JP3838384B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の高分子化合物を用いた電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、電子写真用有機感光体(OPC)において、光導電性の有機材料として種々の構造のものが提案され、実用化されている。光導電性の有機材料は、正孔輸送性のものと、電子輸送性のものとに大別できるが、有機材料の特性上、正孔輸送性の材料の方がより高性能のものが得られるため、特に大きな移動度の要求される電荷輸送層に正孔輸送性の材料を使用し、これを電荷発生層上に積層したマイナス帯電型のものが、実用化されたOPCの大半を占めているのが現状である。この場合、導電性支持体上に直接光導電層を形成した場合、帯電性が低く、また繰り返し時の安定性に欠ける等の問題があった。また、導電性支持体と光導電層との接着性の不足により光導電層が剥離したり、導電性支持体上に光導電層を塗布する際に塗布欠陥が発生する等の問題もあった。さらに、導電性支持体表面の凹凸により光導電層の膜厚のむらを生じ、その結果として黒点、白抜け等の画像欠陥が発生する等の問題もあった。
【0003】
これらの問題を解決するための手段として、導電性支持体と光導電層との間に下引き層を設けることが試みられている。この下引き層を構成する材料としては、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルアコール、ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂、或いはエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化製樹脂を用いることが検討されている(特開昭48−47344号公報、特開昭52−20386号公報、特開昭58−30757号公報、特開昭60−22586号公報等)。しかしながら、これらの材料を主成分とする下引き層を用いた場合、前述の帯電性や画像欠陥等に対する改善の効果を十分に引き出すべく下引き層の膜厚を厚くすると、感光体の光感度の低下や残留電位の増大を招きやすいという難点がある。
【0004】
また、金属アルコキシドや金属キレート等の有機金属化合物を主成分とする下引き層を用いると、光感度の低下や残留電位の増大を引き起こすことなく、帯電性の低下や画像欠陥等を抑制できることが知られている(特公平3−66663号公報、特開昭59−223439号公報等)。しかしながら、これらの有機金属化合物を用いた下引き層は、一般に湿度等の環境の影響を受けやすく、また、塗液状態では化学的に不安定なために、比較的短期間で劣化する等の問題がある。
【0005】
下引き層は、その要求される機能上、電子輸送性であることが好ましく、十分な性能を有する電子輸送性材料が得られれば、これらの問題を回避することが可能となると考えられる。その一つのアプローチとして、高分子樹脂中に特定の電子輸送性または電子受容性の低分子化合物を添加した下引き層を用いることが検討されている(特開昭55−142356号公報、特開昭59−170846号等)。しかしながら、これら低分子化合物を用いる場合、有機溶剤に溶解しやすいものの場合には、導電性支持体上に形成された下引き層の上に光導電層を塗布する工程において、上層中に浸出して下引き層中での濃度の低下を起こし、また、その逆に有機溶剤に溶解し難いものの場合には、下引き層中で結晶化を起こすため、目的とする改善効果が得られ難いという問題があった。
【0006】
また、電荷発生層と電荷輸送層の順序を逆にして、プラス帯電用OPCとして使用することも検討されているが、この場合には機械的な強度の低い電荷発生層が上層となるため、OPCのライフを伸ばすために保護層を形成する必要がある。この場合にも機能上、保護層は電子輸送性であることが好ましいが、使用される電子輸送性材料は一般的に溶剤に溶解し難く、かつ、樹脂にも相溶し難いため、均一で機械的強度の高い塗膜よりなる保護層が得られ難いという欠点があった。
【0007】
さらにこれを改良するものとして、電子輸送性材料をポリマー化してアクセプターを有するポリマーを製造する試みもなされている(特開昭52−12153号公報、特開昭52−12154号公報等)。しかしながら、アクセプターを有するポリマーは、他層との接着性、強度等の点で未だ十分な性能を有するものではなく、満足すべきものは未だ得られていないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、従来の技術における上記のような実情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、特定の電子輸送性のポリマーを使用し、帯電性、光感度、繰り返し安定性等において改良された特性を有する電子写真感光体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
電子輸送性のポリマーを得るためには、空気中の酸素によるトラップを避けるため、飽和カロメル電極(SCE)に対し、概ね−0.8V以上の還元電位を有することが必要であるが、本発明者等は、鋭意検討した結果、特に下記一般式(I)で示されるポリマーが、上記の要求を満足し、均一で機械的強度が高いポリマー層を形成することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、下記一般式(I)で示されるポリマーを含有する層を設けたことを特徴とする。
【化3】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素または単環芳香族炭化水素基を表し、Aは下記一般式(II)〜(VI)で示される基を表し、
【化4】
〔式中、Xは、C=O、O、S、SO2 またはNR3 (R3 は水素原子、アルキル基、アリール基またはアシル基を表す。)、R1 およびR2 は、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基またはシアノ基を表し、qおよびrは、それぞれ0ないし2の整数を意味する。〕
lは0以上の整数、mおよびnは1以上の整数を意味し、l+m+nは20〜10,000の範囲にあり、かつ、0.1<n/(l+m+n)<0.9である。]
本発明における上記一般式(I)で示される電子輸送性のポリマーは、飽和カロメル電極(SCE)に対し、概ね−0.8V以上の還元電位を有するが、そのために、基:A−CO−O−として、概ね−0.8V以上の還元電位を有する基である上記一般式(II)〜(VI)で示されるものが採用される。また、nの値は、それに対する割合が大きいほど電子輸送性に関しては有効であるが、あまり大きすぎると他層との接着性、機械的強度が低下し、一方、その割合が小さいと他層との接着性、機械的強度に関しては有利であるが、電子輸送性が低下し、期待する効果が得られにくい。したがって、nの値は、0.1<n/(l+m+n)<0.9の範囲に設定することが必要であり、好ましくは0.2<n/(l+m+n)<0.85の範囲に設定される。n/(l+m+n)の値が上記の範囲にある電子輸送性ポリマーを用いると、上層の塗布溶剤に対しても適切な耐性が得られ、電子輸送性も高いものとなる。
【0011】
また、本発明において、上記一般式(I)で示されるポリマーは、下引き層に含有させるのが好ましい。更にまた、ポリマーは顔料分散に有利な水酸基を有するため、有機微粉末として、電子輸送性の顔料、特にアントアントロン顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料を分散させるのが好ましく、それにより電子輸送性をさらに改良することもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の発明の実施の形態について詳しく説明する。
本発明において用いられる前記一般式(I)で示されるポリマーは、下記一般式(VII )で示されるポリビニルアルコールまたはポリビニルアセタール樹脂と下記一般式(VIII)で示されるカルボン酸またはそのハロゲン化物とを反応させることにより合成することができる。
【0013】
【化5】
(式中、Rは前記と同意義を有し、l′およびm′はモル数を意味し、l′は0であってもよい。)
A−CO−Z (VIII)
(式中、Aは前記と同意義を有し、Zはハロゲン原子または水酸基を表す。)
上記一般式(VIII)がA−CO−OH:すなわちカルボン酸を用いて合成を行う場合には、例えば、Langmuir Vol.9,第211頁(1993)に記載されているように、一般式(VII )で示されるポリビニルアルコールまたはポリビニルアセタール樹脂とA−CO−OHで示される化合物を、ピリジン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアミド等の溶剤に溶解し、2,4,6−トリニトロクロロベンゼン等の脱水剤を加え、加熱することにより合成することができる。この場合、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアセタール樹脂とA−CO−OHで示される化合物との比率は、必要に応じて任意の割合で使用することができるが、0.1<n/(l+m+n)<0.9の範囲にすることが必要である。それにより、他層との接着性、強度、電子輸送性、上層の塗布溶剤に対する耐性等の点で優れたものとなる。溶剤は、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアセタール樹脂1重量部に対して1〜1000重量部の範囲で使用できるが、溶剤の量が少ないと反応中の粘度が高くなり、また、多すぎると廃液が増加し、処理が煩雑となるため5〜500重量部、さらに好ましくは10〜200重量部の範囲で使用すればよい。2,4,6−トリニトロクロロベンゼン等の脱水剤は、A−CO−OHで示される化合物1当量に対し0.5〜10当量、好ましくは0.7〜5当量、さらに好ましくは1〜3当量の範囲で使用する。さらに必要に応じて、ピリジン、トリエチルアミン等の触媒を用いてよく、2,4,6−トリニトロクロロベンゼン等の脱水剤1当量に対し、0.5〜100当量、好ましくは0.7〜70当量、さらに好ましくは1〜50当量の範囲で使用すればよい。反応温度は室温〜溶剤の沸点の範囲の温度で任意に選択できるが、50℃〜溶剤の沸点、さらに好ましくは70℃〜溶剤の沸点の範囲で反応させることが好ましい。
【0014】
また、上記一般式(VIII)で示される化合物として、ハロゲン化物を用いて合成を行う場合には、一般に用いるエステル化と同様にして合成することができる。例えば、上記一般式(VII )で示されるポリビニルアルコールまたはポリビニルアセタール樹脂と上記一般式(VIII)においてZがハロゲン原子を表すハロゲン化物とを、ピリジン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアミド等の溶剤に溶解し、ピリジンやトリエチルアミン等の有機塩基性触媒を用いて反応させる。この場合、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアセタール樹脂とハロゲン化物の比率は、必要に応じて任意の割合で使用することができるが、0.1<n/(l+m+n)<0.9の範囲のポリマーが得られるように調整する必要がある。それにより、他層との接着性、強度、電子輸送性、上層の塗布溶剤に対する耐性などの点で優れたポリマーが得られる。溶剤は、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアセタール樹脂1重量部に対し1〜1000重量部で使用できるが、溶剤の量が少ないと反応中の粘度が高くなり、また、多すぎると廃液が増加し、処理が煩雑となるため5〜500重量部、さらに好ましくは10〜200重量部で使用すればよい。ピリジン、トリエチルアミン等の触媒は、ハロゲン化物1当量に対し1〜10当量、好ましくは1.5〜7当量、さらに好ましくは2〜5当量の範囲で使用する。反応温度は室温〜溶剤の沸点の範囲の温度で任意に選択できるが、反応の情況によりコントロールするのが望ましい。
【0015】
上記のいずれかの方法で得られたポリマー含有反応溶液は、反応終了後、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、水等のポリマーが溶解しにくい貧溶剤中に滴下し、析出させ、ポリマーを分離した後、ポリマーを水や有機溶剤で十分に洗浄し、乾燥させる。さらに、必要に応じて、再沈澱処理により、適当な有機溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下し、ポリマーを析出させる処理を繰り返してもよい。再沈澱処理の際には、メカニカルスターラー等で、効率よく撹拌しながら行うことが好ましい。再沈澱処理の際にポリマーを溶解させる溶剤は、ポリマー1重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部の範囲で用いられる。また、貧溶剤はポリマー1重量部に対して、1〜1000重量部、好ましくは10〜500重量部の範囲で用いられる。
【0016】
本発明における上記ポリマーの分子量は、前記式(I)中の(l+m+n)の値が20〜10,000の範囲で任意の値を取り得るが、機械的強度、溶解度等の点からGPCによるポリスチレン換算で5,000〜200,000の範囲、特に10,000〜150,000の範囲のものが好ましい。ポリマーの具体例として、表1〜表6に記載のものがあげられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
【表4】
【0021】
【表5】
【0022】
【表6】
【0023】
本発明の電子写真用感光体において、前記一般式(I)で示されるポリマーは、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、表面保護層等の如何なる層にも使用することができるが、下引き層、電荷発生層、表面保護層に使用することが好ましく、特に下引き層に使用することが好ましい。以下、下引き層に使用する場合について、さらに詳しく説明する。
【0024】
下引き層の構成成分としては、前記一般式(I)で示されるポリマーの1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよく、或いは他の一般的な高分子材料と混合して用いてもよい。混合する高分子材料としては、ポリアクリル酸エステル誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド等の熱可塑性樹脂、或いはエポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂等をあげることができる。
【0025】
下引き層は、上記の材料を有機溶剤に溶解し、浸漬塗布等の方法で導電性支持体上に塗布した後、加熱乾燥して形成することができる。有機溶剤としては2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール系溶媒、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、ジクロロメタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、クロロベンゼン、m−クレゾール等の芳香族系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等の中から適宜選択することができる。乾燥は50〜200℃の温度範囲で行えばよい。
【0026】
下引き層の構成成分として、前記一般式(I)で示されるポリマーとともに硬化性の材料を混合して用いた場合には、乾燥の前後または乾燥と同時に加熱、光照射、或いは適当な化学的処理等の方法によって硬化処理を行うこともできる。硬化性の材料としては前記の熱硬化性樹脂のほか、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジルなどのアクリル酸誘導体、テトラメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類、テトラブトキシチタン、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド等の架橋性の単量体があげられる。
【0027】
さらに粒径0.01〜0.5μmの有機微粉末を含有することもでき、特にアントアントロン顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料から選択される電子輸送性の有機顔料を含有させると、安定な電気特性の感光体を得ることができるので、好ましく使用される。これらの具体的なものとしては、例えば、下記に示すビスアゾ顔料および縮合芳香族系顔料等があげられる。
【0028】
【化6】
【0029】
【化7】
【0030】
下引き層の膜厚は、0.1〜10μmの範囲で任意に設定することができるが、0.3〜7μmの範囲が好ましく、特に好ましくは0.5〜5μmの範囲であって、安定した画質と電気特性を得ることができる。
【0031】
光導電層は、電荷発生材料、電荷輸送材料を含有する単一の層からなる単層型、あるいは電荷発生材料を含有する電荷発生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層の2層からなる積層型のいずれであってもよいが、特に積層型の光導電層を採用した場合において、本発明による著しい改善の効果が得られる。これらの光導電層には、必要に応じてさらに表面保護層を積層してもよく、表面保護層に前記一般式(I)で示されるポリマーを用いてもよい。
【0032】
積層型の電子写真用感光体の場合、電荷発生層は、電荷発生材料を適当な結着樹脂とともに有機溶剤中に分散し、下引き層上に浸漬塗布等の方法で塗布した後に乾燥するか、或いは蒸着等の方法により形成することができる。電荷発生材料としてはフタロシアニン系顔料、各種アゾ顔料、ペリレン顔料、ジブロモアントアントロン等の縮合環芳香族系顔料、スクエアリリウム顔料等を用いることができるが、特に無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料を用いた場合において、本発明による著しい改善の効果が得られるので好ましい。
【0033】
また、結着樹脂としては、ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等の中から適宜選択することができる。電荷発生層の膜厚は0.1〜5μmの範囲で任意に設定することができるが、0.2〜3μmの範囲が特に好ましい。
【0034】
また、電荷輸送層は、電荷輸送層材料を適当な結着樹脂とともに有機溶剤に溶解し、前記の電荷発生層上に浸漬塗布等の方法で塗布した後に、乾燥することによって形成することができる。用いる電荷輸送材料としてはアントラセン、ピレン等の多環芳香族化合物、カルバゾール、イミダゾール等の含窒素複素環化合物、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、テトラフェニルベンジジン誘導体等の中から適宜選択することができる。また、結着樹脂としてはポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等の中から適宜選択することができる。電荷輸送層の膜厚は5〜50μmの範囲で任意に設定することができるが、10〜40μmの範囲が特に好ましい。
【0035】
【実施例】
以下、本発明に用いられる化合物の合成例、実施例により、本発明を具体的に説明する。
合成例1(化合物(20)の合成)
ポリビニルアルコール(和光純薬社製、重合度約500)1g、2,7−ジニトロフルオレノン−4−カルボン酸7.1g、N,N−ジメチルアセトアミド50mlおよびピリジン7.9mlを200mlのフラスコに入れ、これに2,4,6−トリニトロクロロベンゼン5.7gを100mlのN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、80℃に加熱し、24時間反応を続けた。反応終了後、50mlのアセトンを加え、析出したポリマーをろ別し、アセトンで十分に洗浄し、得られたポリマーを50mlのN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させた。この溶液をアセトン200ml中に撹拌しながらゆっくりと滴下し、再沈澱処理を行った。析出したポリマーをろ別し、アセトンで十分に洗浄し、減圧乾燥して、黄色固体3.5gを得た。その赤外吸収スペクトルを図1に示す。得られたポリマーのmとnの比は、 1H−NMRよりm/n〜約1/1であることが確認された。(l=0、m=約250、n=約250、l+m+n=約500)
【0036】
合成例2(化合物(22)の合成)
500mlのフラスコ中、ポリビニルアルコール(和光純薬社製、重合度約500)10gを蒸留水120mlに65℃で溶解させ、1gの濃硫酸を加えた。これに激しく撹拌しながら、n−ブチルアルデヒド4gを一度に加え、65℃で1時間撹拌した。析出したポリマーをろ別し、蒸留水で十分に洗浄し、乾燥して11.1gのポリビニルブチラール(ブチラール樹脂1)を得た。得られたポリビニルブチラール10gを500mlのフラスコ中に入れ、N,N−ジメチルアセトアミド200mlに溶解させ、2,7−ジニトロフルオレノン−4−カルボン酸15g、およびピリジン7.6mlを加え、これに2,4,6−トリニトロクロロベンゼン11.9gを200mlのN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、80℃に加熱し、5時間反応を続けた。反応終了後、2000mlのアセトン中に撹拌しながらゆっくりと滴下し、ポリマーを析出させた。析出したポリマーをろ別し、アセトンで十分に洗浄し、得られたポリマーを100mlのN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させ、このポリマー溶液をアセトン2000ml中に撹拌しながらゆっくりと滴下し、再沈澱処理を行った。析出したポリマーをろ別し、メタノールで十分に洗浄し、減圧乾燥して、黄色固体8.5gを得た。その赤外吸収スペクトルを図2に示す。得られたポリマーのl、mおよびnの比は、1H−NMRよりl/m/n=約3/3/2であることが確認された。(l=約180、m=約180、n=約140、l+m+n=約500)
【0037】
合成例3(化合物(13)の合成)
合成例2と同様にして得たポリビニルブチラール10gを500mlのフラスコ中に入れ、N,N−ジメチルアセトアミド200mlに溶解させ、ナフトキノン−2−カルボン酸15.0gおよびピリジン9.4mlを加え、これに2,4,6−トリニトロクロロベンゼン1.7gをN,N−ジメチルアセトアミド200mlに溶解した溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、80℃に加熱し、5時間反応を続けた。反応終了後、2000mlのアセトンと1000mlのメタノールを混合して得た溶剤中に、撹拌しながらゆっくりと滴下し、ポリマーを析出させた。析出したポリマーをろ別し、メタノールで十分に洗浄し、得られたポリマーを4400mlのテトラヒドロフランに溶解させ、得られたポリマー溶液をメタノール2000ml中に撹拌しながらゆっくりと滴下し、再沈澱処理を行った。析出したポリマーをろ別し、メタノールで十分に洗浄し、減圧乾燥して、黄色固体9.8gを得た。その赤外吸収スペクトルを図3に示す。得られたポリマーのl、mおよびnの比は、1H−NMRよりl/m/n=約3/3/2であることが確認された。(l=約180、m=約180、n=約140、l+m+n=約500)
【0038】
実施例1
合成例1で得られた化合物(20)1.50gをN,N−ジメチルアセトアミド30mlに溶解し、アルミニウムパイプ(40mmφ×318mm)上に浸漬塗布し、150℃で30分間乾燥して、膜厚1.0μmの下引き層を形成した。
次に、X型−無金属フタロシアニン1重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VMCH;ユニオンカーバイド社製)1重量部および酢酸n−ブチル40重量部を1mmφのガラスビーズを用いたサンドミルで2時間分散処理し、得られた分散液を上記の下引き層に浸漬塗布し、100℃で10分間乾燥して、膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0039】
最後に、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニルアミン1重量部およびポリ(4,4−シクロヘキシリデンジフェニレンカーボネート)樹脂1重量部をモノクロロベンゼン6重量部に溶解した溶液を、上記の電荷発生層上に浸漬塗布し、135℃で1時間乾燥して、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、試験用の電子写真感光体を作製した。
【0040】
上記のようにして得られた電子写真感光体について、レーザープリンター(XP、富士ゼロックス社製)を改造した評価装置により、電気特性の評価試験を行った。電気特性の評価は、常温常湿下(20℃、40%RH)および低温低湿下(10℃、20%RH)における、帯電後レーザー光を照射しない場合の感光体の表面電位(VH )、12erg/cm2 のレーザー光を照射した場合の表面電位(VL )、30erg/cm2 の光を照射した場合の表面電位(VR )を測定することにより行った。さらに、操作を1000サイクル繰り返した後、同様の測定を行った。それらの結果を表7に示す。
【0041】
実施例2および3
下引き層の構成成分として合成例(2)または(3)で得られた化合物(22)または(13)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、電気特性の評価試験を行った。その結果を表7に示す。
【0042】
実施例4
下引き層の構成成分として合成例(1)で得られた化合物(20)1.0g、ジブロモアントアントロン2.0g、1mmφのガラスビーズ50g、N,N−ジメチルアセトアミド40mlをペイントシェーカーに入れて1時間分散処理し、アルミニウムパイプ(40mmφ×318mm)上に浸漬塗布し、150℃で30分間乾燥して、膜厚1.5μmの下引き層を形成した。この下引き層上に実施例1と同様にして電荷発生層および電荷輸送層を形成して電子写真感光体を作製し、電気特性の評価試験行った。その結果を表7に示す。
【0043】
実施例5および6
下引き層の構成成分として合成例(2)または(3)で得られた化合物(22)または(13)を用いた以外は、実施例4と同様にして電子写真感光体を作製し、電気特性の評価試験を行った。その結果を表7に示す。
【0044】
実施例7
下引き層の構成成分として合成例(1)で得られた化合物(20)1.0g、ジブロモアントアントロン2.0g、1mmφのガラスビーズ50g、N,N−ジメチルアセトアミド40mlをペイントシェーカーに入れ、1時間分散処理した。これにさらにトリブトキシジルコニウムアセチルアセトネート0.5gを加え、ペイントシェーカーで30分間分散処理した。得られた分散液をアルミニウムパイプ(40mmφ×318mm)上に浸漬塗布し、150℃で30分間乾燥して、膜厚1.5μmの下引き層を形成した。この下引き層上に実施例1と同様にして電荷発生層および電荷輸送層を形成して電子写真感光体を作製し、電気特性の評価試験を行った。その結果を表7に示す。
【0045】
比較例1
下引き層の構成成分として合成例(2)で得られたポリビニルブチラール(ブチラール樹脂1)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、電気特性の評価試験を行った。その結果を表7に示す。
【0046】
比較例2
共重合ナイロン樹脂(アラミンCM8000、東レ社製)1重量部をエタノール8重量部に溶解して得た溶液をアルミニウムパイプ上に浸漬塗布し、150℃で10分間乾燥して、膜厚1.0μmの下引き層を形成した。以下、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、電気特性の評価試験を行った。その結果を表7に示す。
【0047】
【表7】
【0048】
【発明の効果】
本発明の電子写真用感光体は、上記の一般式(I)で示されるポリマーを含有する層を設けたことにより、帯電性が高く、かつ低温低湿下においても高感度で、低い残留電位を示し、常に安定した電子写真特性を有するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 合成例1で得られたポリマーの赤外吸収スペクトル図。
【図2】 合成例2で得られたポリマーの赤外吸収スペクトル図。
【図3】 合成例3で得られたポリマーの赤外吸収スペクトル図。
Claims (4)
- 導電性支持体上に、下記一般式(I)で示されるポリマーを含有する層を設けたことを特徴とする電子写真感光体。
lは0以上の整数、mおよびnは1以上の整数を意味し、l+m+nは20〜10,000の範囲にあり、かつ、0.1<n/(l+m+n)<0.9である。] - 少なくとも上記一般式(I)で示される繰り返し単位を有するポリマーを含有する層が下引き層であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
- 上記一般式(I)で示される繰り返し単位を有するポリマーを含有する層中に、さらに粒径0.01〜0.5μmの有機微粉末を含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の電子写真感光体。
- 粒径0.01〜0.5μmの有機微粉末が、アントアントロン顔料、ペリレン顔料およびアゾ顔料から選択される有機顔料であることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
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