JP3817969B2 - 還元金属の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、鉄、クロム、ニッケル、マンガン等の金属を含有する鉱石やダストあるいはスラジ等の金属含有物から還元金属を製造するのに好適な方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
粗鋼の生産方式としては大別して高炉−転炉法、電気炉法が知られている。このうち、電気炉はスクラップや還元鉄を鉄原料として、それらを電気エネルギーで加熱溶解させ、場合によっては精錬し、鋼にしている。現状ではスクラップを主な原料としているが、近年、スクラップの需給のひっ迫、電気炉法での高級製品の製造の流れから還元鉄の使用が増加しつつある。
【0003】
還元鉄を製造するプロセスのひとつとして、例えば、特開昭63−108188号公報には、水平方向に回転する炉床に鉄鉱石と固体還元剤からなる層を積み付け、上部より輻射伝熱によって加熱、鉄鉱石を還元し、還元鉄を製造する方法が開示されている。この方法は設備の建設費が比較的安価で、操業トラブルが比較的少なくてすむ等の優位な点がある。多くの場合、水平に移動する炉床とは図1およびそのA−A断面を示した図2の如き回転炉床の形態が取られている。
【0004】
回転炉床1の上には装入口2を通して搬入された鉄鉱石と固体還元剤からなる層tが積み付けられるが、該炉床1は耐火物が張られた炉体3によって覆われ、その内側の上部には熱源としてのバーナー4が設置されていて、移動床炉1の上で鉄鉱石を還元するようになっている。炉内温度は1300℃前後にされているのが普通であり、還元処理の終了後は炉外へ排出してからの酸化の防止、ハンドリングの容易性を高めるために回転炉床上で冷却器によって還元鉄を冷却した後、排出口5から排出、回収するようになっている。
【0005】
ところで、鉄鉱石はその産地によって差はあるものの脈石分を含んでおり、また固体還元剤の代表例である石炭や石炭チャーには灰分があり、これらが製品である還元鉄にそのまま残り、次の工程の電気炉(溶解炉)において溶解、除去されるが、原料鉱石に含まれる脈石分や石炭中に含まれる灰分が電気炉に入った場合には塩基度調整のための石灰の使用量が多くなり、石灰のコストとともに石灰投入による電力使用量の増加が余儀なくされているのが現状であった。
また、鉄鋼材料の生産過程においては上記した高炉、転炉、電気炉等のそれぞれの過程において発生するガス中のダストや圧延、表面処理等仕上げ工程でのスケールや研磨、電解等で発生するスラジ等には鉄に加えてクロム、ニッケル、マンガン等の鉄鋼製品に添加されている有用な金属が酸化物や水酸化物等様々な形態で含有されているが、これらのダスト、スラジ類にもSiO2、Al2O3 、CaO や炭素等の不純物が含まれているため、かかる有用金属の回収は難しい状況にあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、脈石分や灰分を含む原料鉱石や、種々の不純物を含んでいるダスト、スラジ等の、金属含有物、とくに、粉状の金属含有物を使用してもそれら脈石分、灰分、不純物を還元処理段階で余計な工程を経ることなしに除去できる新規な方法を提案するところにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、粉状金属含有物 (鉄鉱石、ニッケル鉱石、クロム鉱石、マンガン鉱石等の鉱石類や砂鉄、還元鉄粉、製鉄ダスト、製鉄スラジ等が使用できる) を還元して還元金属を製造するに当たり、塩基度が0.4〜1.3である粉状金属含有物を単味で原料とするか、若しくは粉状金属含有物と粉状還元剤 (石炭粉、石炭チャー、コークス粉等が使用できる) および/または粉状副原料 (石灰石粉、生石灰粉、消石灰粉、ドロマイト粉等が使用できる) を混合して塩基度を0.4〜1.3に調整したものを原料として用い、これを炉床上で、還元処理にかかる全時間の1/3以上の時間の間、該原料の内部温度が1200°C以上、1350°C以下で、且つ鉄の還元率が40%から80%まで還元が進行するように保持し、ついで還元後の原料 (還元処理を経て溶融帯に入る直前の原料) を溶融した状態にすることを特徴とする金属鉄の製造方法であり、炉床上には粉状還元剤層を形成しこの上に原料を積層するのがよく、また、炉床はそれ自体が移動する移動炉床とすると原料の還元処理を連続的に行うようにできる。
ここで、還元後の原料を溶融状態にするためには、上記還元処理を行う時間内で原料を保持した温度よりもさらに高くするのがよく、この場合の温度としては1450〜1550°C程度とするのが好ましいことになる。その理由は、1450°C以上とすることにより溶融物の流動性が良好となりスラグ、メタル分離に適当であり、一方、1550°Cを超えるとスラグ、メタル分離にはほとんど変化がなく、投入するエネルギーが大きくなりコスト的にも不利となるからである。
また、この発明では、炉床上に粉状還元剤を形成しこの上に原料を積層することが好ましい。それは、炉床上に形成した粉状還元剤は原料中の金属の還元に使用されるのみならず、原料が溶融したときに炉床を形成する耐火物と直接接触するのを回避するために機能しこれによって炉床が溶損するのを防ぐことができるからである。
【0008】
さらに、この発明においては、還元後の原料、その溶融物、あるいはそれらの混在物に粉状還元剤を供給することによって金属の還元効率の促進を図ることができる。粉状還元剤の供給開始時期は、上記のように還元後であれば原料が溶融する前、また、溶融中(原料が混在する状態も含む)に行ってもよいし、溶融開始前から溶融中にかけて行ってもよく、とくに限定はされない。粉状還元剤は還元の進行に伴い、複数回に分けて添加するのがよい。
粉状還元剤としては、炉体の上部に供給手段を設けて還元後の原料、その溶融物あるいはそれらの混在物の上方より供給するようにしてもよい。一回当たりの供給量としては、断熱層となるのを防ぐため還元後の原料の重量に対して10%以下とするのが好ましい。
【0009】
ここに、塩基度とは
(原料中粉状金属含有物比率×粉状金属含有物中CaO重量%
+原料中粉状還元剤比率×粉状還元剤中CaO重量%
+原料中粉状副原料比率×粉状副原料中CaO重量%)
/ (原料中粉状金属含有物比率×粉状金属含有物中SiO2 重量%
+原料中粉状還元剤比率×粉状還元剤SiO2 重量%
+原料中粉状副原料比率×粉状副原料中SiO2 重量%)
で定義する。なお、上記の式において粉状還元剤あるいは粉状副原料を添加しなくても還元に必要な炭素量が確保できる場合や塩基度の調整ができる場合にはそれらの比率を0として計算することができる。
【0010】
また、上記還元処理とは炉床上の原料を加熱し、高温に保つことをいうものとし、具体的には1000℃以上の温度に保持することにより原料内の粉状還元剤から発生するCO、H2 などの還元性ガスによる鉄の還元が行われ、また、一部Cと鉄や金属との直接還元も行われる処理をいう。
【0011】
【発明の実施の形態】
還元後の還元金属を溶融させると脈石や灰分はスラグとなり溶融した金属との比重差によって分離されることから脈石、灰分の混入がない還元金属を得る方法の一つとして極めて有効である。
【0012】
副原料は還元金属、灰分を溶融させる際に溶融を容易ならしめるために加えられるものであって石灰石、蛍石、蛇紋岩、ドロマイト、製鋼スラグ等であり、成分としてはCaO を含むものである。これらは溶融する前までに結晶水の蒸発、一部の分解反応(例えば石灰石の主成分であるCaCO3 はCaO に熱分解される) を起こしているものの融点が高いため固体の状態を維持している。
【0013】
塩基度を調整せずに還元処理を行った場合には鉱石中の脈石、固体還元剤の灰分は次のような挙動を示すことになる。
まず、鉱石は還元率が低い段階では鉱石中のFeO と一緒に鉱石に含まれるSiO2、 Al2O3等の脈石分が一たん溶融するが、還元が進行することにより溶融物中のFeO が低下し融点が上昇するため再度固化してしまう。また、粉固体還元剤として用いられた粉石炭、粉石炭チャー、粉コークスなどからは灰分が残るが、灰分は主にSiO2、 Al2O3からなり融点が高い。移動する炉床炉内の温度は通常、1300℃前後であり製鋼用転炉や電気炉などと比較すると低い温度であるため、これらの脈石分、灰分を溶融させることはできない。したがって還元が進行しても脈石分、灰分が溶融しないため、図3に副原料を添加した場合と比較して示したように全体としては固体の状態を維持しており、このため脈石、灰分を分離した還元鉄を得ることができない。
【0014】
この発明においては粉状金属含有物、若しくは粉状金属含有物と粉固体還元剤、粉副原料等を適宜混合した原料の塩基度を0. 4〜1. 3の範囲に調整するが、その理由は、塩基度をこの範囲にすることにより脈石分、灰分のスラグ化の融点を低下させることができるからであり、これによって還元鉄とスラグの溶融分離が容易になる。
【0015】
炉床上において還元金属の溶融を行うには熱効率などの観点から、局所加熱によってできる限り短時間で行われることが必要であるため、スラグの溶融分離もまた速やかに行われる必要があるが、原料の塩基度を単に0. 4〜1. 3の範囲に調整して原料中においてスラグ化する成分の溶融温度を単に低下させるだけでは必ずしも溶融後に還元金属とスラグとに分離することができない。
【0016】
このためこの発明では還元処理にかかる全時間の1/3以上の時間の中で原料の内部温度が1200℃以上に、しかもその際、鉄の還元率が40〜80%となるように保持する。
【0017】
この発明における上記の条件の根拠は以下の実験結果に基づく。
まず粒径3mm以下の粉鉄鉱石、コークス粉、石灰石粉を重量比で7:3:1の割合になる混合物を作り、これを図4に示すような実験装置で1300℃に保持しながら重量の連続的な測定を行い、還元の進行状況を調査した。その結果、粉鉄鉱石の種類や平均粒径等いろいろ変更することにより図5に示すような還元挙動の状態が確認され、とくに図5中のa、bのような還元率の比較的低い段階で還元停滞が生じる場合には還元処理の終了後にメタルとスラグがきれいに2層に分離していたが、cのような初期の還元速度が速く還元率の高い状態が長く続く場合には還元終了後の観察ではスラグとメタルがほとんど分離しておらずスラグが部分的に浸み出したメタルと石灰の混合物になっていた。
【0018】
このような現象につき種々の検討を加えた結果、鉄鉱石の還元のパターンには色々な形態があるが、還元率40%未満および還元率80%を超えた時点では還元の進行にあまり相違がないが、40%から80%の間では条件に応じて還元停滞を起こす場合と還元が速やかに進む場合があることが明らかとなった。図5にその場合の顕著な例を示すように、還元率40〜80%の間において還元の進行に停滞を起こす条件下では還元終了後に得られたメタルとスラグとの分離が生じることが明らかとなった。すなわち、鉄鉱石の還元速度が速く、還元率が40〜80%となる時間が短いと混合物中の石灰分と脈石分、灰分との溶解が十分に進まず石灰と脈石分、灰分とがスラグ化しないことが判明した。
【0019】
この現象は鉄の還元率が40〜80%という比較的低い状態において、鉄酸化物はその多くがFeO として存在するため、このFeO と石灰分、脈石、灰分中のSiO2、CaO 、Al2O3 とが低融点で粘性の低いスラグ組成を形成することによるもの、すなわち、還元停滞が生じる条件においては、FeO が存在する状態で比較的長い時間保持されることで混合物中の石灰分、脈石、灰分の溶解が進むのに対し、還元停滞を起こさない条件で還元が進むと、酸化鉄の還元により生成したFeO と石灰分、脈石、灰分とが十分に溶解しないうちに還元が進行してしまい、スラグの粘性低下の効果は十分得られないためにメタル、スラグの分離にまで至らないものと考えられる。
原料中の鉄の還元率は、原料中に含まれる鉄を全てFe2O3 としたときの鉄と結合する酸素量に対して、実際に鉄と結合している酸素量の割合を1から差し引いた値をいう。混合物を化学分析してトータル鉄重量%を(TFe) 、金属鉄重量%を(MFe) 、2価の鉄重量%を (Fe2+) としたとき、
1−((TFe)− (MFe)−(Fe2+ ) /3) /(TFe)
で表される。
【0020】
上述のように、還元操作において還元率を低く保ち、塩基度を0.4〜1.3の範囲に調整した場合、原料は還元後に速やかに溶融が起こり、さらに、溶融した状態では金属鉄はメタルとしてスラグから分離することになる。このため、メタル中には脈石由来の不純物であるSiO2やAl2O3 等が少なく、良質の還元金属を製造することができる。
【0021】
ここで、原料中の鉄の還元率を40〜80%となるように制御するには、炉体温度によって還元速度を調整するか、原料中に配合する固体還元剤の量を調整することによって実現できる。とくに、原料中の酸化金属を還元するために必要な還元剤の量よりも少ない量の還元剤を配合した場合、十分に還元が進行せず、温度を高く保っても鉄の還元率は低い状態に保持される。
【0022】
還元操作において還元率を低く保った場合、溶融物にはFeO の状態で鉄酸化物が残存することになる。溶融物中の鉄酸化物はスラグと混在しており、溶融物が還元性雰囲気に保持されていれば、さらに還元が進行してメタルに移行していくため原料中の鉄分のうち製品として回収できる金属鉄の割合を増加させることができる。また、他の金属酸化物についても、溶融状態であるため炭素分との接触界面積が未溶融の場合に比較して格段に増大するため速やかに還元が進行することになる。
【0023】
原料の還元操作後に粉状還元剤を供給すると、さらに還元反応が起こる(以下、これを仕上げ還元反応という)が、この際に発生するガス(例えば、還元剤に石炭を使用した場合、COやH2 等のガスが発生する)によって溶融物は強く撹拌される。この撹拌によって粉状還元剤は溶融物内に取り込まれて溶融物中の金属の還元に寄与するが、溶融物表面に粉状の還元剤が多量に残存した場合、それが断熱層となり炉体からの熱が十分に溶融物に供給されず、吸熱反応である還元反応に悪影響を及ぼすことになる。一方、溶融物の表面に粉状還元剤がわずかでも残っていれば炉内の雰囲気にかかわらず溶融物の表面には還元性雰囲気に保たれるため、メタルの再酸化を回避することができる。このためこの発明においては前述した如く適量ずつ複数回にわたって供給することが好ましい。
【0024】
【実施例】
実施例−1
炉床の上部にバーナー4を、また、炉の上部に粉状還元剤を供給するための装置6を設置し、炉床の上面にアルミナ系の耐火物を張った直径が2.2mの回転炉床を備えた図6、図7(図6のA−A断面)に示すような構成になる炉(全体を炉体で覆った)を用いて以下の要領で操業を行い最終製品(還元鉄)の品質を調査した。
【0025】
図8は上掲図6に示した炉の要部を示したものであって、冷却装置によって冷却された製品は排出口に設けた破砕装置9によって破砕され排出装置10によって排出される。回転炉床炉内の混合粉をサンプリングするための取り出し口Sは還元帯部分に10ケ所取り付けてある。還元帯内から取り出した混合粉は化学分析により還元率を求めることができる。
【0026】
回転炉床炉における粉鉄鉱石(篩い目3mm以下のもの)、粉固体還元剤(篩い目3mm以下のもの)、粉石灰石(篩い目3mm以下のもの)の積み付けは図9のようにし、炉内で還元(還元帯での炉温はバーナーの燃焼制御で前半部分については還元率を制御するため1250〜1350℃の間で調整、後半部分については1300℃に調整) 、溶融 (溶融帯での炉温はバーナーの燃焼制御により1500℃に調整、燃焼は積み付けた層から発生するCOガスを主とし補助燃料として天然ガス使用、支燃ガスとして空気を使用) 、冷却をおこなった。鉄鉱石の成分(脈石分(SiO2, Al2O3等を7%以上含有)を表1に、粉固体還元剤(灰分を5〜11%程度含有)の成分を表2に示す。副原料としては表3に示したような成分になる粉石灰石を用いた。操業条件を表4に、操業結果を表5にそれぞれ示す。
【0027】
【表1】
Figure 0003817969
【0028】
【表2】
Figure 0003817969
【0029】
【表3】
Figure 0003817969
【0030】
【表4】
Figure 0003817969
【0031】
【表5】
Figure 0003817969
【0032】
表4において原料(混合粉)の欄では粉固体還元剤、鉱石、石灰石の合計で100 %になるようになっており、また、脈石+灰分の欄は原料に対する重量%であって、脈石+灰分の中には鉱石中の脈石、粉固体還元剤の灰分の他に石灰石中のCaO 分も含んだものになっている。
【0033】
実施番号1〜10はこの発明の範囲内のものである。還元帯内の混合粉をサンプリングし、還元処理にかかる時間(原料が炉体内へ入ってから溶融帯へ入るまでの時間)の1/3以上の時間で原料の還元率が0.4〜0.8となり、原料の温度を1200℃以上となるように炉上部の温度を調整した。いずれの条件においても還元帯内で粉鉱石は溶融し、還元鉄が脈石、灰分から分離された状態で回収された。回転炉床炉のうち還元操作を行う部分を通過する時間の1/2を経た時点で原料をサンプリングした。この結果、粉石灰石はほとんど見当たらず、粉鉱石は部分的に溶融した状態になっていた。還元帯出側でサンプリングした原料も、粉鉱石は部分的に溶融した状態になっていた。
【0034】
実施番号5〜7は原料の粒径を変えた場合の実験結果である。原料の粒径を10mm以下とした場合、還元帯内で溶融している。鉱石粒径が小さい方が、還元率を確保することが容易であり、炉上部の温度を下げる、もしくは回転速度を速くすることができる。したがって、原料の粒度は小さい方が望ましい。
【0035】
実施番号8〜10は、炉床に積み付ける原料の層厚を変えた場合の実験結果である。層厚を薄くした場合が、還元率を確保することが容易であり、炉上部の温度を下げる、もしくは回転速度を速くすることができる。
【0036】
実施番号11,12は原料の塩基度が0.4以下もしくは1.3以上になっている。すなわち、この発明外の処理に係るものである。実施番号1〜6同様、回転炉床炉のうち還元操作を行う部分を通過する時間の1/2を経た時点で原料混合粉をサンプリングした。実施番号11,12では粉石灰石はほとんど溶融したスラグに拡散していて見当たらなかった。一方、実施番号1〜10と異なり、還元帯出側でサンプリングされた粉鉄鉱石は再固化した状態になっていた。また、最終的に回収されて製品は、脈石、灰分がうまく分離されておらず、還元率も実施番号1〜10に比べ低くなっていた。回転炉床炉内での溶融帯部分の温度、保持時間は実施番号1〜4と同じ条件にしている。この条件では再固化するような融点の高い脈石分を含んだ還元鉄を溶融させることはできず、また、還元率も低いため高温部に保持しても還元反応が起り、外部から供給された熱を吸熱するため混合粉の温度が上昇しにくいと考えられる。
【0037】
実施番号13は、回転炉床炉内の還元帯において原料の還元率が0.4〜0.8となっている時間が全還元時間の3分の1以下となっている。回転炉床炉のうち還元操作を行う部分を通過する時間の1/2を経た時点で原料をサンプリングした結果、粉石灰石はほとんど最初に添加した時のままであることが分かった。また、還元帯の出側において粉鉱石は実施番号11,12同様に再固化した状態でサンプリングされた。この方法でも、回転炉床炉の還元帯内に保持する時間を20分とした場合、最終的に回収された製品では脈石、灰分がうまく分離されていなかった。
【0038】
実施番号14は移動する炉床内で還元操作を行う部分を通過する時間の50%は、還元率が0.4〜0.8となっている。しかし、そのほとんどの部分では、原料内部の温度が1200℃以下となっている。すなわち、この発明外の処理に係るものである。この方法では、還元途中の鉱石は温度が低く、スラグ等が部分的に溶融することがない。脈石、灰分を分離した状態で還元鉄を回収することはできなかった。
【0039】
実施番号15は、還元帯内部において還元率が0.4〜0.8となり、かつ原料の温度が1200℃以上になっている時間が全還元時間のうち8%となっている。すなわち、この発明外の処理に係るものである。還元帯内での滞留時間を25min と長くすることによって、溶融帯での温度、保持時間を実施番号1〜6と同じ条件にしても、炉内で還元鉄は溶融し、脈石、灰分を分離した状態で還元鉄を回収することができた。しかしながら、同じ炉床面積で操業した場合、還元に要する時間が長くなることは、生産性が低下したことになる。
【0040】
実施番号16、17はこの発明の範囲内の結果を示したものである。原料中の還元剤の量は、配合された鉱石を還元するには若干不足していて還元処理を終了した段階での還元率は0.8程度となっており還元率は低い状態ではあるが、何れの条件においても回収された還元鉄はスラグとメタルが分離された状態であった。
【0041】
実施番号18は比較例の結果を示したものである。この例では、還元剤が十分に配合されており、原料の粒径も小さいために還元が著しく進行したため還元帯内での還元率が0.4〜0.8であり、かつ、原料の内部温度が1200℃以上となる時間の割合が11%であるために還元帯の出側においても溶融帯出側においても還元鉄が溶融しなかった。
【0042】
実施番号19は粉状還元剤を供給するための装置6を溶融帯の入側から出側に至るまでの中間位置に配置して還元剤(炭材)を、上方から還元後の原料に対しその重量の3%の割合で供給したこの発明の範囲内のものである。この例では、スラグ中に含まれるFeO 量がより減少しメタルとして回収される割合が増加することが確認できた。
【0043】
実施番号20は粉状還元剤を供給するための装置6を溶融帯の入側から出側に至るまでの中間位置に配置して還元剤(炭材)を、その上方から還元後の原料に対しその重量の10%の条件下で供給したこの発明の範囲内のものである。この例では、原料中に含まれる固体還元剤の量が少ないため、溶融帯入側での鉄の還元率が90%程度となっているものの、原料の上方から還元剤を供給することでメタル、スラグに分離した還元鉄が得られた。また、メタルとして回収された鉄の割合は上記の実施番号19と同様に高いものであった。
【0044】
実施例−2
表6に示す組成になるステンレスダストA、Bを原料として、上記実施例−1と同様の設備を使用して表7の条件もとに操業を行った。その結果を表8に示す。
【0045】
【表6】
Figure 0003817969
【0046】
【表7】
Figure 0003817969
【0047】
【表8】
Figure 0003817969
【0048】
表8の実施番号21、22はこの発明で規定する条件の範囲内で操業した結果を示したものであって、この例においては還元鉄の溶融が問題なく達成でき、かつ製品還元鉄の鉄回収率が良好であるとともに原料中のクロム、ニッケル等金属成分の回収も可能であった。
【0049】
なお、この実施例−2において使用したステンレスダストA、Bは鉄酸化物の他にクロム、ニッケル等の金属酸化物を含むものであり、また、脈石成分としてSiO2やCaO を含むため粉状副原料を添加せずとも混合粉の塩基度が0. 4〜1. 3の範囲に入るものであって、とくにステンレスダストAについては還元処理に必要な炭素を有しているため固体還元剤を添加せずとも還元処理を行うことができ、また、この操業で得られた製品還元鉄はクロムやニッケルを含むためステンレスの原料としてとくに好適に使用できるものであった。
【0050】
【発明の効果】
以上の実施例などから、塩基度が0.4〜1.3である原料を炉床上で、加熱開始から溶融帯に入るまでの間の1/3以上の時間について、1200〜1350℃の温度で還元率40〜80%に保持した上で溶融させることにより原料の溶融が促進され、スラグ、メタルの分離が良好となる。そのため、鉄鉱石や製鉄ダスト等に含まれる脈石や不純物、あるいは固体還元剤に含まれる灰分等の不純物の混入のない品質の良好な還元金属を効率よく製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の回転型炉床炉の構成を示した図である。
【図2】 図1のA−A断面を示した図である。
【図3】 鉄鉱石の還元状況を示した図である。
【図4】 還元実験装置を模式的に示した図である。
【図5】 経過時間と還元率の関係を示したグラフである。
【図6】 本発明を実施するのに用いて好適な回転炉床炉の構成を示した図である。
【図7】 図6のA−A断面を示した図である。
【図8】 図6の要部の構成を示した図である。
【図9】 原料の積み付け状況を示した図である。
【符号の説明】
1 移動炉床
2 装入装置
3 炉体
4 バーナー
5 排出装置
6 粉状還元剤供給装置
7 粉固体還元剤の単体層
8 粉鉄鉱石と粉石灰石と粉固体還元剤からなる混合物
9 破砕装置
10 排出装置
S サンプリング及び測温口
t 鉄鉱石と固体還元剤からなる層

Claims (3)

  1. 鉄分を含む粉状金属含有物を還元して還元金属を製造する方法において、
    塩基度が0.4〜1.3である粉状金属含有物若しくは粉状金属含有物と粉状還元剤および/または粉状副原料を混合して塩基度を0.4〜1.3とした混合物を原料とし、これを炉床上で、還元処理にかかる全時間の1/3以上の時間の間、該原料の内部温度が1200°C以上、1350°C以下で、且つ鉄の還元率が40%から80%まで還元が進行するように保持し、ついで還元後の原料を溶融させることを特徴とする還元金属の製造方法。
  2. 炉床上に粉状還元剤の層を形成しこの上に原料を積層する、請求項1記載の還元金属の製造方法。
  3. 還元後の原料、その溶融物もしくはそれらの混在物の上に粉状還元剤を供給する、請求項1または2記載の還元金属の製造方法。
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