JP3823797B2 - インクジェット記録用水性インクセット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置に使用するインクジェット記録用水性インクセットに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式とは、急激に加熱することで発生した気泡の作用で微細ノズルからインクを吐出するバブル方式、電圧印加により変形する圧電素子の作用で微細ノズルからインクを吐出するピエゾ方式等のインク吐出方式により、基本色である数色のインクを、数ピコリットル〜数十ピコリットルの微小液滴にして選択的に紙面上に着弾させることにより画像を形成する記録方式である。
【0003】
上記インクジェット記録方式は、微小液滴の吐出を高精度で制御することによって、フルカラーに近い色の再現及び粒状感のない画像の形成を可能とし、高い印字品質及び高い印画品質を実現できる点において優れている。しかしながら、そのような高精度で微小液滴の吐出を行うためには充分に細い吐出ノズルを用いた高精度の着弾制御技術が必要であり、インク中のゴミ、不純物は除去される必要がある。そのためインクジェット記録用水性インクには精密濾過がなされ、インクに接する全ての部品には充分に洗浄された材料が使用される必要がある。
【0004】
ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの4色のインクからなるインクセットを用いる一般的なフルカラーインクジェットプリンタは、紙への着色性及び毒性の観点からその多くがアニオン性染料を含むインクを使用している。しかしながら、アニオン性染料を含むインクは、特にイエロー等の色において鮮明さが不充分であり、より鮮明な画像に対する要望がある。この要望を満たすためには、マーカーペン等に使用されており、鮮明な発色性を有するカチオン性染料を使用することが好ましい。一方、カチオン性染料を含むインクは、それぞれ単色での鮮明さはあるが、全てのインクに使用した場合は、色のバランスの面から好適とは言いがたい。したがって、鮮明かつ色バランスのよい画像を得るには、アニオン性染料を含むインクとカチオン性染料を含むインクとを併用した方が好ましい。
【0005】
しかしながら、アニオン性染料を含むインクとカチオン性染料を含むインクとを併用した場合、インクジェットプリンタの各色のヘッド吐出部は同じ面に近接して配置されており、また上記ヘッド吐出部を清掃するためのワイパは各色のヘッド吐出部で同じワイパが使用されるため、そのヘッド吐出部においてインク同士が混合し、不溶性無機塩の生成又は染料析出による析出物を生じるおそれがある。析出物の生成量は、染料の種類及び濃度、並びに、溶剤の種類及び濃度等によって異なるが、析出物が生成することで、ヘッド吐出部で目詰まりが発生したり、高精度の吐出の着弾制御ができなくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、アニオン性染料を含むインクとカチオン性染料を含むインクとを併用した場合においても、ヘッド吐出部で目詰まりの発生がなく安定した吐出が可能で、高信頼性、高精度で鮮明かつ色バランスのよい記録ができるインクジェット記録用水性インクセットを提供することを目的とするものである。
【0007】
【発明を解決するための手段】
本発明は、複数色のインクから構成されるインクジェット記録用水性インクセットであって、アニオン性染料を含むインク及びカチオン性染料を含むインクを少なくともそれぞれ1種ずつ含むものであり、前記アニオン性染料を含むインク及び/又は前記カチオン性染料を含むインクは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも2種のグリコール、ポリビニルピロリドン、並びに、水を含むものであるインクジェット記録用水性インクセットである。以下に本発明を詳述する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、複数色のインクから構成されるものであり、上記アニオン性染料を含むインク及び上記カチオン性染料を含むインクを少なくともそれぞれ1種ずつ含むものである。
【0009】
上記アニオン性染料としては特に限定されず、例えば、C.I.ダイレクトイエロー 8、11、12、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、100、110、132;C.I.アシッドイエロー 1、3、7、11、17、23、25、29、36、38、40、42、44、76、98、99;C.I.リィアクティブイエロー 2、3、17、25、37、42;C.I.フードイエロー 3;C.I.ダイレクトレッド 2、4、9、11、20、23、24、31、39、46、62、75、79、80、83、89、95、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230;C.I.アシッドレッド 6、8、9、13、14、18、26、27、32、35、42、51、52、80、83、87、89、92、106、114、115、133、134、145、158、198、249、265、289;C.I.リィアクティブレッド 7、12、13、15、17、20、23、24、31、42、45、46、59;C.I.フードレッド 87、92、94;C.I.ダイレクトブルー 1、15、22、25、41、76、77、80、86、90、98、106、108、120、158、163、168、199、226;C.I.アシッドブルー 1、7、9、15、22、23、25、29、40、43、59、62、74、78、80、90、100、102、104、117、127、138、158、161;C.I.リィアクティブブルー 4、5、7、13、14、15、18、19、21、26、27、29、32、38、40、44、100;C.I.ダイレクトバイオレット107;C.I.ダイレクトブラック 17、19、22、31、32、51、62、71、74、112、113、154、168、195;C.I.アシッドブラック 2、48、51、52、110、115、156;C.I.フードブラック1、2等を挙げることができる。これらのアニオン性染料は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記アニオン性染料の配合量は、上記アニオン性染料を含むインク全量に対して0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.3〜15重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%である。
【0010】
上記カチオン性染料としては特に限定されず、例えば、C.I.ベーシックイエロー1、2、11、13、14、19、21、25、32、33、36、51;C.I.ベーシックオレンジ2、15、21、22;C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、37、38、39、92;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14;C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、19、24、25、26、28、29、45、54、65;C.I.ベーシックグリーン1、4;C.I.ベーシックブラウン1、12;C.I.ベーシックブラック2、8等を挙げることができる。これらのカチオン性染料は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記カチオン性染料の配合量は、上記カチオン性染料を含むインク全量に対して0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.2〜3重量%である。
【0011】
上記アニオン性染料を含むインク及び/又は上記カチオン性染料を含むインクの少なくとも一方は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも2種のグリコールを含むものである。上記ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも2種のグリコールは、アニオン性染料を含むインクに含まれていることが好ましい。
【0012】
本発明のインクジェット記録用水性インクセットを構成するインクに含まれているアニオン性染料及びカチオン性染料は、水溶液中においてそれぞれカチオンとアニオンとに解離する。したがって、アニオン性染料を含む水性インクとカチオン性染料を含む水性インクとを混合した場合、混合したインク中でアニオン性染料中のアニオンとカチオン性染料中のカチオンとが引き合い、染料の母体同士が結合することによって析出物を生じると考えられる。一般的にアニオンとカチオンは互いに引き合いやすく、析出物の生成を防ぐことは困難であるが、染料に起因する析出物は染料溶解性の悪い有機溶媒から発生しやすく、染料溶解性と析出物の発生しやすさは、反比例するものと考えられる。これは、溶媒によって染料の周りを取り囲む強さが異なるためであると考えられる。
【0013】
そこで、本発明者は、析出物の生成を抑制できる染料溶解性の高い溶媒について鋭意検討を重ねた結果、アニオン性染料及びカチオン性染料に対する溶解性が非常に良好な溶媒として、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及び、ポリエチレングリコールを見出した。これらのグリコールが持つ炭化水素基及び水酸基の割合、並びに、分子の大きさが、上記染料を取り囲むのに好適であると考えられ、更に量体が異なる2種以上の上記グリコールを含むことでより大きな効果が得られることを見出した。上記グリコールが、アニオン性染料及びカチオン性染料のどちらに対してより好適に効果を示すかは定かでないが、アニオン性染料とカチオン性染料とが混合されたときは、どちらか一方又は双方の染料に作用し、インクからの析出物の生成を著しく抑制できる。
【0014】
上記ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選択される2種のグリコールの配合量は、上記アニオン性染料を含むインク及び/又は上記カチオン性染料を含むインク全量に対して10〜45重量%が好ましい。10重量%未満であると、上記アニオン性染料を含むインクと上記カチオン性染料を含むインクとを混合した際又はインク中の揮発成分が蒸発した際に析出が発生するおそれがあり、45重量%を超えると、揮発成分の蒸発後の粘度が高粘度となるため、吐出性、メンテナンス性の面で不具合が生じることがある。上記ポリエチレングリコールを選択する場合は、ポリエチレングリコールの平均分子量は200〜600が好ましい。平均分子量が200未満であると、染料を取り囲む強さが低下すると考えられ、上記アニオン性染料を含むインクと上記カチオン性染料を含むインクとを混合した際に析出物が発生することがあり、平均分子量が600を超えると、揮発成分蒸発後の粘度が高粘度となるため、吐出性、メンテナンス性の面で不具合が生じることがある。より好ましくは200〜300である。
【0015】
上記アニオン性染料を含むインク及び/又は上記カチオン性染料を含むインクは、ポリビニルピロリドンを含むものである。なかでも上記ポリビニルピロリドンは、アニオン性染料を含むインクに含まれることが好ましい。本発明者は、上記グリコールを用いることで、インクからの析出物を抑制できることを見出したが、染料の種類によっては効果が不充分であった。本発明者は更に鋭意検討を重ねた結果、インク溶媒に更に水溶性高分子、特にポリビニルピロリドンを加えた場合に、より効果的に析出を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。上記ポリビニルピロリドンが、インク中の水分子との水和現象によりクラスターを形成し、上記グリコールに取り囲まれたアニオン性染料とカチオン性染料は更に結合が困難になるものと思われる。
【0016】
上記ポリビニルピロリドンの配合量は、上記アニオン性染料を含むインク及び/又は上記カチオン性染料を含むインク全量に対して0.1〜5重量%が好ましい。0.1重量%未満であると、染料を取り囲む強さが低下すると考えられ、上記アニオン性染料を含むインクと上記カチオン性染料を含むインクとを混合した際に析出物が発生することがあり、5重量%を超えると、揮発成分蒸発後の粘度が高粘度となるため、吐出性、メンテナンス性の面で不具合が生じることがある。より好ましくは0.3〜3重量%、更に好ましくは0.5〜1.5重量%である。上記ポリビニルピロリドンの平均分子量は2000〜20000が好ましい。2000未満であると、染料を取り囲む強さが低下すると考えられ、上記アニオン性染料を含むインクと上記カチオン性染料を含むインクとを混合した際に析出物が発生することがあり、20000を超えると、揮発成分蒸発後の粘度が高粘度となるため、吐出性、メンテナンス性の面で不具合が生じることがある。より好ましくは2000〜3000である。
【0017】
上記水は特に限定されないが、脱イオン水(純水)を使用することが好ましい。上記水の配合量は、インク粘度を正常に吐出できるよう低く保つために、上記アニオン性染料を含むインク及び/又は上記カチオン性染料を含むインク全量に対して40重量%以上であることが好ましい。
【0018】
本発明のインクジェット記録用水性インクセットに用いられるインクは、湿潤剤及び浸透剤を含有するものであってもよい。上記湿潤剤は、主にインクジェットヘッドの先端部におけるインク成分の析出及びインクの乾固を防止する目的で添加される。上記湿潤剤としては特に限定されず、例えば、ポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール等のアルキレングリコール類;グリセリン;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン類を挙げることができる。これらの湿潤剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0019】
上記のジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選択されるグリコールは、湿潤剤としての性質を有しており、上記グリコールを含むインクには、上記湿潤剤が併用される必要はないが、併用することも可能である。上記グリコールと上記湿潤剤とが併用されたときの上記グリコールと上記湿潤剤の配合量は、インク全量に対して10〜45重量%が好ましい。10重量%未満では、湿潤作用が不充分となり、インク成分の析出及びインクの乾固等の問題を生じることがあり、45重量%を超えると、インクが必要以上に増粘し、インクの吐出性に悪影響を与えることがある。上記グリコールを含まないインクに上記湿潤剤を添加する場合、その配合量は、インク全量に対して5〜50重量%が好ましい。5重量%未満であると、湿潤作用が不充分となり、インク成分の析出及びインクの乾固等の問題を生じることがあり、50重量%を超えると、インクが必要以上に増粘し、インクを吐出できなくなったり、記録紙上でのインクの乾燥が極端に遅くなる等の問題を生じることがある。より好ましくは10〜40重量%である。
【0020】
上記浸透剤は、記録紙へのインクの浸透速度を速めることにより、紙面上でのインクの乾燥を速め、ブリーディング及びフェザリングを防止する目的で添加される。なお、ブリーディングとは、記録紙上での異なる色の境界でのにじみを意味し、フェザリングとは、インクの浸透に伴う紙の繊維に沿ったヒゲ状のにじみを意味する。上記浸透剤としては、低臭気性で蒸気圧の低い多価アルコールモノアルキルエーテルを使用することが好ましい。上記多価アルコールモノアルキルエーテルとしては特に限定されないが、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等が好適に使用される。
【0021】
上記多価アルコールアルキルエーテルの配合量は、本発明で用いられるインクのインク全量に対して2〜20重量%が好ましい。2重量%未満であると、記録紙へのインクの浸透速度が遅いため、インクの記録紙上での乾燥時間及びにじみの問題を生じることがあり、20重量%を超えると、記録紙へのインクの浸透が過剰となるため、記録紙の裏までインクが達してしまったり、にじみの問題を生じることがある。
【0022】
本発明で用いられるインクには、記録紙へのインクの浸透性及び乾燥性を制御する目的で、エタノール、イソプロピルアルコール等の1価アルコールを使用することもできる。更に必要に応じて従来公知の樹脂バインダー、ポリビニルピロリドン以外の水溶性高分子、界面活性剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、pH調整剤、染料溶解剤、防腐防カビ剤等を使用することもできる。本発明で用いられるインクを、熱エネルギーの作用によってインクを吐出させるタイプのインクジェット記録方式に適用する場合には、例えば、比熱、熱膨張係数及び熱電導率等の熱的な物性値が調整されることもある。
【0023】
なお、本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、フルカラーの画像を得る場合には、一般にブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの4色のインクから構成されるが、5色以上であっても、3色以下であってもよい。
【0024】
以上のように、本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、従来技術の問題点が充分に解決されており、アニオン染料を含むインクとカチオン性染料を含むインクとが混合しても、染料の析出等の問題を発生しない。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。下記の各々の組成のインクを調製し、これらをインクジェット記録用インクセットとした。
【0026】
(実施例1)
<ブラックインク組成>
C.I.フードブラック2 1.0重量%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量200) 19.0重量%
ジエチレングリコール 9.0重量%
ポリビニルピロリドン(重量平均分子量2500) 1.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 5.0重量%
純水 65.0重量%
<イエローインク組成>
C.I.ベーシックイエロー40 0.8重量%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量200) 14.0重量%
2−ピロリドン 17.0重量%
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 3.0重量%
純水 65.2重量%
<マゼンタインク組成>
C.I.アシッドレッド52 1.0重量%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量200) 12.0重量%
トリエチレングリコール 14.0重量%
ポリビニルピロリドン(重量平均分子量2500) 1.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2.0重量%
純水 70.0重量%
<シアンインク組成>
C.I.ベーシックブルー3 0.8重量%
グリセリン 14.0重量%
ポリエチエレングリコール(重量平均分子量200) 10.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 6.0重量%
純水 69.2重量%
【0027】
(実施例2)
<ブラックインク組成>
C.I.フードブラック2 0.8重量%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量300) 20.0重量%
トリエチレングリコール 5.0重量%
ジエチレングリコール 5.0重量%
ポリビニルピロリドン(重量平均分子量2500) 0.6重量%
ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル 3.0重量%
純水 65.6重量%
<イエローインク組成>
C.I.ベーシックイエロー19 0.5重量%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量200) 14.0重量%
2−ピロリドン 17.0重量%
ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル 3.0重量%
純水 65.5重量%
<マゼンタインク組成>
C.I.ベーシックレッド1 0.5重量%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量200) 14.0重量%
2−ピロリドン 17.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
純水 64.5重量%
<シアンインク組成>
C.I.ベーシックブルー9 1.0重量%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量200) 15.0重量%
ジエチレングリコール 8.0重量%
ポリビニルピロリドン(重量平均分子量2500) 1.4重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
純水 70.6重量%
【0028】
(実施例3)
<ブラックインク組成>
C.I.フードブラック2 0.5重量%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量300) 12.0重量%
ジエチレングリコール 15.0重量%
ポリビニルピロリドン(重量平均分子量2500) 0.7重量%
ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル 2.0重量%
純水 69.8重量%
<イエローインク組成>
C.I.ベーシックイエロー2 0.5重量%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量200) 14.0重量%
2−ピロリドン 17.0重量%
ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル 4.0重量%
純水 64.5重量%
<マゼンタインク組成>
C.I.アシッドレッド52 1.0重量%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量200) 19.2重量%
トリエチレングリコール 9.0重量%
ポリビニルピロリドン(重量平均分子量2500) 0.9重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 5.0重量%
純水 64.9重量%
<シアンインク組成>
C.I.アシッドブルー9 1.5重量%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量300) 17.0重量%
ジエチレングリコール 12.0重量%
ポリビニルピロリドン(重量平均分子量2500) 0.5重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
純水 65.0重量%
【0029】
(実施例4)
<ブラックインク組成>
C.I.ベーシックブラック2 0.6重量%
グリセリン 16.0重量%
2−ピロリドン 12.0重量%
ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル 5.0重量%
純水 66.4重量%
<イエローインク組成>
C.I.ベーシックイエロー1 0.5重量%
グリセリン 16.0重量%
2−ピロリドン 12.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
純水 67.5重量%
<マゼンタインク組成>
C.I.ダイレクトバイオレット107 1.0重量%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量300) 23.0重量%
トリエチレングリコール 6.0重量%
ポリビニルピロリドン(重量平均分子量2500) 1.2重量%
ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル 2.0重量%
純水 66.8重量%
<シアンインク組成>
C.I.ベーシックブルー1 0.4重量%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量200) 14.0重量%
2−ピロリドン 17.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0重量%
純水 65.6重量%
【0030】
(比較例1)
<ブラックインク組成>
C.I.ダイレクトブラック154 0.5重量%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量300) 19.2重量%
グリセリン 6.0重量%
ポリビニルピロリドン(重量平均分子量2500) 0.9重量%
ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル 3.0重量%
純水 70.4重量%
<イエローインク組成>
C.I.ベーシックイエロー1 0.4重量%
グリセリン 19.0重量%
ジエチレングリコール(重量平均分子量200) 10.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 5.0重量%
純水 75.6重量%
<マゼンタインク組成>
C.I.アシッドレッド289 1.0重量%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量200) 19.2重量%
ジエチレングリコール 9.0重量%
グリセリン 0.9重量%
ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル 3.0重量%
純水 66.9重量%
<シアンインク組成>
C.I.アシッドブルー9 1.5重量%
グリセリン 19.2重量%
トリエチレングリコール 6.0重量%
ポリビニルピロリドン(重量平均分子量2500) 0.3重量%
ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル 2.0重量%
純水 68.0重量%
【0031】
(比較例2)
<ブラックインク組成>
C.I.ベーシックブラック2 0.6重量%
グリセリン 16.0重量%
2−ピロリドン 12.0重量%
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 5.0重量%
純水 66.4重量%
<イエローインク組成>
C.I.ベーシックイエロー1 0.4重量%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量200) 14.0重量%
2−ピロリドン 17.0重量%
ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル 3.0重量%
純水 65.6重量%
<マゼンタインク組成>
C.I.アシッドレッド52 1.0重量%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量200) 19.0重量%
ジエチレングリコール 8.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 5.0重量%
純水 67.0重量%
<シアンインク組成>
C.I.ダイレクトブルー199 1.5重量%
2−ピロリドン 19.2重量%
ジエチレングリコール 9.0重量%
ポリビニルピロリドン(重量平均分子量2500) 0.9重量%
ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル 2.0重量%
純水 64.4重量%
【0032】
(比較例3)
<ブラックインク組成>
C.I.ベーシックブラック2 0.6重量%
グリセリン 16.0重量%
2−ピロリドン 12.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
純水 67.4重量%
<イエローインク組成>
C.I.ベーシックイエロー2 0.6重量%
グリセリン 16.0重量%
2−ピロリドン 12.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0重量%
純水 68.4重量%
<マゼンタインク組成>
C.I.アシッドレッド52 1.0重量%
ポリエチレングリコール(重量平均分子量300) 19.2重量%
2−ピロリドン 9.0重量%
ポリビニルピロリドン(重量平均分子量2500) 0.9重量%
ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル 2.0重量%
純水 67.9重量%
<シアンインク組成>
C.I.ベーシックブルー9 0.4重量%
グリセリン 16.0重量%
2−ピロリドン 12.0重量%
ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル 3.0重量%
純水 68.6重量%
【0033】
(性能評価)実施例1〜4及び比較例1〜3で作製したインクセットそれぞれについて、各インク材料を充分に混合攪拌した後、0.2μmのメンブランフィルタで濾過して評価に使用した。
【0034】
評価1:吐出評価
吐出装置には、記録ヘッド内のインクにピエゾ素子振動による圧力を与えて液滴を発生させて記録を行うオンデマンドタイプのマルチヘッド(吐出オリフィス径40μm、駆動電圧30ボルト、周波数10kHz)を使用した。評価試験は、カートリッジ内のインクがなくなるまで4色同時に記録を続け、インクが吐出されない不吐出及び吐出方向にずれを生じた曲がりが認められた場合は、パージ(インク吐出部に負圧をかけてそのインクを強制排出する)を行い、その回復具合を確認した。以下の基準にしたがって評価した。
○…不吐出及び曲がりが最後まで全くなかった。
△…不吐出及び曲がりがわずかに生じたが、パージにより回復した。
×…不吐出及び曲がりが生じ、パージにより回復しなかった。
【0035】
評価2:プリンター吐出部の顕微鏡観察
上記吐出評価を実施した後、プリンタ吐出部の顕微鏡観察を行った。以下の基準にしたがって評価した。
○…析出物は見られなかった。
×…析出物が確認された。
表1に結果を示した。
【0036】
【表1】
【0037】
表1に示した通り、各実施例で作製したインクセットにおいて、析出物の生成による吐出部での目詰まりは発生しなかった。また、顕微鏡観察の結果、吐出評価で×となったインクセットを用いたプリンタにおいて吐出部で析出物が確認されたが、それ以外のプリンタにおいて析出物は見られなかった。
【0038】
【発明の効果】
本発明は、上述の構成よりなるので、アニオン性染料を含むインクとカチオン性染料を含むインクとを併用した場合においても、ヘッド吐出部の目詰まりの発生がなく安定した吐出が可能で、高信頼性、高精度で鮮明かつ色バランスのよい記録ができるインクジェット記録用水性インクセットを提供することができる。
Claims (7)
- 複数色のインクから構成されるインクジェット記録用水性インクセットであって、アニオン性染料を含むインク及びカチオン性染料を含むインクを少なくともそれぞれ1種ずつ含むものであり、前記アニオン性染料を含むインク及び/又は前記カチオン性染料を含むインクは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも2種のグリコール、ポリビニルピロリドン、並びに、水を含むものであることを特徴とするインクジェット記録用水性インクセット。
- 前記ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも2種のグリコールの配合量が、前記アニオン性染料を含むインク及び/又は前記カチオン性染料を含むインク全量に対して10〜45重量%であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用水性インクセット。
- 請求項1又は2記載のインクジェット記録用水性インクセットにおいて、前記アニオン性染料を含むインク及び/又は前記カチオン性染料を含むインクが、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群よりポリエチレングリコールを選択する場合、ポリエチレングリコールの平均分子量が、200〜600であることを特徴とするインクジェット記録用水性インクセット。
- 前記ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも2種のグリコールが、アニオン性染料を含むインクに含まれることを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェット記録用水性インクセット。
- 前記ポリビニルピロリドンの配合量が、前記アニオン性染料を含むインク及び/又は前記カチオン性染料を含むインク全量に対して0.1〜5重量%であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のインクジェット記録用水性インクセット。
- 前記ポリビニルピロリドンの平均分子量が、2000〜20000であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のインクジェット記録用水性インクセット。
- 前記ポリビニルピロリドンが、アニオン性染料を含むインクに含まれることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載のインクジェット記録用水性インクセット。
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