JP3837239B2

JP3837239B2 - カレンダ−ロ−ル

Info

Publication number: JP3837239B2
Application number: JP22264198A
Authority: JP
Inventors: 直洋石岡
Original assignee: Nippon Paper Industries Co Ltd
Current assignee: Nippon Paper Industries Co Ltd
Priority date: 1998-08-06
Filing date: 1998-08-06
Publication date: 2006-10-25
Anticipated expiration: 2018-08-06
Also published as: JP2000054282A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は製紙用カレンダ−ロ−ル、さらに詳しくは、熱歪み対策が講じられた油圧式クラウン制御機能を備えたカレンダ−ロ−ルに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
抄紙機に設置されるカレンダ−ロ−ルは、紙に光沢および平滑性を付与すると共に、紙の厚さ（キャリパ−）を一定に保つ機能を担荷している。このカレンダ−ロ−ルは、加圧に際して生ずるそれ自信の撓みのために、その中央部におけるニップ圧が両端部におけるニップ圧よりも弱くなりやすい。このような状態を避けるために、ロ−ルにクラウンを付けることにより、中央部と両端部のニップ圧の均一化を計ることが行われている。
【０００３】
しかし、固定クラウンでは、抄造銘柄や抄速の変更等によってカレンダ−のニップ圧が設定値から外れた場合に、ロ−ル全幅に亘っての均一な加圧ができなくなるという欠点がある。そのため近時の抄紙機においては、油圧でクラウンを制御する、いわゆるクラウン・コントロ−ル・ロ−ルが主流となってきている。
【０００４】
図３及び図４は従来のクラウン・コントロ−ル・ロ−ルの例を示すもので、固定状態にて内挿された大きなＩ型のセンタ−シャフト３２の上を、滑らかに回る円筒（回転セル）３１で構成されていて、回転セル３１は内側からピボット式加圧シュ−３３で押し上げられた状態となっている。加圧シュ−３３は、センタ−シャフト３２の長手方向に作られた溝に納められたピストンバ−３４の上に、ピボットバ−３５を介して取り付けられる。ピストンバ−３４の下側に油圧路３６が延び、ピストンバ−３４の下側に油圧室が形成される。
【０００５】
回転セル３１の回転中は、加圧シュ−３３と回転セル３１の間に油の層ができ、速度および負荷の変動に伴って加圧シュ−３３はピボットバ−３５を軸に自動的に傾き、その摺動面において常に十分な潤滑状態が保たれる。ニップ圧は回転セル３１、加圧シュ−３３、ピストンバ−３４、油圧室、センタ−シャフト３２の順に順次伝達されて支えられる。回転セル３１のクラウン又は撓みは、ニップ圧に応じて油圧を変えることにより調整できる。
【０００６】
潤滑油の供給パイプ３７は、固定された操作側センタ−シャフト３２に沿って配管される。この潤滑油はロ−ル中央部で左右に等しい長さの枝管に分かれて流入し、ロ−ルセルの両端に向かって噴出する。この潤滑油は、回転セル３１の回転によって加圧シュ−３３のリ−ディング側へ運ばれ、回転セル３１と加圧シュ−３３の摺動部を潤滑する。余分の油は加圧シュ−３３によって掻き落とされ、センタ−シャフト３２を伝って溜りの中へ流れ落ち、ロ−ル中央部の排出口からポンプで回転セル３１の外に排出される。クラウン・コントロ−ル・ロ−ルの内部は摩耗しにくいように設計されており、加圧シュ−３３にかかる面圧を低くとってあって油膜が厚く形成されるので、シュ−は殆ど摩耗しない。
【０００７】
操作系統は図５に示すように、潤滑油を供給する潤滑ライン４１、ピストンバ−３４に油圧を供給する加圧ライン４２、操作員が遠方から油圧を設定する設定ライン４３、ロ−ル内部に溜まった油を油圧ユニット４５に戻す排出ライン４４で構成されている。油圧ユニット４５は、オイルポンプ、油温制御装置（オイルク−ラ−）、加圧ライン４２の油圧自動制御装置、故障等で潤滑ラインの圧力が低下したときに予備ポンプに自動的に切り替える装置などで構成されている。操作ボックス４６には、作業員が操作する油圧設定器及び加圧ライン４２の圧力計が組み込まれている。
【０００８】
潤滑油は約４０℃でロ−ルに供給され、ロ−ルシェル全体を支えるベアリング３８及び、加圧シュ−３３と回転セル３１の摺動面の潤滑に使われる。セルの表面温度は６０〜７０℃であり、潤滑後排出される油温は約５８℃に上昇している。排出されたオイルは油温制御装置（オイルク−ラ−）で冷却され、約４０℃になってオイルタンクに戻り、再びポンプでロ−ルに供給され循環する。
【０００９】
そのために潤滑油が噴射されるロ−ル端部は、ロ−ルの内側部分の温度と比較して約２０℃低温の潤滑油で冷却されることとなって、他の部位よりロ−ル表面温度が低くなり、僅かではあるが外径が小さくなる。その結果、紙の厚さ（キャリパ−）が端部だけ厚くなるという品質上の問題が起こっていた。
【００１０】
この問題に対処するためカレンダ−ロ−ルには、キャリパ−コントロ−ル用の、幅方向に分割された誘電加熱装置や、冷却用エアを吹き付ける装置が附属されており、ロ−ル表面温度を部分的に変え、厚さや光沢の調整を行えるように設計されているが、幅方向、流れ方向の紙両端部のキャリパ−の変動幅を極力小さくしようとする命題を満足するものではなかった。
【００１１】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く、クラウン・コントロ−ル・ロ−ルの端部は潤滑油で冷却されるために、その部分のロ−ル外径が他の部位より僅かに小さくなってキャリパ−の変動を招いていた。このロ−ル外径の変動を加熱装置や冷却装置などの補助装置で以て無理に修正しようとすると、キャリパ−の変動（通常２σで表される）が他の部位より相対的に大きくなってしまうという解決困難な課題があった。
そこで本発明は、潤滑油に起因するキャリパ−の変動を極力抑えることができるカレンダ−ロ−ルを提供することを課題とする。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ロ−ル端部のキャリパ−変動の主要因が潤滑油の供給方法に由来することから、上記課題は潤滑油をシェル全幅に均一に供給することにより解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、固定式センタ−シャフトを内挿した回転セルを備え、前記センタ−シャフトに前記回転セルの内壁面に摺接するシュ−を取り付けたクラウン・コントロ−ル・ロ−ルであって、前記シュ−の摺接面を潤滑する潤滑油を、前記センタ−シャフトに沿ってその全長に亘って延び、全長に亘って多数の潤滑油噴出用小孔を形成したオイルシャワ−パイプから供給するようにしたことを特徴とするカレンダ−ロ−ル、により上記課題を解決した。
【００１３】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に依拠して説明する。図１はその構成図、図２はそのオイル循環系統を示す図であって、図中１は回転セルで、その中に・型等の固定式センタ−シャフト２が従来のものと同様にして挿入される。センタ−シャフト２の上面、好ましくは上面及び下面に、長さ方向に延びる溝状の油圧室３、４が形成され、各油圧室３、４内に上下方向に移動可能にしてピストンバ−５、６が装入される。ピストンバ−５にはピボットバ−７を介してトップシュ−８が取り付けられ、ピストンバ−６にはピボットバ−９を介してボトムシュ−１０が取り付けられる。
【００１４】
回転セル１とセンタ−シャフト２との間に形成されるスペ−スに、トップシュ−８とボトムシュ−１０の回転セル内面に対する摺接面を潤滑する潤滑油を供給するオイルシャワ−パイプ１１が配置される。オイルシャワ−パイプ１１はセンタ−シャフト２に取り付けられてセンタ−シャフト２の長さ方向に延び、その全長に亘って潤滑油を噴出する小孔１２が多数、通例定間隔置きに形成される。
【００１５】
潤滑油は、センタ−シャフト２に沿って延びるオイルパイプ１３から、オイルシャワ−パイプ１１の中間部に供給され、各小孔１２から回転セル１の内壁面に向けて噴射される。噴射された潤滑油は、回転セル１の回転に伴ってトップシュ−８及びボトムシュ−１０のリ−ディングエッジへ運ばれ、回転セル内壁面とシュ−８、１０との摺接面を潤滑する。余分な油はシュ−８、１０によって掻き落とされ、一部は回転セル１を支持する軸受の潤滑に使用され、残りはロ−ル中央部に形成される排出口から外部に排出される。
【００１６】
上記外部に排出される残油は排油ポンプ１５によって汲み出されるが、その際の温度は約５８℃に達している。そこで、その後オイル冷却器１６に送られて約４０℃に冷却され、オイルタンク１７に貯留される。オイルタンク１７内の潤滑油は加圧ポンプ１８で汲み出され、オイルパイプ１３と、ピストンバ−５、６を駆動すべく油圧室３、４に連なる油圧配管２０とに分かれて供給される。油圧配管２０側には電磁弁２１が設置される。
【００１７】
本発明に係るカレンダ−ロ−ルを用いて下記条件で抄造した紙のキャリパ−変動を、実施例として表１に示す。
抄紙機：ツインワイヤ−抄紙機
銘柄：新聞用紙、抄速１２５０ｍ／ｍｉｎ、
カレンダ−条件：３段、２ニップ、線圧２５Ｋｇ／ｃｍ、
紙質：坪量４３ｇ／ｍ2 、厚さ３７μｍ、密度０．６０ｇ／ｍ3 、ベック平滑度５０秒
【００１８】
【表１】

なお、従来構造の潤滑方法によるカレンダ−ロ−ルを用いた以外は実施例と同じ条件で抄造した紙のキャリパ−変動を、比較例として上記表１に示した。
【００１９】
【発明の効果】
本発明は上述した通りであって、本発明によれば、回転セルとシュ−との摺接面に対する潤滑を行う潤滑油は、多数の小孔を有するオイルシャワ−パイプから全長に亘って均一に供給され、端部に片寄ることがないために、ロ−ル中央部と両端部とにおける表面温度差を無くすことができ、以てニップ圧の均一化を達成でき、その結果キャリパ−変動が非常に小さい紙の抄造を可能ならしめる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るカレンダ−ロ−ルの構成を示す一部切截斜視図である。
【図２】本発明に係るカレンダ−ロ−ルの構成及びオイル循環系統を示す図である。
【図３】従来のカレンダ−ロ−ルの縦断面図である。
【図４】従来のカレンダ−ロ−ルの一部切截斜視図である。
【図５】従来のカレンダ−ロ−ルの操作系統図である。
【符号の説明】
１回転セル
２固定式センタ−シャフト
３油圧室
４油圧室
５ピストンバ−
６ピストンバ−
７ピボットバ−
８トップシュ−
９ピボットバ−
10 ボトムシュ−
11 オイルシャワ−パイプ
12 小孔
13 オイルパイプ
15 排油ポンプ
16 オイル冷却器
17 オイルタンク
18 加圧ポンプ
20 油圧配管
21 電磁弁

Claims

固定式センタ−シャフトを内挿した回転セルを備え、前記センタ−シャフトに前記回転セルの内壁面に摺接するシュ−を取り付けたクラウン・コントロ−ル・ロ−ルであって、前記シュ−の摺接面を潤滑する潤滑油を、前記センタ−シャフトに沿ってその全長に亘って延び、全長に亘って多数の潤滑油噴出用小孔を形成したオイルシャワ−パイプから供給するようにしたことを特徴とするカレンダ−ロ−ル。