JP3811381B2 - ガラスセラミック基板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体LSIやチップ部品等を搭載し、それらを相互配線するための多層ガラスセラミック基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体LSIやチップ部品等は小型化、軽量化が進んでおり、これらを実装する配線基板も小型化、軽量化が望まれている。このような要求に対して、基板内に内部電極等を配した多層セラミック基板は、要求される高密度配線が可能となり、かつ薄型化が可能なことから、今日のエレクトロニクス業界において重要視されている。
【0003】
多層セラミック基板としては、アルミナ質焼結体からなり、表面または内部にタングステン、モリブデン等の高融点金属からなる配線層が形成された絶縁基板が従来より広く用いられている。
【0004】
一方、近年の高度情報化時代を迎え、使用される周波数帯域はますます高周波化に移行しつつある。このような高周波の信号の伝送を行なう高周波配線基板においては、高周波信号を高速で伝送する上で、配線層を形成する導体の抵抗が小さいことが要求され、絶縁基板にもより低い誘電率が要求される。
【0005】
しかし、従来のタングステン(W)、モリブデン(Mo)等の高融点金属は導体抵抗が大きく、信号の伝播速度が遅く、また30GHz以上の高周波領域の信号伝播も困難であることから、タングステン、モリブデン等の金属に代えて銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)等の低抵抗金属を使用することが必要である。ところが、上記のような低抵抗金属は融点が低いため、800〜1100℃程度の比較的低温で焼成することが必要であることから、この低抵抗金属からなる配線層は、高温焼成が必要なアルミナと同時焼成することができなかった。また、アルミナ基板は誘電率が高いため、高周波回路基板には適当とは言い難かった。
【0006】
このため、最近では、ガラスとセラミックス(無機質フィラー)との混合物を焼成して得られるガラスセラミックスを絶縁基板として用いることが注目されている。すなわち、ガラスセラミックスは誘電率が低いため高周波用絶縁基板として好適であり、またガラスセラミックスは800〜1100℃の低温で焼成することができることから、銅、銀、金等の低抵抗金属を配線層として使用できるという利点がある。
【0007】
多層ガラスセラミック基板は、ガラスと無機質フィラーとの混合物に有機バインダー、可塑剤、溶剤等を加えてスラリーとし、ドクターブレード等によりガラスセラミック・グリーンシートを成形した後、銅、銀、金等の低抵抗金属の粉末を含有する導体ペーストを印刷するなどして前記グリーンシート上に導体パターンを形成し、次いで複数枚のグリーンシートを積層して800〜1100℃の温度で焼成して得られる。
【0008】
ところが、多層ガラスセラミック基板は、焼成過程において焼結に伴う収縮を生じるという問題がある。このような収縮の程度は一様ではなく、使用する基板用無機材料、グリーンシート組成、原料である粉体粒度のバラツキ、導体パターン、内部電極材料等により収縮率や収縮方向が異なってくる。このことは、多層ガラスセラミック基板の作製において、いくつかの問題をひき起こす。
【0009】
先ず、内部電極印刷用のスクリーン版を作製する際、基板の収縮率から逆算してスクリーン版の大きさを決定しなければならないが、上記のように基板の収縮率や収縮方向は一定でないため、スクリーン版は基板の製造ロット毎に作り直さなければならず不経済であり現実的ではない。さらに、上記のようなグリーンシート積層法によって作製される多層ガラスセラミック基板では、グリーンシートの造膜方向によって積層面内の縦方向と横方向の収縮率が異なるため、多層ガラスセラミック基板の作製がより一層困難なものになる。
【0010】
これに対して、収縮誤差を許容するように必要以上に大きい面積の電極を形成する場合には、高密度な配線ができなくなる。
【0011】
これらの収縮変化を小さくするためには、回路設計による基板の収縮率の傾向を調べたり、製造工程において基板材料およびグリーンシート組成の管理、粉体粒度のバラツキ、プレス圧や温度等の積層条件を充分管理する必要がある。しかし、一般に収縮率の誤差は±0.5%程度は存在するといわれている。
【0012】
このことは多層ガラスセラミック基板にかかわらずセラミックスやガラスセラミックス等の焼結を伴うものに共通する課題である。このような課題を解決するために、特開平4−243978号公報、特開平5−28867号公報、特開平5−102666号公報では、以下の(1)〜(4)の工程を含む基板の製造方法が提案されている。
【0013】
(1)ガラスセラミック成分とバインダー、可塑剤等の有機成分とを含むガラスセラミック・グリーンシートに導体パターンを形成したものを所望枚数積層し、
(2)得られたガラスセラミック・グリーンシートの積層体の両面または片面に、前記ガラスセラミック成分の焼成温度では焼結しない無機材料とバインダー、可塑剤等の有機成分とを含む拘束グリーンシートを積層し、
(3)これらガラスセラミック・グリーンシートの積層体と拘束グリーンシーとの積層体を加熱して、まず有機成分を除去し、次いで焼成して、それぞれガラスセラミック基板および拘束シートとなし、
(4)最後に、ガラスセラミック基板から拘束シートを除去する。
【0014】
この方法によれば、前記拘束グリーンシートがガラスセラミック・グリーンシートの焼成時の収縮を拘束するため、積層体の厚さ方向のみに収縮が起こり、積層面の縦・横方向には収縮が起こらなくなり、ガラスセラミック基板の寸法精度が向上すると考えられている。
【0015】
また、キャビティ等の凹部を有するガラスセラミック基板においては、前記課題を解決するために、例えば特開平11−177238号公報では、以下の工程を含むガラスセラミック基板の製造方法が提案されている。
【0016】
これは、ガラスセラミックスのグリーンシートを積層して、低温焼結工程によって製造されるキャビティ部を有するガラスセラミックス多層基板を製造する方法であって、
前記ガラスセラミックスのグリーンシート積層体のキャビティ部内部に前記ガラスセラミックスよりも焼結温度の高い無機成分を主として含有するペーストを充填する工程と、
前記グリーンシート積層体の上下両面に前記ガラスセラミックスよりも焼結温度の高い無機成分を主として含有する成型体を配置する工程と、
前記グリーンシート積層体の上下両面に前記成型体を配置した後、前記グリーンシート積層体の上下面に圧力を負荷しながら焼成を行なう工程と、
を含むものである。
【0017】
この方法によれば、凹部内部をガラスセラミックスよりも焼結温度の高い無機成分を主として含有するペーストを充填し、ペーストの固形分比率をコントロールすることにより、焼成時にキャビティ部を含むガラスセラミックス積層体の全面において均一な加圧力の負荷が可能となり、キャビティ部周辺の変形および割れを抑制し、焼結中の水平方向の収縮を抑制することができるというものである。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記の(1)〜(4)の工程を含む方法では、ガラスセラミック・グリーンシートと拘束グリーンシートとの結合は、それらのグリーンシート内に含有されているバインダー等の有機成分により行なわれる。しかし、(3)の焼成工程において、バインダー、可塑剤等の有機成分が分解し揮散した後は、拘束グリーンシート中の粉体とガラスセラミック・グリーンシート中の粉体とが単に密着して接触しているだけであり、それらのシート間にはファンデルワールス力による弱い結合が働いているだけである。
【0019】
このような弱い結合は、(4)の工程における拘束シートの除去が簡単になるという利点があるものの、(3)の焼成工程でガラスセラミック・グリーンシート積層体から拘束グリーンシートがそれらの熱膨張差等により不用意に剥離するおそれがある。
【0020】
焼成途中で拘束グリーンシートが剥離すると、ガラスセラミック・グリーンシートの焼結収縮を防止できなくなる。また、拘束グリーンシートの剥離がたとえ一部であっても、当該部分において収縮が起こるためガラスセラミック基板の変形が発生することになる。
【0021】
また、ガラスセラミック・グリーンシート積層体と拘束グリーンシートとは結合力が小さいため、焼成前のそれらの密着状態や、ガラスセラミック成分の種類によるガラスセラミック・グリーンシート中のガラス成分の拘束グリーンシート内への浸透性によってはそれらの結合力にムラが生じやすい。結合力にムラがあると、ガラスセラミックの焼結収縮を拘束する力にムラができ、収縮ムラが起こり、ガラスセラミック基板の反り、変形等が発生することになる。その結果、寸法精度の高い基板が得られないという問題がある。
【0022】
さらに、特開平11−177238号公報に開示された方法においては、凹部内部にガラスセラミックスよりも焼結温度の高い無機成分を主として含有するペーストを充填するため、拘束シートと同様にガラスセラミックスとの結合力にムラが生じやすく、その結果、キャビティ等に反りおよび変形を生じてしまうという問題がある。
【0023】
また、凹部内部に前記ペーストを充填したガラスセラミックスのグリーンシート積層体と拘束グリーンシートである前記成型体との積層体の焼成では、ガラスセラミックスのグリーンシート積層体は厚み方向に対し50〜60%の厚みに収縮するのに対し、ガラスセラミックスよりも焼結温度の高い無機成分を主として含有するペーストの焼成体は収縮しないため、焼成時に凹部内部に充填された前記ペーストの焼成体が凹部より突出するようになる。その結果、この突出したガラスセラミックスよりも焼結温度の高い無機成分を主として含有するペーストの焼成体は、凹部上部および凹部周辺部の拘束グリーンシートを押し上げてしまい、凹部周辺部の拘束グリーンシートとガラスセラミックスのグリーンシート積層体との間に剥離を生じさせて、キャビティ部周辺に変形を発生させることとなるという問題がある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(I)拘束グリーンシートとガラスセラミック・グリーンシートとの間にガラス成分を含有させた密着剤層を介在させておくと、そのガラス成分が焼成過程でガラスセラミック・グリーンシートと拘束グリーンシートとを結合する結合材として作用するため、それらの間の結合力が高まり、拘束グリーンシートが剥離するのを防止できること、(II)密着剤層中のガラス成分の含有量は焼成後に拘束シートとともにガラスセラミック基板から除去される量であること、その結果、(III)拘束グリーンシートによりガラスセラミック・グリーンシート積層体の収縮が確実に抑えられ、寸法精度の高いガラスセラミック基板を得ることができること、さらに(IV)キャビティ等の凹部内には拘束グリーンシートと同様の組成からなる拘束用無機組成物を拘束グリーンシートの積層前に凹部の底面から凹部の深さに対し10〜60%の高さに充填しておくことで、凹部を拘束し、さらにガラスセラミック・グリーンシート積層体と拘束用無機組成物との厚み方向の収縮量の差による凹部およびその周辺部における変形を抑え、凹部を有するガラスセラミック基板においても寸法精度の高いガラスセラミック基板を得ることができるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに到った。
【0025】
すなわち、本発明のガラスセラミック基板の製造方法は、(i)有機バインダーを含有し表面に導体パターンが形成されたガラスセラミック・グリーンシートおよび貫通穴を設けたガラスセラミック・グリーンシートの複数枚を積層して凹部を有するガラスセラミック・グリーンシート積層体を作製する工程(ii)前記ガラスセラミック・グリーンシート積層体の前記凹部に難焼結性無機材料を含む拘束用無機組成物を底面から前記凹部の深さに対し10〜60%の高さに充填するとともに、ガラスと溶剤とを含む密着剤層を介在させて、このガラスセラミック・グリーンシート積層体の両面に難焼結性無機材料と有機バインダーとを含む拘束グリーンシートを積層する工程と、(iii)前記拘束グリーンシートとガラスセラミック・グリーンシート積層体との積層体から有機成分を除去し、次いで焼成して拘束シートを保持するとともに凹部に拘束用無機物が充填されたガラスセラミック基板を作製する工程と、(iv)前記ガラスセラミック基板から拘束シートおよび前記拘束用無機物を除去する工程とを含み、(v)前記密着剤層のガラス含有量が、焼成時に前記拘束グリーンシートを前記ガラスセラミック・グリーンシートと結合させかつ焼成後に拘束シートとともにガラスセラミック基板から除去される量であることを特徴とする。
【0026】
本発明において、前記密着剤層中に含有されるガラスの軟化点は、前記ガラスセラミック・グリーンシート積層体の焼成温度以下であるのがよい。これにより、焼成工程で密着剤層中のガラスが軟化し、結合力が高まる。
【0027】
また、前記密着剤層中に含有されるガラスの軟化点は、前記有機成分の揮発温度よりも高いのがよい。前記ガラスの軟化点が有機成分の揮発温度よりも低い場合には、分解・揮散した有機成分が通過するための除去経路が軟化したガラスによって閉塞されてしまうおそれがある。
【0028】
前記密着剤層中のガラス含有量は、密着剤層成分のうち5〜50重量%であるのがよい。通常はこの範囲が積層時に前記ガラスセラミック・グリーンシートと拘束グリーンシートの密着性を損なわず、焼成時に前記ガラスセラミック・グリーンシートと結合しかつ焼成後に拘束シートとともにガラスセラミック基板から除去される量となる。5重量%より少ない場合は、焼成時に結合剤として働くガラス量が少ないために拘束シートとガラスセラミック・グリーンシートの結合が不十分となる。50重量%より多い場合は、ガラス量が多いために積層時に拘束グリーンシートとガラスセラミック・グリーンシートとが密着する面積が小さくなり焼成前の密着性が悪くなるおそれがある。また、焼成後に拘束シートを除去する際にはガラスセラミック基板上に強固なガラス層が形成されるために拘束シートの除去が困難になる。なお、使用するガラスの種類等によってガラス含有量は変化するが、5〜50重量%程度がよい。
【0029】
キャビティ部等の凹部への拘束用無機組成物の充填は、凹部の底面から凹部の深さに対し10〜60%の高さに充填するのがよい。凹部の底面から凹部の深さに対し60%を超える高さに充填すると、焼成時に凹部に充填された拘束用無機組成物が凹部より突出することとなり、突出した拘束用無機組成物は凹部の上部および周辺部の拘束グリーンシートを押し上げてしまい、凹部の周辺の拘束グリーンシートとガラスセラミック・グリーンシート積層体との間に剥離を生じさせ、凹部の周辺に変形を生じさせてしまうこととなる。また、凹部の底面から凹部の深さに対し10%未満の高さに充填したのでは、拘束性が低下し、良好な寸法精度が得られないこととなる。
【0030】
本発明によれば、ガラスセラミック基板がキャビティ等の凹部を有する場合であっても、拘束用無機組成物を凹部の底面から凹部の深さに対し10〜60%の高さに充填した後に拘束グリーンシートが積層されてガラスセラミック・グリーンシート積層体の収縮を拘束することとなるので、焼成後における凹部の変形をほとんどなくすことができ、凹部を有するガラスセラミック基板についても寸法精度の高いものを得ることができる。
【0031】
なお、凹部に充填する拘束用無機組成物は、ペースト状であっても、粉体状であってもよく、必要とされるガラスセラミック基板の精度や形状、寸法等に応じて種々の形態で用いればよい。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明のガラスセラミック基板の製造方法について以下に詳細に説明する。
【0033】
本発明におけるガラスセラミック・グリーンシートは、ガラス粉末、フィラー粉末(セラミック粉末)、さらに有機バインダー、可塑剤、有機溶剤等を混合したものが用いられる。
【0034】
ガラス成分としては、例えばSiO2−B23系、SiO2−B23−Al23系、SiO2−B23−Al23−MO系(但し、MはCa、Sr、Mg、BaまたはZnを示す)、SiO2−Al23−M1O−M2O系(但し、M1およびM2は同一または異なってCa、Sr、Mg、BaまたはZnを示す)、SiO2−B23−Al23−M1O−M2O系(但し、M1およびM2は前記と同じである)、SiO2−B23−M3 2O系(但し、M3はLi、NaまたはKを示す)、SiO2−B23−Al23−M3 2O系(但し、M3は前記と同じである)、Pb系ガラス、Bi系ガラス等が挙げられる。
【0035】
また、前記フィラーとしては、例えばAl23、SiO2、ZrO2とアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、TiO2とアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、Al23およびSiO2から選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル、ムライト、コージェライト)等が挙げられる。
【0036】
上記ガラスとフィラーの混合割合は通常のガラスセラミック基板材料に用いられる割合であり、重量比で40:60〜99:1であるのが好ましい。
【0037】
ガラスセラミック・グリーンシートに配合される有機バインダーとしては、従来よりセラミックグリーンシートに使用されているものが使用可能であり、例えばアクリル系(アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体、具体的にはアクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等)、ポリビニルブチラ−ル系、ポリビニルアルコール系、アクリル−スチレン系、ポリプロピレンカーボネート系、セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。
【0038】
ガラスセラミック・グリーンシートは、上記ガラス粉末、フィラー粉末、有機バインダーに必要に応じて所定量の可塑剤、溶剤(有機溶剤、水等)を加えてスラリーを得て、これをドクターブレード、圧延、カレンダーロール、金型プレス等により厚さ約50〜500μmに成形することによって得られる。
【0039】
また、得られたガラスセラミック・グリーンシートには、必要に応じて所定の位置にキャビティ等の凹部を形成するための所定形状および寸法の貫通穴がパンチング加工等により形成される。
【0040】
ガラスセラミック・グリーンシート表面に導体パターンを形成するには、例えば導体材料粉末をペースト化したものをスクリーン印刷法やグラビア印刷法等により印刷するか、あるいは所定パターン形状の金属箔を転写する等の方法が挙げられる。導体材料としては、例えばAu、Ag、Cu、Pd(パラジウム)、Pt(白金)等の1種または2種以上が挙げられ、2種以上の場合は混合、合金、コーティング等のいずれの形態であってもよい。
【0041】
なお、表面の導体パターンには、上下の層間の導体パターン同士を接続するためのビア導体やスルーホール導体等の貫通導体が表面に露出した部分も含まれる。これら貫通導体は、パンチング加工等によりガラスセラミック・グリーンシートに形成した貫通孔に、導体材料粉末をペースト化したもの(導体ペースト)を印刷により埋め込む等の手段によって形成される。
【0042】
ガラスセラミック・グリーンシートの積層には、積み重ねたグリーンシートに熱と圧力を加えて熱圧着する方法、有機バインダー、可塑剤、溶剤等からなる接着剤をシート間に塗布して熱圧着する方法等が採用可能である。
【0043】
本発明における拘束グリーンシートは、難焼結性無機材料からなる無機成分に有機バインダー、可塑剤、溶剤等を加えたスラリーを成形して得られる。難焼結性無機材料としては、Al23およびSiO2から選ばれる少なくとも1種が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0044】
また、拘束グリーンシート中に密着剤層と同じガラス成分を含有させて拘束グリーンシートとガラスセラミック・グリーンシートとの結合力をより高めるようにしてもよい。その場合のガラス成分の量は、焼成時に拘束グリーンシートをその積層面内で実質的に収縮させない量とするのがよい。
【0045】
なお、以上のような拘束グリーンシートの組成は、凹部に充填する拘束用無機組成物の組成についても同様である。
【0046】
拘束グリーンシートは、ガラスセラミック・グリーンシートの作製と同様にして、有機バインダー、可塑剤、溶剤等を用いて成形することによって得られる。有機バインダー、可塑剤および溶剤としては、ガラスセラミック・グリーンシートで使用したのと同様な材料が使用可能である。ここで、可塑剤を添加するのは、拘束グリーンシートに可撓性を付与し、積層時にガラスセラミック・グリーンシートとの密着性を高めるためである。
【0047】
また、拘束用無機組成物には、拘束グリーンシートと同様の無機成分に、ペースト化するため、あるいは粘着性等を持たせるために有機バインダーや可塑剤、溶剤等を添加したものを用いてもよい。有機バインダーとしては、例えばポリビニルアルコールを難焼結性無機材料とガラスに対して5重量%程度添加すればよいが、これに限らず、エチルセルロース系やニトロセルロース系の有機成分、アクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等を5〜15重量%程度添加してもよい。また、有機溶剤としては、トルエンや各種アルコール類を20〜40重量%程度添加してもよい。
【0048】
拘束グリーンシートおよび拘束用無機組成物に添加する有機バインダー、あるいは可塑剤、溶剤としては、上記の他にもガラスセラミック・グリーンシートで使用したのと同様な材料が使用可能である。ここで、可塑剤は、拘束無機組成物層に可撓性を付与し、積層時にガラスセラミック・グリーンシートとの密着性を高めるために添加してもよいものである。
【0049】
ガラスセラミック・グリーンシート積層体の両面に積層される拘束グリーンシートの厚さは、片面だけでガラスセラミック・グリーンシート積層体の厚さに対して10%以上であるのが好ましく、これよりも薄いと拘束グリーンシートの拘束性が低下するおそれがある。また、有機成分の揮散を容易にしかつガラスセラミック基板からの拘束シートの除去を容易にすることを考慮すると、拘束グリーンシートの厚さはガラスセラミック・グリーンシート積層体の厚さの約200%以下であるのがよい。また、積層される拘束シートは1枚のものであってもよく、あるいは所定の厚みになるように複数枚を積層したものであってもよい。
【0050】
密着剤層形成用の密着剤は、ガラス粉末、有機溶剤等を混合したものが用いられる。さらに、有機バインダー成分を含有させて焼成前のグリーンシート間の結合力を高めたり、塗布しやすい粘度に調整したりすることもできる。また、分散剤等を添加して密着剤中のガラスの分散性を良くすることもできる。
【0051】
密着剤中のガラスについても、特に制限されるものではなく、前記したガラスセラミック・グリーンシートに配合されるガラスと同様のものが使用可能である。また、密着剤中のガラスは、ガラスセラミック・グリーンシート中のガラスと同一組成のものであってもよく、異なる組成のものであってもよい。
【0052】
密着剤中のガラスの軟化点は、ガラスセラミック・グリーンシート積層体の焼成温度以下で、かつグリーンシート中の有機成分の分解・揮散温度よりも高いのが好ましい。具体的には、密着剤中のガラスの軟化点は450〜1100℃程度であるのが好ましい。ガラスの軟化点が450℃未満の場合には、ガラスセラミック・グリーンシート積層体からの有機成分の除去時に、軟化したガラスが分解・揮散した有機成分の除去経路を塞ぐことになり有機成分を完全に除去できないおそれがある。一方、ガラスの軟化点が1100℃を超える場合には、通常のガラスセラミック・グリーンシートの焼成条件ではこのグリーンシートへの結合材として作用しなくなるおそれがある。
【0053】
密着剤中のガラスの粒径は10μm以下であることが望ましい。これより大きいと、グリーンシート積層時にガラス粒子がガラスセラミック・グリーンシート積層体上の導体パターンに食い込むことがあり、それにより焼成後の導体の表面粗さが大きくなったり、導体中に欠陥が発生したりするおそれがあるからである。なお、拘束グリーンシートが導体パターンより軟らかく、ガラスが拘束グリーンシートの方に食い込む場合はこのような制限を受けるものではない。
【0054】
密着剤中の溶剤はガラスを均一に分散させ、グリーンシート間の結合性を阻害しないものであれば特に制限されるものではない。また、複数の溶剤を混合して用いることもできる。グリーンシートに可撓性を付与したり、グリーンシート表面を膨潤させたり、溶解させたりしてグリーンシート間の結合力を高めるようなものを用いるとよい。具体的にはジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)、フタル酸ジ−n−ブチル(dibutyl phthalate:DBP)、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(di-sec-octyl phthalate:DOP)、テルピネオール、トルエン、酢酸ブチル、酢酸エチル等が挙げられるが、グリーンシートにより適当な溶剤として異なるものを使用してもよい。
【0055】
成形された拘束グリーンシートをガラスセラミック・グリーンシート積層体の両面に積層するには、密着剤層をシート間に形成して例えば圧着する方法を採用する。例えば、密着剤をスクリーン印刷で拘束グリーンシートに塗布し、ガラスセラミック・グリーンシート積層体に積層して熱圧着する方法である。
【0056】
そして、拘束グリーンシートをガラスセラミック・グリーンシート積層体に積層する際に、図1に断面図で示すように、ガラスセラミック・グリーンシート積層体1’の凹部Aに、拘束用無機組成物2’を底面から凹部Aの深さに対し10〜60%の高さに充填し、拘束用無機組成物2’内の有機溶剤をある程度乾燥した後、これの両面に密着剤層(図示せず)を介して拘束グリーンシート3’を配置し、例えば5〜20MPa程度の圧力で加圧して積層する。
【0057】
凹部Aに拘束用無機組成物2’を充填し拘束グリーンシート3’を積層した後、有機成分の除去と焼成を行なう。有機成分の除去は100〜800℃の温度範囲でこの積層体を加熱することによって行ない、有機成分を分解・揮散させる。また、焼成温度はガラスセラミック組成により異なるが、通常は約800〜1100℃の範囲内である。焼成は通常、大気中で行なうが、導体材料にCuを使用する場合には100〜700℃の水蒸気を含む窒素雰囲気中で有機成分の除去を行ない、次いで窒素雰囲気中で焼成を行なう。
【0058】
また、有機成分の除去時ならびに焼成時には、拘束用無機組成物2’の変形を防止し、また積層体の反りを防止するために、積層体の上面に重しを載せる等して荷重をかけてもよい。このような重しによる荷重は50Pa〜1MPa程度が適当である。荷重が50Pa未満である場合は、拘束用無機組成物2’の変形を抑える作用、および積層体の反りを抑制する作用充分でなくなるおそれがある。また、荷重が1MPaを超える場合は、使用する重しが大きくなることとなるため、焼成炉に入らなくなったり、また焼成炉に入っても重しが大きいために熱容量が不足することになり焼成できなくなったりするなどの問題をひき起こすおそれがある。
【0059】
この重しとしては、ガラスセラミック基板の焼成中に変形・溶融等して荷重が不均一になったり、分解した有機成分の揮散を妨げたりすることがないような耐熱性の多孔質のものが適している。具体的にはセラミックス等の耐火物、あるいは高融点の金属等が挙げられる。また、積層体の上面に多孔質の重しを置き、その上に非多孔質の重しを置いてもよい。
【0060】
このようにして焼成後、図1に断面図で示すような、ガラスセラミック基板1の凹部A内に拘束用無機組成物2’が焼成されて成る拘束用無機物2が凹部Aから突出せずに充填されるとともに、両面に拘束シート3が積層され、凹部Aの周辺の拘束シート3がガラスセラミック基板1より剥離していない、両面に拘束シート3を保持したガラスセラミック基板1が得られる。
【0061】
焼成により両面に拘束シート3を保持したガラスセラミック基板1が得られた後、拘束シート3および拘束用無機物2を除去する。ここで、密着剤層は拘束シート3とともに除去できる。除去方法としては、ガラスセラミック基板1の表面に結合した拘束シート3を除去できる方法であれば特に制限はなく、例えば超音波洗浄、研磨、ウォータージェット、ケミカルブラスト、サンドブラスト、ウェットブラスト(砥粒と水とを空気圧により噴射させる方法)等が挙げられる。
【0062】
得られた多層ガラスセラミック基板1は、焼成時の収縮が拘束グリーンシート3’によって厚さ方向だけに抑えられているので、その積層面内の収縮をおよそ0.5%以下にも抑えることが可能となり、しかもガラスセラミック・グリーンシート積層体1’は拘束グリーンシート3’によって全面にわたって均一にかつ確実に結合されているので、拘束グリーンシート3’の一部剥離等によって反りや変形が起こるのを防止することができる。さらに、ガラスセラミック・グリーンシート積層体1’の凹部Aは拘束用無機組成物2’が充填されて変形が抑えられているので、凹部Aについても高い寸法精度を有し、凹部Aおよびその周辺に変形のないガラスセラミック基板1を得ることができる。
【0063】
【実施例】
以下、実施例、比較例を挙げて本発明の方法を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0064】
<実施例1>
ガラスセラミック成分として、SiO2−Al23−MgO−B23−ZnO系ガラス粉末60重量%、CaZrO3粉末20重量%、SrTiO3粉末17重量%およびAl23粉末3重量%を使用した。このガラスセラミック成分100重量部に有機バインダーとしてアクリル樹脂12重量部、フタル酸系可塑剤6重量部および溶剤としてトルエン30重量部を加え、ボールミル法により混合しスラリーとした。このスラリーを用いてドクターブレード法により厚さ300μmのガラスセラミック・グリーンシートを成形した。
【0065】
次いで、このグリーンシート上に銀−パラジウムペーストを用いて導体パターンをスクリーン印刷にて形成した。導体ペーストとしては、Ag:Pdが重量比で85:15である合金粉末(平均粒径1.0μm)100重量部に対してAl23粉末2重量部および前記ガラスと同組成のガラス粉末2重量部、さらにビヒクル成分として所定量のエチルセルロース系樹脂、テルピネオールを加え、3本ロールにより適度な粘度になるように混合したものを用いた。
【0066】
一方、無機成分としてAl23粉末を用いて、ガラスセラミック・グリーンシートと同様にしてスラリーを作製し、次いで成形して厚さ250μmの拘束グリーンシートを得た。
【0067】
さらに、拘束用無機組成物として拘束グリーンシートと同組成の難焼結性無機材料を用い、エチルセルロース樹脂をアルコールで溶かしたビヒクルを30重量%加えて混練したものを得た。
【0068】
密着剤は、軟化点720℃のSiO2−Al23−MgO−B23−ZnO系ガラス粉末25重量%とDBP39重量%、BCA31.2重量%、アクリル系バインダー4.8重量%を混合したものを用いた。
【0069】
所定のガラスセラミック・グリーンシートに打ち抜き型またはパンチングマシーンを用いて所定の位置に凹部となる貫通穴を形成し、表面に導体パターンを形成した前記ガラスセラミック・グリーンシートとともに所定枚数を積み重ねて、温度55℃、圧力20MPaで圧着して、積層面内の縦方向および横方向の寸法がそれぞれ200mmの、凹部が形成されたガラスセラミック・グリーンシート積層体を得た。その後、凹部内に上記拘束用無機組成物をスクリーン印刷法にて底面から凹部の深さに対し50%の高さに充填し、さらにその両面に密着剤を塗布した拘束グリーンシートを重ね合わせ、温度55℃、圧力20MPaで圧着して積層体を得た。
【0070】
得られた積層体をアルミナセッターに載置し、その上に重しを載せて約0.5MPaの荷重をかけつつ大気中500℃で2時間加熱して有機成分を除去した後、900℃で1時間焼成した。焼成後は、拘束用無機物が凹部より突出することなくガラスセラミック基板の両面に拘束シートが付着していた。この状態では、軽く叩いても拘束シートが剥がれることはなかった。
【0071】
ガラスセラミック基板の表面に付着した拘束シートは、凹部内の拘束用無機物とともに擦り取ることにより大部分は除去できたが、ガラスセラミック基板表面に薄く残留していた。この残留した拘束シートを、球状Al23微粉末と水との混合物を高圧の空気圧で投射するウェットブラスト法により除去した。拘束シートを除去した後のガラスセラミック基板の表面は、表面粗さ(算術平均粗さ)Raが1μm以下の平滑な面となり、導体の半田濡れ性も問題なかった。
【0072】
また、得られたガラスセラミック基板の積層面内での収縮は0.5%以下であり、基板に反りや変形も認められなかった。
【0073】
<実施例2および実施例3>
軟化点が600℃および700℃のガラスをそれぞれ用いて密着剤を作製した以外は実施例1と同様にしてガラスセラミック基板を得た。
【0074】
<比較例1>
ガラスを含有しない密着剤を作製した以外は実施例1と同様にしてガラスセラミック基板を得た。
【0075】
<比較例2>
軟化点が920℃のガラスを用いて密着剤を作製した以外は実施例1と同様にしてガラスセラミック基板を得た。
【0076】
<比較例3>
軟化点が400℃のガラスを用いて密着剤を作製した以外は実施例1と同様にしてガラスセラミック基板を得た。
【0077】
その結果、実施例2および実施例3で得たガラスセラミック基板は、実施例1と同様に積層面内での収縮が0.5%以下(すなわち、収縮率99.5%以上)であり、基板に反りや変形は認められなかった。
【0078】
これに対して、比較例1および比較例2で得たガラスセラミック基板は、使用した密着剤層がガラスを含まないか、あるいは焼成温度よりも高い軟化点を有するガラスを含んでいるために、いずれも焼成後のガラスセラミック基板から拘束グリーンシートが簡単に剥がれてしまった。また、ガラスセラミック・グリーンシートと拘束グリーンシートとの間の結合力が弱いため、ガラスセラミック基板の積層面内での収縮率は85%程度になるか、基板の一部のみが拘束シートに結合されているためにガラスセラミック基板は大きく変形した。
【0079】
一方、比較例3では、密着剤層に含まれるガラスの軟化点が低いため、有機成分が完全に除去されず、このためガラスセラミック基板の積層面内での収縮は0.5%以下と良好であったが、ガラスセラミック基板の色調が灰色になった。
【0080】
<実施例4および実施例5>
凹部に拘束用無機組成物をスクリーン印刷法にて底面から凹部の深さに対し10%および60%の高さに充填した以外は実施例1と同様にしてガラスセラミック基板を得た。
【0081】
<比較例4および比較例5>
凹部に拘束用無機組成物をスクリーン印刷法にて底面から凹部の深さに対し5%および70%の高さに充填した以外は実施例1と同様にしてガラスセラミック基板を得た。
【0082】
得られたガラスセラミック基板の反りと凹部の底面の反りとを表1に示す。
【0083】
【表1】
Figure 0003811381
【0084】
表1から、実施例1、4および5の各充填高さに拘束用無機組成物を充填して得られたガラスセラミック基板は、基板および凹部の底面の焼成時の反りが抑制されていることがわかる。また、凹部およびその周辺の変形も見られなかった。これに対し、比較例4の充填高さ(5%)に拘束用無機組成物を充填して得られたガラスセラミック基板は、凹部の内部の拘束が不十分で凹部の反りが大きかった。また、比較例5の充填高さ(70%)に拘束用無機組成物を充填して得られたガラスセラミック基板は、拘束用無機組成物が凹部より突出し、凹部の周辺の拘束グリーンシートとガラスセラミック基板との間に剥離を生じさせていたため、凹部の底面の反りおよびガラスセラミック基板の反りが大きかった。また、凹部の周辺に変形を生じていた。
【0085】
<実施例6〜9>
ガラスセラミック成分として、SiO2−MgO−CaO−Al23系ガラス粉末70重量%、Al23粉末30重量%を使用した。このガラスセラミック成分100重量部に有機バインダーとしてアクリル樹脂9.0重量部、フタル酸系可塑剤4.5重量部および溶剤としてトルエン30重量部を加え、ボールミル法により混合しスラリーとした。このスラリーを用いてドクターブレード法により厚さ300μmのガラスセラミック・グリーンシートを成形した。
【0086】
次いで、このグリーンシート上に実施例1と同じ銀−パラジウムペーストを用いて導体パターンをスクリーン印刷にて形成した。
【0087】
一方、無機成分としてAl23粉末を用いて、ガラスセラミック・グリーンシートと同様にスラリーを作製し、次いで成形して厚さ250μmの拘束グリーンシートを得た。
【0088】
さらに、拘束用無機組成物として拘束グリーンシートと同組成の難焼結性無機材料とガラスとを用い、エチルセルロース樹脂をアルコールで溶かしたビヒクルを30重量%加えて混練したものを得た。
【0089】
また、密着剤は軟化点720℃のSiO2−MgO−CaO−Al23系ガラス粉末とDBP、BCA、アクリル系バインダーをそれぞれ表1に示す割合で混合したものを用いて作製した。
【0090】
所定のガラスセラミック・グリーンシートの所定位置に所定の形状、寸法の貫通穴を形成し、表面に導体パターンを形成した前記ガラスセラミック・グリーンシートの所定枚数を積み重ねて、温度55℃、圧力20MPaで圧着して、積層面内の縦方向および横方向の寸法がそれぞれ200mmの、凹部を有するガラスセラミック・グリーンシート積層体を得て、さらに、その凹部内に上記の拘束用無機組成物を底面から前記凹部の深さに対し50%の高さに充填し、その両面に積層体との被着面にスクリーン印刷により塗布して密着剤層を形成した拘束グリーンシートを重ね合わせ、温度55℃、圧力20MPaで圧着して積層体を得た。
【0091】
得られた積層体をアルミナセッターに載置し、その上に重しを載せて約0.5MPaの荷重をかけつつ大気中500℃で2時間加熱して有機成分を除去した後、850℃で1時間焼成した。次いで、ガラスセラミック基板の表面に付着した拘束シートおよび拘束用無機物を除去した。得られたガラスセラミック基板の表面は、表面粗さ(算術平均粗さ)Raが1μm以下の平滑な面となり、導体の半田濡れ性も問題なかった。
【0092】
また、得られたガラスセラミック基板の積層面内での収縮率を表2に併せて示す。なお、ガラスセラミック基板に反りや変形は認められなかった。
【0093】
【表2】
Figure 0003811381
【0094】
表2から、実施例6〜実施例9の各密着剤を使用して得られたガラスセラミック基板は焼成時の収縮が抑制され、高い寸法精度を有していることがわかる。また、凹部の変形も認められなかった。
【0095】
【発明の効果】
本発明によれば、ガラスセラミック・グリーンシート積層体の凹部に、この積層体と結合しかつ焼成時に実質的に焼成しない、難焼結性無機材料を含む拘束用無機組成物を底面から凹部の深さに対し10〜60%の高さに充填するとともに、このガラスセラミック・グリーンシート積層体の両面に、焼成時に結合剤として働くガラスを含む密着剤層を介してこの積層体と結合し、かつ焼成時に実質的に収縮しない拘束グリーンシートを積層して焼成するので、ガラスセラミック・グリーンシート積層体の凹部の変形および積層面内の収縮を確実に抑えることができ、また密着剤層は拘束シートとともに除去されることから、反りや変形のない、またキャビティ等の凹部についても変形を生じない寸法精度の高いガラスセラミック基板が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラスセラミック基板の製造方法における積層体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・ガラスセラミック基板
1’・・・・・ガラスセラミック・グリーンシート積層体
2・・・・・拘束用無機物
2’・・・・・拘束用無機組成物
3・・・・・拘束シート
3’・・・・・拘束グリーンシート
A・・・・・凹部

Claims (5)

  1. 有機バインダーを含有し表面に導体パターンが形成されたガラスセラミック・グリーンシートおよび貫通穴を設けたガラスセラミック・グリーンシートの複数枚を積層して凹部を有するガラスセラミック・グリーンシート積層体を作製する工程と、
    前記ガラスセラミック・グリーンシート積層体の前記凹部に難焼結性無機材料を含む拘束用無機組成物を底面から前記凹部の深さに対し10〜60%の高さに充填するとともに、ガラスと溶剤とを含む密着剤層を介在させて、このガラスセラミック・グリーンシート積層体の両面に難焼結性無機材料と有機バインダーとを含む拘束グリーンシートを積層する工程と、
    前記拘束グリーンシートとガラスセラミック・グリーンシート積層体との積層体から有機成分を除去し、次いで焼成して拘束シートを保持するとともに凹部に拘束用無機物が充填されたガラスセラミック基板を作製する工程と、
    前記ガラスセラミック基板から拘束シートおよび前記拘束用無機物を除去する工程とを含み、
    前記密着剤層のガラス含有量が、焼成時に前記拘束グリーンシートを前記ガラスセラミック・グリーンシートと結合させかつ焼成後に拘束シートとともにガラスセラミック基板から除去される量であることを特徴とするガラスセラミック基板の製造方法。
  2. 前記密着剤層中に含有されるガラスの軟化点が、前記ガラスセラミック・グリーンシート積層体の焼成温度以下である請求項1記載のガラスセラミック基板の製造方法。
  3. 前記密着剤層中に含有されるガラスの軟化点が、前記有機成分の揮発温度よりも高い請求項1または請求項2記載のガラスセラミック基板の製造方法。
  4. 前記密着剤層中のガラス含有量が、前記密着剤層成分のうち5〜50重量%である請求項1記載のガラスセラミック基板の製造方法。
  5. 前記拘束グリーンシートの厚さが片面で前記ガラスセラミック・グリーンシート積層体の厚さに対して10%以上である請求項1記載のガラスセラミック基板の製造方法。
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