JP3835768B2 - 精密光学素子の洗浄方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密光学素子の洗浄方法に関し、さらに詳しくは、カメラ、光学顕微鏡、半導体レーザー等に使用されるレンズ、プリズム等の精密光学素子から、ピッチ、ワックス、研磨剤、手脂および埃などの汚れを除去する洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
精密光学素子は、素材から製品となるまで様々な加工過程を有し、またその加工過程に応じた様々な検査工程を有している。これらの途中過程では様々な汚れが付着し、更に素材への影響も考慮しながら洗浄を行わなければならないため、洗浄に対する要求品質は非常に高い。
【0003】
このような精密光学素子の従来の洗浄は、「精密洗浄技術マニュアル 新技術開発センター社 193〜195頁」に示されるように、有機溶剤→水系洗浄剤→水→イソプロピルアルコール(IPA)→フロンの順で行っている。また、イソプロピルアルコールによる処理をフロンに界面活性剤を添加した水切り剤によって処理したり、最終工程のフロン処理を蒸気洗浄するなど様々な方法が用いられている。いずれにしても幾種類もの洗浄剤によって構成された洗浄ラインで洗浄されており、いずれの洗浄剤はどれも欠かすことができないものであった。
【0004】
一方、特開平1−210092号公報に記載される方法では、純水に浸漬した後に、超低速で水面から乾燥ガス中に引き上げて精密洗浄している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらフロンは、オゾン層破壊の問題からモントリオール議定書締結により1996年以降フロンの使用ができなくなる問題点がある。
【0006】
特開平1−210092号公報記載のように純水と乾燥ガスによる方法は、高品質に精密光学素子に付着している汚れを除去することができるが、純水製造装置および乾燥ガス発生装置は高価であり、しかもこれらの装置を組み込むことで洗浄工程が複雑化する。このため、この洗浄方法に切り替えることは難しい問題を有している。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、請求項1の発明は、簡単で、しかも安価に、精密光学素子に付着している汚れを高品質で除去できる洗浄方法を提供することを目的とする。請求項2の発明はこれに加えて、気化した際の臭気が非常に少ない洗浄方法を提供することを目的とする。請求項3の発明はさらに、取扱いがし易く、引火の危険性の低い洗浄方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した問題点はフロンを用いることなく、留出温度が初留点から非常に狭い高純度の飽和炭化水素を用いることで解決できることを見いだした。すなわち本発明の精密光学素子の洗浄方法は、有機溶剤および/または水系洗浄剤に浸漬する洗浄工程と、水に浸漬して前記有機溶剤および/あるいは水系洗浄剤をすすぐ工程と、親水性溶剤に浸漬して水を置換する工程と、非水溶性溶剤に浸漬して前記親水性溶剤を置換する工程と、95%留出温度が初留点から5℃以内で、かつ99%留出温度が初留点から10℃以内である蒸留性状の炭素数8以上12以下の飽和炭化水素からなる非水溶性溶剤に浸漬して前記親水性溶剤を置換する工程と、前記非水溶性溶剤から引き上げる工程と、付着している前記非水溶性溶剤を温風もしくは遠赤外線により、または真空にして気化させる乾燥工程と、からなることを特徴とするものである。
【0009】
精密光学素子は光学面の研磨や光学軸の芯取りなどの加工工程、素手による取扱い、あるいは保管において、ピッチ、ワックス、研磨剤、研削剤、手脂および埃などで汚れる。このため工程間あるいは検査前においては、その精度を保つため、反射防止膜のコーティング前やハードコートなどの光学薄膜のコーティング前では膜強度および膜の均一性を保つためにこれらの汚れを除去して清浄にする必要がある。
【0010】
本発明では、汚れた精密光学素子を最初に有機溶剤および/または水系洗浄剤に浸漬することにより、ピッチ、ワックス、研磨剤、研削剤、手脂および埃などのほとんどの汚れを除去する。ここに用いられる有機溶剤としては、トリクロロエチレンおよび1,1,1−トリクロロエタンなどの塩素系溶剤、アルキルベンゼン類およびナフテン類などの石油系溶剤、リモネン、ジペンテンなどのテルペン系溶剤、ジエチレングリコールモノブチルエーテルやジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤、乳酸エチルやコハク酸ジメチルなどのエステル系溶剤などの数多く種類を選択することができる。
【0011】
一方、水系洗浄剤としては、界面活性剤とアルカリビルダーや消泡剤などの添加剤を水に少量添加したアルカリ性洗浄剤、あるいは界面活性剤を主成分とする中性の洗浄剤などを選択することができる。これらの有機溶剤あるいは水系洗浄剤の選択は付着している汚れの種類や強さなど様々な条件に適合したものを選択できる。また有機溶剤で洗浄した後に水系洗浄剤で洗浄しても良いし、水系洗浄剤のみでも洗浄しても良い。
【0012】
この洗浄後に、精密光学素子を水に浸漬して有機溶剤及び/又は水系洗浄剤をすすぐ。界面活性剤およびアルカリビルダーなど添加剤は精密光学素子の光学面を侵食することが多いので、この工程で十分にこれらを除去しておく必要がある。水温は低いよりも高い方が一般的にすすぎ性が良い。また、低温例えば20℃と、高温例えば60℃の水に交互に浸漬してすすいでも良い。水の種類は純水の方が好ましいが、市水あるいは井水でも良い。
【0013】
さらにこの後に、親水性溶剤に浸漬して水を置換する。この工程では水を溶解し精密光学素子に付着している水分を除去できれば良い。この場合、水の置換性およびコストから親水性溶剤としてイソプロピルアルコール(IPA)あるいはエチルアルコールを用いることが良好である。
【0014】
この置換工程の後、非水溶性溶剤に浸漬して親水性溶剤を置換する。この工程に使用する非水溶性溶剤としては、95%留出温度が初留点から5℃以内で、かつ99%留出温度が初留点から10℃以内である蒸留性状の炭素数8以上12以下の飽和炭化水素である。この場合における測定方法および用語の意味はJISK2254に規定されている。すなわち飽和炭化水素100ミリリットルを平均留出量5ミリリットル/分となるような昇温速度で加温した後に、最初の1滴が留出する温度が初留点、95ミリリットルが留出する温度が95%留出温度、99ミリリットルが留出する温度が99%留出温度である。
【0015】
通常、被洗浄物に付着している洗浄液を気化させて除去するのに際し、洗浄液の全成分の気化する速度が全て同一であれば被洗浄物に付着している洗浄液の膜が均一に薄くなって、最終的には全て気化するため、シミがない高品質で仕上げることができる。しかし洗浄液の全成分の気化する速度が異なる場合は気化し易い成分が先に気化し、気化しにくい成分が島状に取り残された状態になり均一に乾燥しない。そしてこの島状に取り残された部分に塵埃などが凝集するため、シミが発生して高品質に仕上げることができない。そこで乾燥工程の直前に用いられる非水溶性溶剤では気化する速度を支配する蒸留性状、つまり蒸留温度の温度範囲を制御する必要がある。
【0016】
本発明者が検討した結果、95%留出温度が初留点から5℃以内で、かつ99%留出温度が初留点から10℃以内である蒸留性状の炭素数8以上12以下である高純度な飽和炭化水素であることが良好であると明らかになった。上記した温度範囲より広い場合は気化しにくい成分が多く、均一に乾燥しないため、シミが発生して高品質に仕上げることができない。さらに炭素数が8より小さい場合は極端に引火性が増加して取扱い上の安全性が低下するので好ましくない。逆に炭素数が12より大きい場合は極端に乾燥速度が遅く、乾燥させるのが困難になり、シミの発生率も大きくなるため好ましくない。
【0017】
また、上述した飽和炭化水素は非常に安価であること、オゾン層を全く破壊しないこと、人体に対して極めて安全性が高いこと、さらには臭いが非常に少ないことなどの利点ばかりでなく、表面張力が約18〜22dyne/cm、粘度が0.7〜1.8cpsと極めて低く、フロンと似たような性質を有しており、細かい隙間等に容易に出入りができる優れた特性を有している。
【0018】
さらに、この飽和炭化水素は蒸発潜熱が60〜70cal/gと低い方に属しているため、気化した後の精密光学素子の表面温度の低下がほとんどなく、雰囲気中の水蒸気が表面に結露することがないという優れた特性を有している。これに対して、蒸発潜熱が大きい水あるいはイソプロピルアルコールを使用した場合、気化する際に、蒸発熱を多量に奪い被洗浄物の表面温度が急激に低下して水蒸気が結露し、シミなどの仕上がり品質を低下させる。
【0019】
また上述した処理を行う飽和炭化水素槽では揺動や噴流などの物理力を与えることにより、IPAなどの親水性溶剤から飽和炭化水素への置換速度を上げる効果があるが、中でも周波数20kHz〜100kHzの超音波振動を与えることが最も効果が大きい。特に、最初の飽和炭化水素槽では多量の親水性溶剤が精密光学素子に付着しているので、物理力を与えることは置換に対して有効である。これは超音波振動を与えることにより、付着している親水性溶剤が微小化して強制的に分散され、飽和炭化水素への分散性が上がるためである。
【0020】
以上の飽和炭化水素により置換工程終了の後、精密光学素子に付着した飽和炭化水素を気化させることで精密光学素子を乾燥させて仕上げる。この乾燥方法には、精密フィルターで埃を除去し清浄にした80℃程度の温風を精密光学素子に吹き付けて飽和炭化水素を気化させる方法、遠赤外線を照射する方法、真空にして気化させる方法など様々な方法があるが、埃などが新たに汚れが付着することがなく均一に乾燥でき、かつ飽和炭化水素が残ることがなければその他の方法でも良い。
【0021】
本発明では上述した飽和炭化水素として、イソパラフィンを使用することができる。このイソパラフィンは飽和炭化水素の中でも気化した際の臭気が非常に少ない特性を有している。これにより乾燥工程では精密光学素子に付着しているイソパラフィンが気化するが、臭気が非常に少ないので、漏れだした蒸気によって作業環境が悪化することがない。
【0022】
本発明では上述した飽和炭化水素として、炭素数9のイソノナンを使用することができる。このイソノナンは第4類第2石油類のイソパラフィンの中で最も乾燥性が優れるものである。これにより取扱いのし易さ、引火の危険性および精密光学素子の仕上がり品質に優れる。
【0023】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
被洗浄物として、硝材BK7からなる凸面の曲率R=46.9mm、 凹面の曲率R=9.6mmの直径φ=16mmの凸凹面のガラスレンズを使用した。このガラスレンズに、トリクレンに溶解させたピッチおよび通常レンズの研磨に用いる研磨剤を付着させた。この汚れたガラスレンズ100枚を3点で支持するレンズ用ヤトイにセットし、表1で示す12槽からなる洗浄ラインに1ヤトイずつ流した。全ての槽は1分タクトで移動させた。
【0024】
No.1〜2槽には有機溶剤系のEE−4110(オリンパス光学工業(株)製,テルペン類炭化水素系類洗浄液)を用い、40℃に加温して27KHz,600Wの超音波と幅100mm1回/秒の揺動を与えた。No。3〜4槽には水系洗浄剤のEE−1110(オリンパス光学工業(株)製、中性タイプ洗浄剤)を用い、約35℃に加温して27KHz、600Wの超音波と幅100mm1回/秒の揺動を与えた。N0.5〜7槽には電導度約1MΩの純水を用い、27KHz、600Wの超音波と幅100mm1回/秒の揺動を与えた。No.8〜10槽には親水性溶剤のIPAを用い、27KHz、600Wの超音波と幅100mm1回/秒の揺動を与えた。
【0025】
No.11槽には,表3で示すように、95%留出温度が初留点から4℃で、かつ99%留出温度が初留点から5℃である蒸留性状の炭素数9の高純度のイソノナンを用い、幅100mm1回/秒の揺動のみを与えた。No.12槽にもNo.11槽と同一の高純度のイソノナンを用い、超音波と揺動は与えずに引き上げる際に、5mm/秒の低速での引き上げを行った。最後の乾燥工程では、フィルターで清浄にした80℃の温風を乾燥炉で3分間吹き付け、付着していたイソノナンを乾燥させ仕上げた。
【0026】
さらに、被乾燥物であるガラスレンズが十分に放冷された20分後に「洗浄後評価」を行った。この「洗浄後評価」はガラスレンズを蛍光灯下で反射させて目視観察し、シミがないものを良品、あるものを不良品として判定した。全てのガラスレンズの評価が終了した後、光学薄膜をコーティングし、「コーティング後評価」を行った。この「コーティング後評価」はガラスレンズに光学薄膜をコーティングした後、蛍光灯下で反射させて目視観察し、光学薄膜のムラ及び均一性で評価した。
【0027】
評価の結果、「洗浄後評価」、「コーティング後評価」ともに100枚のガラスレンズ全てが良品で、不良率は0/100であった。結果を表2に示す。このように、この実施の形態では、シミなく高品質に精密光学素子に付着している汚れを除去することができる。
【0028】
(実施の形態2〜6)
実施の形態2〜6は、実施の形態1と全く同様の洗浄ラインにおいてNo.11〜12槽に表3に示したような蒸留性状で初留点からの温度範囲が規制された炭素数8以上12以下である5種類の高純度な飽和炭化水素を用いた。被洗浄物、汚れ、洗浄方法および評価方法は実施の形態1と同様に行った。
【0029】
実施の形態2のイソオクタン及び実施の形態3のエチルシクロヘキサンは実施の形態1のイソノナンより乾燥速度が大きく、乾燥しやすい利点がある一方で、引火点が低く、消防法の分類で第4類第1石油類に属し、取扱いが難しい点がある。
【0030】
実施の形態4のノルマルノナン、実施の形態5のノルマルデカン、実施の形態6のイソドデカンはイソノナンより乾燥速度が遅く、乾燥するのに時間がかかる難点がある一方で、引火点が高く、引火の危険性が低い利点がある。
【0031】
以上の実施の形態2〜6の評価結果を表2に示す。実施の形態2〜4は実施の形態1と同様に「洗浄後評価」、「コーティング後評価」共に、不良率0/100と比較例より明らかに優れていた。実施の形態5は「洗浄後評価」では0/100の不良率であるが、「コーティング後評価」では、1/100の不良率で1枚の不良品が発生した。しかし比較例よりはかなり低く、実施の形態5の方が優れている。実施の形態6は「洗浄後評価」では1/100、「コーティング後評価」では3/100の不良率で3枚の不良品が発生した。しかし比較例よりはかなり低く、実施の形態6の方が優れている。以上のように実施の形態2〜6は、シミなく高品質に精密光学素子に付着している汚れを除去することができる。
【0032】
(実施の形態7)
実施の形態1と同様にNo.11槽には高純度のイソノナンを用い、さらに27KHz、600Wの超音波と幅100mm1回/秒の揺動を与え、洗浄時間は1/2の30秒に短縮した。その他は実施の形態1と同様に処理した。この実施の形態では、超音波によりIPAからイソノナンへの置換速度を上げることができる。被洗浄物、汚れ、洗浄方法および評価方法は実施の形態1と同様に行った。評価結果を表2に示す。「洗浄後評価」、「コーティング後評価」ともに不良率0/100と比較例より明らかに優れていた。さらに槽に超音波を加えるため、短時間に効果的に置換を行うことができる。
【0033】
(比較例1)
実施の形態1と同様の洗浄ラインを用い、No.11〜12槽に表3に示すように、95%留出温度が初留点から8℃で、かつ99%留出温度が初留点から19℃である蒸留性状の炭素数9のイソノナンを用いた。このイソノナンは留出温度の幅が広く、純度の低いものである。被洗浄物、汚れ、洗浄方法および評価方法は実施の形態1と同様に行った。評価結果を表2に示す。「洗浄後評価」では13/100、「コーティング後評価」では25/100の不良率で多数枚の不良品が発生した。乾燥速度は速く問題なかったが、蒸留される温度が初留点から広く高沸点分の含有量が多いため多数のレンズにシミが発生した。
【0034】
(比較例2)
実施の形態1と同様の洗浄ラインを用い、No.11〜12槽に表3に示すように、95%留出温度が初留点から7℃で、かつ99%留出温度が初留点から12℃である蒸留性状の炭素数12のイソドデカンを用いた。被洗浄物、汚れ、洗浄方法および評価方法は実施の形態1と同様に行った。評価結果を表2に示す。「洗浄後評価」では42/100、「コーティング後評価」では56/100の不良率で多数枚の不良品が発生した。乾燥速度は速く問題なかったが、蒸留される温度が初留点から広く、高沸点分の含有量が多いため、多数のレンズにシミが発生した。
【0035】
(比較例3)
実施の形態1と同様の洗浄ラインを用い、No.11〜12槽に表3に示すように、95%留出温度が初留点から38℃で、かつ99%留出温度が初留点から48℃である蒸留性状の炭素数13のノルマルトリデカンを用いた。。被洗浄物、汚れ、洗浄方法および評価方法は実施の形態1と同様に行った。評価結果を表2に示す。「洗浄後評価」では65/100、「コーティング後評価」では82/100の不良率で多数枚の不良品が発生した。乾燥速度はかなり遅く、さらに蒸留される温度が初留点から広く、高沸点分の含有量が多いため、多数のレンズにシミが発生した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【発明の効果】
本発明では精密光学素子表面に付着している汚れを、シミによる不良を発生させずに、高品質に除去できる。本発明の洗浄方法ではフロンを用いていないため、オゾン層破壊の恐れもなく、さらに高純度な飽和炭化水素は安価であるのでコストを低く抑えることができる。
【0040】
本発明において、飽和炭化水素としてイソパラフィンを用いることにより、臭気が非常に少く、これによりイソパラフィンが漏れ出しても作業環境が悪化することを防止でき、しかも精密光学素子を高品質に仕上げることができる。さらに、飽和炭化水素として炭素数9のイソノナンを使用することにより、取扱いがし易く、引火の危険性を抑えながら、精密光学素子を高品質に仕上げることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密光学素子の洗浄方法に関し、さらに詳しくは、カメラ、光学顕微鏡、半導体レーザー等に使用されるレンズ、プリズム等の精密光学素子から、ピッチ、ワックス、研磨剤、手脂および埃などの汚れを除去する洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
精密光学素子は、素材から製品となるまで様々な加工過程を有し、またその加工過程に応じた様々な検査工程を有している。これらの途中過程では様々な汚れが付着し、更に素材への影響も考慮しながら洗浄を行わなければならないため、洗浄に対する要求品質は非常に高い。
【0003】
このような精密光学素子の従来の洗浄は、「精密洗浄技術マニュアル 新技術開発センター社 193〜195頁」に示されるように、有機溶剤→水系洗浄剤→水→イソプロピルアルコール(IPA)→フロンの順で行っている。また、イソプロピルアルコールによる処理をフロンに界面活性剤を添加した水切り剤によって処理したり、最終工程のフロン処理を蒸気洗浄するなど様々な方法が用いられている。いずれにしても幾種類もの洗浄剤によって構成された洗浄ラインで洗浄されており、いずれの洗浄剤はどれも欠かすことができないものであった。
【0004】
一方、特開平1−210092号公報に記載される方法では、純水に浸漬した後に、超低速で水面から乾燥ガス中に引き上げて精密洗浄している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらフロンは、オゾン層破壊の問題からモントリオール議定書締結により1996年以降フロンの使用ができなくなる問題点がある。
【0006】
特開平1−210092号公報記載のように純水と乾燥ガスによる方法は、高品質に精密光学素子に付着している汚れを除去することができるが、純水製造装置および乾燥ガス発生装置は高価であり、しかもこれらの装置を組み込むことで洗浄工程が複雑化する。このため、この洗浄方法に切り替えることは難しい問題を有している。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、請求項1の発明は、簡単で、しかも安価に、精密光学素子に付着している汚れを高品質で除去できる洗浄方法を提供することを目的とする。請求項2の発明はこれに加えて、気化した際の臭気が非常に少ない洗浄方法を提供することを目的とする。請求項3の発明はさらに、取扱いがし易く、引火の危険性の低い洗浄方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した問題点はフロンを用いることなく、留出温度が初留点から非常に狭い高純度の飽和炭化水素を用いることで解決できることを見いだした。すなわち本発明の精密光学素子の洗浄方法は、有機溶剤および/または水系洗浄剤に浸漬する洗浄工程と、水に浸漬して前記有機溶剤および/あるいは水系洗浄剤をすすぐ工程と、親水性溶剤に浸漬して水を置換する工程と、非水溶性溶剤に浸漬して前記親水性溶剤を置換する工程と、95%留出温度が初留点から5℃以内で、かつ99%留出温度が初留点から10℃以内である蒸留性状の炭素数8以上12以下の飽和炭化水素からなる非水溶性溶剤に浸漬して前記親水性溶剤を置換する工程と、前記非水溶性溶剤から引き上げる工程と、付着している前記非水溶性溶剤を温風もしくは遠赤外線により、または真空にして気化させる乾燥工程と、からなることを特徴とするものである。
【0009】
精密光学素子は光学面の研磨や光学軸の芯取りなどの加工工程、素手による取扱い、あるいは保管において、ピッチ、ワックス、研磨剤、研削剤、手脂および埃などで汚れる。このため工程間あるいは検査前においては、その精度を保つため、反射防止膜のコーティング前やハードコートなどの光学薄膜のコーティング前では膜強度および膜の均一性を保つためにこれらの汚れを除去して清浄にする必要がある。
【0010】
本発明では、汚れた精密光学素子を最初に有機溶剤および/または水系洗浄剤に浸漬することにより、ピッチ、ワックス、研磨剤、研削剤、手脂および埃などのほとんどの汚れを除去する。ここに用いられる有機溶剤としては、トリクロロエチレンおよび1,1,1−トリクロロエタンなどの塩素系溶剤、アルキルベンゼン類およびナフテン類などの石油系溶剤、リモネン、ジペンテンなどのテルペン系溶剤、ジエチレングリコールモノブチルエーテルやジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤、乳酸エチルやコハク酸ジメチルなどのエステル系溶剤などの数多く種類を選択することができる。
【0011】
一方、水系洗浄剤としては、界面活性剤とアルカリビルダーや消泡剤などの添加剤を水に少量添加したアルカリ性洗浄剤、あるいは界面活性剤を主成分とする中性の洗浄剤などを選択することができる。これらの有機溶剤あるいは水系洗浄剤の選択は付着している汚れの種類や強さなど様々な条件に適合したものを選択できる。また有機溶剤で洗浄した後に水系洗浄剤で洗浄しても良いし、水系洗浄剤のみでも洗浄しても良い。
【0012】
この洗浄後に、精密光学素子を水に浸漬して有機溶剤及び/又は水系洗浄剤をすすぐ。界面活性剤およびアルカリビルダーなど添加剤は精密光学素子の光学面を侵食することが多いので、この工程で十分にこれらを除去しておく必要がある。水温は低いよりも高い方が一般的にすすぎ性が良い。また、低温例えば20℃と、高温例えば60℃の水に交互に浸漬してすすいでも良い。水の種類は純水の方が好ましいが、市水あるいは井水でも良い。
【0013】
さらにこの後に、親水性溶剤に浸漬して水を置換する。この工程では水を溶解し精密光学素子に付着している水分を除去できれば良い。この場合、水の置換性およびコストから親水性溶剤としてイソプロピルアルコール(IPA)あるいはエチルアルコールを用いることが良好である。
【0014】
この置換工程の後、非水溶性溶剤に浸漬して親水性溶剤を置換する。この工程に使用する非水溶性溶剤としては、95%留出温度が初留点から5℃以内で、かつ99%留出温度が初留点から10℃以内である蒸留性状の炭素数8以上12以下の飽和炭化水素である。この場合における測定方法および用語の意味はJISK2254に規定されている。すなわち飽和炭化水素100ミリリットルを平均留出量5ミリリットル/分となるような昇温速度で加温した後に、最初の1滴が留出する温度が初留点、95ミリリットルが留出する温度が95%留出温度、99ミリリットルが留出する温度が99%留出温度である。
【0015】
通常、被洗浄物に付着している洗浄液を気化させて除去するのに際し、洗浄液の全成分の気化する速度が全て同一であれば被洗浄物に付着している洗浄液の膜が均一に薄くなって、最終的には全て気化するため、シミがない高品質で仕上げることができる。しかし洗浄液の全成分の気化する速度が異なる場合は気化し易い成分が先に気化し、気化しにくい成分が島状に取り残された状態になり均一に乾燥しない。そしてこの島状に取り残された部分に塵埃などが凝集するため、シミが発生して高品質に仕上げることができない。そこで乾燥工程の直前に用いられる非水溶性溶剤では気化する速度を支配する蒸留性状、つまり蒸留温度の温度範囲を制御する必要がある。
【0016】
本発明者が検討した結果、95%留出温度が初留点から5℃以内で、かつ99%留出温度が初留点から10℃以内である蒸留性状の炭素数8以上12以下である高純度な飽和炭化水素であることが良好であると明らかになった。上記した温度範囲より広い場合は気化しにくい成分が多く、均一に乾燥しないため、シミが発生して高品質に仕上げることができない。さらに炭素数が8より小さい場合は極端に引火性が増加して取扱い上の安全性が低下するので好ましくない。逆に炭素数が12より大きい場合は極端に乾燥速度が遅く、乾燥させるのが困難になり、シミの発生率も大きくなるため好ましくない。
【0017】
また、上述した飽和炭化水素は非常に安価であること、オゾン層を全く破壊しないこと、人体に対して極めて安全性が高いこと、さらには臭いが非常に少ないことなどの利点ばかりでなく、表面張力が約18〜22dyne/cm、粘度が0.7〜1.8cpsと極めて低く、フロンと似たような性質を有しており、細かい隙間等に容易に出入りができる優れた特性を有している。
【0018】
さらに、この飽和炭化水素は蒸発潜熱が60〜70cal/gと低い方に属しているため、気化した後の精密光学素子の表面温度の低下がほとんどなく、雰囲気中の水蒸気が表面に結露することがないという優れた特性を有している。これに対して、蒸発潜熱が大きい水あるいはイソプロピルアルコールを使用した場合、気化する際に、蒸発熱を多量に奪い被洗浄物の表面温度が急激に低下して水蒸気が結露し、シミなどの仕上がり品質を低下させる。
【0019】
また上述した処理を行う飽和炭化水素槽では揺動や噴流などの物理力を与えることにより、IPAなどの親水性溶剤から飽和炭化水素への置換速度を上げる効果があるが、中でも周波数20kHz〜100kHzの超音波振動を与えることが最も効果が大きい。特に、最初の飽和炭化水素槽では多量の親水性溶剤が精密光学素子に付着しているので、物理力を与えることは置換に対して有効である。これは超音波振動を与えることにより、付着している親水性溶剤が微小化して強制的に分散され、飽和炭化水素への分散性が上がるためである。
【0020】
以上の飽和炭化水素により置換工程終了の後、精密光学素子に付着した飽和炭化水素を気化させることで精密光学素子を乾燥させて仕上げる。この乾燥方法には、精密フィルターで埃を除去し清浄にした80℃程度の温風を精密光学素子に吹き付けて飽和炭化水素を気化させる方法、遠赤外線を照射する方法、真空にして気化させる方法など様々な方法があるが、埃などが新たに汚れが付着することがなく均一に乾燥でき、かつ飽和炭化水素が残ることがなければその他の方法でも良い。
【0021】
本発明では上述した飽和炭化水素として、イソパラフィンを使用することができる。このイソパラフィンは飽和炭化水素の中でも気化した際の臭気が非常に少ない特性を有している。これにより乾燥工程では精密光学素子に付着しているイソパラフィンが気化するが、臭気が非常に少ないので、漏れだした蒸気によって作業環境が悪化することがない。
【0022】
本発明では上述した飽和炭化水素として、炭素数9のイソノナンを使用することができる。このイソノナンは第4類第2石油類のイソパラフィンの中で最も乾燥性が優れるものである。これにより取扱いのし易さ、引火の危険性および精密光学素子の仕上がり品質に優れる。
【0023】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
被洗浄物として、硝材BK7からなる凸面の曲率R=46.9mm、 凹面の曲率R=9.6mmの直径φ=16mmの凸凹面のガラスレンズを使用した。このガラスレンズに、トリクレンに溶解させたピッチおよび通常レンズの研磨に用いる研磨剤を付着させた。この汚れたガラスレンズ100枚を3点で支持するレンズ用ヤトイにセットし、表1で示す12槽からなる洗浄ラインに1ヤトイずつ流した。全ての槽は1分タクトで移動させた。
【0024】
No.1〜2槽には有機溶剤系のEE−4110(オリンパス光学工業(株)製,テルペン類炭化水素系類洗浄液)を用い、40℃に加温して27KHz,600Wの超音波と幅100mm1回/秒の揺動を与えた。No。3〜4槽には水系洗浄剤のEE−1110(オリンパス光学工業(株)製、中性タイプ洗浄剤)を用い、約35℃に加温して27KHz、600Wの超音波と幅100mm1回/秒の揺動を与えた。N0.5〜7槽には電導度約1MΩの純水を用い、27KHz、600Wの超音波と幅100mm1回/秒の揺動を与えた。No.8〜10槽には親水性溶剤のIPAを用い、27KHz、600Wの超音波と幅100mm1回/秒の揺動を与えた。
【0025】
No.11槽には,表3で示すように、95%留出温度が初留点から4℃で、かつ99%留出温度が初留点から5℃である蒸留性状の炭素数9の高純度のイソノナンを用い、幅100mm1回/秒の揺動のみを与えた。No.12槽にもNo.11槽と同一の高純度のイソノナンを用い、超音波と揺動は与えずに引き上げる際に、5mm/秒の低速での引き上げを行った。最後の乾燥工程では、フィルターで清浄にした80℃の温風を乾燥炉で3分間吹き付け、付着していたイソノナンを乾燥させ仕上げた。
【0026】
さらに、被乾燥物であるガラスレンズが十分に放冷された20分後に「洗浄後評価」を行った。この「洗浄後評価」はガラスレンズを蛍光灯下で反射させて目視観察し、シミがないものを良品、あるものを不良品として判定した。全てのガラスレンズの評価が終了した後、光学薄膜をコーティングし、「コーティング後評価」を行った。この「コーティング後評価」はガラスレンズに光学薄膜をコーティングした後、蛍光灯下で反射させて目視観察し、光学薄膜のムラ及び均一性で評価した。
【0027】
評価の結果、「洗浄後評価」、「コーティング後評価」ともに100枚のガラスレンズ全てが良品で、不良率は0/100であった。結果を表2に示す。このように、この実施の形態では、シミなく高品質に精密光学素子に付着している汚れを除去することができる。
【0028】
(実施の形態2〜6)
実施の形態2〜6は、実施の形態1と全く同様の洗浄ラインにおいてNo.11〜12槽に表3に示したような蒸留性状で初留点からの温度範囲が規制された炭素数8以上12以下である5種類の高純度な飽和炭化水素を用いた。被洗浄物、汚れ、洗浄方法および評価方法は実施の形態1と同様に行った。
【0029】
実施の形態2のイソオクタン及び実施の形態3のエチルシクロヘキサンは実施の形態1のイソノナンより乾燥速度が大きく、乾燥しやすい利点がある一方で、引火点が低く、消防法の分類で第4類第1石油類に属し、取扱いが難しい点がある。
【0030】
実施の形態4のノルマルノナン、実施の形態5のノルマルデカン、実施の形態6のイソドデカンはイソノナンより乾燥速度が遅く、乾燥するのに時間がかかる難点がある一方で、引火点が高く、引火の危険性が低い利点がある。
【0031】
以上の実施の形態2〜6の評価結果を表2に示す。実施の形態2〜4は実施の形態1と同様に「洗浄後評価」、「コーティング後評価」共に、不良率0/100と比較例より明らかに優れていた。実施の形態5は「洗浄後評価」では0/100の不良率であるが、「コーティング後評価」では、1/100の不良率で1枚の不良品が発生した。しかし比較例よりはかなり低く、実施の形態5の方が優れている。実施の形態6は「洗浄後評価」では1/100、「コーティング後評価」では3/100の不良率で3枚の不良品が発生した。しかし比較例よりはかなり低く、実施の形態6の方が優れている。以上のように実施の形態2〜6は、シミなく高品質に精密光学素子に付着している汚れを除去することができる。
【0032】
(実施の形態7)
実施の形態1と同様にNo.11槽には高純度のイソノナンを用い、さらに27KHz、600Wの超音波と幅100mm1回/秒の揺動を与え、洗浄時間は1/2の30秒に短縮した。その他は実施の形態1と同様に処理した。この実施の形態では、超音波によりIPAからイソノナンへの置換速度を上げることができる。被洗浄物、汚れ、洗浄方法および評価方法は実施の形態1と同様に行った。評価結果を表2に示す。「洗浄後評価」、「コーティング後評価」ともに不良率0/100と比較例より明らかに優れていた。さらに槽に超音波を加えるため、短時間に効果的に置換を行うことができる。
【0033】
(比較例1)
実施の形態1と同様の洗浄ラインを用い、No.11〜12槽に表3に示すように、95%留出温度が初留点から8℃で、かつ99%留出温度が初留点から19℃である蒸留性状の炭素数9のイソノナンを用いた。このイソノナンは留出温度の幅が広く、純度の低いものである。被洗浄物、汚れ、洗浄方法および評価方法は実施の形態1と同様に行った。評価結果を表2に示す。「洗浄後評価」では13/100、「コーティング後評価」では25/100の不良率で多数枚の不良品が発生した。乾燥速度は速く問題なかったが、蒸留される温度が初留点から広く高沸点分の含有量が多いため多数のレンズにシミが発生した。
【0034】
(比較例2)
実施の形態1と同様の洗浄ラインを用い、No.11〜12槽に表3に示すように、95%留出温度が初留点から7℃で、かつ99%留出温度が初留点から12℃である蒸留性状の炭素数12のイソドデカンを用いた。被洗浄物、汚れ、洗浄方法および評価方法は実施の形態1と同様に行った。評価結果を表2に示す。「洗浄後評価」では42/100、「コーティング後評価」では56/100の不良率で多数枚の不良品が発生した。乾燥速度は速く問題なかったが、蒸留される温度が初留点から広く、高沸点分の含有量が多いため、多数のレンズにシミが発生した。
【0035】
(比較例3)
実施の形態1と同様の洗浄ラインを用い、No.11〜12槽に表3に示すように、95%留出温度が初留点から38℃で、かつ99%留出温度が初留点から48℃である蒸留性状の炭素数13のノルマルトリデカンを用いた。。被洗浄物、汚れ、洗浄方法および評価方法は実施の形態1と同様に行った。評価結果を表2に示す。「洗浄後評価」では65/100、「コーティング後評価」では82/100の不良率で多数枚の不良品が発生した。乾燥速度はかなり遅く、さらに蒸留される温度が初留点から広く、高沸点分の含有量が多いため、多数のレンズにシミが発生した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【発明の効果】
本発明では精密光学素子表面に付着している汚れを、シミによる不良を発生させずに、高品質に除去できる。本発明の洗浄方法ではフロンを用いていないため、オゾン層破壊の恐れもなく、さらに高純度な飽和炭化水素は安価であるのでコストを低く抑えることができる。
【0040】
本発明において、飽和炭化水素としてイソパラフィンを用いることにより、臭気が非常に少く、これによりイソパラフィンが漏れ出しても作業環境が悪化することを防止でき、しかも精密光学素子を高品質に仕上げることができる。さらに、飽和炭化水素として炭素数9のイソノナンを使用することにより、取扱いがし易く、引火の危険性を抑えながら、精密光学素子を高品質に仕上げることができる。
Claims (3)
- 有機溶剤および/または水系洗浄剤に浸漬する洗浄工程と、水に浸漬して前記有機溶剤および/あるいは水系洗浄剤をすすぐ工程と、親水性溶剤に浸漬して水を置換する工程と、95%留出温度が初留点から5℃以内で、かつ99%留出温度が初留点から10℃以内である蒸留性状の炭素数8以上12以下の飽和炭化水素からなる非水溶性溶剤に浸漬して前記親水性溶剤を置換する工程と、前記非水溶性溶剤から引き上げる工程と、付着している前記非水溶性溶剤を温風もしくは遠赤外線により、または真空にして気化させる乾燥工程と、からなることを特徴とする精密光学素子の洗浄方法。
- 前記飽和炭化水素がイソパラフィンであることを特徴とする請求項1記載の精密光学素子の洗浄方法。
- 前記飽和炭化水素が炭素数9のイソノナンであることを特徴とする請求項1記載の精密光学素子の洗浄方法。
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