JP3804110B2 - 気相成長装置を用いたシリコン成膜方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、気相成長装置を用いたシリコン成膜方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】
従来において、基板上にシリコンのエピタキシャル成長を行うために使用するシリコンの気相成長装置としては、例えば図1にその概要断面を示す装置がある。これについて説明する。
【0003】
この装置においては、基台1上に石英製のインナーベルジャ8が設けられて、反応室20を構成している。インナーベルジャ8の外周には、アウターベルジャ9が設けられている。
【0004】
一方、基台1上には、サセプタ支持台6が設けられており、このサセプタ支持台6は、その面内で回転可能とされており、このサセプタ支持台6上には、サセプタ5が支持されている。
サセプタ5の下部には、例えば高周波加熱用のコイル2が設けられており、サセプタ5を所定の温度に加熱、保持することができるようになされている。
【0005】
サセプタ5上には、シリコン成膜がなされる被成膜基板30が載置される。そして、原料ガス等を供給する石英製のガスノズル11が、反応室20の中央部に、サセプタ5の中心部を貫通して設けられている。
このガスノズル11には、複数個のガス噴出口11hが穿設されており、このガスノズル11は、上下調節機構(図示せず)によりその高さを調節できるとともにガスの流量を調節することができるようになされている。
【0006】
上述したシリコンの気相成長装置を使用して、基板30の表面にエピタキシャル膜を形成するには、先ず、ガスノズル11によりガス噴出口11hから、反応室20内にN2 ガスを噴出させるとともに、排気口7から排気して、反応室20内をN2 ガスで置換し、その次に同様にガスノズル11によりガス噴出口11hから、反応室20内にH2 ガスを噴出させ、反応室20内の雰囲気をH2 ガスで置換する。
【0007】
次に、H2 ガス雰囲気下でコイル2により基板30を1050℃〜1100℃に昇温させ、基板30の自然酸化膜を除去する。
続いて、基板30を950℃〜1030℃に降温し、H2 ガスをキャリアガスとしてシリコン原料ガス(Sin H2n+2(n≧1))、例えばSiH4 等のシリコン原料ガスおよびPH3 等のドーピング原料ガスを供給する。
この場合、キャリアガスとシリコン原料ガスとの流量比を、キャリアガス:シリコン原料ガス=1:0.0024程度としている。
このようにして、反応室20内において、基板30の表面にシリコンのエピタキシャル膜が成長、形成される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した基板30上のシリコンのエピタキシャル成長を行うと、基板30上のみならず、基板30を保持しているサセプタ5の表面、インナーベルジャ8の反応室内壁、反応室20の天井部分、およびガスノズル11にまでシリコン膜が形成される。
【0009】
これらの基板30表面以外の部分に形成されたシリコン膜、例えばインナーベルジャ8の反応室内壁に形成されたシリコン膜は、インナーベルジャ8の温度が100℃〜500℃と、基板30表面に比べて低いため、シリコン膜の緻密性は悪く、また、接着力も弱い。このため、これらのシリコン膜を除去しないで、連続的にエピタキシャル成長を行うと、これらのシリコン膜が剥がれ落ち、基板30の表面に付着し、基板30表面におけるエピタキシャル膜の結晶欠陥を生じたり、突起を発生させたりする。
【0010】
このため、インナーベルジャ8等の硫酸等によるウェット洗浄、いわゆる反応室内洗浄をサセプタ5の洗浄と同時に、一定バッチ数ごとに行う必要がある。
この反応室内洗浄は、5インチの基板30上のシリコン膜に目視で35個以上のダストが存在する時点で必要となると判断している。
例えばキャリアガスとシリコン原料ガスとの流量比を、キャリアガス:シリコン原料ガス=1:0.0024程度とした場合においては、累積膜厚60μm程度ごとに行う必要があることがわかっている。
しかし、これらの作業を行うと、気相成長装置を、再びエピタキシャル成長を行うことができるようにするまでに非常に時間がかかり、生産効率の低減を来す。
【0011】
なおここで、累積膜厚とは、良質な成膜が可能な複数回の成膜を行った各成膜の膜厚を累積した値をいうものとする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、気相成長装置を用いたシリコンの成膜方法において、サセプタ上に保持された基板上に、シリコンの成膜を行うに際しての温度を、950℃〜1030℃とし、成膜に際して使用するキャリアガスとシリコン原料ガスのSiH 4 との流量比を、キャリアガス:シリコン原料ガスSiH 4 =1:0.0011〜0.0020として、上記基板上にシリコンの成膜を行い、上記基板上に成膜されたシリコンの累積膜厚が、100μm〜200μmになるごとに、上記サセプタ上に基板を設置しない状態で、上記サセプタ上に積層したシリコンのエッチングを行い、さらに、サセプタ表面にシリコンコーティングを行うことを特徴とする
【0013】
本発明によれば、気相成長装置を用いたシリコンの成膜を行う方法において、シリコンの成膜温度、成膜に際して使用するキャリアガスとシリコン原料ガスとの流量比を所定の値に特定したことによって、反応室内の洗浄サイクルを延ばすことができ、洗浄頻度を低減させて装置稼働率を向上させることができた。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
シリコンの気相成長装置としては、図1で説明した装置を用いることができる。すなわち、本発明方法に適用する気相成長装置は、図1で説明したように、基台1上に石英製のインナーベルジャ8が設けられて、反応室20を構成している。インナーベルジャ8の外周には、アウターベルジャ9が設けられている。
【0015】
一方、基台1上には、サセプタ支持台6が設けられており、このサセプタ支持台6は、面内方向で回転可能とされており、このサセプタ支持台6上には、サセプタ5が支持されている。
サセプタ5の下部には、例えば高周波加熱用のコイル2が設けられており、サセプタ5を所定の温度に加熱、保持することができるようになされている。
【0016】
サセプタ5上には、シリコン成膜がなされる被成膜基板30が載置される。そして、原料ガス等を供給する石英製のガスノズル11が、反応室20の中央部に、サセプタ5の中心部を貫通して設けられている。
このガスノズル11には、複数個のガス噴出口11hが配置されており、このガスノズル11は、上下調節機構(図示せず)によりその高さを調節できるとともにガスの流量を調節することができるようになされている。
【0017】
上述したシリコンの気相成長装置を使用して、基板30の表面にエピタキシャル膜を形成する。
図3Aは、このシリコン成膜を行う際の温度のプログラミングを示し、図3Bは、このとき供給する各気体の供給時間帯を実線で示すものである。
先ず、ガスノズル11によりガス噴出口11hから、反応室20内にN2 ガスを噴出させるとともに、排気口7から排気して、反応室20内をN2 ガスで置換し、その次に同様にガスノズル11によりガス噴出口11hから、反応室20内にH2 ガスを噴出させ、反応室20内の雰囲気をH2 ガスで置換する。
【0018】
次に、H2ガス雰囲気下でコイル2により基板30を1050℃〜1100℃に昇温させ、基板30上の自然酸化膜を除去する。続いて、基板30を950℃〜1030℃に降温し、H2ガスをキャリアガスとして、シリコン原料ガスSiH4 ( 以下シリコン原料ガスSiH 4 を単にシリコン原料ガスと呼称する )およびPH3等のドーピング原料ガスを供給する。そして、この場合、特に本発明においては、キャリアガスとシリコン原料ガスとの流量比を、キャリアガス:シリコン原料ガス=1:0.0011〜0.0020の、例えば1:0.0017程度とした。
【0019】
キャリアガスとシリコン原料ガスとの流量比を、キャリアガス:シリコン原料ガス=1:0.0011〜0.0020の、例えば1:0.0017程度として、上述した装置を用いて基板30上にシリコンを気相成長させたとき、従来にくらべ、インナーベルジャ8の反応室内壁に堆積形成されたシリコン膜(一般的には多結晶膜)の量は、少ないことがわかった。
反応室内洗浄のサイクルは、上述した繰り返し良質成膜が可能な累積膜厚は、120μm程度に延長された。
これは、基板30表面以外の部分に形成されたシリコンの多結晶膜、例えばインナーベルジャ8の反応室内壁に形成されたシリコンの多結晶膜が、従来に比して、緻密性も良好なものであり、剥離しにくいものとなっているためであると思われる。
【0020】
このように、キャリアガスとシリコン原料ガスとの流量比を、キャリアガス:シリコン原料ガス=1:0.0011〜0.0020とすると、反応室内洗浄のサイクルの延長を図ることができることがわかったが、一方、反応室内洗浄のサイクルを累積膜厚で120μm程度となると、サセプタ5上に堆積するシリコン膜(多結晶シリコン)が問題となってくる。
【0021】
すなわち、従来、反応室内洗浄のサイクルが累積膜厚で60μm程度だった場合においては、サセプタ5上に多結晶シリコンが堆積し、基板30の設置および取り出しの際にこれが剥離してダストとなる前に反応室内洗浄を行うため、このサセプタ5上の多結晶シリコンの存在はさほど問題とはならなかった。ところが、本発明方法による場合、反応室内洗浄のサイクルを累積膜厚が120μm程度となると、反応室内洗浄のサイクルが延びたために、サセプタ5に対する不要なシリコン堆積による問題が生じてくる。すなわち、反応室内洗浄を行う前に、サセプタ5上に堆積した多結晶シリコンが、サセプタ5上への基板30の設置、および取り出し、交換等に際して、基板30がサセプタ5と擦り合うことによる等の種々の原因により、サセプタ5上の多結晶シリコンが剥離してダストを発生させることになり、このダストが、基板30の表面に付着し、基板30上のエピタキシャル膜の質の低下を招来する。
【0022】
そこで、本発明においては、特に、エピタキシャル成長膜の累積膜厚が100μm〜200μm程度ごと、例えば100μm〜120μmごとに、図1に示したシリコンの気相成長装置において、基板30を設置しない状態で、サセプタ5の温度を1050℃〜1100℃として、HClガスによりサセプタ5の表面に堆積した多結晶シリコンをエッチング除去する。このように、サセプタ5の表面に堆積した多結晶シリコンをエッチングにより除去した後、基板30上にエピタキシャル膜の成長を行うときと同様の条件で、サセプタ5上にシリコンコーティングを行う。
【0023】
このようにしてサセプタ5のエッチングをエピタキシャル成長膜の累積膜厚が100μm〜200μm程度ごと、例えば120μmごとに行い、その後、サセプタ5にシリコンコーティングを行うことにより、反応室内洗浄のサイクルを従来よりも延長した場合においても、基板の表面に、サセプタ5上に堆積した多結晶シリコンのダストが付着することを回避することができた。
なお、この場合反応室内洗浄サイクルは、累積膜厚400μm以上に延長された。
【0024】
図2は、キャリアガスとシリコン原料ガスとの流量比と、反応室内洗浄までのシリコンの累積膜厚の関係を表した図を示す。
図2によれば、シリコンの気相成長を行う際のキャリアガスとシリコン原料ガスとの流量比を、キャリアガス:シリコン原料ガス=1:0.0024とした従来方法(累積膜厚=60μm)と比べて、本発明方法によれば、累積膜厚=400μmとなることから、反応室内洗浄サイクルを7倍程度に延長することができた。
【0025】
なお、この図2に示すように、シリコンの気相成長を行う際のキャリアガスとシリコン原料ガスとの流量比を、キャリアガス:シリコン原料ガス=1:0.0020以下とするとき、従来に比し、累積膜厚を格段に高めることができる。しかしながら、シリコン原料ガスが余り少ないと、シリコン膜の成長速度が低くなり、工業的に問題が生じる。すなわち、キャリアガスとシリコン原料ガスとの流量比をキャリアガス:シリコン原料ガス=1:0.0011とすると、シリコンの成膜速度は0.15μm/min程度となり、キャリアガス:シリコン原料ガス=1:0.0024とした従来の場合は、0.30μm/min程度であるから、約半分となり、極めて成膜時間が長く、キャリアガス:シリコン原料ガス=1:0.0011未満とすると、工業的に実用性がない。
また、成膜時間が長くなると、成膜されるシリコン膜の膜質等の特性に変化が生じるおそれがある。
【0026】
なお、本発明においては、キャリアガスとシリコン原料ガスとの流量比について、シリコン原料ガスの比率を従来のそれよりも小さい値としたことにより、シリコンの成膜速度は低下する。しかしながら、シリコンのエピタキシーを行うための1バッチ中、シリコン成膜時間の割合は約10%と少ないものである。したがって、本発明におけるキャリアガスとシリコン原料ガスとの流量比を調整し、1バッチ当たりのシリコン成膜にかかる所要時間が延長されたとしても、反応室20の洗浄時間を短縮できたこととの兼ね合いから考えれば、シリコンのエピタキシャル膜の生産性の対しては、殆ど影響がないものといえる。
【0027】
ここに本発明方法においては、キャリアガスとシリコン原料ガスとの流量比は、キャリアガス:シリコン原料ガス=1:0.0011〜0.0020の範囲に特定する所以がある。
【0028】
上述したように、気相成長装置を用いたシリコンの成膜を行う方法において、サセプタ5上に載置した基板30上にシリコンの成膜を行い、シリコンの成膜を行う際の温度を950℃以上とし、成膜に際して使用するキャリアガスとシリコン原料ガスとの流量比を、キャリアガス:シリコン原料ガス=1:0.0011〜0.0020とし、基板30上に成膜されたシリコンの累積膜厚が、100〜200μmになるごとにサセプタの上に積層したシリコンのエッチングを行い、さらにシリコンコーティングを行う方法によりシリコンの成膜を行ったことにより、反応室20内の洗浄サイクルを大幅に延ばすことができた。
また、反応室20の洗浄頻度を低減させることにより、装置稼働率を向上させることができた。
【0030】
なお、反応室20の形状は、上述したものに限定されるものではなく、ホットウォール型のものならば、種々の形状のものが使用可能である。また、基板30上に堆積させるシリコン膜は、単結晶に限られず、多結晶、アモルファスのシリコン半導体膜を形成させる場合にも使用することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明においては、気相成長装置を用いたシリコンの成膜を行う方法において、サセプタ5上に載置した基板30上にシリコンの成膜を行い、シリコンの成膜を行う際の温度を950℃以上とし、成膜に際して使用するキャリアガスとシリコン原料ガスとの流量比を、キャリアガス:シリコン原料ガス=1:0.0011〜0.0020とし、基板上に成膜されたシリコンの累積膜厚が、100〜200μmになるごとにサセプタの上に積層したシリコンのエッチングを行い、さらにシリコンコーティングを行う方法によりシリコンの成膜を行ったことにより、反応室20内の洗浄サイクルを大幅に延ばすことができた。
【0032】
また、反応室20の洗浄頻度を低減させることにより、反応室内洗浄サイクル当たりの生産処理枚数を増加することができ、装置稼働率を向上させることができた。
【0033】
また、反応室を洗浄するサイクルを延長することができたため、反応室20内の石英部品が洗浄により薬品処理させる回数が低減される。このため、石英部品が透明からすりガラス状になる、いわゆる”失透”までの時間が延びる。このため、石英部品を使用することができる期間を延長することができ、洗浄に使用する薬品および石英部品のコストを大幅に削減することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】気相成長装置の一例の概略断面図を示す。
【図2】キャリアガスとシリコン原料ガスとの流量比と、反応室内洗浄までのシリコンの累積膜厚の関係を表した図を示す。
【図3】A 本発明方法における気相成長装置を用いたシリコン成膜を行う際の、温度のプログラミングを示す。
B 本発明方法における気相成長装置を用いたシリコン成膜を行う際に、供給する各気体の供給時間帯を実線で示す。
【符号の説明】
1 基台、2 コイル、5 サセプタ、6 サセプタ支持台、7 排気口、8 インナーベルジャ、9 アウターベルジャ、10 のぞき窓、11 ガスノズル、11h ガス噴出口、20 反応室、30 基板
Claims (1)
- 気相成長装置を用いたシリコンの成膜方法において、
サセプタ上に保持された基板上に、シリコンの成膜を行うに際しての温度を、950℃〜1030℃とし、
成膜に際して使用するキャリアガスとシリコン原料ガスのSiH 4 との流量比を、キャリアガス:シリコン原料ガスSiH4=1:0.0011〜0.0020として、上記基板上にシリコンの成膜を行い、
上記基板上に成膜されたシリコンの累積膜厚が、100μm〜200μmになるごとに、上記サセプタ上に基板を設置しない状態で、上記サセプタ上に積層したシリコンのエッチングを行い、
さらに、サセプタ表面にシリコンコーティングを行う
ことを特徴とする気相成長装置を用いたシリコン成膜方法。
Priority Applications (1)
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JP19791696A JP3804110B2 (ja) | 1996-07-26 | 1996-07-26 | 気相成長装置を用いたシリコン成膜方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP19791696A JP3804110B2 (ja) | 1996-07-26 | 1996-07-26 | 気相成長装置を用いたシリコン成膜方法 |
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JPH1036191A JPH1036191A (ja) | 1998-02-10 |
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Country Status (1)
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