JP3838156B2 - 半導体集積回路装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、SOI基板とpn接合分離を組み合わせた半導体集積回路装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子分離技術の進歩により、高耐圧デバイスと低耐圧デバイスを同一基板上に集積したパワーICの開発が盛んに行われている。特に、高耐圧デバイスを出力デバイスとして1チップ上に多数搭載したパワーICも実現されおり、その代表例としてプラズマディスプレイパネルドライバーICや三相モータ駆動用インバータICなどが代表例として挙げられる。
【0003】
図4は、素子分離技術の一つである、埋め込みエピタキシャル基板1133上のpn接合分離技術を用いた半導体集積回路装置(IC)の要部断面図である。この分離技術はパワーICの分野では1980年代から適用されており、製品実績も多い。以下、図4を用いてこの分離技術について簡単に説明する。尚、説明を容易にする目的から図4には導電形を記入しているが、本説明は反対導電形においても成立する。また、半導体素子形成領域として横形pチャネル形MOSFET形成領域50を想定し、その隣接領域にCMOS回路形成領域51を想定している。以下の説明でpはp形、nはn形の導電形を示す。
【0004】
p半導体基板11の表面上にpエピタキシャル層33を形成する。p半導体基板11とpエピタキシャル層33の界面には部分的にn埋め込み層7が形成されている。このn埋め込み層7は、pエピタキシャル層33の成長前にp半導体基板11の所望の領域にn形不純物を導入し、pエピタキシャル層33の成長と同時に形成される。pエピタキシャル層33の形成後、pエピタキシャル層33を、n分離領域4によって素子を形成する半導体領域に分割する。このn分離領域4は素子を構成する他の拡散領域と同様にイオン注入と熱拡散によって形成される。そして、n分離領域4はn埋め込み層7に到達しており、n分離領域4ならびにn埋め込み層7によって囲まれた素子形成領域50が形成される。n分離領域4上に第1電極21が形成され、p半導体基板11裏面に第2電極22が形成され、端子101と端子100にそれぞれ接続する。ただし、第2電極22および端子100は無い場合もある。
【0005】
n分離領域4には端子101を通して電圧が印加される。印加される電圧はpエピタキシャル層33との接合が逆バイアスされるように選ばれる。n埋め込み層7の電位はn分離領域4の電位と等しいため、n埋め込み層7とpエピタキシャル層33の接合、またn埋め込み層7とp半導体基板11との接合も逆バイアスされことになる。これにより、素子形成領域50内部の電圧変化がn分離領域4とn埋め込み層7、そしてpエピタキシャル層33とp半導体基板11で形成される接合で吸収されることになり、電圧変化の影響が隣接する素子形成領域51に及ばないようになっている。
【0006】
p半導体基板11はpエピタキシャル層33と部分的に接続しているため、p半導体基板11にはpエピタキシャル層33に形成された素子の電圧が印加される。図4の場合では、CMOS回路形成領域51内の素子に印加される電圧がp半導体基板11に印加されることになる。これにより、n分離領域4とn埋め込み層7に覆われた横形のpチャネルMOSFET形成領域50の電圧変化がCMOS回路形成領域51に及ぶことはない。
【0007】
尚、n分離領域4の電圧は、図4のように個別に設けた端子101から印加する場合や、図示しないが、素子に印加される電圧が素子を形成する拡散層を介してn分離領域4に印加される場合がある。
この埋め込みエピタキシャル基板1133を用いたpn接合分離方式には寄生トランジスタが存在するという問題がある。図4の場合では、pエピタキシャル層33とn埋め込み層7、そしてp半導体基板11によって寄生トランジスタが形成されている。ICの動作によってはこの寄生トランジスタが動作しやすい状況が発生し、この寄生トランジスタが動作するとp半導体基板11に流れ込む大きな寄生電流が発生することになる。これはICの消費電力増加を招き、埋め込みエピタキシャル基板1133を用いたpn接合分離方式の大きな欠点となっている。
【0008】
この欠点を改善するための手法として、図5のようなSOI基板123を用いたpn接合分離方式が考えられる。本方式は図4のエピタキシャル基板1133を、半導体層である支持層1と半導体層であるSOI層3、そして絶縁膜である酸化膜2によって構成されるSOI基板123に置き換えただけのものである。
半導体素子はSOI層3に形成され、一方の支持層1はSOI層3を支えるための役目を果たす。
【0009】
SOI層3には図4と同じ形態で素子およびn分離領域4が形成され、隣接間素子の分離が行われる。しかし、本方式では埋め込みエピタキシャル基板1133を用いた図4の方式と以下の2点が大きく異なる。
1)埋め込み層が存在せず、それを酸化膜が代替する。
2)酸化膜は支持層とSOI層の界面全面に存在する。
上記1)により、本方式の基板には図4で存在した寄生トランジスタが形成されない。そのため寄生電流は発生せず、ICの消費電流増加を抑えることができる。一方、2)により、支持層1の電圧を素子形成領域(SOI層3)側から印加することができない。そのため、図5のように端子100を介して支持層1に電圧を印加する必要がある。また、支持層1は酸化膜2によってSOI層3と絶縁されているため、支持層1の導電形は制限を受けない。
【0010】
尚、図5では端子100を介して支持層1に任意の電圧を印加しているが、この端子100を故意に形成する必要はない。例えば、ICを実装するパッケージ内あるいはモジュール内の、ICを固定するステージを介して支持層1に電圧を印加することも可能である。
上記のように、本方式では図4のような寄生素子が存在せず、寄生電流の発生によるICの消費電流増加を防止することが可能である。そのため、低消費電力のICを実現することができる。しかし、本方式を用いたICでは下記に述べる不具合が発生する。
【0011】
尚、図中の21はn分離領域4上に形成された第1電極、22は、支持層1上に形成された第2電極で、それぞれ、端子101、100に接続する。
図6は、ICのチップの概略平面図である。チップ600は素子が形成される領域60と外周部に形成された分離領域(ここではn分離領域4とする)と外周端領域61に分離される。外周端領域61は半導体ウエハのダイシング時に生ずる機械的な影響を吸収するための領域であり、外周端領域61はチップ全体に占める面積は数%程度である。
【0012】
図7は、埋め込みエピタキシャル基板を用いたチップの外周部の断面図であり、図6のX−X線で切断した要部断面図である。チップの外周端領域61とp半導体基板11の導電形は同じで、ここではp形である。
常時、端子101は高電位状態にあり、端子100がグランド電位にある。そのため、n分離領域4と外周端領域61のpn接合は、常時、逆バイアスされている。p半導体基板11が外周端領域61と同じ導電形のため、外周端領域61は、電極100の電位に固定される。また、チップ端部のへき開面70に露出した外周端領域61とp半導体基板11には電圧が印加されない。そのため、へき開面にもれ電流が流れない。
【0013】
図8は、SOI基板を用いたチップの外周部の要部断面図で、同図(a)は外周端領域と分離領域の導電形が異なる場合の要部断面図、同図(b)は外周端領域と分離領域の導電形が同じ場合の要部断面図である。
同図(a)において、前記したように、
常時、端子101は高電位状態にあり、端子100がグランド電位にある。この端子101と端子100の間の電圧は殆ど酸化膜2に印加され、n分離領域4と外周端領域61のpn接合に印加される電圧は小さく、空乏層15の広がりも小さい。そのため、へき開面70に露出した外周端領域61と支持層1の間には電圧が印加されず、へき界面70にはもれ電流は流れない。
【0014】
同図(b)において、外周端領域61がn領域となっている。これは、図示しない箇所のnチャネルMOSFETを形成するnウエル領域と同時にチップ外周端領域を形成した場合に相当する。そのため、n分離領域4と外周端領域が共にn形となりpn接合は形成されない。
前記したように、端子101は高電位状態にあり、端子100がグランド電位にある。この端子101と端子100の間の電圧は酸化膜2に印加される。へき開面70では、A部に示すようにこの薄い酸化膜2の側面が露出しており、この露出した酸化膜2に端子101と端子100の間の電圧が印加される。
【0015】
しかし、へき開面であるために、露出した酸化膜2の側面は荒れており、絶縁強度が極めて低下しており、印加された高電圧により、チップ端面には過大なもれ電流が流れる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
この過大なもれ電流により、チップ端面が損傷し、正常な動作ができなくなる。また、電源システムが破損する場合も生じる。
また、チップ端面の絶縁強度の低下が少く、チップ端面に流れるもれ電流が小さい場合でも、消費電力の増大は避けられず、また、長期信頼性の面からは好ましくない。
【0017】
この発明の目的は、前記の課題を解決して、もれ電流がチップ端面に流れるのを防止した半導体集積回路装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、第1導電形の第1半導体基板(SOI層)と、第1もしくは第2導電形の第2半導体基板(支持層)と、前記第1半導体基板と前記第2半導体基板の間に介在する絶縁膜とを有するSOI基板を用い、前記第1半導体基板に形成され、該第1半導体基板を分割し、前記絶縁膜に達する第2導電形の分離領域と、該分離領域に囲まれた分割領域(活性領域)と、該分割領域の表面層に形成される半導体素子とを有する半導体集積回路装置において、
前記分離領域の電位と、前記第2半導体基板の電位を同電位とする。
【0019】
また、前記分離領域が、前記第1半導体基板の外周端に達するように形成されるとよい。
また、前記分離領域が、前記第1半導体基板の外周端に達しない第2導電形の第1分離領域と、該第1分離領域に接して、該第1分離領域と第1半導体基板の外周端との間全域(半導体チップの外周部全域)に、前記絶縁膜に達する第2導電形の第1分離領域より低濃度の外周端領域とを有するとよい。
【0020】
また、前記分離領域上に形成した第1電極と前記第2半導体基板に形成した第2電極とを電気的に接続するとよい。
また、前記分離領域直下の絶縁膜に、前記第2半導体基板に達する貫通孔を開け、該貫通孔を導電材で充填して、前記分離領域と前記第2半導体基板とを電気的に接続するとよい。
【0021】
このように、外周端領域と支持層の電位を同電位とすることで、チップ端面であるへき開面に流れるもれ電流を防止することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の第1実施例の半導体集積回路装置の要部断面図である。この図は図6のチップ600の外周部を示し、図6のX−X線で切断した要部断面図である。図8と同一箇所には図8と同一符号を記した。
p半導体基板である支持層1(n形の支持層でも構わない)と、素子を形成するp半導体基板であるSOI層3とこれらの層に挟まれた絶縁膜(酸化膜2)で構成されたSOI基板123を用いて半導体集積回路装置を形成する。SOI層3に、酸化膜2に達するn分離領域4を形成する。このn分離領域4はチップ端面に達するように形成する。このn分離領域4の表面層にn+ 領域5を形成し、このn+ 領域5上に第1電極21を形成し、支持層1上に第2電極22を形成する。この第1電極21と第2電極22とを電気的に接続し(電気配線200で接続したり、または、電極100、101同志直接接続したりする)、同電位とする。具体的方法の一つとして、第1電極21と接続する端子101と、第2電極22と接続する端子100とを接続する方法がある。この場合、n分離領域4と素子形成領域60のpn接合が逆バイアスされるように、端子101には高電圧が印加される。従って、端子100にも同一の高電圧が印加される。
【0023】
一方、図示しないが、導電形が逆のp分離領域の場合には、第1電極と第2電極をグランド電位とする。いずれの場合も分離領域と素子形成領域とのpn接合が逆バイアスされるようにする。
こうすることで、チップ端面のへき開面が同電位となり、へき開面にはもれ電流が流れない。もれ電流を防止することで、半導体集積回路装置の消費電力は抑制され、長期信頼性が確保できる。さらに、過大なもれ電流が防止されるので、半導体集積回路装置(チップ)の破損を防止でき、この半導体集積回路装置を用いた電源システムの破壊を防止できる。
【0024】
尚、n分離領域で囲まれた素子形成領域内に第2のn分離領域を設けて、この第2のn分離領域で囲まれた箇所に素子を形成して構わない。この場合は、第2のn分離領域上に形成した第3の電極は、第2のn分離領域と素子形成領域とのpn接合が逆バイアスされる条件で任意の電圧を選定できる。つまり、高電圧に固定する必要はなくなる。
【0025】
図2は、この発明の第2実施例の半導体集積回路装置の要部断面図である。図1との違いは、n分離領域4がチップ端面に達していない点である。外周端領域61をn分離領域と同じ導電形で形成された場合である。これは、図8(b)に相当し、前記したように外周端領域61のn領域は、図示しない箇所のnチャネルMOSFETを形成するnウエル領域と同時にチップ外周端領域を形成した場合に相当する。
【0026】
この場合、外周端領域61は図1のn分離領域4の一部と考えることができる。この場合も、n分離領域と支持層を同電位とすることで、図1と同じ効果が得られる。
図3は、この発明の第3実施例の半導体集積回路装置の要部断面図である。図1に相当する図である。
【0027】
図1との違いは、n分離領域4と支持層1に挟まれた酸化膜2に貫通孔23を開け、この部分に導電材24を充填する。また、図1の端子100と接続する端子101を接続する電気配線200が削除されている点が異なる。n分離領域4と支持層1を導電材24で接続することで、同電位とする。この場合は、図1の効果に、さらに、n分離領域4と支持層1を接続する距離が極めて短くなるため、接続配線200に導入されるノイズの影響を排除できる効果が加わる。
【0028】
【発明の効果】
この発明によれば、SOI基板とpn接合分離を組み合わせた半導体集積回路装置において、チップ外周部に形成した分離領域の電位と支持層の電位を一致させる(同電位とする)ことで、チップ端面に流れるもれ電流を防止し、消費電力の抑制と、長期信頼性の確保を図ることができる。
【0029】
また、過大なもれ電流を防止し、半導体集積回路装置(チップ)の破損と電源システムの破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例の半導体集積回路装置の要部断面図
【図2】この発明の第2実施例の半導体集積回路装置の要部断面図
【図3】この発明の第3実施例の半導体集積回路装置の要部断面図
【図4】素子分離技術の一つである、埋め込みエピタキシャル基板のpn接合分離技術を用いた半導体集積回路装置(IC)の要部断面図
【図5】素子分離技術の一つである、SOI基板とpn接合分離を用いた半導体集積回路装置(IC)の要部断面図
【図6】ICのチップの概略平面図
【図7】埋め込みエピタキシャル基板を用いたチップの外周部の断面図であり、図6のX−X線で切断した要部断面図
【図8】SOI基板を用いたチップの外周部の要部断面図で、(a)は外周端領域と分離領域の導電形が異なる場合の要部断面図、(b)は外周端領域と分離領域の導電形が同じ場合の要部断面図
【符号の説明】
1 支持層
2 酸化膜
3 SOI層
4 n分離領域
5 n+ 領域
6 n領域
21 第1電極
22 第2電極
23 貫通孔
24 導電材
60 素子形成領域
61 外周端領域
70 へき開面
100、101 端子
123 SOI基板
200 電気配線
Claims (5)
- 第1導電形の第1半導体基板と、第1もしくは第2導電形の第2半導体基板と、前記第1半導体基板と前記第2半導体基板の間に介在する絶縁膜と、前記第1半導体基板に形成され、該第1半導体基板を分割し、前記絶縁膜に達する第2導電形の分離領域と、該分離領域に囲まれた分割領域と、該分割領域の表面層に形成される半導体素子とを有する半導体集積回路装置において、
前記分離領域の電位と、前記第2半導体基板の電位を同電位とすることを特徴とする半導体集積回路装置。 - 前記分離領域が、前記第1半導体基板の外周端に達するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
- 前記分離領域が、前記第1半導体基板の外周端に達しない第2導電形の第1分離領域と、該第1分離領域に接して、該第1分離領域と第1半導体基板の外周端との間全域に、前記絶縁膜に達する第2導電形の第1分離領域より低濃度の外周端領域とを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路装置。
- 前記分離領域と前記第2半導体基板とを電気的に接続することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置。
- 前記分離領域直下の絶縁膜に、前記第2半導体基板に達する貫通孔を開け、該貫通孔を導電材で充填して、前記分離領域と前記第2半導体基板とを電気的に接続することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置。
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