JP3804233B2 - 玉軸受の検査方法および検査装置 - Google Patents

玉軸受の検査方法および検査装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検査玉軸受の内輪と外輪との相対的な回転に伴い被検査玉軸受から発生する振動、音圧などの物理量を測定し、該測定の結果に基づき玉軸受を検査する玉軸受の検査方法および検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、玉軸受は、外周面に溝が形成され、回転する機械部品の軸に固定される内輪と、内周面に溝が形成され、軸受け部に固定される外輪と、内輪の溝と外輪の溝との間に組み込まれている複数の鋼球またはセラミックス等からなる球形の転動体を主な構成部品として構成されている。
【0003】
この転動体として鋼球が組み込まれている玉軸受を例にその検査方法について説明する。
【0004】
この玉軸受が組み立てられると、この玉軸受単体はその品質の良否を総合的に判別するための検査工程に渡される。この検査工程では、被検査玉軸受の内輪をその軸心を中心に回転する基準回転軸に取り付け、該被検査玉軸受の外輪にその軸心方向に予圧をかけながら前記基準回転軸を回転させることによって前記内輪を前記外輪に対し相対的に回転させ、前記内輪と前記外輪との相対的な回転に伴い前記被検査玉軸受から発生する振動、音圧などの物理量を測定し、該測定の結果に基づき前記被検査玉軸受の品質の良否を判別する方法により、検査を行う。
【0005】
次に、上述の検査方法およびその方法を実施するための玉軸受の検査装置について図4および図5を参照しながら具体的に説明する。図4は従来の玉軸受の検査装置の主要部を示す構成図、図5は図4の検査装置により検査されている玉軸受の鋼球の自転運動および公転運動の様子を模式的に示す図である。
【0006】
従来の玉軸受の検査装置は、図4に示すように、ベース50を備え、該ベース50には、被検査玉軸受4の内輪4bを回転させるための軸受回転手段と、被検査玉軸受4の外輪4aに予圧を付与するための予圧付与手段とが搭載されている。
【0007】
軸受回転手段はスピンドル30を有し、該スピンドル30には、基準回転軸を成すスピンドル回転軸1が設けられている。スピンドル回転軸1は、複数のラジアルベアリング31および複数のスラストベアリング32で支持され、各ラジアルベアリング31および各スラストベアリング32はエア静圧ベアリングからなる。スピンドル回転軸1の一端は被検査玉軸受4の内輪4bを取付可能に構成されている。スピンドル回転軸1の他端にはプーリー36が取り付けられている。スピンドル回転軸1は回転駆動モータ34の駆動力によって回転され、回転駆動モータ34の駆動力は、該モータの出力軸に取り付けれられたプーリー38と、該プーリー38とプーリー36とに掛け渡されたベルト37とにより、スピンドル回転軸1に伝達される。
【0008】
予圧付与手段は、ベッド50上をスピンドル回転軸1の軸線方向に沿って移動可能な予圧スライダー23を有し、予圧スライダー23にはナット24aが固定されている。ナット24aにはオネジ25が螺合され、オネジ25はその軸線周りに回転可能にオネジ支持部26に支持されている。オネジ25は予圧駆動モータ27により回転され、オネジ25の回転に伴い予圧スライダー23はスピンドル回転軸1の軸線方向に沿って移動される。予圧スライダー23のスピンドル回転軸1に対向する面には、弾性部材としての予圧ばね6の一端が固定され、予圧ばね6の他端には予圧リング22が取り付けられている。なお、弾性部材としては図4に示す予圧ばね6の他、環状の硬質ゴムなどとし、その両端を予圧スライダー23および予圧リング22に固定する構成や、複数のばねを予圧スライダー23と予圧リング22との対向面間に保持させる構成などとしてもよい。予圧リング22は予圧スライダー23の移動により予圧ばね6のばね力に抗しながら被検査玉軸受4の外輪4aに突き当てられ、被検査玉軸受4の外輪4aに付与される予圧は予圧スライダー23の移動位置と各予圧ばね6のばね定数とに応じて決定される。
【0009】
被検査玉軸受4の回転中すなわち内輪4bが外輪4aに対し相対的に回転している最中に被検査玉軸受4から発生する振動の測定には、外輪4aに直接接触されるコンバータ40等からなる振動測定装置が用いられ、該コンバータ40により振動が電気信号に変換され、不図示の測定装置本体にこの電気信号が入力される。前記コンバータ40と外輪4aとの相対的な位置決めは、コンバータ位置調整スライダー41によりコンバータ40の位置を調整することによって行われる。また、被検査玉軸受4から発生する音圧を測定するときには、被検査玉軸受4から所定の間隔をおいて保持されたマイクロホン42等からなる音圧測定装置が用いられる。
【0010】
次に、上述の検査装置を用いた検査手順について説明する。
【0011】
まず、被検査玉軸受4の内輪4bがスピンドル回転軸1の一端に取り付けられる。次いで、予圧スライダー23を所定位置に移動させて被検査玉軸受4の外輪4aに予圧リング22を突き当てることによって外輪4aにその軸心方向に所定の予圧がかけられる。
【0012】
次に、外輪4aに所定の予圧がかけられると、スピンドル回転軸1が回転駆動モータ34により回転され、内輪4bは外輪4aに対し相対的に回転する。この回転に伴い内輪4bの溝と外輪4aの溝との間に保持されている各鋼球3は、図5に示すように、外輪4aにかけられている予圧により内、外輪4b,4aの各溝に対し接触角αを成すようにAo ,Ai 点で接触しながら、各接触点Ao ,Ai を結ぶ直線に直交する軸Bを自転軸として自転しかつスピンドル回転軸1の軸線を中心に公転する。
【0013】
この回転状態において被検査玉軸受4から発生する振動または音圧が測定され、その測定結果に基づき被検査玉軸受4の品質の良否が判別される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の検査方法では、各鋼球3が外輪4aにかけられている予圧により内、外輪4b,4aの各溝に対し接触角αを成すようにAo ,Ai 点で接触しながら軸Bを自転軸として自転するので、鋼球3の内、外輪4b,4aの各溝に対する接触領域は、軸Bを南北極とする赤道に相当する大円を挟む微小幅の領域に特定され、各鋼球3の全表面積の数%の表面積に対する測定結果しか得られないことになる。従って、鋼球3の仕上げ精度、表面の傷の有無を鋼球3の全表面積に亘り検査することはできず、被検査玉軸受4に対し十分な品質保証を得るための高い検査精度で検査を実施することは難しい。
【0015】
本発明は、上記課題を解決するため、被検査玉軸受に対し十分な品質保証を得るための検査精度を格段に向上させることができる玉軸受の検査方法および検査装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被検査玉軸受の内輪をその軸心を中心に回転する基準回転軸に取り付け、該被検査玉軸受の外輪にその軸心方向に予圧をかけながら前記基準回転軸を回転させることによって前記内輪を前記外輪に対し相対的に回転させ、前記内輪と前記外輪との相対的な回転に伴い前記被検査玉軸受から発生する振動、音圧などの物理量を測定し、該測定の結果に基づき前記玉軸受を検査する玉軸受の検査方法において、前記内輪の溝と前記外輪の溝との間に保持されている各転動体に、前記基準回転軸と同軸に回転する回転体に形成された突当部位を突き当て、前記外輪に前記予圧をかけながら前記基準回転軸を回転させるとともに、前記各転動体がスキュー運動するように前記回転体の回転速度を可変制御しながら前記回転体を回転させ、前記各転動体が前記スキュー運動している状態で前記被検査玉軸受から発生する前記物理量を測定することを特徴とする玉軸受の検査方法を提供する
上記検査方法において、前記回転体の回転速度を周期的に変化するように制御することが好ましい。
また、本発明は、内輪と外輪と両者間に介在する複数の球形の転動体とからなる被検査玉軸受の前記内輪が取り付けられる基準回転軸と、該基準回転軸を回転させることにより前記内輪を回転させるモータと、前記被検査玉軸受の前記外輪に予圧を付与する予圧リングとを備えた玉軸受の検査装置において、前記基準回転軸の軸線方向に移動自在に設けられ、一端部が前記複数の転動体に突き当てられる突当部位とされた回転体を有するスキュー駆動手段を備えたことを特徴とする玉軸受の検査装置を提供する。
上記検査装置において、前記スキュー駆動手段は、前記回転体を前記基準回転軸と同軸に回転させるスキュー駆動モータと、該スキュー駆動モータによる前記回転体の回転速度が周期的に変化するように制御するモータコントローラとを備えることが好ましい。
【0017】
本発明の玉軸受の検査方法では、内輪の溝と外輪の溝との間に保持されている各転動体に、基準回転軸と同軸に回転する回転体に形成された突当部位を突き当て、外輪に予圧をかけながら基準回転軸を回転させるとともに、各転動体が突当部位によりスキュー運動するように回転体の回転速度を可変制御しながら回転体を回転させる。この場合、各転動体の自転運動は、基準回転軸の回転による自転の成分と、回転体の突当部位を介して伝達される回転体の回転による自転の成分を合成したものとなる。ここで、回転体の回転による自転の成分とは、すなわち、基準回転軸の回転中心軸線に垂直でかつこの回転中心軸線上の1点と転動体の中心とを通る軸線を自転軸とする自転の成分である。従って、回転体の回転速度を可変制御することによって回転体の回転速度が変動し、この回転体の回転速度の変動に伴い各転動体の自転運動の自転軸が変動することになる。すなわち、各転動体がスキュー運動することになる。
【0018】
このように、各転動体に回転体の突当部位を突き当て回転体を回転させるという直接的な方法で各転動体にスキュー運動を付与するので、各転動体の全てに対し確実にスキュー運動を付与することができる。また、各転動体に回転体の突当部位を同時に突き当てることにより、各転動体の全てに対し確実にかつ同時にスキュー運動を付与することができる。
【0019】
この転動体のスキュー運動により、転動体と内輪および外輪との接触点の軌跡を転動体表面上で徐々にずらすことができ、転動体と内輪および外輪との接触点の軌跡が従来のように微小幅の領域に限定されることなく、転動体表面上において転動体の内輪および外輪に対して接触する点が格段に広い領域に短時間で亘ることになる。
【0020】
よって、各転動体がスキュー運動している状態で被検査玉軸受から発生する物理量を測定するので、その測定結果には転動体表面のほぼ全領域における内、外輪の各溝との接触状態の測定結果が含まれ、転動体の仕上げ精度、表面の傷の有無を転動体の全表面積に亘り検査することができる。
【0021】
特に、回転体に与える回転速度を例えば正弦波状に変化させるなど周期的に変動させ、かつその周期を基準回転軸の回転により付与される転動体の自転周期より僅かに大きくまたは小さくすることにより、1回の自転毎に転動体の内、外輪との接触点が規則的に少しずつずれるような軌跡を描くことになる。従って、転動体がこのようなスキュー運動している状態で測定を行うので、転動体の全表面をむらなく着実に内、外輪と接触させることができ、短時間でさらに信頼性が高い検査結果を得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。
【0023】
(実施の第1形態)
図1は本発明の玉軸受の検査方法の実施の第1形態に用いられる検査装置の主要部を示す構成図である。
【0024】
玉軸受の検査装置は、図1に示すように、被検査玉軸受4の内輪4bを回転させるための軸受回転手段と、被検査玉軸受4の外輪4aに予圧を付与するための予圧付与手段と、内、外輪4b,4aの各溝の間に組み込まれている鋼球3をスキュー運動をさせるためのスキュー駆動手段とを備え、軸受回転手段、予圧付与手段およびスキュー駆動手段はベッド(図示せず)に搭載されている。なお、本実施の形態では、被検査玉軸受として鋼球3が保持器2で保持されている被検査玉軸受4を例に説明する。
【0025】
軸受回転手段は、図4に示す検査装置の軸受回転手段と同様の構成を有し、スピンドル回転軸1は回転駆動モータからプーリー、ベルトを介して伝達される駆動力により回転され、スピンドル回転軸1の一端には被検査玉軸受4の内輪4bが取り付けられる。
【0026】
予圧付与手段は、ベッド上をスピンドル回転軸1の軸線方向に沿って移動可能な予圧スライダー8を有し、予圧スライダー8は、それに固定されているナットに螺合するオネジを予圧駆動モータにより回転させることによって、スピンドル回転軸1の軸線方向に沿って移動される。予圧スライダー8のスピンドル回転軸1に対向する面には、弾性部材としての予圧ばね6の一端が固定され、予圧ばね6の他端には予圧リング5が取り付けられている。なお、弾性部材としては図3に示す予圧ばね6の他、環状の硬質ゴムなどとし、その両端を予圧スライダー23および予圧リング22に固定する構成や、複数のばねを予圧スライダー23と予圧リング22との対向面間に保持させる構成などとしてもよい。予圧リング5は予圧スライダ8の移動により予圧ばね6のばね力に抗しながら被検査玉軸受4の外輪4aに突き当てられ、この予圧リング5の突き当てにより被検査玉軸受4の外輪4aに付与される予圧は予圧スライダー8の移動位置と予圧ばね6のばね定数とに応じて決定される。
【0027】
スキュー駆動手段は、スピンドル回転軸1と同軸上に伸びかつ予圧スライダー8の内部を貫通するスキュー駆動軸7を有する。スキュー駆動軸7の一端は予圧スライダー8からスピンドル回転軸1側に向けて突出し、該一端には各鋼球3に突き当て可能な突当部位7cが形成されている。突当部位7cを構成する材質としては、球3との突き当てにより球3の表面を傷つけるなどの恐れがない材質が要求されるとともに、突当部位7cと球3との接触により生じる摩耗粉が軸受内に侵入することを防止するために、この摩耗粉の発生がないような材質が要求され、突当部位7cをテフロン(登録商標)、ナイロンなどの樹脂材で構成することが好ましい。スキュー駆動軸7の他端は予圧スライダー8からスピンドル回転軸1と逆側に向けて突出し、該他端には、ロックナット7bによりプーリー12が取り付けられている。スキュー駆動軸7の途中部位にはフランジ部7aが形成され、フランジ部7aは予圧スライダー8の内部に形成されたシリンダ8bに収容されている。フランジ部7aはシリンダ8bに対しピストンとして機能し、フランジ部7aは、シリンダ8bと共働してシリンダ8bに空圧回路(図示せず)からエア通路8cまたはエア通路8dを介して供給される加圧エアによりフランジ部7aを移動させるピストン・シリンダ機構を構成する。
【0028】
スキュー駆動軸7は、予圧スライダー8内部に形成されたエアベアリング8a(静圧ラジアルベアリング)により回転可能かつ往復運動可能に支持されている。エアベアリング8aはエア入り口および複数のエア逃げ溝により構成されている。スキュー駆動軸7は、該軸の他端に取り付けられているプーリー12にベルト11を介して伝達されるスキュー駆動モータ9からの駆動力により回転される。スキュー駆動モータ9の出力軸にはベルト11が掛け渡されているプーリー10が取り付けられている。スキュー駆動モータ9の駆動制御はモータコントローラ13により行われ、このモータコントローラ13は、スキュー駆動軸7の突当部位7cとの接触により鋼球3がスキュー運動するようにスキュー駆動軸7の回転速度すなわちスキュー駆動モータ9の回転速度を制御しながらスキュー駆動モータ9の駆動制御行う。この回転速度制御では、具体的には、一定回転速度成分(例えば鋼球3の公転速度と等しい速度)にサイン関数で示される波形状に変化する変化速度成分を重畳した速度にスキュー駆動モータ9の回転速度を一致させるようにスキュー駆動モータ9を駆動制御する。ここで、前記変化速度成分の周期は、鋼球自転周期より僅かに大または小とする。但し、両周期の比が整数倍とならないように設定する。
【0029】
また、スキュー駆動軸7は、フランジ部7aとシリンダ8bとが構成するピストン・シリンダ機構により軸線方向に往復運動され、この往復運動によりスキュー駆動軸7の一端に形成された突当部位7cの鋼球3に対する押付力が決定される。
【0030】
次に、モータコントローラ13の構成について図2を参照しながら説明する。図2は図1のモータコントローラの構成を示すブロック図である。
【0031】
モータコントローラ13は、図2に示すように、ROM14aに格納されているプログラムに従い所定のタイミングでスキュー駆動モータ9の駆動制御に関する命令を発生するCPU14を有し、CPU14によるスキュー駆動モータ9の駆動制御の開始または停止は、操作部14bからの操作入力に応じて指示される。このCPU14から発生される命令には、関数発生器15に対して上記変化速度成分の周期に対応する周波数成分を持つ正弦波の発生を指示する命令が含まれている。この命令が関数発生器15に与えられると、関数発生器15は、上記変化速度成分の周期に対応する周波数成分を持つ正弦波信号を発生する。関数発生器15により発生された正弦波信号はF/V変換器16に入力され、F/V変換器16は、入力された正弦波信号の周波数成分に合わせて電圧値が変化する直流電圧を発生する。
【0032】
F/V変換器16で発生された直流電圧は、加算器18により、定速回転指令電圧発生回路17で発生された定速回転指令電圧と加算される。ここで、この定速回転指令電圧は上記一定回転速度成分に対応する直流電圧である。よって、加算器18から出力される電圧は、上記変化速度成分に対応する直流電圧と上記一定回転速度成分に対応する直流電圧とを加算した電圧になる。この加算した電圧はサーボアンプ19を介してスキュー駆動モータ9に印加され、スキュー駆動モータ9は、上記一定回転速度成分に上記変化速度成分を重畳した速度で回転駆動される。
【0033】
次に、本実施の形態における上述の検査装置を用いた検査手順について説明する。
【0034】
まず、被検査玉軸受4の内輪4bがスピンドル回転軸1の一端に取り付けられる。次いで、予圧スライダー8が所定位置に移動され、予圧スライダー8の所定位置への移動に伴い被検査玉軸受4の外輪4aに予圧リング5が突き当てられる。予圧リング5の突き当てによって被検査玉軸受4の外輪4aには所定値の予圧がかけられる。この状態では鋼球3とスキュー駆動軸7の突当部位7c先端との間には、微小な隙間があいている。
【0035】
次に、スキュー駆動軸7は、突当部位7cの鋼球3に対する押付力が所定値になるように、フランジ部7aとシリンダ8bとが構成するピストン・シリンダ機構により突当部位7cが鋼球3に対し突き当てられる。
【0036】
予圧リング5の突き当て、スキュー駆動軸7の突当部位7cの突き当てが完了すると、スピンドル回転軸1が回転駆動モータにより回転され、内輪4bは外輪4aに対し相対的に回転する。同時にスキュー駆動モータ9に前記のような駆動制御を行うことにより、スキュー回転軸7には周期的変動を伴う回転が与えられる。これらの回転に伴い各鋼球3は、外輪4aにかけられている予圧による軸Bを自転軸とする自転に、図1の軸Cの周りすなわちスピンドル回転軸1の回転中心軸線に垂直でかつこの中心軸線上の1点と各鋼球3の中心とを通る軸線の周りに回転速度の変化する成分が重畳され、両成分の合成により定まる各球3の自転軸は周期的に変化することになり、スキュー運動をする。このスキュー運動が加わることにより、鋼球3が1回自転する毎に、鋼球3の外輪4a、内輪4bとの接触点の軌跡が鋼球3上で少しづつずれてくるので、鋼球3の内、外輪4b,4aの各溝に対する接触領域が鋼球表面のほぼ全領域になる。この軌跡のずれる度合いは、鋼球自転周期と前記変化成分との差により定まるので適宜設定する。
【0037】
次いで、各鋼球3がスキュー運動を伴って公転している状態で被検査玉軸受4から発生する物理量例えば振動または音圧が測定される。被検査玉軸受4から発生する振動は、外輪4aに直接接触されたコンバータ等からなる振動測定装置により測定され、被検査玉軸受4から発生する音圧の測定には、所定位置に保持されたマイクロホン等からなる音圧測定装置が用いられる。この測定結果に基づき被検査玉軸受4の品質の良否の判別が行われる。
【0038】
このように、鋼球3の内、外輪4b,4aの各溝に対する接触領域が鋼球表面のほぼ全領域になるので、上述の測定結果には鋼球3表面のほぼ全領域における内、外輪4b,4aの各溝との接触状態の測定結果が含まれ、鋼球3の全表面積に亘りその仕上げ精度、表面の傷の有無などを考慮した検査をすることができる。よって、被検査玉軸受4に対し十分な品質保証を得るための検査精度を格段に向上させることができる。
【0039】
(実施の第2形態)
次に、本発明の実施の第2形態について図3を参照しながら説明する。図3は本発明の玉軸受の検査方法の実施の第2形態に用いられる検査装置の主要部を示す構成図である。
【0040】
本実施の形態における玉軸受の検査装置は、実施の第1形態に対し、鋼球をスキュー運動させるためのスキュー駆動リングを鋼球にスピンドル回転軸側から突き当てるように構成した点で異なる。
【0041】
本実施の形態における玉軸受の検査装置は、図3に示すように、内、外輪4b,4aの各溝の間に組み込まれている鋼球3をスキュー運動をさせるためのスキュー駆動手段を備え、スキュー駆動手段は、スピンドル回転軸1と同軸上に配置されかつスピンドル回転軸1を支持するスピンドル20に支持されるスキュー駆動リング21を有する。スキュー駆動リング21は、先端が各鋼球3に突き当て可能に構成され、スピンドル回転軸1の一端を受け入れる小径部と、スピンドル20を受け入れる大径部とからなる。スキュー駆動リング21の大径部は、スピンドル20の外周部に形成されたエアベアリング20aにより回転可能かつ往復運動可能に支持され、エアベアリング20aはエア入り口および複数のエア逃げ溝により構成されている。スキュー駆動リング21の大径部の外周部にはプーリー21aが一体的に形成され、該プーリー21aには、ベルト11を介してスピンドル回転軸1の周りに回転させるための駆動力が不図示のスキュー駆動モータから伝達される。スキュー駆動リング21の大径部の内壁には、該内壁と共働してスピンドル20の端部を受け入れる空間を形成するための張出部が形成され、この形成された空間に受け入れられたスピンドル20の端部とスキュー駆動リング21の大径部の内壁との間には、加圧エアが供給されるシリンダ室24が規定される。このシリンダ室24はスキュー駆動リング21と共働してピストン・シリンダ機構を構成し、この加圧エアの供給を制御することによってスキュー駆動リング21はスピンドル回転軸1の軸線に沿って往復運動するピストンとして機能する。
【0042】
スキュー駆動リング21の回転速度すなわち該スキュー駆動リング21の駆動力を発生するスキュー駆動モータの回転速度は、上述の実施の第1形態と同様に、一定回転速度成分にサイン関数で示される波形状に変化する変化速度成分を重畳した速度に一致するように制御される。
【0043】
次に、本実施の形態における上述の検査装置を用いた検査方法について説明する。
【0044】
まず、被検査玉軸受4の内輪4bがスピンドル回転軸1の一端に取り付けられる。次いで、予圧スライダー23が所定位置に移動され、予圧スライダー23の所定位置への移動に伴い被検査玉軸受4の外輪4aに予圧リング22が突き当てられる。予圧リング22の突き当てによって被検査玉軸受4の外輪4aには所定の予圧がかけられる。また、スキュー駆動リング21がシリンダ室24へのエア供給制御によって鋼球3に向けて移動され、スキュー駆動リング21の小径部先端が鋼球3に突き当てられる。
【0045】
予圧リング22の突当、スキュー駆動リング21の小径部先端の突当が完了すると、スピンドル回転軸1が回転駆動モータにより回転され、内輪4bは外輪4aに対し相対的に回転する。同時にスキュー駆動リング21が前記のような周期的変動を伴う回転をするように制御されて回転する。これらの回転に伴い各鋼球3は、外輪4aにかけられている予圧による軸Bを自転軸とする自転に、スピンドル回転軸1の回転中心軸線に垂直でかつこの中心軸線上の1点と各鋼球3の中心とを通る軸線の周りに回転速度の変化する成分が重畳され、スキュー運動をする。このスキュー運動が加わることにより、鋼球3が1回自転する毎に、鋼球3の外輪4a、内輪4bとに接触点の軌跡が鋼球3上で少しづつずれてくるので、鋼球3の内、外輪4b,4aの各溝に対する接触領域が鋼球表面のほぼ全領域になる。この軌跡のずれる度合いは、鋼球自転周期と前記変化成分との差により定まるので適宜設定する。
【0046】
次いで、各鋼球3がスキュー運動を伴って公転している状態で被検査玉軸受4から発生する振動または音圧が測定され、これらの測定結果に基づき被検査玉軸受4の品質の良否が判別される。
【0047】
なお、上記各実施の形態でスキュー駆動軸に与えられる変化速度成分はサイン関数としたが、サイン関数に限定されることはなく、周期的に変化する関数であればよい。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の玉軸受の検査方法によれば、内輪の溝と外輪の溝との間に保持されている各転動体に、基準回転軸と同軸に回転する回転体に形成された突当部位を突き当て、外輪に予圧をかけながら基準回転軸を回転させるとともに、各転動体がスキュー運動するように回転体の回転速度を可変制御しながら回転体を回転させ、各転動体がスキュー運動している状態で被検査玉軸受から発生する物理量を測定するので、その測定結果には転動体表面のほぼ全領域における内、外輪の各溝との接触状態の測定結果が含まれ、転動体の仕上げ精度、表面の傷の有無を転動体の全表面積に亘り検査することができる。よって、被検査玉軸受に対し十分な品質保証を得るための検査精度を格段に向上させることができる。
また、本発明の玉軸受の検査装置によれば、上述したと同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の玉軸受の検査方法の実施の第1形態に用いられる検査装置の主要部を示す構成図である。
【図2】図1のモータコントローラの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の玉軸受の検査方法の実施の第2形態に用いられる検査装置の主要部を示す構成図である。
【図4】従来の玉軸受検査装置の主要部を示す構成図である。
【図5】図3の検査装置により検査されている玉軸受の鋼球の自転運動および公転運動の様子を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 スピンドル回転軸(基準回転軸)
3 鋼球
4 被検査玉軸受
5,22 予圧リング
6 予圧ばね
7 スキュー駆動軸(回転体)
7c 突当部位
8,23 予圧スライダー
9 スキュー駆動モータ
13 モータコントローラ
14 CPU
15 関数発生器
16 F/V変換器
17 定速回転指令電圧発生回路
18 加算器
20 スピンドル

Claims (4)

  1. 被検査玉軸受の内輪をその軸心を中心に回転する基準回転軸に取り付け、該被検査玉軸受の外輪にその軸心方向に予圧をかけながら前記基準回転軸を回転させることによって前記内輪を前記外輪に対し相対的に回転させ、前記内輪と前記外輪との相対的な回転に伴い前記被検査玉軸受から発生する振動、音圧などの物理量を測定し、該測定の結果に基づき前記玉軸受を検査する玉軸受の検査方法において、前記内輪の溝と前記外輪の溝との間に保持されている各転動体に、前記基準回転軸と同軸に回転する回転体に形成された突当部位を突き当て、前記外輪に前記予圧をかけながら前記基準回転軸を回転させるとともに、前記各転動体がスキュー運動するように前記回転体の回転速度を可変制御しながら前記回転体を回転させ、前記各転動体が前記スキュー運動している状態で前記被検査玉軸受から発生する前記物理量を測定することを特徴とする玉軸受の検査方法。
  2. 前記回転体の回転速度を周期的に変化するように制御することを特徴とする請求項1に記載の玉軸受の検査方法。
  3. 内輪と外輪と両者間に介在する複数の球形の転動体とからなる被検査玉軸受の前記内輪が取り付けられる基準回転軸と、該基準回転軸を回転させることにより前記内輪を回転させるモータと、前記被検査玉軸受の前記外輪に予圧を付与する予圧リングとを備えた玉軸受の検査装置において、前記基準回転軸の軸線方向に移動自在に設けられ、一端部が前記複数の転動体に突き当てられる突当部位とされた回転体を有するスキュー駆動手段を備えたことを特徴とする玉軸受の検査装置。
  4. 前記スキュー駆動手段は、前記回転体を前記基準回転軸と同軸に回転させるスキュー駆動モータと、該スキュー駆動モータによる前記回転体の回転速度が周期的に変化するように制御するモータコントローラとを備えたことを特徴とする請求項3に記載の玉軸受の検査装置。
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