JP3841368B2 - 低硫黄軽油用油性向上剤及び低硫黄軽油組成物 - Google Patents

低硫黄軽油用油性向上剤及び低硫黄軽油組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低硫黄分軽油用油性向上剤及びそれが配合されてなる低硫黄軽油組成物に関する。さらに詳しくは、例えば、ディーゼルエンジンの燃料等として用いられている低硫黄分軽油の低温貯蔵安定性を向上させるための低硫黄軽油用油性向上剤及びそれが配合されてなる低硫黄軽油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディーゼル車から排出された排気ガスに含まれている窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)及び粒子状物質が環境に与える影響、例えば、エンジン用燃料である軽油に含まれている硫黄分が燃焼することによって発生する酸性物質によるエンジン内部の金属の腐食摩耗及び酸性雨等が懸念されている。
【0003】
そこで、従来、排気ガス中の窒素酸化物及び硫黄酸化物の含有濃度が規制されていたが、近年、新たに微粒子状物質に対しても規制がされている。
【0004】
前記微粒子状物質の主たる原因は、軽油に含まれている硫黄分が燃焼することによって発生する硫黄酸化物にあると考えられており、前記微粒子状物質を削減させるための対策として、排気ガスに含まれている硫黄酸化物の量を低減させること、すなわち軽油に含まれている硫黄の含有量を削減することが提案されている。
【0005】
例えば、米国においては、「米国大気浄化法(Clean Air Act)」の改正(1990年)に伴い、硫黄の含有量を0.05重量%以下とする軽油の品質基準の改正が行なわれている。
【0006】
わが国においても、1992年に軽油に含有されている硫黄含量をまず0.2重量%以下に制限し、また1997年中には硫黄含量を0.05重量%以下に制限するという段階的対応策が採られる予定である。
【0007】
このような状況下、実際に欧米などでは硫黄含量の少ない軽油が市販されつつある。
【0008】
しかしながら、軽油中の硫黄含量を低減させると、SAE PAPER 942016に報告されているように、該軽油の潤滑性が不足し、燃料噴射ポンプの焼き付きが発生するというトラブルがあった。その一例として、例えば、スウェーデン国では、環境対応燃料として低硫黄、低芳香族含有軽油を用いた場合には、潤滑性不足によって数千台の自動車に燃料噴射ポンプの焼き付きが発生するというトラブルにみまわれたことが報告されている。
【0009】
わが国においては、現在のところ、低硫黄ディーゼル軽油があまり普及されていないが、低硫黄ディーゼル軽油が使用されるようになると、燃料ポンプの焼き付きの発生や、金属の接触面における摩耗といったトラブルが発生してくることが予想される。
【0010】
なお、前記金属の接触面における摩耗を低減させる技術として、国際公開第94/1760号パンフレット(1994)には、炭素数2〜50のカルボン酸とアルコールとのエステルを低硫黄分ディーゼル軽油用の摩耗低減剤として用いることが開示されているが、該エステルは充分な耐摩耗性を発現しない。
【0011】
また、前記したものの他にも、炭素数10以上の直鎖状飽和または不飽和脂肪酸を、潤滑油用油性剤として用いることが米国特許第4,002,437号明細書に開示され、またアルコール燃料をディーゼルエンジンに用いたときの摩耗防止の目的で用いることが米国特許第4,248,182号明細書に開示されている。
【0012】
しかしながら、前記炭素数10以上の直鎖飽和または不飽和脂肪酸は、冬期のように低温期には、固化したり、その結晶の析出が生じるため、製油所等で軽油等に添加する際に不具合が生じることがある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、低温状態で貯蔵した場合であっても固化したり、結晶の析出を生じることがなく、低温貯蔵安定性に優れた低硫黄軽油用油性向上剤及びそれが配合されてなる低硫黄軽油組成物を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨は、
(1)(A)炭素数8〜28の直鎖状飽和脂肪酸及び炭素数8〜28の直鎖状不飽和脂肪酸から選ばれた脂肪酸、並びに(B)ポリアルキルメタクリレートを含む改質剤を含有してなる、硫黄含量が0.05重量%以下の低硫黄軽油用油性向上剤、並びに
(2)前記低硫黄軽油用油性向上剤が、硫黄含量が0.05重量%以下である低硫黄軽油1リットルに対して5〜500mgの割合で配合されてなる低硫黄軽油組成物
に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の低硫黄分軽油用油性向上剤は、前記したように、(A)炭素数8〜28の直鎖状飽和脂肪酸及び炭素数8〜28の直鎖状不飽和脂肪酸から選ばれた脂肪酸、並びに(B)流動点降下剤及び低温流動性向上剤から選ばれた改質剤を含有したものである。
前記炭素数8〜28の直鎖状飽和脂肪酸及び炭素数8〜28の直鎖状不飽和脂肪酸から選ばれた脂肪酸は、本発明においては、摩耗防止性及び軽油への溶解性を向上させるための成分である。
【0016】
前記脂肪酸の炭素数は、摩耗防止性の観点から、8以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは炭素数12以上、特に好ましくは炭素数14以上であることが望ましい。また、前記脂肪酸の炭素数は、軽油への溶解性の観点から、28以下、好ましくは26以下、さらに好ましくは24以下、特に好ましくは22以下であることが望ましい。
【0017】
前記脂肪酸の好適な具体例としては、例えば、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸等の直鎖状1価飽和脂肪酸に代表される直鎖状飽和脂肪酸、オレイン酸、エルカ酸、リノエライジン酸、リノール酸、リノレン酸等の直鎖状1価不飽和脂肪酸に代表される直鎖状不飽和脂肪酸等があげられる。これらの脂肪酸は、通常、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらの脂肪酸のなかでは、オレイン酸は、摩耗防止性能及び軽油への溶解性の観点から本発明においてとくに好適に使用しうるものである。
【0018】
本発明においては、前記改質剤として、流動点降下剤及び低温流動性向上剤から選ばれた少なくとも1種が用いられる点に、1つの大きな特徴がある。
【0019】
前記脂肪酸は、冷却時に結晶化し、それ単独では固化又はゲル化し、また溶媒で希釈した場合には、低温時に結晶を析出する。例えば、前記したように、本発明において最も好ましい脂肪酸であるオレイン酸の融点は、12〜19℃であり、冬期のように温度が低い時期にタンク内に貯蔵した場合には固化することがある。また溶媒で希釈した場合にも、低温状態では結晶が析出したり、固化することがある。
【0020】
これらの現象は、脂肪酸が低温になると結晶が成長し、脂肪酸単独の場合には固化し、溶媒を用いた場合には結晶が三次元網目構造となり、流動性を失い、また三次元網目構造とならなかった場合には、大きな結晶に成長し、析出し、沈降することに基づくものと考えられる。
【0021】
ところが、本発明においては、改質剤として流動点降下剤及び低温流動性向上剤の少なくとも1種が用いられており、これら流動点降下剤及び低温流動性向上剤は、いずれも析出した脂肪酸の結晶表面に吸着され、該脂肪酸の結晶の成長を抑制するので、低温状態で脂肪酸を貯蔵した場合であっても、該脂肪酸の流動性が確保され、また該脂肪酸を溶媒で希釈した場合には、その流動性が確保され、また溶媒中に該脂肪酸が析出するのが阻止される。
【0022】
従って、本発明の低硫黄軽油用油性向上剤は、低温時に貯蔵した場合であっても、固化したり、結晶の析出を生じることがなく、低温貯蔵安定性に優れたものとなる。
【0023】
前記流動点降下剤は、低温時に低硫黄軽油用油性向上剤中から脂肪酸が析出するのを抑制し、脂肪酸が三次元網目構造に成長するのを防ぐために用いられるものである。
【0024】
前記流動点降下剤としては、例えば、一般に潤滑剤の流動点を降下させるために用いられている流動点降下剤、例えば、桜井俊男著「石油製品添加剤」(昭61−7−25)(株)幸書房 p352−373に記載された流動点降下剤等があげられる。
【0025】
前記流動点降下剤の具体例としては、例えば、塩素化パラフィンとナフタリンとの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、炭素数1〜20の1価アルコールとメタクリル酸とを反応させて得られたエステルを重合させて得られた重量平均分子量1000〜1000000のポリアルキルメタクリレート、重量平均分子量1000〜100000のポリブテン、炭素数1〜20のアルキルスチレンを重合させて得られた重量平均分子量1000〜100000のポリアルキルスチレン、重量平均分子量500〜5000のポリ酢酸ビニル、炭素数1〜20の1価アルコールとアクリル酸とを反応させて得られたエステルを重合させて得られた重量平均分子量1000〜1000000のポリアルキルアクリレート等があげられ、これらの流動点降下剤は単独で又は2種以上を混合して用いられる。
【0026】
前記流動点降下剤は、常温において固体であるか又は高粘度を有するものであるので、通常、鉱油等で希釈し、溶液として用いられる。
【0027】
前記低温流動性向上剤は、前記流動点降下剤と同様に、本発明の低硫黄軽油用油性向上剤中で脂肪酸の結晶が低温時に成長したり、析出するのを抑制し、脂肪酸の結晶が三次元網目構造に成長するのを防ぐために用いられるものである。
【0028】
前記低温流動性向上剤としては、例えば、一般に軽油に用いられている軽油の低温流動性向上剤、例えば、前記「石油製品添加剤」のp188−207に記載された軽油の低温流動性向上剤等があげられる。
【0029】
前記低温流動性向上剤の具体例としては、例えば、重量平均分子量500〜7000を有するエチレン−酢酸ビニル共重合体、重量平均分子量500〜5000を有するエチレン−炭素数1〜20のアルキルアクリレート共重合体に代表されるエチレン−アルキルアクリレート系共重合体、塩素化ポリエチレン、炭素数1〜20の1価アルコールとアクリル酸とを反応させて得られたエステルを重合させて得られた重量平均分子量1000〜1000000のポリアルキルアクリレート、アルケニルこはく酸アミド等があげられる。また前記流動点降下剤として、流動点降下能を有するポリメタクリレート系粘度指数向上剤を用いてもよい。これらの低温流動性向上剤は、単独で又は2種以上混合して用いてもよい。
【0030】
前記低温流動性向上剤のなかでは、本発明の低硫黄軽油用油性向上剤中の脂肪酸の結晶析出防止の点から、ポリメタクリレート及びエチレン−酢酸ビニル共重合体は、本発明において好適に使用しうるものである。なかでも、アルキル基の炭素数が1〜20のアルキルメタクリレートを重合させて得られたポリメタクリレート、特にその重量平均分子量が100000以上のポリアルキルメタクリレートは、本発明の油性向上剤中の脂肪酸の結晶析出防止の点から好適に使用しうるものである。
【0031】
前記低温流動性向上剤は、常温で固体であるか又は高粘度を有するものであるので、通常、鉱油等の溶媒で希釈し、溶液として用いられる。
【0032】
前記改質剤の量は、脂肪酸100重量部に対して、本発明の油性向上剤中の脂肪酸の結晶析出防止の点から、0.5重量部以上、好ましくは2重量部以上、さらに好ましくは4重量部以上であることが望ましく、また経済的見地から、50重量部以下、好ましくは30重量部以下さらに好ましくは10重量部以下であることが望ましい。
【0033】
また、本発明の低硫黄軽油用油性向上剤の粘度を下げたり、脂肪酸の結晶の析出をより効果的に防止するために、さらに炭化水素系溶剤を含有せしめることができる。
【0034】
前記炭化水素系溶剤の代表例としては、例えば、モービル石油(株)製ペガゾール3040、ペガゾールAN−45、ペガゾールAS−100、サートレックス60等の工業用溶剤と呼ばれているSP値が6〜8の脂肪族系溶剤、ジャパンエナジー(株)製カクタスP20、カクタスP50、カクタスP100等の高沸点芳香族系工業用溶剤と呼ばれているSP値が8.5〜10の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及びナフテンを含有する脂肪族系溶剤と芳香族系溶剤の中間のSP値、例えば8前後を有するナフテン系溶剤等があげられる。これらの炭化水素系溶剤は、通常、単独で又は2種以上を混合して用いられる。
【0035】
前記炭化水素系溶剤の沸点は、引火点等の取扱い性の面から、120℃以上、なかんづく130℃以上であることが好ましく、また溶解性の点から、380℃以下、なかんづく280℃以下であることが好ましい。
【0036】
前記炭化水素系溶剤を用いる場合には、前記炭化水素系溶剤の量は、(A)脂肪酸と(B)改質剤との合計量100重量部に対して、脂肪酸の結晶析出防止の点から、5重量部以上、好ましくは10重量部以上、更に好ましくは15重量部以上であることが望ましく、また、摩耗防止の目的で使用される脂肪酸の濃度の維持の点から、500重量部以下、好ましくは400重量部以下、更に好ましくは300重量部以下であることが望ましい。
【0037】
本発明の低硫黄軽油用油性向上剤は、前記脂肪酸及び前記改質剤と、必要により、前記炭化水素系溶剤とを混合することにより、得られる。
【0038】
本発明の低硫黄軽油用向上剤には、必要に応じて種々の添加剤を配合することができる。
【0039】
前記配合剤の代表例としては、例えば、フェノール系抗酸化剤、アミン系抗酸化剤等の抗酸化剤、イオン性多価金属塩、カルボン酸のアミン塩等の界面活性剤等の伝導性改良剤、N,N’−ジサリチリデン−1,2−ジアミノプロパン等の金属不活性化剤、硝酸オクチル等のセタン改良剤、煙防止剤等の燃焼改良剤、腐食抑制剤、抗乳化剤等があげられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0040】
なお、前記抗酸価剤の中では、フェノール系抗酸化剤は、本発明においてとくに好適に使用しうるものである。
【0041】
本発明の低硫黄軽油組成物は、前記低硫黄軽油用油性向上剤を、硫黄分が0.05重量%以下である低硫黄軽油1リットルに対して5〜500mgの割合で配合することにより、得られる。
【0042】
本発明の低硫黄軽油組成物に用いられる低硫黄軽油の硫黄分は、0.05重量%以下である。硫黄分が0.05重量%以下の低硫黄軽油は、潤滑性が乏しいが、本発明の低硫黄軽油用油性向上剤を配合することにより、潤滑性が向上し、摩耗を低減することができるようになる。
【0043】
前記低硫黄軽油は、原油を常圧蒸留して得られる軽油留分を水素化脱硫装置により、例えば高い反応温度で水素化脱硫する方法、高い水素分圧で水素化脱硫する方法、高活性を有する水素化脱硫触媒を使用する方法等によって得られるが、かかる脱硫の方法は、JIS−K2541に規定の放射線式励起法による硫黄分測定値が0.2重量%以下である低硫黄軽油が得られるのであれば、特に限定がない。
【0044】
前記低硫黄軽油用油性向上剤は、少なくとも低硫黄軽油が燃料ポンプの金属表面に接触している間に摩耗を抑制するのに充分な量で用いられる。通常、前記低硫黄軽油用油性向上剤の配合量は、硫黄含量が0.05重量%以下である低硫黄軽油1リットルに対して、摩耗の低減効果を充分に発現させるために、5mg以上、好ましくは20mg以上とされ、またあまりに大量に用いた場合には、摩耗の低減効果のそれ以上の向上効果が望めず、却って不経済となることを考慮して、500mg以下、好ましくは250mg以下とされる。
【0045】
本発明の低硫黄軽油組成物には、前記低硫黄軽油用油性向上剤に用いることができる添加剤、具体的には、前記抗酸化剤、伝導性改良剤、金属不活性化剤、セタン改良剤、煙防止剤等の燃焼改良剤、腐食抑制剤、抗乳化剤等を配合することができる。
【0046】
前記抗酸化剤の中では、本発明においては、フェノール系抗酸化剤を好適に使用しうる。
【0047】
前記抗酸化剤の量は、特に限定はないが、通常、本発明の低硫黄軽油組成物1000リットル当たり、2.8〜28g程度であることが好ましい。
【0048】
前記伝導性改良剤は、本発明の低硫黄軽油組成物の伝導性を適切な範囲、例えばASTM D−2624に規定の測定法で測定した場合、約50〜600ps/mの範囲に伝導性を上昇させるために用いられる添加剤である。かかる伝導性改良剤の添加量は、特に限定がないが、通常、本発明の低硫黄軽油組成物1000リットル当たり、5〜500g程度であることが好ましい。
【0049】
本発明の低硫黄軽油用油性向上剤は、前記したように、低温状態で貯蔵した場合であっても固化したり、結晶の析出を生じることがなく、低温貯蔵安定性に優れたものである。
【0050】
従って、本発明の低硫黄軽油用油性向上剤が低硫黄軽油に配合された低硫黄軽油組成物は、低温状態で貯蔵した場合であっても固化したり、結晶の析出を生じることがなく、低温貯蔵安定性に優れたものとなる。
【0051】
【実施例】
次に、本発明の低硫黄軽油用油性向上剤を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0052】
実施例1〜8(実施例6は参考例である)及び比較例1〜3
表1〜2に示す各成分を表1〜2に示す割合で混合し、低硫黄軽油用油性向上剤を調製した。
【0053】
得られた低硫黄軽油用油性向上剤の物性として、低温貯蔵安定性を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表2に示す。
【0054】
(低温貯蔵安定性)
(1)低硫黄軽油用油性向上剤の流動性
得られた低硫黄軽油用油性向上剤80mlを100ml容のビーカーに入れ、その後、5℃で12時間又は0℃で12時間放置し、ビーカーを傾けて流動性の有無を調べ、以下の判定基準に基づいて評価を行なった。
【0055】
〔判定基準〕
○:流動性がある場合
×:流動性がない場合
【0056】
(2)脂肪酸の結晶の析出
上記の流動性の評価と同様に、低硫黄軽油用油性向上剤を調製し、該低硫黄軽油用油性向上剤80mlを100ml容のビーカーに入れ、0℃、−5℃又は−10℃で12時間放置し、低硫黄軽油用油性向上剤からの結晶の析出を調べ、以下の評価基準に基づいて評価を行なった。
【0057】
〔評価基準〕
○:脂肪酸の析出がない場合
△:脂肪酸の析出が少ない場合
×:脂肪酸の析出が多い場合
【0058】
なお、表1中の各化合物は、以下のことを意味する。
Figure 0003841368
【0059】
Figure 0003841368
【0060】
炭化水素系溶剤
芳香族系炭化水素系溶剤:
ジャパンエナジー(株)製、商品名:カクタスP−100、
沸点:156〜183℃、芳香族分:100容量%
脂肪族系炭化水素系溶剤:
モービル石油(株)製、商品名:サートレックス60、
沸点:202〜266℃
【0061】
【表1】
Figure 0003841368
【0062】
【表2】
Figure 0003841368
【0063】
表2に示された結果から、実施例1〜8で得られた低温流動性向上剤は、いずれも脂肪酸と、流動点降下剤及び低温流動性向上剤から選ばれた改質剤とが併用されていることにより、固化することがなく、流動性に優れ、しかも低温においても脂肪酸の析出が生じないことがわかる。
【0064】
さらに、実施例5〜8で得られた低硫黄軽油用油性向上剤は、炭化水素系溶剤が配合されていることにより、流動性及び低温貯蔵性がより一層優れたものであることがわかる。
【0065】
【発明の効果】
本発明の低硫黄軽油用油性向上剤は、低温時に貯蔵した場合であっても固化したり、結晶の析出を生じることがなく、低温貯蔵安定性に優れたものである。

Claims (7)

  1. (A)炭素数8〜28の直鎖状飽和脂肪酸及び炭素数8〜28の直鎖状不飽和脂肪酸から選ばれた脂肪酸、並びに(B)ポリアルキルメタクリレートを含む改質剤を含有してなる、硫黄含量が0.05重量%以下の低硫黄軽油用油性向上剤。
  2. 改質剤の量が脂肪酸100重量部に対して0.5〜50重量部である請求項1記載の低硫黄軽油用油性向上剤。
  3. (C)炭化水素系溶剤をさらに含有させてなる請求項1又は2記載の低硫黄軽油用油性向上剤。
  4. 炭化水素系溶剤が脂肪族系溶剤、芳香族系溶剤又はナフテン系溶剤である請求項記載の低硫黄軽油用油性向上剤。
  5. 炭化水素系溶剤が沸点120〜380℃を有するものである請求項又は記載の低硫黄軽油用油性向上剤。
  6. 炭化水素系溶剤の量が脂肪酸と改質剤との合計量100重量部に対して5〜500重量部である請求項いずれか記載の低硫黄軽油用油性向上剤。
  7. 請求項1〜いずれか記載の低硫黄軽油用油性向上剤が、硫黄含量が0.05重量%以下である低硫黄軽油1リットルに対して5〜500mgの割合で配合されてなる低硫黄軽油組成物。
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