JP3806528B2 - エネルギー貯蔵設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エネルギー貯蔵設備に係り、より詳細には、電気エネルギーを圧縮空気の形態に変換して貯蔵するエネルギー貯蔵設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、エネルギー貯蔵設備として、電力を圧縮空気の形態に変換して貯蔵するものが知られている。例えば特開昭51−121614号公報には、夜間の余剰電力を用いて空気圧縮機を駆動し、空気圧縮機で製造された圧縮空気を配管を通して海中の釣り鐘状タンク内に移送するエネルギー貯蔵設備が開示されている。なお、この設備は、昼間の電力需要に対応して、圧縮空気をガスタービンに供給することにより電力を発生することも可能となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の公報に記載のエネルギー貯蔵設備は、以下のような問題点を有している。
【0004】
即ち、このエネルギー貯蔵設備においては空気圧縮機が用いられるが、空気圧縮機それ自体で大きな損失が生じることが一般に知られている。即ち、空気を高速化して圧縮する空気圧縮機においては、空気の高速化により圧縮性の影響が現れ、損失が大きくなるため、空気の圧縮に多大なエネルギーを必要とすることが知られている。更に、このエネルギー貯蔵設備には、空気圧縮機により製造された圧縮空気を配管を通して移送するときに、圧縮空気と配管の内壁との摩擦による圧力損失も無視できない。
【0005】
このため、上記従来のエネルギー貯蔵設備においては、電気エネルギーを圧縮空気エネルギーとして貯蔵するだけで40%のエネルギー損失があり、エネルギー変換効率が著しく悪かった。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、電気エネルギーを貯蔵する時のエネルギー損失を十分に低減し、エネルギー変換効率を向上させることができるエネルギー貯蔵設備を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、電気エネルギーを圧縮空気の形態に変換し、水中に配置される空気溜め容器内に圧縮空気を貯蔵するエネルギー貯蔵設備であって、一部が水上に、残部が水中に配置され、電気エネルギーに基づき水上の空気をバケットによって水中に運び込み、空気を水圧により圧縮させながら第1の空気溜め容器近傍に運び込むバケットコンベアを備え、バケットが空気溜め容器の近傍でバケット内の圧縮空気を空気溜め容器内に導入することが可能となっており、第1の空気溜め容器の下方に第2の空気溜め容器を更に備え、第2の空気溜め容器の近傍に、その上の第1の空気溜め容器内に溜められた空気を水圧により圧縮させながらバケットによって運び込むように第2のバケットコンベアが設置されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、電気エネルギーに基づきバケットコンベアが作動すると、水上でバケット内に取り込まれる空気は水中に運び込まれる。バケット内の空気は、水中で空気圧縮機によらず水圧により、下方に向かうにつれて徐々に圧縮されていく。そして、このバケットが空気溜め容器近傍まで運ばれたときにバケット内の圧縮空気が空気溜め容器内に導入され、水中にエネルギーが貯蔵されることになる。このようにバケット内の空気は徐々に圧縮され、バケットによって運ばれるので、空気圧縮機を用いる場合に比べて、エネルギー損失が十分に低減される。また、空気が水圧により一層圧縮されながら下方の空気溜め容器内にも運び込まれるので、水中に多量の圧縮空気が導入され、多量のエネルギーが貯蔵されることになる。
【0009】
また、上記エネルギー貯蔵設備においては、第2の空気溜め容器の下方に更に1ないし複数個の空気溜め容器を備え、その空気溜め容器の近傍に、それぞれその直上の空気溜め容器内に溜められた空気を水圧により圧縮させながらバケットによって運び込むようにバケットコンベアが設置されていてもよい。
【0010】
更に、上記エネルギー貯蔵設備においては、空気溜め容器内に溜められた空気を水上に戻すときに、所定位置に配置されるバケット内に空気を導入することが可能な空気導入手段が設けられていることが好ましい。この場合、バケットが所定位置に配置されるときに、空気導入手段により空気溜め容器内に溜められた圧縮空気がバケット内に取り込まれ、この圧縮空気の浮力によりバケットが上方へと運ばれる。このため、バケットコンベアが作動し、このエネルギーから電気エネルギーを取り出すことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面と共に本発明のエネルギー貯蔵設備について詳細に説明する。なお、全図中、同一又は同等の構成要素については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本発明のエネルギー貯蔵設備の基本原理を示す一部断面正面図である。エネルギー貯蔵設備10は、夜間の余剰電力を圧縮空気の形態に変換して海中に導入し、電力を圧縮空気のもつ圧縮空気エネルギーとして貯蔵するものであり、図1に示すように、海中に配置される空気溜めドーム(空気溜め容器)1Aと、空気溜めドーム1A近傍にバケットを運び込むバケットコンベア2Aとを備えている。空気溜めドーム1Aは、下方に向けられる開口21を有し、空気溜めドーム1Aの断面形状は、空気を上部に集める点から、例えば略半円状又はU字状となっている。
【0013】
一方、バケットコンベア2Aは、一部が海上に配置され、残部が海中に配置されている。具体的に述べるならば、海上には回転軸3が配置され、海中には回転軸4が配置され、回転軸3には、余剰電力により回転軸3を駆動させる駆動モータ(図示せず)が接続されている。これら一対の回転軸3、4には、一対の環状チェーン5が掛けられている。従って、バケットコンベア2Aは、上下方向に延びた状態となっている。図2に示すように、一対の環状チェーン5の間には、その周方向に沿って複数のバケット6が固定されている。バケット6には、空気を取り込むための複数の空気取入口6aが形成されている。なお、バケット6は、水抵抗を防ぐため流線形をなしており、その肉厚は、メンテナンスの手間を省くのに十分な厚さとなっている。
【0014】
ここで、図1に示すように、バケットコンベア2Aは、空気溜めドーム1Aが下方の回転軸4の直上に位置するように配置されている。従って、バケットコンベア2Aが作動すると、バケット6が海上を通過するときに空気取入口6aから空気が取り込まれ、バケット6内に取り込まれる空気が海中に運び込まれる。このとき、バケット6内の空気は水圧により下方に向かうにつれて徐々に圧縮される。そして、バケット6が空気溜めドーム1Aの近傍、例えば回転軸4の直下を通過するときに空気取入口6aを通して圧縮空気が排出され、空気溜めドーム1A内に導入される。このため、電力が圧縮空気の形態で海中に貯蔵されることになる。
【0015】
図3は、図1の基本原理に従って構成されたエネルギー貯蔵設備10の全体を概略的に示す正面図である。図3に示すように、エネルギー貯蔵設備10は、海底に立設される支持構体14を備えている。支持構体14の頂上部は海上に臨んでおり、頂上部の上には、プラットフォーム8が設けられている。このプラットフォーム8は、電動機ないしは発電機、コントロールルーム、及びバケットコンベア2Aの駆動装置を備えており、ヘリポートとしても機能する。
【0016】
また、エネルギー貯蔵設備10は、空気溜めドーム1Aの下方に水深方向に沿って適当な間隔をあけて配置される3つの空気溜めドーム1B,1C,1Dを更に備えており、これら空気溜めドーム1B,1C,1Dは、支持構体14に固定されている。そして、これら空気溜めドーム1B、1C,1Dのそれぞれにその上の空気溜めドーム1A,1B,1C内に溜められた空気をバケット6によって運び込むように3つのバケットコンベア2B,2C,2Dが支持構体14によって支持されている。
【0017】
具体的に述べると、例えばバケットコンベア2Bは、バケットコンベア2Aと回転軸4aを共有し、空気溜めドーム1B内に配置される回転軸7を備えており、これら回転軸4、7に一対の環状チェーン5が掛けられている。環状チェーン5の間には、その周方向に沿って複数のバケット6が取り付けられ、バケット6は、空気溜めドーム1A内を通過するようになっている。更に、回転軸7の直上に空気溜めドーム1Bが配置されている。従って、バケット6が空気溜めドーム1A内を通過するときに、空気溜めドーム1A内に溜められた空気が空気取入口6aを通して取り込まれ、水圧により空気が圧縮されながらバケット6によって空気が運ばれ、この空気が更に深い位置の空気溜めドーム1B内に導入される。
【0018】
バケットコンベア2C,2Dについても、バケットコンベア2Bと同様の構成となっている。従って、空気溜めドーム1B内に溜められた空気がバケットコンベア2Cのバケット6によって空気溜めドーム1C内に運び込まれ、空気溜めドーム1C内に溜められた空気がバケットコンベア2Dのバケット6によって空気溜めドーム1D内に運び込まれるようになっている。
【0019】
空気溜めドーム1Dからは分岐管12が延びており、途中で複数本に分岐している。分岐管12により、海底に設置される空気貯蔵ドーム9のぞれぞれに圧縮空気が導入されるようになっている。ここで、分岐管12の分岐した部分には、空気溜めドーム1D内に溜められた空気を各空気貯蔵ドーム9に分配するための分配弁V1が取り付けられると共に、空気貯蔵ドーム9内の空気が万一漏れた場合に、空気溜めドーム1D内の空気が空気貯蔵ドーム9へと移送されないよう遮断する緊急遮断弁V2が分配弁V1に対して空気貯蔵ドーム9側の位置に取り付けられている。また、空気貯蔵ドーム9は、鉄製ドームを二重にしたダブルハル構造となっており、各鉄製ドームの厚さは、浮力に逆らって沈み、かつ塗装せずに長期間(例えば数10年)耐え得る厚さとなっている。二重の鉄製ドームの間隙には、鉄製ドームからの空気漏れをチェックする空気検知器(図示せず)が設けられている。
【0020】
また、空気貯蔵ドーム9は、海面に浮遊する貯蔵ドームメンテナンス用ブイ11から延びるドーム吊上げ用チェーン13につながれており、空気貯蔵ドーム9のメンテナンス時には、ドーム吊上げ用チェーン13を引き上げることにより空気貯蔵ドーム9が吊り上げられるようになっている。ここで、空気貯蔵ドーム9を容易に吊り上げられるように、空気貯蔵ドーム9は、分岐管12の先端に被せるように海底に載置されることが好ましい。
【0021】
なお、バケットコンベア2A、2B、2C又は2Dの設置台数は、図4に示すように、下方に向かうにつれて少なくなるようにすることが好適である。その理由は、以下の通りである。即ち、空気が下方に向かうほど圧縮されてその体積が小さくなるので設置台数を水深の大きい個所で多くする必要はなく、また、各バケットコンベア2A、2B、2C、2Dで生じる機械的エネルギー損失の総和が低減されるためである。
【0022】
次に、前述した構成のエネルギー貯蔵設備10の動作について説明する。
【0023】
まず、夜間の余剰電力を利用して駆動モータを駆動し、回転軸3を回転させる。このとき、バケット6の移動方向に空気取入口6aが向けられるようにする。このため、海上を通過するバケット6の内部に空気取入口6aを通して空気が取り込まれ、バケット6は、空気をバケット6内に収容した状態で海中に運び込まれ、空気が空気溜めドーム1Aの近傍まで運び込まれる。このとき、バケット6内の空気は、水圧により、下方に向かうにつれて徐々に圧縮される。そして、このバケット6が空気溜めドーム1Aの直下まで運ばれたときに、バケット6の空気取入口6aを通して圧縮空気が排出され、この圧縮空気が空気溜めドーム1A内に導入される。
【0024】
そして、バケットコンベア2Bのバケット6が空気溜めドーム1A内を通過するため、空気溜めドーム1A内に空気が溜められている場合、その空気がバケットコンベア2Bのバケット6によって下方にある空気溜めドーム1B内に導入される。空気溜容器1B内に溜められた空気は、バケットコンベア2Cのバケット6によって空気溜めドーム1C内に運び込まれ、更に、空気溜めドーム1C内に溜められた空気がバケットコンベア2Dのバケット6によって空気溜めドーム1D内に運び込まれる。このとき、空気が多くの空気溜めドームに導入されると共に下方に向かうにつれて水圧により一層圧縮されることになる。従って、海中に多量の圧縮空気を導入することができる。空気溜めドーム1D内に溜められた空気は、分岐管12を通して各空気貯蔵ドーム9に貯蔵される。このように本実施形態のエネルギー貯蔵設備10においては、空気が下方に向かうにつれて徐々に圧縮され、バケット6によって運ばれるので、空気圧縮機を用いて圧縮空気を海中に導入する場合に比べて、エネルギー損失が十分に低減され、エネルギー変換効率を向上させることができる。
【0025】
なお、圧縮空気の形態から電気エネルギーを取り出す場合、エネルギー貯蔵設備10は、空気溜めドーム1内に溜められた空気を海上に戻すときに、所定位置に配置されるバケット6内に空気を導入することが可能な空気導入手段を備えていることが好ましい。
【0026】
ここで、空気導入手段としては、バケット6が所定位置に配置されるたびごとに空気溜めドーム1内に溜められた圧縮空気をバケット6内に導入できるものであれば特に制限されない。例えば、図5に示すように、空気導入手段は、空気溜めドーム1の上部から突出しかつ上下方向を軸として回転可能なL字管15と、このL字管15に取り付けられる切出し弁16とを備えるもので構成することができる。この場合、空気溜めドーム1内に溜められた圧縮空気がL字管15から排出され、圧縮空気がバケット6内に導入される。このとき、バケット6が所定位置に配置されるタイミングに合わせて切出し弁16が調整される。また、バケット6は、開閉可能な蓋を有しており、空気を空気溜めドーム内に貯蔵する時には蓋が閉じられ、空気を空気溜めドームからバケット6内に導入する時には蓋が開けられるようになっている。
【0027】
従って、昼間の電力需要のピーク時に、空気貯蔵ドーム9から分岐管12を通して空気溜めドーム1D内に空気を溜めておく。一方、バケット6の蓋6bは開けておく。そして、バケット6が所定位置に配置されるタイミングに合わせてL字管15が上下方向を軸として回転されてその先端がバケット6の下方に配置される。このとき、切出し弁16を調整すると、バケット6内に空気取入口6aを通して圧縮空気が導入される。圧縮空気が導入されたバケット6は、圧縮空気の浮力により、空気の貯蔵時とは逆の方向に移動して上方に運ばれる。このようにして、圧縮空気は、空気溜めドーム1D、1C,1B,1Aへと順次運ばれ、最終的にはバケットコンベア2Aのバケット6によって海上に放出されることになる。このとき、バケット6が上昇するエネルギーがバケットコンベア2A,2B,2C,2Dの回転軸の駆動力に変換され、この駆動力により発電機で発電が行われる。
【0028】
本発明のエネルギー貯蔵設備は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明のエネルギー貯蔵設備は、海に限定されず湖などに設置することも可能である。
【0029】
更に、空気溜めドームの個数も複数個であればよく、上記実施形態のように4個に限定されるものではない。
【0030】
なお、本発明による効果を実証するため、空気溜めドームに1台のバケットコンベアのバケットによって空気を導入する場合を想定し、異なる容量の空気溜めドームに、水深を変えて空気を導入した場合の貯蔵エネルギー容量を理論的に計算する。
【0031】
ここで、バケットコンベアの上部が波、潮流の変動に対応するため水面から数m突出するようにバケットコンベアを設置し、1個あたりのバケットの容量は1m3とし、バケットは環状チェーン1mごとに1個取り付ける。バケットの周速は1m/sとする。また、空気溜めドームは、直径Dの半球部と、半球部の下部から下方に延びる長さD/10の円筒状スカート部とで構成されるものである。
【0032】
そして、本発明による貯蔵エネルギー容量は、例えば以下のようにして計算される。即ち、水中の空気1〔m3〕=1,000〔kg〕の浮力として、水深:H=10〔m〕のときのバケット一つあたりの浮力Bは、空気が水圧で圧縮されるため1/2、20〔m〕のときは1/3、30〔m〕のときは1/4となる。即ち、1/((H/10)+1)となる。そこで、各バケットの浮力をH=0からH=10までHを1〔m〕ずつ変えてそれぞれ算出し、これらの総和を求めると、バケット全体として受ける浮力は7.688〔kg〕となる。また、1馬力は、75〔kg・m/sec〕であるから、浮力を馬力:HPに換算すると、HP=7.688〔kg〕÷75〔kg・m/sec〕=102.5〔HP〕となる。更に、1〔HP〕=0.7355〔kw〕であるから、電力:Pに換算すると、P=102.5〔HP〕×0.7355〔kw/HP〕=75.4〔kw〕となり、M=1,000〔m3〕のドーム容量の場合、電力量:Q〔kwh〕換算は、空気が10〔m〕の水深で0.5まで圧縮されているので、Q=1,000〔m3〕÷0.5〔m3/sec〕×75.4〔kw〕÷3,600〔sec/h〕=41.9〔kwh〕となる。
【0033】
同様に、M=1,000〔m3〕で100〔m〕の水深では、Q=24.533〔kg〕÷75〔kg・m/sec〕×0.7355〔kw/HP〕×1,000〔m3〕÷0.09091〔m3/sec〕÷3,600〔sec/h〕=735.1〔kwh〕となる。
【0034】
更に、バケットの中で空気を圧縮するエネルギーが必要な訳であるから、後述する従来発明のエネルギーを加えると、前述のM=1,000〔m3〕、H=10〔m〕の場合で、Q=41.9+27≒72(kwh)であり、同じく、M=1,000〔m3〕、H=100〔m〕の場合で、Q=735.1+272≒1,008〔kwh〕となる。
【0035】
このようにして異なる容量の空気溜めドームに、水深を変えて空気を導入した場合の貯蔵エネルギー容量を計算すると、表1、表2に示すようになる。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
表1、表2に示すように、貯蔵エネルギー容量は、空気溜めドームの容量が大きいほど大きく、水深が大きいほど大きいことが分かる。例えば、空気溜めドーム容量M=10,000m3の場合に、水深を変化させたときの貯蔵エネルギー容量の変化を図6に示す。図6に示すように、水深が大きくなるにつれて貯蔵エネルギー容量が指数関数的に増加することが分かる。
【0038】
また、比較のため、下記の方法による貯蔵エネルギー容量について計算する。即ち、この方法は、空気圧縮機を用い、本発明に用いる空気溜めドームと同様の構成の空気溜めドームの内部に、水上から水中まで延びる配管を通して圧縮空気を移送し、エネルギーを貯蔵する方法である。この場合、貯蔵エネルギー容量は、下記のようにして計算する。
【0039】
即ち、1〔l・atm〕=2.814662×10-5〔kwh〕から、1〔atm〕は1.0333〔kgw/cm2〕であるので、1〔m3・kgw/cm2〕=0.027239543〔kwh〕となる。そこで、電力に換算した貯蔵エネルギー容量は、以下の式を用いて求める。
【0040】
P=0.027239543×M×H/10〔kwh〕
(式中、Mは空気溜めドーム容量〔m3〕、Hは水深〔m〕を表す。)
なお、空気圧縮機等の効率は考慮していないので、本発明との落差はより大きいものとなる。
【0041】
上記式を用いて求めた計算結果を表1、表2に示す。表1、表2に示すように、貯蔵エネルギー容量は、本発明のエネルギー貯蔵設備を用いた場合と比べて、相当に小さいことが分かる。また、空気溜めドーム容量Mが10,000m3の場合に、水深を変化させたときの貯蔵エネルギー容量の変化を図6に示す。図6に示すように、貯蔵エネルギー容量は、水深が増加してもほとんど増加せず、水中に貯蔵エネルギー容量を十分に蓄えることができないことが分かる。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたように本発明のエネルギー貯蔵設備によれば、バケット内の空気が水圧により徐々に圧縮されるので、空気圧縮機を用いる場合に比べて、エネルギー損失が十分に低減され、エネルギー変換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエネルギー貯蔵設備の要部を示す一部断面正面図である。
【図2】バケットコンベアに用いるバケットを示す斜視図である。
【図3】本発明のエネルギー貯蔵設備の一実施形態を示す一部断面正面図である。
【図4】図3のエネルギー貯蔵設備を示す側面図である。
【図5】空気導入手段により空気をバケット内に導入する状態を示す概略図である。
【図6】本発明および従来発明について、水深と貯蔵エネルギー容量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1A、1B、1C、1D…空気溜めドーム(空気溜め容器)、2A、2B、2C、2D…バケット、6…バケット、15…L字管(空気導入手段)、16…切出し弁(空気導入手段)。
Claims (3)
- 電気エネルギーを圧縮空気の形態に変換し、水中に配置される空気溜め容器内に前記圧縮空気を貯蔵するエネルギー貯蔵設備であって、一部が水上に、残部が水中に配置され、前記電気エネルギーに基づき水上の空気をバケットによって水中に運び込み、前記空気を水圧により圧縮させながら第1の空気溜め容器近傍に運び込む第1のバケットコンベアを備え、前記バケットが前記空気溜め容器の近傍で前記バケット内の圧縮空気を前記第1の空気溜め容器内に導入することが可能となっており、前記第1の空気溜め容器の下方に第2の空気溜め容器を更に備え、第2の空気溜め容器の近傍に、その上の前記第1の空気溜め容器内に溜められた空気を水圧により圧縮させながらバケットによって運び込むように第2のバケットコンベアが設置されていることを特徴とするエネルギー貯蔵設備。
- 前記第2の空気溜め容器の下方に更に1ないし複数個の空気溜め容器を備え、該空気溜め容器の近傍に、それぞれその直上の空気溜め容器内に溜められた空気を水圧により圧縮させながらバケットによって運び込むようにバケットコンベアが設置されていることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー貯蔵設備。
- 前記空気溜め容器内に溜められた空気を水上に戻すときに、所定位置に配置される前記バケット内に前記空気を導入することが可能な空気導入手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエネルギー貯蔵設備。
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