JP3816458B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、経血やおりものなどを吸収するための生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品に係り、体液の全量を漏れ出すことなく処理可能とした吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、パンティライナー、生理用ナプキン、失禁パッドなどの吸収性物品として、ポリエチレンシートまたはポリエチレンシートラミネート不織布などの不透液性バックシートと、不織布または透液性プラスチックシートなどの透液性トップシートとの間に綿状パルプ等からなる吸収体を介在したものが知られている。
【0003】
この種の吸収性物品にも幾多の改良が重ねられ、体液漏れを防止するための手段が種々講じられている。これら体液漏れ防止手段の一つとして、熱エンボスによって凹状溝を形成する技術が存在する。たとえば、特開平11-33054号公報では、均一に積繊した吸収体を中高形状を象ったフィットエンボスでパルプを圧搾変形し中高部を形成するとともに、中高部の周囲に防漏溝を設けることによって体液の拡散(漏れ)を防止する技術が提案され、特開2001-190595号公報では体液を流入させるための窪みを有する体液処理用品が提案されている。さらに、特開平9-28729号公報では基層吸収体の後端部上面に全幅に亘ってクッション層を設け、就寝時に体液が臀裂を通って後側に漏れ出るのを防止した生理用ナプキンが提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11-33054号公報
【特許文献2】
特開2001-190595号公報
【特許文献3】
特開平9-28729号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の特許文献1の凹状溝の機能は、透液性トップシートの表面を伝わって流れる体液を凹状溝内に流入させることによって、それ以上の拡散を抑制するに止まるものであって、例えば瞬間的に多量の体液等が排出された場合に、この体液を漏れないように保持・吸収し得る構造とはなっていない。すなわち、排出される体液の量はその時々で変化し、また瞬間的に多量の体液が排出されることもあれば、少しづつ排出される場合もある。したがって、瞬間的に多量の体液が排出された場合などは、単に前記凹状溝によってそれ以上の拡散を抑制するだけでは足りず、その凹状溝で確実に体液を処理できるようにする必要がある。また、体液にはそのまま前後方向に流れる体液もあれば、拡散しながら流れる体液もあり、特に拡散しながら体液は幅方向漏れのおそれがあるため、迅速に処理する必要がある。
【0006】
前記特許文献2では窪みを吸収体の上面に設けることによって体液の貯留保持するものであるが、1箇所から大量に体液が流入すると溢流する虞があり、窪みに流入した体液をうまく導流制御する必要がある。
【0007】
更に、特に夜用ナプキンなど、就寝時における後漏れを防止する場合、上記特許文献3記載の発明のように、単にクッション層を設けただけでは臀裂の隙間を封鎖することはできず、やはり効果的に後漏れを防止できないなどの問題があった。
【0008】
そこで本発明の主たる課題は、瞬間的に多量の体液等が排出された場合でも、この体液を後漏れ及び/又は前漏れさせることなく吸収体に確実に吸収・保持させるようにした漏れ防止効果の高い吸収性物品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための請求項1に係る本発明として、トップシートとバックシートとの間に吸収体が介在されるとともに、前記吸収体の上面側両側部に夫々サイドエンボスを有する吸収性物品において、
前記吸収性物品の後方側吸収体上面部分に、平面視で、吸収性物品の後端側に膨出する湾曲線からなる第1曲線と、この第1曲線よりも後端側に位置し、吸収性物品の後端側に膨出する湾曲線からなるとともに、両端部が前記第1曲線の両端部に夫々接合された第2曲線とにより区画された閉領域部分を上面側から窪ませて凹面状の後方側体液貯留部を形成し、前記後方側体液貯留部の両端部を前記サイドエンボスに結合したことを特徴とする吸収性物品が提供される。
【0010】
請求項2に係る本発明として、前記後方側体液貯留部は、平面形状が擬似三日月形状である請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0011】
上記請求項1、2記載の発明においては、後方側吸収体上面部分及び/又は前方側吸収体上面部分に、代表的には第1曲線と第2曲線とにより擬似三日月形状を成す後方側体液貯留部、前方側体液貯留部を形成するようにした。本発明において擬似三日月形状の体液貯留部を画成する第1曲線は、拡散しながら流れる体液があった場合、中央部を流れる体液より両側部に拡散した体液をより迅速に体液貯留部内に流入させるようにすることで横漏れを防止するように機能し、前記第2曲線は、体液貯留部内に流れ込んだ体液を曲線形状に沿って両側に導流することにより貯留部内での拡散を図り、1箇所から大量の体液が流れ込んだ場合にであっても溢流を防止するように機能するものである。
【0012】
また、体液貯留部を画成する境界形状を規定するとともに、両端部をサイドエンボスに結合することを条件とした。前記体液貯留部を画成する第1曲線と第2曲線とによる形状は、例えば擬似三日月状を成し、体液貯留部に流入した体液は、一部が底面の吸収体に吸収されるが、吸収されなかった体液は側方に流れる過程で徐々に流域が絞り込まれ、最後はサイドエンボスの溝内に流入し吸収体に吸収されるようになる。体液貯留部に流入した体液に対して前述した導流制御を採ることにより、後側への漏れを許さず、確実に吸収体に吸収保持させることが可能となる。
【0013】
請求項3に係る本発明として、前記後方側体液貯留部は、吸収性物品の縦方向中心線近傍部位において、吸収性物品の後端側に突出する体液貯留延長部を連続的に有する請求項1〜2いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0014】
上記請求項3記載の本発明においては、体液貯留部の平面形状に係り、吸収性物品の幅方向中央部において、後端側に突出する体液貯留延長部を有するようにした。臀裂部の窪み部分に隙間ができる可能性があるため、この隙間を封鎖するため、前記臀裂部の窪み形状に合わせて前記体液貯留延長部を形成することにより後漏れを確実に無くすようにしている。
【0015】
請求項4に係る本発明として、前記後方側体液貯留部の体液貯留保持量は最大で25ccである請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0016】
請求項5に係る本発明として、前記後方側体液貯留部の位置は、第2曲線と吸収性物品の縦方向中心線との交点を基準に、吸収体の後端部から吸収体長手寸法に対して10〜30%の範囲に位置している請求項1〜4いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0017】
請求項6に係る本発明として、前記吸収性物品の前方側吸収体上面部分に、平面視で、吸収性物品の前端側に膨出する湾曲線からなる第1曲線と、この第1曲線よりも前端側に位置し、吸収性物品の前端側に膨出する湾曲線からなるとともに、両端部が前記第1曲線の両端部に夫々接合された第2曲線とにより区画された閉領域部分を上面側から窪ませて凹面状の前方側体液貯留部を形成し、前記前方側体液貯留部の両端部を前記サイドエンボスに結合してある請求項1〜5いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0018】
請求項7に係る本発明として、前記前方側体液貯留部は、平面形状が擬似三日月形状である請求項6記載の吸収性物品が提供される。
【0019】
請求項8に係る本発明として、前記前方側体液貯留部の体液貯留保持量は最大で10ccである請求項6〜7いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0020】
請求項9に係る本発明として、前記前方側体液貯留部の位置は、第2曲線と吸収性物品の縦方向中心線との交点を基準に、吸収体の前端部から吸収体長手寸法に対して10〜20%の範囲に位置している請求項6〜8いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0021】
請求項10に係る本発明として、前記後方側体液貯留部及び/又は前方側体液貯留部の吸収体幅方向寸法は、吸収体幅に対して20〜80%である請求項1〜9いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0022】
請求項11に係る本発明として、前記後方側体液貯留部及び/又は前方側体液貯留部の吸収性物品の縦方向中心線上における吸収体長手方向寸法は、吸収体長さに対して30%以内である請求項1〜10いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0023】
請求項12に係る本発明として、前記透液性表面シートと吸収体とが一体に圧縮されて前記後方側体液貯留部及び/又は前方側体液貯留部が形成されている請求項1〜11いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0025】
〔第1形態例〕
図1は本発明の第1形態例に係る生理用ナプキン1Aの展開図であり、図2は図1のII−II線矢視図、図3は図1のIII−III線矢視図、図4は図1のIV−IV線矢視図である。
【0026】
前記生理用ナプキン1Aは、ポリエチレンシートなどからなる不透液性バックシート2と、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性トップシート3と、これら両シート2,3間に介装された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4、6と、この吸収体4の形状保持および拡散性向上のために前記吸収体4を囲繞するクレープ紙5と、前記吸収体4の略側縁部を起立基端とし、かつ少なくとも体液排出部Hから前後方向に所定の区間内において表面側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザーBS、BSとから主に構成され、かつ前記吸収体4の周囲においては、その上下端縁部では前記不透液性バックシート2と透液性トップシート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している前記不透液性バックシート2と、前記立体ギャザーBSを形成しているサイド不織布7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、これら不透液性バックシート2とサイド不織布7とによる積層シート部分によって側方に突出するウイング状フラップW、Wが形成されているとともに、これよりも臀部側に位置する部分に第2ウイング状フラップWB、WBが形成されている。
【0027】
以下、さらに前記生理用ナプキン1Aの構造について詳述すると、
前記不透液性バックシート2は、ポリエチレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。前記不透液性バックシート2の非使用面側(外面)には1または複数条の粘着剤層(図示せず)が形成され、身体への装着時に生理用ナプキン1Aを下着に固定するようになっている。
【0028】
次いで、前記透液性トップシート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。前記透液性トップシート3に多数の透孔を形成した場合には、経血やおりもの等(以下、まとめて体液という。)が速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。
【0029】
前記吸収体4としては、体液を吸収・保持し得るものであれば良く、通常はフラッフ状パルプ中に吸水性ポリマー粉末を混入したものが吸収機能および価格の点から好適に使用される。前記吸収体4は形状保持等のためにクレープ紙5によって囲繞するのが望ましい。
【0030】
前記吸収体4の上面側中央部には長手方向に沿って中高吸収体6が配設されている。この中高吸収体6の厚みは、厚くし過ぎると吸収体の剛性が上がり身体への密着性が低下するため、3〜20mm、好ましくは5〜15mmとするのが好ましい。また、透液性トップシート3面には、両側部に略長手方向に沿ってサイドエンボス14,14が形成されている。
【0031】
一方、前記透液性トップシート3の幅寸法は、図示例では、図2および図3の横断面図に示されるように、吸収体4の幅よりも若干長めとされ、吸収体4を覆うだけに止まり、前記立体ギャザーBSは前記透液性トップシート3とは別のサイド不織布7、具体的には経血やおりもの等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの目的に応じて、適宜の撥水処理または親水処理を施した不織布素材を用いて構成されている。かかるサイド不織布7としては、天然繊維、合成繊維または再生繊維などを素材として、適宜の加工法によって形成されたものを使用することができるが、好ましくはゴワ付き感を無くすとともに、ムレを防止するために、坪量を抑えて通気性を持たせた不織布を用いるのがよい。具体的には、坪量を18〜23g/m2として作製された不織布を用いるのが望ましく、かつ体液の透過を確実に防止するためにシリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布が好適に使用される。
【0032】
前記サイド不織布7は、図2および図3に示されるように、幅方向中間部より外側部分を吸収体4の内側位置から吸収体側縁を若干越えて不透液性バックシート2の外縁までの範囲に亘ってホットメルトなどの接着剤によって接着し、これら前記サイド不織布7と不透液性バックシート2との積層シート部分により、ほぼ体液排出部Hに相当する吸収体側部位置に左右一対のウイングフラップW、Wを形成するとともに、これより臀部側位置に第2ウイング状フラップWB、WBを形成している。これらウイング状フラップW、Wおよび第2ウイング状フラップWB、WBの外面側にはそれぞれ粘着剤層10…,11…を備え、図8に示されるように、ショーツ30に対する装着時に、前記ウイング状フラップW、Wが折返し線RL位置にて反対側に折り返し、ショーツのクロッチ部分に巻き付けて止着するようになっている。
【0033】
一方、前記サイド不織布7の内方側部分はほぼ二重に折り返されるとともに、この二重シート内部に、その高さ方向中間部に両端または長手方向の適宜の位置が固定された糸状弾性伸縮部材19が配設されるとともに、前記糸状弾性伸縮部材19の上側部位に複数本の、図示例では2本の糸状弾性伸縮部材20,20が両端または長手方向の適宜の位置が固定された状態で配設されている。この二重シート部分は前後端部では図3に示されるように、断面Z状に折り畳んで積層された状態で吸収体4側に接着されることによって、前記糸状弾性伸縮部材19配設部位を屈曲点として、断面く字状に内側に開口を向けたポケットP、Pを形成しながら表面側に起立する立体ギャザーBS、BSが形成されている。
【0034】
本生理用ナプキン1Aでは、吸収体4の後方側上面部分に、透液性表面シート3の上面側から窪ませて凹面状の後方側体液貯留部17が形成されている。この体液貯留部17は、詳細には図5に示されるように、平面視で、生理用ナプキン1Aの後端側に膨出する湾曲線からなる第1曲線16と、この第1曲線16よりも後方端側に位置し、生理用ナプキン1Aの後端側に膨出する湾曲線からなるとともに、両端部が前記第1曲線16の両端部に夫々接合する第2曲線18とにより区画された閉領域部分(斜線領域)を上面側から窪ませて形成したものであって、前記第1曲線16と第2曲線18とが接合される両端部を夫々前記サイドエンボス14の後方端部K、Kに結合してある。この場合、前記第1曲線16及び第2曲線18は一部分に直線部分を含んでいてもよいし、複数の曲率中心を有する複合湾曲線となっていてもよい。要は全体として生理用ナプキン1Aの後端側に膨出する湾曲線となっていればよい。
【0035】
前記後方側体液貯留部17の吸収体幅方向寸法B1は吸収体幅に対して20〜80%、好ましくは40〜60%とされる。幅寸法B1が吸収体幅に対して20%未満である場合には貯留能力が低くなるとともに、拡散しながら流れ出す体液を捕捉できない場合がある。また、幅寸法B1が吸収体幅の80%を超える場合には体液貯留部17で一旦吸収体4に吸収された体液が吸収体4の側部から外部に滲み出る場合がある。また、ナプキン1Aの縦方向中心線CL上における吸収体長手方向寸法L1は、吸収体長さに対して5〜30%、好ましくは10〜25%とするのが望ましい。吸収体長手方向寸法L1が5%未満の場合は体液貯留能力が低くなる。30%を超える場合、本来前記体液貯留部17は表面を流れる過程で吸収されなかった体液を貯留保持するものであるため、吸収体排血部位Hが近くなり過ぎて本発明が意図する効果が低くなる。
【0036】
さらに、前記後方側体液貯留部17の体液貯留保持量は最大で25ccとするのが望ましい。体液の全量を漏らさず吸収するには最大で25cc程度の容積が必要である。前記後方側体液貯留部17の位置は、第2曲線18とナプキンの縦方向中心線CLとの交点P1を基準に、吸収体4の後端部から吸収体長手寸法に対して10〜30%の範囲に位置していることが望ましい。10%未満の場合は体液貯留部17で一旦吸収体4に吸収された体液が吸収体側縁部から外部に滲み出る場合がある。また、30%を超える場合、吸収体排血部位Hが近くなり過ぎて本発明が意図する効果が低くなる。
【0037】
図5に示されるように、前記体液排出部Hから後方側に流れる体液があった場合でも、この体液は前記後方側体液貯留部17内に流れ込み、体液貯留部17内で外方向に拡散し、その一部が体液貯留部17の底面吸収体部分に吸収されるとともに、吸収されなかった体液は前記第1曲線16と第2曲線18とが接合される両端部側に、流域が絞り込まれながら流れ込み、最後はサイドエンボス14,14の溝内に流入し吸収体4に吸収されるようになる。このように、体液貯留部17に流れ込んだ体液の導流方向を制御するとともに、体液の吸収量の増大を図ることにより、大量の体液を後側に漏らさず確実に吸収できるようになる。
【0038】
一方、本生理用ナプキン1Aの場合は、吸収体4の前方側上面部分にも、透液性表面シート3の上面側から窪ませて凹面状の前方側体液貯留部15が形成されている。この前側体液貯留部15は前述した体液貯留部17と同様に、平面視で、生理用ナプキン1Aの前端側に膨出する湾曲線からなる第1曲線13と、この第1曲線13よりも前方端側に位置し、生理用ナプキン1Aの前端側に膨出する湾曲線からなるとともに、両端部が前記第1曲線13の両端部に夫々接合する第2曲線12とにより区画された閉領域部分(斜線領域)を上面側から窪ませて形成し、前記第1曲線13と第2曲線12とが接合される両端部を夫々前記サイドエンボス14の前方端部に結合してある。この前方側体液貯留部15の幅寸法B2は前記後方側体液貯留部17と同様の理由により、吸収体幅に対して20〜80%、好ましくは40〜60%とされる。また、ナプキン1Aの縦方向中心線CL上における吸収体長手方向寸法L2は、前記後方側体液貯留部17と同様の理由により、吸収体長さに対して3〜30%、好ましくは5〜15%とするのが望ましい。
【0039】
さらに、前記前方側体液貯留部15の体液貯留保持量は最大で10ccとするのが望ましい。体液の全量を漏らさず吸収するには最大で10cc程度の容積が必要である。前記前方側体液貯留部15の位置は、第2曲線12とナプキン1Aの縦方向中心線CLとの交点P2を基準に、前記後方側体液貯留部17と同様の理由により、吸収体4の前端部から吸収体長手寸法に対して10〜20%の範囲に位置していることが望ましい。
【0040】
〔第2形態例〕
次いで、本第2形態例に係る生理用ナプキン1Bについて図6に基づいて詳述する。
【0041】
本生理用ナプキン1Bにおいては、前記後方側体液貯留部22の縦方向中心線CL近傍部位において、ナプキン1Bの後端側に突出する体液貯留延長部22aを連続的に有する窪み形状をしたものである。
【0042】
図示される具体例では、平面視で、ナプキン1Bの後端側に膨出する湾曲線からなる第1曲線16と、この第1曲線16よりも後端側に位置し、かつ前記第1曲線16の一方側端点を始点として吸収性物品の外方側に膨出する湾曲部を有しながらナプキン1Bの縦方向中心線CL側に向かい、変曲点を越えた後、ナプキン1Bの縦方向中心線CL側に近付くにつれて漸次、ナプキン1Bの後端側に伸び、縦方向中心線CLに接合する半曲線21Aおよびこの半曲線21Aを前記縦方向中心線CLを対称軸として反転させて描かれる半曲線21Bとからなる第2曲線21とにより区画された閉領域部分(斜線領域)を上面側から窪ませて凹面状の体液貯留部22を形成し、かつ前記第1曲線16と第2曲線21とが接合される両端部を夫々前記サイドエンボス14,14に結合するようにしてある。すなわち、本第2形態例では、前記第1形態例における体液貯留部17の形状を基本としながら、生理用ナプキン1Bの幅方向中央部において、体液貯留部22から連続して漸次幅寸法を狭めながら後端側に突出する体液貯留延長部22aを形成したものである。この体液貯留延長部22aを形成している両側の画成線は本例では曲線としたが直線であってもよい。
【0043】
身体の臀裂部においては、図7に示されるように、窪み25が存在しており、第1形態例における第2曲線18がこの窪み25部を横断するような場合には、ナプキンと身体との間に隙間が形成されることになる。従って、本第2形態例では前記窪み25の形状に合わせた体液貯留延長部22aを形成することにより、前記隙間を封止するようにしている。
【0044】
前記第2曲線21において、仮想的に前記第1曲線16の一方側端点を始点として生理用ナプキン1Bの外方側に膨出する湾曲線のまま第1曲線の他方側端点に接合した仮想曲線23を描き、この仮想曲線23と生理用ナプキン1Bの縦方向中心線CLとの交点と、前記半曲線21A(21B)と生理用ナプキン1Bの縦方向中心線CLとの交点間の距離Sは5〜80mm、好ましくは10〜60mmとするのが望ましい。
【0045】
なお、前述以外の構造は、第1形態例と同様であるため同符号を付して説明は省略する。
【0046】
(他の実施形態例)
(1)上記第1形態例及び第2形態例においては、第1曲線16,第2曲線18,21とが接合される両端部をサイドエンボス14の後方端部K、Kに結合したが、サイドエンボス14の中間部に結合させてもよい。
【0047】
(2)上記形態例では生理用ナプキンを例に採り説明を行ったが、本発明は使い捨て紙おむつ、内挿式吸収パッドなどに対しても同様に適用することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上詳説のとおり本発明によれば、瞬間的に多量の体液等が排出された場合でも、この体液を後漏れ及び/又は前漏れさせることなく、吸収体に確実に吸収・保持できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1形態例に係る生理用ナプキン1Aの展開図である。
【図2】 その横断面図(図1のII−II線矢視図)である。
【図3】 その横断面図(図1のIII−III線矢視図)である。
【図4】 その縦断面図(図1のIV−IV線矢視図)である。
【図5】 図1の要部拡大図である。
【図6】 本発明の第2形態例に係る生理用ナプキン1Bの展開図である。
【図7】 身体の臀裂部の窪みを説明するための背図である。
【図8】 ナプキンの装着状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1A・1B…生理用ナプキン、2…不透液性バックシート、3…透液性トップシート、4…吸収体、5…クレープ紙、6…中高吸収体、7…サイド不織布、13・16…第1曲線、12・18・21…第2曲線、15・17・22…体液貯留部、14…サイドエンボス、21A・21B…半曲線、22a…体液貯留延長部、BS…立体ギャザー、W…ウイング状フラップ、WB…臀部側ウイング状フラップ
Claims (12)
- トップシートとバックシートとの間に吸収体が介在されるとともに、前記吸収体の上面側両側部に夫々サイドエンボスを有する吸収性物品において、
前記吸収性物品の後方側吸収体上面部分に、平面視で、吸収性物品の後端側に膨出する湾曲線からなる第1曲線と、この第1曲線よりも後端側に位置し、吸収性物品の後端側に膨出する湾曲線からなるとともに、両端部が前記第1曲線の両端部に夫々接合された第2曲線とにより区画された閉領域部分を上面側から窪ませて凹面状の後方側体液貯留部を形成し、前記後方側体液貯留部の両端部を前記サイドエンボスに結合したことを特徴とする吸収性物品。 - 前記後方側体液貯留部は、平面形状が擬似三日月形状である請求項1記載の吸収性物品。
- 前記後方側体液貯留部は、吸収性物品の縦方向中心線近傍部位において、吸収性物品の後端側に突出する体液貯留延長部を連続的に有する請求項1〜2いずれかに記載の吸収性物品。
- 前記後方側体液貯留部の体液貯留保持量は最大で25ccである請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品。
- 前記後方側体液貯留部の位置は、第2曲線と吸収性物品の縦方向中心線との交点を基準に、吸収体の後端部から吸収体長手寸法に対して10〜30%の範囲に位置している請求項1〜4いずれかに記載の吸収性物品。
- 前記吸収性物品の前方側吸収体上面部分に、平面視で、吸収性物品の前端側に膨出する湾曲線からなる第1曲線と、この第1曲線よりも前端側に位置し、吸収性物品の前端側に膨出する湾曲線からなるとともに、両端部が前記第1曲線の両端部に夫々接合された第2曲線とにより区画された閉領域部分を上面側から窪ませて凹面状の前方側体液貯留部を形成し、前記前方側体液貯留部の両端部を前記サイドエンボスに結合してある請求項1〜5いずれかに記載の吸収性物品。
- 前記前方側体液貯留部は、平面形状が擬似三日月形状である請求項6記載の吸収性物品。
- 前記前方側体液貯留部の体液貯留保持量は最大で10ccである請求項6〜7いずれかに記載の吸収性物品。
- 前記前方側体液貯留部の位置は、第2曲線と吸収性物品の縦方向中心線との交点を基準に、吸収体の前端部から吸収体長手寸法に対して10〜20%の範囲に位置している請求項6〜8いずれかに記載の吸収性物品。
- 前記後方側体液貯留部及び/又は前方側体液貯留部の吸収体幅方向寸法は、吸収体幅に対して20〜80%である請求項1〜9いずれかに記載の吸収性物品。
- 前記後方側体液貯留部及び/又は前方側体液貯留部の吸収性物品の縦方向中心線上における吸収体長手方向寸法は、吸収体長さに対して30%以内である請求項1〜10いずれかに記載の吸収性物品。
- 前記透液性表面シートと吸収体とが一体に圧縮されて前記後方側体液貯留部及び/又は前方側体液貯留部が形成されている請求項1〜11いずれかに記載の吸収性物品。
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