JP3808251B2 - ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ - Google Patents

ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼板等に使用されるガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤに関し、特に、2m/分以上の溶接速度で使用することができ、薄板の高速溶接に好適なガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、通常板厚が0.5乃至6.0mmの薄板を使用する自動車業界等では、能率向上のために溶接ロボット化が進んでおり、その溶接速度は50乃至150cm/分であり、人手による半自動溶接に比べて大きい溶接速度が得られている。近時、更により一層の能率向上のため、溶接速度の向上が強く求められている。
【0003】
しかし、溶接速度が2m/分以上では、入熱が非常に小さく冷却速度が早いため、短絡の不規則等の発生により、ビードが一定の幅とはならず数珠玉状となる、いわゆるハンピングビードが起こりやすくなるという問題点がある。
【0004】
また、ビード形状も幅方向に広がらないうちに、凝固してしまうため、幅が狭く凸ビードになりやすく、外観が悪化するという問題点がある。
【0005】
更に、凸ビードになるため、止端形状に大きく影響を受ける継手疲労強度が低下するという問題点がある。
【0006】
更にまた、ビードの幅が狭いため、鋼板の開先のギャップが広い場合には、溶接不可能になりやすいという問題点がある。また、止端付近の開先を抉り取ってしまうアンダカットが発生しやすい等の問題点がある。
【0007】
そこで、従来、これらの問題点の一部を解決するために種々の技術が提案されている(特開昭61−7089号公報、特開昭61−165294号公報、特開昭49−103860号公報、特開平5−305476号公報等)。
【0008】
特開昭61−7089号公報には、Bi、Se及びTeを添加して短絡回数を増加させることにより、溶滴移行を安定にし、Ar-80%+CO2-20%のシールドガスハンピングを防止することができる高速ガスシールドアーク溶接用ワイヤが開示されている。
【0009】
また、特開昭61−165294号公報には、Si及びMnの量を特定し、更にAl及びTiを添加することにより、高速溶接時の溶滴移行を安定化させると共に、ハンピング、ブローホール及び割れの発生を防ぐことができる高速ガスシールドアーク溶接用ワイヤが開示されている。
【0010】
更に、特開昭49−103860号公報には、Si、Mn及びTiの添加量を規制することにより、高速溶接時の割れ及びブローホールを防止することができる超高速CO2仮付溶接用芯線が開示されている。
【0011】
更にまた、特開平5−305476号公報には、C、Si、Mn及びSを所定範囲内に限定し、かつMn/Si比を所定範囲内に限定することにより、板厚が6mm以下の薄板を1m/分以上の溶接速度で溶接することができるガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤが開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のいずれの技術(特開昭61−7089号公報、特開昭61−165294号公報、特開昭49−103860号公報、特開平5−305476号公報等)においても、溶接速度が2m/分以上の高速溶接では未だ安定した耐ハンピング性を有しているとはいえない。また、ビード形状についても、耐ギャップ性又は薄板の設計で重要な継手疲労特性を十分に満足することができる溶接品質を得る検討がなされておらず、適用箇所が著しく限定されるという問題点がある。
【0013】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、溶接速度が2m/分を超える場合であっても、母材とのなじみがよく平坦で幅広の継手溶接強度が良好となるビード形状が得られ、鋼板にギャップがある場合でも、良好な溶接が可能なガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤは、溶接速度が2m/分以上のガスシールドアーク溶接用のソリッドワイヤにおいて、C:0.04乃至0.12質量%、Si:0.35乃至0.80質量%、Mn:0.40乃至0.85質量%、P:0.020質量%以下、S:0.005乃至0.020質量%、Cr:0.01乃至0.20質量%、Ti:0.02乃至0.10質量%及びO:0.005乃至0.015質量%を含有し、更にK及びNaからなる群から選択された少なくとも1種を合計で0.1乃至12質量ppm含有すると共に、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする。
イヤ。
【0016】
本発明においては、主ワイヤ成分及びメッキ又はワイヤ表面付近に存在する微量元素を規定することにより、短絡安定性向上させ、溶接金属の粘性を最適化し、優れたハンピング性を得ることができると共に、母材とのなじみがよく平坦で幅広のビードを得ることができる。このため、疲労強度及び耐ギャップ性が優れ、品質が優れた溶接継手を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例に係るガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤについて詳細に説明する。
【0018】
本願発明者等は詳細な試験の結果、耐ハンピング性を向上させるには短絡移行の安定性を向上させるだけでなく、溶接金属の粘性又は表面張力を低下させることが有効であることを見出した。また、溶接金属の粘性を下げることにより、冷却速度が大きい場合でもビードの幅を広げることができる。更に、溶接金属と母材とのなじみが向上し、止端角度及び止端部の曲率半径が大きくなり、継手の疲労強度を向上させる知見を得た。
【0019】
図1は縦軸にハンピング限界溶接速度及びビート形状係数、横軸にArガスとCO2ガスとの比をとり、CO2ガスの量とハンピング限界溶接速度及びビート形状係数との関係を示すグラフ図である。図2はビード形状係数の算出方法を示す模式図である。なお、図1中、○はハンピング限界溶接速度を示し、△はビード形状係数を示す。
【0020】
溶接金属の粘性に最も大きく影響を与える元素はO及びSである。特に、溶接金属中のOの含有量を高くすることにより、溶接金属の粘性は大きく低下する。溶接金属中のOの含有量を高くする方法としては2つあり、1つは、シールドガスをCO2ガスとすることである。図1に示すように、Ar−CO2混合ガスよりもCO2ガスを使用したほうが、耐ハンピング性及びビード形状が向上することがわかる。なお、ハンピング限界溶接速度については、板厚が4.0mmの鋼板を使用し、水平重ねすみ肉の継手形状で溶接を行い、ハンピングを生じない最高溶接速度をハンピング限界溶接速度と定義した。
【0021】
また、ビード形状係数については、図2に示すように、板厚が3.2mmの鋼板からなる母材1を継手形状として水平重ねすみ肉とし、溶接電流を420A、溶接電圧を各ガス組成における適性値、溶接速度を250cm/分の条件で溶接を行った。ビート形状係数をa、溶接金属2の理論のど厚の長さをL、理論のど厚の基準線からビード凸部までの距離をYとするとき、ビード形状係数aは下記数式1にて表わされる。
【0022】
【数1】
a=Y/L
【0023】
この数式1に示すように、ビード形状係数aの値が大きいほうがビード形状は凸になる。
【0024】
図3は縦軸に溶接金属の酸素量、横軸にSi又はMnの含有量をとり、Si又はMnの含有量が溶接金属の酸素量に与える影響を示すグラフ図である。なお、図3中は●はMnを示し、▲はSiを示す。
【0025】
残りはワイヤ成分のうち、脱酸成分を低減することにより達成することができる。但し、図3に示すように、主要脱酸成分のうち、SiよりもMnのほうが大きく溶接金属の酸素量増大に寄与することがわかった。このため、本発明は、JIS Z3312に規定されるワイヤよりもMn含有量を大きく低減させている。また、Al又はCaの強力な脱酸効果を有する元素は微量の添加で溶接金属の粘性を増加させてしまうため、脱酸不足によるブローホールの発生の感受性を下げる効果がある。一方、Al又はCaの元素はビード形状を凸にし、ビード幅も狭くし、耐ギャップ性又は止端形状に影響を受ける継手疲労強度が低下する知見を得た。従って、これらは本発明においては故意に添加しない。本発明では、更に、Crを適量添加することにより、ワイヤの融点を低下させ、止端部におけるビードと母材とのなじみを向上させている。
【0026】
また、従来のAr−CO2混合ガス溶接において、溶滴移行の安定性向上に有効であることがわかっているK及びNaがCO2ガス溶接の場合でも、直径が1.2mmの細径ワイヤで溶接電流が400Aを超える高電流密度の場合には、その溶滴移行を安定化させる効果があることを明らかにした。このことにより、不規則な溶滴移行を減少させ、耐ハンピング性の向上に有効であることがわかった。本発明は以上の知見に基づいてなされたものである。
【0027】
以下、本発明のガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤの数値限定理由について説明する。
【0028】
C:0.04乃至0.12重量%
Cは溶接金属の強度を確保するため必要な元素である。また、Cの含有量の増加以下、本発明のガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤの数値限定理由につと共に、短絡回数を増加させ、高速溶接時の短いアーク長でも安定した溶滴移行を得ることができる。これらは、軟鋼だけでなくSPFH540等の高張力鋼板にも適用できる溶接金属の強度を得るため、Cの含有量は最低0.04重量%は必要である。また、Cの含有量が0.04重量%未満では、溶滴移行が不規則でハンピングが発生しやすい。一方、Cは高温では強力な脱酸効果を有するので、Cの含有量が0.12重量%を超えると、溶接金属の酸素量が減少し、粘性が増加する。この結果、ビード形状の凸化又はビード幅の減少が生じる。更に、Cの含有量が0.12重量%を超えると、焼入れ性が過剰になり、割れが発生しやすくなる。従って、Cの含有量は0.04乃至0.12重量%とする。なお、より望ましい範囲としては、溶滴移行の点から下限は0.09重量%である。
【0029】
Si:0.35乃至0.80重量%
Siは主要な脱酸成分の1つである。Siの含有量が0.35重量%未満では、脱酸不足になり、ブローホールが発生しやすくなる。また、ビード形状も悪化する。一方、Siの含有量が0.80重量%を超えると、脱酸が過剰となり、溶接金属中の酸素量が低下し、高速溶接時のビードの凸化又はビード幅の減少が生じ、良好な耐ギャップ性及び継手疲労強度を得ることができない。従って、Siの含有量は0.35乃至0.80重量%とする。
【0030】
Mn:0.40乃至0.85重量%
MnはSiと同様に主要脱酸成分である。Mnの含有量が0.40重量%未満では脱酸不足になり、ブローホールが発生すると共に、必要な強度を得ることができない。一方、Mnの含有量が0.85重量%を超えると、脱酸が過剰となり溶接金属中の酸素量が低下し、高速溶接時のビードの凸化又はビード幅の減少が生じ、良好な耐ギャップ性及び継手疲労強度を得ることができない。従って、Mnの含有量は0.40乃至0.85重量%とする。なお、より好ましい範囲としては、ビード形状の点からMnの含有量は0.55乃至0.80重量%である。
【0031】
P:0.020重量%
Pは高温割れ感受性を増加させる。高速溶接では、特に、高い耐高温割れ性を必要とするため、JIS Z3312に規定される通常のワイヤよりもPを低く抑えることが望ましい。Pの含有量が0.020重量%以下であれば、問題ない。従って、Pの含有量は0.020重量%以下に規制する。
【0032】
S:0.005乃至0.020重量%
SもPと同様に高温割れ感受性を増加させる元素である。但し、Pとは異なり、添加により溶接金属の粘性又は表面張力を大きく減少させる効果があり、適性量添加することによりビード幅を増加させ、止端部におけるビードと母材とのなじみを向上させ、止端形状を改善させる。これらの効果はSの含有量が0.005重量%以上の添加で有効となる。一方、Sの含有量が0.020重量%を超えると、高温割れが生じる。従って、Sの含有量は0.005乃至0.020重量%とする。
【0033】
Cr:0.01乃至0.20重量%
Crは脱酸効果が小さく、少量の添加では溶接金属の粘性に殆ど影響を与えない。また、Crの添加により溶接金属の融点が低下し、高速溶接時の急激な溶接部の温度低下においても、液相状態が長く保持され、ビード形状の平坦化、幅広化及び止端部のなじみの向上の効果を得ることができる。これらの効果はCrの含有量が0.01重量%以上の添加で有効になる。一方、Crの含有量が0.20重量%を超えると、溶接金属の強度上昇が著しく、割れを発生させる可能性が高くなる。従って、Crの含有量は0.01乃至0.20重量%とする。
【0034】
O:0.005重量%以上
上述のように溶接金属中の酸素量を増加させることにより、高速溶接時のビード形状の凸化及びビード幅の減少を改善することができる。ワイヤに含まれる酸素量を多くすれば、溶接金属中に含まれる酸素量も多くなる。ワイヤ中のOの含有量が0.005重量%未満では、溶接金属の酸素も不十分となり、耐ハンピング性の低下、ビード形状の凸化及びビード幅の減少が生じる。従って、Oの含有量は0.005重量%以上とする。なお、ワイヤの酸素は線材全体での分布又は表面酸化等の手法による表面付近への酸素濃化等、その存在形態は無関係であることが分かっており、このため、特に限定されるものではない。
【0035】
K及びNaからなる群から選択された少なくとも1種:合計で0.1乃至12重量ppm
K及びNaのアルカリ金属は電位傾向の小さいAr-80%+CO2-20%程度の混合ガス溶接において、溶滴移行を安定にする効果があることが今までの研究で明らかにされている。しかし、これらはCO2ガスでは効果がないとされてきた。本願発明者等はCO2ガスでも電流密度が高い状態では、これらの元素がアーク安定に有効である知見を得た。
【0036】
薄板の高速溶接では、ワイヤ先端の狙い位置ずれが溶接不良を生じさせる原因になりやすく、狙い位置を安定にするため、母材−チップ先端距離(突出し長さ)を15mm程度に短くする必要がある。一方、高速溶接では高速送給モータを使用し、ワイヤ送給量を18m/分以上に高くすることが多い。この場合、ワイヤの突出し長さが短いのでジュール発熱の効果が小さく、電流が400A以上と高くなり、高電流密度状態となる。即ち、薄板の高速溶接では他の溶接対象と比べて高電流密度となりやすく、K及びNaの添加によりアークを安定化させることができるため、耐ハンピング性を向上させることが可能である。この耐ハンピング性を向上させる効果を得るためには、K及びNaのうち、一方又は双方で合計0.1重量ppm以上含有させる必要がある。一方、K及びNaのうち、一方又は双方の合計が12重量ppmを超えても溶滴移行安定化の効果は飽和してしまうと共に、K又はNaがワイヤ表面に存在する場合、送給抵抗を高めてワイヤ送給不良による溶滴移行不安定を起こしやすくなる。更に、K又はNaがメッキ又はFe−メッキ間に存在するときには、メッキの密着性又は純度を低下させ、アークを不安定にさせる。従って、K及びNaからなる群から選択された少なくとも1種を合計で0.1乃至12重量ppm含有する。
【0037】
なお、K及びNaはワイヤのメッキ中又はメッキ表面にそれらの化合物を浸透若しくは付着させること等が技術的にも可能であり、付着形態及び付着位置に影響されない。
【0038】
Ti:0.02乃至0.10重量%
Tiはアークを広げ、溶接金属と母材とのなじみ(止端形状)を改善する効果がある。このなじみを改善する効果を得るためには、Tiの含有量は0.02重量%以上の添加が必要である。一方、Tiの含有量が0.10重量%を超えると、溶接金属の粘性を増加させ、耐ハンピング性を低下させる。また、ビード形状を凸にし、ビード幅が狭くなる等のビード形状が悪化する。更に、スラグも多く発生し、ビード外観及び塗装性が悪化する。従って、Tiの含有量は0.02乃至0.10重量%とすることが好ましい。
【0039】
なお、この他に、本発明に係るガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤには、通常のソリッドワイヤと同様に銅メッキを施すことも何ら問題もなくできる。そのメッキ量及びメッキ品質等は、ワイヤ送給性に影響を与えない範囲では、耐ハンピング性及びビード形状には影響を与えず、特に規定されるものではない。
【0040】
【実施例】
以下、本発明の範囲に入るガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤの実施例について、その特性を比較例と比較して具体的に説明する。図4は水平重ねすみ肉溶接継手を示す模式図である。図5は止端部の曲率半径の定義を示し、(a)は曲率半径が大きい場合の模式図であり、(b)は曲率半径が小さい場合の模式図である。図6(a)は水平重ね溶接継手の疲労試験片を示す模式図であり、(b)は図6(a)のA−A線による断面図である。
【0041】
表1乃至表4に示す化学成分のワイヤを使用して図4に示すように、母材1をギャップを調整して2枚重ね合わせ、すみ肉部にワイヤW突出し長さ15mm、トーチ傾斜角45°で表5に示す溶接条件で溶接を行った。溶接部について、ハンピング発生率、耐ギャップ性、止端部の曲率半径、継手の疲労強度、ブローホールの有無、割れの有無及びビード外観の評価を行った。なお、表2及び表4に示すK及びNaの単位は重量ppmであり、メッキ浴層に添加することで、ワイヤのメッキ中に存在している。
【0042】
ハンピング発生率については、ハンピングが発生した長さの溶接長さに対する割合とした。評価はこのハンピング発生率が5%以下を合格とし、ハンピング発生率が5%を超えるものを不合格とした。
【0043】
耐ギャップ性については、ギャップが1mmのときの溶接の可否とした。評価は全く問題なく溶接できたものを◎とし、一部不安定部が発生したものを○とし、溶接不可と思われるものを×とした。
【0044】
止端部の曲率半径については、図4(a)及び(b)に示すように、溶接ビードを10箇所採取し、止端部を拡大観察して曲率半径rを求め、これらの値の平均値とした。評価は曲率半径が0.50mm以上を合格とし、曲率半径が0.50mm未満を不合格とした。なお、曲率半径rが大きいほど、止端部におけるビードと母材とのなじみがよく、良好な疲労強度を得ることができる。
【0045】
継手の疲労強度については、図5(a)及び(b)に示されるような疲労試験片3を水平重ね溶接したものから採取し、試験機として平面曲げ疲労試験機を使用し、応力負荷形態として両振りの正弦波応力を負荷させて、応力(S)−破断寿命(N)の測定を行い、破断寿命(N)における応力(S)とした。評価はこの応力(S)で示されるう疲労強度が200N/mm2以上を合格とし、疲労強度が200N/mm2未満を不合格とした。
【0046】
ブローホールの有無及び割れの有無については、X線透過法により、ブローホールの数及び割れの有無を確認した。ブローホールの有無の評価は、溶接長さ500mm当たりのブローホールの数が5個以下のものを合格とし、溶接長さ500mm当たりのブローホールの数が6個以上のものを不合格とした。割れの有無の評価は、割れがないものを合格とし、割れが1箇所でも存在したものを不合格とした。
【0047】
ビード外観については、ビード形状又はスラグ巻き込み等を観察した。これらの結果を表6乃至表9に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003808251
【0049】
【表2】
Figure 0003808251
【0050】
【表3】
Figure 0003808251
【0051】
【表4】
Figure 0003808251
【0052】
【表5】
Figure 0003808251
【0053】
【表6】
Figure 0003808251
【0054】
【表7】
Figure 0003808251
【0055】
【表8】
Figure 0003808251
【0056】
【表9】
Figure 0003808251
【0057】
上記表6及び表7に示すように、本発明の範囲内にある実施例No.1乃至は、優れたアーク安定性及び低粘性の溶接金属を得ることができるため、高速溶接においてもハンピング発生率が低く、耐ハンピング性が優れていた。また、ビード形状も平坦で幅広であることから、ギャップがある場合でも問題なく溶接することができ、耐ギャップ性が優れていた。更に、止端形状が滑らかで止端部の曲率半径も大きく、ビードと母材とのなじみがよいため、継手の疲労強度も高かった。更にまた、ブローホールの有無及び割れの有無も良好であり、高能率かつ優れた溶接品質を得ることができた。
【0058】
一方、表8及び表9に示すように、比較例No.11乃至29はハンピング発生率、耐ギャップ性、止端部の曲率半径、継手の疲労強度、ブローホールの有無、割れの有無及びビード外観について良好な結果を得ることができなかった。
【0059】
比較例No.11は、Cの含有量が本発明の範囲未満であるため、短絡回数が減少し、アークが不安定になりハンピングビードになりやすく、ハンピング発生率が高くなり耐ハンピング性が劣った。
【0060】
比較例No.12は、Cの含有量が本発明の範囲を超えているため、焼入れ性が大幅に増し、低温割れが発生した。
【0061】
比較例No.13は、Si及びMnの含有量が本発明の範囲未満であるため、脱酸力が不足し、ブローホールが発生した。
【0062】
比較例No.14は、Si及びCrの含有量が本発明の範囲を超えている。このため過剰なCrにより、強度が過剰になり低温割れが発生した。一方、過剰なSiにより、溶接金属の粘性が増加し、ハンピング発生率が高くなると共に、ビード形状も凸になり、耐ハンピング性及び疲労強度が劣った。更に、ビード幅も細くギャップがあると溶接が不可能になり、耐ギャップ性が劣った。
【0063】
比較例No.15は、Mnの含有量が本発明の範囲を超えているため、溶接金属の粘性が増加し、ハンピング発生率が高くなると共に、ビード形状も凸になり、耐ハンピング性及び疲労強度が劣った。更に、ビード幅も細くギャップがあると溶接が不可能になり、耐ギャップ性が劣った。
【0064】
比較例No.16は、P及びSの含有量が本発明の範囲を超えているため、高温割れ感受性が増大すると共に、高速溶接であるため、凝固割れが発生した。
【0065】
比較例No.17は、S及びOの含有量が本発明の範囲未満であるため、溶接金属の粘性が増加し、ハンピングしやすくハンピング発生率が高くなり、耐ハンピング性が劣った。また、ビード形状が凸で幅も狭くなったため、耐ギャップ性も劣った。更に、止端部の曲率半径も小さく疲労強度も低下した。
【0066】
比較例No.18は、Crの含有量が本発明の範囲未満であるため、Cr添加による溶接金属の融点低下効果を得ることができず、溶接部の温度低下に伴い、早くに凝固が始まるため、止端部のなじみが悪く止端部の曲率半径が小さかった。このため、疲労強度が低かった。
【0067】
比較例No.19は、Ti及びNaの含有量が本発明の範囲を超えている。このため、過剰なTiにより溶接金属の粘性が高くなり、ビード形状が凸であると共に、ビードの幅が狭くなり、耐ギャップ性が劣り、疲労強度も低かった。一方、溶接金属の粘性の増加と過剰なNaとにより、メッキ密着性の低下に起因するアーク不安定により、ハンピング発生率が高く耐ハンピング性が劣った。また、Ti酸化物を主成分とするスラグが過剰に発生しビード外観が悪化した。
【0068】
比較例No.20は、KとNaの合計の含有量が本発明の範囲を超えているため、メッキ中のKとNaの合計量が過剰になりメッキ品質が低下しアークが不安定により、ハンピング発生率が高くなり、耐ハンピング性が劣った。
【0069】
比較例No.21は、KとNaの合計の含有量が本発明の範囲未満である。このため、CO2高電流密度におけるアーク安定化の効果が得られないため、ハンピング発生率が高く、十分な耐ハンピング性を得ることできなかった。
【0070】
比較例No.22は、JIS Z3312 YGW12に規定される低電流用の一般的なワイヤである。Mnの含有量が本発明の範囲を超え、Cr、O、K及びNaの含有量が本発明の範囲未満である。Mnが過剰であり、Oが過少であるため、焼入れ性が過剰になり、硬度過剰に起因する低温割れが発生した。また、溶接金属の粘性が高く、K及びNaが過少なことからハンピング発生率が高く耐ハンピング性が劣り、ビード外観は幅が狭く凸状を呈し、耐ギャップ性も劣った。更に、Crが無添加であるため、止端部の曲率半径も小さくなり、継手強度が低かった。
【0071】
比較例No.23は、JIS Z3312 YGW11に規定される高電流用の一般的なワイヤである。Mn及びTiの含有量が本発明の範囲を超え、S、Cr、O、K及びNaの含有量が本発明の範囲未満である。Mnが過剰であり、Oが過少であるため、焼入れ性が過剰になり、硬度過剰に起因する低温割れが発生した。YGW11(比較例No.23)のYGW12(比較例No.22)に対する成分的な特徴はTiの添加であるが、そのTiの添加量が高速溶接用としては過剰である。Ti及びMnの含有量を合せて、溶接金属の粘性を非常に大きくし、加えて、K及びNaが過少なことからビード外観は幅が狭く凸状を呈し、ハンピング発生率が高く耐ハンピング性が劣ると共に、耐ギャップ性が劣った。また、過剰なTiによりビード全体をTi酸化物のスラグが被り、ビード外観も悪化した。更に、過度の溶接金属の粘性及びCrの無添加により、止端部の曲率半径の改善効果がないことから、止端部の曲率半径が小さくなり、継手強度が低かった。
【0072】
比較例No.24はTiの含有量が本発明の範囲を超えているため、過剰なTiにより溶接金属の粘性が高くなり、ビード形状が凸であると共に、ビードの幅が狭くなり、耐ギャップ性が劣り、疲労強度も低かった。
【0073】
比較例No.25はSiの含有量が本発明の範囲を超えているため、溶接金属の粘性が増加し、耐ハンピング性が低下し、ビード形状も凸になり疲労強度も低下した。また、ビード幅も細いため、ギャップがあると溶接不可能であった。
【0074】
比較例No.26はPの含有量が本発明の範囲を超えているため、耐高温割れ性が低下し、凝固割れが発生した。
【0075】
比較例No.27はSの含有量が本発明の範囲を超えているため、比較例No.26と同様に耐高温割れ性が低下し、凝固割れが発生した。
【0076】
比較例No.28はSの含有量が本発明の範囲未満であるため、溶接金属の粘性が増加し、ハンピングしやすくなった。また、比較例No.28はビードが凸で幅も狭くなったため、耐ギャップ性が低下し、止端半径も小さくなり、疲労強度が低下した。
【0077】
比較例No.29はOの含有量が本発明の範囲未満であるため、比較例No.28と同様に溶接金属の粘性が増加し、ハンピングしやすくなった。また、比較例No.29はビードが凸で幅も狭くなったため、耐ギャップ性が低下し、止端半径も小さくなり、疲労強度が低下した。
【0078】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、溶接速度が2m/分を超える場合であっても、耐ハンピング性が優れ、継手溶接強度が良好となる母材とのなじみがよく平坦で幅広のビード形状を得ることができる。また、ビード形状が母材とのなじみがよく幅広であることから、鋼板にギャップがある場合であっても、良好な溶接が可能であり耐ギャップ性が優れ、薄板の鋼板に好適である。
【0079】
更に、溶接品質を維持したまま、大幅な速度向上が図れることから溶接適用箇所が限定されず溶接工程の能率向上に寄与するものであり、よって、産業に多大な貢献をなす。
【図面の簡単な説明】
【図1】縦軸にハンピング限界溶接速度及びビート形状係数、横軸にArガスとCO2ガスとの比をとり、CO2ガスの量とハンピング限界溶接速度及びビート形状係数との関係を示すグラフ図である。
【図2】ビード形状係数の算出方法を示す模式図である。
【図3】縦軸に溶接金属の酸素量、横軸にSi又はMnの含有量をとり、Si又はMnの含有量が溶接金属の酸素量に与える影響を示すグラフ図である。
【図4】水平重ねすみ肉溶接継手を示す模式図である。
【図5】止端部の曲率半径の定義を示し、(a)は曲率半径が大きい場合の模式図であり、(b)は曲率半径が小さい場合の模式図である。
【図6】(a)は水平重ね溶接継手の疲労試験片を示す模式図であり、(b)は図6(a)のA−A線による断面図である。
【符号の説明】
1;母材
2;溶接金属
3;疲労試験片
W;ワイヤ

Claims (1)

  1. 溶接速度が2m/分以上のガスシールドアーク溶接用のソリッドワイヤにおいて、C:0.04乃至0.12質量%、Si:0.35乃至0.80質量%、Mn:0.40乃至0.85質量%、P:0.020質量%以下、S:0.005乃至0.020質量%、Cr:0.01乃至0.20質量%、Ti:0.02乃至0.10質量%及びO:0.005乃至0.015質量%を含有し、更にK及びNaからなる群から選択された少なくとも1種を合計で0.1乃至12質量ppm含有すると共に、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とするガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ。
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