JP3807087B2 - 制電性ポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents

制電性ポリエステル繊維の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は制電性を有するポリエステル繊維の製造方法に関するものである。詳しくは親水性の高いポリマを制電剤とする、更に詳しくはポリアルキレンテレフタレートを主成分とするポリマと特定組成のポリエーテルエステルアミド系制電剤からなる制電性ポリエステル繊維の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルは多くの優れた特性を有するために合成繊維として広く用いられている。しかしながら、ポリエステル繊維は羊毛や絹の如き天然繊維、レーヨンやアセテートの如き繊維素繊維、アクリル系繊維に比較して疎水性であるため静電気が発生しやすく、静電気発生に伴うほこり付着や衣服のまとわりつきが起こるという欠点がある。
【0003】
かかる欠点を改良するために、これまで種々の手段が提案されているおり、最も簡単な手段としては帯電防止剤を繊維表面に塗布することが挙げられる。しかしながらこの場合染色工程や洗濯によって帯電防止剤が消失しやすく、永続的な制電効果は期待でき難いばかりでなく、加工コストが高くなるという欠点がある。
【0004】
これらの問題を解決する方法として、帯電防止剤を制電成分としてポリマに練り込むことによってポリエステル自体を改質する方法があり、特開昭63−282311号公報、特開平7−278946号公報では親水性の高い共重合系ポリマを制電成分としてポリエステル繊維中に含有させる方法が提案されている。
【0005】
この場合、良好な制電性を得るには制電剤の筋が繊維軸方向に十分長くのびていることが必要となるが、制電剤のポリエステルに対する含有量が多すぎると繊維の機械的性質の劣化、着色等の問題が発生する。また、紡糸口金吐出以前で制電剤が細かく分散されすぎていると、制電性は不十分となる。逆に制電剤の分散が十分でないと繊維断面方向の制電剤の分布が不均一となり、単糸繊度のばらつきが大きくなることによる製糸性の問題、高次加工での毛羽発生等の工程通過性および染色むら等染め品位の問題があった。すなわち、ポリエステル繊維の優れた特性を損なうことなく制電剤を含有させ、良好な制電性と均一かつ適度な繊維断面方向の分散性の両立させることは制電性繊維の一つの課題であり、従来の技術では困難なものであった。
【0006】
たとえば特開平7−278946号公報で開示されている方法では本発明の目的である繊維断面方向の分散性の課題に対する記載はなく、本発明がめざした制電性の確保と製糸操業性・高次通過性を両立させることは困難であった。
【0007】
また、繊維断面方向の制電剤の分布を均一化する手段としては特開昭60−39413号公報や特開平3−206120号公報で開示されている。しかしながら、これらに提案されている溶融流混合を前提とした静止型混合器による手法は、独立した溶融紡糸相で合流させ繊維軸方向に独立した制電ポリマ相を形成させるものであり、本発明で提案したエクストルダー混合とは手法的に異なる。さらには静止型混合器の使用では溶融ポリマの異常滞留や滞留時間が長くなる等、本発明がめざした製糸操業性・高次通過性を達成することは困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の有する問題点を克服し、優れた制電耐久性と染め品位を有するとともに、高次加工での工程通過性が良好で、操業安定性、品質安定性に優れた制電性繊維を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は下記の構成からなる。
【0010】
親水性の高いポリマを制電剤として0.2〜0.5重量%混合して溶融紡糸するに際し、溶融部が下記(A)、(B)の特性を満足するエクストルダーで、また、得られる原糸の物性が下記(C)、(D)を満足することを特徴とする制電性ポリエステル繊維の製造方法
【0011】
A)圧縮比(VCR) 2.0≦VCR≦3.0
VCR=Hf(D−Hf)/Hm(D−Hm)
Hf:スクリュー供給部溝深さ、Hm:スクリュー溶融部溝深さ
D :スクリュー径
(B)吐出量Q(kg/h)/回転数N(rpm) 1.0≦Q/N≦2.0
(C)比抵抗値(R) 10×10≦R≦1000×10Ω・cm
(D)単糸繊度CV%(X) X≦5.0
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明の基本となるポリエステルとしては、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンフタレート等が挙げられるが、中でも前者のテレフタル酸を主たる酸成分とし、炭素数2〜6のアルキレングリコール成分、すなわちエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール及びヘキサメチレングリコールから選ばれた少なくとも一種のグリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルを対象とする。
【0014】
尚、このポリエステルはそのテレフタル酸成分を他の二官能性カルボン酸成分で置き換えても良い。かかるカルボン酸としては、たとえばイソフタル酸、フタル酸、ジブロモテレフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンカルボン酸、β−オキシエトキシ安息香酸の如き二官能性芳香族カルボン酸等を挙げることができる。
【0015】
また上記グリコール成分の一部を他のグリコール成分で置き換えてもよく、かかるグリコール成分としては例えばシクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、2,2−ビス〔3,5−ジブロモ−4−(2−ハイドロキシエトキシ)エトキシ)フェニル〕プロパンの如き脂肪族、脂環族、芳香族のジオールが挙げられる。
【0016】
さらに上述のポリエステルに必要に応じて他のポリマを少量ブレンド溶融したもの、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸等の鎖分岐剤を少割合使用したものであっても良い。このほか本発明のポリエステルは通常のポリエステルと同様に酸化チタン、カーボンブラック等の顔料の他、従来公知の抗酸化剤、着色防止剤等が添加されても勿論良い。
【0017】
本発明においてポリエステルに含有させる制電剤の量はポリエステルに対し0.2重量%以上、5重量%以下であり、特に好ましくは0.3重量%以上、5重量%以下である。0.2重量%未満では得られるポリエステル繊維の制電性が不十分であり、5重量%をえる場合は製糸時に糸切れ等の製糸性不良の原因となり本発明の目的を達成できない。
本発明で得られる制電性ポリエステル繊維はこのような組成のポリエステルからなり、且つ下記の原糸物性を同時に満足する必要がある。
【0018】
(A)比抵抗(R) 10×108 ≦ R ≦ 1000×108Ω・cm
(B)単糸繊度CV%(X) X ≦ 5.0
比抵抗(以下Rと略す)は後述の実施例に記載の方法で測定して示す値であり、製織・製編後の制電性に大きな影響を及ぼす。Rは10×108Ω・cm以上、1000×108Ω・cm以下が必要であり、好ましくは600×108Ω・cm以下である。Rが10×108Ω・cm未満では制電性ポリエステル中の制電成分が局在化してしまい、原糸の糸斑を生じやすいうえに、製織後アルカリ処理を施す際に生機内での減量斑を生じやすく、アルカリ減量後の品位を著しく低下させる。逆にRが1000×108Ω・cmを越えるものは制電性をほとんど示さず本発明の目的を達成できない。
【0019】
次に単糸繊度CV%(以下Xと略す)は後述の実施例に記載の方法で測定して示す値であり、製糸性・高次加工での工程通過性に大きな影響を及ぼす。Xは5.0以下である必要があり、3.5以下が特に好ましい。Xが5.0を越えるものは製糸工程での糸切れが多く製糸性が悪化するうえ、単糸の繊度斑に起因する染め品位の悪化、製織・製編での毛羽が多発し、本発明の目的を達成できない。
本発明において制電剤として使用されるポリマーとしては、エチレンオキシドやプロピレンオキシドの縮合生成物あるいは両者の縮合生成物などのポリアルキレンエーテル(ポリアルキレンオキシド)や、ポリアルキレンオキシド成分にアミノカルボン酸、ラクタム、ジアミン、ジカルボン酸、ジカルボン酸エステルなどを反応させたポリエーテルアミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルエステルアミドなどのブロック共重合ポリマーなどが挙げられる。なかでもポリエーテルエステルアミドが好ましい。
【0020】
ポリエーテルエステルアミドとしては、構成成分である(A)アミノカルボン酸、またはラクタムもしくはジアミンとジカルボン酸の塩としては、炭素数6以上のアミノカルボン酸、またはラクタムもしくは炭素原子数6以上のジアミンとジカルボン酸の塩が好ましく、より好ましくはω−アミノカプリル酸、ω−アミノベルコン酸、ω−アミノカプロン酸、及び11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸あるいはカプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム及びラウロラクタムなどのラクタム及びヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−セバシン酸塩、及びヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸などのジアミン−ジカルボン酸の塩が用いられ、その中でもカプロラクタム、1,2−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩がさらに好ましく用いられる。
【0021】
ポリエーテルエステルアミドの構成成分である(B)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックまたはランダム共重合体などが好ましく用いられるが、これらの中でも、制電性が優れる点で、特にポリエチレングリコールが好ましく用いられる。
【0022】
ポリエーテルエステルアミドの構成成分である(C)ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2、7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸及び5−スルホイソフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸及びジシクロヘキシル−4,4’ジカルボン酸の如き脂肪族ジカルボン酸、及びコハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジ酸(デカンジカルボン酸)の如き脂肪族カルボン酸などが挙げられ、特にテレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アジピン酸及びドデカジン酸が重合性、色調及び物性の点から好ましく用いられる。
【0023】
ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとジカルボン酸は反応上は1:1のモル比で反応するが使用するジカルボン酸の種類により通常仕込み比を変えて支給される。
【0024】
本発明のポリエーテルエステルアミドの構成単位でポリエーテルエステル単位は30重量%以上70重量%以下の範囲で用いられ、優れた機械的性質、製糸性良好で、得られる繊維の制電性を十分満足できる。
【0025】
本発明の制電剤におけるスルホン酸の金属塩化合物とは、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸とナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属から形成される塩や、アルキルスルホン酸とナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属から形成される塩であり、中でもドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが特に好ましい。
【0026】
該スルホン酸金属塩化合物のポリエーテルエステルアミドへの配合量は、ポリエーテルエステルアミドが100重量部に対し2重量部以上、20重量部以下であり、特に好ましくは3重量部以上10重量部以下である。配合量が本範囲を満足する制電剤を用いて得られる繊維は、より制電性に優れ、かつ製糸性も良好となる。尚、本発明においてポリエステルに含有させるポリエーテルエステルアミド系制電剤には従来公知の抗酸化剤、着色防止剤等が添加されても勿論良い。
【0027】
制電剤が上記構成を満足することにより、制電成分の筋が均一に分散しやすくなり、制電性と単糸繊度ばらつきの両立がより良く達成されると推定される。
【0028】
次に、本発明の制電性ポリエステル繊維の製造方法について記述する。
【0029】
本発明における前述の制電剤の添加時期はポリエステルの重合工程から紡糸工程における溶融までの任意の段階でよいが、特に紡糸前ポリエステルチップと制電剤チップとを所定の比率にてブレンドし、紡糸機内で溶融混合させる方法が好ましい。チップブレンドの方法としては、ブレンダー等により機械的にブレンドさせる手段もあるが、ブレンドチップ移送時の脱混合を防止する面から、計量供給装置により溶融押出装置の供給部へ各チップを所定の比率にて連続的に計量・供給し、ブレンドする方がより好ましい。
【0030】
紡糸機としては分散性・制電性の両者の観点から、下記式で表される圧縮比
圧縮比(以下VCRと略す)=Hf(D−Hf)/Hm(D−Hm)
Hf:スクリュー供給部溝深さ、Hm:スクリュー溶融部溝深さ
D:スクリュー径
が2.0以上、3.0以下の特性を満たすエクストルダー型溶融紡糸機であることが好ましく、2.5以下が特に好ましい。
【0031】
VCRが2.0未満のエクストルダーあるいはスクリュープレッシャーメルター型溶融紡糸機では制電成分の分散性が悪くなりすぎて、単糸繊度のばらつきが大きくなり製糸性の悪化、高次加工での毛羽発生、染め品位の悪化が起こり、逆にVCRが3.0を越えるエクストルダーでは制電成分が溶融混練時に細かく分断されすぎて、得られるポリエステル繊維の制電性が不十分となり本発明の目的を達成できない。
【0032】
さらに本発明では、エクストルダー型溶融紡糸機の特性として吐出量(kg/h)/エクストルダースクリュー回転数(rpm)(以下Q/Nと略す)が1.0以上、2.0以下であることが好ましく、1.2以上が特に好ましい。Q/Nが1.0未満のエクストルダーでは制電成分が溶融混練時に細かく分断されすぎて、得られるポリエステル繊維の制電性が不十分となり、逆にQ/Nが2.0を越えるあるいはスクリュープレッシャーメルター型溶融紡糸機では制電成分の分散性が悪くなりすぎて、単糸繊度のばらつきが大きくなり製糸性の悪化、高次加工での毛羽発生、染め品位の悪化が起こり、本発明の目的を達成できない。
【0033】
前述の方法で溶融されたポリマーは周知の紡糸方法で製糸する事が出来るが、その中でも延伸工程を必要としない高速紡糸法は生産性の向上、延伸工程の省略によるコスト低減・毛羽発生の減少をもたらすとともに染色性向上効果も期待できるため他の種類の繊維との交編交織が容易となり用途拡大が可能となるので好ましい方法といえる。延伸工程を経ることなく、溶融紡糸工程のみで実用上十分な糸物性を得る高速紡糸方法としては、例えば溶融紡糸するに際し、溶融紡糸したポリエステル糸条を一旦冷却固化し、引き続き加熱域に導入して延伸した後、4500m/min以上の速度で巻き取る方法がある。ここでいう加熱域での延伸とは、非接触式の間接加熱域における延伸でも、加熱引取ローラーと加熱延伸ローラーを用いた延伸のいずれでも構わない。冷却後引き続き行う加熱域での延伸はガラス転移温度以上融点以下の温度で行うことが好ましく、ガラス転移点未満の温度では糸物性が実用に耐え難い著しく劣った繊維となってしまう。逆に融点を超える温度では加熱域での単糸間の融着や糸切れをまねき操業上の問題となるばかりでなく、得られた繊維を製織または製編して得られる布帛の風合いが著しく劣ったものとなる。
【0034】
本発明において繊維とは長繊維と、それを含む織編物等の繊維製品を指す。周知の如くポリエステル繊維は風合い改良を目的としたアルカリ減量加工が施される場合が多いが、本発明による繊維をアルカリ減量加工を施しても制電性効果はほとんで性能が低下しない。また高次加工での高速化が図られている昨今、製織編中の毛羽発生が本発明により大幅に改善される。この点で本発明は従来の発明では考えられなかった効果を著しく奏するのである。
【0035】
本発明の繊維は単一素材としてはもちろん、他の異種繊維との組み合わせによる混紡糸、混繊糸、加工糸、さらに異種繊維よりなる糸との混織物、混繊物、多重構造織編物等にも優れた制電性効果を発揮する。
【0036】
本発明の用途は、婦人ブラウス、婦人スカート、カジュアルシャツ、ドレスシャツ、スラックス、メンズフォーマルウェア、レディスフォーマルウェア、ニットウェア、スポーツウェア、コート、アウトウェア一般、ベビーウェア、子供服全般、ワーキングウェア、無塵衣、和装着物、和装裏地、和装肌着、エプロンやテーブルクロス等の家庭用品、布団のシーツやパジャマ等の寝具または寝衣、自動車用内装天井剤および床材、インテリア用品、カーペット他産業用資材等に好適である。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳述するが、これら実施例によって本発明の範囲が限定されるものではない。なお、実施例中の各特性値は次の方法により求めた。
【0038】
(1)原糸の比抵抗値
フィラメント糸を束ねて約2000デニールとし、弱アニオン系洗剤を用い、十分に精錬して油剤などを除いた後、20℃、43%RH(相対湿度)の状態で24時間放置後、その両端の抵抗を測定する事によって比抵抗を求めた。
【0039】
◎:10×108Ω・cm≦R≦600×108Ω・cm
○:600×108Ω・cm≦R≦1000×108Ω・cm
×:10×108Ω・cm>RまたはR>1000×108Ω・cm
【0040】
(2)単糸繊度CV%
試長25mmを作り0.4g荷重をかけた状態で単糸を発振部に設定し(1880Hz)、共振振動数より各単糸の繊度を測定し、その変動率(CV%)を計算した。
【0041】
(3)製糸性
ポリエステルポリマと制電剤の合計1000kgを溶融紡糸、冷却固化後、引き続き連続的に延伸し、4500m/min以上の速度で巻き取ることによって得る際の糸切れで判定した。
【0042】
◎:糸切れ0回
○:糸切れ1回〜3回
×:糸切れ4回以上
【0043】
(4)高次通過性(毛羽)
制電性ポリエステル繊維を打ち込み幅180cm、速度1400m/minで2.0×106m打ち込み平織りしたときの毛羽発生による織機停台回数で判定した。
【0044】
◎:0〜1回
○:2〜4回
×:5回以上
【0045】
実施例1〜7、比較例1〜8
制電性ポリマ組成を表1に示すように変更したポリエーテルエステルアミド系制電剤チップを調整した。なお、調整時には抗酸化剤として1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ(3,5−ジ−terブチル−4−ヒドロキシル)ベンゼンをポリエーテルエステルアミド100重量部に対し5.5重量部添加した。ポリエーテルエステルアミド系制電剤チップを80℃で6時間乾燥した後、160℃で6時間真空乾燥したポリエチレンテレフタレート(以下PETと略)チップとブレンドして、VCR=2.3、Q/N=1.4の特性を有するエクストルダー型溶融紡糸機にて溶融混練し、下記に示す製糸方法(I)、(II)で75デニール36フィラメントの延伸糸を得た。
【0046】
(I)図1に示すような装置にて紡糸温度290℃で紡糸、一旦冷却後、200℃の加熱域に導入して延伸した後、ゴデットローラーを経由して4500m/minで巻き取る。
【0047】
(II)図2に示すような装置にて紡糸温度290℃で紡糸、一旦冷却後、1800m/minの速度90℃に加熱した加熱引取ローラーに引き取り、その後一旦巻き取ることなく、加熱引取ローラーと140℃に加熱した加熱延伸ローラーとの間で2.7倍に延伸、加熱延伸ローラーで熱処理した後に4500m/minで巻き取る。
【0048】
得られた繊維の原糸物性、製糸性および高次加工工程での毛羽発生度合いを表2に示す。
【0049】
実施例8〜10、比較例9〜14
実施例1と同様の方法で得た制電剤チップとPETチップをブレンドして、表3に示すような特性のエクストルダー型溶融紡糸機およびスクリュープレッシャーメルター型溶融紡糸機にて溶融混練し、製糸方法(I)、(II)で75デニール36フィラメントの延伸糸を得た。得られた繊維の原糸物性、製糸性および高次加工工程での毛羽発生度合いを表4に示す。
【0050】
【表1】
Figure 0003807087
【表2】
Figure 0003807087
【表3】
Figure 0003807087
【表4】
Figure 0003807087
表1、2からわかるように、制電剤のPETに対する含有率が本発明を満足しないもの(比較例1〜4)、制電剤組成が本発明を満足しないもの(比較例5〜8)は比抵抗値が高い、あるいは単糸繊度CV%が大きく、製糸性・高次通過性が悪いという問題がある。
【0051】
また、表3、4から、溶融紡糸機のエクストルダー特性がVCR 2.0以下、Q/N 2.0以上である(比較例11、13)または紡糸機タイプがスクリュープレッシャーメルター型である(比較例9、12)と単糸繊度CV%が大きく高次通過性が悪くなり、VCR 3.0以上、Q/N 1.0以下である(比較例10、14)と比抵抗値が高くなり制電性が悪くなる。
【0052】
一方本発明のポリエステル繊維は制電性に優れ、かつ製糸性、高次通過性も良好であることがわかる。
【0053】
【発明の効果】
優れた制電耐久性と染め品位を有するとともに、高次加工での工程通過性が良好で、操業安定性、品質安定性に優れた制電性繊維とその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いた装置の概略図である。
【図2】本発明の実施例で用いた装置の概略図である。
【符号の説明】
1:エクストルダー
2:紡糸口金
3:冷却装置
4:加熱筒
5:給油装置
6:交絡処理装置
7:第1ゴデットローラー
8:第2ゴデットローラー
9:熱処理装置
10:加熱引取ローラー
11:加熱延伸ローラー
12:巻取機
13:表面ローラー
Y:糸条

Claims (2)

  1. 親水性の高いポリマを制電剤として0.2〜0.5重量%混合して溶融紡糸するに際し、溶融部が下記(A)、(B)の特性を満足するエクストルダーで、また、得られる原糸の物性が下記(C)、(D)を満足することを特徴とする制電性ポリエステル繊維の製造方法
    A)圧縮比(VCR) 2.0≦VCR≦3.0
    VCR=Hf(D−Hf)/Hm(D−Hm)
    Hf:スクリュー供給部溝深さ、Hm:スクリュー溶融部溝深さ
    D :スクリュー径
    (B)吐出量Q(kg/h)/回転数N(rpm) 1.0≦Q/N≦2.0
    (C)比抵抗値(R) 10×10≦R≦1000×10Ω・cm
    (D)単糸繊度CV%(X) X≦5.0
  2. 制電剤が(A)アミノカルボン酸、またはラクタム、もしくはジアミンとジカルボン酸の塩、(B)ポリ(アルキレンオキシド)グリコール、および(C)ジカルボン酸から構成されるポリエーテルエステルアミドであって、ポリエーテルエステル単位が30〜70重量%である該ポリエーテルエステルアミド100重量部とスルホン酸の金属化合物2〜20重量部からなるポリエーテルエステルアミド系制電剤であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル繊維の製造方法
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