JP3829216B2 - 凹版画線形成体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、手描き又は彫刻によって作製された極めて細密なアナログ線画画像を2次元の電子データ化し、輪郭追跡や収縮処理などの画像処理を経てNC工作機械用のデータを生成し、金属、プラスティック等の基材上に数十ミクロンオーダーの高精度な凹版画線形成体を彫刻する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、金属、プラスチック等の基材上に、数十ミクロンオーダーの極めて細密な凹版画線を形成する方法として、特別な技能を持った者が、特殊な彫刻刀を用いて基材上に直接手彫りで彫刻する方法、また、基材の表面にレジストを塗布して針状のもので直接引き掻いて基材の表面を露出させエッチング処理を行って細密な溝を形成する方法等がある。また光学的な処理を伴うものとしては、ペンで拡大して描画された画像を光学的に縮小し、フィルム撮影し、このフィルムをレジストが塗布された基材上に密着させ露光、現像し、その後エッチング処理して細密な溝を形成する方法が知られている。
【0003】
しかし、前記直接手彫りをする方法では非常に熟練を要する特殊技能であるため誰もが容易に行うことは困難である。また一度完成された凹版画線に対するスケーリングは不可能であるほか、画線の切り取り、抜き取りすら基本的には不可能であり、したがってひとつの彫刻作品をさまざまな実製品へ流用することは困難である。また、人による彫刻作業のため、被彫刻物である基材の材質に対する制限もある。
【0004】
また、前記エッチング処理による方法は、比較的容易に凹状の溝を形成させることができるが、エッチング条件の割り出しや維持を必要とし、またサイドエッジと呼ばれる現象により溝の幅が必要以上に広がってしまうという問題があり、また、廃水処理設備を必要とするなどの欠点もある。
【0005】
更に、前記いずれの方法を用いても、基材上に形成される線画模様の、すべての画線深度を数値で直接設定することが困難であり、所望の深度を確実に得ることができない。また、手工法的であるため、近年コンピュータに準拠したデザイン製版体制にそぐったものではなく生産性が低い。
【0006】
また、工作機械やそれに類似するモデリングマシンで彫刻する方法として、特開平1−274948号公報(文字の彫刻方法および彫刻装置ならびに文字データの作成装置)や、特開平2−48149号公報(彫刻方法)に開示されている技術は、主として***、表札、ネームプレート及び石材等に文字、図形及び記号を彫刻するための技術であり、画線の幅が比較的大きく深度の大きい形状を対象としている。また、いずれの技術も回転カッターを使用しているため、カッターの回転数をあげて、彫刻スピードを低くしても、微視的には彫刻される画線の輪郭は波をうった形状になってしまい、数十ミクロンオーダーの極めて細密で、なめらかな輪郭形状を備えた凹版印刷用の線画画像を形成することは不可能である。また、マウスなどの座標入力機を用いて、楷書体や草書体等の各書体別におけるすべての文字を、人かいで入力するのは多大な労力を要する。同様に、数百本の画線からなるような細密な版画などの線画画像が依頼原稿として与えられた場合、その都度、人かいで座標入力を行うのは多大な作業時間を要してしまい実用的でない。
【0007】
また、前記従来の問題点を解決するために、本出願人は先に特開平10−58282号公報において、コンピュータ内に描かれた2次元の線画模様に対し、そのZ座標値を、同平面上の濃淡で表現されたビットマップ画像の画素値から変換する方法を提案している。該方法は、前記特開平1−274948号公報と比較して、回転カッターを用いる方法ではないため、なめらかな輪郭を持った高品位な画線を彫刻することができる。しかし、画線の深度を決定するための濃淡画像で表現されたビットマップ画像の画素値と、該画素値から彫刻データのZ値を算出するための変換式及び彫刻後に得られた画線の幅、の三者の相関関係を画線製作者はデザイン工程においてつかみにくい。そのため、極めて高い意匠性及び設計精度を有する貴重品印刷物における凹版画線の彫刻を試みた場合において、画線幅が連続的に変化するときの調子の予想、各画線の重なり具合及び各画線の連結の具合等の位置関係を予想するのが困難なので、画線製作者(デザイナー)の意思する通りの、完全無比な階調性、テクスチャーを得られないことが考えられる。また、特殊な彫刻刀で、長い間数十ミクロンオーダーの感性表現を行っていた者にとっては、CRTディスプレイとマウスという間接的なインターフェースでは、デザイン感覚の表現性に乏しいという面もある。また、後述する「肉止め」用の彫刻データを別途作成する手間が必要であるという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術の問題点を解決するために、本発明は、特殊技能者によって基材上に作製された線画原画像を高解像度スキャナーを用いて正確に入力しデジタルデータとした後、輪郭追跡等の画像処理をへて、ベクトル型の輪郭データとし、該輪郭データに対し、スケーリングや画線の編集加工を経て、最終的な線画画像とし、該線画画像に対し収縮処理を行うことでカッターパス(工具経路)を生成し、所望する深さ値や機械制御用のコードを付加するテキスト処理を行い、4軸制御のNC工作機用の彫刻データを作成し、正確な深さ値と所望する画線の断面形状及び肉止め形状を有した、高品位な凹版画線を、線画原画像に対し忠実に再現し、彫刻を実現するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、紙等の基材上に描かれた線幅が変化した線画模様を、画像入力機器を用いて画像入力しビットマップ型のデジタルデータとした後、該ビットマップデータに対し、輪郭追跡の処理を行いベクトルデータ型の線画データとし、該線画データに対し、付与する深さ値を考慮した特定の距離間隔による収縮処理を複数回行うことによって、NC工作機用のカッターパスを作製し、前記作製した各々のカッターパスに、所望する深さ値、法線方向情報及び機械制御用のコードを付加し4軸制御のNC工作機用の彫刻データを作製し、該データに基づき金属等の基材上に彫刻された、線幅が変化した線画模様形成体である。
【0010】
紙等の基材上に描かれた線幅が変化した線画模様を、画像入力機器を用いて画像入力しビットマップ型のデジタルデータとした後、該ビットマップデータに対し、輪郭追跡の処理を行いベクトルデータ型の線画データとし、該線画データに対し、付与する深さ値を考慮した特定の距離間隔による収縮処理を複数回行うことによって、NC工作機用のカッターパスを作製し、前記作製した各々のカッターパスに、所望する深さ値、法線方向情報及び機械制御用のコードを付加し4軸制御のNC工作機用の彫刻データを作製し、該データに基づき金属等の基材上に、線幅が変化した線画模様形成体を彫刻する方法。
【0011】
金属等の基材上に精密に手彫り彫刻された凹版画線または紙等の基材上に手描きされた凹版用の自由曲線を、画像入力機器を用いて画像入力しビットマップ型のデジタルデータとした後、該ビットマップデータに対し、輪郭追跡の処理を行いベクトルデータ型の線画データとし、該線画データに対し、付与する深さ値を考慮した特定の距離間隔による収縮処理を複数回行うことによって、NC工作機用のカッターパスを作製し、前記作製した各々のカッターパスに、所望する深さ値、法線方向情報及び機械制御用のコードを付加し4軸制御のNC工作機用の彫刻データを作製し、該データに基づき金属等の基材上に彫刻された凹版画線形成体である。
【0012】
金属等の基材上に精密に手彫り彫刻された凹版画線または紙等の基材上に手描きされた凹版用の自由曲線を、画像入力機器を用いて画像入力しビットマップ型のデジタルデータとした後、該ビットマップデータに対し、輪郭追跡の処理を行いベクトルデータ型の線画データとし、該線画データに対し、付与する深さ値を考慮した特定の距離間隔による収縮処理を複数回行うことによって、NC工作機用のカッターパスを作製し、前記作製した各々のカッターパスに、所望する深さ値、法線方向情報及び機械制御用のコードを付加し4軸制御のNC工作機用の彫刻データを作製し、該データに基づき金属等の基材上に凹版画線形成体を彫刻する方法である。
【0013】
金属等の基材上に精密に手彫り彫刻された凹版画線または紙等の基材上に手描きされた凹版用の自由曲線を、画像入力機器を用いて画像入力しビットマップ型のデジタルデータとした後、該ビットマップデータに対し、輪郭追跡の処理を行いベクトルデータ型の線画データとし、該線画データに対し、付与する深さ値を考慮した特定の距離間隔による収縮処理を複数回行うことによって、NC工作機用のカッターパスを作製し、前記作製した各々のカッターパスに、収縮の段階が増すにつれて、等差的に増加するような深さ値、法線方向情報及び機械制御用のコードを付加し4軸制御のNC工作機用の彫刻データを作製し、該データに基づき金属等の基材上に、画線幅が広い部分は深さ値が大きく、画線幅が狭い部分は深さ値が小さく彫刻された凹版画線形成体である。
【0014】
金属等の基材上に精密に手彫り彫刻された凹版画線または紙等の基材上に手描きされた凹版用の自由曲線を、画像入力機器を用いて画像入力しビットマップ型のデジタルデータとした後、該ビットマップデータに対し、輪郭追跡の処理を行いベクトルデータ型の線画データとし、該線画データに対し、付与する深さ値を考慮した特定の距離間隔による収縮処理を複数回行うことによって、NC工作機用のカッターパスを作製し、前記作製した各々のカッターパスに、収縮の段階が増すにつれて、等差的に増加するような深さ値、法線方向情報及び機械制御用のコードを付加し4軸制御のNC工作機用の彫刻データを作製し、該データに基づき金属等の基材上に、画線幅が広い部分は深さ値が大きく、画線幅が狭い部分は深さ値が小さい凹版画線形成体を彫刻する方法である。
【0015】
金属等の基材上に精密に手彫り彫刻された凹版画線または紙等の基材上に手描きされた凹版用の自由曲線を、画像入力機器を用いて画像入力しビットマップ型のデジタルデータとした後、該ビットマップデータに対し、輪郭追跡の処理を行いベクトルデータ型の線画データとし、該線画データに対し、付与する深さ値を考慮した特定の距離間隔による収縮処理を複数回行うことによって、NC工作機用のカッターパスを作製し、前記作製した各々のカッターパスによって発生する削り代のオーバーラップの領域が消失しない範囲内の任意の深さ値、法線方向情報及び機械制御用のコードを付加し4軸制御のNC工作機用の彫刻データを作製し、該データに基づき金属等の基材上に、肉止めを有し、断面形状の異なるように彫刻された凹版画線形成体である。
【0016】
金属等の基材上に精密に手彫り彫刻された凹版画線または紙等の基材上に手描きされた凹版用の自由曲線を、画像入力機器を用いて画像入力しビットマップ型のデジタルデータとした後、該ビットマップデータに対し、輪郭追跡の処理を行いベクトルデータ型の線画データとし、該線画データに対し、付与する深さ値を考慮した特定の距離間隔による収縮処理を複数回行うことによって、NC工作機用のカッターパスを作製し、前記作製した各々のカッターパスによって発生する削り代のオーバーラップの領域が消失しない範囲内の任意の深さ値、法線方向情報及び機械制御用のコードを付加し4軸制御のNC工作機用の彫刻データを作製し、該データに基づき金属等の基材上に、肉止めを有し、断面形状の異なる凹版画線形成体を彫刻する方法である。
【0017】
前記ビットマップデータに対し、必要に応じてノイズ除去を行いベクトルデータ型の線画データとし、また、前記線画データに対し、必要に応じてスケーリングや編集をすることにより彫刻された線画模様形成体である。
【0018】
前記ビットマップデータに対し、必要に応じてノイズ除去を行いベクトルデータ型の線画データとし、また、前記線画データに対し、必要に応じてスケーリングや編集をすることにより線画模様形成体を彫刻する方法である。
【0019】
前記ビットマップデータに対し、必要に応じてノイズ除去を行いベクトルデータ型の線画データとし、また、前記線画データに対し、必要に応じてスケーリングや編集をすることにより彫刻された凹版画線形成体である。
【0020】
前記ビットマップデータに対し、必要に応じてノイズ除去を行いベクトルデータ型の線画データとし、また、前記線画データに対し、必要に応じてスケーリングや編集をすることにより凹版画線形成体を彫刻する方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態として、特殊な彫刻刀で彫刻された凹版版面を原画に用いて説明する。まず、市販されている感圧フィルムを使用して細密な凹凸が彫刻された凹版版面から2次元の画線情報を抽出し完全に2値化されたフィルムを得て、これを線画原稿とし、汎用の高解像度フラットベッドスキャナーで入力し、必要に応じてノイズを画素単位で除去し、図2に示される白黒2値のビットマップ画像とする。
【0022】
次に、前記、図2のビットマップ画像にたいし輪郭追跡を行い、一般の線画編集ソフトで取り扱えるようにするために、線画画像の輪郭をアウトラインデータ化する。必要に応じてスケーリングや、画線の編集を行い、最終的にベクトルデータとして、図3に示す線画画像の輪郭(V0)を得る。
【0023】
次にカッターパスを生成する目的により、線画画像の輪郭(V0)で表現された線画画像に対し、収縮処理を施し、(V1)を生成する。次に、この(V1)に対し再度収縮処理を施し、(V2)を生成する。という手順で、線画画像の輪郭内部が過不足なく彫刻可能なカッターパスが生成されるまで、順次収縮処理を繰り返し行い、図4に示すカッターパス(V1)、(V2)、(V3)を得る。
【0024】
次にX−Yの座標値で記述されたベクトル型のデータ(V1)、(V2)、(V3)において、その画線開始情報に対応してマイナスの深さ値、必要に応じて法線方向値、そして機械制御用として切削開始指令や切削スピードの値等の機械制御用コードを付与するテキスト処理をし、同様に画線終了情報に対応してプラスの深さ値、機械制御用として早送り(空送り)等の機械制御用コードを付与するテキスト処理をし、4軸制御のNC工作機械用データとする。
【0025】
上記工作機械用データをもとに、4軸制御のNC工作機を用いて、正確な深さ値と所望する画線の断面形状及び肉止め形状を有した、高品位な凹版画線を、線画原画像に対し忠実に再現し、彫刻された基材及びその彫刻方法である。
【0026】
【実施例】
本発明を実施例に基づいて以下に詳細に説明する。本発明に適用することができる原画(原稿)としては、金属等に特殊な彫刻刀で、人が彫刻した凹版版面、紙上にインキで描かれた自由曲線、線画フィルム及び線画が印刷された印刷物等が考えられるが、いずれの場合も中間色を持たない白黒の2値画像であることが必要である。本実施例においては、特殊な彫刻刀で彫刻された凹版版面を用いて説明する。
【0027】
まず、一般に市販されている感圧フィルムを使用して細密な凹凸が彫刻された凹版版面から2次元の画線情報を抽出する。次に、加圧状態のムラや現像ムラなどに起因する、画像のかすれや引っ掻きノイズを除去する目的で、得られた感圧フィルムからリス型フィルムに密着露光させ、完全に2値化されたフィルムを得て、これを線画原稿とする。
【0028】
図1は、汎用の高解像度フラットベッドスキャナーで前記リス型フィルムを線画原稿として入力し、白黒2値のビットマップ画像としたときの模式図である。この時の入力解像度は、目的となる最終印刷物の品質を考慮して決定されるべきであり、本実施例では2500dpiとした。
【0029】
次に、これまでの工程で除去しきれなかった微小なノイズ、または新たに発生したノイズを画素単位で除去する。例えば、図2は、図1において計4画素以下で連結された画素をノイズとみなして消去を行ったビットマップ画像の模式図である。
【0030】
次に、図2のビットマップ画像にたいし輪郭追跡を行い、一般の線画編集ソフトで取り扱えるようにするために、線画画像の輪郭をアウトラインデータ化する。必要に応じてスケーリングや、画線の編集を行い、最終的にベクトルデータとして得られた線画画像の輪郭(V0)を図3に示す。
【0031】
次にカッターパスを生成する目的により、前記線画画像の輪郭V0で表現された線画画像に対し、距離10ミクロンの収縮処理を施し、(V1)を生成する。次に、この(V1)に対し再度10ミクロンの収縮処理を施し、(V2)を生成する。という手順で、線画画像の輪郭内部が過不足なく彫刻可能なカッターパスが生成されるまで、収縮処理を順次繰り返し行う。本実施例においては、図4に示すように、延べ3回の収縮処理によって生成されたカッターパス(V1)、(V2)、(V3)によって、目的とする線画画像の輪郭V0の内部が過不足なく彫刻できることがわかる。一般的には、任意の線画画像に対して、この収縮処理が終了するまで、言い換えれば、カッターパスで発生する削り代によって線画画像内部がすべて埋め尽くされるまで行う。なお、図4の中で散在する、(V1)、(V2)、(V3)で記述された段階の異なるカッターパスを、後述する深さ値付与のテキスト処理の作業性を考慮し、同一の段階ごとに取り出して三つのファイルに分けて整理したほうが好ましい。
【0032】
なお、本実施例では収縮処理の距離を10ミクロンに設定したが、詳しくは彫刻用バイトの先端形状と、彫刻後の要求される画線精度を考慮して設定される。本発明の、法線方向制御による彫刻法においては、凹版画線が彫刻される状態を真上から見た図5において(a)で示される彫刻画線の法線方向にたいし平行となる彫刻バイトの切削面[図5において(b)で示される]の形状が、そのまま基材のカッターパス上に同一形状の削り代となって出現する。従って、カッターパス(V1)を生成する段階の収縮の距離の入力時には、彫刻バイトの刃先角度〔図6において(e)で示される角度〕及びカッターパス(V1)に付与する予定の深さ値をあらかじめ把握している必要がある。ここで、彫刻バイトの切削面が2等辺三角形の場合、刃先角度を(ang)、深さ値を(D)とすると、基材表面上に出現する切削幅(W)は次式(1)により導かれる。
W=2・D・tan(ang/2) ・・・・・(1)
本実施例で使用した彫刻バイトの刃先角度は90度で、カッターパス(V1)に付与する深さ値は10ミクロンとしたので、カッターパス(V1)によって基材表面上に出現する切削幅は、式(1)より20ミクロンとなる。従って、(V1)による削り代が、線画画像の輪郭(V0)から外側へはみ出さないように、前記20ミクロンの2分の1の値の10ミクロンを(V1)生成のための収縮の距離とした。
【0033】
ここで、線画画像の最外周のカッターパス(V1)に付与する深さ値または深さ値によって一義的に決定される収縮の距離は、彫刻後の画線精度に影響を与える。具体的には、線画画線の先端部や、曲率が大きく変化した部分が、丸みを帯びて鋭利さを欠いてしまったり、微小な線画画像のカッターパスを生成することができない。(V1)生成時の収縮の値を変化させて、カッターパスを生成し彫刻実験を行い、得られた彫刻画線の(V0)の再現性の品質を、3種類の観測条件に基づいて3段階に主観評価した。
【0034】
図7は、評価結果を示したものである。その結果、高品位な設計が要求される凹版画線の彫刻には、(V1)生成時の収縮の距離がおおむね10ミクロン以内であることが必要であることが確認された。なお、本発明においてカッターパス(V2)、(V3)の生成時の収縮の距離の設定は、(V2)、(V3)が線画画像の輪郭ではないため、彫刻画線の品質には直接影響を与えることはないが、付与する予定の深さ値によって、前記式(1)から算出される線幅Wを常に考慮しながら、彫刻画線の断面図の模式図である図8の(f)の領域で示されるオーバーラップ分の確保が必要である。図8において(h)、(i)、(j)で示される三角形はカッターパス(V1)、(V2)、(V3)によって発生する削り代を示す。カッターパス(V2)、(V3)の生成時の収縮の距離が大きすぎると、図8において削り代(h)、(i)、(j)のオーバーラップ分(f)が消失してしまい、その結果、凹版基材(g)の表面上に削り残しが発生してまうので注意が必要である。
【0035】
次にX−Yの座標値で記述されたベクトルデータ(V1)、(V2)、(V3)において、その画線開始情報に対応してマイナスの深さ値、必要に応じて法線方向値、そして機械制御用として切削開始命令や切削スピードの値等の機械制御用コードを付与するテキスト処理をし、同様に画線終了情報に対応してプラスの深さ値、機械制御用として早送り(空送り)等の機械制御用コードを付与するテキスト処理をし、4軸制御のNC工作機械用データとする。なお、本実施例においては、(V1)、(V2)、(V3)に深さ値としてそれぞれ−10ミクロン、−20ミクロン、−30ミクロンを付与した。
【0036】
図9は、カッターパス(V1)、(V2)、(V3)によって彫刻される画線の断面図を示したものである。図9の中で点線で示される2等辺三角形は、(V1)〜(V5)の切断面であり、即ちバイトの切削面をあらわしている。(V1)から(V3)にいくにしたがって深さ値を大きくしたのは、本実施例で作製する彫刻画線を、特殊技能者による手彫りの彫刻画線の断面形状に相似させるためである。なお、本実施例における深さ値の付与例によれば、(V0)で表現される画線幅が狭い部分には(V1)が生成される段階で収縮処理が終了し、また、画線幅が広い部分には(V3)が生成される結果、画線幅が狭い画線では深さ値を小さく、画線幅が広い部分には深さ値を大きく、自動的に設定することができる。
【0037】
また、同じく図9の(k)で示される、各々の線画画像における最終の収縮段階によって生成されたカッターパスによって形作られた、凸状部分は「肉止め」として機能する。ここで肉止めとは、凹版印刷において、版面へのインキング(着肉)の次工程にワイピング(拭き取り)と呼ばれる、非画線部の不要なインキの拭き取り工程のことである。この工程時において、画線幅が大きいところでは、ワイピングローラーと呼ばれる拭き取り体によって、画像部である凹版画線部内部のインキまで拭き取ってしまう。この現象を防ぐ目的で、肉止めは、インキ拭き取り体によって画線内部のインキの転移を防ぐ壁として機能する。
【0038】
また、ここでカッターパス(V1)、(V2)、(V3)によって発生する削り代のオーバーラップの領域、即ち、図8の(f)が消失しない範囲内で、(V2)、(V3)の深さ値を任意に決定してもよい。例えば(V2)と(V3)に、共に深さ値−15ミクロンを設定するならば、図10に示すように、図9に比較してより多くの肉止めを有して、台形に近い断面形状をもった彫刻画線を設計することができる。また同様に、(V2)に深さ値として−20ミクロン、(V3)に深さ値として−15ミクロンを設定するならば、中央が凹んだような断面形状の凹版画線を彫刻することができる。なお、深度の設定方法は多様であり、本実施例において説明されたものに限定されない。
【0039】
【発明の効果】
以上詳細に述べたように、本発明は、線画画像の輪郭データがそのまま原稿データとして入力されるため、コンピュータマウスなどのデジタル入力方法では表現が困難で効率も悪い、極めて精密な画線同士の配置や微妙な階調表現を行うための線幅の変化量を正確に、かつ、瞬時に原稿データとして入力することが可能である。また、特殊な彫刻刀により、金属等の基材上に彫刻された凹版画線や、任意のサイズで紙上にインキで描かれた自由曲線に対しても、原稿画像として入力が可能なため、デジタル入力機器の操作の取り扱いに不慣れな者にとってのデータ入力手段としても有効であり、特殊技能者によって過去において作成され、いったんは実製品への利用が不可能であった手彫りによる凹版版面が、本手法に基づく方法によって再利用が可能になる。
【0040】
また、本発明の手法による収縮処理を利用したカッターパスの生成法によれば、入力された線画原稿の輪郭データに基づいて、法線方向制御による切削が行なわれるために原稿に極めて忠実な凹版版面の作製が可能である。また、線画原稿において、画線幅が大きい画線には収縮処理によって生成されるカッターパスは画線幅が小さい画線に比較して多数生成されるため、収縮処理の段階が増すに従い、単に等差的に増加する深さ値を与える手順だけで、幅が大きい画線は深く、幅が小さい画線は浅く、特殊技能者の直刻画線に相似した彫刻が可能なデータを作成することができる。また、生成されたカッターパスに付与する深さ値を既成概念によらず、最外周から内側へのカッターパスにいくにしたがって小さくしたり、あるいは収縮の段階によらず、深さ値を全て一定にしたりすることが可能であるので、同一の彫刻バイトだけで、断面形状の異なる凹版画線を設計し彫刻できるので、凹版画線の縦横比(幅と高さの比)の印刷適性への影響、あるいは偽造防止の要素技術として有効である。
【0041】
また、本発明の手法によれば、各々の線画画像における最終の収縮段階によって生成されたカッターパス、あるいは、隣接するカッターパス同士のオーバーラップ分を確保しつつ、隣接するカッターパスの間隔を少し広めに設定することによって、インキ転移の壁として機能する肉止めを容易に具備させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】線画原稿を、白黒2値のビットマップ画像で現した模式図を示す。
【図2】図1において計4画素以下で連結された画素をノイズとみなして消去を行ったビットマップ画像の模式図を示す。
【図3】ベクトルデータとして得られた線画画像の輪郭(V0)を示す。
【図4】収縮処理によって生成されたカッターパスを示す。
【図5】彫刻画線の法線方向にたいし平行となる彫刻バイトの切削面の向きを示す。
【図6】彫刻バイトの刃先角度を示す。
【図7】(V1)生成時の収縮の値を変化させてカッターパスを生成し、彫刻実験を行い、(V1)の深度と画線先端部及び微小線分の再現性の評価結果を示す。
【図8】凹版版面における彫刻画線の断面図の模式図を示す。
【図9】(V1)、(V2)、(V3)に、それぞれ深さ値−10ミクロン、−20ミクロン、−30ミクロンを設定したときに彫刻される画線の断面図を10ミクロン格子の方眼図に示す。
【図10】(V1)に深さ値−10ミクロン、カッターパス(V2)、(V3)に深さ値−15ミクロンを設定したときに彫刻される画線の断面図を5ミクロン格子の方眼図にしめす。
【符号の説明】
V0 線画画像の輪郭
V1〜V3 カッターパス
a 画線の法線方向
b 彫刻バイトの切削面
c 彫刻バイト
d カッターパス
e 刃先角度
f オーバーラップ分
g 基材
h〜j 彫刻バイトによる削り代
k 肉止め

Claims (1)

  1. 金属等の基材上に機械彫刻された線幅が変化した凹版画線形成体であって、前記凹版画線形成体の画線底部において、
    彫刻バイトにより形成された凸状の肉止め形状を有することを特徴とする凹版画線形成体。
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