JP3804532B2 - 通行制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、駅、空港等の改札口や、遊園地やイベント会場等の施設の出入口に設置し、利用者の入退場を制限する通路を形成する通行制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、駅、空港等の改札口や、遊園地やイベント会場等の施設の出入口に自動改札機(この発明で言う通行制御装置)が設置されていた。自動改札機は、周知のように利用者の入退場を制限する装置であり、キップ、定期券、回数券、入場券等(以下総称して乗車券と言う。)を受け付け、受け付けた乗車券に応じて利用者が通路を通行するのを許可したり、または禁止する。一般的な自動改札機では、利用者の通行許可、または通行禁止を通路に設けた扉の開閉により行っている。
【0003】
最近、無線通信機能を備えたICカード等の非接触媒体を乗車券として利用し、該乗車券を本体に投入することなく、本体にかざすだけで通行できる自動改札機が実用化されつつある。この自動改札機は、乗車券を定期入れ等のケースに収納した状態で利用できるので、利用者がわざわざケースから取り出す必要がない。したがって、利用者における利便性を向上させることができる。
【0004】
さらに、利用者の利便性を向上させるために、インタネット等のネットワーク上で乗車券が購入できるシステムも提案されている。このシステムでは、利用者は、インタネット等のネットワークを介して電子データ化された乗車券情報を乗車券の発行会社(主に、鉄道会社等)から取得する。利用者が取得した乗車券情報は利用者が所持する記録媒体に記録される。この記録媒体は、利用者がすでに所有している携帯電話機やPDA(Personal Data Assistants)等の携帯端末に内蔵されているものや、携帯端末に対して着脱自在であるものがある。利用者が自動改札機を通過するとき、自動改札機本体が利用者の所持している携帯端末と無線で通信し、携帯端末に内蔵されている記録媒体に記録されている乗車券情報を取得する。そして、自動改札機は、ここで取得した乗車券情報に基づいて利用者の通行可否を判断し、該判断結果に基づいて扉を開閉する。
【0005】
なお、利用者が所有している携帯端末は自動改札機と無線で通信する機能を備えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、利用者が乗車券情報を記録する記録媒体を所持していることから、利用者が該記録媒体に記録されている乗車券情報を改竄したり、不正にコピーすることがあった。このため、本システムの実現には利用者による上記乗車券情報の改竄や不正コピーが防止できる高機能のセキュリティ技術を必要としている。
【0007】
また、自動改札機と携帯型端末装置(記録媒体)との間における無線通信の暗号化処理、復号化処理を複雑にすることで、セキュリティをアップさせると、利用者の通行可否の判定に要する時間が長くなる。利用者の通行可否の判定に要する時間が長くなると、例えば駅に設置されている自動改札機の場合、朝のラッシュ時等、利用者が多い時間帯では利用者のスムーズな通行を阻害し、利用者が通路を通行するのに多大な時間を要するようになり、利用者に対するサービスを低下させるという問題がある。
【0008】
また、利用者がネットワーク経由で購入した乗車券にかかる乗車券情報をセンタで一時的に管理し、駅等の特定の場所に設置した端末装置で利用者が所持する記録媒体に記録する方式が考えられている。この方式は、乗車券情報を記録媒体に記録できる端末装置を制限することにより、記録媒体に記録されている乗車券情報が改竄されたり、不正にコピーされるのを抑え、セキュリティの向上を図ったものである。しかし、利用者側から見ると、ネットワーク経由で購入した乗車券の乗車券情報を記録媒体に記録するために、購入した乗車券の乗車券情報を記録媒体に記録できる端末装置が設置されている場所に立ち寄らなければならない。したがって、ネットワーク経由で乗車券が購入できるという利用者の利便性を低下させてしまう。
【0009】
さらに、ネットワーク経由で乗車券の購入がなされた場合、その乗車券の購入にかかる乗車券情報をセンタから自動改札機に予め配信しておき、利用者が最初に自動改札機を通過する際に、自動改札機が利用者の記録媒体に上記乗車券情報を記録する方式が考えられる。この方式であれば、利用者はネットワーク経由で購入した乗車券の乗車券情報を記録媒体に記録するために、わざわざ乗車券情報の記録が行える端末装置の設置場所に立ち寄らなくてもよい。しかし、この方式では、利用者がネットワーク経由で購入した乗車券情報を記憶させておく自動改札機を特定するために、利用者が最初に通過する自動改札機を特定しなければならない。
【0010】
なお、利用者が通過するかどうかにかかわらず、利用者が購入した乗車券情報を該利用者が通過する可能性がある全ての自動改札機に記憶させる方法もあるが、この場合自動改札機に膨大な記憶容量が必要になり、本体のコストアップという問題がある。例えば、乗車券が区間キップや定期券である場合、利用者が利用できる駅は多数存在するので、これら全ての駅の自動改札機に各利用者がネットワーク経由で購入した乗車券情報を記憶させるには膨大な記憶容量が必要である。
【0011】
また、乗車券情報を予約情報としてセンタに保存しておき、利用者の通過時に自動改札機からセンタに問い合わせ、センタで利用者の通行可否を判断するように構成することもできるが、この場合自動改札機とセンタとの間における通信に時間がかかることから、結果的に利用者の通行可否の判定にかかる時間が長くなる。したがって、上述したように通路における利用者のスムーズな通行を阻害するという問題がある。
【0012】
この発明の目的は、利用者の利便性を低下させることなく、また利用者がスムーズに通行できる通行制御装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明の通行制御装置は、上記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0014】
(1)利用者の通行方向が両方向である通路における、利用者の通行を制限する通行制御装置において、
前記通路の通行方向毎に設けられ、対応する通行方向について、前記通路の通行を許可する利用者の識別情報を登録した、2つの通行許可テーブルを記憶する通行許可識別情報記憶手段と、
通信エリアが略通路内に制限された近距離無線通信手段と、
上記近距離無線通信手段で通路内に位置している利用者が所持している携帯端末から上記識別情報を取得するとともに、この利用者の通路における通行方向を判断し、上記通行許可識別情報記憶手段が、ここで取得した識別情報を、この利用者について判断した通路の通行方向に対応する前記通行許可テーブルに登録されているかどうかを判別し、この判別結果に基づいて通路における利用者の通行を許可するかどうかを判断する制御部と、を備え、
上記通行許可識別情報記憶手段が記憶する前記通行許可テーブルのそれぞれには、予め上記近距離無線通信手段よりも通信エリアが広い遠距離無線通信で取得した識別情報毎に、通路における利用者の通行可否を通行方向とともに判断し、該判断において通行可と判断した識別情報であって、且つ対応する通行方向について通行を許可する識別情報が登録されている。
【0015】
この構成では、予め通信エリアが広い遠距離無線通信により、通行制御装置本体周辺に移動してきた利用者が所持している携帯端末から識別情報を取得し、該識別情報について通路における利用者の通行可否を通行方向とともに判断する。
【0016】
さらに、遠距離無線通信の通信エリアは広いため、利用者が遠距離無線通信の通信エリアへ進入してから、近距離無線通信手段の通信エリアへ進入するまでに時間的な余裕がある。このため、通行可否の判断に関して、取得した識別情報をセンタに送信し、センタにおいて通行可否を判断した結果を受信するようにすることもできる。
【0017】
また、センタには利用者毎に該利用者が購入した乗車券の乗車券情報、およびその利用履歴を記憶させておけばよい。通行許可識別情報記憶手段には、通路の通行方向毎に設けた2つの通行許可テーブルが記憶されている。また、各通行許可テーブルには、通行可と判断された利用者の識別情報であって、且つ対応する通行方向について通行を許可する識別情報が登録されている。
【0018】
通信エリアが略通路内に制限された近距離無線通信手段が通路内に位置している利用者が所持している携帯端末から識別情報を取得すると、この識別情報の利用者の通路における通行方向を判断する。そして、通行許可識別情報記憶手段が、ここで取得した識別情報を、この利用者について判断した通路の通行方向に対応する通行許可テーブルに登録されているどうかを判別し、登録されていれば通行を許可すると判断し、反対に登録されていなければ通行を許可しないと判断する。この判断結果に基づいて、例えば通路に設けられている利用者の通行を制限する扉の開閉が制御される。
【0019】
このように、遠距離無線通信により、通行制御装置の周囲に移動してきた利用者に対して予めセンタに問い合わせて通行可否を判断し、利用者が実際に通路内に進入したときには、先の判断に基づいて、例えば通路に設けた扉を開閉して利用者の通行を制限するようにしたので、利用者のスムーズな通行を阻害することがなく、また各利用者が購入した乗車券の乗車券情報をセンタで管理しているので、乗車券情報の改竄や不正コピーも防止でき、セキュリティを向上できる。
【0020】
また、利用者が遠距離無線通信の通信エリアに進入してから、近距離無線通信手段の通信エリアへ進入するまでに時間的な余裕がある。そこで、遠距離無線通信において、セキュリティアップのため暗号化処理や復号処理を複雑にし、処理時間が増大しても、利用者が通路に進入するまでに処理が完了する。
【0021】
(2)上記通行許可識別情報記憶手段は、所定時間よりも前に記憶した識別情報を消去する。
【0022】
この構成では、通行許可識別情報記憶手段に記憶してから所定時間経過した識別情報を消去するようにした。
【0023】
これにより、遠距離無線通信の通信エリア内に一時的に入ったが、通路を通ることなく、いなくなった利用者、例えば友達を見送りに駅まできた利用者、の識別情報がいつまでも通行許可識別情報記憶手段に記憶されつづけることがない。したがって、通行許可識別情報記憶手段に必要な記憶容量を抑えることができる。
【0024】
(3)上記通行許可識別情報記憶手段は、通路を通行した利用者の識別情報を消去する。
【0025】
この構成では、通路を通行した利用者の識別情報がいつまでも通行許可識別情報記憶手段に記憶されつづけることがない。したがって、上記(2)と同様に通行許可識別情報記憶手段に必要な記憶容量を抑えることができる。
【0026】
(4)通路内への利用者の進入を検知する進入検知手段を備え、
上記近距離無線通信手段は、上記進入検知手段が通路への利用者の進入を検知したときにポーリングを行って、該利用者が所持している携帯端末から識別情報を取得する。
【0027】
この構成では、利用者が通路に進入したことを検知したときに、近距離無線通信手段がポーリングを行って、通路に進入した利用者の識別情報を取得する。したがって、通路内に利用者がいないときには、近距離無線通信手段が無駄なポーリングを行わない。
【0028】
(5)通路における利用者の通行を制限する扉を開閉する扉開閉手段と、
通路の通行を許可する利用者の識別情報と該利用者の生体情報とを対応付けて記憶する通行許可識別情報記憶手段と、
通信エリアが略通路の入口付近に制限された近距離無線通信手段と、
上記近距離無線通信手段により利用者が所持している携帯端末から上記識別情報を取得したとき、ここで取得した識別情報が上記通行許可識別情報記憶手段に記憶されていれば、該識別情報に対応付けられている生体情報を判定対象として読み出す生体情報読出部と、
利用者の生体情報の入力を受け付け、入力された生体情報と上記生体情報読出部が読み出した判定対象の生体情報とを照合し、この照合結果に基づいて上記扉開閉手段による扉の開閉を制御する制御部と、を備え、
上記通行許可識別情報記憶手段には、予め上記近距離無線通信手段よりも通信エリアが広い遠距離無線通信で取得した識別情報毎に通行可否を判断し、該判断において通行可と判断した識別情報に対応する生体情報が対応付けて記憶されている。
【0029】
この構成では、上記(1)に利用者の生体情報も加えて通行可否を判断するようにしたので、なりすましを防止でき、セキュリティの一層の向上が図れる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の第1の実施形態である自動改札機(この発明で言う通行制御装置)を適用した自動改札システムについて説明する。
【0031】
図1は、この発明の実施形態である自動改札システムの構成を示す図である。この第1の実施形態の自動改札システムは、駅の改札口に設置されている複数の自動改札機1と、利用者が所有している携帯電話機やPDA(PersonalData Assistants)等の携帯端末2と、通信エリアが数m〜数十mである遠距離の無線通信機能を有する遠距離無線装置3と、本システム全体を管理するセンタ4と、を備えている。自動改札機1、遠距離無線装置3、およびセンタ4は、LAN等のデータ通信ラインで接続されており、相互にデータ通信を行うことができる。また、携帯端末2は、自動改札機1、および遠距離無線装置3と無線で通信する機能を備えている。
【0032】
自動改札機1は、駅構内への入場時、駅構内からの退場時に利用者が通行する通路を形成している。この通路には、扉が設けられている。自動改札機1は、該扉を閉じることにより、適正なキップ、定期券、回数券等の乗車券を所持していない利用者が通路を通行するのを制限する。また、自動改札機1は後述するように、ISO14443等で規定されている、通信エリアが概ね数cm〜数10cmである近距離無線通信機能を有している。この近距離無線通信の通信エリアは、略通路内における該通路の入口近辺である。
【0033】
次に、自動改札機1の構成について説明する。図2は、自動改札機の構成を示すブロック図である。自動改札機1は、本体の動作を制御する制御部11と、利用者が通路に進入したことを検知する進入検知部12と、通路に進入した利用者に対して通行可否の判定結果等を通知する表示部13と、利用者が通路を通行するのを制限する扉14aを開閉する扉開閉部14と、通信エリアが略通路内の入口付近に制限された近距離無線通信部15と、データ伝送ラインを介して遠距離無線装置3およびセンタ4とデータ通信を行う入出力部16と、を備えている。進入検知部12は、通路の入口および出口近辺に設けた発光部12a,受光部12bからなるセンサで利用者の通行を検知する。扉開閉部14は、通路に進入した利用者が適正な乗車券を所持していない場合、扉14aを閉じて該利用者が駅構内に入場したり、駅構内から退場するのを制限する。近距離無線通信部15は、その通信エリアが略通路内で且つ入口付近の限られた範囲に制限されている。近距離無線通信部15は、通信エリアが狭く、通路に進入した利用者が所持している携帯端末2とは無線で通信できるが、通路に進入していない利用者(自動改札機1の設置場所周辺にいるが通路に進入していない利用者)が所持している携帯端末2とは無線で通信できない。
【0034】
図3は、遠距離無線装置の構成を示すブロック図である。遠距離無線装置3は、本体の動作を制御する制御部31と、ブルートゥース(Bluetooth)による無線通信を制御する遠距離無線通信部32と、データ伝送ラインを介して遠距離無線装置3およびセンタ4とデータ通信を行う入出力部33と、を備えている。遠距離無線通信部32の通信エリアは、数m〜数十mであり、上記近距離無線通信部15の通信エリアに比べて十分に大きい。遠距離無線通信部32は、自動改札機1が設置されている改札口の近辺にいる利用者(通路に進入していない利用者)が所持している携帯端末2と無線で通信できる。
【0035】
したがって、遠距離無線装置3は、駅構内への入場、または駅構内から退場するために、改札口に向かっている利用者が所持している携帯端末2と、該利用者が自動改札機1により構成された通路に進入する前に無線で通信できる。
【0036】
一般的な駅の改札口には、複数の自動改札機1が並べて配置されている。自動改札機1における通路の通行方向は、配置された自動改札機1の向きにより決まる。また、2台の自動改札機1を通路を挟んで対向させ、且つ通行方向を逆向きに配置することにより、両方向(駅構内へ入場する方向、および駅構内から退場する方向)に通行できる通路を形成することもできる。遠距離無線装置3は、図4に示すように改札口に設置された自動改札機1の上方に取り付けられている。図4(A)は自動改札機の上面図であり、図4(B)は自動改札機の側面図である。また、図4は利用者が右から左に通行する通路を形成した自動改札機1を示している。
【0037】
遠距離無線装置3の通信エリアは、上述のように数m〜数十mの大きさであり、該通信エリア内には複数の自動改札機1が設置されている。遠距離無線装置3の通信エリアは、自動改札機1により構成された通路内だけでなく、その周辺も含んでいる。一方、自動改札機1に設けられた近距離無線通信部15の通信エリアは自動改札機1により構成された通路内の一部(入口側付近の一部)の領域である。したがって、自動改札機1の通路を通るために自動改札機1が設置されている改札口に向かって移動している利用者が所持している携帯端末2は、まず遠距離無線装置3の通信エリアに入り、遠距離無線装置3と通信する。その後、該利用者が自動改札機1の通路に進入すると近距離無線通信部15の通信エリアに入り、近距離無線通信部15と通信する。
【0038】
なお、近距離無線通信部15は、遠距離無線装置3と同様にブルートゥースなどの遠距離無線通信が可能な方式において、アンテナや電力の調整により通信エリアを数cm〜数10cmの範囲に制限したものであってもよい。
【0039】
以下、この発明の実施形態である自動改札システムの動作について説明する。
【0040】
まず最初に利用者がインタネット等のネットワーク経由で乗車券を購入する処理について説明する。
【0041】
利用者は、インタネット等のネットワークを利用して乗車券発行サーバにアクセスする。この乗車券発行サーバは、上記センタ4に設けられている。利用者が操作する端末装置は、パーソナルコンピュータであってもよいし、またネットワークに接続するi−MODE(登録商標)機能を有する携帯電話機であってもよい。ここでは、購入した乗車券の情報を記録する記録媒体を内蔵した携帯端末2で乗車券発行サーバにアクセスし、乗車券を購入する場合を例にして説明する。
【0042】
なお、ここで使用する携帯端末2は自動改札機1で構成された通路を通過するときに使用する。
【0043】
図5は乗車券発行サーバにおける乗車券発行処理を示すフローチャートであり、図6は携帯端末における乗車券購入処理を示すフローチャートである。利用者は、ネットワークを介して乗車券発行サーバにアクセスし、携帯端末2の端末IDを含む取引可否の判定を要求する(s11)。s11で、携帯端末2が乗車券発行サーバに送信する端末IDは、携帯端末2を識別するIDであってもよいし、内蔵されている非接触媒体を識別するIDであってもよいし、さらには利用者を識別するIDであってもよい。この端末IDは、取引相手である利用者を識別することができる情報であればよい。
【0044】
乗車券発行サーバは、携帯端末2から取引可否の判定要求を受信すると(s1)、この判定要求に含まれている端末IDで識別される利用者との取引(該利用者に対する乗車券の発行)が可能であるかどうかを判定する(s2)。s2では、s1で受信した取引可否の判定要求に含まれている端末IDから特定される利用者の信用照会等を行って、取引可否を判定する。乗車券発行サーバは、s2で取引不可と判定すると、その旨を取引可否の判定要求を送信してきた携帯端末2に送信し(s3、s4)、本処理を終了する。このとき、乗車券発行サーバはs4で取引不可と判定した理由も携帯端末2に送信する。
【0045】
反対に、s3で取引可と判定すると、その旨を取引可否の判定要求を送信してきた携帯端末2に送信し(s5)、携帯端末2から発行する乗車券の種類(定期券、回数券、遠距離キップ、特急券等)、区間等、を含む発券要求が送信されてくるのを待つ(s6)。
【0046】
携帯端末2は、乗車券発行サーバから取引不可が通知されると、表示部にその旨表示し(s13)、本処理を終了する。このとき、携帯端末2は乗車券発行サーバが取引不可と判定した理由を表示部に表示する。したがって、利用者は乗車券発行サーバが取引不可と判定した理由を確認することができる。
【0047】
反対に、携帯端末2は乗車券発行サーバから取引可が通知された場合、表示部にその旨を表示し(s14)、発券を要求する(購入する)乗車券の種類(定期券、回数券、遠距離キップ、特急券等)、区間等、を含む発券要求の入力を受け付ける(s15)。携帯端末2は、s15における利用者の入力に基づく発券要求を乗車券発行サーバに送信する(s16)。その後、携帯端末2は乗車券発行サーバから発券要求に基づく乗車券情報が送信されてくるのを待つ(s17)。
【0048】
乗車券発行サーバは、s6で携帯端末2からの発券要求を受信すると、受信した発券要求に基づく乗車券情報を作成し(s7)、ここで作成した乗車券情報を携帯端末2に送信する(s8)。s7で作成される乗車券情報は、例えば発行した乗車券が定期券であれば有効期間、有効区間、種別(通勤、通学)を含むデータである。さらに、乗車券発行サーバは、s8で携帯端末2に送信した乗車券情報を乗車券データベースに記憶し(s9)、本処理を終了する。
【0049】
図7は乗車券発行サーバにおける乗車券データベースの構成を示す図である。図7に示すように乗車券データベースは、携帯端末2毎に端末ID、該携帯端末2に対してこれまでに発行した乗車券の情報を示す購入履歴、およびこれまでに発行した乗車券の使用状況を示す使用履歴を対応付けた情報を記憶している。したがって、この乗車券データベースを使用することにより、利用者毎に自動改札機1の通行可否を適正に判断できる。また、この乗車券データベースは乗車券発行サーバで管理されている情報であるので、利用者による改竄や不正コピーの問題もなく、十分なセキュリティを確保することができる。
【0050】
また、乗車券発行サーバは乗車券の発行にかかる乗車券代金(s7で携帯端末2に送信した乗車券データにかかる乗車券代金)を周知の電子決済システムで決済する。電子決済システムについては、公知であるのでここでは説明を省略する。
【0051】
なお、上記乗車券発行サーバは、センタ4以外に設けてもよいが、センタ4に設けるのが好ましい。その理由は、乗車券発行サーバから発行した乗車券情報をセンタ4に送信する必要がないからである。
【0052】
携帯端末2は、乗車券発行サーバから乗車券情報が送信されてくると、この乗車券情報を本体に内蔵されている記録媒体に記録し(s18)、本処理を終了する。図8は、携帯端末に内蔵されている記録媒体における乗車券情報の記憶領域を示す図である。記録媒体には、端末ID、これまでに購入した乗車券の情報を示す購入履歴、およびこれまでに購入した乗車券の使用履歴を対応付けて記録している。また、携帯端末2は記録媒体に記録されている乗車券情報等、全ての情報を表示部に表示することができる。したがって、利用者は自分の購入履歴、使用履歴、さらには使用可能な乗車券の種類等を必要に応じて確認することができる。
【0053】
なお、この第1の実施形態では乗車券情報を記録する記録媒体は携帯端末2に内蔵されているものであるとしているが、携帯端末2に対して着脱自在であってもよい。また、パーソナルコンピュータを操作して上記処理を行い、乗車券発行サーバが発行した乗車券データを記録媒体に記録した後、この記録媒体を携帯端末2にセットする構成であってもよい。さらに、パーソナルコンピュータと記録媒体を内臓した携帯端末2とをデータ伝送ラインで接続し、乗車券情報をパーソナルコンピュータから携帯端末2に送ってもよい。
【0054】
このように、利用者はインタネット等のネットワーク経由で簡単に乗車券発行サーバから所望の乗車券を購入することができる。したがって、利用者における乗車券の購入にかかる利便性を低下させることはない。
【0055】
また、後述するように、利用者が自動改札機1の通路を通過するとき、利用者が所持している携帯端末装2に記録されている乗車券情報を使用するのではなく、センタで管理している乗車券情報を使用するので、利用者による乗車券情報の改竄や不正コピー等の問題が防止でき、セキュリティを確保できる。さらに、利用者の携帯端末2には乗車券の購入履歴および使用履歴が記録されるので、利用者は乗車券の購入状況や、使用状況を必要に応じて確認することができ、これにより使用可能な乗車券の種類を判断することができる。
【0056】
次に、自動改札機1における利用者の通行時の動作について説明する。
【0057】
図9は遠距離無線装置の動作示すフローチャートであり、図10は携帯端末の動作を示すフローチャートであり、図11はセンタの動作を示すフローチャートであり、図12は自動改札機の動作を示すフローチャートである。遠距離無線装置3は、通信エリア内に位置している携帯端末2に対して所定時間、例えば1秒、毎に繰り返しポーリングを行っている(s21、s22)。遠距離無線装置3の通信エリアは、自動改札機1により構成された通路内だけでなく、この自動改札機1が設置されている改札口周辺の領域を含んでいる。したがって、自動改札機1の通路を通過する利用者は、自動改札機1の通路に進入するまえに、遠距離無線装置3の通信エリアに入る。
【0058】
利用者が遠距離無線装置3の通信エリアに内に入ると、該利用者が携帯している携帯端末2が遠距離無線装置3からのポーリングを受信する。携帯端末2は遠距離無線装置3からのポーリングを受信すると(s31)、端末IDを遠距離無線装置3に送信する(s32)。また、携帯端末2は自動改札機1の近距離無線部15によるポーリングを受信すると(s81)、後述する図16に示す処理を実行する。
【0059】
遠距離無線装置3は、s21で行ったポーリングに対して、携帯端末2から送信されてきた端末IDを受信すると(s23)、受信した端末IDをセンタ4に送信する(s24)。遠距離無線装置3とセンタ4とは上記のようにデータ通信ラインで接続されており、データ伝送ラインを介して通信する。
【0060】
なお、遠距離無線装置3はs23で複数の携帯端末2から送信されてきた端末IDを受信した場合、受信した端末IDを全てセンタ4に送信する。
【0061】
このように、遠距離無線装置3は所定時間毎に繰り返しポーリングを行い、通信エリア内に存在している携帯端末2の端末IDをセンタ4に通知している。
【0062】
センタ4は、遠距離無線装置3から端末IDが送信されてくると(s41)、今回送信されてきた端末IDの中に前回送信されてきた端末IDに含まれていなかった端末ID(新たな端末ID)を抽出する(s42)。センタ4は、s42で新たな端末IDを抽出すると、この新たな端末ID毎に通行可否を判定する(s43)。s43では、受信した携帯端末2のIDが、図7に示されるような乗車券データベースに記録されているかどうかを判別する。そして記録されていると判別された場合に、通行しようとしている自動改札機1を通行できる乗車券情報であるかを判別する。
【0063】
なお、センタ4はs41で遠距離無線装置3から送信されてきた端末IDを受信したとき、遠距離無線装置3から前回送信されてきた端末IDを記憶している。s42では、この記憶している前回送信されてきた端末IDの中に含まれていない端末IDが今回送信されてきているかどうかを判定している。したがって、s43では、遠距離無線装置3が前回ポーリングを行ってから、今回ポーリングを行うまでの間に、遠距離無線装置3の通信エリア内に入った携帯端末2(利用者)を抽出している。
【0064】
センタ4はs43で通行可であると判定した端末IDを各自動改札機1に送信する(s44)。s44では、端末ID毎に許可される通行方向(入場方向、または退場方向)を対応づけた情報も送信する。センタ4から自動改札機1への端末IDの送信は、直接行ってもよいし、また遠距離無線装置3を介して行ってもよい。
【0065】
なお、s44では通行不可と判定した端末IDも各自動改札機1に送信してもよいが、この第1の実施形態では通行不可と判定した端末IDを送信しないことによりセンタ4から自動改札機1に送信するデータ量を抑えている。
【0066】
また、センタ4は前回送信されてきた端末IDの中に今回送信されてきた端末IDに含まれていない端末ID(消失した端末ID)を抽出する(s45)。センタ4は消失した端末IDがあると、この消失した端末IDを自動改札機1に送信する(s46)。
【0067】
なお、s46で送信される消失した端末IDには、通路を通過した後に遠距離無線通信装置3の通信エリア外に移動した利用者の端末IDも含まれている。
【0068】
このように、センタ4は遠距離無線装置3の通信エリア内に存在している携帯端末2の端末IDを管理し、この通信エリアに新たに入ってきた携帯端末2については自動改札機1の通路の通行可否を判定し、通行可と判定した端末IDを自動改札機1に送信する。したがって、自動改札機1には、その周辺にいる利用者が所持している携帯端末2であって、且つ自動改札機1の通路を通過することを許可された携帯端末2の端末IDが送信されてくる。
【0069】
また、自動改札機1には、遠距離無線装置3の通信エリア内に一時的に入り、その後この通信エリア外に出て行った携帯端末2の端末IDが消失した端末IDとして送信されてくる。
【0070】
自動改札機1は、センタ4がs44で送信した端末IDを受信すると(s51)、図13に示す通行許可テーブルにこの端末IDを登録する(s52)。この通行許可テーブルは、入場が許可された端末IDを登録する入場許可端末テーブルと、出場が許可された端末IDを登録する出場許可端末テーブルとの2つがある。また、自動改札機1は、s52で上記通行許可テーブルに端末IDを登録するときに、該端末IDの登録時刻を対応付けて登録している。
【0071】
次に、自動改札機1は通行許可テーブル更新処理を行う(s53)。この通行許可テーブル更新処理については後述する。
【0072】
さらに、自動改札機1は、進入検知部12で通路への人間の進入を検知すると(s54)、通行処理を行い(s55)、s51に戻る。
【0073】
なお、s54で通路への人間の進入を検知しなかった場合、s55の処理を行うことなくs51に戻る。
【0074】
ここで、s53にかかる通行許可テーブル更新処理について説明する。図14は通行許可テーブル更新処理を示すフローチャートである。自動改札機1は、センタ4から消失した端末IDが送信されてきているかどうかを判定する(s61)。自動改札機1は消失した端末IDが送信されてきていると、この送信されてきている端末IDを通行許可テーブルから削除する(s62)。
【0075】
これにより、遠距離無線装置3の通信エリア内に一時的に入り、その後この通信エリア外に出て行った携帯端末2の端末IDが通行許可テーブルから消去される。したがって、自動改札機1における通行許可テーブルの記憶容量を抑えることができる。
【0076】
次に、通行許可テーブルに登録されている端末IDであって、登録から所定時間以上経過している端末IDを抽出し(s63)、削除する(s64)。具体的には、通行許可テーブルに登録されている端末ID毎に、現在時刻から登録時刻を引いた経過時間を算出し、ここで算出した経過時間が予め設定されている所定時間以上であれば、通行許可テーブルから削除する。
【0077】
これにより、遠距離無線装置3の通信エリア内で友達を待っている人等、自動改札機1の通路を通行する予定がない人で、且つ遠距離無線装置3の通信エリア内にいる利用者が所持している携帯端末2の端末IDをいつまでも通行許可テーブルに記憶しつづけることがない。したがって、自動改札機1における通行許可テーブルの記憶容量を一層抑えることができる。
【0078】
このように、自動改札機1にこの通行許可テーブル更新処理を設けたので、通行許可テーブルを記憶するのに必要な記憶容量を抑えることができ、装置本体のコストを安価にできる。
【0079】
次に、s55にかかる通行処理について説明する。図15はこの通行処理における自動改札機の動作を示すフローチャートであり、図16はこの通行処理における携帯端末の動作を示すフローチャートである。自動改札機1は、進入検知部12で通路への利用者の進入を検知すると(s54)、近距離無線通信部15がポーリングを行う(s71)。近距離無線通信部15の通信エリアは自動改札機1の通路の入口付近であり、通路に進入した利用者が携帯している携帯端末2は、これ以前に遠距離無線装置3の通信エリア内に入っている。したがって、通路に進入した利用者が携帯している携帯端末2の端末IDについては、上記通行可否の判定が行われている。この通行可否の判定において、通行可と判定された携帯端末2の端末IDは自動改札機1の通行許可テーブルに登録されている。
【0080】
通路に進入した利用者が携帯している携帯端末2は、近距離無線通信部15からのポーリングを受信すると(s81)、端末IDを自動改札機1へ送信する(s82)。
【0081】
自動改札機1は、s71で行ったポーリングに対して、携帯端末2から端末IDが送信されてくると(s72)、この端末IDをキーにして通行許可テーブルを検索し、通路に進入した利用者の通行可否を判定する(s73)。具体的には、自動改札機1は利用者の通行方向(入場、または退場)を判断し、ここで判断した方向の通行許可テーブルにs72で受信した端末IDが登録されていれば通行可と判定し、反対に登録されていなければ通行否と判定する。
【0082】
自動改札機1は、s73で通行否と判定した場合、近距離無線通信部15から携帯端末2に通行否を通知し(s74、s78)、さらに扉14aを閉じて利用者が通路を通行するのを禁止する(s79)。
【0083】
また、自動改札機1はs73で通行否と判断した場合、s72で受信した端末IDをセンタ4に送信し、該利用者に対して通行否とした理由の通知を要求するようにしてもよい。この場合、自動改札機1はs78でセンタ4から取得した理由(例えば定期券の期限が切れている。)を携帯端末2に通知し、利用者に通行否と判定した理由を知らせるように構成してもよい。
【0084】
反対に、自動改札機1はs73で通行可と判定すると、近距離無線通信部15から携帯端末2に通行可を通知し(s74、s75)、扉14aを開放して利用者の通行を許可する(s76)。さらに、自動改札機1はセンタ4に該利用者の通過を通知する(s77)。s77では、利用者の通過方向(入場または退場)、自動改札機1が設置されている駅名、端末ID等を含む情報をセンタ4に通知する。センタ4は、これらの情報に基づいて利用者の使用履歴を更新する。
【0085】
携帯端末2は、自動改札機1から通行否が通知されると、表示部に通行否を表示する(s83、s86)。反対に、自動改札機1から通行可が通知されると、通行可を表示するとともに、本体に内蔵している記憶媒体に記憶している使用履歴に今回の使用にかかる情報を追加する(s83〜s85)。
【0086】
なお、この第1の実施形態では、上記s76、s79で扉14aの開閉を行う構成としたので、扉14aの初期状態については開状態/閉状態のどちらであってもかまわない。また、扉14aが開状態/閉状態であるときに、扉14aを開放する動作/閉じる動作を行っても、扉14aの状態が変化しないだけであって、特に問題はない。
【0087】
このように、この第1の実施形態の自動改札システムは、遠距離無線装置3で自動改札機1の通路に向かっていると予測される利用者が所持している携帯端末2の端末IDを取得する。センタ4が、遠距離無線装置3が取得した端末IDを用いて利用者の通行可否を予め判断し、その結果を自動改札機2に記憶させておく。その後、実際に利用者が自動改札機1の通路に進入すると、自動改札機1は通路に進入した利用者が所持している携帯端末2の端末IDを取得し、記憶している通行許可テーブルに基づいて通行可否を判断する。したがって、通路に進入した利用者の通行可否の判定にかかる処理時間を抑えることができ、通路における利用者のスムーズな通行を阻害することがない。また、利用者の通行可否の判定にはセンタ4で管理している乗車券情報を利用しているので、利用者による乗車券情報の改竄や不正コピー等の問題も防止でき、セキュリティを十分に確保できる。
【0088】
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。上記第1の実施形態と異なる点は、自動改札機1における通行可否の判定に端末IDと利用者の指紋情報とを用いる点である。
【0089】
なお、以下の説明において上記第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0090】
この第2の実施形態の自動改札システムも図1に示す構成である。しかし、自動改札機1は、図2に示す構成に加えて、利用者の指紋を読み取る指紋読取部17、および指紋読取部17で読み取った指紋を照合対象の指紋と照合する指紋照合部18と、を備えている(図17参照)。図18に示すように、自動改札機1には通路の入口側近傍に指紋読取部17が設けられている。利用者は、この指紋読取部17に指を載せる。指紋読取部17は、載せられた利用者の指紋をCCDカメラで撮影する公知の構成であり、詳細についてはここでは説明を省略する。
【0091】
また、遠距離無線装置3は、上記第1の実施形態で説明した構成(図3に示す構成)である。
【0092】
この第2の実施形態の自動改札システムも上記第1の実施形態と同様に、図5、図6に示した処理により、利用者は乗車券を購入できる。乗車券発行サーバにおける乗車券データベースには、図7に示した情報に加えて利用者の指紋情報が端末IDに対応付けて記憶されている(図19参照)。利用者の指紋情報の登録は、予め決められた場所で行われる。
【0093】
なお、携帯端末2に内蔵されている記録媒体には図8と同様に乗車券の購入履歴と使用履歴が記録されているが、利用者の指紋情報については記録されていない。
【0094】
以下、この第2の実施形態の自動改札システムの動作について説明する。遠距離無線装置3は、上記第1の実施形態で説明した図9に示す処理を繰り返し実行している。センタ4は、上記第1の実施形態で説明した図11に示す処理と略同じ処理を行うが、上記第1の実施形態で説明したs44で判定結果を自動改札機1に送信する際に、端末IDと通行方向だけでなく、センタ4に登録されている利用者の指紋情報を送信する(s44’)(図20参照)。
【0095】
また、自動改札機1も上記第1の実施形態で説明した図12に示す処理と略同じ処理を行うが、上記第1の実施形態で説明したs52で端末ID、登録時刻に加えてセンタ4から送信されてきた対応する利用者の指紋情報を登録する(s52’)(図21参照)。図22に第2の実施形態の自動改札機1の通行許可テーブルを示す。図示するように、通行許可テーブル(入場許可端末テーブル、および出場許可端末テーブル)には端末ID、登録時刻、に加えて対応する利用者の指紋情報が登録されている。
【0096】
また、上記第1の実施形態で説明したs53にかかる通行許可テーブル更新処理については、図14で説明した処理と略同じであるのでここでは説明を省略する。異なる点は、s62、s64で該当する端末IDを通行許可テーブルから削除するときに、該利用者の指紋情報も削除する点である。
【0097】
次に、自動改札機1の通行処理について説明する。図23は、この通行処理を示すフローチャートである。
【0098】
なお、この図では図15に示した処理と同じ処理を行うステップに図15と同じステップ番号(s**)を付している。
【0099】
自動改札機1は、進入検知部12で通路への利用者の進入を検知すると(s54)、近距離無線通信部15でポーリングを行う(s71)。近距離無線通信部15の通信エリアは自動改札機1の通路の入口付近であり、通路に進入した利用者が携帯している携帯端末2はこれ以前に遠距離無線装置3の通信エリア内に入っている。したがって、通路に進入した利用者が携帯している携帯端末2の端末IDについては、上記通行可否の判定が行われている。この通行可否の判定において、通行可と判定された携帯端末2の端末IDと対応する利用者の指紋情報とは自動改札機1の通行許可テーブルに登録されている。
【0100】
通路に進入した利用者が携帯している携帯端末2は、上記第1の実施形態で説明した図10、および図16に示す処理を実行する。
【0101】
自動改札機1は、s71で行ったポーリングに対して、携帯端末2から端末IDが送信されてくると(s72)、この端末IDをキーにして通行許可テーブルを検索し、通行許可テーブルに端末IDが登録されているかどうかを判定する(s91)。具体的には、自動改札機1は利用者の通行方向(入場、または退場)を判断し、ここで判断した方向の通行許可テーブルにs72で受信した端末IDが登録されているかどうかを判定する。
【0102】
自動改札機1は、s91で登録されていないと判定すると、通行が許可されていない利用者であると判断し、s78にジャンプする。
【0103】
反対に、s91で登録されていると判断すると、通行許可テーブルから該当する指紋情報を読み出し、照合対象メモリをクリアした後、この照合対象メモリに読み出した指紋情報を記憶する(s92)。その後、指紋読取部17が通路に進入した利用者の指紋を読み取るのを待つ(s93)。
【0104】
自動改札機1の通路に進入した利用者は、指紋読取部17に自分の指を載せる。自動改札機1は、指紋読取部17に利用者が指を載せたことを検知すると、指紋を読み取り、ここで読み取った指紋と照合対象メモリに記憶している指紋情報とを照合し(s94)、自動改札機1の通路に進入した利用者の通行可否を判定する(s73)。
【0105】
s73では、s93で読み取った指紋とs92で照合対象メモリに記憶した指紋情報とを照合した照合結果において、2つの指紋のパターン類似度が所定量以上であれば通路に進入した利用者が携帯端末2の真の所有者であると判断し、通行を許可する。反対に、2つの指紋のパターン類似度が所定量未満であれば通路に進入した利用者が携帯端末2の真の所有者でないと判断し(他人になりすましていると判断し)、通行否と判断する。
【0106】
自動改札機1は、s74で通行可と判断すると、上記第1の実施形態で説明したs75〜s77の処理を行い、反対にs74で通行否と判断するとs78、s79の処理を行う。
【0107】
このように、この第2の実施形態では端末IDだけでなく、利用者の指紋を用いて通行可否を判断するようにしたので、他人の携帯端末2を不正に取得したものが他人になりすまして、通路を通行するのも防止できる。したがって、セキュリティの一層の向上が図れる。また、自動改札機1は、利用者が通路に進入したときに、通路に進入した利用者が所持している携帯端末2の端末IDを取得し、利用者が指紋を入力する前に照合対象の指紋情報を照合用メモリに記録する構成を採用し、この照合用メモリに記憶している指紋情報と、指紋読取部17で読み取った指紋とを照合するだけであるので、該照合にかかる時間を短縮でき、通路における利用者のスムーズな通行を阻害することもない。
【0108】
なお、ここでは利用者の指紋情報を用いて、通路における利用者の通行可否を判定するとしたが、利用者の網膜パターン、掌紋、顔画像等の他の種類の生体情報を用いて利用者に対する通行可否を判定してもよい。
【0109】
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。上記第1の実施形態と異なる点は、携帯端末2が本体に内蔵されている記録媒体に記録している乗車券情報を遠距離無線装置3に送信し、センタ4が携帯端末2から送信された上記乗車券情報を用いて通行可否を判定する点である。
【0110】
なお、以下の説明において上記第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0111】
この第3の実施形態の自動改札システムも図1に示す構成である。また、自動改札機1は図2に示す構成であり、遠距離無線装置3は図3に示す構成である。この第3の実施形態の自動改札システムも上記第1の実施形態と同様に、図5、図6に示した処理により、利用者は乗車券を購入できる。携帯端末2は、図6に示すs18で購入した乗車券の乗車券情報を本体に内蔵されている記録媒体に記録している。
【0112】
次に、自動改札機1における利用者の通行時の動作について説明する。図24は遠距離無線装置の動作を示すフローチャートであり、図25は携帯端末の動作を示すフローチャートであり、図26はセンタの動作を示すフローチャートである。
【0113】
なお、図24〜図26において、上記第1の実施形態で説明した図9〜図11に示した処理と同じ処理を行うステップについては同じステップ番号(s**)を付している。
【0114】
遠距離無線装置3は、所定時間毎にポーリングを行い(s21、s22)、携帯端末2から端末IDおよび乗車券情報を受信したかどうかを判定し(s23’)、受信した場合に受信した端末IDおよび乗車券情報をセンタ4に送信する(s24’)。
【0115】
携帯端末2は、遠距離無線装置3からのポーリングを受信すると(s31)、端末IDおよび本体に記録している乗車券情報を遠距離無線装置3に送信する(s32’)。また、携帯端末2は上記第1の実施形態と同様に自動改札機1の近距離無線部15によるポーリングを受信すると(s81)、図16に示す処理を実行する。
【0116】
上記処理において、携帯端末2から遠距離無線装置3に送信される乗車券情報は暗号化されている。また、携帯端末2から遠距離無線装置3に送信される端末IDについては暗号化されていなくてもよいし、暗号化されていてもよい。また、遠距離無線装置3は、携帯端末2から送信されてきた乗車券情報を復号せずにセンタ4に送信する。携帯端末2から送信されてきた端末IDが暗号化されていれば、この端末IDについても復号せずにセンタ4に送信する。
【0117】
センタ4は、遠距離無線装置3から端末IDおよび乗車券情報が送信されてくると(s41’)、s42で新たな端末IDが含まれているかどうかを判定する。センタ4は、遠距離無線装置3から送信されてきた端末IDが暗号化されていれば、s42の処理を行う前に、この暗号化されている端末IDを復号する。
【0118】
センタ4は、新たな端末IDが含まれていると、この端末IDに対応する乗車券情報(遠距離無線装置3から送信されてきた乗車券情報)を復号し(s101)、s43で通行可否を判定する。
【0119】
s43では、s101で復号した乗車券情報が正当な情報であるかどうかを判定し、正当であれば、自動改札機1を通行できる乗車券情報であるかどうかを判定する。乗車券情報が正当であるかどうかの判定は、図7に示した乗車券データベースに記憶されている情報と、s101で復号した乗車券情報とを比較して判定してもよいし、s101で復号した乗車券情報があらかじめ定められた書式であるかどうかにより判定してもよい。
【0120】
センタ4は、s43の処理を完了すると、上記第1の実施形態で説明したs44以降の処理を実行する。
【0121】
したがって、携帯端末2における情報(端末IDや乗車券情報など)の暗号化処理、およびセンタ4における情報(端末IDや乗車券情報など)の復号化処理に時間がかかったとしても、携帯端末2(利用者)が遠距離無線装置3の通信エリアに進入してから、近距離無線通信部15の通信エリアに進入するまでに時間的な余裕がある。このため、携帯端末2(利用者)は、遠距離無線装置3と携帯端末2とが通信を開始し、暗号化処理および復号化処理が終了したあとに、近距離無線通信部15の通信エリアに進入することになり、上記第1の実施形態と同等の効果を奏する。
【0122】
なお、上記説明では遠距離無線装置3からセンタ4へ送信される乗車券情報は暗号化されているとしたが、遠距離無線装置3が携帯端末2から受信した乗車券情報を復号し、センタ4へ復号化した乗車件情報を送信してもよい。また、端末IDも暗号化されていれば、遠距離無線装置3が復号化し、センタ4へ復号化した端末IDを送信してもよい。
【0123】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、利用者はインタネット等のネットワークを利用して乗車券を購入することができ、購入後に指定された場所に乗車券を受け取りに行く必要もないので、利用者の利便性を低下させることがない。
【0124】
また、装置周辺にいる利用者の携帯端末の端末IDを取得し、利用者が通路に進入する前に端末IDを取得した各利用者について通行可否を判定した判定結果を得ることができるので、実際に利用者が通路に進入してきたときには、すでに得ている判定結果に基づいて利用者の通行可否を簡単に判断することができる。よって、利用者のスムーズな通行を阻害することがない。
【0125】
さらに、利用者の生体情報を用いて通行可否を判断するようにしたので他人になりすました者が通路を通行するのを防止でき、セキュリティの一層の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態である自動改札システムの構成を示す図である。
【図2】この発明の第1の実施形態である自動改札機の構成を示す図である。
【図3】この発明の第1の実施形態である遠距離無線装置の構成を示す図である。
【図4】この発明の第1の実施形態である自動改札機を示す図である。
【図5】この発明の第1の実施形態である乗車券発行サーバにおける乗車券発行処理を示すフローチャートである。
【図6】この発明の第1の実施形態である携帯端末における乗車券購入処理を示すフローチャートである。
【図7】この発明の第1の実施形態である乗車券発行サーバに記憶されている乗車券データベースを示す図である。
【図8】この発明の第1の実施形態である携帯端末に記憶されている乗車券情報を示す図である。
【図9】この発明の第1の実施形態である遠距離無線装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】この発明の第1の実施形態である携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図11】この発明の第1の実施形態であるセンタの動作を示すフローチャートである。
【図12】この発明の第1の実施形態である自動改札機の動作を示すフローチャートである。
【図13】この発明の第1の実施形態である自動改札機に記憶されている通行許可テーブルを示す図である。
【図14】この発明の第1の実施形態である通行許可テーブル更新処理を示すフローチャートである。
【図15】この発明の第1の実施形態である通行処理を示すフローチャートである。
【図16】この発明の第1の実施形態である携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図17】この発明の第2の実施形態である自動改札機の構成を示す図である。
【図18】この発明の第2の実施形態である自動改札を示す図である。
【図19】この発明の第2の実施形態である乗車券発行サーバに記憶されている乗車券データベースを示す図である。
【図20】この発明の第2の実施形態であるセンタの動作を示すフローチャートである。
【図21】この発明の第2の実施形態である自動改札機の動作を示すフローチャートである。
【図22】この発明の第2の実施形態である自動改札機に記憶されている通行許可テーブルを示す図である。
【図23】この発明の第2の実施形態である通行処理を示すフローチャートである。
【図24】この発明の第3の実施形態である遠距離無線装置の動作を示すフローチャートである。
【図25】この発明の第3の実施形態である携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図26】この発明の第3の実施形態であるセンタの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1−自動改札機
2−携帯端末
3−遠距離無線装置
4−センタ
Claims (5)
- 利用者の通行方向が両方向である通路における、利用者の通行を制限する通行制御装置において、
前記通路の通行方向毎に設けられ、対応する通行方向について、前記通路の通行を許可する利用者の識別情報を登録した、2つの通行許可テーブルを記憶する通行許可識別情報記憶手段と、
通信エリアが略通路内に制限された近距離無線通信手段と、
上記近距離無線通信手段で通路内に位置している利用者が所持している携帯端末から上記識別情報を取得するとともに、この利用者の通路における通行方向を判断し、上記通行許可識別情報記憶手段が、ここで取得した識別情報を、この利用者について判断した通路の通行方向に対応する前記通行許可テーブルに登録されているかどうかを判別し、この判別結果に基づいて通路における利用者の通行を許可するかどうかを判断する制御部と、を備え、
上記通行許可識別情報記憶手段が記憶する前記通行許可テーブルのそれぞれには、予め上記近距離無線通信手段よりも通信エリアが広い遠距離無線通信で取得した識別情報毎に、通路における利用者の通行可否を通行方向とともに判断し、該判断において通行可と判断した識別情報であって、且つ対応する通行方向について通行を許可する識別情報が登録されている通行制御装置。 - 上記通行許可識別情報記憶手段は、所定時間よりも前に前記通行許可テーブルに登録した識別情報を、この通行許可テーブルから消去する請求項1に記載の通行制御装置。
- 上記通行許可識別情報記憶手段は、通路を通行した利用者の識別情報を前記通行許可テーブルから消去する請求項1または2に記載の通行制御装置。
- 通路内への利用者の進入を検知する進入検知手段を備え、
上記近距離無線通信手段は、上記進入検知手段が通路への利用者の進入を検知したときにポーリングを行って、該利用者が所持している携帯端末から識別情報を取得する請求項1〜3のいずれかに記載の通行制御装置。 - 通路における利用者の通行を制限する扉を開閉する扉開閉手段を備え、
上記制御部は、取得した識別情報が上記通行許可識別情報記憶手段に記憶されているかどうかを判別した判別結果に基づいて上記扉開閉手段による扉の開閉を制御する請求項1〜4のいずれかに記載の通行制御装置。
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