センサからの信号から三次元マウスの位置を算出する。マイクロコンピュータ8の出力端は光通信部48と接続され、算出された位置情報は、例えばデジタル信号で光送信される。
【0177】
光通信部47、48は、信号を発信する光発光素子例えば赤外発光LEDと信号を受信する素子例えばPINダイオードとその駆動回路からなる。また、光通信部48には、受信信号をコンピュータシステム49のシリアルマウスやバスマウスの端子に送る処理回路を持っている。
【0178】
磁気センサの設置方法は、実施例1と同様である。加速度センサ21の設置方向は、以下に示す。マウスが検出する移動方向をX方向、Y方向とすると、2個のX、Y加速度センサ61、62をその感度方向がX、Yの方向に平行となるように設置した。加速度センサ21の構造は、実施例1で用いた梁のたわみ量から傾斜角を求める傾斜センサと同じである。
【0179】
X加速度センサ61の検出する方向とY加速度センサ62の検出する方向で構成される平面を基準面とし、この面で三次元マウスが移動した軌跡を測定する。
本発明の動作原理について説明する。
基本的に三次元マウスの光通信窓46の方向を正面とし、その方向をY加速度センサ62の感度方向とする。そして、それに直行する方向をX加速度センサ61の感度方向とする。また、移動距離は、基準面を含む平面内の平行移動を計測する。ここで、三次元マウスが移動することによって加速度が発生し、X、Y加速度センサ61、62で加速度が検出される。検出されたX方向の加速度の大きさとY方向の加速度の大きさから、三次元マウスの移動した方向と加速度の大きさが分かる。この加速度の大きさを時間で2回積分することで、三次元マウスの移動した距離と方向が求まる。この計算は、5ミリ秒ごとに行う。そして、積分の計算により算出された距離X、Yはコンピュータシステム49に送られる。
【0180】
次に、Y加速度センサ62の感度方向をY軸とし、その軸の回転をC回転、X加速度センサ61の感度方向をX軸とし、その軸の回転をB回転、基準面に垂直な方向をZ軸とし、その軸の回転をA回転とする。ここで、基準面内での移動は回転を伴わない移動であるので、磁気センサの出力は変化しない。回転が起きた時には、磁気センサの信号が変化する。磁気センサが変化し、かつ、Y加速度センサ62が変化した場合は、B回転が起きたことになる。よって、Y加速度センサ62の値を用いて、前記式(3)によりB回転した角度を求める。また、磁気センサが変化し、かつ、X加速度センサ61が変化した場合は、C回転が起きたことになる。
【0181】
前記式(3)はX加速度センサ61を用いた場合、C回転した角度を角Bとしたときと等価になるので、前記式(3)を用いてC回転した角度を求める。そして、A回転は、X、Y、Z磁気センサ1、2、3と角Bを用いて、前記式(2)もしくは前記式(8)により求める。
【0182】
三次元マウスでは、空間内の軌跡や回転を計測するため、三次元マウスとコンピュータシステム49がケーブル等で接続されている場合、操作の妨げとなる。そこで、本実施例では、三次元マウスで計算された位置信号を光通信部48で例えば赤外光に変換して信号を送り、光通信部47で信号を受けてデジタル信号に変換し、コンピュータシステム49に信号を送る。
【0183】
本実施例の三次元マウスを用いて三次元ポインティング入力を行った。XY平面内のカーソルの移動は、通常のマウス動作と同様にした。そして、マウスの回転角度に対応させて、コンピーュータシステム49内に表示されているマウスカーソルの矢印の方向を、回転させるポインティングアプリケーションを作成した。マウスカーソルの矢印は立体的に描かれており、コンピュータシステム49の画面中でマウスの回転と同じ向きに回転する仕様となっている。三次元の画像をコンピュータシステム49の画面に表示し、本実施例の三次元マウスを手に持って、その仮想立体画面内の物体を人間の感覚を損なわずにポインティングすることができた。さらに、ボタンスイッチ44を用いて画面内を移動させることも違和感なくできた。
【0184】
また、回転をコンピュータシステム49の画面上下移動量に換算するソフトを登録して、画面の2次元的な部分のポインティングデバイスとして使用した。この場合、移動距離を求める必要が無いので、本実施例の三次元マウスに組み込まれた加速度センサのうち、Y加速度センサ62一つだけ機能させ、X加速度センサ61は使用しなかった。使用においては、通常のマウスのように、机上を移動させることなく、軽く手首をひねるだけで容易にマウスカーソルによるポインティングを行うことができた。
【0185】
次に、回転軸を限定して同様に回転をコンピュータシステム49の画面上下移動量に換算するソフトを登録して、画面の2次元的な部分のポインティングデバイスとして使用した。この場合、本実施例の三次元マウスに組み込まれた磁気センサだけ機能させ、加速度センサ61、62は使用しなかった。使用においては、上下左右回転だけで、上記とどうように、通常のマウスのように、机上を移動させることなく、軽く手首をひねるだけで容易にマウスカーソルによるポインティングを行うことができた。
【0186】
本実施例では、三次元マウスへの応用実施例を述べたが、このシステムは三次元空間の移動量を計測できるので、三次元タブレットと考えても同等であり、三次元タブレットとしても十分実用的ある。
[実施例20]
本実施例によるナビゲーションシステム50は、移動する物体、例えば、自動車、船舶、自動二輪車、自転車、カート等に用いられる位置検出システムである。図42に本実施例の構成図、図43に本実施例のブロック図を示す。ナビゲーションシステム50には、少なくとも2つの加速度センサ21と3つ以上の磁気センサ1、2、3が組み込まれている。各センサは、センサの信号を増幅する増幅器5に接続され、さらに電気的ノイズを除去する例えばCR回路を用いたフィルタ回路6に接続されている。フィルタ回路6の出力端は、アナログデジタル変換器7からマイクロコンピュータ8に接続され、各センサからの信号から移動物体の現在位置を算出する。マイクロコンピュータ8の出力端はデータ出力端子と接続され、算出された位置情報は、地形データを持ったコンピュータシステム49に送られ、モニタ43に現在位置が表示される。
【0187】
加速度センサ21は、回路基板9内に互いに垂直に配置されたX加速度センサ61とY加速度センサ62からなる。X加速度センサ61の検出する方向とY加速度センサ62の検出する方向で構成される平面を基準面とする。X、Y加速度センサ61、62は、梁の先に重りを付け、慣性力により梁がたわむことを利用して、たわみ量を測定するタイプで実施例1で用いた傾斜センサ4と同様の仕組みである。磁気センサの設置方法は、実施例1と同様に設置されている。X磁気センサ1は、X加速度センサ61の検出方向と、Y磁気センサは、Y加速度センサ62の検出方向と一致させる。磁気センサには、磁気抵抗素子を用いているが、これは外部磁界の方向によって電気抵抗に異方性を生じる磁気抵抗効果を用いたものである。このため、磁気抵抗素子は感度に指向性を持っていて、3軸に配置することにより磁場を検出することができる。本実施例の磁気センサには磁気抵抗素子を用いたが、磁気抵抗素子以外のセンサでも、磁気インピーダンス素子、フラックスゲートのように、高感度な磁気センサであれば、磁気抵抗素子を用いた場合と同レベルの検出信号を得ることができ、発明の効果は磁気抵抗素子を用いた場合と同様である。
【0188】
本発明の動作原理について説明する。
基本的に移動物体の進行方向をY方向とする。スタート時点で現在位置をコンピュータシステム49に登録し、また、スタート時点での加速度センサ21、磁気センサ1、2、3の出力値をオフセット値として記憶させる。この場合、スタート時点の登録は、水平な場所で行うことが必要である。次に、移動物体が移動することによって加速度が発生し、Y加速度センサ62で加速度が検出される。検出されたY方向の加速度の大きさから、移動物体の移動した加速度の大きさが分かる。この加速度の大きさを時間で2回積分することで、移動物体の移動した距離が求まる。
【0189】
移動物体が自動二輪車や自転車のように移動中に左右(X方向)に車体が傾く場合、磁場が変化するため、正確な進行方向を算出することができない。そこで、本発明では、X加速度センサ61を用いて移動中の車体の傾きを測定し、X、Y、Z磁気センサ1、2、3の出力値とX加速度センサ61の出力値から常に正確な進行方向を測定することができる。この測定は、手段で説明した式(1)から式(8)について、左右傾斜を角Bとおき、磁気センサX、Yの値を入れかえることで対応できる。
【0190】
また、Y加速度センサ62は運動加速度を検出する以外に重力加速度も検出してしまうため、移動物体の移動による加速度センサの出力には、重力加速度と運動加速度の合成値分が出力される。例えば、移動物体が傾斜地を移動するとき、Y加速度センサ62の出力値には、重力加速度と運動加速度の合成値分が出力されることになる。そこで、加速度センサの出力値から移動物体の移動による加速度成分を分離するために、手段で説明した式(1)から式(8)を用いて、移動物体が傾斜角(角B)を求める。そして、Y加速度センサ62の変化量から傾斜分の重力加速度を引いて積分の計算を行うことにより、移動距離を求めることができる。
【0191】
本実施例のナビゲーションシステム50を自転車に取り付けて、地図をコンピュータシステム49に入力した地域を走って評価した。コンピュータシステム49にはサブノートパソコンを用いた。モニタ43として、通信機能の付いたポケットコンピユータを用いて、その液晶画面に地図と位置を表示させた。位置検出回路基板9は、自転車のボディにクランプして取り付けた。また、サブノートパソコンは荷台に取り付け、ポケットコンピュータはハンドルに取り付けた。そして、それぞれをケーブル等で接続した。
【0192】
自転車を運転していると、左右の揺れが起きるが、多少の左右の揺れには影響されず、正確に移動位置をナビゲートした。コース途中の勾配に対しても、完全に追従していた。
以上のような構成により、取り付け、取り外しが容易であり、静止衛星からの信号に依存しない自立したナビゲーションシステム50が可能となった。また、従来では、現在位置を測定するのが困難であった自動二輪車や自転車のような軽車両のナビゲーションシステムも可能となる。しかも、構成が簡単なため、安価に製造することができる。
【0193】
以上に、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上記の実施例だけに限定されるものではなく、本発明の技術思想と同じ思想の応用例は当然本発明に属するものである。
【0194】
【発明の効果】
発明の効果として、従来の方位センサのような磁気センサが2個の装置は、水平回転の二次元的な方位もしくは回転角のみを検出するだけであり、三次元的な空間の位置変化を計測することができなかった。しかし、本発明で示したように、補正用磁気センサを含めて少なくとも3個の磁気センサと少なくとも1個の傾斜センサを用いて、その信号を増幅、演算することができる三次元位置検出装置を構成することにより、最小使用個数が磁気センサ3個と傾斜センサ1個というシンプルで安価なシステムで、三次元位置検出を実現することができた。
【0195】
また、3軸成分を検出する磁気センサのみと、その信号を増幅、演算する回路を設けた三次元位置検出装置を作ることにより、ある特定の方向のまわりには回転しないという制限付きではあるが、角度の三次元位置検出を行うことが可能となった。しかも、センサの構成としては磁気センサのみの最もシンプルで安価な構成で、三次元位置検出を実現することができた。尚、バーチャルリアリティシステム等における人間の頭部の回転角検出を行なう場合、顔のロール方向はほとんど無視できるので、回転に制限があっても姿勢を検知することは実用上十分に可能である。
【0196】
次に、本発明の傾斜センサについての効果を述べる。
本発明では、加速度センサと角速度センサを組み合わせて傾斜センサを構成し、混合加速度から運動加速度を差し引くことにより、純粋な重力成分の分離に成功した。すなわち、傾斜角が動的に変化していても、あるいは静止状態にあっても正確に角度を計測することができるようになった。
【0197】
さらに、同様の考え方で、加速度センサを用いた傾斜センサと磁気センサで構成される三次元位置検出装置の場合、磁気センサの成分から運動加速度を算出し、加速度センサの値から差し引くことで、正確に角度を計測することもできるようになった。
【0198】
また、磁気センサの変化量から左右の高速回転を判断し、位置計算に使う傾斜センサの値を選択するアルゴリズムを用いることにより、高速な左右回転による傾斜センサへの運動加速度の影響が小さくなるように補正することができた。
次に、本発明のさらなる改善により行った電気的もしくは磁気的なノイズや微振動によるノイズの消去の効果について述べる。
【0199】
商用電源によるノイズ、微小振動によるノイズ、または、磁場歪によるノイズ等、種々のノイズが三次元位置検出の周辺において発生する。しかし、本発明のカットオフ周波数fcが10から100Hz程度のローパスフィルタにより、電源ノイズや微小な振動のノイズを取り除くことができた。また、磁場歪による磁場のノイズは、回転面に角度を持たせて少なくとも2個以上の補正用磁気センサを設置し、これらを平均して求めることにより、磁場歪によるノイズを無視できるくらい小さくすることができた。
【0200】
さらに、ノイズをデジタル処理側でフィルタリングするために、位置計算のサイクルを15〜20msとすることにより、前記時間内に発生した振動ノイズや急峻な運動加速度による傾斜センサの値の振動をある程度カットすることができた。
【0201】
次に、傾斜センサの感度の問題についての本発明のさらなる改善における効果を述べる。
梁のたわみ量から傾斜角を求めるタイプの傾斜センサは感度方向が垂直に近づくにつれて精度が悪くなる。しかし、本発明に示したように、複数個の傾斜センサを取り付け角度を変えて設置することにより、感度の良いセンサに切り換えることができ、傾斜センサの感度不良域を無くすことができた。また、傾斜センサの信号切り換えの前後で、値を平均する等の補正を行うことにより、傾斜センサが2個にわたるときの感度の「とび」を無くすことができた。
【0202】
さらに、傾斜センサに梁のたわみ量から傾斜角を求めるタイプを用いる限り、その検出範囲が正負90度に限られていたが、本発明において、回転面内の少なくとも2つ以上の傾斜センサから出力される信号の位相差を検出し、演算回路で計算することにより、±90度の以外の範囲で三次元回転位置を測定することができた。
【0203】
また、三次元位置検出装置のコストを安くするために、低性能なセンサや安価な部品を用いたことにより発生した問題を解決した本発明のさらなる改善の効果を述べる。
位置センサ部または演算回路部に、不揮発性もしくはデータを保存することができるメモリを搭載し、個体バラツキ特性や温度バラツキ特性を記録した。さらに、回路の製造番号等の個体を識別できるデータも記録し、ソフトスイッチの役割も付けたことにより、環境温度の変化や部品の固体バラツキによる性能の違いを取り去って、常に安定した位置を検出することができるようになった。また、三次元位置検出装置を用いるアプリケーションから三次元位置検出装置の個体の識別や内部演算のソフトスイッチによる切り換えができるようになった。
【0204】
次に、傾斜センサの感度方向によって、その配置を変えた場合の本発明の応用用途別解決手段の効果について述べる。
本発明では、バーチャルリアリティに三次元位置検出装置を用いるとき、傾斜センサを耳付近、または、後頭部から首の付け根付近に設置する構成を発明した。この構成により、傾斜センサ感度と頭の回転の方向を分離し、頭の回転に対して角加速度の影響を最も小さくすることができ、良好な回転角測定を行うことができた。
【0205】
次に、マウスやタブレットに応用した本発明の効果について述べる。
これらの機器において、少なくとも3個の磁気センサもしくはそれに加えて少なくとも1個の梁のたわみ量から傾斜角や加速度を求めることができる加速度センサを用いた本発明の三次元位置入力装置を用いることにより、入力に広い場所を必要とせず、しかも、三次元位置も入力できるマウスやタブレットを発明することができた。また、
加速度センサの数を増やすことにより、さらに高次元の移動距離を測定することができた。
【0206】
また、ナビゲーションシステムにおける位置センサとして応用する場合の効果について述べる。
本発明の三次元位置入力装置を用いることにより、自立して位置を検出することができ、安価で小型軽量で取付を安易に行うこともできる装置を発明することができた。
【0207】
以上は本発明の主な効果であるが、本発明は上記の如く多大なる効果を発するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の三次元位置検出装置の実施例1の回路ブロック図である。
【図2】本発明の三次元位置検出装置の実施例1〜7のセンサ構成を示す説明図である。
【図3】本発明の三次元位置検出装置及び傾斜センサの実施例に用いた重力によってたわむ梁を持つセンサの断面図である。
【図4】本発明の三次元位置検出装置の実施例4〜6に用いた光量型傾斜センサの断面図である。
【図5】本発明の三次元位置検出装置の実施例1の角度検出結果である。
【図6】本発明の三次元位置検出装置の実施例2の角度検出結果である。
【図7】本発明の三次元位置検出装置の実施例3の角度検出結果である。
【図8】本発明の三次元位置検出装置の実施例4の角度検出結果である。
【図9】本発明の三次元位置検出装置の実施例5の角度検出結果である。
【図10】本発明の三次元位置検出装置の実施例6の角度検出結果である。
【図11】本発明の三次元位置検出装置の実施例7の角度検出結果である。
【図12】本発明の三次元位置検出装置の実施例8の回路ブロック図である。
【図13】本発明の三次元位置検出装置の実施例8を内蔵したヘッドマウントディスプレイを頭部に装着したときの座標を示す説明図である。
【図14】本発明の三次元位置検出装置の実施例9の概略を示す平面図と側面図である。
【図15】本発明の三次元位置検出装置の実施例9で用いたフィルタ回路の回路図である。
【図16】本発明の三次元位置検出装置の実施例9の回路構成のブロック図である。
【図17】実施例9で用いた本発明の傾斜角検出装置の加算回路の回路図である。
【図18】実施例9で用いた本発明の傾斜角検出装置の微分回路の回路図である。
【図19】実施例9で用いた本発明の傾斜角検出装置の信号特性を示す図である。
【図20】本発明の三次元位置検出装置の実施例9を搭載したヘッドマウントディスプレイ装置の概略図である。
【図21】本発明の三次元位置検出装置の実施例9を搭載した仮想現実感システム構成のブロック図である。
【図22】本発明の三次元位置検出装置の実施例10の回路構成のブロック図である。
【図23】本発明の三次元位置検出装置の実施例11の回路構成のブロック図である。
【図24】本発明の三次元位置検出装置の実施例11のセンサ構成を示す説明図である。
【図25】本発明の三次元位置検出装置の実施例11の角度検出結果である。
【図26】本発明の三次元位置検出装置の実施例12の回路構成のブロック図である。
【図27】本発明の三次元位置検出装置の実施例12のセンサ構成を示す説明図である。
【図28】本発明の三次元位置検出装置の実施例12の角度検出結果である。
【図29】本発明の三次元位置検出装置の実施例13のセンサ構成を示す説明図である。
【図30】本発明の三次元位置検出装置の実施例13の回路構成のブロック図である。
【図31】本発明の三次元位置検出装置の実施例13の回転角度の温度特性を示す図である。
【図32】本発明の三次元位置検出装置の実施例13の傾斜角度の温度特性を示す図である。
【図33】本発明の三次元位置検出装置の実施例14の傾斜傾斜センサ取り付け位置及び概略を示す説明図である。
【図34】本発明の三次元位置検出装置の実施例14の回路構成のブロック図である。
【図35】本発明の三次元位置検出装置の実施例14に搭載された加速度センサを用いた傾斜センサの出力値変化特性のグラフである。
【図36】本発明の三次元位置検出装置の実施例14に搭載された加速度センサを用いた傾斜センサの取付方法と設定位置の関係を示した説明図である。
【図37】本発明の三次元位置検出装置の実施例16に搭載されたマイクロコンピュータが処理する速い回転が起きた場合の位置計算用フローチャートである。
【図38】本発明の三次元位置検出装置の実施例17に搭載された2個の傾斜センサの出力値変化特性のグラフである。
【図39】本発明の三次元位置検出装置の実施例18に搭載された2個の傾斜センサの切り換えの係数αの値と角度の関係を示したグラフである。
【図40】本発明の三次元位置検出装置を応用した実施例19の三次元マウスの概略図である。
【図41】本発明の三次元位置検出装置を応用した実施例19の三次元マウスの回路構成のブロック図である。
【図42】本発明の三次元位置検出装置を応用した実施例20のナビゲーションシステムの概略図である。
【図43】本発明の三次元位置検出装置を応用した実施例20のナビゲーションシステムの回路構成のブロック図である。
【図44】従来の方位系に用いられる2巻きコイルのフラックスゲートを示す説明図である。
【図45】重力によってたわむ梁を持つ加速度センサが傾斜角を検知する原理の説明図である。
【図46】従来技術例2に示した傾斜センサの概略図である。
【図47】手段2に示す軸と回転の関係を表す説明図である。
【符号の説明】
1 X磁気センサ
2 Y磁気センサ
3 補正用Z磁気センサ
4 傾斜センサ
5 増幅器(アンプ)
6 フィルタ回路
7 アナログデジタル(A/D)変換器
8 マイクロコンピュータ
9 回路基板
10 支持フレーム
11 梁
12 重り
13 抵抗体
14 容器
15 遮光性液体
16 窓
17 光源
18 光検出素子
19 Z磁気センサ
20 ゴーグル
21 加速度センサ
22 角速度センサ
23 温度センサ
24 不揮発性メモリ
25 微分回路
26 加算回路
27 固定バンド
28 頭部
29 ヘッドマウントフレーム
30 接続ケーブル
31 液晶表示装置
32 ヘッドフォン
33 ヘッドマウントディスプレイ(HMD)
34 液晶表示装置(右)
35 液晶表示装置(左)
36 信号分配器
37 パーソナルコンピュータ
40 磁気センサユニット
41 傾斜センサユニット
42 演算ボックス
43 モニタ
44 ボタンスイッチ
45 基準面
46 光通信窓
47,48 光通信部
49 コンピュータシステム
50 ナビゲーションシステム
51 X方向
52 Y方向
53 Z方向
54 コイルA
55 コイルB
56 コア
57 透明球
58 透明液体
60 軽車両
61 X加速度センサ
62 Y加速度センサ
63 計算値
64 実施例の装置の信号
65 補正していない信号
66 角加速度信号

Claims (8)

  1. 同一水平面内に設置され、2軸方向の磁力を検出する複数の磁気センサ
    前記水平面に対し角度を持ち、前記2軸方向と直行する軸方向の磁力を検出する補正用磁気センサと、
    移動によって重力加速度方向を検出する傾斜センサと、
    前記複数の磁気センサと前記補正用磁気センサ前記傾斜センサの各々の出力信号を増幅する増幅回路と、
    前記増幅回路から出力される前記複数の磁気センサと前記補正用磁気センサと前記傾斜センサの各々の出力信号から、電源ノイズまたは振動によるノイズを低減させるフィルタ回路と、
    前記フィルタ回路から、ノイズを低減させて出力された前記複数の磁気センサと前記補正用磁気センサと前記傾斜センサの各々の出力信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器と、
    前記アナログデジタル変換器から出力された、前記複数の磁気センサと前記補正用磁気センサと前記傾斜センサのデジタル信号より、動的ノイズの特性値を算出し、前記動的ノイズの特性値を前記傾斜センサのデジタル信号より除去するマイクロコンピュータと、
    を有することを特徴とする位置検出装置。
  2. 前記フィルタ回路がローパス・フィルタであって、カットオフ周波数fcが、10Hz以上50Hz以下であることを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
  3. 前記傾斜センサは、重力ベクトルの方向が変化することにより変位する梁のたわみ量を信号として出力し、
    当該信号と前記補正用磁気センサの信号から位置を演算し、出力することを特徴とする請求項1または2に記載の位置検出装置。
  4. 前記傾斜センサが重力の感度方向に位相差を持つ様に2個設置されていることを特徴とする請求項1ないし3に記載の位置検出装置。
  5. 前記傾斜センサが重力方向に対して傾斜したときに、最も感度が良い方向の前記傾斜センサを前記マイクロコンピュータが選択し、当該傾斜センサの信号を用いて位置を演算し、出力することを特徴とする請求項4に記載の位置検出装置。
  6. 前記傾斜センサは、内部に円筒型容器に封入された溶液と、その溶液によって光の透過量が変化する窓と、透過光量に感能して抵抗値が変化する光センサと、を有し、重力ベクトルの方向が変化することにより変化する光の透過量を信号として出力し、
    前記マイクロコンピュータは、前記傾斜センサが出力する信号と前記補正用磁気センサの信号から位置を演算し、出力することを特徴とする請求項1ないし5に記載の位置検出装置。
  7. 前記磁気センサまたは前記傾斜センサの少なくとも一方が設けられた基板上に前記磁気センサまたは前記傾斜センサの周辺温度を測定するための温度センサを有することを特徴とする請求項1ないし6に記載の位置検出装置。
  8. 前記マイクロコンピュータに接続され、前記マイクロコンピュータで計算した回転角度または移動量の位置情報を外部のコンピュータシステムと送受信するための第1の光通信部と、
    前記コンピュータシステムのバスまたはシリアル端子に接続され、前記第1の光通信部と信号を送受信する第2の光通信部と、を有することを特徴とする請求項1ないし7に記載の位置検出装置。
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