JP3813413B2 - 外熱式ロータリーキルン - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、フェライト原料の焼成、高純度セラミックス原料粉などの乾燥、焼成に用いられる外熱式ロータリーキルンに関するものであり、その熱効率を向上させ、温度制御性を向上させ、構造上の信頼性を高め、大型化することができるものである。
【0002】
【従来の技術】
外熱式ロータリーキルンは、主にフェライト原料の焼成、高純度セラミックス原料粉などの乾燥、焼成、電子部品用原材料である誘電体材料などの仮焼に用いられるものであるが、これらの乾燥、焼成、仮焼は高温でなされるので、耐熱性と耐久性が求められ、また、これらの原料粉への炉心管内でのコンタミネ−ションの混入を回避するために、炉心管内壁面には耐熱性、高温における化学的、物理的安定性が高いことが求められる。このために炉心管を高強度セラミックスで形成したもの、あるいは耐熱金属にセラミックス内管を挿入した複合構造の炉心管にしたものがある。
【0003】
以上のような種々の要求に応えるべく種々の創意工夫がなされている。その一つに、特開平6−3054号公報に記載された「セラミック仮焼炉」がある(図1、図2)。この仮焼炉1のヒーター13で加熱される炉心管2は、高純度で高密度のセラミック素材、例えば、99.5%以上のアルミナからなる内筒3を耐熱金属製の外筒4に挿入し、直接嵌合させたものである。
上記の内筒3と外筒4とは熱膨張係数が大きく異なり、また、仮焼動作中の内筒3と外筒4の温度差が大きいので、内径100mmの炉心管であるときには、内筒3と外筒4の間に1mm以上の半径方向の熱膨張差を生じ、内筒の円滑な回転に支障を生じることになる。このように、内筒と外筒との許容熱膨張差には限度があるので炉心管を大径、大型にすることはできない。
【0004】
また、セラミックス管は熱伝導率が小さく、かつ、製作上、強度上少なくとも10mm以上の肉厚を必要とするので、伝熱性、温度制御性が悪いという問題がある。
また、現在の技術では、セラミックス管の直径500mmが製作限界であり、大径化に伴い肉厚化する必要があるので、さらに伝熱性が悪化し、炉心管内外の温度差はますます大きくなる問題がある。
【0005】
上記内管と外管との熱膨張差による問題を解消するものとして、実開昭58−41496号公報に記載されたものがある(図3)。これは、嵌合させた内管31と外管32との間に耐火性断熱材層33を介装させたものであり、内管31と外管32間の熱膨張差は耐火性断熱材層33によって吸収されるから、熱膨張差による機械的な問題はないが、ヒーターによる外熱炉から内管内の処理物への伝熱性が極めて悪く、処理温度の制御を正確に行うことが困難である。
また、このものは長尺化には特に問題はないが、前述の通り、セラミックス管の製作限界があり大径化は困難である。また、炉心管の伝熱性、温度制御性の悪さのために、熱効率が悪く、製品品質の安定性に問題がある。
【0006】
また、特開平10−148469号公報に、炉心管をセラミック製内筒と金属製外筒との複合管にすることなしに、高密度セラミック製炉心管の支持間隔を狭くすることで、高密度セラミック製管の機械的強度の不足を補った外熱式ロータリーキルンが記載されている。
炉心管が高密度セラミック製筒の単一管であるから、金属管との複合管における内外筒間の熱膨張差の問題はないが、伝熱性、温度制御性については、セラミック製筒の肉厚、低熱伝導率のために、前記従来技術と同様の問題がある。
また、セラミックは機械的衝撃及び熱衝撃に弱いので、破壊する恐れがあり、また、高温の炉心管を支持部で直接回転支持することになるので、回転支持部が高温のために焼損する可能性が大きく、この面からも耐久性に問題がある。
【0007】
他方、耐摩耗性が求められる金属表面にセラミックスを溶射してセラミックス皮膜を形成し、このセラミックス皮膜で上記金属表面を保護することが従来周知である(例えば、特開平11−350106号公報)から、金属製のロータリキルンすなわち上記炉心管の内面にセラミックス溶射皮膜を形成し、このセラミックス溶射皮膜で保護することは、当業者が考えられないことではなかった。
しかし、主にフェライト原料の焼成、高純度セラミックス等の乾燥、焼成、電子部品用原材料である誘電体材料等の仮焼に用いられる外熱式ロータリーキルンでは、その耐熱性金属製炉心管の内面にセラミックス溶射皮膜を形成しても、炉心管の方がセラミックス溶射皮膜よりも高温なので、両者の熱膨張差により皮膜が剥離したり、機械的衝撃、熱衝撃により皮膜に亀裂、剥離が発生することが避けられず、したがって、耐久性が乏しく実用化することは実際上困難であった。
【0008】
【解決しようとする課題】
以上、種々の従来例について説明したが、いずれも伝熱性、大型化の問題があり、上記外熱式ロータリーキルンに対する種々の要求に十分応え得るものではなかった。
耐熱性、高温における化学的、物理的安定性から内筒をセラミック製とすると、セラミックの低熱伝導率及び肉厚のため伝熱性、温度制御性が悪いという基本的な問題があり、このセラミック製内筒の機械的強度(特に靭性)を補完するために金属製外筒を複合した複合構造にすると、内外筒の熱膨張差による問題を生じ、この熱膨張差の問題を回避するために内外筒の管に耐火性断熱材を介在させると、伝熱性、温度制御性の問題はさらに大きくなる。
他方、炉心管を耐熱金属の単一筒製にできないのは、耐熱金属表面の高温における化学的、物理的安定性が低く、耐摩耗性も低いので、炉心管内面の耐久性が低いとともに炉心管内で処理物にコンタミが混入するからである。
そこで、炉心管を耐熱金属の単一筒製にするについて、その内表面の熱的安定性及び耐摩耗性を高められるように、その内面をセラミックス溶射皮膜で保護するのに、耐熱金属筒製炉心管の構造を工夫することを課題とするものである。
【0009】
【課題解決のために講じた手段】
上記課題を解決するために講じた手段は、外熱式ロータリーキルンの炉心管を前提として、次の要素(イ)〜(ヘ)によって構成されるものである。
(イ)炉心管が耐熱金属筒製であり、
(ロ)上記耐熱金属筒内面にセラミックス粉末を溶射して、セラミックス溶射皮膜を形成したものであり、
(ハ)上記セラミックス溶射皮膜の厚さが200〜1000μmであり、
(ニ)上記セラミックス溶射皮膜の素材が、使用温度において、その金属酸化物(セラミックス)の標準生成自由エネルギーの変化ΔGが−800〜1200KJ/molO2の金属から得られたセラミックス粉末であり、
(ホ)上記セラミックス溶射皮膜層が、気孔と粒子間の未接合部を含み、その熱伝導率が、0.5〜8W/mKであるものであり、
(ヘ)上記セラミックス溶射皮膜の素材が、アルミナ−ジルコニア、ジルコニア−イットリア又はカルシア−ジルコニアであること。
【0010】
【作用】
耐熱金属筒の内面はセラミックス溶射皮膜で被覆されているので、金属表面に直接処理物が触れることはなく、セラミックス溶射皮膜は耐熱性、高温における化学的、物理的に優れているので、耐熱金属表面及び溶射皮膜層からコンタミネ−ションが生じてこれが処理物に混入することはない。
【0011】
セラミックス溶射皮膜の厚さについては、耐熱金属筒内面の高温における化学的、物理的安定性を十分確保し、処理物との反応を防ぎ、実用上必要な耐久性を確保しつつ、セラミックス溶射皮膜による伝熱性低下を可及的に小さくして、炉心管内処理物の温度制御を高精度で行える範囲に選定している。
セラミックス溶射皮膜の厚さは1000μm以下であるから、耐熱金属筒製炉心管の伝熱性が阻害されることはないので、炉心管内外の温度差が小さく、熱効率を高くできる。また、温度制御性が良好なので、処理物の品質管理が容易である。
【0012】
炉心管外から炉心管内処理物への伝導熱量Qは、炉心管内外の温度差Δt、耐熱金属筒及び溶射皮膜の肉厚及び熱伝導率を夫々I1,I2およびλ1、λ2とすると、Q=Δt/(I1/λ1+I2/λ2)で表わされる。例えば、5mm厚のステンレス鋼管(λ1=10w/m−k)に20mm厚のアルミナ磁性管(λ2=2w/m−k)を挿入した複合の炉心管と同一鋼管に1000μm厚のアルミナ溶射したものを比較すると、熱抵抗(I1/λ1+I2/λ2)は夫々、0.0105,0.001となるので、アルミナ溶射したものは複合炉心管の約1/10の温度差で同一伝導熱量を得ることができる。
【0013】
溶射皮膜の厚さを1000μm以上にしても、伝熱性の面ではさほど問題にならないが、溶射皮膜が厚いほど皮膜自身の温度勾配が大きくなり、かつ、残留応力が大きくなることにより、亀裂・剥離が起こり易くなるので、皮膜厚1000μm以下好ましくは500μm以下としている。逆に、溶射皮膜の厚さを薄くするほど伝熱性が良くなり、亀裂・剥離も起こりにくいが、摩耗による寿命が短くなるので、皮膜厚100μm以上好ましくは200μm以上としている。また、溶射費用は皮膜厚にほぼ比例するので、経済性も考慮すると上記皮膜厚さが好適である。
なお、上記「セラミックス」としてセラミックスと金属の複合材料(サーメット)、例えば、クロムカーバイド/ニクロムを用いても同様の効果を生じる。従って、上記「セラミックス」にはセラミックスと金属の複合材料も含まれる。
【0014】
ところで一般に、金属元素は酸素を含む高温雰囲気で酸化されるが、この酸化反応による自由エネルギーの変化ΔG゜が小さい(負の絶対値が大きい)ほど熱力学的に安定すなわち酸化物として安定した材料である。
図6から分かるように、耐熱金属を構成するFe,Cr,Ni等の酸化物と比較すると、セラミックスを構成するAl203,ZrO2,Y203,CaO等は、使用温度例えば700〜1100Kにおいて、明らかに金属Al、Zr、Y、Caからのその標準酸化物の標準生成自由エネルギーΔG゜が小さい。
従って、耐熱金属筒を熱力学的に安定なセラミックスで被覆することにより、処理物への金属成分の混入を防止できる。
なお、皮膜厚が200μmよりも著しく薄いと、標準生成自由エネルギーの変化ΔGが−800〜1200KJ/molO2でも、セラミックス皮膜の熱的安定性が必ずしも十分でないが、200μm以上であれば、十分な熱的安定性が得られる。
【0015】
熱伝導率が大きい方が伝熱性の面では好ましいが、セラミックス溶射皮膜層の熱伝導率が0.5〜8W/mKと比較的小さいことは、セラミックス溶射皮膜層内に微細な空隙があって、その割合が相当に高いことを意味する。そして、このように空隙率の高いセラミックス溶射皮膜層は熱による伸縮に対して高い緩衝性能を有しており、炉心管の熱膨張に対する追従性がよく、したがって、亀裂、剥離が生じ難い。
【0016】
アルミナ−ジルコニア、ジルコニア−イットリア又はカルシア−ジルコニアは、標準生成自由エネルギーが小さく熱力学的に安定している。また、溶射皮膜層内に微細な空隙を形成するので、熱伝導率が小さく、熱衝撃に強い。従って、起動・停止時などに繰り返し熱衝撃がかかっても溶射皮膜に亀裂が生じにくく、耐熱金属筒内面から剥離する危険性は一層少なく、従って耐熱金属筒内側から処理物へのコンタミの混入は発生しない。
従って、これらのセラミックス粉末を耐熱金属筒内面に溶射した炉心管の耐久性は高い。
【0017】
なお、上記セラミックス溶射皮膜の素材を、クロムカーバイドにすることができる。
クロムカーバイドは、比較的標準生成自由エネルギーの変化△G゜が大きく、熱伝導率も高いが、熱膨張係数が大きく、耐熱金属筒との熱膨張差が小さいので亀裂・剥離が起こりにくい。また、熱伝導率が高いので溶射皮膜による伝熱抵抗の増分は一層少なく、したがって、高精度の温度制御を行うことができる。さらに、クロムカーバイドは非常に高硬度で、処理物による摩耗の問題がないので、炉心管の耐久性が高く、また、処理物の高い品質管理を容易に行うことができる。
【0018】
また、上記耐熱金属筒の熱膨張係数とセラミックス溶射皮膜の熱膨張係数との間の熱膨張係数の素材による中間層を上記耐熱金属筒内面に溶射し、この中間溶射層の上に上記セラミックス溶射皮膜を形成することができる。
耐熱金属筒とセラミックス溶射皮膜との間の熱膨張係数の差を上記中間層が吸収するので、セラミックス溶射皮膜の亀裂・剥離を可及的に防止することができ、炉心管の耐久性を一層向上させることができる。
【0019】
また、上記耐熱金属筒の素材をステンレス鋼にし、上記中間層をニッケル−クロム系(例えば80Ni−20Cr)素材製とすることができる。
ニッケル−クロム系(例えば80Ni−20Cr)素材の熱膨張係数はステンレス鋼と上記セラミックスの熱膨張係数の中間に値するので、実施態様6の作用が格別に顕著である。
【0020】
さらに、上記セラミックス溶射皮膜をプラズマ炎、ガス炎を用いた溶射法により形成することができる。
セラミックス材料は非常に融点が高い上、炉心管の耐摩耗性をもたせるために、100μm〜1000μmの比較的厚い皮膜を形成する場合、プラズマ炎、ガス炎を用いた溶射法が、皮膜の強度、密着性、信頼性が高く、経済的にも優れている。特に、大型炉心管の現場施工が可能なプラズマ溶射法が最適である。
【0021】
【実施例】
次いで図面を参照しつつ実施例を説明する。
図4に示す実施例の外熱式ロータリーキルンは、熱風加熱式のものであるが、電気加熱式の場合も同様である。一例として、乾燥・加熱後、800℃に保持し焼成する場合について説明するが、仕切り壁の有無、各室の長さ、各室処理物温度、各室熱風量・温度等は処理物および処理条件によって変わることは言うまでもない。
【0022】
外熱炉40は仕切り壁によって処理室41、加熱室42、乾燥室43を形成してあり、これらを炉心管44が貫通している。炉心管は少し傾斜して(例えば1/100〜5/100)設置され、ゆっくり回転(例えば0.5〜3rpm)するので、処理物が混合しつつ移動する。
ホッパ45に投入された原料は、スクリュウコンベア46で炉心管44の一端部に投入され、炉心管44内を多端まで移動する間に、外熱炉各室の熱風から間接的に受熱して乾燥、加熱、焼成処理されて、ホッパ47から製品として取り出される。
【0023】
乾燥室43に500℃の熱風が導入され、この熱風として加熱室42の排ガスを再利用しているが、必要に応じて、他の熱源で昇温したり空気により降温することもできる。また、加熱室42には800℃の熱風が導入され、処理室41には900℃の熱風が導入されており、加熱室42に導入する熱風として処理室41の排ガスを再利用しているのは、乾燥室43と同様である。
【0024】
炉心管44内の外熱炉40の各室に対応する位置にそれぞれ熱電対48を設けてあって、炉心管44内の処理物の温度を検出している。各室に導入する熱風の温度、風量を加減することで、乾燥室、加熱室、処理室に対応する位置で、処理物の温度が所定の温度になるよう調整、制御される。
【0025】
実機としては、炉心管直径200mm〜2000mm、炉心管長さ2m〜20mに及ぶ大型化が想定されるが、内面溶射の場合、耐熱金属製筒の肉厚及び曲率半径が大きいほど、溶射皮膜は安定すると考えられるので、条件の悪い薄肉、小径の耐熱金属製筒を用いて、溶射皮膜の性能比較試験を実施した。
【0026】
炉心管44のテストピースとして、内径が80mm、厚さ2.1mm及び内径が150mm、厚さ2.8mmのステンレス鋼製筒(SUS316L)44aの内面に80Ni−20Crを溶射して厚さ400μmの中間層44bを形成し、さらに、その上にアルミナ−ジルコニア(Al2O3/25%ZrO2を溶射して厚さ400μmの溶射皮膜44cを形成したもの(具体例1)、又は、ジルコニア−イットリア(ZrO2/8%Y2O3)を溶射して厚さ400μmの溶射皮膜44cを形成したもの(具体例2)を作成した。 なお、この実施例にける溶射皮膜44c中間層44bの溶射はプラズマ溶射によるものであるが、ガス炎溶射法によることもできる。他に気相成長法を採用することも不可能ではないが、200〜1000μmの厚さの皮膜を炉心管内面に形成するにはプラズマ溶射法が好適であり、また、この溶射皮膜の形成を現場工事で行うについてはプラズマ溶射法が最適である。
【0027】
上記実施例について炉心管44の内径80mm、有効長さを800mmにしたもので、下記の試験(a)を行い、内径80mm及び150mm、有効長さを150mmにしたもので、下記の試験(b)、試験(c)を行った。
試験(a):内径80mm、有効長さを800mmの炉心管を用いて、処理温度、処理時間、昇温速度等操業条件を合わせた実炉模擬試験を行った。また、実炉は昼夜連続運転されるものなので、年数回の起動・停止による熱衝撃に対する耐用性を試験した。
試験(b):内径80mm及び150mm、有効長さ150mmのテストピースを、電気炉で試験(a)と同一処理温度まで加熱・冷却を繰り返して、内径の違いによる溶射皮膜の耐久性比較試験を行った。
試験(c):試験(b)で用いたテストピースを、同温度まで急熱したものを水没させる、耐熱衝撃性の比較試験を行った。
【0028】
その試験結果は次の表の通りである。
溶射皮膜はアルミナ−ジルコニア、ジルコニア−イットリアとも、実炉模擬試験において11回の起動・停止を行ったが、亀裂・剥離等の異常は認められなかった。また、電気炉試験、耐熱衝撃性試験においても、炉心管内径、溶射材の違いによる皮膜の変化はなく、テストピースはすべて健全であった。この試験結果より、アルミナ−ジルコニア、ジルコニア−イットリアとも、外熱式ロータリーは少なくとも2〜3年の耐用性があることを確認した。
【0029】
【発明の効果】
本発明の効果は次の通りである。
外熱式ロータリーキルンの炉心管に肉厚のセラミックス管を使用することなく、耐熱金属製筒による単一管とし、その内面にセラミックス溶射皮膜層を形成したことで、上記炉心管に必要な、内面の耐摩耗性、高温における物理的・化学的安定性を確保することができ、これによって炉心管内における処理物へのコンタミの混入を回避することができる。また、セラミックス溶射皮膜層の亀裂・剥離等損傷に対する耐久性が高いので、連続運転可能となり、メンテナンスも容易になる。
【0030】
また、セラミックス溶射皮膜層による伝熱性の低下は微少なので、熱効率が高く、かつ、炉心管内処理物の温度制御を正確に行うことができ、したがって、製品の品質管理を容易に行うことができる。
また、本発明によれば、炉心管は単一の耐熱金属筒で構成されたものであるから、炉心管の熱膨張による機械的トラブルはなく、また、耐熱衝撃性、機械的強度が大きく、さらに、セラミックス管のような製作限界もないので、炉心管の直径を大きくし、有効長を長くして、外熱式ロータリーキルンを大型化することができる。
【0031】
本発明に従う外熱式ロータリーキルンは、特に、溶射皮膜の損傷を防止し、かつ、溶射皮膜による伝熱性の低下を微少にする効果を向上させることができる。
本発明の外熱式ロータリーキルンは、特に、溶射皮膜の高温における化学的安定性を保証するものである。
【0032】
本発明の外熱式ロータリーキルンは、特に、耐熱金属筒と溶射皮膜との熱膨張差を吸収し、溶射皮膜の剥離を防止する効果を向上させることができる。
【0033】
本発明の外熱式ロータリーキルンの溶射非膜の素材によれば、本発明の上記作用効果が きわめて顕著であり、上記課題の達成度が極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】は従来の外熱式ロータリーキルンの断面図である。
【図2】は図1の外熱式ロータリーキルンの炉心管の斜視図である。
【図3】は外熱式ロータリーキルンの従来の炉心管の他の例の断面図である。
【図4】はこの発明の外熱式ロータリーキルンの断面図である。
【図5】は図4の実施例における炉心管の断面図の一部拡大図である。
【図6】は酸化物の標準自由エネルギーと温度との相関図である。
【符号の説明】
40:外熱炉
41:処理室
42:加熱室
43:乾燥室
44:炉心管
44a:ステンレス鋼製筒
44b:中間層
44c:溶射皮膜
45,47:ホッパー
46:スクリュウコンベア
48:熱電対
Claims (1)
- 炉心管を耐熱金属筒製とし、上記耐熱金属筒内面にセラミックス粉末を溶射して、セラミックス溶射皮膜を形成し、
上記セラミックス溶射皮膜の厚さを200〜1000μmにし、
上記セラミックス溶射皮膜の素材が、使用温度において、その金属酸化物の標準生成自由エネルギーの変化ΔGが−800〜1200KJ/molO 2 の金属から得られたセラミックス粉末であり、
上記セラミックス溶射皮膜層が、気孔と粒子間の未接合部を含み、その熱伝導率が、0.5〜8W/mKであり、
上記セラミックス溶射皮膜の素材がアルミナ−ジルコニア、ジルコニア−イットリア又はカルシア−ジルコニアであることを特徴とする外熱式ロータリーキルン。
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