JP3840456B2 - ヒートポンプ式給湯機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒートポンプ冷凍サイクルを利用して給湯が行えるヒートポンプ式給湯機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の給湯機には、給湯タンクを持たずにガス等を燃焼させて、その強力な燃焼熱で瞬間的に水を沸き上げて湯を供給する燃焼式給湯機や、大容量の給湯タンクを持ち夜間割引の安い電力を利用して、夜の間に電気ヒータで加熱した大量の湯を給湯タンクに貯蔵し、日中に給湯タンクへ貯蔵した湯を使う電気温水器があった。そして、最近では電気温水器に比較してエネルギー効率が良いと云われるヒートポンプ式給湯機が普及し始めてきた。
【0003】
ヒートポンプ式給湯機は、電気温水器と同様に大容量の給湯タンクを設け、夜間の安価な電力を使って夜中にヒートポンプ回路で湯を沸き上げて給湯タンクに貯蔵し、貯蔵した湯を日中に使うタイプが一般的である。このヒートポンプ式給湯機は熱源に冷媒の状態変化を利用しているので、電気ヒータ加熱よりエネルギー効率が数倍良く、又ガス等を燃焼しないのでCO2を排出せず地球環境にやさしい給湯機と云われている。
【0004】
係る従来のヒートポンプ式給湯機としては、特開平9−126547号公報(特許文献1)に開示されたものがある。この従来技術に示されたヒートポンプ式給湯機は、圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器から構成されたヒートポンプ回路と、大容量の給湯タンク、凝縮器と熱交換的に配置した受熱器、給湯タンクの水を受熱器に循環する循環ポンプから構成された沸上げ回路とを備えた構成となっている。
【0005】
この従来技術のヒートポンプ式給湯機は、夜間の安価な電力を利用してエネルギー効率の良いヒートポンプ回路を運転して湯を給湯タンクに貯めるので、給湯タンク内の水を循環ポンプで循環させながら受熱器で所定の湯温になるまで徐々に温め、所定の湯温に達したことを温度検知器で検知したらヒートポンプ回路の運転を停止するように制御している。日中、使用端末で湯を使用する際にはミキシングバルブで利用水(例えば上水)と混合して適当な温度に薄めて供給する。給湯タンクに貯蔵する湯の温度を出来るだけ高くすることにより、薄める利用水の量を多くし、給湯タンクから取り出す湯の量を少なくするようにしている。
【0006】
また、特許文献1に記載のヒートポンプ給湯機は、電気温水器と同様夜間電力を利用して貯湯するタイプであるものの、給湯タンクの中の湯量の低下や温度の低下で、設定された出湯温度が得られないときには、ヒートポンプ回路を運転させて給湯タンクの湯を追焚きしたり、場合によっては電気ヒータを用いた加熱器とヒートポンプ回路とを併用して追焚き運転を行なうようにできる。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−126547号公報 (図3を参照。)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のヒートポンプ式給湯機は高温の湯を大量に給湯タンクに貯えるタイプであるため、ヒートポンプ回路の効率が十分に高い所で使用されていないと共に、大きな給湯タンクの表面から多くの熱が放射されてエネルギーの無駄を生じており、これらによってエネルギー効率の低下を招いていた。そして大容量の給湯タンクを有することで、大きなスペースが必要であると共に、給湯機の運搬、設置などが面倒であった。
【0009】
又、従来のヒートポンプ式給湯機は夜間にヒートポンプ回路で沸き上げた湯を給湯タンクで貯蔵し、貯蔵した湯を日中に使用するという使い方を基本的に行なっているため、時には湯を使いきってしまうことがあった。
【0010】
特許文献1に記載のヒートポンプ給湯機では、ヒートポンプ回路と電気ヒータを用いた加熱器とを併用して、給湯タンク内の水に対して追焚き運転を行なって、出湯が出来ない状態を回避しようと試みているが、通常よりも非常に多くのエネルギーを必要とする構成であった。
【0011】
本発明の目的は、ヒートポンプ回路を用いて、できるだけ少ないエネルギーで給湯可能なヒートポンプ式給湯機を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するための本発明のヒートポンプ式給湯機は、圧縮機、凝縮器、減圧装置、及び蒸発器を接続した複数のヒートポンプ回路と、それらの複数のヒートポンプ回路の凝縮器で放出された熱で水を加熱する受熱器と、その受熱器によって温められた水を貯める給湯タンクと、受熱器で温められた水を受熱器から使用端末に供給する給湯回路と、その給湯回路を制御する給湯制御部と、ヒートポンプ回路の運転を制御する複数のヒートポンプ制御部と、を備え、給湯制御部は、複数のヒートポンプ回路のうち一つのヒートポンプ回路が停止したとき、受熱器から出てきた水の温度に応じて給湯タンクの湯水を前記受熱器からの水に混合し、給湯タンクの湯温が低下した場合は給湯タンクからの湯水の供給を止めて使用端末から出湯する湯水の流量を減らす制御を行うとすることにより達成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を、図を用いて説明する。
【0014】
図1において本発明の実施例におけるヒートポンプ式給湯機は、ヒートポンプ式冷凍サイクルで構成されるヒートポンプ回路1、2と、ヒートポンプ回路1、2によって水を加熱して給湯する給湯回路3(後述する浴槽19は含まれていない)と、ヒートポンプ回路1、2を制御するヒートポンプ制御部A、B及び給湯回路3を制御する給湯制御部Cとを備えており、一つの箱体内にこれらを収納する。
【0015】
ヒートポンプ回路1、2は、低温低圧の冷媒を圧縮して高温高圧の冷媒として吐出する能力可変型圧縮機4と、この吐出された冷媒を受熱器9と熱交換させて凝縮させる凝縮器5と、この凝縮された冷媒を減圧する減圧装置6と、この減圧された冷媒を外気と熱交換させて蒸発させる蒸発器7とを冷媒配管で接続することにより構成されている。なお、蒸発器7に外気を通風するようにファン7aが配置されている。
【0016】
バイパス弁8は、弁を開くことによって圧縮機4から吐出される高温高圧の冷媒を蒸発器7に通流させ、蒸発器7に付着した霜を融解させる除霜制御に使用される。
【0017】
圧縮機4は、PWM制御、電圧制御(例えばPAM制御)及びこれらを組み合わせた回転数制御により、低速(例えば2000回転/分)から高速(例えば8000回転/分)まで制御される。特に、受熱器9から直接給湯する場合には、ヒートポンプ制御部A、Bは圧縮機4を高速運転する。
【0018】
次に、水道管から水を取り入れ、受熱器9を介して使用側端末に給湯し、又は後述するように内部で水を循環させることで所定の温度(例えば42℃)に沸かし上げる給湯回路3について説明する。
【0019】
この給湯回路3には、減圧逆止弁11、受熱器9、給湯タンク10、循環ポンプ13、給湯タンク10からの湯と受熱器9からの出湯を混合するミキシングバルブ14、ミキシングバルブ14からの湯と給水管27からの水を混合するミキシングバルブ15、湯の流量を調整する流量調整弁16を水配管で接続して構成されている。
【0020】
また、浴槽水回路は受熱器9と注湯電磁弁17、浴槽用の循環ポンプ18で構成されている。
【0021】
本実施例の給湯機は、ヒートポンプ回路1、2の高温冷媒と、給水管27から導入された水を受熱器9にて熱交換することによって昇温し、そのまま使用端末に給湯する方式とすることで、従来の大型の給湯タンクを不要とする事ができる。
【0022】
運転開始直後の圧力条件が安定するまでは水を温めるのに充分な凝縮熱を発生させることができないが、その立ち上がりの短時間は給湯タンク10に貯蔵している湯と受熱器9からの水を混合して給湯することで、設定温度を保ちつつ給湯タンク10の小型化を図ることができる。そして、ヒートポンプ回路1、2の運転が安定し、設定温度の湯を沸かし上げる状態になった時、給湯タンク10に貯蔵されている湯の使用を止めて直接給湯するようにする。
【0023】
次にヒートポンプ給湯機への水の供給を説明する。給水管27から供給された水は、減圧逆止弁11に流入し、この先一方は給水管27を介して給湯タンク10に、もう一方は受熱器9へ分流される。また、使用端末への給湯はミキシングバルブ14、流量調整弁16を通り設定温度にされ供給される。各部の動作については、以下に述べる。
【0024】
ミキシングバルブ14は、前述したようにヒートポンプ回路運転開始直後、受熱器9から出てくる湯の温度が充分に上がりきらないときに、補助的に給湯タンク10の湯を混合して設定温度となった湯を使用端末に供給するためのバルブである。尚、ミキシングバルブ14と給湯タンク10とは給湯管28によって接続されている。
【0025】
ミキシングバルブ15は、ミキシングバルブ14から供給される湯の温度が設定温度よりも高い場合、給水管27から供給される水と混合することで湯温を低下させ設定温度にする。流量調整弁16は、給湯量が予定の総量を超えないように流量を規制する弁である。
【0026】
また各部には、給水温度センサー20、凝縮器5と受熱器9とからなる水熱交換器からの水の温度を検出する水熱交換器出口水温センサー21、混合された給湯タンク10の湯と水熱交換器出口水の温度を測る水温センサー22、最終的な出湯水温を測定する出湯温度センサー23、給湯タンク10の残湯量を測定するためのタンク温度センサー24,25,26が、また冷凍サイクル側には、蒸発器7の中間温度を測定する蒸発器温度センサー7bが、圧縮機4の吸込み温度を感知する吸込み温度センサー7cが配置されている。
【0027】
そしてヒートポンプ回路1、2、給湯タンク10を含めた給湯回路3および浴槽19以外のその他の機器が後述する箱体の中に収納されている。
【0028】
次に使用端末が利用された場合の各部の動作について説明する。使用端末から出湯が開始すると、流量センサー12が端末の使用を感知し、圧縮機4を起動してヒートポンプ回路1、2の運転を開始する。運転初期の段階では、ヒートポンプ回路1、2は、まだ立ち上がり状態であるため、給湯タンク10を利用した給湯運転となる。給水管27から導水された水は、減圧逆止弁11、給水管27を介して給湯タンク10の下部に至る。給湯タンク10では、その下部から水が供給され、その水圧により給湯タンク10の上部に貯まっていた高温の湯は給湯管28に押し出される。
【0029】
一方、給水管27からの水は冷凍サイクルにより水を加熱するため受熱器9に流れる水回路に分かれる。給湯タンク10からの湯と受熱器9からの出湯を混合するミキシングバルブ14で設定された温度になるように温度センサー22で温度を感知し、給湯タンク10からの湯と、冷凍サイクルより加熱された受熱器9からの水の量で調整する。この運転初期の場合、受熱器9を通過してくる水は十分に温められていないため給湯タンク10からの湯の量が多く、受熱器9を流れる水の量は少なくなる(混合運転モード)。ここで運転初期段階において、受熱器9を流れる水の量を少なくした場合、少量の水のため温度を急激に上昇させる事ができる。
【0030】
尚、この混合運転モードにて、使用端末の湯の温度が高すぎると(設定値以上となる場合)、ミキシングバルブ15が開かれ給水管27からの水が混合され湯温が調節される。
【0031】
運転が継続するとヒートポンプ回路1、2は徐々に安定し始め、受熱器9から出湯される湯の温度も高温となり、給湯タンク10からの湯と受熱器9からの出湯を混合するミキシングバルブ14は、徐々に給湯タンク10からの出湯を絞り込んでゆき、受熱器9からの出湯温度が設定温度となった場合に、給湯タンク10からの出湯を全閉しヒートポンプ回路1、2より加熱された受熱器9を通過した湯のみで端末に湯を供給できるようになる(瞬間湯沸しモード)。
【0032】
この時設定された温度で端末に湯を供給するために、温度センサー22で温度を感知し、受熱器9から出湯しミキシングバルブ14を通過した湯と、バイパスされた水を混合するミキシングバルブ15で、設定された湯を端末に供給する。特に夏場など給水管27から供給される水の温度が高い場合、受熱器9から出力される湯の温度が設定温度より高くなる。このとき設定温度になるようにミキシングバルブ15を調節することで適宜水を混合して端末に湯を供給する(水混合モード)。
【0033】
浴槽19に給湯、お湯はりする場合、前述同様の運転(混合運転モード、瞬間湯沸器モード、水混合モード)をし、注湯電磁弁17を開くことにより、浴槽19に湯を張る。
【0034】
本実施例の給湯モードは基本的にはヒートポンプ回路1、2と、給湯回路で給湯端末が使用された時の動作であるが、もし、ヒートポンプ回路の片方が異常で停止してしまい能力が低下してしまうということも考えられる。さらに、能力低下のために、設定温度(例えば42℃)にならなくなってしまうということも考えられる。
【0035】
本実施例では、ヒートポンプ回路の一つが以上停止した場合でも、前述の給湯モード(混合運転モード、瞬間湯沸器モード、水混合モード)を可能とするヒートポンプ式給湯機の運転制御を、図2を用いて説明する。
【0036】
通常、端末が使用されると、ヒートポンプ回路1、2の圧縮機が運転される。しかし、ヒートポンプ回路の一つが停止した場合、凝縮器5と受熱器9との熱交換性能が悪くなり能力が低下する。そのため、通常の動作で給湯端末が使用されると、通常の給湯モード(混合運転モード、瞬間湯沸器モード、水混合モード)では設定温度を満足できなくなる。そこで、給湯モードを異常時モードで制御することによって、設定温度を満足する運転制御を行なう。
【0037】
まず、水熱交換器出口水温センサ21より、設定温度を満たしているか検知し、設定温度を満たしていれば、そのまま給湯タンク10の湯を使用せずに出湯する。しかし、設定温度を満たしていなければ、圧縮機回転数のアップや受熱器9の湯と給湯タンク10の湯の混合水で設定温度になるようにミキシングバルブ14の開度を増やすことによって給湯タンク10からの流量比を増加させ、ミキシングバルブ14を通過する湯の温度を調節する。そして温度センサ22で設定温度になっているか検知し、なっていればそのまま出湯する。
【0038】
しかし、給湯タンク10からの湯は限りがあるので、給湯タンク10内の温度を検知するセンサ24、25、26とあるうちタンク温度センサ25の検知結果から湯温を特定し、タンク湯温が所定値以下になったらタンクからの出湯は停止する。
【0039】
給湯タンク10からの出湯がなくなっても温度センサ22で設定温度になっているか検知し、なっていればそのまま出湯する。しかし、設定温度になっていない場合は、圧縮機回転数アップやミキシングバルブ15、流量調整弁16を絞ることによって設定温度になるまで制御する。
【0040】
また、ヒートポンプ回路の片方が停止してから、再起動した場合は、水熱交出口水温センサ21の検出結果に基づき、通常の給湯モード(混合運転モード、瞬間湯沸器モード、水混合モード)を行う。
【0041】
本実施例では、万一、ヒートポンプ回路の一つがトラブルを起こしても、あくまで設定温度を保つ制御を行い給湯を可能する。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、ヒートポンプだけで給湯できるヒートポンプ式給湯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の−実施例を示すヒートポンプ式給湯機の構成図である。
【図2】 ヒートポンプ回路の片方が異常停止した時の制御フローチャートである。
【符号の説明】
1、2……ヒートポンプ回路、3……給湯回路、4……圧縮機、5……凝縮器、6……減圧装置、7……蒸発器、8……二方弁、9……受熱器、10……給湯タンク、11……減圧逆止弁、12……流量センサ、13、18……循環ポンプ、14、15……ミキシングバルブ、16……流量調整弁、17……注湯電磁弁、19……浴槽、20……給水温度センサ、21……水熱交換器出口水温センサ、22、23……温度センサ、24、25、26……タンク温度センサ、27……給水管、28……給湯管。
Claims (1)
- 圧縮機、凝縮器、減圧装置、及び蒸発器を接続した複数のヒートポンプ回路と、それらの複数のヒートポンプ回路の凝縮器で放出された熱で水を加熱する受熱器と、その受熱器によって温められた水を貯める給湯タンクと、前記受熱器で温められた水を前記受熱器から使用端末に供給する給湯回路と、その給湯回路を制御する給湯制御部と、前記ヒートポンプ回路の運転を制御する複数のヒートポンプ制御部と、を備え、
前記給湯制御部は、前記複数のヒートポンプ回路のうち一つのヒートポンプ回路が停止したとき、前記受熱器から出てきた水の温度に応じて前記給湯タンクの湯水を前記受熱器からの水に混合し、前記給湯タンクの湯温が低下した場合は前記給湯タンクからの湯水の供給を止めて使用端末から出湯する湯水の流量を減らす制御を行うヒートポンプ式給湯機。
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