JP3811707B2 - 布張り中空成形品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、建築物の内装壁、パーティション、扉などのパネル状の建築用中空成形品、自動車用中空成形品のようなプラスチック製中空構造の布張り中空成形品の製造方法に関する。
従来から、この種の中空成形品、特に、建築物の内装壁、パーティション、扉などのプラスチック製のパネル状の中空成形品は、そのパネルに意匠的効果をもたせるため、パネルの表面に装飾布を張ったものも用いられている。
また、中空構造のプラスチック中空体をブロー成形し、ブロー成形時に中空体の表面に織布を一体成形する方法は、特開平3−69335号公報に記載されている。
特開平3−69335号公報
ところで、表面に装飾布を張った中空体にあっては、その表面に張った装飾布の周辺部が、手などの当たりによって次第にめくれあがったり、装飾布の縁がほつれたり、あるいは毛足の長い装飾布の場合は周辺部の毛足部が周縁部分からはみ出すなど、比較的短期間のうちに外観が損なわれやすいものである。
また、中空体のブロー成形時に装飾布を一体に成形する場合は、装飾布の毛足が長くなるほど周辺部の毛足部がブロー過程で樹脂の移動に押されて、周辺方向になぎ倒される現象を呈し、装飾布をその周辺部まで外観良好に一体成形することが難しい。
本発明は、上記のような問題点を解消しうとするものであって、中空成形品の表面に張った装飾布の周辺部が剥がれたり、また、特に毛足の長い装飾布であっても長い毛足部が周縁部分からはみ出すことがなく、外観性にすぐれた布張り中空成形品を得るため、布張り中空成形品のブロー成形時に装飾布を一体成形するにあたり、装飾布の毛足部が長いものであっても、装飾布の周辺部の毛足部が周辺方向になぎ倒されることなく、外観性にすぐれた布張り中空成形品を製造する方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る布張り中空成形品の製造方法は、熱可塑性プラスチックからなる中空構造のパネル状の布張り中空成形品をブロー成形する方法において、パネル状の成形品の意匠面をなす表面にその周縁部分より中空部側に低くした布張り面を成形するキャビティと、周縁部分と布張り面との境に中空部側に窪む溝部を成形するキャビティと、周縁部分に布張り面より突出する縁取部を成形するキャビティを有する金型を用い、金型の上記溝部を成形するキャビティに囲まれ、縁取部を成形するキャビティ面より低くした布張り面を成形するキャビティに装飾布を装填してブロー成形することにより、成形品の布張り面に装飾布を一体に張り付けるものである。
本発明に係る布張り中空成形品の製造方法においては、装飾布は起毛部を有しており、布張り面を成形するキャビティに起毛部がキャビティ側となるように装飾布を装填してブロー成形し、縁取部より中空部側に低くした布張り面を有するパネル状の中空成形品を形成することが好適である。
本発明に係る布張り中空成形品によれば、縁取部を成形するキャビティ面より低くした布張り面を成形するキャビティ面に装飾布を起毛部がキャビティ側となるように装填してブロー成形を行うことにより、成形品の意匠面をなす表面にその周縁部分より中空部側に低くした布張り面を形成し、周縁部分と布張り面との境に中空部側に窪む溝部を形成して周縁部分を布張り面に対して突出する縁取部としており、布張り面に張り付けた装飾布の周縁部分は、その張り付け面より突出している縁取部により囲まれて保護されるとともに、装飾布が周縁部分からはみ出すことがない。よって、本発明に係る布張り中空成形品の製造方法によれば、布張り中空成形品のブロー成形時に装飾布を一体成形するにあたり、装飾布の毛足が長いものであっても、装飾布の周辺部の繊維が周辺方向になぎ倒されることなく、外観性にすぐれたものを製造することができる。
図1および図2は、本発明に係る布張り中空成形品の製造方法により製造された布張り中空成形品として、建築物の内壁やパーティションを構成するパネルを例示している。
図1および図2において、1はパネルであって、このパネル1は熱可塑性プラスチックをブロー成形したものである。パネル1は中空二重壁構造をなし、その表面に、その周縁部分より中空部側に低くした布張り面2を形成し、周縁部分と布張り面2との境に中空部側に窪む溝部3を形成して、周縁部分を布張り面2に対して突出する縁取部4としたものである。この縁取部4で囲まれた布張り面2には、装飾布5が張り付けられて、パネル1の表面が意匠面をなしている。6は中空部、7は装飾布5の基部、8はその起毛部である。
パネル1の意匠面をなす表面の周縁部分より中空部側に低くした布張り面2には、装飾布5がその基部7に対して毛足の長い起毛部8が成形品の表面側となるように張り付けてあり、上記周縁部分と布張り面2との境には中空部6側に窪む溝部3が形成されているとともに周縁部分2を布張り面2に対して突出して装飾布5の基部7に対して長い起毛部8の毛足部8aが周縁部分2からはみ出さないようにする縁取部4としているので、この縁取部4で囲まれた布張り面2に張り付けた装飾布5の周辺部の毛足8aは外方に倒れない。
すなわち、上記パネル1の表面において、布張り面2は周縁部分の縁取部4よりHだけ中空部6側に低くなっており、溝部3はさらにhだけ中空部6側に窪んでいる。そして、布張り面2の周縁と縁取部4との境には溝部3に相当する間隔9がとられており、布張り面2に張り付けた装飾布5の周辺部の毛足部8aがその間隔9内で自然に延びて、しかも縁取部4の立上り面によって外方への広がりが押さえられ、毛足部8aが縁取部4からはみ出さないように形成されている。また、布張り面2は縁取部4より低く形成されているので、装飾布5の周辺部が縁取部4により保護される。このため、装飾布5の周辺部が剥がれたり、装飾布5の周辺部の毛足部8aが外方に倒れることがなく、長期間にわたってパネル1の意匠面の外観が良好に保たれる。
本発明に係るパネル1は、図3および図4に示すように、熱可塑性プラスチックのブロー成形により製造される。この図において、10,10は一対の分割形式の金型であり、その一方の金型10には、パネルの意匠面をなす表面にその周縁部分より中空部側に低くした布張り面を成形するキャビティ11と、周縁部分と布張り面11との境に中空部側に窪む溝部を成形するキャビティ12と、周縁部分に布張り面より突出する縁取部を成形するキャビティ13を有している。
上記のように構成された一対の分割形式の金型10,10を用いて布張り中空成形品をブロー成形するにあたっては、一方の金型10の布張り面を成形するキャビティ11に装飾布5をその起毛部8がキャビティ側で基部7が表面側となるように嵌め込み状に装填する(図3参照)。次いで、開かれた一対の分割形式の金型10,10の間にパリスン14を配置し、一対の分割形式の金型10,10を型締めして、パリスン14内に圧力流体を導入すれば、パリスン14は金型10,10のキャビティに沿った形状のパネルに成形されるとともに、その布張り面には一方の金型10内に装填してあった装飾布5が、その基部7がパリスン14に圧着され、一体に成形される(図4参照)。
ところで、図3に示す状態から図4に示す状態にパリスン14がブロー成形される過程では、装飾布5の周辺部の樹脂が、内方に張り出している溝部を成形するキャビティ12に沿って移動するので、樹脂の移動により装飾布5の周辺部の毛足部8aが移動する樹脂に押されることがない。このため、周辺部の毛足部8aがなぎ倒される現象を呈しないので、ブロー成形により、外観性にすぐれた布張り中空成形品が一体成形される。
本発明に係る布張り中空成形品の製造方法により製造された布張り中空成形品の一例を示す全体斜視図である。 図1におけるA−A線拡大断面図である。 本発明に係る布張り中空成形品の製造方法であって布張り中空成形品のブロー成形態様を示す一部の断面図である。 図3の状態から型締めしてブロー成形後の状態を示す一部の断面図である。
符号の説明
1 パネル
2 布張り面
3 溝部
4 縁取部
5 装飾布
6 中空部
7 装飾布の基部
8 起毛部
8a 毛足部
9 間隔
10 一対の分割形式の金型
11 布張り面を成形するキャビティ
12 溝部を成形するキャビティ
13 縁取部を成形するキャビティ
14 パリスン

Claims (2)

  1. 熱可塑性プラスチックからなる中空構造のパネル状の布張り中空成形品をブロー成形する方法において、パネル状の成形品の意匠面をなす表面にその周縁部分より中空部側に低くした布張り面を成形するキャビティと、周縁部分と布張り面との境に中空部側に窪む溝部を成形するキャビティと、周縁部分に布張り面より突出する縁取部を成形するキャビティを有する金型を用い、金型の上記溝部を成形するキャビティに囲まれ、縁取部を成形するキャビティ面より低くした布張り面を成形するキャビティに装飾布を装填してブロー成形することにより、成形品の布張り面に装飾布を一体に張り付けることを特徴とする布張り中空成形品の製造方法。
  2. 装飾布は起毛部を有しており、布張り面を成形するキャビティに起毛部がキャビティ側となるように装飾布を装填してブロー成形し、縁取部より中空部側に低くした布張り面を有するパネル状の中空成形品を形成することを特徴とする請求項1記載の布張り中空成形品の製造方法。
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