JP3824677B2 - 光磁気記録媒体 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光磁気記録媒体に係り、特に、多値記録が可能な光磁気記録媒体における磁性層の積層構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
光磁気記録媒体の分野においては、記録密度の高密度化が最も重要な技術的課題の1つになっている。従来より、光磁気記録媒体の高密度化手段としては、例えば第13回日本応用磁気学会学術講演概要集(1989年発行)の第63頁や、Japanese Journal of Applied Physics,Vol.28(1989)Supplement 28-3 pp.343-347に記載されているように、信号を多値記録する方式が提案されている。公知例の多値記録方式は、互いに保磁力が異なる複数の磁性層を積層し、磁性層に印加する磁界強度を多段階に変調することによって、特定の磁性層の磁化を選択的に磁化反転させるというものである。これらの方式によれば、互いに保磁力が異なる3層の磁性層を設けることによって、信号の4値記録が可能になるとされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、公知例に係る多値記録方式によると、信号の記録時に光磁気記録媒体にレーザビームを照射して各磁性層をキュリー温度の近傍まで昇温したときに、各磁性層の保磁力の差がほとんどなくなるため、各磁性層を選択的に磁化反転させることが事実上困難である。仮に、各磁性層の磁気特性を厳密に調整すると共に、記録時のレーザ強度及び外部磁界強度を厳密に制御することによって、各磁性層を選択的に磁化反転させることが実験室レベルで可能になったとしても、そのような光磁気記録媒体及び記録再生装置を量産することはコストの点から不可能である。また、記録時のレーザ強度及び外部磁界強度の変動に対するマージンが極めて小さくなるために、安定な記録再生状態を長期間維持することが不可能であり、到底実用性がない。なお、各磁性層をキュリー温度の近傍まで昇温せず、各磁性層の保磁力の差が充分に大きい状態で信号の記録を行うようにすれば、かかる不都合を生じないが、その反面、信号の記録消去に大磁界が必要になるため、磁気ヘッド等の磁界発生装置が大型化して記録再生装置が大型化し、かつ消費電力も増加するといった別の重大な不都合を生じるので、やはり実用化が事実上不可能である。
【0004】
以下、図94に基づいて、従来技術の不都合をより詳細に説明する。なお、ここでは、説明を容易にするために、図94(b)に符号A,Bで示される保磁力の温度特性を有する2層の磁性膜(磁性層)が基板上に積層された光磁気記録媒体を例にとって説明する。
【0005】
▲1▼記録用レーザビームの照射部は、各磁性層のキュリー温度以上あるいはその付近まで昇温されるため、図94(b)に示すように、各磁性層の保磁力が室温において大きく異なっても昇温部ではその差が著しく小さくなる。よって、各磁性層を選択的に磁化反転させることが事実上困難である。
【0006】
▲2▼記録用レーザビームの照射部は、図94(a)に示すように、その微小な領域内に、室温からキュリー温度以上にまで達する急俊な温度分布がある。したがって、それに伴う当該領域内の各磁性層における保磁力の分布も、図94(c)に示すように急俊となり、印加磁界をどの大きさに設定しても記録ドメインの大きさがわずかに変化するに過ぎず、2つの磁性層を印加磁界の大きさにより分離して記録することができない。
【0007】
▲3▼各磁性層A,Bから読みだされる信号の搬送波対雑音比は、記録時の外部磁界強度に対して、図94(d)に示すようになる。すなわち、磁性層Aから読みだされる信号の搬送波対雑音比と磁性層Bから読みだされる信号の搬送波対雑音比とは、記録時の外部磁界強度に関して、未記録領域と記録領域の遷移領域とがほとんど重複しており、それぞれの磁化の違いによる記録部への漏洩磁界の差によりわずかにずれるに過ぎない。したがって、これらの各磁性層A,Bを積層してなる光磁気記録媒体においては、読出し信号の搬送波対雑音比が図94(e)に示すように安定な記録状態が1つしかなく、外部磁界の切り換えによる記録信号の多値化は不可能である。
【0008】
▲4▼また、従来技術では、信号のダイレクトオーバーライトができないという不都合がある。
すなわち、例えば図94(b)に示したAの保磁力−温度特性を有する磁性層(A層)及びBの保磁力−温度特性を有する磁性層(B層)を2層に積層してなる光磁気記録媒体においては、図94(b)に示すH1 の大きさの外部磁界を印加した場合、図95(b)に示すようにB層のみが磁化反転し、図94(b)に示すH2 の大きさの外部磁界を印加した場合には、図95(c)に示すようにA層及びB層の両者が共に磁化反転する。したがって、図95(c)の状態の上に図95(b)の状態を記録しようとする場合には、一度消去方向にH2 の磁界を印加して初期状態{図95(a)}に戻した後、H1 の磁界を記録方向に印加して記録をやり直さない限り図95(b)の状態にできず、信号のダイレクトオーバーライトが不可能である。
【0009】
▲5▼さらに、この光磁気記録媒体に例えば磁界変調方式によって信号を記録する場合、より大きな外部磁界を印加して保磁力がより大きな磁性膜に対する信号の記録を行う際、外部磁界が所定の値に達するまでの遷移過程で必ず保磁力がより小さな磁性膜に対する記録磁界の値を通過するため、より大きな外部磁界による記録部分の周辺により小さな外部磁界による記録部分が必ず形成される。このため、高S/Nの再生信号が得られないばかりか、信号の記録を高密度に行うと、より大きな外部磁界による記録部分であるのか、本来のより小さな外部磁界による記録部分であるかの判別が困難になり、記録密度を高めることもできないという問題もある。かかる不都合は、光変調方式によって信号を記録する場合にも同様に起る。
【0010】
本発明は、かかる従来技術の不備を解決するためになされたものであって、その目的は、多値記録における各値に対応する記録状態が外部磁界に対して安定に存在でき、多値記録のダイレクトオーバーライトが可能であり、小さな外部磁界と小出力のレーザで信号の記録及び消去を行うことができ、しかも高S/Nかつ高記録密度の信号記録を実現できる光磁気記録媒体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、光磁気記録媒体について、直接あるいは非磁性層を介して積層された複数の磁性層を有し、それら複数の磁性層のうち、少なくとも1の磁性層は、希土類と遷移金属とを主成分とする非晶質合金であって希土類原子の副格子磁気モーメントが遷移金属原子の副格子磁気モーメントよりも室温からキュリー温度にかけて優勢なフェリ磁性体からなる垂直磁化膜と、この垂直磁化膜と交換結合により磁気的に結合されたPtCo合金からなる補助磁性膜とから構成されていて、外部磁界を印加したとき、2つの異なる磁界強度の範囲に光変調記録信号の搬送波の変化のピークをもち、他の磁性層は、補助磁性膜を有さず、垂直磁化膜単体で構成されていて、外部磁界を印加したとき、前記1の磁性層とは異なる1つの磁界強度の範囲に光変調記録信号の搬送波の変化のピークをもち、4段階の磁界強度が異なる外部磁界を印加することにより全体として4値の信号をダイレクトオーバーライトできるという構成にした。
【0012】
具体的には、まず第1に、補助磁性膜を有し、印加される外部磁界に対して2つの異なる磁界強度の範囲に安定な磁化状態が存在する第1の磁性層と、補助磁性膜を有さず、該第1の磁性層とは異なる磁界強度の範囲に1つの安定な磁化状態が存在する第2の磁性層とを有し、外部磁界の大きさを4段階に切り換えることによって信号の4値記録が可能であるという構成にした。
【0013】
第2に、補助磁性膜を有し、印加される外部磁界に対して2つの異なる磁界強度の範囲に安定な磁化状態が存在する第1の磁性層と、補助磁性膜を有し、該第1の磁性層とは異なる磁界強度の範囲に2つの安定な磁化状態が存在する第2の磁性層とを有し、外部磁界の大きさを4段階に切り換えることによって信号の4値記録が可能であるという構成にした。
【0014】
第3に、光磁気記録媒体を構成する各磁性層のうち、少なくとも1以上の磁性層の再生用レーザ光入射側に、再生用レーザ光が照射されたとき、当該磁性層に当該再生用レーザ光のスポット径よりも小さな開孔部を熱−磁気的に形成するための開孔部形成層を設けるという構成にした。
【0015】
第4に、光磁気記録媒体を構成する各磁性層のうち、少なくとも1以上の磁性層の再生用レーザ光入射側に、再生用レーザ光が照射されたとき、当該磁性層に当該再生用レーザ光のスポット径よりも小さな開孔部を熱−磁気的に形成するための開孔部形成層及び切断層を設けるという構成にした。
【0016】
前記第1〜第4の光磁気記録媒体における各磁性層のうち、少なくとも1以上の磁性層については、垂直磁化膜と、この垂直磁化膜と磁気的に結合された補助磁性膜とから構成することができる。垂直磁化膜としては、公知に属する全ての垂直磁化膜を用いることができるが、磁気光学効果が大きいことから、特に希土類と遷移金属との非晶質合金が好適である。補助磁性膜としては、少なくとも室温にて面内磁化膜となる磁性材料からなるものを用いることができる。この場合には、当該補助磁性膜及び前記垂直磁化膜からなる磁性層に、印加される外部磁界に対して2つの異なる磁界強度の範囲に安定な磁化状態を存在させることができる。なお、補助磁性膜としては、膜厚が1〜30Å程度の磁性薄膜が好ましい。
【0017】
光磁気記録媒体のプリフォーマットに関しては、データ記録領域を複数のデータ記録単位に分割し、各データ記録単位の先頭部分に、当該データ記録単位に記録される多値記録信号に含まれる各信号のスライスレベルを設定するためのテスト領域及び/又は当該データ記録単位に記録される多値記録信号のエッジを検出するタイミングの基準となるタイミング信号を生成するためのテスト領域を設けるという構成にした。また、前記データ記録単位の先頭部分に、前記テスト領域と共に、又は前記テスト領域とは別個に、記録用又は再生用レーザビームのトラッキング制御を行うトラッキングピットと、多値記録信号の記録再生に供されるクロック信号を引き込むための埋め込みピットを設けるという構成にした。さらには、ユーザがアクセスして信号の記録、再生、消去等を行うユーザ領域以外の領域に最適な記録条件を検出するためのテスト領域を設けるという構成にした。
【0018】
印加される外部磁界に対して2つの異なる磁界強度の範囲に安定な磁化状態が存在する第1の磁性層と、該第1の磁性層とは異なる磁界強度の範囲に1つの安定な磁化状態が存在する第2の磁性層とを積層した光磁気記録媒体を用いると、各磁性層の各磁化状態に対応する4段階の異なる外部磁界を印加することによって、信号の4値記録が可能になる。また、印加される外部磁界に対して2つの異なる磁界強度の範囲に安定な磁化状態が存在する第1の磁性層と、該第1の磁性層とは異なる磁界強度の範囲に2つの安定な磁化状態が存在する第2の磁性層とを積層した光磁気記録媒体を用いた場合にも、各磁性層の各磁化状態に対応する4段階の異なる外部磁界を印加することによって、信号の4値記録が可能になる。
【0019】
すなわち、垂直磁化膜と所定の補助磁性膜とを積層してなる第1の磁性層は、本願発明者等が先に特願平3−210430号及び特願平4−153882号(特開平5−182264号公報参照)で明らかにしたように、補助磁性膜の作用によって垂直磁化膜中の遷移金属の副格子磁気モーメントが容易に交換結合磁界方向に反転するので、例えば図96に示すように、外部磁界に対する光変調記録信号の搬送波対雑音比が、2つのピーク(記録状態)をもつ。一方、補助磁性膜を有しない第2の磁性層は、補助磁性膜の作用を受けないので、例えば図97に示すように、外部磁界に対する光変調記録信号の搬送波対雑音比が、1つのピークをもつ。また、垂直磁化膜と所定の補助磁性膜とを積層してなる第1の磁性層は、補助磁性層の作用によって垂直磁化膜中の遷移金属の副格子磁気モーメントが容易に交換結合磁界方向に反転するので、磁性層全体の磁化の向きを外部磁界方向又はそれと反対の方向に向けることができる。一方、補助磁性層を有さず、前記第1の磁性層とは異なる磁界強度の範囲に1つの安定な磁化状態が存在する第2の磁性層は、昇温状態で外部磁界の向きに容易に磁性層全体の磁化の向きが反転する。なお、前記所定の補助磁性膜としては、上述のように少なくとも室温にて面内磁化膜となる磁性材料からなるものを用いることができるが、特に、キュリー温度が垂直磁化膜のキュリー温度と同じ磁性材料又はキュリー温度が垂直磁化膜のキュリー温度よりも低い磁性材料を用いることが好ましい。
【0020】
したがって、例えば図98(a)に示すように、室温からキュリー温度にかけて希土類原子の副格子磁気モーメントが遷移金属原子の副格子磁気モーメントよりも優勢なフェリ磁性体からなる第1磁性層Aと、室温からキュリー温度にかけて遷移金属原子の副格子磁気モーメントが希土類原子の副格子磁気モーメントよりも優勢なフェリ磁性体からなる第2磁性層Bとを積層し、下向きの外部磁界を記録方向の外部磁界、上向きの外部磁界を消去方向の外部磁界として信号の記録を行うと、
(i) 第1磁性層Aの全体の磁化の向きを消去方向に向けられる大きさの外部磁界H0 (図96に示す▲1▼領域の外部磁界)を消去方向に印加することによって、第1磁性層Aの遷移金属原子の副格子磁気モーメントを記録方向に、第2磁性層Bの遷移金属原子の副格子磁気モーメントを消去方向に向けることができる。
(ii)第1磁性層Aの全体の磁化の向きを記録方向に向けられる大きさの外部磁界H1 (図96に示す▲2▼領域の外部磁界)を消去方向に印加することによって、第1磁性層A及び第2磁性層Bの遷移金属原子の副格子磁気モーメントを共に消去方向に向けることができる。
(iii) 第1磁性層Aの全体の磁化の向きを消去方向に向けられる大きさの外部磁界H2 (図96に示す▲3▼領域の外部磁界)を記録方向に印加することによって、第1磁性層A及び第2磁性層Bの遷移金属原子の副格子磁気モーメントを共に記録方向に向けることができる。
(iv)第1磁性層Aの全体の磁化の向きを記録方向に向けられる大きさの外部磁界H3 (図96に示す▲4▼領域の外部磁界)を記録方向に印加することによって、第1磁性層Aの遷移金属原子の副格子磁気モーメントを消去方向に、第2磁性層Bの遷移金属原子の副格子磁気モーメントを記録方向に向けることができる。
【0021】
光磁気記録媒体より信号として検出されるカー回転角の変化の大きさは、第1磁性層A及び第2磁性層Bの各遷移金属原子の副格子磁気モーメントの合計に比例するから、H0 ,H1 ,H2 ,H3 の外部磁界が順次印加された記録トラックからは、図98(b)に示す相対信号出力が得られる。よって、例えば同図に示すように、外部磁界H1 による記録状態を“0”、外部磁界H0 による記録状態を“1”、外部磁界H3 による記録状態を“2”、外部磁界H2 による記録状態を“3”にそれぞれ位置付けることによって、信号の4値記録ができる。
【0022】
また、印加される外部磁界に対して2つの異なる磁界領域に記録状態が存在する第1の磁性層と、該第1の磁性層とは異なる磁界領域に2つの記録状態が存在する第2の磁性層とを積層した光磁気記録媒体を用いた場合も、これと同様の原理で信号の4値記録を行うことができる。例えば、図99(b)に1点鎖線で示される特性を有する第1磁性層と、同図に破線で示される特性を有する第2磁性層とを積層した場合、図99(a)に示すH0 ,H1 ,H2 ,H3 の各外部磁界を印加することによって、夫々図99(b)に示される4つの記録状態“0”、“1”、“2”、“3”を現出することができる。よって、例えばこれらの図に示すように、外部磁界H0 による記録状態を“0”、外部磁界H1 による記録状態を“1”、外部磁界H2 による記録状態を“2”、外部磁界H3 による記録状態を“3”にそれぞれ位置付けることによって、±100(Oe)程度の外部磁界で信号の4値記録ができる。なお、この場合、図100に示すように、外部磁界に直流バイアス磁界を印加して外部磁界の中心磁界を−50(Oe)程度マイナス側にシフトさせれば、±50(Oe)程度の小さな外部磁界での信号の3値記録も可能になる。
【0023】
かように、本発明の光磁気記録媒体は、2層の磁性層で信号の4値記録ができることから、2層の磁性層で信号の3値記録しかできない従来の光磁気記録媒体に比べて、より簡単な構成でより高密度の信号記録を実現できる。また、図96、図99、図100から明らかなように、各記録状態が外部磁界の変動に対してきわめて安定であり、各磁性層の磁気特性や記録再生時のレーザビーム強度それに外部磁界強度を微妙にマッチングさせる必要がないので、量産性及び信頼性に優れた光磁気記録再生システムを構築できる。
【0024】
なお、磁性層を2層以上の多層に積層すれば、磁性層の積層数に応じたより高次の多値記録が可能になる。また、光磁気記録媒体として、磁性層が3層以上に積層され、そのうちの少なくとも1の磁性層が、印加される外部磁界に対して2以上の異なる磁界領域に記録状態が存在する光磁気記録膜で構成されたものを用いれば、外部磁界強度を各磁性層の記録状態に対応させることによって、5値以上の多値記録が可能になる。
【0025】
以下、多値記録用の光磁気記録媒体に、当該光磁気記録媒体が有する安定な記録状態の磁界領域の数よりも多値の記録信号を記録する記録再生方式の作用を説明する。
【0026】
光磁気記録媒体に記録される多値信号は、適宜の方法によって、複数の信号列に分割することができる。例えば、(00312200120321331130230113203210)という4値記録信号は、先頭から2つずつ区切ることによって、(00)(31)(22)(00)(12)(03)(21) (33)(11)(30)(23)(01)(13)(20)(32)(10)という信号列に変換でき、さらに、各組の第1番目の信号と第2番目の信号とを別個に取りだすことによって、(0320102313201231)という第1の信号列と、(0120231310313020)という第2の信号列とに分割できる。
【0027】
4値記録用の光磁気記録媒体に対する前記第1の信号列の記録は、先に説明した方法で行うことができる。また、光磁気記録媒体に書き込まれた第1の信号列上への前記第2の信号列の重ね書きは、第1の書き込み信号列の磁化を反転可能な条件にレーザ強度及び/又は外部磁界強度を設定すれば可能である。さらに、第1の書き込み信号列上に第2の信号列を重ね書きする際に、第1の書き込み信号列の幅(磁化ドメインの幅)よりも第2の信号列の幅を小さくし、第1の書き込み信号列の一部を第2の信号列に書き換えることも、レーザスポットの大きさを調整することによって可能である。加えて、第1の書き込み信号列の先頭と第2の書き込み信号列の先頭とを同期させることも、従来技術を用いて容易にできる。したがって、同一のトラック上に複数回記録用レーザビームを操作することにより、分割された複数の信号列を、同一のトラック上に、夫々異なる幅で記録することができる。
【0028】
かように、同一のトラック上に、異なる幅で、第1の信号列及び第2の信号列をトラック方向に同期して重ね書きすると、第1及び第2の信号列の信号が共に“3”の領域と、第1の信号列の信号が“3”で第2の信号列の信号が“2”の領域と、第1の信号列の信号が“3”で第2の信号列の信号が“1”の領域と、第1の信号列の信号が“3”で第2の信号列の信号が“0”の領域と、第1の信号列の信号が“2”で第2の信号列の信号が“3”の領域と、第1の信号列の信号が“2”で第2の信号列の信号が“2”の領域と、第1の信号列の信号が“2”で第2の信号列の信号が“1”の領域と、第1の信号列の信号が“2”で第2の信号列の信号が“0”の領域と、第1の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“3”の領域と、第1の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“2”の領域と、第1の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“1”の領域と、第1の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“0”の領域と、第1の信号列の信号が“0”で第2の信号列の信号が“3”の領域と、第1の信号列の信号が“0”で第2の信号列の信号が“2”の領域と、第1の信号列の信号が“0”で第2の信号列の信号が“1”の領域と、第1及び第2の信号列の信号が共に“0”の領域とは、第1の書き込み信号列の幅と同じかそれよりも大径の再生用レーザスポットを照射したとき、夫々再生用レーザスポットが照射された領域の合計の磁化状態が異なるので、16値の記録信号を検出できる。また、記録信号を3つの信号列に分割し、同一のトラック上にこれら3つの信号列を重ね書きすれば、同様の原理によって、64値信号記録を行える。
【0029】
よって、本発明に係る多値記録用の光磁気記録媒体を用いて、より高度な信号の多値記録を実現でき、安価にして記録情報量が大きい光磁気記録媒体を提供できる。
【0030】
なお、4値記録信号は、例えば下記の方法で、2値記録信号より変換できる。すなわち、2値記録信号(0000110110100000011000111001111101011100101100010111100011100100)を先頭から2つずつ区切ることによって、(00)(00)(11)(01)(10)(10)(00)(00)(01)(10)(00)(11)(10)(01)(11)(11)(01)(01)(11)(00)(10)(11)(00)(01)(01)(11)(10)(00)(11)(10)(01)(00)という信号列に変換する。次いで、(00)の組に信号“0”を、(01)の組に信号“1”を、(10)の組に信号“2”を、(11)の組に信号“3”を夫々割り当てることによって、前出の(00312200120321331130230113203210)という4値記録信号を得ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に係る多値記録用光磁気記録媒体の代表的な例を、図3、図4 図6、図7、図8に基づいて説明する。
【0032】
図3、図4 図6、図7、図8に例示するように、本発明に係る多値記録用の光磁気記録媒体は、公知例の多値記録用光磁気記録媒体のように、互いに保磁力が異なる複数の磁性層を積層するのではなく、記録層(磁性層)に作用する温度と外部磁界とを変化させたとき、高温状態においては、印加される外部磁界の変化に応じて、少なくとも3以上の異なる磁界強度の範囲に合計の磁化が安定な磁化状態となり、かつ低温状態においては、外部磁界がゼロの状態で、高温時に印加された外部磁界の大きさに応じて少なくとも3以上の磁化状態が安定に存在するという磁化特性をもつ複数の磁性層又はこれらと非磁性層との組合せによって記録層を形成したことを特徴とするものである。換言すれば、これらの図から明らかなように、高温状態において、ヒステリシスループが3つ以上の領域に分離された形態を成す複数の磁性層又はこれらと非磁性層との組合せによって記録層を形成したということもできる。
【0033】
図3の光磁気記録媒体は、図示しない透明基板側から、SiN膜と、RE(希土類)リッチのTbFeCo膜と、SiN膜と、REリッチのTbFeCo膜と、PtCo膜とが順次積層されている。ここに、下方のTbFeCo膜は第1磁性層、上方のTbFeCo膜は第2磁性層、PtCo膜は第2磁性層の補助磁性層である。本例の光磁気記録媒体は、高温状態(170℃)及び低温状態(25℃)におけるヒステリシスループが図の中央に示すような形に成り、磁化特性が図の右側に示すような形に成る。よって、H0 ,H1 ,H2 ,H3 の夫々に記録状態“0”,“1”,“2”,“3”を割り当てることによって、信号の4値記録が可能になる。
【0034】
図4の光磁気記録媒体は、図示しない透明基板側から、SiN膜と、REリッチのTbFeCo膜と、PtCo膜と、TM(遷移金属)リッチのGdFeCo膜と、SiN膜とが順次積層されている。ここに、TbFeCo膜は第1磁性層、GdFeCo膜は第2磁性層、PtCo膜は第1磁性層及び第2磁性層の補助磁性層である。本例の光磁気記録媒体は、高温状態(150℃)及び低温状態(25℃)におけるヒステリシスループが図の中央に示すような形に成り、磁化特性が図の右側に示すような形に成る。よって、H0 ,H1 ,H2 ,H3 の夫々に記録状態“0”,“1”,“2”,“3”を割り当てることによって、信号の4値記録が可能になる。
【0035】
図5の光磁気記録媒体は、参考例であって、図示しない透明基板側から、SiN膜と、REリッチのTbFeCo膜と、TMリッチのGdTbFeCo膜と、SiN膜と、Al膜とが順次積層されている。ここに、TbFeCo膜は第1磁性層、GdTbFeCo膜は第2磁性層である。本例の光磁気記録媒体は、高温状態(180℃)及び低温状態(25℃)におけるヒステリシスループが図の中央に示すような形に成り、磁化特性が図の右側に示すような形に成る。よって、H0 ,H1 ,H2 ,H3 の夫々に記録状態“0”,“1”,“2”,“3”を割り当てることによって、信号の4値記録が可能になる。
【0036】
図6の光磁気記録媒体は、図示しない透明基板側から、SiN膜と、REリッチのTbFeCo膜と、Co膜と、SiN膜と、REリッチのTbFeCo膜と、PtCo膜と、SiN膜とが順次積層されている。ここに、下方のTbFeCo膜は第1磁性層、Co膜はその補助磁性層、上方のTbFeCo膜は第2磁性層、PtCo膜はその補助磁性層である。本例の光磁気記録媒体は、高温状態(170℃)及び低温状態(25℃)におけるヒステリシスループが図の中央に示すような形に成り、磁化特性が図の右側に示すような形に成る。よって、H0 ,H1 ,H2 3 夫々に記録状態“0”,“1”,“2”,“3”を割り当てることによって、信号の値記録が可能になる。
【0037】
図7の光磁気記録媒体は、図示しない透明基板側から、SiN膜と、TMリッチのTbFeCo膜と、SiN膜と、TMリッチのTbFeCo膜と、REリッチのGdFeCo膜と、SiN膜とが順次積層されている。ここに、下方のTbFeCo膜は第1磁性層、上方のTbFeCo膜は第2磁性層、GdFeCo膜はその補助磁性層である。本例の光磁気記録媒体は、高温状態(160℃)及び低温状態(25℃)におけるヒステリシスループが図の中央に示すような形に成り、磁化特性が図の右側に示すような形に成る。よって、H0 ,H1 ,H2 の夫々に記録状態“0”,“1”,“2”を割り当てることによって、信号の3値記録が可能になる。
【0038】
図8の光磁気記録媒体は、図示しない透明基板側から、SiN膜と、REリッチのTbFeCo膜と、TbFeCo−O膜(酸化TbFeCo膜)と、TMリッチのTbFeCo膜と、SiN膜とが順次積層されている。ここに、下方のTbFeCo膜は第1磁性層、上方のTbFeCo膜は第2磁性層、酸化TbFeCo膜はこれら第1及び第2磁性層の補助磁性層である。本例の光磁気記録媒体は、高温状態(170℃)及び低温状態(25℃)におけるヒステリシスループが図の中央に示すような形に成り、磁化特性が図の右側に示すような形に成る。よって、H0 ,H1 ,H2 ,H3 の夫々に記録状態“0”,“1”,“2”,“3”を割り当てることによって、信号の4値記録が可能になる。
【0039】
なお、図3、図4 図6、図7、図8に例示したように、磁性層材料としては、希土類と遷移金属の非晶質合金が最も好ましい。しかし、本発明に適用可能な磁性層材料はこれに限定されるものではなく、ガーネット系やフェライト系の酸化物磁性体、PtやPdなどの貴金属とFeやCoなどの遷移金属及び/又はTbやGdなどの希土類金属の交互積層体、あるいはPtMnSbなどのホイスラー合金、それにMnBiなど、磁気光学効果が大きく、かつ薄膜化が可能な他の材料を用いることもできる。また、レーザ光が照射される側の磁性層が金属の場合には、光線が十分に透過できるように、当該磁性層を十分に薄くすることが必要であり、500Å以下、より好ましくは、250Å以下にすることが望ましい。
【0040】
次に、本発明に係る光磁気記録媒体の多値記録原理を、図1のヒステリシスループに基づいて説明する。図1(a)は、本発明に係る光磁気記録媒体の低温時(室温ないし再生用レーザビーム照射時までの温度範囲)における代表的なヒステリシスループであり、図1(b)は、高温時(情報書換え時の温度範囲)における代表的なヒステリシスループである。
【0041】
図1(b)に示すように、この光磁気記録媒体は、高温時にH0´ ,H1´ ,H2´,H3´という4つの外部磁界領域に対して、夫々磁化が、M0´,M1´,M2´,M3´という1つの値をとる。一方、低温時においては、大ヒステリシスループは、1つの領域から成る。このループは、M0 の磁化状態から外部磁界を印加してH3 の大きさに達した後、外部磁界を0とすればM3 の磁化状態となり、H2 の大きさに達した段階で外部磁界を0に戻す操作、すなわち小ヒステリシスループを描く操作をすると、M2 の磁化状態が安定に存在する。また、M3 の磁化状態からマイナス方向に外部磁界を印加してH0 の大きさに達した後、外部磁界を0とすればM0 の磁化状態となり、H1 の大きさに達した段階で外部磁界を0に戻すと、M1 の磁化状態が安定に存在する。このように、低温領域においては、大ヒステリシスループと小ヒステリシスループにより、M0,M1,M2,M3という4つの磁化状態が外部磁界0で安定に存在する。よって、図2に示すように、H0 ,H1 ,H2 ,H3 の夫々に記録状態“0”,“1”,“2”,“3”を割り当てることによって、信号の4値記録が可能になる。
【0042】
さらに、図1(b)から明らかなように、ある信号を記録する以前の磁化状態がいかなる状態であったとしても、光磁気記録媒体を高温状態まで昇温し、かつ安定な磁化状態を得るに必要な所定の外部磁界を印加すると、それまでの履歴に拘りなく記録層の磁化は、降温後に、印加した外部磁界の大きさに対応する磁化状態になる。よって、本発明の光磁気記録媒体は、情報のダイレクトオーバーライト、すなわち先に記録された情報を消去することなく、先に記録された情報の上から直接新たな情報の書込みが可能である。
【0043】
なお、情報書換え時の温度は、再生用レーザ光の照射部の温度以上に設定すれば良いので、上記の高温領域におけるヒステリシスループの規定は、再生用レーザ光の照射部の温度からキュリー温度までのいずれかの温度にて実現されれば良い。通常、再生用レーザ光の照射部の温度は、80℃以上である。
【0044】
また、図3、図4 図6、図7、図8に例示した膜構造の光磁気記録媒体のみならず、図1に示したような高温時及び低温時のヒステリシスループをもつ光磁気記録媒体は、全て信号の多値記録が可能である。
【0045】
以下に、前記の原理に基づく多値記録用光磁気記録媒体の構成例を挙げ、夫々について説明する。
【0046】
〈第1構成例〉
図9(a)に示すように、本例に係る光磁気記録媒体は、片面に所望のプリフォーマットパターン2が形成された基板1と、プリフォーマットパターン2上に形成された第1エンハンス膜3と、第1エンハンス膜3上に形成された第1磁性層4と、第1磁性層4上に必要に応じて形成される第2エンハンス膜5と、第2エンハンス膜5又は第1磁性層4上に形成された第2磁性層6と、第2磁性層6上に必要に応じて形成される第3エンハンス膜7と、第3エンハンス膜7上に形成された反射膜8と、反射膜8上に形成された保護膜9とからなる。
【0047】
透明基板1としては、例えばポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルペンテン、エポキシなどの透明樹脂材料を所望の形状に成形したものや、所望の形状に形成されたガラス板の片面に所望のプリフォーマットパターン2が転写された透明樹脂層を密着したものなど、公知に属する任意の透明基板を用いることができる。なお、プリフォーマットパターン2の構成、配列、形成方法等については、公知に属する事項でありかつ本構成例の要旨でもないので、説明を省略する。
【0048】
第1〜第3のエンハンス膜3,5,7は、膜内で再生用光ビームを多重干渉させ、見掛け上のカー回転角を増加するために設けられるものであって、前記透明基板1よりも屈折率が大きい無機誘電体にて形成される。エンハンス膜材料としては、シリコン、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、タンタルの酸化物又は窒化物が特に好適である。第1エンハンス膜3は600Å〜1200Åの膜厚に形成される。また、第2及び第3のエンハンス膜5,7は、必要に応じて形成されるものであって、500Å以下の任意の膜厚に形成され、場合によっては省略されうる。
【0049】
反射膜8は、反射率を高めることで媒体の実効カー回転角を高めると共に、熱伝導率を調整することで媒体の記録感度を調整するために設けられるものであって、再生用光ビームに対して高い反射率を有する物質から形成される。具体的には、〔Al,Ag,Au,Cu,Be〕のグループから選択された1種以上の金属元素と、〔Cr,Ti,Ta,Sn,Si,Rb,Pe,Nb,Mo,Li,Mg,W,Zr〕のグループから選択された1種以上の金属元素からなる合金が特に好適であり、この種の合金を用いた場合、300Å〜1000Åの膜厚に形成される。
【0050】
保護膜9は、膜体3〜8を機械的衝撃や化学的な悪影響から保護するためのものであって、膜体全体を覆って被着される。保護層材料としては、樹脂材料を挙げることができる。特に、成膜が容易であることから、紫外線硬化型樹脂が好適である。
【0051】
第1磁性層4は、室温からキュリー温度の範囲、又は室温から記録時又は消去時の最高到達温度までの温度範囲で希土類副格子磁化モーメントが優勢な希土類−遷移金属系の非晶質合金からなる膜厚が100〜500Åの非晶質垂直磁化膜4aと、これに接して設けられた膜厚が5〜100Åの補助磁性膜4bとをもって構成される。希土類−遷移金属系の非晶質垂直磁化膜としては、下記の一般式で表されるものが特に好ましい。
【0052】
Figure 0003824677
【0053】
補助磁性膜4bは、遷移金属元素を含有し、かつ垂直磁気異方性が小さい磁性体をもって構成される。具体例としては、
▲1▼〔Pt,Al,Ag,Au,Cu,Rh〕などの貴金属元素群から選択された少なくとも1種類の元素と、〔Fe,Co,Ni〕などの遷移金属元素群から選択された少なくとも1種類の元素との合金薄膜、
▲2▼例えばGdFeCo合金、GdTbFeCo合金、GdDyFeCo合金、NdFeCo合金など、GdやNdを含有することにより、垂直磁気異方性を低下させた希土類−遷移金属系合金、
▲3▼酸素や窒素を通常より多量に(例えば5原子%以上)含有することにより、垂直磁気異方性を低下させた希土類−遷移金属系合金、
▲4▼〔Fe,Co,Ni〕などの遷移金属単体、あるいはこれらを多量に含有する合金を5〜30Åと数原子層の厚さで積層した膜、
などを挙げることができる。
【0054】
これらの補助磁性膜4bは、組成によっては垂直磁気異方性エネルギが形状異方性と同じか若しくはそれより低くなり、外部磁界が印加される以前において、磁化を面内方向(補助磁性膜4bの膜面と平行な方向)に向けることができる。このように調整された補助磁性膜4bは、キュリー温度近傍まで昇温され、外部磁界が印加されると、磁化の方向が面内方向より立ち上がって外部磁界方向の磁気モーメント成分を生じ、これに接して積層されている非晶質垂直磁化膜4aの遷移金属磁気モーメントに交換結合力を及ぼす。したがって、非晶質垂直磁化膜4aと補助磁性膜4bとを積層してなる第1記録層は、外部磁界に対する光変調記録信号の搬送波及び雑音レベルの変化が、図9(b)に示すように、2つのピークをもつようになる。
【0055】
第2磁性層6は、前記第1磁性層4とは異なる磁界領域に少なくとも1以上の記録状態が存在する光磁気記録膜で構成される。したがって、前記第1磁性層4と同種の非晶質垂直磁化膜及び補助磁性膜からなり、前記第1磁性層4とは異なる磁界領域に2つの記録状態が存在するものを用いることもできるし、前記第1磁性層4とは異なる構成を有し、図9(c)に示すように、前記第1磁性層4とは異なる磁界領域に1つの記録状態が存在するものを用いることもできる。後者に属する第2磁性層6としては、▲1▼室温から記録、消去時の最高到達温度までの温度範囲で遷移金属副格子磁化が優勢な希土類−遷移金属系の非晶質垂直磁化膜からなるもの、▲2▼前記と同様の温度範囲で、希土類副格子磁化が優勢な希土類−遷移金属系の非晶質垂直磁化膜からなるもの、▲3▼室温からキュリー温度までの間に補償温度が存在する希土類−遷移金属系の非晶質垂直磁化膜からなるものなどを挙げることができる。具体的には、下記の一般式で表されるものが特に好ましい。なお、この第2磁性層6の膜厚は、100〜500Åの範囲に形成することが好ましい。
【0056】
Figure 0003824677
【0057】
前記の各膜体3〜8は、例えばスパッタリングや真空蒸着などの真空成膜法によって、透明基板1のプリフォーマットパターン形成面に順次積層される。これらの各膜体3〜8は、多値記録された光情報記録媒体から信号を読み出したとき、各記録レベルに応じた再生出力レベル(カー回転角の大きさ)の差が、相互にできるだけ均等になるように膜厚及び光学定数が選択される。その際の選択によっては、第2及び第3のエンハンス膜5,7及び/又は反射膜8は、省略することもできる。また、第1磁性層4と第2磁性層6とは、積層位置が相互に入れ替わっても良い。各磁性層の積層位置を入れ替えると、記録時の外部磁界の大きさや照射されるレーザパワーの大きさに対応する各記録状態のカー回転角の大きさが変化するが、信号の多値記録は可能であり、光磁気記録媒体としての特性や効果については何ら変化を有しない。また、磁性層を3層以上の多層に積層することによって、より高次の多値記録を行うことも可能であり、それに応じて各膜の組成を適宜変更することもできる。
【0058】
以下に、本例に属する光磁気記録媒体の実施例を例示する。
【0059】
〈第1実施例〉
図10に示すように、本例の光磁気記録媒体は、透明基板1のプリフォーマットパターン形成面2に、膜厚が100nmのSiN膜と、膜厚が15nmのTb19Fe62Co10Cr9 膜と、膜厚が10nmのSiN膜と、膜厚が20nmのTb32Fe56Co12膜と、膜厚が5nmのPt80Co20膜と、膜厚が10nmのSiN膜と、膜厚が70nmのAl膜とを順次積層し、これらの各膜を紫外線硬化性樹脂膜で覆っている。
【0060】
膜厚が100nmのSiN膜は第1誘電体層3、膜厚が10nmの2つのSiN膜は、それぞれ第2及び第3の誘電体層5,7を構成している。Tb19Fe62Co10膜は、単層で第1磁性層4を構成しており、特定の磁界領域に1つの記録状態が存在する。互いに直接積層されたTb32Fe56Co12膜とPt80Co20膜は、第2磁性層6を構成しており、第1磁性層4とは異なる磁界領域に2つの記録状態が存在する。さらに、Al膜は反射膜8を構成し、紫外線硬化性樹脂膜は保護膜9を構成している。
【0061】
〈第2実施例〉
図11に示すように、本例の光磁気記録媒体は、透明基板1のプリフォーマットパターン形成面2に、膜厚が100nmのSiN膜と、膜厚が15nmのTb32Fe56Co12膜と、膜厚が2nmのGd18Fe67Co15膜と、膜厚が10nmのSiN膜と、膜厚が20nmのTb19Fe62Co10Cr9膜と、膜厚が10nmのSiN膜と、膜厚が70nmのAl膜とを順次積層し、これらの各膜を紫外線硬化性樹脂膜で覆っている。
【0062】
互いに直接積層されたTb32Fe56Co12膜とGd18Fe67Co15膜は、第1磁性層4を構成しており、異なる磁界領域に2つの記録状態が存在する。Tb19Fe62Co10膜は、単層で第2磁性層6を構成しており、第1磁性層4とは異なる磁界領域に1つの記録状態が存在する。本例の光磁気記録媒体は、第実施例に係る光磁気記録媒体とは異なり、基板1に近い側、すなわち記録再生用レーザビームの入射側に設けられる第1磁性層4を、2つの磁性膜の積層体から構成したことを特徴とする。そこで、第2磁性層6へのレーザビームの入射量を減らさないことを目的として、第1磁性層4を構成する補助磁性膜としてレーザビームの吸収率が低いGdFeCo膜を用いると共に、その膜厚を2nmと極薄にした。その他の各部分については、第1実施例と同じであるので、対応する部分に同一の符号を表示して説明を省略する。
【0063】
〈第3実施例〉
図12に示すように、本例の光磁気記録媒体は、透明基板1のプリフォーマットパターン形成面2に、膜厚が100nmのSiN膜と、膜厚が15nmのTb32Fe56Co12膜と、膜厚が7nmの(Tb32Fe56Co12928 膜と、膜厚が10nmのSiN膜と、膜厚が20nmのTb19Fe62Co10Cr9膜と、膜厚が10nmのSiN膜と、膜厚が70nmのAl膜とを順次積層し、これらの各膜を紫外線硬化性樹脂膜で覆っている。
【0064】
互いに直接積層されたTb32Fe56Co12膜と(Tb32Fe56Co12928 膜は、第1磁性層4を構成しており、異なる磁界領域に2つの記録状態が存在する。Tb19Fe62Co10膜は、単層で第2磁性層6を構成しており、第1磁性層4とは異なる磁界領域に1つの記録状態が存在する。本例の光磁気記録媒体は、第2磁性層6へのレーザビームの入射量を減らさないことを目的として、第1磁性層4を構成する補助磁性膜としてレーザビームの吸収率が低い(Tb32Fe56Co12928 膜を用いると共に、その膜厚を7nmに調整した。その他の各部分については、第1実施例と同じであるので、対応する部分に同一の符号を表示して説明を省略する。
【0065】
〈第4実施例〉
図13に示すように、本例の光磁気記録媒体は、透明基板1のプリフォーマットパターン形成面2に、膜厚が100nmのSiN膜と、膜厚が15nmのTb32Fe56Co12膜と、膜厚が2nmのGd30Fe48Co22膜と、膜厚が10nmのSiN膜と、膜厚が20nmのTb34Fe52Co14膜と、膜厚が5nmのPt94Co 6膜と、膜厚が10nmのSiN膜と、膜厚が70nmのAl膜とを順次積層し、これらの各膜を紫外線硬化性樹脂膜で覆っている。
【0066】
互いに直接積層されたTb32Fe56Co12膜とGd30Fe48Co22膜は、第1磁性層4を構成しており、異なる磁界領域に2つの記録状態が存在する。また、互いに直接積層されたTb34Fe52Co14膜とPt94Co 6膜は、第2磁性層6を構成しており、第1磁性層4とは異なる磁界領域に2つの記録状態が存在する。本例の光磁気記録媒体は、第2磁性層6へのレーザビームの入射量を減らさないことを目的として、第1磁性層4を構成する補助磁性膜としてレーザビームの吸収率が低いGdFeCo膜を用いると共に、その膜厚を2nmに調整した。その他の各部分については、第1実施例と同じであるので、対応する部分に同一の符号を表示して説明を省略する。
【0067】
〈第2構成例〉
本例に係る光磁気記録媒体は、前記第1構成例に例示したごとき多値記録用の光磁気記録媒体に、いわゆる磁気超解像を実現するための膜体を付加したことを特徴とする。
【0068】
図1はその一例を示す構成図であって、2つの磁性層を有する多値記録用の光磁気記録媒体に本発明を適用した場合を示している。この図から明らかなように、本例の光磁気記録媒体は、透明基板1上に、第1誘電体層101と、第1開孔部形成層102と、第1切断層103と、第1垂直磁化膜層104と、第1補助磁性層105と、第2誘電体層106と、第2開孔部形成層107と、第2切断層108と、第2垂直磁化膜層109と、第2補助磁性層110と、第3誘電体層111と、反射層112とから原則的に形成される。第1磁性層120は、第1垂直磁化膜層104と第1補助磁性層105との組合せによって構成され、第2磁性層121は、第2垂直磁化膜層109と第2補助磁性層110との組合せによって構成される。
【0069】
第1開孔部形成層102と第1切断層103と第1磁性層120は、室温において互いに磁気的に交換結合する磁性膜をもって構成され、再生用レーザビームの入射方向に対して、この順に積層される。これらの磁性膜102,103,120は、第1開孔部形成層102のキュリー温度をTc1 、その保磁力をHc1 、第1切断層103のキュリー温度をTc2 、その保磁力をHc2 、第1磁性層120のキュリー温度をTc3 、その保磁力をHc3 とし、室温をT0 、第1切断層103及び第1磁性層120が第1開孔部形成層102に及ぼす交換磁界をHw 、再生時に印加する外部磁界(以下、再生磁界という)をHr とすると下記の▲1▼〜▲4▼の条件を満たすように、キュリー温度及び保磁力が調整される。
▲1▼T0 <Tc2 <Tc1 ,Tc3
▲2▼Hc1 +Hw <Hr
(但し、再生時に第1切断層103のキュリー温度Tc2 またはその近傍まで昇温する領域において)
▲3▼Hc3 >Hr
(但し、再生時に第1切断層103のキュリー温度Tc2 またはその近傍まで昇温する領域において)
▲4▼Hc1 <Hw
(但し、室温において)。
【0070】
なお、第2開孔部形成層107と第2切断層108と第2記録層121についても、これと同様に構成される。
【0071】
以下、このように構成された光磁気記録媒体からの信号の再生原理を、図15に基づいて説明する。光磁気記録媒体には、図15(a)に示すように、記録トラックに沿って、再生用光ビーム130のスポット径Dよりも小径の記録マーク120a,121aが、再生用光ビーム130のスポット径Dよりも小さなピッチで記録されている。
【0072】
光学ヘッド及び磁気ヘッドに対して光磁気記録媒体を相対的に駆動しつつ、光磁気記録媒体に再生用光ビーム130を照射すると、そのエネルギによって第1開孔部形成層102、第1切断層103、第1磁性層120、第2開孔部形成層107、第2切断層108、第2磁性層121が昇温されるが、矢印Aの方向に光磁気記録媒体を駆動しつつ記録トラックに沿って再生用光ビーム130を照射すると、相対的に走行する再生用光ビーム130の照射部内の温度分布により、図15(b)に示すように、スポット131の後縁部分が最も高温になる。そこで、再生用光ビーム130の強度を、当該高温領域131aの温度が第1及び第2の切断層103,108のキュリー温度Tc2 以上又はその近傍になるように調整すると、切断層103,108及び磁性層120,121が開孔部形成層102,107に及ぼす交換磁界Hw がゼロ若しくは非常に小さな値となり、開孔部形成層102,107と磁性層120,121との間の磁気的結合が断ち切られる。
【0073】
この状態で、Hc1 +Hw よりも大きな再生磁界Hr を各磁性膜に印加すると、図15(a)に示すように開孔部形成層102,107の高温領域131aに対応する部分の磁化が再生磁界方向に揃えられ、その領域における開孔部形成層102,107の記録マーク120a,121aは消失する。一方、高温領域131a以外の部分では、交換磁界Hw は大きな値を維持しており、開孔部形成層102,107と磁性層120,121とは磁気的に結合されているので、開孔部形成層102,107に記録された記録マーク120a,121aはそのまま保たれている。したがって、記録トラックに沿って再生用光ビーム130を操作したとき、高温領域131a中の記録マーク120a,121aが信号の読出しに関してマスクされ、スポット131のうちの高温領域131aを除く三日月形の部分のみがアパーチャとなって、記録マーク120a,121aからの信号が読み出される。よって、磁区間ピッチがスポット径Dの1/2程度に調整された光磁気記録媒体からの信号の読み出しが可能になり、再生分解能が向上する。
【0074】
なお、磁性層120,121の保磁力Hc3 は、再生磁界Hr よりも大きく設定されているので、再生磁界Hr の印加によって磁性層120,121の記録マーク120a,121aが消去されることはない。また、光磁気記録媒体の駆動に伴って再生用光ビーム130の照射部から外れた部分は、順次室温まで冷却され、切断層103,108の温度がTc2 以下まで冷却された段階で、再度各磁性膜間に交換磁界Hw が復活する。よって、その交換結合力によって磁性層120,121の反転磁区が開孔部形成層102,107に転写されるので、信号の再生動作を繰り返しても、当初の記録状態が消失することはない。よって、図15(c)に示すように、読み出されたトータルの再生信号を各信号レベルに合致した複数のスライス信号にてスライスすることによって、多値記録された信号を高い分解能で再生することができる。
【0075】
図16に、磁気超解像方式による多値記録信号再生方法の他の例を示す。本例の再生方式は、図15の方法とは異なり、光学ヘッドの上流側において開孔部形成層102,107に初期化磁界を印加し、高温部131aにアパーチャを形成することを特徴とする。
【0076】
複数の開孔部形成層を有する光磁気記録媒体については、各磁性層と開孔部形成層との間に作用する交換結合力を相互に異ならせたり、あるいは各開孔部形成層のキュリー温度を相互に異ならせることによって、各磁性層ごとに再生信号を読みだすことができる。すなわち、再生光照射時の開孔部は、再生光入射側に近い第1磁性層120の方が大きくなる。そこで、高温部131aにアパーチャを形成する光磁気記録媒体においては、第1磁性層120と第1開孔部形成層102との間に作用する交換結合力を第2磁性層121と第2開孔部形成層107との間に作用する交換結合力よりも強くするか、あるいは第1開孔部形成層102のキュリー温度を第2開孔部形成層107のキュリー温度よりも低く設定し、かつ適当な2パワーの再生用レーザビームを選び、図17に示すように、第2磁性層には開孔部ができないような低パワーの再生用レーザビームを光磁気記録媒体に照射することによって、第1磁性層120のみから信号を再生することができる。また、図18に示すように、第1記録層の開孔部が再生スポットのほぼ全域を覆うような高パワーの再生用レーザビームを光磁気記録媒体に照射することによって、第2磁性層のみから信号を再生することができる。
【0077】
再生スポットの低温部にアパーチャを形成する光磁気記録媒体においては、第1磁性層120と第1開孔部形成層102との間に作用する交換結合力を第2磁性層121と第2開孔部形成層107との間に作用する交換結合力よりも弱くするか、あるいは第1開孔部形成層102のキュリー温度を第2開孔部形成層107のキュリー温度よりも高く設定することによって、第1又は第2の磁性層から選択的に信号を再生することができる。
【0078】
なお、磁気超解像方式の多値記録用光磁気記録媒体は、必ずしも図14に示した全ての膜体を備える必要はなく、必要に応じて1ないし複数の膜体を省略することもできる。図19に、第4構成例に含まれる種々の膜構成を表示する。表中のブランクは、当該膜体が省略されていることを示している。
【0079】
なお、前記第1及び第2構成例においては、誘電体層としてSiN膜を用いたが、他の材料を用いることもできる。すなわち、誘電体層材料としては、第1及び第2磁性層の記録時の温度分布をなるべく等しくしてそれぞれに形成される磁区の大きさを揃えるため、非磁性で熱伝導率が高い材料が良い。これに好適な材料としては、〔Si,Al,Ti,Zr,Au,Cu,Mo,W〕のグループから選択される金属元素、又はこれらから選択された少なくとも1種類の金属元素を主成分とする合金、又はこれらの酸化物もしくは窒化物を挙げることができ、その組成が化学量論的組成より金属元素に富む材料が特に好適である。各誘電体層の膜厚は、光学的な条件を満たすように適宜調整される。
【0080】
また、前記第1及び第2構成例における各垂直磁化膜のキュリー温度は、それぞれの記録層に形成される磁区の大きさを揃えるため、互いに近似していることが必要であり、最大±50℃以内に設定することが好ましい。
【0081】
その他、前記第1及び第2構成例における各垂直磁化膜の組成は、成膜を容易にするため、同一組成とすることが好ましい。また、前記補助磁性膜としては、少なくとも室温付近にて面内磁化膜となる磁性薄膜を用いることが好ましい。さらに、前記補助磁性膜は、前記垂直磁化膜の片面のみならず、レーザビーム入射側又はその反対側若しくはその双方に設けることができる。
【0082】
以下に、光磁気記録媒体に対する高密度記録方法及び微細な記録磁区が形成された高密度記録媒体からのエラーの少ない記録再生方法を列挙する。
【0083】
(1)パルス再生
a.再生用レーザビームを周期的又はパルス状に照射する光磁気再生方式。
【0084】
b.前記a.の信号再生方式において、再生用レーザ光の発光タイミングを、プリピットあるいは光磁気信号などの媒体から再生された信号によりタイミングクロックを作製して同期を取る方式。
【0085】
(2)パルス再生の波形等化
c.前記a.の方式による再生信号波形をD0(t)としたとき、下記の数1で表される信号処理を行う方法。
【0086】
【数1】
Figure 0003824677
【0087】
d.前記c.の方法で、n=0,±1,±2,an=a-n,−1<an<0なる信号処理を行う方法。
【0088】
(3)磁界変調再生
e.磁気超解像が可能な媒体に対して、印加する外部磁界の大きさ及び又は方向を変調して再生を行う方式。
【0089】
f.前記a.の方式において、再生用レーザ光の発光タイミングに同期して、印加する外部磁界の大きさ及び又は方向を変調する前記e.の再生方式。
【0090】
g.再生光スポット内にレーザ進行方向ないしクロストラック方向に複数の記録ピットが存在し、それらの記録状態の各組合せにより発現する再生信号の各レベルが、各々確定された多段階にある記録再生方式。
【0091】
(4)試し読み
h.前記a.〜g.の方式において、再生用レーザ光の波形(高パワー、低パワーの各値、高パワーと低パワーの時間の比率)及び再生時に印加する磁場などを変えて再生を行い、最もエラーの少ない組合せを選択する再生方式。
【0092】
i.前記h.の再生方式において、予め再生試行用のテストパターンを媒体に記録しておく方式。
【0093】
j.前記h.の方式でえられた最適再生条件を媒体に記録し、次回の再生からは、それを読み取って再生を行う方式。
【0094】
次に、本発明に係る光磁気記録媒体のフォーマット構成について説明する。
【0095】
〈フォーマット構成の第1例〉
図20に、サンプルサーボ方式の光磁気記録媒体に形成されるプリフォーマットパターンの一例を示す。プリフォーマットパターン2は、記録トラック及び当該記録トラックを分割してなるデータ記録単位を画定するものであって、透明基板1の表面に凹凸の形で記録することもできるし、磁性層4,6等に光磁気信号として記録することもできる。
【0096】
本例においては、記録トラック11が多数のデータ記録単位12に分割され、各データ記録単位12が、ID領域13と、サーボ領域14と、データ領域15とに分割されている。ID領域13には、各データ記録単位12の境界を示すマークや当該データ記録単位のアドレス、それに誤り検出符号などが形成される。サーボ領域14には、図21に示すように、記録又は再生用のレーザビームを記録トラック11に沿って走査するためのトラッキングピット16と、最適な記録再生を行うためのテスト領域17と、信号の記録再生に必要な基準クロックを引き込むために必要な埋め込みクロックピット18とが形成される。テスト領域17には、必要に応じて、記録領域14に記録される多値記録信号に含まれる各信号のスライスレベルを設定するためのテスト信号(レベル検出用ピット)17a及び/又は多値記録信号のエッジを検出するタイミングの基準となるタイミング信号を生成するためのテスト信号(タイミング検出用ピット)17bが記録される。また、データ領域15には、多値記録信号が、光磁気記録信号として記録される。
【0097】
なお、サーボ領域14にトラッキングピット16を備える構成に代えて、記録又は再生用のレーザビームを記録トラック11に沿って案内する案内溝を、透明基板1に形成することもできる。
【0098】
また、透明基板の表面に、例えば凹凸の形で形成されるプリピット(位相ピット)は、当該媒体に対応した多値記録にすることも可能である。プリピットの多値化は、プリピットの長さ、幅、深さの変調又はプリピット位置のトラック方向に垂直な方向への偏位量、あるいはこれらの組合せによって実現できる。
【0099】
〈フォーマット構成の第2例〉
本例のフォーマット構成は、ユーザがアクセスして信号の記録、再生、消去等を行うユーザ領域以外の領域に、最適な記録条件を検出するためのテスト領域を設けたことを特徴とする。図22は、CAV(角速度一定)方式の光ディスクに応用した場合の実施例図であって、ユーザ領域21を介して、ディスクの最内周部及び最外周部に、テスト領域22が設けられている。なお、テスト領域22は、ディスクの最内周部又は最外周部のいずれか一方にのみ設けることもできる。また、図23は、ZCAV(Zoned −CAV)方式の光ディスクに応用した場合の実施例図であって、ゾーン境界部の近傍にテスト領域22が設けられている。なお、ZCAV方式の光ディスクにおいても、CAV方式の光ディスクと同様に、ディスクの最内周部及び最外周部にテスト領域22を設けることもできる。
【0100】
なお、ユーザ領域内の各データ記録単位のフォーマット構成については、前記第1例で説明したと同じであるので、重複を避けるために説明を省略する。
【0101】
以下、本発明に係る光磁気記録媒体を用いた信号の多値記録方法について説明する。
【0102】
〈多値記録方法の第1例〉
本例の多値記録方法は、いわゆるトレリス符号化変調方式を用いて符号化した多値記録信号を記録することを特徴とする。光磁気記録媒体としては、第1構成例に係る光磁気記録媒体(図9〜図13の光磁気記録媒体)を用いることができる。
【0103】
第1例と同様にして光磁気記録媒体を駆動し、光学ヘッド及び磁気ヘッドを所定のトラックに位置付けた後、4相直交変調トレリス符号に対応する4値記録を行うために、図24に示す畳み込み符号器で符号化を行う。図25(a)は、図24の畳み込み符号器にデータを入力したときのX1 ,X2 の状態を示す。一方、前記したように、図9の光磁気記録媒体は、図25(b)に示すような外部磁界に対する信号特性をもっている。そこで、図25(a)に示したX1 ,X2 の順に信号振幅が割り振られるようにX1,X2を用いて印加磁界強度をH0 〜H3 の4値に強度変調すると共に、この強度変調された4値の外部磁界を、記録クロックに同期して光情報記録媒体に印加する。そして、外部磁界が所定の値に切り替わった後、光学ヘッドより光パルスを照射して、光パルス照射部の各記録層を、外部磁界によって磁化反転できる温度まで加熱する。これによって、各光パルスの照射部に、外部磁界の大きさに応じた磁化ドメインが形成される。なお、この場合、外部磁界を変調しつつ、一定強度のレーザビームを連続的に照射してもよい。
【0104】
図26は、本実施例の記録再生系の構成例である。本実施例においては、再生光をI−V変換した後、アナログ波形等化器を通すことにより光学的な符号間干渉を除去して、そのアナログ信号をA/D変換した。その後、デジタルトランスバーサルフィルタで内外周特性差を吸収して4値を判定し、ビタビ復号器に供給して2値化した。再生クロックは、A/D変換後の信号で生成した。
【0105】
〈多値記録方法の第2例〉
本例の多値記録方法は、外部磁界を記録信号に応じて4段階に変調すると共に、記録用レーザビームをパルス状に変調することを特徴とする。光磁気記録媒体としては、第1構成例に係る光磁気記録媒体(図9〜図13の光磁気記録媒体)を用いる。
【0106】
まず、光磁気記録媒体をターンテーブル等の媒体駆動部に装着し、透明基板側に光学ヘッドを、保護膜側に磁気ヘッドを配置する。媒体駆動部を起動して光磁気記録媒体と光学ヘッド及び磁気ヘッドとを相対的に所定の線速度で駆動し、光学ヘッド及び磁気ヘッドを所定のトラックに位置付ける。
【0107】
しかる後に、図27(a)に示すように、磁気ヘッドより記録信号に応じて印加磁界強度がH0 〜H3 の4値に信号変調され、かつ記録クロックに同期された外部磁界を光情報記録媒体に印加する。そして、外部磁界が所定の値に切り替わった後、光学ヘッドより図27(b)に示す光パルスを照射して、光パルス照射部の各記録層を、外部磁界によって磁化反転できる温度まで加熱する。これによって、各光パルスの照射部に、外部磁界の大きさに応じた図27(c)の磁化ドメインが形成される。
【0108】
なお、図27(c)においては、4値に記録された各磁化ドメインの磁化状態が、夫々、右下がり斜線と左下がり斜線と縦線と白地とで識別されている。白地は、第3構成例の光磁気記録媒体を構成する各垂直磁化膜の磁化方向の組合せが図31(a)の状態“0”であることを表わし、左下がり斜線は、図31(a)の状態“1”であることを表わす。また、右下がり斜線は、図31(a)の状態“2”であることを表わし、縦線は、図31(a)の状態“3”であることを表わしている。
【0109】
磁界強度の信号変調は、図28の方式及び図29又は図30の信号変調回路によって行うことができる。なお、図29及び図30の磁気ヘッド駆動回路としては、図32に示した回路を用いることができる。すなわち、図27(e)のタイミングチャートに示された記録クロック▲1▼とデータ信号(Sig.1)▲2▼の論理積をとることにより、奇数デ−タ(Sig.2)▲3▼を生成する。また、記録クロック▲1▼を反転した信号とデータ信号▲2▼の論理積をとることにより、偶数デ−タ(Sig.3)▲4▼を生成する。奇数デ−タ▲3▼をシフトレジスタを用いて1/2クロック遅延させた信号と、元の奇数デ−タ▲3▼との論理和をとることにより、奇数データ信号の長さを2倍化した信号▲5▼を生成する。同様に、偶数デ−タ▲4▼から信号▲6▼を生成する。これらの信号▲5▼、▲6▼を、ゲインが異なる増幅器G1 ,G2 でそれぞれ増幅し、これを加算する。次いで、この加算信号を磁気ヘッド駆動回路で電圧電流変換することによって、磁気ヘッドより図28(b)に示す外部磁界を印加するようにしている。
【0110】
また、図30の回路では、記録信号を偶数ビットと奇数ビットとに分離し、タイミング合わせやパルス長の調整などの波形処理を行った後、ゲインが同一の増幅器Gでそれぞれ増幅する。次いで、各増幅信号を別々の磁気ヘッド駆動回路で電圧電流変換し、複数の巻線をもった磁気ヘッドより図28(b)に示す外部磁界を印加するようにしている。
【0111】
なお、磁気ヘッドに代えて、例えば電磁コイルなどの他の磁界発生装置を用いることも勿論可能である。さらに、1本の巻線をもった2つの磁気ヘッドを近接して配置し、これらの各磁気ヘッドより図28(b)に示す外部磁界を印加することもできる。
【0112】
各外部磁界の大きさに応じた磁化ドメインの記録状態は、図31に示す通りである。したがって、磁化ドメイン列から読みだされる再生信号は、図27(d)のようになる。この再生信号を各記録状態からの再生信号出力に応じて所定の値に設定された3つのスライスレベルでスライスすると、図27(e)のタイミングチャートに示すように、記録信号を復調できる。具体的には、スライスレベル1で図27(d)のアナログ再生信号を2値化すると、図27(e)のsig.1が得られる。同様に、スライスレベル2からはsig.2が得られ、スライスレベル3からはsig.3が得られる。図27(e)の奇数データ信号▲5▼は、sig.2を反転した信号とsig.3の信号との論理積をとった後、sig.1の信号との論理和をとり、さらにクロックと同期させるためにクロック信号▲1▼とsig.3の論理積をとることによって得られる。そして、偶数データ信号▲6▼を1/2クロック遅延させた信号▲7▼と信号▲5▼との論理和をとることにより、データ信号を復調できる。図33に、信号再生回路のブロック図を示す。
【0113】
以上の方式で4値記録を行うことにより、通常の2値記録媒体を用いてマークエッジ記録を行った場合と比較して、記録線密度を2倍にすることができる。図34に、同じ最小記録ドメインサイズで同じ情報を記録した場合における2値記録のマークエッジ記録と4値記録の状態とを比較して示す。この図の通り、本発明の4値記録によると、2値記録のマークエッジ記録に比べて、線記録密度を2倍にすることができる。
【0114】
〈多値記録方法の第3例〉
本例の多値記録方法は、検出窓幅Tと同一か、あるいはその整数倍の一定周波数で磁気ヘッド(電磁コイル)を駆動して光磁気記録媒体に外部磁界を印加しつつ、レーザ照射のタイミングを変調することを特徴とする。図35は本例の多値記録に適用されるレーザの照射タイミング変調回路のブロック図であり、図36は回路各部で取り扱われる信号のタイミングチャートである。光磁気記録媒体としては、第1構成例に係る光磁気記録媒体(図9〜図13の光磁気記録媒体)を用いた。
【0115】
本例の多値記録方法においては、外部磁界の変化に同期して、その1周期に1回記録レーザパルスを照射し、各記録層を充分保磁力が小さくなる温度まで加熱して、冷却時に第1記録層の磁化及び第2記録層の磁化の双方又は一方を選択的に反転させる。磁化を反転させる状態の区別は、記録レーザパルスを照射するタイミングをずらすことによって行う。すなわち、図36に示すように、タイミングがずれた4個のパルス列palse1,palse2,palse3,palse4を生成し、記録信号Dataから分離した偶数ビット、奇数ビットの信号と論理演算して、各記録状態に相当する記録レーザ駆動パルスを生成する。
【0116】
図37に信号再生回路のブロック図を、図38に信号再生方式を示す。磁化ドメイン列から読みだされる再生信号を所定の値に設定された3つのスライスレベルでスライスし、それによって得られる3つの2値化信号sig1,sig2,sig3から、第1例の場合と同様の手順で記録信号を再生できる。
【0117】
〈多値記録方法の第4例〉
本例の多値記録方法は、検出窓幅Tと同一か、あるいはその整数倍の一定周波数で磁気ヘッド(電磁コイル)を駆動して光磁気記録媒体に外部磁界を印加しつつ、照射されるレーザの強度を変調することを特徴とする。図39に本例の多値記録に適用されるレーザ強度変調回路のブロック図を示し、図40に回路各部で取り扱われる信号のタイミングチャートを示す。
【0118】
図41に信号再生回路のブロック図を、図42に信号再生方式を示す。磁化ドメイン列から読みだされる再生信号を所定の値に設定された3つのスライスレベルでスライスし、それによって得られる3つの2値化信号sig1,sig2,sig3から、第2例の場合と同様の手順で記録信号を再生できる。
【0119】
〈多値記録方法の第5例〉
本例の多値記録方法は、記録信号に応じて多段階に印加磁界強度が信号変調された外部磁界を光磁気記録媒体に印加しつつ、当該光磁気記録媒体の所望の記録トラックに記録信号に応じて多段階にレーザ強度が信号変調されたレーザビームを照射することによって、光磁気記録媒体に信号を多値記録することを特徴とする。光磁気記録媒体としては、第1構成例に係る光磁気記録媒体を適用できる。
【0120】
特定の磁化特性を有する光磁気記録媒体に特定の信号を記録する場合であっても、印加磁界強度Hと照射レーザ強度Pの組合せは、種々考えられる。例えば、図43(a)の磁化特性を有する光磁気記録媒体に図43(d)の磁区列を記録する場合、図43(b)に示すように外部磁界Hを4段階に切り換えて、最も低レベルの外部磁界強度から順にH0,H1,H2,H3とすると共に、図43(c)に示すように照射レーザ強度Pを4段階に切り換えて、最も低レベルの照射レーザ強度から順にP2,P3,P0,P1とし、(H0,P0)の組合せを信号“0”に割当て、(H1,P1)の組合せを信号“1”に割当て、(H2,P2)の組合せを信号“2”に割当て、(H3,P3)の組合せを信号“3”に割当て、さらに印加磁界強度H及び照射レーザ強度Pを図43(b),(c)のパターンで駆動すると、図43(d)の磁区列を記録できる。
【0121】
また、図44(b)に示すように外部磁界Hを4段階に切り換えて、最も低レベルの外部磁界強度から順に−H1 ,−H0 ,H0 ,H1 とすると共に、図44(c)に示すように照射レーザ強度Pを2段階に切り換えて、低レベルの照射レーザ強度をP1、高レベルの照射レーザ強度をP0とし、(−H1,P1)の組合せを信号“0”に割当て、(−H0,P0)の組合せを信号“1”に割当て、(H0,P0)の組合せを信号“2”に割当て、(H1,P1)の組合せを信号“3”に割当て、さらに印加磁界強度H及び照射レーザ強度Pを図44(b),(c)のパターンで駆動しても、図44(d)に示すように、図43(d)と同じ磁区列を記録できる。
【0122】
また、図45(b)に示すように外部磁界Hを2段階に切り換えて、低レベルの外部磁界強度を−H0 、高レベルの外部磁界強度をH0 とすると共に、図45(c)に示すように照射レーザ強度Pを2段階に切り換えて、低レベルの照射レーザ強度をP1、高レベルの照射レーザ強度をP0とし、(−H0,P1)の組合せを信号“0”に割当て、(−H0,P0)の組合せを信号“1”に割当て、(H0,P0)の組合せを信号“2”に割当て、(H0,P1)の組合せを信号“3”に割当て、さらに印加磁界強度H及び照射レーザ強度Pを図63(b),(c)のパターンで駆動しても、図45(d)に示すように、図43(d)と同じ磁区列を記録できる。
【0123】
〈多値記録方法の第6例〉
本例の多値記録方法は、多値記録信号を光磁気記録媒体に信号順に記録するのではなく、多値記録信号を光磁気記録媒体に特定の磁化状態を記録する複数の磁界及び/又は照射レーザの組合せに分割し、各組合せごとに順次信号を記録することを特徴とする。磁界の変数としては、磁界の大きさ、変調振幅範囲、変調周波数、又はこれらの組合せを利用することができ、照射レーザの変数としては、レーザ強度、変調周波数、パルス幅、又はこれらの組合せを利用することができる。光磁気記録媒体としては、第1構成例に係る光磁気記録媒体を適用できる。
【0124】
図46に示す磁化特性を有する光磁気記録媒体を例にとって、本例の多値記録方法を説明する。
【0125】
図47はその第1例を示すものであって、まず第1回目の記録は、光学ヘッドを所望のトラックに位置付け、H0 の磁場のもとで一定強度のレーザ光を照射し、トラック全体を状態“0”にする。次いで、光学ヘッドを第1回目の記録が行われたトラックに再度位置付け、H1 の磁場のもとでデータ“1”に対応する位置でレーザ光をパルス照射し、状態“0”の中に状態“1”の記録磁区を形成する。3回目の記録は、光学ヘッドを第1回目及び第2回目の記録が行われたトラックに再度位置付け、H2 の磁場のもとでデータ“2”に対応する位置でレーザ光をパルス照射し、状態“0”,“1”の中に状態“2”の記録磁区を形成する。この際、状態“2”の記録磁区が状態“1”の記録磁区上に形成されないように、予め信号を変調しておく。同様に、第4回目の記録においては、光学ヘッドを第1回目〜第3回目の記録が行われたトラックに再度位置付け、H3 の磁場のもとでデータ“3”に対応する位置でレーザ光をパルス照射し、状態“0”,“1”,“2”の中に状態“3”の記録磁区を形成する。この方式によると、外部磁場を高速で4値切り換えする必要がないので、記録再生装置の負担を軽いものにすることができる。
【0126】
図48は、本方式の信号記録の第2例を示すものであって、第1回目の記録は、光学ヘッドを所望のトラックに位置付けた後、印加する外部磁界をH0とH1の2値に切り換えつつ、データ“0”と“1”に対応する位置でレーザ光をパルス照射することによって行う。次いで、光学ヘッドを第1回目の記録が行われたトラックに再度位置付け、印加する外部磁界をH2とH3の2値に切り換えつつ、データ“2”と“3”に対応する位置でレーザ光をパルス照射することによって行う。これによって、4値記録が完了する。この方式によると、外部磁界をH0からH3までの大きな振幅で高速に切り換える必要がなく、H0〜H1及びH2〜H3の小さな振幅で切り換えれば良いので、やはり記録再生装置の負担を軽いものにすることができる。
【0127】
なお、前例においては、トラックごとに各記録を繰り返したが、ゾーンごと、あるいはディスク全体にわたって同様の記録方式を適用することもできる。
【0128】
また、H2,H3が夫々−H1,−H0に等しい場合には、例えば2重コイルヘッドにより、一方でH0〜H1間あるいはH2〜H3間の変調振幅に相当する磁場を発生させ、もう一方で、(H0−H1)/2の一定磁界をバイアスとして発生させ、その+と−を切り換えて重畳することにより、H0〜H1間あるいはH2〜H3間に相当する変調磁界を印加することができる。
【0129】
〈多値記録方法の第7例〉
本例の多値記録方法は、多値の信号レベルを正確に判定するため、信号を弁別するスライスレベルを設定するためのテスト信号を、光磁気記録媒体に記録することを特徴とする。光磁気記録媒体としては、前出の図20及び図21に示すフォーマットを有するものが用いられる。
【0130】
すなわち、多値記録方法の第1例と同様にして光磁気記録媒体を駆動し、光学ヘッドを所望のアドレスがあるトラックに、また、磁気ヘッドを当該所望のトラックの近傍に位置付けた後、磁気ヘッドより記録データに応じて外部磁界を印加しつつ、光学ヘッドよりレーザビームを照射して、外部磁界に応じた多値信号を記録する。このとき、記録した多値信号を弁別するスライスレベルを設定するためのテスト信号を図20のテスト領域17に記録し、その信号を再生することによって、スライスレベルの設定が行えるようにした。
【0131】
前記テスト信号のデータパターンは、図29に示すように、多値の信号レベルの全てを少なくとも1ヵ所ずつ持つようにした。その信号長は、必要に応じて任意に設定できるが、多値の信号レベルを正確に判定するため、再生用レーザビームのスポット径よりも長くすることが特に好ましい。
【0132】
尚、ここで言う「多値の信号レベル」とは、各磁区の磁化の状態で規定される信号レベル、例えば図82又は図83において状態“0”、“1”、“2”で示される相対信号出力と、複数の微小な磁区が連続する磁区パターンの合計の磁化状態にて規定される信号レベル、例えば図82又は図83において状態(“0”、“2”)、(“1”、“2”)、(“0”、“1”)で示される相対信号出力の両者を含む。また、「信号長」とは、図82又は図83の例にあっては、“0”、“1”、“2”の磁化状態を現出する磁区の長さを指し、図82又は図83の例にあっては、(“0”、“2”)、(“1”、“2”)、(“0”、“1”)の磁化状態を現出するその磁区パターンの連続する長さを指す。これを再生用レーザビームのスポット径よりも長くすることによって、各信号のスライスレベルを設定するためのテスト信号の各レベルにおいて、前後の信号レベルを光学的な干渉によるレベルシフトを生じない領域とすることができる。また、磁気超解像型の光磁気記録媒体を考慮するならば、テスト信号の各レベルの信号に、前後の信号レベルと光学的な干渉によるレベルシフトを生じさせない領域をもたせることがより好ましい。
【0133】
多値記録信号の再生に当っては、図50に示すように、テスト信号の再生時に、多値信号レベルの1〜nのレベルを各々サンプルホールドし、信号レベルkとk+1のサンプルホールドレベルVk とVk+1 から信号レベルkとk+1を弁別するためのスライスレベル(Vk +Vk+1 )/2を生成する。
【0134】
なお、前記テスト信号は、前記データ記録単位の先頭部分に記録することもできるし、データ記録単位中に一定間隔ごとに設けることもできる。また、前記データ記録単位は、セクタ構造を有する媒体の場合にはセクタ全体でも良いし、クロックの同期をとるための信号に挾まれた領域でも良い。さらには、データの変復調のブロックであっても良いし、任意のバイト数ごとに挿入しても良い。
【0135】
〈多値記録方法の第8例〉
本例の多値記録方法は、多値記録信号のエッジを検出するタイミングを正確に判定するためのテスト信号を、光磁気記録媒体に記録することを特徴とする。光磁気記録媒体としては、同じく、前出の図20及び図21に示すフォーマットを有するものが用いられる。
【0136】
すなわち、多値記録方法の第1例と同様にして光磁気記録媒体を駆動し、光学ヘッドを所望のアドレスがあるトラックに、また磁気ヘッドを当該所望のトラックの近傍に位置付けた後、磁気ヘッドより記録データに応じて外部磁界を印加しつつ、光学ヘッドよりレーザビームを照射して、外部磁界に応じた多値信号を記録する。このとき、記録した多値信号のエッジを再生するタイミングの基準信号を生成するためのテスト信号を図21のテスト領域17に記録し、その信号を再生することによって、エッジ検出の基準タイミングの生成が行えるようにした。
【0137】
前記テスト信号のデータパターンは、図51に示すように、多値の信号レベル間の全てのエッジを少なくとも1ヵ所ずつ持つようにした。その信号長は、必要に応じて任意に設定できるが、各多値レベルの長さの光学的な位相シフトを防止するため、再生用レーザビームのスポット径の1/2よりも長くすることが特に好ましい。また、磁気超解像型の光磁気記録媒体を考慮するならば、テスト信号の各エッジの信号に、前後のエッジの信号と光学的な干渉によるレベルシフトを生じさせない長さ以上のエッジ間隔を設定することがより好ましい。
【0138】
本例の場合も、「多値の信号レベル」とは、各磁区の磁化の状態で規定される信号レベル、例えば図82又は図83において状態“0”、“1”、“2”で示される相対信号出力と、複数の微小な磁区が連続する磁区パターンの合計の磁化状態にて規定される信号レベル、例えば図82又は図83において状態(“0”、“2”)、(“1”、“2”)、(“0”、“1”)で示される相対信号出力の両者を含む。また、「信号長」とは、図82又は図83の例にあっては、“0”、“1”、“2”の磁化状態を現出する磁区の長さを指し、図82又は図83の例にあっては、(“0”、“2”)、(“1”、“2”)、(“0”、“1”)の磁化状態を現出するその磁区パターンの連続する長さを指す。これを再生用レーザビームのスポット径の1/2よりも長くすることにより、多値記録信号のエッジを検出するタイミングの基準と成るタイミング信号を生成するためのテスト信号の各エッジの信号は、前後のエッジの信号レベルと光学的な干渉によるエッジシフトを生じない。
【0139】
多値記録信号の再生に当っては、テスト信号の再生時に、各区エッジを独立に検出し、エッジ検出信号の基準タイミングを生成する。データ信号再生時には、各区エッジを独立に検出し、図52に示すように、テスト信号のエッジ検出タイミングを基準にして、各エッジ検出信号を合成する。
【0140】
なお、本例の場合にも、前記テスト信号は、前記データ記録単位の先頭部分に記録することもできるし、データ記録単位中に一定間隔ごとに設けることもできる。また、前記データ記録単位は、セクタ構造を有する媒体の場合にはセクタ全体でも良いし、クロックの同期をとるための信号に挾まれた領域でも良い。さらには、データの変復調のブロックであっても良いし、任意のバイト数ごとに挿入しても良い。
【0141】
〈多値記録方法の第9例〉
本例の多値記録方法は、多値の信号レベルを正確に判定するため、信号を弁別するスライスレベルを設定するためのテスト信号を光磁気記録媒体に記録すると共に、多値記録信号のエッジを検出するタイミングを正確に判定するためのテスト信号を光磁気記録媒体に記録することを特徴とする。光磁気記録媒体としては、前出の図20及び図21に示すフォーマットを有するものが用いられる。
【0142】
すなわち、多値記録方法の第1例と同様にして光磁気記録媒体を駆動し、光学ヘッドを所望のアドレスがあるトラックに、また、磁気ヘッドを当該所望のトラックの近傍に位置付けた後、磁気ヘッドより記録データに応じて外部磁界を印加しつつ、光学ヘッドよりレーザビームを照射して、外部磁界に応じた多値信号を記録する。このとき、記録した多値信号を弁別するスライスレベルを設定するためのテスト信号並びに記録した多値信号のエッジを再生するタイミングの基準信号を生成するためのテスト信号を図21のテスト領域17に記録し、その信号を再生することによって、スライスレベルの設定並びにエッジ検出の基準タイミングの生成が行えるようにした。
【0143】
前記各テスト信号のデータパターン並びに多値記録信号の再生方法については、前出の多値記録方法の第7例及び第8例と同じであるので、重複を避けるために説明を省略する。
【0144】
なお、本例の場合にも、前記テスト信号は、前記データ記録単位の先頭部分に記録することもできるし、データ記録単位中に一定間隔ごとに設けることもできる。また、前記データ記録単位は、セクタ構造を有する媒体の場合にはセクタ全体でも良いし、クロックの同期をとるための信号に挾まれた領域でも良い。さらには、データの変復調のブロックであっても良いし、任意のバイト数ごとに挿入しても良い。
【0145】
〈多値記録方法の第10例〉
光磁気記録媒体にマークエッジ記録を行う一手段として、図53に示すように、一定の周期で記録磁区を形成し、情報信号に応じて記録磁区のエッジ位置を記録磁区周期よりも十分に小さな範囲で2段階以上に段階的に変調させた。この方式を本発明の多値記録用光磁気記録媒体と組み合わせることにより、時間方向(トラック方向)と振幅方向の2次元多値記録が実現できる。なお、記録磁区の形成周期は、任意のエッジの信号とその前後のエッジの信号との光学的な干渉によるエッジシフトを生じない長さ以上の磁区長及び磁区間隔とすることがより好ましい。
【0146】
記録方法としては、記録用レーザビームと外部磁界とを同時に変調して記録する方式において、記録用レーザビームの照射強度、照射時間、照射タイミング、それに印加する外部磁界の強度あるいは切り替えのタイミングなどを記録情報に応じて変調する方法がとられる。
【0147】
図54は、記録用レーザビームの照射パルス幅を、記録情報信号に応じて段階的に変調した例を示している。光−磁気変調記録においては、光磁気記録媒体が記録可能な温度に昇温された範囲が媒体冷却時に外部磁界に応じた磁区となるので、エッジの位置は記録用レーザビームの照射開始タイミングに大きく依存する。したがって、図55のように、パルス幅一定で照射タイミングを記録情報信号に応じて段階的に変調することも可能である。さらには、熱的な履歴が残ることによるエッジシフトを防止するために、図56に示すように、光照射パルスの前エッジを当該記録情報信号によって、また後エッジを次の記録情報信号に応じて段階的に変調しても良い。
【0148】
図57は、記録用レーザビームの照射強度を、記録情報信号に応じて段階的に変調した例を示している。記録用レーザビームの照射強度を変調すると、記録磁区の大きさ、すなわち記録磁区の磁化状態及び長さが光強度に応じて変調されるので、光照射タイミングを変調する場合と同様に、エッジ位置を制御できる。また、光強度単独に限られず、光照射タイミング制御や光照射パルス幅制御と併用することも可能である。
【0149】
図58は、外部磁界の強度を変調することにより、エッジ位置を制御した例を示している。光磁気記録媒体に印加される外部磁界強度を変化させると、記録磁区の大きさが変化するので、記録用レーザビームの照射強度等を変調する場合と同様に、エッジ位置を制御できる。もちろん、これと光強度制御や光照射タイミング制御、それに光照射パルス幅制御と併用することも可能である。
【0150】
図59は、外部磁界の印加タイミングを変調することにより、エッジ位置を制御した例を示している。この場合、記録磁区のエッジ位置は、印加磁界の切り替え位置と対応するので、記録用レーザビームは、パルスのみならずDC光でも良い。
【0151】
〈多値記録方法の第11例〉
光−磁界変調記録においては、光強度と光パルス幅により基本的な磁区形状が決まる。図60に示すように、記録用レーザビームの強度と記録パルス幅を同時に制御することにより、記録磁区長を一定に保ちつつ、記録磁区幅を変化させることができる。すなわち、これによって各記録レベルを微小に変化させることができるので、情報信号に対応してレベルの微小変調を行うことにより、記録の多値化が実現できる。前出の多値記録方法の第9例に示した2次元多値記録と復号すれば、記録磁区のエッジ位置、磁化状態に対応したレベル位置、及び磁区の幅に対応したレベル位置の3パラメータによる3次元多値記録が実現できる。
【0152】
〈多値記録方法の第12例〉
本例の多値記録方法は、光学ヘッドのトラッキング制御方式として、サンプルサーボ方式を用いることを特徴とする。光磁気記録媒体としては、前出の図21及び図61(a)に示すフォーマットを有するものが用いられる。
【0153】
図21及び図61(a)に示すように、本例の光磁気記録媒体は、記録トラック11が多数のデータ記録単位(セグメント)12に分割されており、各データ記録単位(セグメント)12には、サーボ領域14とデータ記録領域15とが設けられている。また、サーボ領域14には、トラッキングピット16と埋め込みピット18とが予め設けられている。
【0154】
図62は、かかるサンプルサーボ方式の光磁気記録媒体に好適な記録再生装置のブロック図であって、レーザから出射したレーザビームは、絞り込みレンズにより記録層上にスポットを形成する。一方、レーザスポットの近傍には、磁気コイル(磁気ヘッド)が配置されており、多値信号で強度変調された磁界を記録層に印加できるように構成されている。レーザから出射したレーザビームは、記録トラック11に沿って照射され、レーザビームのトラッキングは、サーボ領域14に設けられたトラッキングピット16を検出することによって行われる。一方、信号の記録再生は、サーボ領域14に設けられた埋め込みピット18より検出される信号からPLL回路でチャネルクロックを生成し、このチャネルクロックでレーザ駆動回路、多値符号器、それに多値復号器を制御することによって行う。
【0155】
なお、光磁気ディスクにおいては、一般に基板の微小な複屈折率の変動により、再生信号のDCレベルが変動する。一方、サンプルサーボ方式の光磁気ディスクには、1トラック当たり1000個以上のセグメントが存在し、その範囲内では、再生信号のDCレベルは一定であるとみなすことができる。そこで、各セグメントの一部、例えばテスト領域17に信号が記録されない未記録領域を設けておくことによって、当該未記録領域の反射率を基準としてDCレベルの変動の補正を行うことができ、多値記録信号の識別を容易にすることができる。図63に、図62の記録再生装置に適用されるDCレベル補正回路の一例を示す。レベルクランプゲートは、前記未記録領域からの再生信号が検出された時点で、サンプルサーボ回路(S/H回路)をホールドするように制御する。
【0156】
〈多値記録方法の第13例〉
本例の多値記録方法は、駆動装置の温度、環境温度、駆動装置の性能のばらつき、光磁気記録媒体の特性のばらつき等に関係なく、多値記録信号振幅(多値記録磁区幅)を一定に制御するためのテスト信号を、光磁気記録媒体のユーザ領域外に設けられたテスト領域に記録し、その再生信号を基準信号と比較して、記録レーザパワー及び/又は記録レーザパルス幅を制御することを特徴とする。光磁気記録媒体としては、前出の図22及び図23に示すフォーマットを有するものが用いられる。
【0157】
まず、光磁気記録媒体を記録再生装置に装着し、光学ヘッドをテスト領域22中の所望のアドレスに位置付ける。また、磁気ヘッドを当該所望のトラックの近傍に位置付ける。しかる後に、光学ヘッド及び磁気ヘッドを駆動して、当該テスト領域に、当該光磁気記録媒体に記録しようとする多値記録信号を組み合わせた一定のテストパターンを記録する。次いで、当該テスト信号を再生して信号振幅を基準の信号振幅と比較し、光磁気記録媒体上の記録温度を一定に制御する。
【0158】
テスト信号の記録は、光磁気記録媒体を記録再生装置に装着した後であれば、必要に応じて適宜のタイミングで行うことができる。例えば、光磁気記録媒体を記録再生装置に装着した時点で行うこともできるし、記録再生装置の動作開始時点で行うこともできる。また、光磁気記録媒体に対する信号の記録動作の直前で行うこともできる。さらには、光磁気記録媒体を記録再生装置に装着した後、一定の時間間隔で行うこともできる。
【0159】
テストパターンの記録は、図64(a)に示すように、多値記録信号の相隣接する2つの信号レベル間に近似した再生信号が得られるように、一定レベルの外部磁界をパルス状に印加しつつ、レーザパワーを連続的又は段階的に変化させて、単一の周波数で行う。本例では、各多値記録レベルについて、レーザパワーを0.1mWずつ8段階に切り替えて、テストパターンの記録を行った。図64(b)にその再生信号波形を示す。そして、夫々の記録パワーの再生信号に対して信号の最小値、最大値をピークホールドし、信号振幅を求め、それらの信号振幅と基準の信号振幅との差が最も小さくなり、かつその差が一定の値以下になる条件を最適記録条件とする。最適記録条件が見つからない場合には、レーザパワーを上げてテスト記録を繰り返す。記録再生装置の最大パワーを超えても最適記録条件が見つからない場合には、エラーとして動作を終了する。
【0160】
図65に、最適条件検出回路のブロック図を示す。基準の信号振幅は、媒体上のユーザ領域外でかつテスト領域外に予め記録された信号から求めることができる。また、媒体上に予め記録された基準信号振幅に関するデータを読み取って、記録再生装置で生成することもできる。さらには、記録再生装置に備えられたメモリに予め基準信号振幅に関するデータを記憶しておくこともできる。
【0161】
なお、前例においては、レーザパワーを変えることによってテストパターンを記録したが、記録パルス幅を変えてテストパターンを記録することもできるし、さらには、レーザパワーと記録パルス幅の両方を変えてテストパターンを記録することもできる。
【0162】
〈多値記録方法の第14例〉
本例の多値記録方法は、駆動装置の温度、環境温度、駆動装置の性能のばらつき、光磁気記録媒体の特性のばらつき等に関係なく、多値記録信号振幅(多値記録磁区幅)を一定に制御するためのテスト信号を、光磁気記録媒体のユーザ領域外に設けられたテスト領域に記録し、その再生信号から各多値記録レベル間の振幅が等しくなるように記録外部磁界を制御することを特徴とする。光磁気記録媒体としては、前出の図22及び図23に示すフォーマットを有するものが用いられる。
【0163】
第13例と同様に、まず、光磁気記録媒体を記録再生装置に装着し、光学ヘッドをテスト領域22中の所望のアドレスに位置付ける。また、磁気ヘッドを当該所望のトラックの近傍に位置付ける。しかる後に、光学ヘッド及び磁気ヘッドを駆動して、当該テスト領域に、当該光磁気記録媒体に記録しようとする多値記録信号を組み合わせた一定のテストパターンを記録し、多値記録信号のレベル間の信号振幅が一定になるように外部磁界を制御する。
【0164】
テストパターンの記録は、図66(a)に示すように、多値記録レベルの全てを含み、かつそのうちの2つの多値記録レベルを基準として、その他の各多値記録レベルの外部磁界を変化させるテストパターンを用いて行う。本例では、各多値記録信号レベルに対して、外部磁界を4段階に切り替えて、テストパターンの記録を行った。図66(b)にその再生信号波形を示す。そして、夫々の記録磁界の再生信号に対して信号レベルをサンプルホールドし、信号振幅を求める。また、得られた各多値信号レベルを比較して、信号レベル間隔が等しくなるような外部磁界の組合せを最適記録条件とする。図67に、本例の記録再生方法に好適な最適条件検出回路のブロック図を示す。
【0165】
その他については、第13例の記録再生方法と同じであるので、重複を避けるために説明を省略する。
【0166】
〈多値記録方法の第15例〉
本例の多値記録方法は、光磁界変調記録を行う光磁気記録再生装置において、駆動装置の温度、環境温度、駆動装置ばらつき、光磁気記録媒体ばらつきに関係なく、多値記録信号の記録信号振幅(多値記録磁区幅)を一定に制御するために、レーザ光パワーおよびレーザ光パルス幅の少なくとも一方を変更しつつ、2種以上の光パルス周期でテスト信号の記録を行い、各々の信号レベルの平均値の差が一定の値になるように記録レーザパワーおよびレーザ光パルス幅の少なくとも一方を制御することを特徴とする。光磁気記録媒体の例としては図22および図23に示すフォーマットを有するものが用いられる。
【0167】
多値記録方法の第13例、第14例と同様に、まず、光磁気記録媒体を記録再生装置に装着し、光学ヘッドをテスト領域22注の所望のアドレスに位置付ける。また、磁気ヘッドを当該所望のトラックの近傍に位置付ける。しかる後に、光学ヘッドおよび磁気ヘッドを駆動して、当該テスト領域に、当該光磁気記録媒体に記録しようとする多値記録信号を2種以上の光パルス周期で、レーザ光パワーおよびレーザ光パルス幅の少なくとも一方を変更しつつ記録する。ついで、当該テスト信号を再生して、前記の2種以上の周期の再生信号の各々の信号レベルの平均値の差が一定にすることにより、光磁気記録媒体の記録磁区幅を一定に制御する。
【0168】
テスト記録は、図68あるいは図69に示すように、多値記録信号の最も振幅の大きな2つのレベル間で2種以上の記録レーザ光パルス周期で行う。上記2つの記録レーザ光パルス周期のうち少なくとも1種の周期は、当該周期の記録磁区が重なり合わない周期に、少なくとも1種の周期は、当該周期の記録磁区が重なり合う周期に設定する。図68あるいは図69に示すようなタイミングで極性を切り替えつつ一定強度の記録外部磁界を印加しつつ、記録レーザパワーを段階的に変化させて記録を行う。図70は図68の再生信号波形を表している。また、図71は図69の再生信号波形を示している。図70の場合も図71の場合も、記録レーザパワーを変化させると、記録磁区が重なり合う周期で記録した信号の信号レベルの平均値に対して、記録磁区が重なり合わない周期で記録した信号の信号レベルの平均値が大きく変化する。段階的に変化させたすべての記録条件に対して、2つの周期の平均値の差(Δ1)を検出して、Δ1の値が基準値に最も近い条件を最適記録条件に設定する。このとき、予め設定した基準値が0の場合、光磁気記録媒体ばらつきや回路のDCオフセットやドリフトの影響を受けにくいので、基準値が0になるように記録磁区の重ならない周期を、実効的な光スポット径とほぼ等しくすることが望ましい。
【0169】
図72に最適条件検出回路のブロック図の一例を示す。再生されたテスト信号は、上記記録レーザパルス周期より充分低いカットオフ周波数を持ったローパスフィルタを通すことにより、各々の記録レーザパルス周期の再生信号レベルの平均値になる。その上で、信号の最大値と最小値をピークホールドして差を取ることによりΔ1を検出することができる。
【0170】
その他については第13例の記録再生方法と同じであるので、重複を避けるため説明を省略する。
【0171】
〈多値記録方法の第16例〉
本例の多値記録方法は、多値記録用の光磁気記録媒体に、当該光磁気記録媒体が有する安定な記録状態の磁界領域の数よりも多値の記録信号を記録することを特徴とする。光磁気記録媒体としては、前出の第1構成例及び第2構成例に係る光磁気記録媒体を用いることができるが、ここでは4値記録用の光磁気記録媒体(第1構成例に係る光磁気記録媒体。具体的には、図9〜図13の光磁気記録媒体。)を用いて、16値の記録を行う場合について説明する。
【0172】
まず、光磁気記録媒体をターンテーブル等の媒体駆動部に装着し、透明基板側に光学ヘッドを、保護層側に磁気ヘッドを配置する。媒体駆動部を起動して光磁気記録媒体と光学ヘッド及び磁気ヘッドとを相対的に所定の線速度で駆動し、光学ヘッド及び磁気ヘッドを所定のトラックに位置付ける。しかる後に、光学ヘッドより当該所定の記録トラックに沿って一定強度のレーザビームを照射しつつ、磁気ヘッドより所望の記録信号にてパルス状に信号変調された磁界を印加して信号の記録を行う。
【0173】
この場合、図73に示すように、4値記録信号(00312200120321331130230113203210)を先頭から2つずつ区切ることによって、(00)(31)(22)(00)(12)(03)(21)(33)(11)(30)(23)(01)(13)(20)(32)(10)という信号列に変換し、さらに、各組の第1番目の信号と第2番目の信号とを別個に取りだすことによって、(0320102313201231)という第1の信号列と、(0120231310313020)という第2の信号列とに分割する。
【0174】
そして、レーザビームが、所望の記録トラックの先頭位置に至ったとき、光学ヘッドより照射されるレーザビームの強度を記録レベルP1 に切り替えると共に、磁気ヘッドより第1の信号列にてパルス状に信号変調された磁界H1 を印加する。これによって、図73(a)に示すように、光磁気記録媒体に幅広の第1の書き込み信号列201を形成する。
【0175】
次いで、レーザビームを、第1の書き込み信号列201が形成された記録トラックの先頭位置に再度位置付け、光学ヘッドより照射されるレーザビームの強度を、前記第1の書き込み信号列201を書き換え可能なレベルP2 (P1>P2)に切り替えると共に、磁気ヘッドより第2の信号列にてパルス状に信号変調された磁界H2 を印加する。これによって、図73(a)に示すように、第1の書き込み信号列201の中心部に、第1の書き込み信号列201の幅よりも狭い第2の書き込み信号列202を形成する。なお、第1の書き込み信号列201の幅よりも第2の書き込み信号列202の幅を小さくし、第1の書き込み信号列201の一部を第2の書き込み信号列202に書き換えることは、波長が異なる複数個のレーザ光を用いることにより、スポットの大きさを変更することによっても行うことができる。
【0176】
記録信号の再生は、第1の書き込み信号列201の幅よりもスポット径Dが大きな再生用レーザビーム210を、記録トラックに沿って照射することにより行える。すなわち、記録トラックに沿って第1の書き込み信号列201の幅よりもスポット径Dが大きな再生用レーザビーム210を照射すると、図73(b)に示すように、第1及び第2の信号列の信号が共に“3”の領域と、第1の信号列の信号が“3”で第2の信号列の信号が“2”の領域と、第1の信号列の信号が“3”で第2の信号列の信号が“1”の領域と、第1の信号列の信号が“3”で第2の信号列の信号が“0”の領域と、第1の信号列の信号が“2”で第2の信号列の信号が“3”の領域と、第1の信号列の信号が“2”で第2の信号列の信号が“2”の領域と、第1の信号列の信号が“2”で第2の信号列の信号が“1”の領域と、第1の信号列の信号が“2”で第2の信号列の信号が“0”の領域と、第1の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“3”の領域と、第1の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“2”の領域と、第1の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“1”の領域と、第1の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“0”の領域と、第1の信号列の信号が“0”で第2の信号列の信号が“3”の領域と、第1の信号列の信号が“0”で第2の信号列の信号が“2”の領域と、第1の信号列の信号が“0”で第2の信号列の信号が“1”の領域と、第1及び第2の信号列の信号が共に“0”の領域とでは、再生用レーザスポット210が照射された領域の合計の磁化状態が異なるので、前記各領域における合計の磁化状態に、夫々“0”〜“15”を割り当てることによって、16値の記録信号を検出できる。
【0177】
かように、本例の記録再生方式によると、4値記録媒体を用いて、信号の16値記録を実現できるので、安価にして記録情報量が大きい光磁気記録媒体を提供できる。
【0178】
なお、磁界変調方式に代えて、光変調方式によっても同様の16値記録を実行できることは勿論である。
【0179】
〈多値記録方法の第17例〉
本例の多値記録方法は、4値記録用の光磁気記録媒体に、光−磁界変調方式により信号を16値記録することを特徴とする。
【0180】
第16例の場合と同様に、光磁気記録媒体をターンテーブル等の媒体駆動部に装着し、透明基板側に光学ヘッドを、保護層側に磁気ヘッドを配置する。媒体駆動部を起動して光磁気記録媒体と光学ヘッド及び磁気ヘッドとを相対的に所定の線速度で駆動し、光学ヘッド及び磁気ヘッドを所定のトラックに位置付ける。しかる後に、図74に示すように、光学ヘッドより当該所定の記録トラックに沿ってパルス状に強度変調されたレーザビームを照射しつつ、磁気ヘッドより所望の記録信号にてパルス状に信号変調された磁界を印加して信号の記録を行う。
【0181】
記録信号は、第16例と同様の方法で、第1の信号列と第2の信号列とに分割する。そして、レーザビームが、所望の記録トラックの先頭位置に至ったとき、光学ヘッドより照射されるレーザビームをパルス状に切り替えると共に、その強度を記録レベルP1 に切り替える。また、磁気ヘッドより第1の信号列にてパルス状に信号変調された磁界H1 を印加する。これによって、図74(a)に示すように、光磁気記録媒体に幅広の第1の書き込み信号列201を形成する。パルス状の記録用レーザビームは、磁気ヘッドより印加される外部磁界が目標値に到達したタイミングに併せて照射される。
【0182】
次いで、レーザビームを、第1の書き込み信号列201が形成された記録トラックの先頭位置に再度位置付け、光学ヘッドより照射されるレーザビームをパルス状に切り替えると共に、その強度を、前記第1の書き込み信号列201を書き換え可能なレベルP2 (P1>P2)に切り替える。また、磁気ヘッドより第2の信号列にてパルス状に信号変調された磁界H2 を印加する。これによって、図74(a)に示すように、第1の書き込み信号列201の中心部に、第1の書き込み信号列201の幅よりも狭い第2の書き込み信号列202を形成する。この場合にも、パルス状の記録用レーザビームは、磁気ヘッドより印加される外部磁界が目標値に到達したタイミングに併せて照射される。なお、本例の記録再生方式においては、第1回目の記録時と第2回目の記録時とで記録用レーザビームの発光タイミングを時間tだけずらしている。このようにすると、図75に示すように、第1回目と第2回目の記録用レーザビームの発光タイミングを揃えた場合よりも、各領域より検出される再生信号の波形が、よりシャープになる。時間tは、再生信号の波形が、最もシャープになる値に調節される。
【0183】
記録信号の再生は、第16例の場合と同様に、第1の書き込み信号列201の幅よりもスポット径Dが大きな再生用レーザビーム210を、記録トラックに沿って照射することにより行える。すなわち、記録トラックに沿って第1の書き込み信号列201の幅よりもスポット径Dが大きな再生用レーザビーム210を照射すると、図74(b)に示すように、第1及び第2の信号列の信号が共に“3”の領域と、第1の信号列の信号が“3”で第2の信号列の信号が“2”の領域と、第1の信号列の信号が“3”で第2の信号列の信号が“1”の領域と、第1の信号列の信号が“3”で第2の信号列の信号が“0”の領域と、第1の信号列の信号が“2”で第2の信号列の信号が“3”の領域と、第1の信号列の信号が“2”で第2の信号列の信号が“2”の領域と、第1の信号列の信号が“2”で第2の信号列の信号が“1”の領域と、第1の信号列の信号が“2”で第2の信号列の信号が“0”の領域と、第1の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“3”の領域と、第1の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“2”の領域と、第1の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“1”の領域と、第1の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“0”の領域と、第1の信号列の信号が“0”で第2の信号列の信号が“3”の領域と、第1の信号列の信号が“0”で第2の信号列の信号が“2”の領域と、第1の信号列の信号が“0”で第2の信号列の信号が“1”の領域と、第1及び第2の信号列の信号が共に“0”の領域とでは、再生用レーザスポット210が照射された領域の合計の磁化状態が異なるので、前記各領域における合計の磁化状態に、夫々“0”〜“15”を割り当てることによって、16値の記録信号を検出できる。
【0184】
本実施例によると、前記第16例と同様の効果を奏するほか、磁気ヘッドによって印加される外部磁界が目標値に到達したタイミングに併せてパルス状の記録用レーザビームを照射するようにしたので、各磁化ドメインのエッジがシャープになり、ジッタに対するマージンを大きくできる。また、第1回目の記録時と第2回目の記録時とで記録用レーザビームの発光タイミングをずらしたので、第1回目と第2回目の記録用レーザビームの発光タイミングを揃えた場合よりも各領域よりシャープな再生信号を得ることができる。よって、これらの効果より、ピットエッジ記録が可能になる。
【0185】
なお、記録信号を3つの信号列に分割し、同一のトラック上にこれら3つの信号列を重ね書きすれば、同様の原理によって、64値信号記録を行える。
【0186】
〈多値記録方法の第18例〉
本例の多値記録方法は、記録トラックに沿って微小なプリピットが微小な間隔で形成された光磁気記録媒体に対して、信号を記録再生することを特徴とする。この光磁気記録媒体の構成及び用法としては、以下のようなものが考えられる。
【0187】
a.情報記録領域にデータ単位に分割されたプリピット群を有する基板上に光磁気記録層を形成し、プリピット内又はプリピット間に光磁気信号を記録する。
【0188】
b.前記a.の媒体の上に、多値記録が可能な記録膜を積層する。
【0189】
c.前記a.のプリピット群を、トラックごとに規則的に配列する。半径方向に直線上に並べたり、1/2周期ずらしたりする。これにより、クロストークの量子化が可能になる。
【0190】
d.前記a.の媒体において、プリピットの内と外で、膜の組成や膜厚を変更することもできる。
【0191】
e.前記a.の媒体のプリピットを再生光スポット径より小さく形成し、その上に磁気超解像が可能な記録膜を積層する。
【0192】
f.その他、前記a.〜e.の媒体に対して、前記した各種の多値記録方法を適用する。
【0193】
光磁気記録媒体においては、記録密度の向上が、最も重大な技術的課題の1つである。記録磁区を微小化し、信号をトラック方向に詰めて記録すれば、記録密度を向上することはできる。しかしながら、記録磁区を微小化すると、隣接した磁区から再生される信号が相互に干渉しやすくなり、分離できなくなる。
【0194】
記録トラックに沿って微小なプリピットを微小な間隔で形成すると、記録トラックに沿って再生用レーザビームを照射したとき、光の回折や干渉によってプリピットがある部分からの反射光信号とプリピットがない部分からの反射光信号とが変化するので、その反射光信号(いわゆる和信号)を検出することによって、プリピットの有無を検出できる。一方、磁性膜に記録された光磁気信号(いわゆる差信号)は、プリピットの有無に関係なく、記録磁区の磁化の方向を検出することによって検出できる。したがって、記録磁区をプリピットと位置的に関連付けて形成すれば、記録磁区が微小化しても記録磁区の位置を明確にすることができ、信号の分離が容易になって、記録密度の向上が図れる。
【0195】
図76は、プリピット301上に記録磁区302を形成した場合を示している。本例の場合には、和信号と差信号が1対1に対応するので、和信号のピークを検出することによって、記録磁区302を検出できる。
【0196】
図77(a)は、記録磁区302の先頭エッジがプリピット301に重なるように記録磁区302を形成した場合を示し、図77(b)は、相隣接するプリピット301の間に複数(本例では3個)の記録磁区302を形成した場合を示す。また、図77(c)は、プリピット301の配列中心と記録磁区302の配列中心をずらした場合を示し、図77(d)は、プリピット301の配列中心と記録磁区302の配列中心をずらすと共に、相隣接するプリピット301の間に複数(本例では3個)の記録磁区302を形成した場合を示す。
【0197】
図78(a)は、プリピット301を凸形に形成した場合を示し、図78(b)は、プリピット301を楕円形に形成した場合を示す。また、図78 (c)は、2つの凸形のプリピット301a,301b上に1つの記録磁区302を形成した場合を示し、図78(d)は、2つの凹形のプリピット301a,301b上に1つの記録磁区302を形成した場合を示す。
【0198】
図79は、プリピット301をトラック方向のみならず、トラック間方向にも規則性をもたせて形成した場合を示す。このように、隣接トラック上のプリピット相互の位置関係に規則性をもたせ、これを案内として記録磁区を形成すると、隣接トラックからに記録信号の漏れ込み、いわゆるクロストークのレベルを、記録パターンによって量子化されたレベルにできる。
【0199】
図80は、中央のトラックを再生用レーザスポット210の中心が通るように再生用レーザスポット210を走査した状態を示す。このようにすると、再生信号レベルは、両側のトラックの記録パターンとの組合せによって、6つのレベルに分離された多値信号として出力される。元の信号は、各トラックの中央を再生用レーザスポット210の中心が通るように再生した信号の相互関係により、漏れ込んだ信号をキャンセルして再生する。この場合、1度多値記録として再生され、6段階に分離されているので、クロストークのキャンセルが容易になる。
【0200】
本例の記録再生方法は、再生光スポット内にレーザの進行方向ないしクロストラック方向に複数の記録ピットが存在し、それらの記録状態の各組合せにより発現する再生信号の各レベルが各々画定された多段階にある記録再生方式であり、多値記録用の光磁気記録媒体のみならず、通常の2値記録用の光磁気記録媒体や磁気超解像形の光磁気記録媒体を用いた信号の記録再生にも応用できる。
【0201】
以下に、本発明の他の多値記録方法を列挙する。
【0202】
▲1▼透明基板上に積層される各膜の屈折率や膜厚、それに垂直磁化膜のカー回転角などを調整することによって、各記録状態に対応する相対信号出力の間隔を等しくする。例えば3値記録媒体の場合、図81に示すように、状態“0”、“1”、“2”に対応する記録信号の各レベル間隔を等しくする。このようにすると、記録信号の各レベル間隔の遷移に対する再生信号のS/Nが均等になり、総合的に信号効率が高められる。本法は、最小記録磁区の大きさが、再生用光のスポット径に対して比較的大きい場合、例えばスポット径の1/2以上である場合に特に有効である。
【0203】
▲2▼最小記録磁区の大きさが、再生用光のスポット径よりも小さい場合、特にスポット径の1/2以下の大きさで記録を行う場合、微小磁区の波形間干渉で発生する信号レベルと各記録状態の大きな磁区から発生する信号レベルとが異なるようにする。
【0204】
最小記録磁区の大きさが、再生用光のスポット径に対して比較的小さい場合、例えばスポット径の1/2以下である場合には、これが連続すると、再生信号の波形間干渉により信号出力は両状態の中間値をとる。例えば、本発明の多値記録媒体に状態“0”と状態“2”の同じ大きさの微小記録磁区を繰り返し記録した場合、図82に示すように、状態“1”に対する再生用光のスポット径に対して比較的大きい磁区の再生信号と同じレベルとなり、両者の区別ができなくなる。
【0205】
そこで、微小磁区の波形間干渉で発生する信号レベルと各記録状態の大きな磁区から発生する信号レベルとが異なるようにすると、状態“0”、状態“1”、状態“2”、それに状態“0”と状態“1”との間の波形間干渉レベル、状態“0”と状態“2”との間の波形間干渉レベル、状態“1”と状態“2”との間の波形間干渉レベルにそれぞれ信号を割り当てることによって、より高次の多値記録が可能になる。
【0206】
各信号レベルは、相互に一致しないようにし、好ましくは等間隔にする。その方法としては、媒体で行う方法と記録方式で行う方法がある。媒体で行う方法としては、図83に示すように、微小磁区の波形間干渉で発生する信号レベルとは異なる信号レベルに各記録状態の大きな磁区から発生する信号レベルが位置するように、各膜の多重干渉条件を設定する方法がある。また、記録方式で行う方法としては、図84に示すように、各記録状態の大きな磁区から発生する信号レベルとは異なる位置に、微小磁区の波形間干渉で発生する信号レベルが位置するように、記録磁区の面積比率を制御する方法がある。具体的には、媒体が記録再生装置に挿入された際に、装置が微小記録磁区の面積比率を変化させて記録を試行し、各記録状態の大きな磁区から発生する信号レベルと相互に一致せず、好ましくは等間隔にする面積比を選定するという方法をとることができる。また、これら媒体で行う方法と記録方式で行う方法とを併用することもできる。この併用方式によると、より各信号レベルの調整が容易となり、信号レベル間隔を等間隔にすることができる。また、記録磁区の面積比率を制御することにより、信号レベルを任意の位置に調整することもできる。
【0207】
▲3▼多値記録媒体に対するマークエッジ記録方法と、当該方法でマークエッジ記録がされた媒体からの信号再生方法。
図85に、記録磁区の端部(マークエッジ)に3値の情報を担持させるマークエッジ記録方法、及び当該方法でマークエッジ記録がされた多値記録媒体からの信号再生方法を示す。光磁気記録媒体としては、磁性層に3値の情報を記録可能な光磁気記録媒体が用いられる。
【0208】
まず、当該光磁気記録媒体に対するマークエッジ記録方法について説明する。光磁気記録媒体に3値の情報“0”、“1”、“2”を記録するためには、磁性層の磁化状態(磁性層が複数層ある場合には、各磁性層が有する磁化状態の合計の磁化状態)を3段階に切り替える必要がある。それら3段階の磁化状態を夫々A,B,C(但し、磁化の大きさは、A<B<Cの順に大きくなるとする。)とし、図85(c)に示すように、▲1▼白地の磁化状態Aが連続する部分、斜線の磁化状態Bから白地の磁化状態Aに切り替わる部分、格子の磁化状態Cから白地の磁化状態Aに切り替わる部分に“0”の情報を割り当て、▲2▼白地の磁化状態Aから斜線の磁化状態Bに切り替わる部分、斜線の磁化状態Bが連続する部分、格子の磁化状態Cから斜線の磁化状態Bに切り替わる部分に“1”の情報を割り当て、▲3▼白地の磁化状態Aから格子の磁化状態Cに切り替わる部分、斜線の磁化状態Bから格子の磁化状態Cに切り替わる部分、格子の磁化状態Cが連続する部分に“2”の情報を割り当てて情報の記録を行うと、例えば3値情報(10202201210)は、図85(a)に示すマーク列で記録できる。
【0209】
次に、前記の方法で3値の情報がマークエッジ記録された媒体からの信号再生方法について説明する。図85(a)のマーク列に沿って再生用光を照射すると、各記録磁区の磁化の大きさに対応して、図85(b)の再生信号波形が得られる。Aの記録磁区から検出される再生信号出力をα、Bの記録磁区から検出される再生信号出力をβ、Cの記録磁区から検出される再生信号出力をγとしたとき、α<s2 <β<s1 <γという条件を満たす2つの異なるスライスレベルs1 ,s2 にて、図85(b)の再生信号波形をスライスし、各スライスレベルs1 ,s2 と再生信号出力とのクロス点を検出する。図85(b)の中欄に、各スライスレベルs1 ,s2 で検出される信号の有無を、記号「○」又「−」で示す。当欄の上の列はスライスレベルs1 で検出される信号の検出パターンを示し、下の行はスライスレベルs2 で検出される信号の検出パターンを示している。これらの記載において、記号「○」はクロス点が検出された場合を表わし、記号「−」はクロス点が検出されない場合を表わす。
【0210】
この図から明らかなように、本例の場合には、スライスレベルs1 の検出信号とスライスレベルs2 の検出信号との組合せが、スライスレベルs1 の検出信号が「−」でスライスレベルs2 の検出信号が「○」の場合(以下、この組合せを「−,○」と表記する。以下同様に、スライスレベルs1 の検出信号を「」内の先に、スライスレベルs2 のクロス点を後に記載する。)と、「○,−」の場合と、「○,○」の場合と、「−,−」の場合の4種類になる。
【0211】
そこで、図85(d)に示すように、各信号検出部の1つ前のデータを記憶しておき、▲1▼当該1つ前のデータが「○,○」で検出信号が「−,−」の場合、1つ前のデータが「−,○」で検出信号が「○,−」の場合、それに1つ前のデータが「−,−」で検出信号が「○,○」の場合に、再生データの“2”を割り当て、▲2▼1つ前のデータが「○,○」で検出信号が「○,−」の場合、1つ前のデータが「−,○」で検出信号が「−,−」の場合、それに1つ前のデータが 「−,−」で検出信号が「−,○」の場合に、再生データの“1”を割り当て、さらには、▲3▼1つ前のデータが「○,○」で検出信号が「○,○」の場合、1つ前のデータが「−,○」で検出信号が「−,○」の場合、それに1つ前のデータが「−,−」で検出信号が「−,−」の場合に、再生データの“0”を割り当てることによって、図103(b)の最下欄に示すように、元の3値情報(10202201210)を再生することができる。
【0212】
なお、図85においては、3値記録用の光磁気記録媒体を用いた場合のマークエッジ記録再生方法を例にとって説明したが、2値記録用の光磁気記録媒体又は4値記録以上の多値記録用光磁気記録媒体を用いた場合にも、前記と同様にして、情報のマークエッジ記録再生を実行することができる。
【0213】
また、図85の例においては、白地の磁化状態Aが連続する部分、斜線の磁化状態Bから白地の磁化状態Aに切り替わる部分、格子の磁化状態Cから白地の磁化状態Aに切り替わる部分に“0”の情報を割り当て、白地の磁化状態Aから斜線の磁化状態Bに切り替わる部分、斜線の磁化状態Bが連続する部分、格子の磁化状態Cから斜線の磁化状態Bに切り替わる部分に“1”の情報を割り当て、白地の磁化状態Aから格子の磁化状態Cに切り替わる部分、斜線の磁化状態Bから格子の磁化状態Cに切り替わる部分、格子の磁化状態Cが連続する部分に“2”の情報を割り当てて情報の記録を行ったが、いかなる磁化状態の変化にいかなる情報を割り当てるかは、本実施例に拘らず、必要に応じて適宜変更することができる。
【0214】
以下に、光磁気記録媒体の多値記録に適用可能な磁気ヘッド装置の構成例を示す。
【0215】
〈磁気ヘッド装置の第1構成例〉
本例の磁気ヘッド装置は、図86に示すように、1つの磁気回路に2つの巻線を巻回してなり、それらの巻線を夫々独立に駆動できるようにしたことを特徴とする。この磁気ヘッド装置は、光磁気記録媒体の保護膜側に配置される。
【0216】
本例の磁気ヘッド装置は、多値記録方法の第1例、第4例、第5例に適用できる。すなわち、これらの多値記録方法を実行する際、2つの巻線に電流を印加する磁気ヘッド駆動回路1と磁気ヘッド駆動回路2を記録クロックに同期して独立に駆動することにより、光磁気記録媒体に多値の外部磁界を印加することができるので、これと同時に、記録クロックに同期した光パルスを照射することによって、当該光パルスの照射部に信号を多値記録できる。
【0217】
また、本例の磁気ヘッド装置は、多値記録方法の第2例、第3例に適用できる。すなわち、一方の巻線と磁気ヘッド駆動回路とで共振回路を構成し、記録クロックと同期した一定周波数の磁界を発生させると共に、他方の巻線に一定の電流を印加して一定のバイアス磁界を発生させることにより、磁界ゼロからオフセットした一定周期の磁界を光磁気記録媒体に印加することができる。
【0218】
なお、前記構成例においては、巻線数が2の場合を例にとって説明したが、巻線数が3以上の場合にも同様に構成できる。
【0219】
〈磁気ヘッド装置の第2構成例〉
本例の磁気ヘッド装置は、図87に示すように、互いに独立して駆動可能な2つの磁気ヘッドを、互いに近接して配置したことを特徴とする。この磁気ヘッド装置も、光磁気記録媒体の保護膜側に配置される。
【0220】
本例の磁気ヘッド装置は、多値記録方法の第4例、第5例に適用できる。すなわち、これらの多値記録方法を実行する際、磁気ヘッド1と磁気ヘッド2とを記録クロックに同期して独立に駆動することにより、光磁気記録媒体に多値の外部磁界を印加することができるので、これと同時に、記録クロックに同期した光パルスを照射することによって、当該光パルスの照射部に信号を多値記録できる。
【0221】
また、本例の磁気ヘッド装置は、多値記録方法の第2例、第3例に適用できる。すなわち、一方の磁気ヘッドと磁気ヘッド駆動回路とで共振回路を構成し、記録クロックと同期した一定周波数の磁界を発生させると共に、他方の磁気ヘッドに一定の電流を印加して一定のバイアス磁界を発生させることにより、磁界ゼロからオフセットした一定周期の磁界を光磁気記録媒体に印加することができる。
【0222】
〈磁気ヘッド装置の第3構成例〉
本例の磁気ヘッド装置は、図88に示すように、2つの磁気ヘッドを互いに近接して配置すると共に、これら2つの磁気ヘッドに近接してバイアス磁界印加用の永久磁石を配置したことを特徴とする。2つの磁気ヘッドは、互いに独立して駆動できるように構成される。本例の磁気ヘッド装置も、光磁気記録媒体の保護膜側に配置される。
【0223】
本例の磁気ヘッド装置は、多値記録方法の第4例、第5例に適用できる。すなわち、これらの多値記録方法を実行する際、磁気ヘッド1と磁気ヘッド2とを記録クロックに同期して独立に駆動することにより、光磁気記録媒体に多値の外部磁界を印加することができる。また、永久磁石によって、一定のバイアス磁界を光磁気記録媒体に印加することができる。したがって、磁界の印加と同時に、記録クロックに同期した光パルスを照射することによって、当該光パルスの照射部に信号を多値記録できる。
【0224】
また、本例の磁気ヘッド装置は、多値記録方法の第2例、第3例に適用できる。すなわち、磁気ヘッドと磁気ヘッド駆動回路とで共振回路を構成し、記録クロックと同期した一定周波数の磁界を発生させると共に、永久磁石により一定のバイアス磁界を印加することにより、磁界ゼロからオフセットした一定周期の磁界を光磁気記録媒体に印加することができる。
【0225】
本例の磁気ヘッド装置は、バイアス磁界の印加用に永久磁石を備えたので、磁気ヘッドに直流分の電流を加える必要がない。よって、消費電力の低減と信号伝送レートの高速化を図ることができる。
【0226】
〈磁気ヘッド装置の第4構成例〉
本例の磁気ヘッド装置は、図89に示すように、2つの磁気ヘッドを互いに近接して光磁気記録媒体の保護膜側に配置すると共に、バイアス磁界として、絞り込みレンズアクチュエータからの漏洩磁界を利用したことを特徴とする。その他については、第3構成例に係る磁気ヘッド装置と同じであるので、説明を省略する。
【0227】
〈磁気ヘッド装置の第5構成例〉
本例の磁気ヘッド装置は、図90に示すように、1つの磁気ヘッドとバイアス磁界印加用の永久磁石とを互いに近接して光磁気記録媒体の保護膜側に配置したことを特徴とする。
【0228】
〈磁気ヘッド装置の第6構成例〉
本例の磁気ヘッド装置は、図91に示すように、1つの磁気ヘッドを光磁気記録媒体の保護膜側に配置すると共に、バイアス磁界として、絞り込みレンズアクチュエータからの漏洩磁界を利用したことを特徴とする。
【0229】
〈磁気ヘッド装置の第7構成例〉
本例の磁気ヘッド装置は、図92に示すように、2つの磁気ヘッドを互いに近接して配置すると共に、これら2つの磁気ヘッドに近接してバイアス磁界印加用の電磁コイルを配置したことを特徴とする。本例の磁気ヘッド装置も、光磁気記録媒体の保護膜側に配置される。
【0230】
〈磁気ヘッド装置の第8構成例〉
本例の磁気ヘッド装置は、図93に示すように、2つの磁気ヘッドを互いに近接して光磁気記録媒体の保護膜側に配置すると共に、バイアス磁界印加用の電磁コイルを絞り込みレンズアクチュエータの周囲に配置したことを特徴とする。本例の磁気ヘッド装置も、光磁気記録媒体の保護膜側に配置される。
【0231】
なお、前記実施例に掲げたのは本発明の実施の一例に過ぎず、その他にも、本発明に係る任意の媒体と任意の記録再生方式と記録再生装置とを組み合わせることによって、各種の信号記録を行うことができる。特に、磁気ヘッド装置については、前記構成例の記載に限定されるものではなく、磁気ヘッドの巻線数、磁気ヘッドの数量及び配置、それにバイアス磁界の印加手段である永久磁石や電磁コイルの数量や配置等を適宜変更して用いることができる。
【0232】
なお、前記実施例においては、説明を容易にするために、光磁気記録媒体の膜構造と、そのフォーマットと、多値記録再生方法と、磁気ヘッド装置とに分けて説明し、それらの組合せについては代表的なものだけを選択的に記載した。したがって、本発明の要旨は、前記実施例に掲げた組合せに限定されるものではなく、前記実施例に記載された任意の光磁気記録媒体と多値記録再生方法と磁気ヘッド装置の組合せをもって、情報の多値記録を実行することができる。
【0233】
その他、本発明の特徴を逸脱しない範囲で、前記実施例で説明した光磁気記録媒体、記録再生方式、それに磁気ヘッド装置を変更することは、必要に応じて適宜行うことができる。例えば、複数の記録再生用レーザ光の照射部を有する光磁気ヘッドを備えた記録再生装置を用いて情報の記録再生を行う等の記録再生方法をとることも可能である。
【0234】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、より簡単な膜の積層構造で、より高密度な信号記録を実現できる。また、本発明の光磁気記録媒体は、各記録状態が外部磁界の変動に対してきわめて安定であり、各記録層の磁気特性や記録再生時のレーザビーム強度それに外部磁界強度を微妙にマッチングさせる必要がないので、安定性、量産性、実用性に優れた光磁気記録再生システムを構築できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光磁気記録媒体の特性を例示するグラフ図である。
【図2】本発明に係る多値記録方法の原理を示す説明図である。
【図3】本発明に係る光磁気記録媒体の膜構成と磁化特性との関係を例示する説明図である。
【図4】本発明に係る光磁気記録媒体の膜構成と磁化特性との関係を例示する説明図である。
【図5】 参考例に係る光磁気記録媒体の膜構成と磁化特性との関係を例示する説明図である。
【図6】本発明に係る光磁気記録媒体の膜構成と磁化特性との関係を例示する説明図である。
【図7】本発明に係る光磁気記録媒体の膜構成と磁化特性との関係を例示する説明図である。
【図8】本発明に係る光磁気記録媒体の膜構成と磁化特性との関係を例示する説明図である。
【図9】第1構成例に係る光磁気記録媒体の説明図である。
【図10】第1実施例に係る光磁気記録媒体を模式的に示す要部断面図である。
【図11】第2実施例に係る光磁気記録媒体を模式的に示す要部断面図である。
【図12】第3実施例に係る光磁気記録媒体を模式的に示す要部断面図である。
【図13】第4実施例に係る光磁気記録媒体を模式的に示す要部断面図である。
【図14】第2構成例に係る光磁気記録媒体を模式的に示す要部断面図である。
【図15】第2構成例に係る光磁気記録媒体を用いた磁気超解像再生方式の第1例を示す説明図である。
【図16】第2構成例に係る光磁気記録媒体を用いた磁気超解像再生方式の第2例を示す説明図である。
【図17】第2構成例に係る光磁気記録媒体を用いた磁気超解像再生方式の第3例を示す説明図である。
【図18】第2構成例に係る光磁気記録媒体を用いた磁気超解像再生方式の第4例を示す説明図である。
【図19】第2構成例に含まれる各光磁気記録媒体の膜構造を示す表図である。
【図20】サンプルサーボ方式の光磁気記録媒体に形成されるプリフォーマットパターンの説明図である。
【図21】図20中のサーボ領域の説明図である。
【図22】CAV方式の光ディスクに設けられるテスト領域の実施例図である。
【図23】ZCAV方式の光ディスクに設けられるテスト領域の実施例図である。
【図24】第1例に係る多値記録方式の実行に使用される畳み込み符号器の構成図である。
【図25】図24の畳み込み符号器の出力の状態遷移を示す説明図である。
【図26】第1例に係る多値記録再生方式を実行する多値記録再生装置の構成図である。
【図27】本発明に係る多値記録再生方式の第2例を示す説明図である。
【図28】多値記録再生方式の第2例に係る外部磁界強度の信号変調方式を示す説明図である。
【図29】多値記録再生方式の第2例に係る外部磁界強度変調回路の第1例を示す構成図である。
【図30】多値記録再生方式の第2例に係る外部磁界強度変調回路の第2例を示す構成図である。
【図31】第2例の多値記録再生方式によって記録された磁化ドメインの記録状態を示す説明図である。
【図32】外部磁界印加回路の一例を示す回路図である。
【図33】図31の光磁気記録媒体から信号を読みだす信号再生回路の構成図である。
【図34】第2例に係る多値記録再生方式の効果を示す説明図である。
【図35】第3例に係る多値記録再生方式に適用されるレーザ照射タイミング変調回路の構成図である。
【図36】図35の回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図37】第3例に係る多値記録再生方式に適用される信号再生回路の構成図である。
【図38】図37の回路の動作説明図である。
【図39】第4例に係る多値記録再生方式に適用されるレーザ強度変調回路の構成図である。
【図40】図39の回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図41】第4例に係る多値記録再生方式に適用される信号再生回路の構成図である。
【図42】図41の回路の動作説明図である。
【図43】多値記録再生方式の第5例に適用される印加磁界と照射レーザ強度の組合せの第1例を示す説明図である。
【図44】多値記録再生方式の第5例に適用される印加磁界と照射レーザ強度の組合せの第2例を示す説明図である。
【図45】多値記録再生方式の第5例に適用される印加磁界と照射レーザ強度の組合せの第3例を示す説明図である。
【図46】多値記録再生方式の第6例に適用される光磁気記録媒体の再生信号出力特性を示すグラフ図である。
【図47】第6例に属する多値記録再生方式の説明図である。
【図48】第6例に属する他の多値記録再生方式の説明図である。
【図49】多値記録再生方式の第7例に係るテスト信号の説明図である。
【図50】多値記録再生方式の第7例に係るテスト信号再生回路の構成図である。
【図51】多値記録再生方式の第8例に係るテスト信号の説明図である。
【図52】多値記録再生方式の第9例に係るテスト信号再生回路の構成図である。
【図53】多値記録再生方式の第10例を示す説明図である。
【図54】多値記録再生方式の第10例に属するマークエッジ記録方法の第1例を示す説明図である。
【図55】多値記録再生方式の第10例に属するマークエッジ記録方法の第2例を示す説明図である。
【図56】多値記録再生方式の第10例に属するマークエッジ記録方法の第3例を示す説明図である。
【図57】多値記録再生方式の第10例に属するマークエッジ記録方法の第4例を示す説明図である。
【図58】多値記録再生方式の第10例に属するマークエッジ記録方法の第5例を示す説明図である。
【図59】多値記録再生方式の第10例に属するマークエッジ記録方法の第6例を示す説明図である。
【図60】多値記録再生方式の第11例を示す説明図である。
【図61】多値記録再生方式の第12例を示す説明図である。
【図62】サンプルサーボ方式の光磁気記録媒体に好適な記録再生装置の構成図である。
【図63】図62の記録再生装置に適用されるDCレベル補正回路の回路図である。
【図64】多値記録再生方式の第13例を示す説明図である。
【図65】第13例に係る多値記録再生方式に適用される最適条件検出回路の一例を示す構成図である。
【図66】多値記録再生方式の第14例を示す説明図である。
【図67】第14例に係る多値記録再生方式に適用される最適条件検出回路の一例を示す構成図である。
【図68】多値記録再生方式の第15例に属するテスト信号記録方法の第1例を示す説明図である。
【図69】多値記録再生方式の第15例に属するテスト信号記録方法の第2例を示す説明図である。
【図70】図68の方法で記録されたテスト信号の再生信号波形を示す波形図である。
【図71】図69の方法で記録されたテスト信号の再生信号波形を示す波形図である。
【図72】第15例に係る多値記録再生方式に適用される最適条件検出回路を示す構成図である。
【図73】多値記録再生方式の第16例を示す説明図である。
【図74】多値記録再生方式の第17例を示す説明図である。
【図75】第17例に係る多値記録再生方式の効果を示す説明図である。
【図76】多値記録再生方式の第18例に属するピット上記録方法の第1例を示す説明図である。
【図77】多値記録再生方式の第18例に属するピット上記録方法の第2例を示す説明図である。
【図78】多値記録再生方式の第18例に属するピット上記録方法の第3例を示す説明図である。
【図79】多値記録再生方式の第18例に属するピット上記録方法の第4例を示す説明図である。
【図80】多値記録再生方式の第18例に属するピット上記録方法の第5例を示す説明図である。
【図81】本発明に係る多値記録再生方式の他の例を示す説明図である。
【図82】本発明に係る多値記録再生方式の他の例を示す説明図である。
【図83】本発明に係る多値記録再生方式の他の例を示す説明図である。
【図84】本発明に係る多値記録再生方式の他の例を示す説明図である。
【図85】本発明に係る多値記録再生方式の他の例を示す説明図である。
【図86】磁気ヘッド装置の第1例を示す構成図である。
【図87】磁気ヘッド装置の第2例を示す構成図である。
【図88】磁気ヘッド装置の第3例を示す構成図である。
【図89】磁気ヘッド装置の第4例を示す構成図である。
【図90】磁気ヘッド装置の第5例を示す構成図である。
【図91】磁気ヘッド装置の第6例を示す構成図である。
【図92】磁気ヘッド装置の第7例を示す構成図である。
【図93】磁気ヘッド装置の第8例を示す構成図である。
【図94】従来技術の説明図である。
【図95】従来技術の説明図である。
【図96】外部磁界に対して2つの記録状態が存在する記録層の外部磁界特性を例示するグラフ図である。
【図97】外部磁界に対して1つの記録状態が存在する記録層の外部磁界特性を例示するグラフ図である。
【図98】本発明に係る光磁気記録媒体の多値記録原理の第1例を示す説明図である。
【図99】本発明に係る光磁気記録媒体の多値記録原理の第2例を示す説明図である。
【図100】本発明に係る光磁気記録媒体の多値記録原理の第3例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 透明基板
2 プリフォーマットパターン
3 第1誘電体層
4 第1磁性層
4a 非晶質垂直磁化膜
4b 補助磁性膜
5 第2誘電体層
6 第2磁性層
7 第3誘電体層
8 反射膜
9 保護膜
11 記録トラック
12 データ記録単位
13 ID領域
14 サーボ領域
15 データ領域
16 トラッキングピット
17 テスト領域
18 クロックピット
21 ユーザ領域
22 テスト領域
201 第1の書き込み信号列
202 第2の書き込み信号列
210 再生用レーザビーム
301 プリピット
302 記録磁区

Claims (6)

  1. 直接あるいは非磁性層を介して積層された複数の磁性層を有し、それら複数の磁性層のうち、少なくとも1の磁性層は、希土類と遷移金属とを主成分とする非晶質合金であって希土類原子の副格子磁気モーメントが遷移金属原子の副格子磁気モーメントよりも室温からキュリー温度にかけて優勢なフェリ磁性体からなる垂直磁化膜と、この垂直磁化膜と交換結合により磁気的に結合されたPtCo合金からなる補助磁性膜とから構成されていて、外部磁界を印加したとき、2つの異なる磁界強度の範囲に光変調記録信号の搬送波の変化のピークをもち、他の磁性層は、補助磁性膜を有さず、垂直磁化膜単体で構成されていて、外部磁界を印加したとき、前記1の磁性層とは異なる1つの磁界強度の範囲に光変調記録信号の搬送波の変化のピークをもち、4段階の磁界強度が異なる外部磁界を印加することにより全体として4値の信号をダイレクトオーバーライトできることを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 請求項1に記載の光磁気記録媒体において、前記各磁性層のうちの少なくとも1以上の磁性層の再生用レーザ光入射側に、再生用レーザ光が照射されたとき、前記磁性層に当該再生用レーザ光のスポット径よりも小さな開孔部を熱−磁気的に形成するための開孔部形成層を選択的に設けたことを特徴とする光磁気記録媒体。
  3. 請求項に記載の光磁気記録媒体において、前記開孔部形成層に接して切断層を設けたことを特徴とする光磁気記録媒体。
  4. 請求項に記載の光磁気記録媒体において、前記遷移金属が〔Co,Fe〕から選択される少なくともいずれか1種類の遷移金属元素であり、前記希土類が〔Tb,Gd,Dy,Nd〕から選択される少なくともいずれか1種類の希土類元素であることを特徴とする光磁気記録媒体。
  5. 請求項に記載の光磁気記録媒体において、前記補助磁性膜の膜厚を、1〜30Åの範囲に調整したことを特徴とする光磁気記録媒体。
  6. 請求項1に記載の光磁気記録媒体において、データ記録領域を複数のデータ記録単位に分割し、各データ記録単位の先頭部分に、当該データ記録単位に記録される多値記録信号に含まれる各信号のスライスレベルを設定するためのテスト領域を設けたことを特徴とする光磁気記録媒体。
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