JP3813299B2 - オレフィン気相重合における重合開始方法 - Google Patents

オレフィン気相重合における重合開始方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、ポリオレフィンを気相重合法で製造する場合の重合開始方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
エチレン(共)重合体、プロピレン(共)重合体などのポリオレフィンを製造する方法としては、ジルコノセンなどのメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)などとが微粒子状担体に担持されてなる固体状メタロセン触媒の存在下にオレフィンを気相で重合させる方法が知られている。
【0003】
ところで流動床反応器を用いて前記のような固体状メタロセン触媒の存在下にオレフィンを気相重合すると、流動床内でポリマー塊、シート状物などが発生したり、ポリマー粒子の流動性が低下して、流動床内の混合状態が不均一となり、長期的に安定して連続運転することができなくなることがあった。また、前記のような固体状触媒は、流動性が低い場合が多く、重合器への供給が困難となることがあった。
【0004】
本発明者らは、このような従来技術に鑑みて検討した結果、界面活性剤が担持された固体状触媒は、上記のような問題を低減させ、しかも重合活性が低下しないことを見出して本発明を完成するに至った。
【0005】
また、前記のような固体状メタロセン触媒の存在下にオレフィンを気相重合する方法において、重合を開始するときには、通常トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を重合器内に供給し、水その他の不純物を系内から除去してから、重合を開始していた。また、重合中にも清浄剤および/または助触媒として有機アルミニウム化合物が用いられている。しかしながら重合開始時または重合時に有機アルミニウム化合物を使用すると、有機アルミニウム化合物と水との反応により形成された酸化アルミニウムが重合器の壁面に皮膜を形成するため、壁面の導電性が低下し、このためにシーティングが発生することがあった。一方、重合開始時に有機アルミニウム化合物を使用しない場合には、重合活性の制御が困難であった。
【0006】
このような状況のもとシーティングが発生しないようなオレフィンの重合の開始方法の出現が望まれている。
【0007】
【発明の目的】
本発明は上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、シーティングが発生しないような気相重合における重合開始方法を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】
【0010】
本発明に係るオレフィン気相重合における重合開始方法は、
(A)メタロセン化合物、
(B)有機アルミニウムオキシ化合物および
(C)界面活性剤が、
(D)微粒子状担体に担持されてなる固体状メタロセン触媒を用い、
流動層型重合器を用いて前記固体状メタロセン触媒の存在下にオレフィンを気相重合する方法における重合開始方法であって、
まず、有機アルミニウム化合物を10〜5000mM−Al/m3 −流動層容積の量で重合器に供給し、
次に、固体状メタロセン触媒を重合器に供給し、かつ該触媒の供給開始前、供給開始時または供給開始後に、有機アルミニウム化合物の供給量(有機アルミニウム化合物中のアルミニウムのモル数換算)を定常運転時の固体状メタロセン触媒の時間当たりの供給量(メタロセン触媒中の遷移金属のモル数換算)の0〜70倍の量に変更し、
重合活性が発現した後有機アルミニウム化合物の供給を停止することを特徴としている。
【0011】
本発明では、前記有機アルミニウム化合物の供給量を変更した後の時間当たりの平均供給量が、変更前の平均供給量の1/2以下であることが好ましい。
また、本発明では、前記重合開始方法において、固体状メタロセン触媒の重合器への供給量の総量が遷移金属換算で3mM−遷移金属/m3 −流動層容積に達するまでに、分散板下部と減速域との温度差が定常運転時の温度差の7%を超えない場合に、
固体状メタロセン触媒の供給量を0〜1/3に減少させ、かつ該触媒の供給量を減少させる前または後に有機アルミニウム化合物を10〜5000mM−Al/m3 −流動層容積の量で供給した後、
固体状メタロセン触媒の供給量を増加させ、かつ該触媒の供給量を増加させる前、同時または後に、有機アルミニウム化合物の供給量(有機アルミニウム化合物中のアルミニウムのモル数換算)を定常運転時の固体状メタロセン触媒の時間当たりの供給量(メタロセン触媒中の遷移金属のモル数換算)の0〜70倍の量に変更し、
重合活性が発現した後有機アルミニウム化合物の供給を停止する。
【0012】
この場合、前記有機アルミニウム化合物の供給量を変更した後の時間当たりの平均供給量が、変更前の平均供給量の1/2以下であることが好ましい。
【0013】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るオレフィン気相重合における重合開始方法について具体的に説明する。
【0014】
なお、本明細書において「重合」という語は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
【0016】
まず本発明で用いられる固体状メタロセン触媒を形成する各成分について説明する。
(A)メタロセン化合物
(A)メタロセン化合物としては、下記一般式(I)で表される周期表第4族のメタロセン化合物を例示することができる。
【0017】
MLX … (I)
式中、Mは周期表第4族の遷移金属原子から選ばれる1種の原子を示し、好ましくはジルコニウム、チタンまたはハフニウムである。
【0018】
xは、遷移金属の原子価であり、Lの個数を示す。
Lは、遷移金属に配位する配位子または基を示し、少なくとも1個のLは、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、該シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLは、炭素原子数が1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、SO3R(ただし、Rはハロゲンなどの置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜8の炭化水素基)、ハロゲン原子、および水素原子からなる群より選ばれる1種の基または原子である。
【0019】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、たとえばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n-またはi-プロピルシクロペンタジエニル基、n-,i-,sec-,t-ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基などのアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、アルキル置換インデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などを例示することができる。これらの基はハロゲン原子、トリアルキルシリル基などが置換していてもよい。
【0020】
上記一般式(I)で表される化合物が、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個以上含む場合、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子同士は、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基、ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0021】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLとしては、炭素原子数が1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO3a)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、Ra はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基またはハロゲン原子またはアルキル基で置換されたアリール基である。)などが挙げられる。
【0022】
炭素数原子数が1〜12の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられ、より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基、ネオフィル基などのアラルキル基が挙げられる。
【0023】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基などが挙げられる。
アリーロキシ基としては、フェノキシ基などが挙げられる。
【0024】
スルホン酸含有基(−SO3a)としては、メタンスルホナト基、p-トルエンスルホナト基、トリフルオロメタンスルホナト基、p-クロルベンゼンスルホナト基などが挙げられる。
【0025】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
また(A)メタロセン化合物として、下記一般式(II)で表される化合物を用いることもできる。
【0026】
a 1 1 2 …(II)
(式中、M1 は周期表第4族またはランタニド系列の金属であり、La は、非局在化π結合基の誘導体であり、金属M活性サイトに拘束幾何形状を付与しており、X1 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または20以下の炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子を含有する炭化水素基、シリル基またはゲルミル基である。)
このような前記一般式(II)で表される化合物のうちでも、下記一般式(II')で示される化合物が好ましい。
【0027】
【化1】
Figure 0003813299
【0028】
式中、M2 はチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、X1 は、上記と同様である。CpはM2 にπ結合しており、かつ置換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基である。Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期率表第14族の元素(たとえばケイ素、ゲルマニウムまたは錫)であり、Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、ZとYとで縮合環を形成してもよい。
【0029】
上記のようなメタロセン化合物は、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
(A)メタロセン化合物としては、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個有する化合物が好ましく用いられ、Mがジルコニウムでありシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個有する化合物がより好ましく用いられる。
【0030】
(B)有機アルミニウムオキシ化合物
(B)有機アルミニウムオキシ化合物として具体的には、従来公知のアルミノキサンおよび特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物が挙げられる。
【0031】
(C)界面活性剤
界面活性剤としては、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加物リン酸エステル塩、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤などのイオン性界面活性剤、
−(CH2CH2O)nHまたは−{CH2CH(CH3)O}nH(但し、nは2〜30)を有するエーテル化合物、グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル、グリセリントリ脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステル、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)脂肪族アミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシイソプロピル)脂肪族アミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)脂肪族アミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシイソプロピル)脂肪族アミドなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0032】
イオン性界面活性剤としてより具体的には、ラウリルスルホン酸Na塩などの脂肪族スルホン酸塩;
ラウリルアルコール硫酸エステルNa塩などの高級アルコール硫酸エステル塩;
ラウリルアルコールEO4モル付加物硫酸エステルNa塩(EO=エチレンオキサイド)などの高級アルコールエチレンオキサイド付加物硫酸エステル塩;
オクチルアルコールリン酸エステルNa塩、ラウリルアルコールリン酸エステルNa塩、セチルアルコールリン酸エステルNa塩、ステアリルアルコールリン酸エステルNa塩、オレイルアルコールリン酸エステルNa塩などの高級アルコールリン酸エステル塩;
オクチルアルコールEO4モル付加物リン酸エステルNa塩、ラウリルアルコールEO4モル付加物リン酸エステルNa塩、セチルアルコールEO4モル付加物リン酸エステルNa塩、ステアリルアルコールEO4モル付加物リン酸エステルNa塩、オレイルアルコールEO4モル付加物リン酸エステルNa塩などの高級アルコールエチレンオキサイド付加物リン酸エステル塩;
ラウリルトリメチルアンモニウム メトサルフェートなどの第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤;
ラウリルジメチルべタインなどのベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
【0033】
非イオン性界面活性剤のうち−(CH2CH2O)nHまたは−{CH2CH(CH3)O}nH(但し、nは2〜30)を有するエーテル化合物としてより具体的には、
一般式 Cm2m+1O(CH2CH2O)nH で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル;
一般式 Cm2m+1O{CH2CH(CH3)O}nH で表されるポリオキシプロピレンアルキルエーテル;
一般式 Cm2m+164O(CH2CH2O)nH で表されるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;
一般式 Cm2m+164O{CH2CH(CH3)O}nH で表されるポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル;
一般式 (Cm2m+1)2CHO(CH2CH2O)nH で表されるポリオキシエチレンsec-アルキルエーテル;
一般式 (Cm2m+1)2CHO{CH2CH(CH3)O}nH で表されるポリオキシプロピレンsec-アルキルエーテル;
一般式 (Cm2m+1)3CO(CH2CH2O)nHで表されるポリオキシエチレン tert-アルキルエーテル;
一般式 (Cm2m+1)3CO{CH2CH(CH3)O}nH で表されるポリオキシプロピレン tert-アルキルエーテルなどが挙げられる。
【0034】
上記一般式中(Cm2m+1)で示されるアルキル基の炭素原子数を示すmは、1〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは8〜18の範囲であることが望ましい。また、(CH2CH2O)で表されるオキシエチレン単位の繰り返し単位数を示すn、および{CH2CH(CH3)O}で表されるオキシプロピレン単位の繰り返し単位数を示すnは、2〜30、好ましくは3〜20、より好ましくは4〜10の範囲であることが望ましい。
【0035】
このような上記一般式で表されるエーテル化合物のうち、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンsec-ラウリルエーテルなどが好ましく、特にこれらの化合物のうちオキシエチレン単位の繰り返し単位数が4〜10である化合物が好ましい。
【0036】
前記以外の非イオン性界面活性剤としてより具体的には、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノミリスチレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンモノオレートなどのグリセリンモノ脂肪酸エステル;
グリセリンジラウレート、グリセリンジミリスチレート、グリセリンジパルミテート、グリセリンジステアレート、グリセリンジベヘネート、グリセリンジオレートなどのグリセリンジ脂肪酸エステル;
グリセリントリラウレート、グリセリントリミリスチレート、グリセリントリパルミテート、グリセリントリステアレート、グリセリントリベヘネート、グリセリントリオレートなどのグリセリントリ脂肪酸エステル;
ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノミリスチレート、ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンベヘネート、ジグリセリンモノオレートなどのジグリセリン脂肪酸エステル;
ポリエチレングリコール200モノラウレート、ポリエチレングリコール200モノステアレート、ポリエチレングリコール200モノオレエートなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;
ラウリルアルコールEO2モル付加物、ラウリルアルコールEO4モル付加物、ラウリルアルコールEO6モル付加物、ラウリルアルコールEO10モル付加物、ノニルフェノールEO4モル付加物、ノニルフェノールEO10モル付加物などの高級アルコールエチレンオキサイド付加物;
ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、クエン酸モノ(ジまたはトリ)ステアリルエステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステルなどの多価アルコール脂肪酸エステル;
N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ラウリルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ミリスチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)パルミチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ステアリルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)オレイルアミンなどのN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)脂肪族アミン;
N,N-ビス(2-ヒドロキシイソプロピル)ラウリルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシイソプロピル)ミリスチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシイソプロピル)パルミチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシイソプロピル)ステアリルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシイソプロピル)オレイルアミンなどのN,N-ビス(2-ヒドロキシイソプロピル)脂肪族アミン;
N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ラウリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ミリスチルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)パルミチルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ステアリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ベヘニルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)オレイルアミドなどのN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)脂肪族アミド;
N,N-ビス(2-ヒドロキシイソプロピル)ラウリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシイソプロピル)ミリスチルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシイソプロピル)パルミチルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシイソプロピル)ステアリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシイソプロピル)オレイルアミドなどのN,N-ビス(2-ヒドロキシイソプロピル)脂肪族アミドが挙げられる。
【0037】
また、前記N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)脂肪族アミンとラウリン酸、ステアリン酸などの脂肪酸とのモノあるいはジエステルが挙げられる。
さらに鉱物油、ラウリルアルコール、ジエチレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
【0038】
(D)微粒子状担体
(D)微粒子状担体として具体的には、SiO2 、Al23 、MgO、ZrO2 、TiO2 、B23 、CaO、ZnO、BaO、ThO2 など、もしくはこれらを含む混合物、たとえばSiO2-MgO、SiO2-Al23 、SiO2-TiO2 、SiO2-V25 、SiO2-Cr23 、SiO2-TiO2-MgOなどの無機担体、またはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ 1-ブテン、ポリ 4-メチル-1-ペンテン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体などの有機担体を挙げることができる。
【0039】
このような(D)微粒子状担体は、平均粒径が1〜300μm、好ましくは10〜200μmの範囲にあることが望ましい。
(E)有機アルミニウム化合物
本発明で用いられる固体状メタロセン触媒は、前記(A)メタロセン化合物、(B)有機アルミニウムオキシ化合物、(C)微粒子状担体および(D)界面活性剤を必須成分として含有しているが、必要に応じて(E)有機アルミニウム化合物を含有していてもよい。
【0040】
このような(E)有機アルミニウム化合物としては、たとえば下記一般式(II)で表される有機アルミニウム化合物を例示することができる。
a nAlX3-n … (III)
(式中、Ra は炭素数1〜12の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子または水素原子を示し、nは1〜3である。)
上記一般式(III)において、Ra は炭素原子数が1〜12の炭化水素基、たとえばアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
【0041】
このような(E)有機アルミニウム化合物としては、具体的にはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ(2-エチルヘキシル)アルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
【0042】
また(E)有機アルミニウム化合物として、下記一般式(IV)で表される化合物を用いることもできる。
a nAlY3-n … (IV)
(式中、Ra は上記式(III)と同様であり、Yは−ORb 基、−OSiRc 3 基、−OAlRd 2 基、−NRe 2 基、−SiRf 3 基または−N(Rg )AlRh 2 基を示し、nは1〜2であり、Rb 、Rc 、Rd およびRh はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などを示し、Re は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などを示し、Rf およびRg はメチル基、エチル基などを示す。)
このような有機アルミニウム化合物のなかでは、
a n Al(OAlRd 2)3-n で表される化合物、たとえば
Et2Al OAl Et2、(iso-Bu)2Al OAl(iso-Bu)2などが好ましい。
【0043】
上記一般式(III)および(IV)で表される有機アルミニウム化合物の中では、一般式Ra 3 Alで表される化合物が好ましく、特にRaがアルキル基である化合物が好ましい。
【0044】
これらの有機アルミニウム化合物のなかでは、炭素、水素およびアルミニウムのみからなる有機アルミニウム化合物が好ましく、特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。
【0045】
固体状メタロセン触媒
本発明で用いられる固体状メタロセン触媒は、前記(A)メタロセン化合物、前記(B)有機アルミニウムオキシ化合物および前記(C)界面活性剤が、前記(D)微粒子状担体に担持されてなる。図1に、固体状メタロセン触媒の調製工程を示す。
【0046】
このような固体状メタロセン触媒は、(A)メタロセン化合物と、(B)有機アルミニウムオキシ化合物と、(C)界面活性剤と、(D)微粒子状担体とを混合接触させることにより調製することができる。
【0047】
各成分の接触順序は任意に選ばれるが、好ましくは、
(A)メタロセン化合物と、(B)有機アルミニウムオキシ化合物と、(D)微粒子状担体とを不活性炭化水素溶媒中またはオレフィン媒体中で混合接触させて固体触媒成分を調製し、次いで、該固体触媒成分と(C)界面活性剤とを混合接触させることが選ばれる。なお、固体触媒成分を調製する際には、さらに(E)有機アルミニウム化合物を添加することもできる。
【0048】
固体触媒成分の調製に用いられる不活性炭化水素溶媒として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物などを挙げることができる。
【0049】
固体触媒成分を調製するに際して、(A)メタロセン化合物(遷移金属原子換算)は、(D)微粒子状担体1g当り、通常0.001〜1.0ミリモル、好ましくは0.005〜0.5ミリモルの量で用いられ、(B)有機アルミニウムオキシ化合物は、通常0.1〜100ミリモル、好ましくは0.5〜20ミリモルの量で用いられる。(E)有機アルミニウム化合物を用いる場合は、(D)微粒子状担体1g当り、通常0.001〜1000ミリモル、好ましくは2〜500ミリモルの量で用いられる。
【0050】
上記各成分を混合接触させる際の温度は、通常−50〜150℃、好ましくは−20〜120℃であり、接触時間は1〜1000分間、好ましくは5〜600分間である。
【0051】
固体触媒成分と(C)界面活性剤とを混合接触するに際して、(C)界面活性剤は、固体触媒成分100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部、より好ましくは0.4〜5重量部の量で用いられる。
【0052】
固体触媒成分と(C)界面活性剤との混合接触は、不活性炭化水素溶媒中で行うことができ、不活性炭化水素溶媒としては、前記と同様のものが挙げられる。不活性炭化水素溶媒中で固体触媒成分と(C)界面活性剤とを混合接触させた場合、固体状メタロセン触媒は、炭化水素溶媒の懸濁液として得られるが、この場合、溶媒を除去し、得られた固体状メタロセン触媒を乾燥した後、重合に用いることが好ましい。乾燥は、不活性ガス雰囲気中、好ましくは窒素気流下、0〜60℃、好ましくは20〜40℃の温度で、1〜50時間、好ましくは1〜20時間行うことが望ましい。
【0053】
このようにして得られる固体状メタロセン触媒は、(D)微粒子状担体1g当たり、(A)メタロセン化合物が遷移金属原子換算で約5×10-6〜10-3モル、好ましくは10-5〜3×10-4モルの量で担持され、(B)有機アルミニウムオキシ化合物がアルミニウム原子換算で約10-3〜10-1モル、好ましくは2×10-3〜5×10-2モルの量で担持され、(C)界面活性剤が10-6〜10-3モル、好ましくは5×10-5〜5×10-4モルの量で担持されていることが望ましい。
【0054】
本発明の固体状メタロセン触媒は、流動性に優れているので取扱いが容易であり、重合器への供給などが容易である。また、重合時にヒートスポットが発生し難く、シーティングやポリマー塊の発生を防止することができ、長期的に安定してオレフィンを重合することができる。さらに、非イオン性界面活性剤を含有しないこと以外は同様の組成を有する固体触媒と同等の重合活性を有している。
【0055】
本発明で用いられる固体状メタロセン触媒は、予備重合されていてもよい。予備重合された固体状メタロセン触媒を調製する方法としては、例えば
(1)(A)メタロセン化合物と、(B)有機アルミニウムオキシ化合物と、(D)微粒子状担体とを不活性炭化水素溶媒中またはオレフィン媒体中で混合接触させて得られる固体触媒成分に、(C)界面活性剤の存在下、少量のオレフィンを予備重合する方法、
(2)(A)メタロセン化合物と、(B)有機アルミニウムオキシ化合物と、(D)微粒子状担体とを不活性炭化水素溶媒中またはオレフィン媒体中で混合接触させて得られる固体触媒成分に、少量のオレフィンを予備重合することにより予備重合触媒成分を調製し、該予備重合触媒成分と(C)界面活性剤とを混合接触させる方法などがある。
【0056】
なお、固体触媒成分調製時および/または予備重合時に(E)有機アルミニウム化合物を用いることができる。
予備重合された固体状メタロセン触媒の調製に用いられる不活性炭化水素溶媒としては、前記固体触媒成分を調製する際に用いられる不活性炭化水素溶媒と同様のものが挙げられる。
予備重合された固体状メタロセン触媒を調製するに際して、(A)メタロセン化合物(遷移金属原子換算)は、(D)微粒子状担体1g当り、通常0.001〜1.0ミリモル、好ましくは0.005〜0.5ミリモルの量で用いられ、(B)有機アルミニウムオキシ化合物は、通常0.1〜100ミリモル、好ましくは0.5〜20ミリモルの量で用いられる。(E)有機アルミニウム化合物を用いる場合は、(D)微粒子状担体1g当り、通常0.001〜1000ミリモル、好ましくは0.01〜500ミリモルの量で用いられる。
【0057】
(C)界面活性剤は、前記(1)の方法では固体触媒成分100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部、より好ましくは0.4〜5重量部の量で用いられ、前記(2)の方法では予備重合触媒成分100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、より好ましくは0.4〜3重量部の量で用いられる。
【0058】
予備重合された固体状メタロセン触媒は炭化水素溶媒の懸濁液として得られるが、本発明では、溶媒を除去し、得られたオレフィン重合用予備重合触媒を乾燥した後、重合に用いることが好ましい。乾燥は、不活性ガス雰囲気中、好ましくは窒素気流下、0〜100℃、好ましくは20〜60℃の温度で、1〜50時間、好ましくは1〜20時間行うことが望ましい。
【0059】
上記のようにして得られた予備重合された固体状メタロセン触媒は、(D)微粒子状担体1g当たり、(A)メタロセン化合物が遷移金属原子換算で約5×10-6〜10-3モル、好ましくは10-5〜3×10-4モルの量で担持され、(B)有機アルミニウムオキシ化合物がアルミニウム原子換算で約10-3〜10-1モル、好ましくは2×10-3〜5×10-2モルの量で担持され、(C)界面活性剤が10-6〜10-3モル、好ましくは5×10-5〜5×10-4モルの量で担持され、予備重合により生成するオレフィン重合体を、約0.1〜500g、好ましくは0.3〜300g、特に好ましくは1〜100gの量で担持されていることが望ましい。
【0060】
このような予備重合された固体状メタロセン触媒は、流動性に優れているので取扱いが容易であり、重合器への供給などが容易である。また、重合時にヒートスポットが発生し難く、シーティングやポリマー塊の発生を防止することができ、長期的に安定してオレフィンを重合することができる。さらに、界面活性剤を含有しないこと以外は同様の組成を有する予備重合触媒と同等の重合活性を有している。
【0061】
重合
本発明に係るオレフィンの重合方法は、前記固体状メタロセン触媒の存在下に気相により行われる。
【0062】
気相重合方法の一例を、図2を参照しながら説明する。図2は、気相流動床反応装置の一例を示す概略図である。固体状メタロセン触媒(固体状触媒)は、たとえば触媒供給ライン2を介して通常粉末状態で流動床反応器(重合器)10に供給される。ガス状のオレフィンなどは、たとえばモノマー供給ライン9から連続的に供給され、循環ガスブロワー7により、循環ライン6を介して流動床反応器10下方から多孔板などのガス分散板4を介して吹き込まれる。これにより、流動床(反応系)5は流動状態に保持される。固体状触媒が流動状態に保持された流動床5に吹き込まれたオレフィンは、ここで重合反応して、ポリマー粒子〔ポリオレフィン〕が生成する。生成したポリマー粒子は、ポリマー排出ライン11を介して流動床反応器10から連続的に抜き出される。流動床5を通過した未反応のガス状のオレフィンなどは、流動床反応器10上方に設けられた減速域3で減速されて流動床反応器10外に排出され、熱交換器8において重合熱が除去されて循環ライン6から再び流動床5に循環される。水素のような分子量調節剤は、気相流動床反応装置の任意の場所、たとえばモノマー供給ライン9から供給することができる。
【0063】
上述したような流動床反応器を用い、前記固体状メタロセン触媒を用いて、オレフィンを気相重合する際には、さらに(D)微粒子状担体に担持されていない(C)有機アルミニウムオキシ化合物および/または(E)有機アルミニウム化合物を用いることができる。ただし(E)有機アルミニウム化合物を用いる場合には、(A)メタロセン化合物中の遷移金属(M)と(E)有機アルミニウム化合物中のアルミニウム原子(Al)とのモル比(Al/M)が1以下、好ましくは0.5以下となるような量で用いる。
【0064】
オレフィンの重合温度は、通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の範囲であることが望ましい。また、重合圧力は、通常、常圧〜100kg/cm2 、好ましくは常圧〜50kg/cm2 の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。
【0065】
本発明の方法により重合することができるオレフィンとしては、炭素原子数が2〜20の直鎖状または分岐鎖状のα-オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン;
炭素原子数が3〜20の環状オレフィン、例えばシクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2-メチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレンなどを挙げることができる。さらにスチレン、ビニルシクロヘキサン、ジエンなどを用いることもできる。
【0066】
固体状触媒成分および予備重合触媒成分に界面活性剤を担持することにより固体状メタロセン触媒表面の重合活性はある程度抑制されるが、触媒表面の活性が抑制されると触媒内部の活性点へのモノマーの進入が容易になり、触媒内部の活性点における重合量が向上するため触媒全体の重合活性(g−ポリマー/mmol−遷移金属原子・hr)が低下することがない。
【0067】
重合開始方法
上述したような流動床反応器を用い、前記固体状メタロセン触媒を用いた重合において、重合を開始する際には、以下のような方法を採用することができる。
【0068】
まず不活性ガスを重合器内に導入して重合器内の露点を−55℃以下、好ましくは−60℃以下とする。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガスなどが挙げられ、該不活性ガス中の水分含量は5ppm以下、好ましくは3ppm以下であり、酸素含量は5ppm以下、好ましくは3ppm以下であることが望ましい。
【0069】
次いで有機アルミニウム化合物を重合器内に供給する。このときの有機アルミニウム化合物の供給量は、通常10〜5000mM−Al/m3 −流動層容積、好ましくは20〜1000mM−Al/m3 −流動層容積程度である。また有機アルミニウム化合物の時間当たりの供給量は、通常10〜1000mM−Al/hr・m3 −流動層容積である。
【0070】
次に、有機アルミニウム化合物の供給を続けながら固体状メタロセン触媒を供給する。この固体状メタロセン触媒の供給開始前、供給開始時または供給開始後に、有機アルミニウム化合物の供給量(有機アルミニウム化合物中のアルミニウムのモル数換算)を定常運転時の固体状メタロセン触媒の時間当たりの供給量(メタロセン触媒中の遷移金属のモル数換算)の0〜70倍、好ましくは5〜60倍、より好ましくは10〜50倍の量に変更する。
【0071】
この有機アルミニウム化合物の供給量を変更した後の時間当たりの平均供給量は、変更前の時間当たりの平均供給量の1/2以下、好ましくは1/2〜1/50、より好ましくは1/2〜1/20の範囲である。固体状メタロセン触媒の供給量は、通常定常状態の1/5〜1倍、好ましくは1/4〜1/2の範囲である。
【0072】
本発明では、有機アルミニウム化合物の供給量を減少させてから、固体状メタロセン触媒の供給を開始することが好ましい。
なお、重合活性の発現は、重合器内の温度分布を測定することにより確認することができる。固体状メタロセン触媒の供給により重合活性が発現し重合が開始すれば定常運転とする。有機アルミニウム化合物の供給は、定常運転とする前または後に停止する。
【0073】
固体状メタロセン触媒の活性発現は、流動床内の固体状メタロセン触媒の活性発現が把握可能な方法であれば特に限定されないが、重合器内部の温度差を用いて固体状メタロセン触媒の活性発現を把握することが簡便である。この場合には一般に、分散板下部の温度と減速域の温度との温度差を測定し、その温度差が定常状態の温度差の5%以上となったときに活性発現とする。温度計は、複数設置してそのうちのいずれか1つの値または2つ以上の平均値を用いることもできる。また、減速域の温度は、ほぼ同等である反応器内部の他の点の温度、たとえば流動床直上ないし減速域までの反応器内部の温度や充分保温されたリサイクルラインのうち反応器から熱交換器までの温度等で代用してもよい。
【0074】
上述した重合開始方法において、固体状メタロセン触媒の重合器への供給量の総量が遷移金属換算で3mM−遷移金属/m3 −流動層容積に達するまでに、分散板下部と減速域との温度差が定常運転時の温度差の7%を超えない場合には、まず固体状メタロセン触媒の供給量をそれまでの0〜1/3、好ましくは0〜1/5に減少させ、かつ該触媒の供給量を減少させる前または後に有機アルミニウム化合物を10〜5000mM−Al/m3 −流動層容積、好ましくは20〜1000mM−Al/m3 −流動層容積の量で供給する。このとき有機アルミニウム化合物の時間当たりの供給量は、通常10〜1000mM−Al/hr・m3 −流動層容積である。
【0075】
次に、有機アルミニウム化合物の供給を続けながら固体状メタロセン触媒の供給量を増加させ、かつ該触媒の供給量を増加させる前、同時または後に、有機アルミニウム化合物の供給量(有機アルミニウム化合物中のアルミニウムのモル数換算)を定常運転時の固体状メタロセン触媒の時間当たりの供給量(メタロセン触媒中の遷移金属のモル数換算)の0〜70倍、好ましくは5〜60倍、より好ましくは10〜50倍の量に変更する。
【0076】
この有機アルミニウム化合物の供給量を変更した後の時間当たりの平均供給量は、変更前の時間当たりの平均供給量の1/2以下、好ましくは1/2〜1/50、より好ましくは1/2〜1/20の範囲である。固体状メタロセン触媒の供給量は、通常定常状態の1/5〜2倍、好ましくは1/4〜1/2の範囲である。
【0077】
本発明では、有機アルミニウム化合物の供給量を減少させてから、固体状メタロセン触媒の供給を開始することが好ましい。
固体状メタロセン触媒の供給により重合活性が発現し重合が開始すれば定常運転とする。有機アルミニウム化合物の供給は、定常運転とする前または後に停止する。
【0078】
上述した重合開始方法において、固体状メタロセン触媒の重合器への供給量を増加させた後の供給量の総量が遷移金属換算で3mM−遷移金属/m3 −流動層容積に達するまでに、分散板下部と減速域との温度差が定常運転時の温度差の7%を超えない場合には、さらに上記工程を繰り返す。
【0079】
【発明の効果】
【0080】
本発明によると、オレフィンの気相重合において、安定的に重合を開始することができ、しかもシーティングなどを発生させない。
【0081】
【実施例1】
内径が1.0m、流動床高さが1.4mの気相重合器を用い、コモノマーとして1-ヘキセンを用いて、エチレンの共重合を行った。触媒としてシリカに担持した固体状メタロセン触媒にポリオキシエチレンアルキルエーテル(界面活性剤:エマルゲン109(花王社製))を添加したものを使用し、有機アルミニウム化合物として、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)をヘキサンで希釈したものを使用した。重合条件は、圧力が20kg/cm2-G 、温度が70℃であった。
【0082】
まず、重合器内の圧力等を上記の条件に設定し、TIBALを50[mM−Al/h.m3-重合容積]で2時間供給した。次に固体状メタロセン触媒およびTIBALをAl/Zr(モル比)=30の割合で供給し重合を開始させた。所定の重合量に達すると同時に、TIBALのみ供給を停止した。メルトフローレートが4.0g/10分、密度が0.920g/cm3 のポリマーが得られた。それから48時間運転した後に重合器内を点検したところ、重合器内のメルト物および分散板への重合体の付着は見られなかった。
【0083】
【比較例1】
実施例1と同じ条件でエチレンの重合を開始した。ただし所定の重合量に達した以降も固体状メタロセン触媒およびTIBALをAl/Zr(モル比)=50の割合で供給し続けた。
【0084】
その結果、所定の重合量に達してから6時間後に、空塔速度を一定にしているにもかかわらず、分散板上下の差圧が上昇し始めた。さらにそのまま30時間運転したところ、分散板上下の差圧が0.2kg/cm2 を超え、継続運転が困難となり運転を停止した。運転を停止した後に重合器内を点検したことろ、重合器内のメルト物は少量であったが、分散板の穴のうち20〜30%がメルト物で塞がれていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる固体状メタロセン触媒の調製工程を示す説明図である。
【図2】気相流動床反応装置の一例を示す概略図である。

Claims (4)

  1. (A)メタロセン化合物、
    (B)有機アルミニウムオキシ化合物および
    (C)ポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物が、
    (D)微粒子状担体に担持されてなる固体状メタロセン触媒を用い、
    流動層型重合器を用いて前記固体状メタロセン触媒の存在下にオレフィンを気相重合する方法における重合開始方法であって、
    まず、有機アルミニウム化合物を10〜5000mM−Al/m3 −流動層容積の量で重合器に供給し、
    次に、固体状メタロセン触媒を重合器に供給し、かつ該触媒の供給開始前または供給開始後に、有機アルミニウム化合物の供給量(有機アルミニウム化合物中のアルミニウムのモル数換算)を定常運転時の固体状メタロセン触媒の時間当たりの供給量(メタロセン触媒中の遷移金属のモル数換算)の0〜70倍の量に変更し、
    重合活性が発現した後、有機アルミニウム化合物の供給を停止することを特徴とする重合開始方法。
  2. 前記有機アルミニウム化合物の供給量を変更した後の時間当たりの平均供給量が、変更前の時間当たりの平均供給量の1/2以下である請求項1に記載の重合開始方法。
  3. 請求項1または2に記載の重合開始方法において、固体状メタロセン触媒の重合器への供給量の総量が遷移金属換算で3mM−遷移金属/m3 −流動層容積に達するまでに、分散板下部と減速域との温度差が定常運転時の温度差の7%を超えない場合に、
    固体状メタロセン触媒の供給量を0〜1/3に減少させ、かつ該触媒の供給量を減少させる前または後に有機アルミニウム化合物を10〜5000mM−Al/m3 −流動層容積の量で供給した後、
    固体状メタロセン触媒の供給量を増加させ、かつ該触媒の供給量を増加させる前または後に、有機アルミニウム化合物の供給量(有機アルミニウム化合物中のアルミニウムのモル数換算)を定常運転時の固体状メタロセン触媒の時間当たりの供給量(メタロセン触媒中の遷移金属のモル数換算)の0〜70倍の量に変更し、
    重合活性が発現した後、有機アルミニウム化合物の供給を停止することを特徴とする重合開始方法。
  4. 前記有機アルミニウム化合物の供給量を変更した後の時間当たりの平均供給量が、変更前の時間当たりの平均供給量の1/2以下である請求項3に記載の重合開始方法。
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