JP3809531B2 - メタルマスク及びレーザ加工法によるメタルマスクの製造方法 - Google Patents

メタルマスク及びレーザ加工法によるメタルマスクの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3809531B2
JP3809531B2 JP2003071561A JP2003071561A JP3809531B2 JP 3809531 B2 JP3809531 B2 JP 3809531B2 JP 2003071561 A JP2003071561 A JP 2003071561A JP 2003071561 A JP2003071561 A JP 2003071561A JP 3809531 B2 JP3809531 B2 JP 3809531B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal mask
base material
thin plate
plate base
stainless steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003071561A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004276435A (ja
Inventor
耕一 斉藤
正二 柴崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiyo Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Taiyo Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiyo Chemical Industry Co Ltd filed Critical Taiyo Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2003071561A priority Critical patent/JP3809531B2/ja
Publication of JP2004276435A publication Critical patent/JP2004276435A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3809531B2 publication Critical patent/JP3809531B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)
  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ステンレス鋼からなる薄板母材にレーザビーム照射により開口部を形成して得られる、例えばスクリーン印刷等に用いられるメタルマスクと、ステンレス鋼からなる薄板母材にレーザビーム照射により開口部を形成した後の後処理方法を改善したメタルマスクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板の回路パターンの所定ランド部分に所定の厚み及び所定のパターンではんだペーストを印刷するためや、その他のスクリーン印刷の技術分野において、スクリーン印刷用メタルマスクが用いられており、また、半導体等の製造においては、所定部分に金属を蒸着させるために蒸着マスク等が用いられている。
これらのスクリーン印刷用メタルマスク、蒸着用メタルマスク等のメタルマスクは、ステンレス鋼からなる薄板母材にエッチング加工により、穴開け、溝切りその他の加工を行なうことにより得ることもできるが、その精密加工を行うことは手間がかかり、生産性がよくないので、製品の納期を数分の1に短縮できる、生産性のよいレーザによる精密加工(微細加工)が行われるようになってきた。
金属板に対するレーザ加工は、レーザビームの熱エネルギーにより所定の個所を溶融し、これにより切断、穴開け等の加工を行なうものであるが、例えばステンレス鋼からなる薄板母材にレーザ加工を行うと、熱溶融跡の加工部の表面、裏面及び断面にドロスと呼ばれる溶融酸化物が付着したり、金属の溶融物の飛散物が付着したり、加工部周辺の前記薄板母材の表面に酸化膜が形成される。このような溶融酸化物、飛散物及び酸化膜(以下、ドロス等という)をそのままにして製品にすると、例えばスクリーン印刷用メタルマスクではその上をはんだペースト等の印刷材料をスキージにより擦りつけるので、これが円滑に動作するのを妨げるのみならず、例えばプリント配線板の配線パターン上の所定のランドに所定パターンで印刷された印刷膜の厚み精度や寸法精度も悪くする。これを回避するために、ドロス等を除去する後処理が必要とされる。
従来、ドロス等の除去には、(i) 研磨布や研磨ペーバー等による機械的な研磨(物理的な手法)、(ii) 電解研磨( 電気的な手法) 、(iii) フッ化水素酸や、硝酸を主体とした処理液による溶解である化学研磨( 化学的な手法) が知られている(前者については特開平7−40070号公報を参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−40070号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記(i) の物理的な手法では、レーザビーム照射により形成した開口部の内壁面に隣接する薄板母材の表面や裏面の研磨は比較的容易であるが、例えば開口部内壁面の研磨を研磨布で行おうとしても、その開けられた穴が例えば直径0.1mmというように微小であるため、その研磨布をその開口部に挿入して擦ることは困難である。これを可能にするために、サンドブラスト法を使用すると、開口部の内壁面に形成された、溶融酸化膜、開口部の下端から前記薄板母材の裏面側に張り出したドロス等は除去できるが、同時に開口のエッジをも削ってしまう、いわゆるエッジだれといわれる変形を起こし、これにより開口部寸法も変化させてしまい、そのままにしてスクリーン印刷用メタルマスクとして用いると、印刷ペーストを印刷するときに、印刷パターンのエッジ部が所定領域からはみ出してしまい、寸法精度のよい印刷パターンが得られないという問題がある。また、この方法では、薄板母材の板厚の極めて薄い製品や、薄板母材の板サイズが小さい、すなわち板面の狭い製品では研磨の際の固定方法を適切に選択しないと、板折れ等の問題を生じ、その固定方法の選択に手間がかかるという作業性の問題もある。
前記(ii)の電気的な手法は、レーザビーム照射により開口部を形成した加工品に電極を接続し、対極との間で電解液を介して通電するものであるが、実質的には母材の溶解を通してドロス等を除去するものであるから、前記ドロス等の剥離むらが生じ易く、その剥離しない部分は研磨されないという研磨むらが生じることになる。また、ドロス等を除去する過程ではステンレス鋼からなる薄板母材の溶出も回避することができず、例えば開口部を形成した場合の開口部のエッジの部分が溶出され、上述したようにエッジだれが起こり、メタルマスクとして使用した場合には寸法精度のよい印刷パターンが得られないという問題を生じる。また、処理をしようとする対象品の形状によっては電極を接続するのに適さないものもあり、この処理を行えないものもあるという問題もある。
【0005】
前記(iii) のフッ化水素酸や硝酸を主体とした化学的な手法は、古くから知られており、ドロス等を化学的に溶解除去しようとするものであるが、この方法では、ドロス等の溶解とともに薄板母材の溶出も避けがたく、上述したようなエッジだれが起こり、メタルマスクとして使用した場合には寸法精度のよい印刷パターンが得られないという問題を生じるのみならず、フッ化水素酸や硝酸が接触する部分の板厚の変化も生じる。形成された開口部の周辺の板厚が小さい場合には、印刷材料を印刷したときの印刷膜の膜厚が小さくなり、例えばはんだペーストを印刷した場合に所定の膜厚が得られないことになり、リフローはんだ付けを行なう場合に所定のはんだ強度が得られないという問題を生じ、スクリーン印刷用メタルマスク等としては使用できなくなる。
【0006】
本発明の第1の目的は、印刷パターンの寸法精度及び厚み精度のよいメタルマスクを提供することにある。
本発明の第2の目的は、さらに、印刷ペーストの抜けのよいメタルマスクを提供することにある。
本発明の第3の目的は、薄板母材にレーザビーム照射により形成した開口部の内壁面を含む表面から溶融酸化物等を除去すると同時にその表面に改質層を容易に設けることができるメタルマスクの製造方法を提供することにある。
本発明の第4の目的は、ペースト印刷時の厚み精度及び寸法精度の高いメタルマスクの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するために、(1)、ステンレス鋼からなる薄板母材にレーザビーム照射により前記薄板母材の一方の主面から他方の主面に貫通する開口部が形成されたメタルマスクにおいて、前記薄板母材としてオーステナイト系ステンレス鋼を用い、該薄板母材は前記レーザビーム照射により形成された開口部の内壁面を含む前記薄板母材の表面に該オーステナイト系ステンレス鋼とフッ素との化合物からなる改質層が設けられたことを特徴とするメタルマスクを提供するものである。
また、本発明は、(2)、改質層が設けられたメタルマスクの表面は、該メタルマスクの表面に純水を滴下した際に前記メタルマスクの表面と前記純水の液滴との接触角が50〜75度である撥水性を備えることを特徴とする前記(1)のメタルマスクを提供するものである。
また、本発明は、(3)、オーステナイト系ステンレス鋼からなる薄板母材にレーザビーム照射により前記薄板母材の一方の主面から他方の主面に貫通する開口部を形成する工程と、前記レーザビーム照射により形成された開口部の内壁面を含む前記薄板母材の表面を、酸性フッ化アンモニウム及び硝酸を主成分とする処理液で洗浄する工程と、を有することを特徴とするレーザ加工法によるメタルマスクの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、(4)、前記処理液で洗浄することによる開口部の寸法変化量をa、前記処理液で洗浄することによる前記薄板母材の厚み変化量をbとしたとき、a≧3bとすることを特徴とする前記(3)のレーザ加工法によるメタルマスクの製造方法を提供するものである。
【0008】
本発明において、「レーザビーム照射による開口部を形成する」とは、レーザビームの照射により、切断、穴開け、溝ほりその他のエッチング加工といわれる加工の代替をする加工で、微細な開口部の形成を含む加工を母材の金属の熱溶融により行わせた金属板・金属箔その他の金属からなる物をいい、金属にはステンレス鋼が挙げられる。
「メタルマスク」とは、このような加工により例えば丸穴や角穴等を所定の位置に配置した、いわゆるパターン形成した製品のスクリーン印刷用メタルマスクや、蒸着用メタルマスクその他の同様又は類似の加工を施された製品のことをいい、金属板単体の加工品みならず、金属板や金属箔を他の基材に貼り合わせ、その加工をしたもの、あるいは加工部に他の基材に貼り合わせたものも含まれる。
【0009】
前記したステンレス鋼からなる薄板母材の所定の位置に、レーザビームを照射して、前記薄板母材の熱溶融により開口部を設けた加工物及びその周辺には、ドロス等が付着され、上述したようにその除去が必要になる。
その除去のために、本発明においては、メタルマスクの薄板母材としてオーステナイト系ステンレス鋼を選択するとともに、該薄板母材にレーザビーム照射により開口部を形成し、アンモニウム及びアミンの少なくとも1種の酸性フッ化水素酸塩を含有する処理液により処理(洗浄)する。酸性フッ化水素酸塩とは一水素二フッ化水素酸塩のことであり、アンモニウムの酸性フッ化水素酸塩は酸性フッ化アンモニウム(一水素二フッ化アンモニウム)ともいわれるが、アミンの酸性フッ化水素酸塩(4級アンモニウム基を有するアミン塩)とは、アンモニウムの代わりにアミンを用いたものをいい、アミンには有機アミンが挙げられるが、その置換基を水素原子にした極端な場合がアンモニウムであるということもできる。有機アミンとしてはアンモニウムと同等又は類似の機能を有するものが好ましい。アンモニウムやアミンの酸性フッ化水素酸塩は当初より酸性フッ化アンモニウムあるいは酸性フッ化アミン塩であってもよいが、フッ化水素酸とアンモニウムあるいはアミンを所定当量加えて、溶液中で酸性フッ化アンモニウムあるいは酸性フッ化アミン塩と同等又は類似の機能を有するようにしたものでもよく、本発明はこの場合も含む。
【0010】
本発明に係わる処理液は、アンモニウム及びアミンの少なくとも1種の酸性フッ化水素酸塩の化合物を主成分として有する処理液でもよいが、その化合物の金属に対する溶解性を調整する調整剤を含有することが好ましく、この調整剤には硝酸や、硫黄を含む無機系の薬品が挙げられる。このような調整剤を併用すると、薄板母材である金属の溶出を抑制し、ドロス等の除去のみを可能とすることができる。この意味で、この調整剤は抑制剤とすることもできる。
また、上記処理液には、処理対象物表面に対する濡れを促進するために、界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤にはポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール、その誘導体等のノニオン性のものが挙げられるが、アニオン性、カチオン性、両性のものでもよい。
【0011】
上記処理液により処理されてドロス等は除去され、薄板母材の表面にはオーステナイト系ステンレス鋼とフッ素との化合物からなる改質層が形成されるが、酸化膜等の熱溶融変質層の除去による開口部の寸法変化量aと、薄板母材の金属の溶出によるその厚みの寸法変化量bを比べると、a≧3bとすることが好ましい。この条件では、薄板母材の厚みの減少を抑制しつつ、レーザ加工部の熱変質量及び開口部近傍の溶融飛散物の除去と、撥水性の付与を行うことができる。前記オーステナイト系ステンレス鋼とフッ素との化合物からなる改質層が形成されると、その後さらに前記処理液による洗浄を続けても、薄板母材の厚みの変化が抑制されるようになり、ペースト印刷時の厚み精度及び寸法精度の高いメタルマスクを得ることができる。
このようにして、レーザ加工した後の熱溶融跡に付着したドロス等は除去されるが、前記処理液の処理により、薄板母材の金属表面に対して、撥水性を付与することができその値を一定の水準を超えるようにすることができるとともに、また、その表面粗さを大きくすることができる。このように、表面粗さを大きくすると、梨地状にすることができ、意匠性を付与できるとともに、例えばスクリーン印刷用メタルマスクの場合には基板等の被印刷物からの版離れを良くできる。また、所定の撥水性を付与すると、印刷ペーストに対してはその付着を防止し、印刷ペーストの抜けのよいメタルマスクを提供することができる。このとき、そのメタルマスクが薄い場合でも印刷ペーストの刷り込みが均一に行われ、寸法精度及び厚み精度のよい印刷パターンが得られ、印刷性が向上するとともに、その洗浄も容易であるので作業性も向上する。
【0012】
前記処理液による作用については、その処理液中のフッ素イオンがドロス等の例えば酸化膜のクラックを通して薄板母材のオーステナイト系ステンレス鋼と反応し、該オーステナイト系ステンレス鋼とフッ素との化合物からなる改質層を生成し、この過程で酸化膜が剥離する。また、薄板母材の表面に生成した前記改質層は、それ以降の化学反応を抑える効果を有しており、薄板母材であるオーステナイト系ステンレス鋼の溶解が進まないようにするものと考えられる。上述した薄板母材の金属の寸法変化を抑えることができること、前記改質層が設けられた薄板母材の表面が所定の撥水性を示すことは、それぞれ、前記改質層の形成にその原因を求めることもできる。
また、メカニズムは不明だが、前記処理液による作用は、本発明のように薄板母材としてオーステナイト系ステンレス鋼を用いた場合のみに得られる特有のものであって、他のステンレス鋼、例えばマルテンサイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼等を用いて前記処理液で処理した場合には、同様な改質層の付与や薄板母材の厚み変化や開口部の寸法変化を抑えることができなかった。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態は、その詳細は以下の実施例で述べるが、少なくともこれらの実施例を含む。
【0014】
【実施例】
実施例1
オーステナイト系ステンレス鋼からなる薄板母材の一例として、板厚100μmのSUS304系ステンレス鋼からなる薄板母材を用い、これにYAGレーザビームを照射し、前記薄板母材の一方の主面から他方の主面に貫通する直径100μmの丸穴状の開口部を設けたメタルマスクについて、以下の処理液及び処理条件で後処理としての洗浄を行ない、その後、純水よる洗浄、乾燥等を行ってレーザ精密加工品としてのメタルマスクの試験片を得た。
処理方法:浸漬
処理液: 67.5%硝酸水溶液 300m
水 700m
酸性フッ化アンモニウム85%水溶液 100
ポリエチレングリコール400 10m
(界面活性剤)
処理温度:30℃
処理時間:0〜30分
【0015】
比較例1
実施例1において、酸性フッ化アンモニウム85%水溶液の代わりに、フッ化水素酸85%水溶液を用いたこと以外は同様にして処理を行ない、比較例としてのメタルマスクの試験片を得た。
【0016】
上記実施例1、比較例1のそれぞれのメタルマスクの試験片において、処理時間を0〜30分まで5分間隔で変えたこと以外は同様にして処理し、処理前(処理時間ゼロ)の薄板母材の厚みT0に対する各処理時間(min)における前記薄板母材の厚みTtの変化量ΔT=T0−Tt(μm)を調べた結果を図1に示す。尚、実線は実施例1、点線は比較例1の結果を示す。
この結果より、上記実施例1において、処理時間15分では、処理前の薄板母材の厚みT0に対して処理後の薄板母材の厚みTtの変化ΔT=T0−Ttが2μmであったのに対し、比較例1において、処理時間15分では薄板母材の厚みの減少が20μmであった。
次に、前記実施例1のメタルマスクの試験片において、処理時間を60分まで5分間隔で変えたこと以外は同様にして処理し、処理前(処理時間ゼロ)の開口部の寸法D0に対する各処理時間(min)における前記メタルマスクの開口部の寸法Dtの変化量ΔD=Dt−D0(μm)を調べた結果を図2に示す。
この結果より、処理時間15分以降は、単位時間当たりの開口部の寸法の変化量が小さくなっていることがわかる。
また、前記開口部寸法変化量を測定した各メタルマスクの試験片について、それぞれ各処理時間における両主面の表面粗さの測定結果を図3に示す。
この結果より、表面粗さは処理時間にほぼ比例して増大することがわかった。
【0017】
実施例2
オーステナイト系ステンレス鋼として厚さ120μmのSUS304材からなる薄板母材を用い、これにYAGレーザビーム照射により一方の主面から他方の主面に貫通する直径250μmの丸穴状の開口部を形成したメタルマスクの試験片を作成した。
このメタルマスクの試験片についてその表裏に物理研磨としてバフ研磨を施したメタルマスクを比較例の試験片とし、これとは別に前記のメタルマスクの試験片について前記実施例1と同様に処理液を用いて処理時間15分及び処理時間30分の条件で処理したメタルマスクを実施例の試験片とし、各試験片の表面と純水の液滴との接触角と、各試験片の表面粗さの測定値の平均値(Rz ave)を測定した結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
Figure 0003809531
【0019】
なお、接触角は、水平に保持した各試験片の主面上に純水(蒸留水)を滴下して接触角測定用の水滴を形成した状態を前記主面の延長線上から観察し、主面と液滴輪郭との接点を中心とし、その中心点から液滴の輪郭に外接する直線と主面との挟角を測定したものである。
また、表面粗さの測定値の平均値(Rz ave)は、非接触方式のレーザ表面粗さ計による測定値(粗さ曲線)から次式〔数1〕(JIS BO601−2000)により平均して求めた値である。
【0020】
【数1】
Figure 0003809531
【0021】
JIS BO601−2000においては、Rzは「十点平均粗さ」といわれ、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均値から縦倍率の方向に測定した最も高い山頂から5番目までの山頂の標高(Yp)の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高(Yv)の絶対値の平均をいう、とされている。
本実施例の場合も、これに準じて前記〔数1〕により求めたが、前記JIS規定では、基準長さ(L)としては、測定値の水準によって5段階に分かれており、Rzが0.10〜0.50(μm)の場合には、L=0.25(mm)となっているので、これを採用した。
【0022】
さらに、南工学社製MK−860SV型印刷機に上記各メタルマスクの試験片(厚さ120μm、直径250μmの対応状の開口部を形成したもの)をセットし、ニホンハンダ社製の半田ペースト(品番:RX363−92M−DO)を用い、スキージ角度60度、印圧1.0Kg/cm2 、スキージ速度10mm/sec、版離れ速度0.5mm/secの条件にて、各20枚のプリント基板に連続印刷を行ない、偶数枚目に印刷したプリント基板上のパターンの半田ペースト印刷膜のパターンの直径(印刷径)をそれぞれ測定した結果を図4に示す。 図4より、実施例のメタルマスクの試験片(15分処理)、同(30分処理)では、印刷回数20回までほぼ安定した印刷径で半田ペースト印刷が行なわれ、半田ペーストの抜けが良好であるのに対し、比較例のメタルマスクの試験片では、所定の印刷径を満たさず、また、印刷回数が20回に近づくにつれて半田ペーストの印刷径が減少し、目詰まりの傾向が見られ、半田ペーストの抜けが不良であった。
また、本発明のメタルマスクは、前記の如くその表面に改質層を有し、所定の撥水性をそなえるとともに、その表面は適当な表面粗さを有するため、梨地状を呈し、意匠性にも優れるとともに、例えば被印刷基板からの版離れが良好である。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、オーステナイト系ステンレス鋼からなる薄板母材の開口部の内壁面を含む表面にオーステナイト系ステンレス鋼とフッ素との化合物からなる改質層を設けたので、ペースト印刷時の厚み精度及び寸法精度の高いメタルマスクを提供することができる。また、母材表面に所定の撥水性を付与することができ、例えば印刷ペーストの抜けが向上したメタルマスクを提供することができる。
また、開口部の壁面を含む鋼板の表面にフッ素との化合物からなる改質層を設けるだけであるので、その形成も容易であり、また、オーステナイト系ステンレス鋼からなる薄板母材の厚み精度を保持しつつ、レーザ加工部の溶融酸化物及び加工部近傍の溶融飛散物の除去と、適度な撥水性を付与することができるメタルマスクの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例と比較例の方法により得られるメタルマスクの試験片の薄板母材の処理前の厚みに対する各処理時間における厚み変化量の変化を示すグラフである。
【図2】本発明の実施例の方法により得られるメタルマスクの試験片の、処理前の開口部寸法に対する、各処理時間における開口部寸法変化量の変化を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例の方法により得られるメタルマスクの試験片の各処理時間における表面粗さの変化を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施例のメタルマスクの試験片及び比較例として物理研磨のみのメタルマスクの試験片をそれぞれ用い半田ペーストを連続印刷した際の各印刷回数における印刷パターン径を測定した結果を示すグラフである。

Claims (4)

  1. ステンレス鋼からなる薄板母材にレーザビーム照射により前記薄板母材の一方の主面から他方の主面に貫通する開口部が形成されたメタルマスクにおいて、前記薄板母材としてオーステナイト系ステンレス鋼を用い、該薄板母材は前記レーザビーム照射により形成された開口部の内壁面を含む前記薄板母材の表面に該オーステナイト系ステンレス鋼とフッ素との化合物からなる改質層が設けられたことを特徴とするメタルマスク。
  2. 改質層が設けられたメタルマスクの表面は、該メタルマスクの表面に純水を滴下した際に前記メタルマスクの表面と前記純水の液滴との接触角が50〜75度である撥水性を備えることを特徴とする請求項1に記載のメタルマスク。
  3. オーステナイト系ステンレス鋼からなる薄板母材にレーザビーム照射により前記薄板母材の一方の主面から他方の主面に貫通する開口部を形成する工程と、前記レーザビーム照射により形成された開口部の内壁面を含む前記薄板母材の表面を、酸性フッ化アンモニウム及び硝酸を主成分とする処理液で洗浄する工程と、を有することを特徴とするレーザ加工法によるメタルマスクの製造方法。
  4. 前記処理液で洗浄することによる開口部の寸法変化量をa、前記処理液で洗浄することによる前記薄板母材の厚み変化量をbとしたとき、a≧3bとすることを特徴とする請求項3に記載のレーザ加工法によるメタルマスクの製造方法。
JP2003071561A 2003-03-17 2003-03-17 メタルマスク及びレーザ加工法によるメタルマスクの製造方法 Expired - Lifetime JP3809531B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003071561A JP3809531B2 (ja) 2003-03-17 2003-03-17 メタルマスク及びレーザ加工法によるメタルマスクの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003071561A JP3809531B2 (ja) 2003-03-17 2003-03-17 メタルマスク及びレーザ加工法によるメタルマスクの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004276435A JP2004276435A (ja) 2004-10-07
JP3809531B2 true JP3809531B2 (ja) 2006-08-16

Family

ID=33287974

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003071561A Expired - Lifetime JP3809531B2 (ja) 2003-03-17 2003-03-17 メタルマスク及びレーザ加工法によるメタルマスクの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3809531B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7115171B2 (en) * 2004-12-27 2006-10-03 General Electric Company Method for removing engine deposits from turbine components and composition for use in same
US20140060428A1 (en) * 2011-03-01 2014-03-06 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Metal plate for laser processing and method for producing stainless steel plate for laser processing
KR101968033B1 (ko) 2015-07-17 2019-04-10 도판 인사츠 가부시키가이샤 메탈 마스크용 기재의 제조 방법, 증착용 메탈 마스크의 제조 방법, 메탈 마스크용 기재, 및, 증착용 메탈 마스크
KR102341452B1 (ko) 2015-07-17 2021-12-21 도판 인사츠 가부시키가이샤 증착용 메탈 마스크 기재, 증착용 메탈 마스크, 증착용 메탈 마스크 기재의 제조 방법, 및, 증착용 메탈 마스크의 제조 방법
KR20220009499A (ko) 2015-07-17 2022-01-24 도판 인사츠 가부시키가이샤 메탈 마스크 기재, 메탈 마스크, 및 메탈 마스크의 제조 방법
CN109440062B (zh) 2015-07-17 2021-02-05 凸版印刷株式会社 金属掩模基材、金属掩模基材的管理方法、金属掩模以及金属掩模的制造方法
JP2019107858A (ja) * 2017-12-20 2019-07-04 株式会社ボンマーク 版枠付きスクリーン印刷用メタルマスク及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004276435A (ja) 2004-10-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5720860B1 (ja) セラミックス回路基板の製造方法
JP4538490B2 (ja) アルミニウム又はアルミニウム合金上の金属置換処理液及びこれを用いた表面処理方法
JP6335308B2 (ja) アルミニウム複合材料のフラックスフリー接合
JP2734839B2 (ja) アルミニウム用エッチング液およびエッチング方法並びにアルミニウムエッチング製品
JP3809531B2 (ja) メタルマスク及びレーザ加工法によるメタルマスクの製造方法
CN107747113A (zh) 一种有色金属工件的表面处理方法
JPS6092067A (ja) はんだ被覆方法および装置
Maharana et al. Surface micro-texturing of dual phase steel and copper by combining laser machining and electrochemical dissolution
TWI444505B (zh) 供銅及銅合金微蝕刻之組合物及方法
JP2013147679A (ja) フッ化物溶射皮膜被覆部材およびその製造方法
EP3034654A1 (en) Composition and method for micro etching of copper and copper alloys
JP5486936B2 (ja) レーザ加工によるメタルマスクの化学研磨方法
CN110682010A (zh) 一种激光切割或打孔产生的金属挂渣去除方法
JP3431931B2 (ja) 銅及び銅合金の表面処理方法
US6290834B1 (en) Ceramic coated liquid transfer rolls and methods of making them
JP4994719B2 (ja) 陽極酸化被膜剥離液及び陽極酸化被膜の剥離方法
JPH06171261A (ja) 平版印刷版用支持体及びその製造方法
JP6400146B2 (ja) 構造体及び構造体の製造方法
CN109196142B (zh) 通过焊接接合的含铁部件的清洁预处理方法
JP2018176160A (ja) 基材層表層への機能層の形成方法及び形成装置
JPS63197692A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
CN110016663A (zh) 铜导体表面敷银工艺
JP6130147B2 (ja) 構造体及び構造体の製造方法
JPS5824505B2 (ja) ニッケル基超合金表面の加工方法及び食刻剤
JP2762203B2 (ja) 超硬合金表面のチタンコーティング被膜の化学的除去剤及び除去方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040915

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060303

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20060303

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060418

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060428

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3809531

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100602

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100602

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110602

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120602

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120602

Year of fee payment: 6

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120602

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120602

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130602

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term