JP3823434B2 - エンジンの燃料噴射弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、圧電素子または磁歪素子等のアクチュエータを介して針弁前後の燃料圧力を変化させることにより針弁を駆動するエンジンの燃料噴射弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から自動車用エンジンに備えられる燃料噴射弁に、印加電圧に応じて体積変化する圧電素子や磁界の変化に応じて体積変化する磁歪素子を備えたアクチュエータによって針弁(弁体)を開弁作動させるものが知られており、針弁をこれらアクチュエータにより駆動することにより、燃料噴射弁の応答性を向上でき、噴射可能範囲が拡大してエンジンの高出力化に対応できるとともに、少量の燃料を安定して噴射することが可能となってエンジンの燃費低減を図ることができる。
【0003】
このような燃料噴射弁としては、実開昭63−24362号公報に開示されるものが知られており、アクチュエータとして圧電素子からなるピエゾアクチュエータを用いるとともに、針弁の開閉をその前後差圧に基づいて行うようにしたものである。
【0004】
針弁の基端側の前後には供給された燃料の圧力を導く燃圧室と、ピエゾアクチュエータからの液圧を導く圧力室が画成されており、圧力室は燃圧室とオリフィスを介して連通されている。そして、ピエゾアクチュエータの収縮により圧力室の圧力が増大すると、リターンスプリングに抗して針弁が開弁駆動され、噴口が開いて燃料が噴射されることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の燃料噴射弁では、針弁を駆動する圧力室からピエゾアクチュエータ側の回路が閉回路となるため、ドレーン通路などを設ける必要があり、このドレーン通路の形成によって構造が複雑になって、製造コストを増大するという問題があり、また、針弁は噴口側から基端側まで一体的に形成されて、さらに、針弁の途中には、受圧部やスプリングと係合するための複数の大径部と小径部を形成する必要があり、さらに、これら大径部、小径部には燃料を導くオリフィスを形成せねばならず、針弁及びオリフィスの加工工数が増大して製造コストが上昇するのに加え、加工精度を保持するのが難しいため均一な応答性を確保するのが困難になる場合があった。
【0006】
そこで、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、製造コストの低減と応答性の確保を両立可能な燃料噴射弁を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、加圧燃料が導かれる燃圧室と、燃圧室と差圧室の差圧に応じて変位する針弁と、針弁によって開閉され燃圧室の燃料を噴射する噴口と、燃圧室と差圧室を連通する絞り通路と、針弁を閉弁方向に付勢する第1弾性部材と、圧電素子または磁歪素子から構成されたアクチュエータと、アクチュエータの伸縮に応じて差圧室の圧力を加減圧するピストンとを備えたエンジンの燃料噴射弁において、前記針弁は、噴口を開閉する弁体と、この弁体と直列的に配設されるとともに、前記第1弾性部材に付勢されて弁体と接離可能な押圧部材とから形成され、前記差圧室を弁体と押圧部材との間に画成するとともに、前記弁体を開弁方向へ付勢する第2弾性部材を設け、加圧燃料を導くと共に、この加圧燃料と前記差圧室との差圧に応じて前記押圧部材を変位させる第2の燃圧室を形成する。
【0008】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記ピストンの前記差圧室に連通する加圧室に面した受圧面積A3を、押圧部材の前記差圧室に面した受圧面積A2より大きく、かつ、押圧部材の前記受圧面積A2を弁体の前記差圧室に面した受圧面積A1より大きく設定する。
【0009】
また、第3の発明は、前記第1の発明において、前記第1弾性部材のバネ定数は第2弾性部材のバネ定数よりも大きく設定されたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料噴射弁。
【0010】
また、第4の発明は、前記第1の発明において、前記弁体の開弁時には、前記第1弾性部材が発生する付勢力は押圧部材が受ける油圧力より小さく、かつ、第2弾性部材が発生する付勢力は弁体が受ける油圧力より大きく設定する。
【0011】
また、第5の発明は、前記第1の発明において、前記ピストンは加圧室内に収装され、この加圧室は連通路を介して前記差圧室と接続される。
【0012】
【発明の効果】
第1の発明は、噴口を開閉する弁体と、第1弾性部材に付勢される押圧部材を直列的に分割して配置するとともに、弁体を開弁方向へ付勢する第2弾性部材を設け、弁体と押圧部材の間に画成した差圧室にはアクチュエータの伸縮に応じたピストンからの圧力が加わることで、圧電素子または磁歪素子で構成されたアクチュエータの変位によって差圧室と弁体側の燃圧室及び押圧部材側の第2燃圧室の間に生じる差圧に応じて弁体を開閉駆動することが可能となり、差圧室へ燃料を供給する絞り通路は、弁体側ないし押圧部材側の少なくとも一方に設ければよく、前記従来例のように針弁を一体に形成して複数の絞りを形成するのに比して製造コストを低減することができるとともに、加工精度を容易に確保することが可能となって、安定した応答性の確保と製造コストの低減を両立させることができる。
【0013】
また、第2の発明は、アクチュエータに駆動されるピストンの受圧面積A3を押圧部材の受圧面積A2より大きく、かつ、押圧部材の受圧面積A2を弁体の受圧面積A1より大きく設定することで、圧電素子ないし磁歪素子からなるアクチュエータの微少な変位による差圧室の圧力変動で針弁の駆動を確実に行うことが可能となる。
【0014】
また、第3の発明は、押圧部材を介して弁体を閉弁方向へ付勢する第1弾性部材のバネ定数は、弁体を開弁方向へ付勢する第2弾性部材のバネ定数よりも大きく設定さるため、アクチュエータの伸長時にのみ弁体が開弁する一方、通電遮断時には第1弾性部材が第2弾性部材に抗して、弁体を閉弁させるため、アクチュエータの駆動回路等が故障した際のフェイルセーフを確保することができるのである。
【0015】
また、第4の発明は、第1弾性部材が発生する付勢力を押圧部材が受ける差圧室からの油圧力より小さく、かつ、第2弾性部材が発生する付勢力を弁体が受ける差圧室からの油圧力より大きく設定したため、アクチュエータの伸長駆動によって差圧室の圧力が燃圧室及び第2燃圧室に供給される燃圧より大きくなる差圧の増大時には、押圧部材が第1弾性部材に抗して弁体から離れる方向へ変位するため、弁体は差圧室の油圧力に抗して開弁することができ、逆に、アクチュエータの収縮駆動によって差圧室の圧力が燃圧室及び第2燃圧室に供給される燃圧より小さくなる差圧の減少時には、押圧部材は第1弾性部材によって差圧室の油圧力に抗して弁体に当接するとともに、弁体を閉弁方向へ付勢することで、弁体を確実に閉弁することができる。
【0016】
また、第5の発明は、アクチュエータが伸縮するとピストンの変位によって、加圧室内の圧力は連通路を介して差圧室へ導かれ、圧電素子または磁歪素子からなるアクチュエータの微少な変位を圧力変動に変換して、燃料噴射に必要な弁体及び押圧部材の駆動量を確保することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を筒内噴射式火花点火エンジンに配設される燃料噴射弁に適用した一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1において、燃料噴射弁はケーシング9の先端には、図示しないエンジンの燃焼室に臨ませるノズルボディ1が設けられ、このノズルボディ1は先端に開口した噴口1aから燃料噴霧をピストンに向けて噴出するように構成される。
【0019】
ノズルボディ1の内部には、噴口1a側に弁体2aを形成する一方、他端にピストン部2bを形成した弁体としての針弁2が摺動可能に収装され、ノズルボディ1の内部には針弁2のまわりに燃圧室3が画成され、噴口1aは針弁2によって開閉される。なお、針弁2は弁体2aとピストン部2bでノズルボディ1内周と摺接する。なお、針弁2のピストン部2bの外径は弁体側よりも大きく設定され、ピストン部2bの噴口1a側には、針弁2を開弁方向へ付勢する第2弾性部材としてのスプリング5が介装される。
【0020】
そして、ケーシング9に埋設されたノズルボディ1の内周には、ピストン部2bと接離可能な押圧部材としての押圧ピストン7が摺動自由に収装される。この押圧ピストン7は、先端側にピストン部2bと接離するロッド部7aを形成する一方、基端側には内周で第1弾性部材としてのリターンスプリング4を収装するとともに、外周でノズルボディ1の内周と摺接する筒状部7bが形成され、この筒状部7bの端面がケーシング9の隔壁9a側と接離可能に形成される。
【0021】
この押圧ピストン7と針弁2のピストン部2bの間には差圧室8が画成され、この差圧室8に面したピストン部2bの受圧面積をA1、同じく差圧室8に面した筒状部7bの受圧面積をA2とすると、
A1<A2
の関係に設定される。
【0022】
ここで、リターンスプリング4は押圧ピストン7を介して、針弁2を閉弁方向へ付勢するもので、このリターンスプリング4のバネ定数をK2とする一方、これに対抗するスプリング5のバネ定数をK1とすると、これらバネ定数の関係は、
K1<K2 ………(1)
として設定される。
【0023】
そして、筒状部7bとケーシング9の隔壁9aとの間には、第2燃圧室30が画成される。
【0024】
さらに、ケーシング9の隔壁9aよりも基端側(図中右側)は、筒状に形成されており、内周には圧電素子からなるピエゾアクチュエータ10が軸方向(図中左右方向)へ伸縮自在に形成され、ケーシング9の開口端(基端)には封止部材16が配設される。
【0025】
また、ピエゾアクチュエータ10は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系セラミック、PMN(ニオブ酸マグネシウム酸鉛)系セラミックなどからなる圧電素子を円盤状に形成した部材を多数積層し、これら、各圧電素子間及び両端には図示しない電極が介装されて、図示しないコントローラからの印加電圧に応じてピエゾアクチュエータ10は、軸方向へ伸縮する。
【0026】
隔壁9aと対向したピエゾアクチュエータ10の先端には、ピストン11が固設され、このピストン11と隔壁9aの間には加圧室21が画成されており、さらに、ピストン11と隔壁9aとの間には、ピエゾアクチュエータ10を収縮方向へ付勢する皿バネ状のリターンスプリング22が介装される。
【0027】
このピストン11の受圧面積をA3とすると、上記針弁2のピストン部2b及び押圧ピストン7の受圧面積A1、A2との関係は、次のように設定される。
【0028】
A1<A2<A3 ………(2)
また、ピストン11の外周にはケーシング9内壁と摺接するOリング12が介装されて、加圧室21内の燃料がピエゾアクチュエータ10側へ漏れるのを防止する。
【0029】
一方、封止部材16と対向したピエゾアクチュエータ10の基端には板状のスペーサ14が固設され、このスペーサ14と封止部材16との間にはボール15が介装される。このボール15は、ピエゾアクチュエータ10の軸線近傍に設けられて、封止部材16に対するピエゾアクチュエータ10の相対的な回動を許容し、ピエゾアクチュエータ10に軸まわりのねじれが発生するのを防止する。
【0030】
次に、ケーシング9の所定の側面には、図示しない燃料供給手段と連通する燃料入口6が開口形成され、この燃料入口6からは、針弁2の燃圧室3と連通する燃料供給通路17と、押圧ピストン7背面の第2燃圧室30と連通する燃圧供給通路18が接続され、上記燃料供給手段から圧送される燃料は、燃料入口6から、まず上流側の第2燃圧室30へ導かれるとともに、下流側の燃圧室3へ導入されて、後述するように、針弁2のリフトに伴って噴口1aから噴射される。
【0031】
また、針弁2のピストン部2bと押圧ピストン7との間に画成された、差圧室8とピエゾアクチュエータ10側の加圧室21との間には、連通路19が形成されて、ピエゾアクチュエータ10の伸縮に応じた加圧室21の圧力の変動は、この連通路19を介して差圧室8へ導かれる。
【0032】
ここで、燃料入口6から供給される燃圧をP1、差圧室8に加わる圧力をP2とすると、これらの差圧ΔPは、
ΔP=P2−P1
で表され、また、針弁2を開弁方向へ付勢するスプリング5が発生する付勢力(弾性復元力)をF1、対抗するリターンスプリング4が発生する付勢力をF2とすると、上記各ピストン2b、7、11の受圧面積A1〜A3と、これらスプリング4、5が発生する弾性復元力の関係は次のように設定される。
【0033】
F1>ΔP×A1 ………(3)
F2<ΔP×A2 ………(4)
以上のように構成され、次に作用について説明する。
【0034】
図1は、エンジン停止時における燃料噴射弁の状態を示しており、図示しないコントローラから電圧が印加されていないため、ピエゾアクチュエータ10は収縮するとともに、リターンスプリング22によって付勢されて最収縮位置となっており、加圧室21の容積は最大となって、これと連通する差圧室8の圧力は低下し、また、燃料入口6へ燃料が圧送されないため、燃圧室3及び第2燃圧室30との圧力は共に低下し、これら各室の圧力は、ピストン部2bに形成した絞り通路20を介して均一になり、このとき針弁2は、上記(1)式から、リターンスプリング4のバネ定数K2の方がスプリング5のバネ定数K1より大きく設定されるため、閉弁方向へ付勢されて弁体2aがノズルボディ1のシート部に押し付けられて閉弁状態を保持することができる。
【0035】
すなわち、リターンスプリング4の付勢力が針弁2を開弁方向へ付勢するスプリング5に抗して、押圧ピストン7のロッド7aを介して針弁2を閉弁し、エンジン停止中に噴口1aから燃料が洩れることが防止される。
【0036】
エンジン始動に伴って図示しない燃料供給手段から燃料入口6へ所定の燃圧P1で燃料が圧送されると、燃圧室3及びその上流の第2燃圧室30へ燃圧P1が導かれて圧力が上昇し、燃料が絞り通路20を通って差圧室8へ流入し終わるまでの間は、針弁2のピストン部2bの前後に差圧が生じる。
【0037】
しかし、燃圧室3とその上流側の第2燃圧室30には等しく燃圧P1が加わるとともに、針弁2がリターンスプリング4とスプリング5の付勢力(バネ定数)の差によって、針弁2の弁体2aがノズルボディ1のシート部へ押し付けられることにより、所定の噴射時期以外での針弁2が開弁を防止できる。
【0038】
エンジン始動時および始動後における燃料噴射弁の開弁動作時には、ピエゾアクチュエータ10はエンジン回転に同期して印加される電圧に応じて、また、リターンスプリング22に抗して伸長駆動される。
【0039】
ピエゾアクチュエータ10の伸長に伴って、ピストン11が加圧室21の体積を縮小する方向(隔壁9a側)へ移動し、差圧室8には連通路19を介して加圧室21からの加圧燃料が供給される。
【0040】
このとき、加圧室21の圧力は、上記絞り通路20によってピエゾアクチュエータ10の伸長駆動以前に燃圧P1に達しており、また、ピストン11の受圧面積A3は、上記(2)式のように設定されるため、ピエゾアクチュエータ10の微少な変位によっても燃圧P1より大となる。したがって、連通路19を介して差圧室8に加わる圧力も燃圧P1より大となり、このときの差圧室8の圧力をP2とすると、針弁ピストン部2bと押圧ピストン7には差圧ΔPが生じる。
【0041】
したがって、上記(4)式より、リターンスプリング4の付勢力F2が差圧室8の油圧力より小さくなるため、押圧ピストン7は隔壁9aへ向けて移動して、筒状部7bの端面が隔壁9aに当接するまで移動する。
【0042】
一方、上記(3)式より、針弁2のピストン部2bを開弁方向へ付勢するスプリング5の付勢力F1は、差圧室8の油圧力より大きくなり、また、押圧ピストン7が上記のように隔壁9a側へ移動するため、針弁2も隔壁9aへ向けて移動して、弁体2aが噴口1aを開き、燃圧室3に導かれる燃圧P1の燃料が噴口1aを通ってエンジン内の燃焼室へ噴射される。
【0043】
一方、燃料噴射弁の閉弁動作は、ピエゾアクチュエータ10への電圧の印加を遮断することにより行われる。
【0044】
ピエゾアクチュエータ10は電圧の遮断によって収縮するとともに、リターンスプリング22の付勢力によって最収縮位置まで変位する。
【0045】
ピエゾアクチュエータ10の収縮に伴って、ピストン11が加圧室21の体積を増大する方向(封止部材16側)へ移動し、差圧室8は連通路19を介して加圧室21の容積の増大に伴って減圧される。
【0046】
このとき、差圧室8の圧力は、上記絞り通路20によって燃圧室3から徐々に燃料の供給を受けるが、圧力は急減して燃圧室3及び第2燃圧室30の燃圧P1未満となり、このときの差圧室8の圧力P2と、針弁ピストン2aと押圧ピストン7に加わる燃圧P1との間には差圧−ΔPが生じる。
【0047】
したがって、上記(3)式より、針弁2のピストン部2bを開弁方向へ付勢するスプリング5の付勢力F1は、差圧室8の油圧力より大きいままであるが、上記(4)式より、リターンスプリング4の付勢力F2が差圧室8の油圧力より大きくなり、かつ、上記(1)式より、リターンスプリング4のバネ定数K2はスプリング5のバネ定数より大であるため、押圧ピストン7はロッド7aをピストン部2bへ当接させるとともに、針弁2を閉弁方向へ駆動し、弁体2aがシート部に当接して噴口1aを封止することで、燃圧室3から燃焼室への噴射が停止する。
【0048】
上記閉弁動作は、ピエゾアクチュエータ10への通電経路の断線等で、電圧の印加が遮断された場合にも同様に作動し、電気系統の故障時のフェイルセーフを確保することができるのである。
【0049】
こうして、ピストン部2bを備えた針弁2と、針弁2を駆動する押圧ピストン7を直列的に分割して配置するとともに、ピストン部2bと押圧ピストン7の間に画成した差圧室8と、ピエゾアクチュエータ10のピストン11で画成された加圧室21を連通路19により接続し、各ピストンを上記(2)のように設定し、またスプリング5とリターンスプリング4のバネ定数K1、K2及び付勢力F1、F2を上記(1)、(3)、(4)式のように設定することで、ピエゾアクチュエータ10の微少な変位によって差圧室8との間に生じる差圧ΔPに応じて針弁2を開閉駆動することが可能となり、差圧室8へ燃料を供給する絞り通路20を、1箇所設けるだけでよいため、前記従来例のように針弁を一体に形成するとともに複数の絞りを形成するのに比して製造コストを低減することができるとともに、加工精度を容易に確保することが可能となって、安定した応答性の確保と製造コストの低減を両立させることができるのである。
【0050】
また、ピエゾアクチュエータ10による圧力変動を伝達する経路は、差圧室8と加圧室21を連通する連通路19を形成するだけでよく、前記従来例のようにドレーン通路などを設ける必要がなくなって、簡易な構成とすることができ、加工工数の低減による製造コストの低減をさらに推進することができるのである。
【0051】
さらに、ピエゾアクチュエータ10の伸長時にのみ針弁2が開弁するため、ピエゾアクチュエータ10への通電が遮断された際には、確実に燃料の噴射を中止することができ、ピエゾアクチュエータ10の駆動回路等が故障した際のフェイルセーフを確保することができるのである。
【0052】
なお、上記実施形態において、ピストン11を駆動するアクチュエータとして圧電素子からなるピエゾアクチュエータ10を採用した場合を示したが、図示はしないが、磁界の強さに応じて伸縮する磁歪素子を用いた磁歪アクチュエータまたは超磁歪アクチュエータを採用しても同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す燃料噴射弁の断面図。
【符号の説明】
1 ノズルボディ
1a 噴口
2 針弁
2a 弁体
2b ピストン部
3 燃圧室
4 リターンスプリング(第1弾性部材)
5 スプリング(第2弾性部材)
6 燃料入口
7 押圧ピストン(押圧部材)
8 差圧室
10 ピエゾアクチュエータ
11 ピストン
17 燃料供給通路
18 燃圧供給通路
19 連通路
20 絞り通路
21 加圧室
22 リターンスプリング
30 第2燃圧室
Claims (5)
- 加圧燃料が導かれる燃圧室と、
燃圧室と差圧室の差圧に応じて変位する針弁と、
針弁によって開閉され燃圧室の燃料を噴射する噴口と、
燃圧室と差圧室を連通する絞り通路と、
針弁を閉弁方向に付勢する第1弾性部材と、
圧電素子または磁歪素子から構成されたアクチュエータと、
アクチュエータの伸縮に応じて差圧室の圧力を加減圧するピストンとを備えたエンジンの燃料噴射弁において、
前記針弁は、噴口を開閉する弁体と、この弁体と直列的に配設されるとともに、前記第1弾性部材に付勢されて弁体と接離可能な押圧部材とから形成され、
前記差圧室を弁体と押圧部材との間に画成するとともに、前記弁体を開弁方向へ付勢する第2弾性部材を設け、
加圧燃料を導くと共に、この加圧燃料と前記差圧室との差圧に応じて前記押圧部材を変位させる第2の燃圧室を形成したことを特徴とするエンジンの燃料噴射弁。 - 前記ピストンの前記差圧室に連通する加圧室に面した受圧面積A3を、押圧部材の前記差圧室に面した受圧面積A2より大きく、かつ、押圧部材の前記受圧面積A2を弁体の前記差圧室に面した受圧面積A1より大きく設定したことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料噴射弁。
- 前記第1弾性部材のバネ定数は第2弾性部材のバネ定数よりも大きく設定されたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料噴射弁。
- 前記弁体の開弁時には、前記第1弾性部材が発生する付勢力は押圧部材が受ける油圧力より小さく、かつ、第2弾性部材が発生する付勢力は弁体が受ける油圧力より大きく設定したことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料噴射弁。
- 前記ピストンは加圧室内に収装され、この加圧室は連通路を介して前記差圧室と接続されたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料噴射弁。
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