JP3829460B2 - 自動車用ヘッドライトの配光制御装置 - Google Patents

自動車用ヘッドライトの配光制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3829460B2
JP3829460B2 JP3778598A JP3778598A JP3829460B2 JP 3829460 B2 JP3829460 B2 JP 3829460B2 JP 3778598 A JP3778598 A JP 3778598A JP 3778598 A JP3778598 A JP 3778598A JP 3829460 B2 JP3829460 B2 JP 3829460B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
luminance distribution
optical axis
axis angle
headlight
luminance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP3778598A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11235949A (ja
Inventor
善紀 見市
裕司 川口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Motors Corp filed Critical Mitsubishi Motors Corp
Priority to JP3778598A priority Critical patent/JP3829460B2/ja
Publication of JPH11235949A publication Critical patent/JPH11235949A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3829460B2 publication Critical patent/JP3829460B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Lighting Device Outwards From Vehicle And Optical Signal (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用ヘッドライトの光軸角を制御することで配光制御を行なう装置に関し、特に走行路の輝度分布に着目してヘッドライトの光軸を変化させる、自動車用ヘッドライトの配光制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車用ヘッドライトはハイビームとロービームとの切替が可能に構成されており、このハイビーム/ロービームの切替によりドライバは道路状況に応じてヘッドライトの光軸角を選択できるようになっている。
ところが、このハイビーム/ロービームの切替は、縦方向の光軸角の切替のみを行なうものであり、横方向の光軸角については変化させることはなく、ヘッドライトの光軸は常に車両中心線方向に固定されている。このため、カーブ路等のように、車両が目指す前方道路方向と車両中心線とがずれる場合は、車両の進行しようとする前方の道路面を有効に照らすことができない。また、縦方向の光軸角についても、ハイビーム/ロービームの2段階の調整しか行なうことができず、状況に応じてより細かな光軸角の調整が望まれる。一方、光軸角の調整が細かくできるようになる程、手動による操作は煩わしく、また有効に利用することが難しい。
【0003】
そこで、このような要望や課題に対応するため、従来より、自動車用ヘッドライトの配光制御に関する様々な提案がなされている。特に、横方向の配光制御を行なう技術としては、特開平6−206491号公報において、カーブに対応してヘッドライトの横方向の光軸角を制御する技術が開示されている。この技術では、角速度センサと車速センサとを用いて車両の旋回時の回転角速度と車速とを検出し、これらの検出値に基づいて算出されるカーブ半径に応じてヘッドライトの横方向の光軸角を変化させるものである。
【0004】
また、特開平7−232589号公報に開示されている技術は、同様にカーブに対応してヘッドライトの横方向の光軸角を制御するものであるが、この技術では、加速度センサと車速センサとを用いて車両の横方向の加速度と車速とを検出し、これらの検出値に基づいて算出されるカーブ半径に応じて横方向の光軸角を変化させるようになっている。
【0005】
また、縦方向の配光制御を行なうものとしては、特開平1−278848号公報に開示された装置がある。この装置では、先行車までの距離に応じて光軸の縦方向角度を制御している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に、走行車線は自車両のヘッドランプからの光のみならず、他の車両のヘッドランプからの光や、街路灯からの光等によっても照射されており、時には、これらの自車両のヘッドランプ以外の光によって、走行車線が明るく照らされている場合がある。走行車線が既に十分な照度を有している場合、さらにその上を自車両のヘッドランプで照らすことは効率が悪い。
【0007】
このような場合、十分な照度を有している場所をさらに照らすのではなく、逆に、相対的に照度が低い場所を照らすことができれば、広範囲を効率よく均一に照らすことができ、ドライバは良好な視認性を確保することができる。
そこで、街路灯等の周辺光源からの照度を考慮して効率よく走行車線を照射できるようヘッドライトの光軸角を制御することも考えられる。
【0008】
なお、車両前方の走行車線の照度分布に応じてヘッドライトの配光を制御するものとしては、特開平4−66343号公報に開示された技術がある。しかしながら、この技術は対向車からの照射による前方障害物の蒸発現象を防止するため、自車両のヘッドライトの配光を変更しようとするものであり、上記課題の解決手段となるものではない。
【0009】
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、街路灯等のヘッドライト以外の周辺光源からの照度を考慮して効率よく走行車線を照射できるようにした、自動車用ヘッドライトの配光制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の自動車用ヘッドライトの配光制御装置(請求項1)は、ヘッドライトの光軸角を光軸アクチュエータを介して調整する自動車用ヘッドライトの配光制御装置であって、走行路の道路曲率を算出する道路曲率算出手段と、該道路曲率算出手段で算出された該道路曲率に基づいて該ヘッドライトの光軸角目標値を算出する光軸角目標値算出手段と、該光軸角目標値算出手段で算出された該光軸角目標値に基づいて該ヘッドライトで照射する自車両前方の該走行路の目標輝度分布を算出し、目標輝度分布マップを作成する目標輝度分布算出手段と、該走行路の実際の輝度分布を検出し、実輝度分布マップを作成する実輝度分布検出手段と、前回の制御周期で算出された該光軸角目標値に基づいて該ヘッドライトの光照射のみで得られるであろう輝度分布のヘッドライト対応輝度分布マップを作成するとともに、該実輝度分布マップと該ヘッドライト対応輝度分布マップとの輝度差を算出し、該輝度差をその輝度分布とする補正用輝度分布マップを作成する補正用輝度分布算出手段と、該補正用輝度分布マップの輝度中心から該目標輝度分布マップの輝度中心に向かうベクトルを算出し、該ベクトルの方向に該ヘッドライトの光軸が補正されるように、該補正用輝度分布マップの輝度総和に基づき該光軸角目標値の補正量を設定する輝度分布対応補正手段と、該ヘッドライトの光軸角が、該光軸角目標値算出手段で算出された該光軸角目標値及び該輝度分布対応補正手段で設定された該補正量の和と等しくなるように、該光軸アクチュエータを制御する制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0011】
これにより、街路灯等のヘッドライト以外の光源からの照度を考慮して効率よく走行車線を照らすことが可能となる。
なお、該輝度分布対応補正手段は、該補正用輝度分布マップの輝度の総和が大きいほど、該補正量を大きくすることが好ましい(請求項2)。
また、本発明の自動車用ヘッドライトの配光制御装置(請求項3)は、ヘッドライトの光軸角を光軸アクチュエータを介して調整する自動車用ヘッドライトの配光制御装置であって、走行路の道路曲率を算出する道路曲率算出手段と、該道路曲率算出手段で算出された該道路曲率に基づいて該ヘッドライトの光軸角目標値を算出する光軸角目標値算出手段と、該光軸角目標値算出手段で算出された該光軸角目標値に基づいて該ヘッドライトで照射する自車両前方の該走行路の目標輝度分布を算出し、目標輝度分布マップを作成する目標輝度分布算出手段と、該走行路の実際の輝度分布を検出し、実輝度分布マップを作成する実輝度分布検出手段と、前回の制御周期で算出された該光軸角目標値に基づいて該ヘッドライトの光照射のみで得られるであろう輝度分布のヘッドライト対応輝度分布マップを作成するとともに、該実輝度分布マップと該ヘッドライト対応輝度分布マップとの輝度差を算出し、該輝度差をその輝度分布とする補正用輝度分布マップを作成する補正用輝度分布算出手段と、該実輝度分布マップの輝度の総和と該目標輝度分布マップの輝度の総和との比を算出し、該目標輝度分布マップの輝度分布へ該比を乗算して、補正目標輝度分布マップを作成する補正目標輝度分布算出手段と、該補正用輝度分布マップと該補正目標輝度分布マップとの輝度差を算出して、該輝度差をその輝度分布とする輝度分布マップを作成し、該輝度分布マップの輝度中心を今回の制御周期における光軸角目標値に設定する輝度分布対応補正手段と、該ヘッドライトの光軸角が、該輝度分布対応補正手段で設定された該今回の制御周期における光軸角目標値と等しくなるように、該光軸アクチュエータを制御する制御手段とを備えたことを特徴としている。
なお、該補正目標輝度分布算出手段は、該実輝度分布マップと該目標輝度分布マップとの画素の解像度が異なる場合には、該実輝度分布マップ及び該目標輝度分布マップの輝度総和の算出において画素の面積に応じた重み付けを行うことが好ましい(請求項4)。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明すると、図1〜図8は本発明の第1実施形態としての自動車用ヘッドライトの配光制御装置を示すものである。
本配光制御装置は、図1に示すように、走行レーン(走行車線)に対する自車両の位置を認識するために、車両の前方の道路状態を撮像する撮像手段としてのカメラ2と、カメラ2からの画像情報を適宜処理して前方道路上の左右の白線位置を認識する画像情報処理手段3と、この画像情報処理手段3による白線位置画像情報から車両の走行レーンの道路曲率ρを算出する道路曲率算出手段4Aとをそなえている。なお、道路曲率算出手段4Aは、自車両に対する走行レーン(走行車線)の相対位置を推定する走行レーン推定手段4内の機能要素としてそなえられている。
【0013】
また、本配光制御装置は、道路曲率を算出する手段として、白線位置画像情報に基づいて算出する道路曲率算出手段4Aの他に、車両の横加速度Gと車速Vとに基づいて道路曲率(推定道路曲率ρ′)を算出する代用道路曲率算出手段25をそなえており、さらに、自車両に対する先行車両の相対位置を認識するために、自車両の前方の先行車両の存在を検出する検出手段としてのレーダ(先行車両検出手段)26と、レーダ26からのレーダ情報を適宜処理して自車両に対する先行車両の相対位置、即ち、自車両と先行車両との距離LF と自車両中心線に対する先行車両の偏角θF とを算出する先行車両位置算出手段27とをそなえている。
【0014】
さらに、本配光制御装置は、算出された道路曲率ρ又は推定道路曲率ρ′と、自車両に対する先行車両の位置情報とに基づいて、縦方向光軸角目標値θ1 及び横方向光軸角目標値θ2 を算出する光軸角目標値算出手段5と、ヘッドライト9の光軸を動かす光軸アクチュエータ8と、ヘッドライト9の光軸角がこの光軸角目標値算出手段5で算出された光軸角目標値θ1 ,θ2 に等しくなるように光軸アクチュエータ8を制御する制御手段(コントローラ)7とをそなえている。
【0015】
また、光軸角目標値算出手段5における光軸角目標値θ1 ,θ2 の算出に街路灯等の周辺光源による走行車線の照度情報をフィードバックすべく、実際の走行車線の照度、即ち輝度分布を検出する実輝度分布検出手段3Aと、ヘッドライト9による走行車線の輝度分布を算出する目標輝度分布算出手段5Cと、これらの輝度分布を比較する比較処理手段29とをそなえている。なお、実輝度分布検出手段3Aは画像情報処理手段3の機能要素であり、目標輝度分布算出手段5Cは光軸角目標値算出手段5の機能要素である。
【0016】
なお、画像情報処理手段3,走行レーン推定手段4,代用道路曲率算出手段25,先行車両位置算出手段27,目標輝度分布算出手段28,比較処理手段29,光軸角目標値算出手段5,コントローラ7は、CPU,入出力インタフェース,ROM,RAM等をそなえてなる電子制御ユニットとして構成される。
まず、走行レーンの道路曲率ρの算出について説明する。
【0017】
画像情報処理手段3では、まず、図2に示すように、カメラ2からの原画像3Aを取り込み、この原画像3Aから道路白線を抽出して、抽出した道路白線の画像を、鉛直上方から見たような平面視画像3Bに変換する。ここで、白線12L,12Rの認識について図3を参照しながら説明する。なお、ここでは、走行レーン左端の路側線としての白線12Lの認識について説明するが、走行レーン右端の白線12Rを基準とする場合についても同様であるため、左端の白線12Lについては単に白線12と称することにする。
【0018】
画像情報認識手段3では、図3(a)に示すように、車両にそなえられたカメラ2により平地において車両前方の範囲の白黒画像情報を取り込み、この画像情報から画面上で縦方向の画像を一部省略する。そして、この画面上で等間隔になるような複数の水平線11を設定する。
この白黒画像情報の取り込みは、微小な制御周期毎に更新されるようになっており、図3(b)に示すように、それぞれの水平線11上において前回の画面での白線位置の左右の所要の範囲〔ここでは、左右50画素(dot)〕を白線探査エリア(処理対象領域)10として設定する。また、初回の画面は、直線路における白線位置を前回の画面データとして利用する。
【0019】
そして、図3(c)に示すように、各水平線の明度をそれぞれ左から横方向に微分する。また、図中の符号14はガードレールである。
ところで、通常の路面は輝度が低く、輝度変化も小さい。これに対して、白線12は通常の路面に比較して輝度が非常に高いので、このように道路の明度を微分すると、通常の路面から白線12への境界点で輝度変化がプラス、白線12から通常の路面への境界点で輝度変化がマイナスとなるような微分データが得られる。このような微分データの一例を図3(d)に示す。
【0020】
そして、各水平線11のデータそれぞれについて、微分値のピークが左からプラス,マイナスの順に並んで現れ、且つそれぞれのピークの間隔が白線12として妥当と思われる程度(プラスのピークからマイナスのピークまでの間隔が例えば30dot以内)に納まっている組み合わせを白線候補として抽出し、通常は、図3(e)に示すように、その中点Mを白線候補点15として保存する。
【0021】
そして、これらの白線候補点15のうち、画面中心に最も近いもののみを最終候補点として残す。
これは、例えば車両が左側通行の場合、探索エリア10の中の右側が通常輝度変化の少ない道路面であり、この通常の道路面に最も近い白線候補点15が白線12と判断できる。したがって白線12よりもさらに左側に、ノイズの原因となる物体(例えばガードレール14等)が存在する場合であっても、カメラ2により撮像された画像情報から白線12を確実に認識することができる。
【0022】
そして、図3(f)に示すように、最後に各水平線データにおける白線候補点15の上下方向の連続性を画面の下方から順次検証していく。
まず、事前に前画面での白線12の上下端間の傾きを計算しておく。そして、最下点15Aを白線12とすると、一本だけ上の水平線11上の候補点15Bが、前回の白線12の傾き分±50dotの範囲内(誤差範囲内)に入っているかを検証する。
【0023】
候補点15Bがこの範囲内に入っていればこれを白線とし、入っていないときは候補点15Bは却下されて、上述の傾きから補間計算した座標が白線位置としてみなされる。そして、この検出を各水平線について同様の作業を行なうことにより、連続した白線12を認識することができるのである。
このような白線認識の作業は、所要の周期で継続して行なわれ、その都度白線12の認識が更新されるようになっている。
【0024】
走行レーン右端の路側線としての白線12Rの認識についても、これと同様に行なわれる。
ところで、上述のように誤差範囲内に収まらない候補点15が存在する場合でも、前画面での白線12の上下端間の傾きから補間計算することにより白線12を認識できるようになってはいるが、画面上の候補点15の多数が誤差範囲内に収まらずに却下されるような場合は、有効に路面上の白線を認識できているとは言えず、このような白線12に基づいては正確な制御は期待できない。そこで、画像情報処理手段3では、一定数以上の候補点15が却下された場合は、白線認識が不調であるとして認識ロスト信号を光軸角目標値算出手段5に出力するようになっている。ただし、左右の白線12L,12Rの何れか一方が有効に認識できている場合は、その有効に認識されている白線12に基づいて制御が行なえるため、認識ロスト信号は出力しない。
【0025】
なお、画像情報処理手段3では、車両前方の道路白線の認識処理を行なうとともに、カメラ2により取り込まれた車両前方の白黒画像情報に基づいて車両前方の道路上の所定範囲における輝度分布を検出するようになっている。この輝度分布の検出は画像情報処理手段3の機能要素である実輝度分布検出手段3Aが行ない、検出した輝度分布は、2次元の平面マップ、即ち、カメラ2により取り込まれた画像における縦横に配置された各画素毎の輝度マップ(以下、実輝度分布マップという)として得られるようになっている。実輝度分布検出手段3Aは作成した実輝度分布マップを後述の比較処理手段29へ入力するようになっている。
【0026】
走行レーン推定手段4では、上述のように各認識周期で認識された原画像3A上の白線12R,12Lを平面視画像3Bに変換して、走行レーン左端の白線12Lから推定しうる道路中心線LCL と走行レーン右端の白線12Rから推定しうる道路中心線LCR とに基づいて、道路中心線LCの推定を行なうようになっている。そして、この道路中心線LCに基づいて、道路曲率算出手段4Aにより車両前方の走行レーンの道路曲率ρを算出するようになっている。
【0027】
道路曲率算出手段4Aでは、図4(a)に示すように、曲率の異なる複数の照合用円弧パターン30が記憶されており、これらの照合用円弧パターン30を平面視画像3B上の道路中心線LCに重ね合わせて一致するか否か照合するようになっている。
照合方法としては、例えば、曲率が0の円弧パターン(即ち、直線)から順に平面視画像3B上の道路中心線LCに重ね合わせていく。そして、図4(b)に示すように、例えば、最小二乗法を用いて、画面の下方から順に水平線11上における照合用円弧パターン30と道路中心線LCとの間の距離(2点間のドット数)を二乗して積算していき、最上方の水平線11まで積算された所でその積算値を前回照合を行なった照合用円弧パターン30における積算値と比較する。
【0028】
このとき、今回の照合用円弧パターン30における積算値の方が小さい場合は、再び次の照合用円弧パターン30との照合を行なうようになっている。一方、今回の照合用円弧パターン30における積算値の方が大きい場合は、前回の照合用円弧パターン30が道路中心線LCと一致する円弧パターンと見なして、この円弧パターンの曲率を道路曲率ρとするようになっている。
【0029】
横ずれ量算出手段4B,ヨー角算出手段4Cでは、道路中心線LCの画像情報とこの道路中心線LCに対する自車両の位置情報とに基づいて、それぞれ横ずれ量ΔY,ヨー角βを算出するようになっている。
つまり、横ずれ量算出手段4Bは、図5に示すように、車両1に最も近い道路中心線LC上の地点である第1検出点(LC1)と自車両中心線との横方向距離(道路幅方向、即ちカメラ画像の横方向の距離)を横ずれ量ΔYとして算出し、また、ヨー角算出手段4Cは、道路中心線LCの第1検出点(LC1)における接線と自車両中心線とがなす角をヨー角βとして算出するようになっている。
【0030】
一方、代用道路曲率算出手段25では、次のようにして推定道路曲率ρ′を算出するようになっている。
つまり、車両に作用する遠心力に基づく横加速度をGとし、その時の車両の速高速度の大きさをVとすると、現在、走行中の道路部分の推定道路曲率ρ′は次式で算出される。
【0031】
ρ′=G/V2 ・・・・・・・・・・・・・(1)
そこで、代用道路曲率算出手段25では、横加速度Gを横加速度センサ(横加速度検出手段)21により検出し、車速センサ(走行速度検出手段)20により車速(走行速度)Vを検出して、これらの検出値をもとに(1)式より推定道路曲率ρ′を算出するようになっている。
【0032】
次に、先行車両位置算出手段27における先行車両位置の算出について説明すると、先行車両位置算出手段27では、レーダ26による検出情報に基づいて、自車両前方の先行車両位置を検出するようになっている。
このレーダ26は車両の前面に方向を少しずつ左右にずらして複数個そなえられており、各レーダ26より指向性の高いエネルギ(例えば、レーザ,マイクロ波,超音波等)が車両前方に向かって常時所定の周期で発信及び受信されるようになっている。先行車両位置算出手段27は、レーダ26におけるエネルギの発信から先行車両からの反射エネルギの受信までの時間に基づいて自車両と先行車両との距離LF を測定するとともに、反射エネルギを受信したレーダ26の方向に基づいて自車両中心線に対する先行車両の偏角θF を測定するようになっている。
【0033】
光軸角目標値算出手段5では、まず、上述のようにして算出される走行レーンの道路曲率ρ又は推定道路曲率ρ′及び先行車両の距離LF ,偏角θF に基づいて縦方向光軸角目標値θ1 ,横方向光軸角目標値θ2 を算出する。
即ち、光軸角目標値算出手段5は、図6(a)〜(c)に示すように、自車両(原点)からの距離Lと自車両中心線(縦軸)に対する偏角θとで表される極座標系からなるマップを有しており、このマップにより光軸角目標値θ1 ,θ2 を設定するようになっている。つまり、このマップ上に任意の点を取ったとき、その点の縦軸に対する偏角θが横方向の光軸角目標値θ2 となり、また、その点と原点との距離Lがヘッドライト9の照射距離LH となる。そして、照射距離LH はヘッドライト9の地上高と縦方向の光軸角θ1 とで決まるため、このマップ上に照射目標点を取ることにより光軸角目標値θ1 ,θ2 を設定できるようになっている。例えば、図6(a)〜(c)に示す同心円弧に沿って照射目標点を取ると、縦方向の光軸角θ1 を一定にしたまま横方向の光軸角目標値θ2 を変化させることができる。
【0034】
なお、図6(a)〜(c)におけるθL ,θR はそれぞれ左右方向の横方向の光軸角目標値θ2 の限界角度であり、円弧Lmax ,Lmin はそれぞれ照射距離LH の最長距離と最短距離とを示している。したがって、光軸角目標値θ1 ,θ2 はこれらの限界角度θL ,θR ,円弧Lmax ,Lmin で囲まれた扇形の範囲内(ヘッドライト9が照射可能な範囲に該当し、以下、照射可能範囲Sとする)で設定されることになる。なお、最長照射距離Lmax は、常に固定でもよく、また、車速Vに応じて変化させてもよい。
【0035】
光軸角目標値算出手段5では、図6(a)〜(c)に示すように、道路曲率算出手段4Aから入力される道路中心線LCの道路曲率ρの情報に応じて、マップ上に自車両位置から延びるように(ここでは、自車両のヨー角や横ずれ量を0と仮定して原点で縦軸に接するものとする)曲率ρの円弧を描き、これとともに、先行車両位置算出手段27から入力される先行車両の距離LF ,偏角θF の情報に基づいて、先行車両が存在すると、その位置をマップ上にプロットする。この先行車両位置については、図6(b),(c)に示すように、マップ上にLF ,θF に応じた点CF をとり、この点CF の周りの所定範囲AF 、例えば、点CF を中心とする直径dF の範囲AF を先行車両にグレアが発生する範囲として設定するようになっている。
【0036】
まず、光軸角目標値算出手段5は、図6(a)に示すように、道路中心線LCと円弧Lmin との交点に制御点(ヘッドライトの照射目標点)Pの候補点P1 をとり、原点0から候補点P1 までの間にグレア発生範囲AF が存在しないか検証する。この候補点P1 においてグレア発生範囲AF と干渉していなければ、次は、円弧Lmin よりも僅かに大きい円弧と道路中心線LCとの交点を候補点P2 として、この候補点P2 におけるグレア発生範囲AF との干渉を検証するようになっている。そして、このようにして道路中心線LCに沿ってグレア発生範囲AF との干渉を検証していき、道路中心線LCと円弧Lmax との交点Pmax まで検証するようになっている。
【0037】
こうして道路中心線LCと円弧Lmin との交点から道路中心線LCと円弧Lmax との交点Pmax まで検証してグレア発生範囲AF との干渉がなければ、道路中心線LCと円弧Lmax との交点Pmax を制御点Pとして決定し、この制御点Pに対応して光軸角目標値θ1 ,θ2 を設定するようになっている。このような場合としては、例えば、先行車両が存在しない場合や、先行車両が存在しても照射可能範囲Sよりも前方を走行していたり、自車両の走行車線よりも外側の走行車線を走行している場合が該当する。
【0038】
一方、図6(b),(c)に示すように、道路中心線LCと円弧Lmin との交点から道路中心線LCに沿って候補点Pk を移動させ、グレア発生範囲AF との干渉を検証していったときに、ある円弧Ln と道路中心線LCとの交点に候補点Pn をとったとき、その候補点Pn において、原点0から候補点Pn までの間にグレア発生範囲AF と干渉する部分がある場合は、その円弧Ln の一つ前の円弧Ln-1 と道路中心線LCとの交点Pn-1 を制御点Pとし、この制御点Pに対応して光軸角目標値θ1 ,θ2 を設定するようになっている。このような場合としては、例えば、自車両の走行車線前方に先行車両が存在する場合〔図6(b)〕や、自車両の走行車線よりも内側の走行車線を走行している場合〔図6(c)〕が該当する。
【0039】
なお、図6(a)において、道路曲率ρが大きく、道路中心線LCに沿って候補点Pk を移動させていったとき、左右の限界角度θL ,θR に達したときは、その点を制御点Pとし、この制御点Pに対応して光軸角目標値θ1 ,θ2 を設定するようになっている。つまり、この場合は横方向の光軸角目標値θ2 は限界角度θL 又はθR となる。
【0040】
このようにして光軸角目標値θ1 ,θ2 の設定が行なわれるが、実際の走行においては、車両は必ずしも道路中心線LC上を走行しているとは限らず、図5に示すように、道路中心線LCから横ずれしていたり、道路中心線LCに対して傾いて走行していたりする。そこで、光軸角目標値算出手段5は、上述のようにして算出された光軸角目標値θ1 ,θ2 の内、特に、横方向光軸角目標値θ2 を対レーン位置対応補正手段5Bにより補正するようになっている。
【0041】
対レーン位置対応補正手段5Bは、横ずれ量算出手段4Bで算出された車両の横ずれ量ΔYと、ヨー角算出手段4Cで算出された車両が道路中心線LCに対してなすヨー角βとに基づき、横方向光軸角目標値θ2 の補正角dθを決定する。つまり、補正角dθは次式のように表される。
dθ=β−ΔY/L ・・・・・・・・・・・・・(2)
対レーン位置対応補正手段5Bは、この補正角dθを横方向光軸角目標値θ2 から除算することにより、車両の道路中心線LCに対する横ずれ及び傾きに応じた補正を行なうになっている。
【0042】
こうして、対レーン位置対応補正手段5Bにより光軸角目標値θ2 に適宜の補正が施され、走行路中央を的確に照射するための縦方向光軸角目標値θ1 ,横方向光軸角目標値θ2 が設定されるようになっている。
光軸角目標値算出手段5は、さらに、設定した光軸角目標値θ1 ,θ2 に周辺環境の照度に応じた補正を行なう。
【0043】
つまり、光軸角目標値算出手段5は、周辺環境の照度に応じて光軸角目標値θ1 ,θ2 を補正するための輝度分布対応補正手段5Dを機能要素としてそなえている。輝度分布対応補正手段5Dは、光軸角目標値算出手段5が設定した光軸角目標値θ1 ,θ2 によるヘッドライトの光照射のみで得られるであろう輝度分布と、カメラ2で検出される実際の輝度分布(実輝度分布)とを比較し、ヘッドライト9以外の照明状態を把握して、より効率よく走行車線を照射できるよう光軸角目標値θ1 ,θ2 を補正するものであり、比較処理手段29からの情報に基づき補正量を決定するようになっている。
【0044】
ここで、輝度分布に応じた光軸角目標値θ1 ,θ2 の補正の一連の処理について説明すると、本配光制御装置では、前述の実輝度分布検出手段3Aで得られた実輝度分布マップと、光軸角目標値算出手段5で設定された光軸角目標値θ1 ,θ2 によるヘッドライトの光照射のみで得られるであろう輝度分布マップとを比較処理手段29で比較処理し、その結果に基づき輝度分布対応補正手段5Dが光軸角目標値θ1 ,θ2 を補正するようになっている。
【0045】
さらに詳述すると、光軸角目標値算出手段5の機能要素である目標輝度分布算出手段5Cがそなえられており、まず、この目標輝度分布算出手段5Cにより、光軸角目標値算出手段5で算出された光軸角目標値θ1 ,θ2 に基づく目標輝度分布マップを作成するようになっている。つまり、光軸角目標値θ1 ,θ2 が与えられれば、自車両前方の視野範囲における光軸の中心位置(輝度中心)Ca がわかり、また、ヘッドライト9からの光量分布は光軸角に応じて既知であるため、これらよりヘッドライト9の照射による走行車線上の輝度分布を推定することができるので、目標輝度分布算出手段5Cは、ヘッドライト9の光量と光軸角目標値θ1 ,θ2 とに基づいて目標輝度分布を演算し、実輝度分布検出手段3Aが作成する実輝度分布マップと同様の2次元の平面マップ(以下、目標輝度分布マップという)を作成するようになっている。なお、この目標輝度分布マップと実輝度分布マップとは、それぞれ自車両前方の視野範囲内の同一範囲における目標輝度分布と実輝度分布とを示すものである。
【0046】
比較処理手段29は、図7に示すように、目標輝度分布算出手段5Cが作成した目標輝度分布マップMa と実輝度分布検出手段3Aが作成した実輝度分布マップMb とを比較処理するようになっている。この処理について詳述すると、比較処理手段29は、光軸角目標値を補正するための補正用輝度分布マップMf を作成する機能(補正用輝度分布マップ作成部)29Aと、この補正用輝度分布マップMF に基づいて光軸角目標値の補正量を算出する機能(補正量算出部)29Bとをそなえており、これらの各機能29A,29Bを通じて光軸角目標値算出手段5の輝度分布対応補正手段5Cにフィードバックすべき補正量情報を算出するようになっている。
【0047】
まず、補正用輝度分布マップ作成部29Aにおいては、実輝度分布マップMb と前回の制御周期で作成されたヘッドライト対応輝度分布マップMe との対応する画素上の輝度差を算出し、算出された輝度差をその画素の輝度として補正用輝度分布マップMf を作成するようになっている。即ち、ここでは、実際に走行車線が照らされている照度からヘッドライト9を通じて照射しようとする目標の照度を除くことにより、街路灯等のヘッドライト9以外の周辺光源等に起因する照度の偏差を算出する。
【0048】
一方、補正量算出部29Bでは、補正用輝度分布マップ作成部29Aで作成された補正用輝度分布マップMf の輝度の中心Cf 、即ち、マップ上の各画素を輝度で重み付けした場合のマップの重心点を算出し、さらに、補正用輝度分布マップMf の輝度の総和Σf 、即ち、補正用輝度分布マップMf 上の全画素上の輝度の総和を算出するようになっている。
【0049】
そして、さらに、目標輝度分布算出手段5Cから入力された目標輝度分布マップMa の輝度の中心Ca を算出し、補正用輝度分布の輝度中心Cf から目標輝度分布の輝度中心Ca に向かうベクトルCf a (dx,dy)を算出するようになっている。なお、dx,dyはそれぞれX方向(走行路幅方向),Y方向(走行路進行方向)の両輝度中心Ca ,Cf の画素数差であり、ここでは、輝度分布マップの左下端をXY座標系の原点としている。
【0050】
比較処理手段29は、こうして補正量算出部29Bにおいて算出された補正用輝度分布マップMfの輝度の総和Σfと、補正用輝度分布の輝度中心Cfから目標輝度分布の輝度中心Caに向かうベクトルCfa(dx,dy)とを輝度分布対応補正手段5Dに入力するようになっている。
つまり、前述の比較処理手段29から輝度分布対応補正手段5Dへ入力される情報とは、この実輝度分布と前回制御周期におけるヘッドライト9による輝度分布との差に基づく補正用輝度分布マップMfの輝度の総和Σf,補正用輝度分布マップMfの輝度中心Cfから目標輝度分布マップMaの輝度中心Caに向かうベクトルCfa(dx,dy)であり、輝度分布対応補正手段5Dはこの輝度総和Σf,ベクトルCfa(dx,dy)に基づいて光軸角目標値θ1,θ2の補正を行なうようになっている。
【0051】
この光軸角目標値θ1,θ2の補正においては、輝度分布対応補正手段5Dは、まず、比較処理手段29から入力されたベクトルCfa(dx,dy)の方向にヘッドライトの光軸が補正されるように、光軸角目標値θ1,θ2の補正量dθ1,dθ2を設定するようになっている。そして、さらに、補正用輝度分布の輝度の総和Σfが大きいほど補正量dθ1,dθ2も大きくなるように、つまり、外部光源の照度が強いほど補正量dθ1,dθ2も大きく設定する。
【0052】
つまり、縦方向の光軸角目標値θ1 の補正量dθ1 ,横方向の光軸角目標値θ2 の補正量dθ2 はそれぞれ次式のように表されることになる。
dθ1 =A1 ×Σf ×dy ・・・・・・・・・(3)
dθ2 =A2 ×Σf ×dx ・・・・・・・・・(4)
ただし、A1 ,A2 は適宜の定数である。
【0053】
輝度分布対応補正手段5Dは、上記の(3)式(4)式で定まる補正量dθ1 ,dθ2 をそれぞれ縦方向の光軸角目標値θ1 ,横方向の光軸角目標値θ2 に加算することにより光軸角目標値θ1 ,θ2 の補正を行ない、補正された光軸角目標値θ1 ,θ2 が光軸角目標値算出手段5からコントローラ7へ出力されるようになっている。
【0054】
ところで、画像情報処理手段3による白線認識が不調のときは、画像情報処理手段3から光軸角目標値算出手段5へ認識ロスト信号が入力されるが、この認識ロスト信号が入力されている間は、道路曲線ρは精度の低い道路中心線LCの情報に基づいて算出されるため正確に道路中心線の曲率を表しているとは言いがたい。したがって、この道路曲線ρに基づいて横方向光軸角目標値θ2 を算出してコントローラ7へ出力しても、有効に道路中心線LCに沿った光軸制御を行なえない可能性が大きい。
【0055】
そこで、光軸角目標値算出手段5は、画像情報処理手段3から認識ロスト信号が入力されると、光軸角目標値算出手段5の機能要素である切替手段5Aによって、道路曲率算出手段4Aで算出された道路曲率ρに基づいた横方向光軸角目標値θ2 の算出から、代用道路曲率算出手段25で算出された推定道路曲率ρ′に基づいた横方向光軸角目標値θ2 の算出へと切り替えるようになっている。
【0056】
また、対レーン位置対応補正手段5Bにおける補正角dθも、画像情報に基づいて算出されているため認識ロスト信号が入力されている間はその精度に欠け、適切な補正が行なえるとは言いがたい。このため、光軸角目標値算出手段5は、認識ロスト信号が入力されている間は、対レーン位置対応補正手段5Bによる横方向光軸角目標値θ2 の補正を中止するようになっている。
【0057】
なお、道路曲率ρと推定道路曲率ρ′との誤差により、道路曲率算出手段4Aから代用道路曲率算出手段25への切り替え時には横方向光軸角目標値θ2 は急激に変化する可能性がある。このような場合、ドライバは違和感を感じる虞があるが、これに対しては図1に示すように、光軸角目標値算出手段5とコントローラ7との間に介装されたローパスフィルタ6により平滑化処理することで対処している。また、対レーン位置対応補正手段5Bによる補正を中止する際も、突然補正角dθを0にするのではなく、徐々に補正角dθの大きさを0に近づけていくことにより、横方向光軸角目標値θ2 の急激な変化を防止するようになっている。
【0058】
本発明の第1実施形態としての自動車用ヘッドライトの配光制御装置は、上述のように構成されているので、配光制御の処理は、例えば図8に示すように行なわれる。
まず、先行車両位置算出手段27により、レーダ26を介して先行車両を検出し、レーダ26からの情報を基に先行車両の位置、即ち、先行車両と自車両との距離LF と自車両中心線に対する偏角θF とを算出する(ステップS10)。
【0059】
先行車両との距離LF ,偏角θF が算出されると、次は、画像情報処理手段3により、カメラ2から入力される車両前方の画像情報を適宜処理して前方道路上の左右の白線位置の認識を行なう。
そして、白線位置を有効に認識できたか否かの判定(レーン認識ロストの判定)が行われて(ステップS20)、白線位置を有効に認識できた場合はステップS30以降の処理を行ない、有効に白線位置を認識できなかった場合(即ち、白線認識ロスト状態)では、ステップS60以降の処理を行なう。
まず、白線位置を有効に認識できた場合は、この白線位置画像情報を基に、道路曲率算出手段4Aにより道路曲率ρを算出する。
【0060】
つまり、図2に示すように、走行レーン推定手段4は、画像情報処理手段3で認識された原画像3A上の白線12R,12Lを鉛直上方から見たような平面視画像3Bに変換して、走行レーン左端の白線12Lから推定しうる道路中心線LCL と走行レーン右端の白線12Rから推定しうる道路中心線LCR とに基づいて、道路中心線LCの推定を行なう。
【0061】
そして、道路中心線LCが推定されると、道路曲率算出手段4Aは、照合用円弧パターン30をこの道路中心線LCに順次重ね合わせていく。そして、図4(b)に示すように、各照合用円弧パターン30について、画面の下方から順に水平線11上における照合用円弧パターン30と道路中心線LCとの間の距離(2点間のドット数)を二乗して積算していき、最上方の水平線11まで積算された所でその積算値を前回照合を行なった照合用円弧パターン30における積算値と比較する。このとき、今回の照合用円弧パターン30における積算値の方が大くなった場合は、前回の照合用円弧パターン30が道路中心線LCと一致する円弧パターンと見なして、この円弧パターンの曲率を道路曲率ρとする(以上、ステップS30)。
【0062】
こうして、先行車両との距離LF ,偏角θF に加え道路曲率ρが算出されると、光軸角目標値算出手段5は、これらの情報を基に光軸角目標値θ1 ,θ2 を算出する。
即ち、光軸角目標値算出手段5は、図6(a)〜(c)に示すように、道路曲率算出手段4Aからの道路中心線LCの道路曲率ρの入力に応じて、マップ上に原点で縦軸に接する曲率ρの円弧(道路中心線LC)を描く。そして、先行車両位置算出手段5から先行車両の距離LF ,偏角θF が入力されると、図6(b),(c)に示すように、マップ上にLF ,θF に応じた点CF をとり、この点CF の周りにグレア発生範囲AF を設定する。
【0063】
まず、光軸角目標値算出手段5は、図6(a)に示すように、道路中心線LCと円弧Lmin との交点に制御点Pの候補点P1 をとり、原点0から候補点P1 までの間にグレア発生範囲AF が存在しないか検証する。この候補点P1 においてグレア発生範囲AF との干渉がなければ、次は、円弧Lmin よりも僅かに大きい円弧と道路中心線LCとの交点を候補点P2 とし、この候補点P2 におけるグレア発生範囲AF との干渉を検証する。こうして、道路中心線LCに沿って順次グレア発生範囲AF との干渉を検証していき、道路中心線LCと円弧Lmax との交点Pmax まで検証してグレア発生範囲AF との干渉がなければ、道路中心線LCと円弧Lmax との交点Pmax を制御点Pとし、この制御点Pに対応して光軸角目標値θ1 ,θ2 を設定する。
【0064】
また、道路中心線LCに沿ってグレア発生範囲AF との干渉を検証していったとき、ある円弧Ln と道路中心線LCとの交点に候補点Pn をとったとき、その候補点Pn において、原点0から候補点Pn までの間にグレア発生範囲AF と干渉する部分がある場合は、その円弧Ln の一つ前の円弧Ln-1 と道路中心線LCとの交点Pn-1 を制御点Pとし、この制御点Pに対応して光軸角目標値θ1 ,θ2 を設定する(以上、ステップS40)。
【0065】
こうして光軸角目標値θ1 ,θ2 が設定されると、光軸角目標値算出手段5の機能要素である対レーン位置対応補正手段5Bは、横ずれ量算出手段4B,ヨー角算出手段4Cによりそれぞれ算出された道路中心線LCに対する横ずれ量ΔY,ヨー角βに基づいて前記の(2)式から補正角dθを算出し横方向光軸角目標値θ2 を補正する(ステップS50)。
【0066】
さらに、光軸角目標値算出手段5は、その機能要素である輝度分布対応補正手段5Aにより周辺環境の照度に応じて光軸角目標値θ1 ,θ2 の補正を行なう。即ち、光軸角目標値算出手段5が設定した光軸角目標値θ1 ,θ2 で得られるであろう目標輝度分布と、カメラ2で検出される実際の輝度分布とを比較し、より効率よく走行車線を照射できるよう光軸角目標値θ1 ,θ2 の補正を行なうのであるが、その一連の処理は次のようにして行なわれる。
【0067】
まず、(n−1)回目の制御周期において、光軸角目標値算出手段5から出力された光軸角目標値θ1(n-1),θ2(n-1)は、コントローラ7を通じて光軸アクチュエータ8に入力される。光軸アクチュエータ8はヘッドライト9の光軸角を光軸角目標値θ1(n-1),θ2(n-1)に一致するように調整し、ヘッドライト9は、この光軸角目標値θ1(n-1),θ2(n-1)で車両前方の走行車線を照射する。
【0068】
走行車線は、ヘッドライト9に照射されるとともに、ヘッドライト9以外の周辺光源、例えば街路灯等によっても照らされており、走行車線上には照射される光量や位置に応じた輝度分布が生じる。カメラ2は、この車両前方の走行車線を白黒画像情報として取り込み、画像情報処理手段3の機能要素である実輝度分布検出手段3Aにより走行車線上の輝度分布を検出する。実輝度分布検出手段3Aは、検出した輝度分布を、カメラ2の検出画像の各画素毎の輝度を示した2次元の平面マップ(実輝度分布マップ)Mb (n) に加工し、比較処理手段29へ入力する。
【0069】
そして、次の(n)回目の制御周期において、光軸角目標値算出手段5は、その機能要素である目標輝度分布算出手段5Cにより、道路曲率ρ及び先行車両位置情報(距離LF ,偏角θF )に基づき算出され、横ずれ量ΔY,ヨー角βに基づき補正された光軸角目標値θ1(n),θ2(n)に基づき、ヘッドライト9以外の周辺光源の無い状態で光軸角目標値θ1(n),θ2(n)でヘッドライト9を照射したならば得られるであろう輝度分布を算出し、2次元の平面マップ(目標輝度分布マップ)Ma (n) を作成する。そして、作成した目標輝度分布マップMa (n) を比較処理手段29へ入力する。
【0070】
比較処理手段29は、実輝度分布検出手段3Aで得られた実輝度分布マップMb (n) と、目標輝度分布算出手段5Cで得られた目標輝度分布マップMa (n) とを次の手順で比較処理し、光軸角目標値算出手段5(輝度分布対応補正手段5D)へフィードバックすべき情報を算出する。
まず、比較処理手段29は、補正用輝度分布マップ作成部29Aにより、実輝度分布マップMb (n) と、(n−1)回目の制御周期において作成されたヘッドライト対応輝度分布マップMe (n-1) との対応する画素上の輝度差を算出し、算出された輝度差をその画素の輝度として補正用輝度分布マップMf (n) を作成する。
【0071】
次に、補正量算出部29Bにおいて、補正用輝度分布マップ作成部39Aで作成された補正用輝度分布マップMf (n) の輝度の中心Cf (n) 、即ち、マップ上の各画素を輝度で重み付けした場合のマップの重心点と、補正用輝度分布マップMf (n) の輝度の総和Σf (n) 、即ち、補正用輝度分布マップMr (n) 上の全画素上の輝度の総和とを算出する。
【0072】
そして、さらに、目標輝度分布算出手段5Cから入力された目標輝度分布マップMa (n) の輝度の中心Ca (n) を算出し、補正用輝度分布の輝度中心Cf (n) から目標輝度分布の輝度中心Ca (n) に向かうベクトルCf a (n) 〔dx(n) ,dy(n) 〕を算出し、算出した輝度の総和Σf (n) ,Cf a (n) 〔dx(n) ,dy(n) 〕を輝度分布対応補正手段5Dに入力する。
【0073】
輝度分布対応補正手段5Dは、比較処理手段29から入力されたベクトルCf a (n) 〔dx(n) ,dy(n) 〕の方向にヘッドライト9の光軸が補正されるように、かつ、補正用輝度分布の輝度の総和Σf (n) が大きいほど補正量も大きくなるように前記の(3)式(4)式より光軸角目標値θ1(n),θ2(n)の補正量dθ1(n),dθ2(n)を設定する。そして、設定した補正量dθ1(n),dθ2(n)をそれぞれ縦方向の光軸角目標値θ1(n),横方向の光軸角目標値θ2(n)に加算することにより光軸角目標値θ1(n),θ2(n)の補正を行なう。
【0074】
光軸角目標値算出手段5は、このようにして補正された光軸角目標値θ1(n),θ2(n)を今回(n回目)の制御周期における光軸角目標値θ1(n),θ2(n)としてコントローラ7へ出力する(以上、ステップS60)。
コントローラ7は、こうして得られた縦方向光軸角目標値θ1 ,横方向光軸角目標値θ2 に基づいて光軸アクチュエータ8を作動させる(ステップS70)。
【0075】
一方、有効に白線位置を認識できなかった場合、つまり、画像情報処理手段3における白線認識処理において、白線12の候補点15の一定数以上がその誤差範囲内に収まらない状態となり却下された場合は、画像情報処理手段3から光軸角目標値算出手段5へロスト信号が入力される。光軸角目標値算出手段5の機能要素である切替手段5Aは、このロスト信号の入力に応じて、レーン認識ロストと判定され(ステップS20))、道路曲率算出手段4Aから代用道路曲率算出手段25へと道路曲率の算出手段を切り替える。
【0076】
代用道路曲率算出手段25は、実際に車両1に作用する横加速度G,車速Vをそれぞれ横加速度センサ21,車速センサ20で検出し、検出された横加速度G,車速Vに基づいて前記の(1)式より推定道路曲率ρ′を推定する(ステップS80)。
光軸角目標値算出手段5は、この推定道路曲率ρ′と先行車両位置算出手段27で算出された先行車両との距離LF と偏角θF とに基づいて光軸角目標値θ1 ,θ2 を算出し(ステップS90)、輝度分布対応補正手段5Aにより周辺環境の照度に応じて光軸角目標値θ1 ,θ2 の補正を行なう(ステップS60)。
【0077】
こうして、光軸角目標値θ1 ,θ2 が算出されると、コントローラ7は、ヘッドライト9の光軸角が、算出された光軸角目標値θ1 ,θ2 に一致するように、光軸アクチュエータ8を作動させる(ステップS70)。
このように、本配光制御装置によれば、カメラ2からの道路画像情報を基に画像情報処理手段3で認識された道路上の白線から道路中心線LCを推定し、この推定された道路中心線LCに基づき算出された道路曲率ρに応じて光軸角目標値θ1 ,θ2 を算出しているので、車両前方の走行車線のカーブ状況に関わらず的確に走行車線上を照射することができるという利点がある。
【0078】
そして、走行車線が街路灯等により照らされている場合は、カメラ2からの道路画像情報より得られる走行車線の実輝度分布と、光軸角目標値θ1 ,θ2 に基づき算出される目標輝度分布とを比較して、街路灯等の周辺光源による走行車線上の輝度分布を検出することができるので、街路灯等の周辺光源により十分な照らされている部分をさらにヘッドライト9で照らすことなく、他の暗い部分を照らすようにヘッドライト9の光軸角目標値θ1 ,θ2 を調整することができ、走行車線の要部全体を均一に効率よく照らすことができるという利点がある。
【0079】
次に、本発明の第2実施形態としての自動車用ヘッドライトの配光制御装置について説明する。
本実施形態の自動車用ヘッドライトの配光制御装置は、第1実施形態としての自動車用ヘッドライトの配光制御装置とは、光軸角目標値θ1 ,θ2 の設定手段に相違がある。つまり、本配光制御装置では、第1実施形態のように道路曲率や先行車両位置情報に基づき算出された光軸角目標値θ1 ,θ2 を周辺照度に応じて補正するのではなく、まず、道路曲率や先行車両位置情報に基づき疑似光軸角目標値θ1 ′,θ2 ′を設定し、この疑似光軸角目標値θ1 ′,θ2 ′と、カメラ情報から得られる周辺照度情報に基づき、ヘッドライトが実現すべき光軸角目標値θ1 ,θ2 を設定するようになっているのである。
【0080】
本配光制御装置の構成について詳述すると、疑似光軸角目標値θ1 ′,θ2 ′の設定手段は第1実施形態における光軸角目標値θ1 ,θ2 の設定手段と同構成であり、また、周辺照度情報の検出手段も第1実施形態と同構成である。したがって、ここでは、第1実施形態の構成を用いて説明を行なう。
本配光制御装置では、図9に示すように、実輝度分布検出手段3Aで得られた実輝度分布マップMb と、道路曲率ρ,先行車両位置情報(距離LF ,偏角θF ),対レーン情報(横ずれ量ΔY,ヨー角β)に基づき設定された疑似光軸角目標値θ1 ′,θ2 ′によるヘッドライトの光照射のみで得られるであろう目標輝度分布マップMa とを比較処理手段39で比較処理し、その結果に基づき輝度分布対応補正手段5D′により光軸角目標値θ1 ,θ2 を設定するようになっている。
【0081】
まず、疑似光軸角目標値θ1 ′,θ2 ′に基づく目標輝度分布マップは、目標輝度分布算出手段5Cにより作成されるようになっている。つまり、疑似光軸角目標値θ1 ′,θ2 ′が与えられれば、自車両前方の視野範囲における光軸の中心位置(輝度中心)がわかり、また、ヘッドライト9からの光量分布は光軸角に応じて既知であるため、これらよりヘッドライト9の照射による走行車線上の輝度分布を推定することができるので、目標輝度分布算出手段5Cは、ヘッドライト9の光量と疑似光軸角目標値θ1 ′,θ2 ′とに基づいて目標輝度分布を演算し、実輝度分布検出手段3Aが作成する実輝度分布マップと同様の2次元の平面マップ(以下、目標輝度分布マップという)を作成するようになっている。なお、この目標輝度分布マップと実輝度分布マップとは、それぞれ自車両前方の視野範囲内の同一範囲における目標輝度分布と実輝度分布とを示すものである。
【0082】
一方、比較処理手段39は、ヘッドライト9の光量のみで得られる輝度分布マップMと実輝度分布検出手段3Aが作成した実輝度分布マップとを比較処理するようになっている。
この処理について詳述すると、比較処理手段39は、図9に示すように、ヘッドライト9以外の周辺光源に対応した輝度分布マップ(補正用輝度分布マップであり、以下、周辺光源対応輝度分布マップ、とも呼ぶ)Mcを作成する機能(周辺光源対応輝度分布マップ作成部)39Aと、ヘッドライト9以外の周辺光源の光量に応じて目標輝度分布マップMaを補正し補正目標輝度分布マップMdを作成する機能(補正目標輝度分布マップ作成部)39Bと、これらの周辺光源対応輝度分布マップMcと補正目標輝度分布マップMdとに基づいてヘッドライト9の光量により実現すべき輝度分布マップ(ヘッドライト対応輝度分布マップ)Meを作成し、光軸角目標値の補正量を算出する機能(補正量算出部)39Cとをそなえており、これらの機能を通じて光軸角目標値算出手段5の輝度分布対応補正手段5D′にフィードバックすべき補正量情報を算出するようになっている。
【0083】
まず、周辺光源対応輝度分布マップ作成部(補正用輝度分布算出手段)39Aにおいては、実輝度分布マップMbと、前回の制御周期で作成されたヘッドライト対応輝度分布マップMeとの対応する画素上の輝度差を算出し、算出された輝度差をその画素の輝度として周辺光源対応輝度分布マップMcを作成するようになっている。即ち、ここでは、実際に走行車線が照らされている照度からヘッドライト9の照射による照度を除くことにより、街路灯等のヘッドライト9以外の周辺光源等に起因する照度の偏差を算出する。
【0084】
一方、補正目標輝度分布マップ作成部39Bでは、まず、実輝度分布マップMb ,目標輝度分布マップMa それぞれの輝度の総和、即ち、マップ上の全画素上の輝度の総和を算出するようになっている。そして、算出した実輝度分布マップMb の輝度の総和Σb と目標輝度分布マップMa の輝度の総和Σa との比〔以下、輝度総和比Σb /Σa という〕を算出し、目標輝度分布マップMa 上の全画素上の輝度にこの輝度総和比Σb /Σa を乗算する。
【0085】
こうして、補正目標輝度分布マップ作成部39Bでは、目標輝度分布マップMa を補正した補正目標輝度分布マップMd を作成するようになっている。この補正目標輝度分布マップMd は、ヘッドライト9の光量と周辺光源による光量とにより走行路の要部全体を均一にむらなく照らすための理想的な輝度分布を示すものである。なお、実輝度分布マップMb と目標輝度分布マップMa との画素が一対一対応していない場合、即ち、両マップMb ,Ma の解像度が異なる場合は、輝度の総和の算出において画素の面積に応じた重みづけを行なう。
【0086】
次に、比較処理手段39は、補正量算出部39Cにおいて、補正目標輝度分布マップMd と周辺光源対応輝度分布マップMc との対応する画素上の輝度差を算出し、算出された輝度差をその画素の輝度とする輝度分布マップ(ヘッドライト対応輝度分布マップ)Me を作成するようになっている。ここでは、カメラ2で得られる実際の走行車線の輝度分布が、補正目標輝度分布マップMd で示されるような理想的な輝度分布となるためにヘッドライト9の光量により実現すべき輝度分布の算出を行なう。そして、作成したヘッドライト対応輝度分布マップMe における輝度の中心Ce 、即ち、マップ上の各画素を輝度で重み付けした場合のマップの重心点を算出し、輝度分布対応補正手段5D′に入力する。
【0087】
つまり、前述の比較処理手段39から輝度分布対応補正手段5D′へ入力される情報とは、実輝度分布と目標輝度分布とに基づき算出されるヘッドライト9の光量により実現すべき輝度分布の輝度中心Ce であり、輝度分布対応補正手段5D′はこの輝度中心Ce に基づいて光軸角目標値θ1 ,θ2 を設定するようようになっている。輝度分布対応補正手段5D′は、光軸角目標値とマップ上の輝度中心位置との対応マップを予め記憶しており、比較処理手段39から入力された輝度中心Ce と予め記憶している対応マップと照らし合わせ、比較処理手段39から入力された輝度中心Ce と対応する光軸角目標値θ1 ,θ2 を算出するようになっている。
【0088】
光軸角算出手段5は、輝度分布対応補正手段5D′で算出された光軸角目標値θ1 ,θ2 を、今回の制御周期における光軸角目標値θ1 ,θ2 として、コントローラ7へ入力するようになっている。
本発明の第2実施形態としての自動車用ヘッドライトの配光制御装置は、上述のように構成されているので、周辺環境の照度に応じた光軸角目標値θ1 ,θ2 の設定は次のようにして行なわれる。
【0089】
まず、(n−1)回目の制御周期において、光軸角目標値算出手段5から出力された光軸角目標値θ1(n-1),θ2(n-1)は、コントローラ7を通じて光軸アクチュエータ8に入力される。光軸アクチュエータ8はヘッドライト9の光軸角を光軸角目標値θ1(n-1),θ2(n-1)に一致するように調整し、ヘッドライト9は、この光軸角目標値θ1(n-1),θ2(n-1)で車両前方の走行車線を照射する。
【0090】
走行車線は、ヘッドライト9に照射されるとともに、ヘッドライト9以外の周辺光源、例えば街路灯等によっても照らされており、走行車線上には照射される光量や位置に応じた輝度分布が生じる。カメラ2は、この車両前方の走行車線を白黒画像情報として取り込み、画像情報処理手段3の機能要素である実輝度分布検出手段3Aにより走行車線上の輝度分布を検出する。実輝度分布検出手段3Aは、検出した輝度分布を、カメラ2の検出画像の各画素毎の輝度を示した2次元の平面マップ(実輝度分布マップ)Mb (n) に加工し、比較処理手段39へ入力する。
【0091】
そして、次の(n)回目の制御周期において、光軸角目標値算出手段5は、その機能要素である目標輝度分布算出手段5Cにより、道路曲率ρ,先行車両位置情報(距離LF ,偏角θF ),対レーン情報(横ずれ量ΔY,ヨー角β)に基づき算出された疑似光軸角目標値θ1(n)′,θ2(n)′に基づき、ヘッドライト9以外の周辺光源の無い状態で疑似光軸角目標値θ1(n)′,θ2(n)′でヘッドライト9を照射したならば得られるであろう輝度分布を算出し、2次元の平面マップ(目標輝度分布マップ)Ma (n) を作成する。そして、作成した目標輝度分布マップMa (n) を比較処理手段39へ入力する。
【0092】
比較処理手段39は、実輝度分布検出手段3Aで得られた実輝度分布マップMb (n) と、目標輝度分布算出手段5Cで得られた目標輝度分布マップMa (n) とを次の手順で比較処理し、光軸角目標値算出手段5(輝度分布対応補正手段5D′)へフィードバックすべき情報を算出する。
まず、比較処理手段39は、周辺光源対応輝度分布マップ作成部39Aにより、実輝度分布マップMb (n) と、(n−1)回目の制御周期において作成されたヘッドライト対応輝度分布マップMe (n-1) との対応する画素上の輝度差を算出し、算出された輝度差をその画素の輝度とする輝度分布マップ、即ち、街路灯等のヘッドライト9以外の周辺光源による輝度分布マップ(周辺光源対応輝度分布マップ)Mc (n) を作成する。
【0093】
また、補正目標輝度分布マップ作成部39Bにより、実輝度分布マップMb (n) の輝度の総和Σb と目標輝度分布マップMa (n) の輝度の総和Σa とを算出し、これらの輝度総和比Σb /Σa を目標輝度分布マップMa (n) 上の全画素上の輝度に乗算して補正目標輝度分布マップMd (n) を作成する。
そして、補正量算出部39Cにより、補正目標輝度分布マップMd (n) と周辺光源対応輝度分布マップMc (n) との対応する画素上の輝度差を算出し、算出された輝度差をその画素の輝度とする輝度分布マップ(ヘッドライト対応輝度分布マップ)Me (n) を作成する。そして、作成したヘッドライト対応輝度分布マップMe (n) における輝度の中心Ce (n) を算出し、輝度分布対応補正手段5D′に入力する。
【0094】
輝度分布対応補正手段5D′は、比較処理手段39から入力された輝度中心Ce (n) と予め記憶している対応マップと照らし合わせ、比較処理手段39から入力された輝度中心Ce (n) に対応する光軸角目標値θ1(n),θ2(n)を算出する。そして、この算出した光軸角目標値θ1(n),θ2(n)を今回(n回目)の制御周期における光軸角目標値θ1(n),θ2(n)としてコントローラ7へ出力する。
【0095】
このように、本実施形態の配光制御装置によれば、第1実施形態の配光制御装置と同様に周辺光源の照度に応じた配光制御が可能であり、さらに、本実施形態の配光制御装置では、周辺光源による輝度分布に応じて走行路の要部全体を均一に照らすための理想的な輝度分布(補正目標輝度分布)を定め、ヘッドライト9の光が周辺光源とともにこの補正目標輝度分布を達成するよう光軸角目標値θ1 ,θ2 を設定するので、第1実施形態の配光制御装置よりもさらに均一に効率よく走行車線の要部全体を照らすことができるという利点がある。
【0096】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上述の各実施形態では、周辺環境の照度に応じて光軸角目標値θ1 ,θ2 の角度補正のみを行なっているが、光軸角目標値θ1 ,θ2 の角度補正とともにヘッドライト9の光量も周辺環境の照度に応じて調整してもよく、或いは、ヘッドライト9の光量のみを調整してもよい。
【0097】
特に、上述の第2実施形態の配光制御装置のように、走行路の要部全体を均一に照らすためのヘッドライト9の光量が受け持つ輝度分布を定め、この輝度分布を達成するように配光制御する配光制御装置では、ヘッドライト9の光量を調整することは有効である。
また、走行車線上の輝度分布の検出において、上述の実施形態ではカメラ2からの画像情報を利用しているが、専用の照度計により走行車線上の輝度分布を検出するようにしてもよい。
【0098】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の自動車用ヘッドライトの配光制御装置(請求項1)によれば、ヘッドライトの光照射のみで得られるであろう輝度分布と、実際の輝度分布とを比較し、ヘッドライト以外の照明状態を把握して、より効率よく走行車線を照射できるよう光軸角目標値を補正するため、走行車線が街路灯等により照らされている場合にも、ヘッドライトにより街路灯等の周辺光源により十分な照らされている部分をさらに強く照らすことなく、他の暗い部分を中心に照らすようにすることができ、走行車線の要部全体をむらなく均一にかつ無駄なくより効率よく照らすことができ、ドライバの視認性の向上に寄与しうる。
また、本発明の自動車用のヘッドライトの配光制御装置(請求項2)によれば、ヘッドライト以外の外部光源の照度が強いほど、補正量を大きく設定することができる。
また、本発明の自動車用のヘッドライトの配光制御装置(請求項3)によれば、周辺光源に応じて走行路の要部全体を均一に照らすための理想的な輝度分布を定め、ヘッドライトの光が周辺光源とともにその理想的な輝度分布を達成するように光軸角目標値を設定するため、さらに均一に効率よく走行車線の要部全体を照らすことができる。
また、本発明の自動車用のヘッドライトの配光制御装置(請求項4)によれば、実輝度分布マップと目標輝度分布マップとの画素の解像度が異なる場合であっても、走行路の要部全体を均一に照らすための理想的な輝度分布を定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての自動車用ヘッドライトの配光制御装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる走行レーン認識のための画像処理を説明する図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる走行レーン認識を(a)〜(f)の順で説明する模式図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる走行レーンの道路曲率の算出について説明するための説明図であり、(a)は道路曲率算出のための照合用円弧パターンを示す図、(b)は照合例を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる横ずれ量とヨー角の算出について説明するための説明図である。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる先行車両位置と道路曲率とに基づいた光軸角目標値の算出について説明するための説明図であり、(a)は先行車両が存在しない場合、(b)は自車両が走行する走行車線上に先行車両が存在する場合、(c)は内側の隣車線上に先行車両が存在する場合を示している。
【図7】本発明の第1実施形態にかかる走行路上の輝度分布に応じた光軸角目標値の補正について説明するための説明図である。
【図8】本発明の第1実施形態としての自動車用ヘッドライトの配光制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態にかかる走行路上の輝度分布に応じた光軸角目標値の補正について説明するための説明図である。
【符号の説明】
2 カメラ
3 画像情報処理手段
3A 実輝度分布検出手段
4 走行レーン推定手段
4A 道路曲率算出手段
5 光軸角目標値算出手段
5C 目標輝度分布算出手段
5D,5D′ 輝度分布対応補正手段
7 コントローラ(制御手段)
8 光軸アクチュエータ
9 ヘッドライト
26 レーダ
27 先行車両位置算出手段
29,39 比較処理手段

Claims (4)

  1. ヘッドライトの光軸角を光軸アクチュエータを介して調整する自動車用ヘッドライトの配光制御装置であって、
    走行路の道路曲率を算出する道路曲率算出手段と、
    該道路曲率算出手段で算出された該道路曲率に基づいて該ヘッドライトの光軸角目標値を算出する光軸角目標値算出手段と、
    該光軸角目標値算出手段で算出された該光軸角目標値に基づいて該ヘッドライトで照射する自車両前方の該走行路の目標輝度分布を算出し、目標輝度分布マップを作成する目標輝度分布算出手段と、
    該走行路の実際の輝度分布を検出し、実輝度分布マップを作成する実輝度分布検出手段と、
    前回の制御周期で算出された該光軸角目標値に基づいて該ヘッドライトの光照射のみで得られるであろう輝度分布のヘッドライト対応輝度分布マップを作成するとともに、該実輝度分布マップと該ヘッドライト対応輝度分布マップとの輝度差を算出し、該輝度差をその輝度分布とする補正用輝度分布マップを作成する補正用輝度分布算出手段と、
    該補正用輝度分布マップの輝度中心から該目標輝度分布マップの輝度中心に向かうベクトルを算出し、該ベクトルの方向に該ヘッドライトの光軸が補正されるように、該補正用輝度分布マップの輝度総和に基づき該光軸角目標値の補正量を設定する輝度分布対応補正手段と、
    該ヘッドライトの光軸角が、該光軸角目標値算出手段で算出された該光軸角目標値及び該輝度分布対応補正手段で設定された該補正量の和と等しくなるように、該光軸アクチュエータを制御する制御手段と
    を備えたことを特徴とする、自動車用ヘッドライトの配光制御装置。
  2. 該輝度分布対応補正手段は、該補正用輝度分布マップの輝度の総和が大きいほど、該補正量を大きくする
    ことを特徴とする、請求項1記載の自動車用ヘッドライトの配光制御装置。
  3. ヘッドライトの光軸角を光軸アクチュエータを介して調整する自動車用ヘッドライトの配光制御装置であって、
    走行路の道路曲率を算出する道路曲率算出手段と、
    該道路曲率算出手段で算出された該道路曲率に基づいて該ヘッドライトの光軸角目標値を算出する光軸角目標値算出手段と、
    該光軸角目標値算出手段で算出された該光軸角目標値に基づいて該ヘッドライトで照射する自車両前方の該走行路の目標輝度分布を算出し、目標輝度分布マップを作成する目標輝度分布算出手段と、
    該走行路の実際の輝度分布を検出し、実輝度分布マップを作成する実輝度分布検出手段と、
    前回の制御周期で算出された該光軸角目標値に基づいて該ヘッドライトの光照射のみで得られるであろう輝度分布のヘッドライト対応輝度分布マップを作成するとともに、該実輝度分布マップと該ヘッドライト対応輝度分布マップとの輝度差を算出し、該輝度差をその輝度分布とする補正用輝度分布マップを作成する補正用輝度分布算出手段と、
    該実輝度分布マップの輝度の総和と該目標輝度分布マップの輝度の総和との比を算出し、該目標輝度分布マップの輝度分布へ該比を乗算して、補正目標輝度分布マップを作成する補正目標輝度分布算出手段と、
    補正用輝度分布マップと該補正目標輝度分布マップとの輝度差を算出して、該輝度差をその輝度分布とする輝度分布マップを作成し、該輝度分布マップの輝度中心を今回の制御周期における光軸角目標値に設定する輝度分布対応補正手段と、
    該ヘッドライトの光軸角が、該輝度分布対応補正手段で設定された該今回の制御周期における光軸角目標値と等しくなるように、該光軸アクチュエータを制御する制御手段と
    を備えたことを特徴とする、自動車用ヘッドライトの配光制御装置。
  4. 該補正目標輝度分布算出手段は、該実輝度分布マップと該目標輝度分布マップとの画素の解像度が異なる場合には、該実輝度分布マップ及び該目標輝度分布マップの輝度総和の算出において画素の面積に応じた重み付けを行う
    ことを特徴とする、請求項3記載の自動車用ヘッドライトの配光制御装置。
JP3778598A 1998-02-19 1998-02-19 自動車用ヘッドライトの配光制御装置 Expired - Fee Related JP3829460B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3778598A JP3829460B2 (ja) 1998-02-19 1998-02-19 自動車用ヘッドライトの配光制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3778598A JP3829460B2 (ja) 1998-02-19 1998-02-19 自動車用ヘッドライトの配光制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11235949A JPH11235949A (ja) 1999-08-31
JP3829460B2 true JP3829460B2 (ja) 2006-10-04

Family

ID=12507150

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3778598A Expired - Fee Related JP3829460B2 (ja) 1998-02-19 1998-02-19 自動車用ヘッドライトの配光制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3829460B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6861809B2 (en) * 1998-09-18 2005-03-01 Gentex Corporation Headlamp control to prevent glare
DE102008031159A1 (de) * 2008-07-03 2010-01-07 Adc Automotive Distance Control Systems Gmbh Verfahren zur Dejustageerkennung eines Fahrzeugscheinwerfers mit einer Kamera
JP5424742B2 (ja) * 2009-06-30 2014-02-26 株式会社小糸製作所 車両用前照灯装置
JP6648564B2 (ja) * 2016-03-11 2020-02-14 株式会社デンソー 車両用光照射システム

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11235949A (ja) 1999-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5809785B2 (ja) 車両用外界認識装置およびそれを用いた配光制御システム
EP2026247B1 (en) Automatic headlamp control system
JP4544233B2 (ja) 車両検出装置及びヘッドランプ制御装置
JP4676373B2 (ja) 周辺認識装置、周辺認識方法、プログラム
US8903603B2 (en) Environment recognizing device for a vehicle and vehicle control system using the same
US20200398738A1 (en) Headlamp for vehicle and method for controlling the same
JP5090321B2 (ja) 物体検知装置
JP2006343322A (ja) 夜間の霧を検出するための方法、およびこの方法を実施するためのシステム
JPH06276524A (ja) 対向車両認識装置
US9616805B2 (en) Method and device for controlling a headlamp of a vehicle
JPH0769125A (ja) 車両用前照灯装置
EP2525302A1 (en) Image processing system
JPH0752706A (ja) ヘッドランプの配光制御装置
JP4762491B2 (ja) 道路の屈曲部を検出するための方法およびこの方法を実施するためのシステム
JPH07101291A (ja) 車両用前照灯装置
JP2021088233A (ja) 車両用投光制御装置、車両用投光システム、及び車両用投光制御方法
WO2019159765A1 (ja) 車両検出装置および車両用灯具システム
JP3829460B2 (ja) 自動車用ヘッドライトの配光制御装置
CN117774813A (zh) 车辆用前照灯的控制装置、控制方法及程序
CN114829198A (zh) 用于控制机动车辆照明***的方法
JP4798182B2 (ja) 眩惑検出装置、眩惑検出プログラム、および前照灯制御装置
JP3627494B2 (ja) 自動車用ヘッドライトの配光制御装置
WO2019176418A1 (ja) 車両用ランプ、車両検出方法及び車両検出装置
JP3690099B2 (ja) 自動車用ヘッドライトの配光制御装置
JP2018127135A (ja) 車両用照明の制御方法及び車両用照明の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040217

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040419

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041214

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060620

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060703

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100721

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110721

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120721

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120721

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130721

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130721

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140721

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees